データ伝送装置及びこれを備えた画像形成装置
【課題】ノイズ除去で生じた受信部に向けての有効区間信号の変化点のずれを検知し、ずれで画像データを受信部が適切に受信できないという問題に対処する。
【解決手段】データ伝送装置は、画像データと画像データが有効か無効かを示す第1有効区間信号と、ラインの切り替わりを示す同期信号を送信する送信部と、画像データと有効区間信号と同期信号の入力を受け、画像データと同期信号を出力し第1有効区間信号からノイズを除去した第2有効区間信号を生成し、出力するノイズ処理部と、ノイズ処理部が出力した画像データと同期信号と第2有効区間信号が入力され、第2有効区間信号による有効区間の画像データを取得する受信部と、を含み、ノイズ処理部は、複数ライン分、同期信号の変化点から第2有効区間信号の変化点までの時間を測定し、第1有効区間信号へのノイズ混入による有効区間のずれの有無を検知する。
【解決手段】データ伝送装置は、画像データと画像データが有効か無効かを示す第1有効区間信号と、ラインの切り替わりを示す同期信号を送信する送信部と、画像データと有効区間信号と同期信号の入力を受け、画像データと同期信号を出力し第1有効区間信号からノイズを除去した第2有効区間信号を生成し、出力するノイズ処理部と、ノイズ処理部が出力した画像データと同期信号と第2有効区間信号が入力され、第2有効区間信号による有効区間の画像データを取得する受信部と、を含み、ノイズ処理部は、複数ライン分、同期信号の変化点から第2有効区間信号の変化点までの時間を測定し、第1有効区間信号へのノイズ混入による有効区間のずれの有無を検知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズを除去しつつ画像データを伝送するデータ伝送装置と、このデータ伝送装置を含む複写機、複合機、FAX装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複写機、複合機、FAX装置等の画像形成装置に原稿を読み取って画像データを生成する画像読取部(スキャナー)が設けられることがある。そして、画像読取部のような画像データを生成する部分から画像データに基づき処理(例えば、画像処理や印刷)を行う部分に向けて画像データの伝送が行われる。この画像データの伝送では、タイミングのずれ等を防ぐ観点から、送信部と受信部で同期をとりつつ、伝送を行う場合がある。画像データ伝送での同期に関する技術の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、信号中の水平同期信号パルス幅時間と不要パルス等のパルス幅時間とを比較判別し、水平同期信号のパルス幅より長いパルス幅時間を有する場合にパルス信号を出力し、水平同期信号のパルス幅時間より短いパルス幅時間を有する場合は信号を出力しない第1のノイズ除去部と、第1のノイズ除去部よりの信号を基にしてパルス信号を発生し、信号と水平同期信号とを比較し、一定の場合にパルス信号を出力する第2のノイズ除去部と、第2のノイズ除去部よりの信号を基にして水平同期信号を再生ずる水平同期信号再生部とで構成したノイズパルス除去回路が記載されている。この構成により、不要信号を除去して、正規の水平同期信号と同等のパルスを再生し、水平同期の安定化を図ろうとする(特許文献1:請求項1、[発明が解決しようとする課題]の欄等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平04−180365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
まず、画像データ伝送での送信部と受信部の同期を図るため、水平同期信号や垂直同期信号といった信号の他、画像データの伝送が有効な区間であるか、無効な区間であるかを示す有効区間信号を送信部から受信部に向けて送信することがある。受信部は、有効区間信号が、有効区間を示す状態(例えば、High又はLow)であるときに、画像データを取り込む。言い換えると、有効区間信号は、画像データ伝送の開始と終了を受信部に伝達するための信号である。
【0006】
一方、有効区間信号や、垂直同期信号や、水平同期信号に、ノイズが混入することがある。ノイズにより、正確な同期が妨げられ、画像データの伝送に支障を生じさせることがある。そこで、有効区間信号等に混入したノイズ除去処理を行う部分(例えば、ノイズ除去回路)が設けられることがある。このノイズ処理部には、有効区間信号等が入力される。そして、ノイズ処理部は、ノイズ除去後の有効区間信号等を受信部に出力する。
【0007】
ここで、送信部からの信号の状態が変わったとき、複数回、一定の時間をかけて、送信部からの信号の状態(HighであるかLowであるか)をサンプリングしてノイズ処理を行うことがある。具体的に、複数回連続して同じ状態が続かなければノイズとして扱い、受信部に出力する信号の状態を変化前の状態で維持して、ノイズ除去を行う。一方、複数回連続して変化後の状態が続けば、ノイズによる状態変化では無いと判断して、受信部に出力する信号の状態を変化させる。このような方法で有効区間信号等のノイズ除去を行うことがある。
【0008】
しかし、このような方法によりノイズ除去を行うとき、受信部に入力される有効区間信号の変化点(開始や終了を示すエッジ)が、本来の位置よりも大きく遅れることがあるという問題がある。具体的には、有効区間の開始や終了に近いタイミングで送信部からの有効区間信号にノイズが混入すると、ノイズ処理部は、ノイズか否かを判断するため、一定の時間をかけて、複数回、送信部からの信号の状態をサンプリングする。そして、この複数回のサンプリング中、ノイズではなく、正当に送信部からの有効区間信号が変化するときがある。この場合、ノイズによる状態変化に起因する複数回のサンプリングが完了してから、正当な有効区間信号の変化に対する複数回のサンプリングが行われる。そのため、ノイズ処理部が受信部に出力する有効区間信号の状態変化が遅れてしまう。
【0009】
このように、ノイズにより有効区間信号の状態変化が遅れると、受信部が送信部により送信された画像データを適切に受信できないという問題がある。例えば、画像データ中の画素の一部の欠落が生じ、異常な画像となってしまうことがある。
【0010】
尚、特許文献1記載の発明は、不要信号を除去して、正規の水平同期信号と同等のパルスを再生する。しかし、ノイズ除去に伴い、有効区間信号で示される有効区間がずれることにより、受信部が画像データを適切に受信できないという問題についての言及はなく、上記の問題を解決することはできない。
【0011】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、有効区間のずれにより画像データを受信部が適切に受信できないという問題に対処するため、複数回のサンプリングによるノイズ除去で生じた受信部に向けての有効区間信号の変化点のずれを検知することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に係るデータ伝送装置は、画像データと、前記画像データが有効か無効かを示す第1有効区間信号と、予め定められた1ライン分の周期で状態が変化し、ラインの切り替わりを示す同期信号を送信する送信部と、前記画像データと前記有効区間信号と前記同期信号の入力を受け、前記画像データと前記同期信号を出力するとともに、前記第1有効区間信号の状態が変化したとき、予め定められた回数、前記第1有効区間信号の状態をサンプリングし、連続して同じ状態が所定回数続くと続いた状態に論理を切り替えて、前記第1有効区間信号からノイズを除去した第2有効区間信号を生成し、出力するノイズ処理部と、前記ノイズ処理部が出力した前記画像データと前記同期信号と前記第2有効区間信号が入力され、前記第2有効区間信号に基づき、前記画像データが有効な区間であるか否かを認識し、有効区間の前記画像データを取得する受信部と、を含み、前記ノイズ処理部は、複数ライン分、前記同期信号の変化点から前記第2有効区間信号の変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき基準値を求め、前記基準値と前記同期信号の変化点から前記第2有効区間信号の変化点までの時間を各ラインで比較し、前記第1有効区間信号へのノイズ混入による前記有効区間のずれの有無を検知することとした。
【0013】
この構成によれば、ノイズ処理部は、複数ライン分、同期信号の変化点から第2有効区間信号の変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき基準値を求め、基準値と同期信号の変化点から第2有効区間信号の変化点までの時間を各ラインで比較し、第1有効区間信号へのノイズ混入による有効区間のずれの有無を検知する。これにより、第1有効区間信号の変化点に近いタイミングで生じたノイズの除去処理によって、第2有効区間信号で示される有効区間にずれが生じたラインを検知することができる。
【0014】
又、請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記ノイズ処理部は、複数ライン分、前記同期信号の変化点から区間が有効になったことを示す前記第2有効区間信号の第1変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき第1基準値を求め、前記第1基準値と、各ラインの前記同期信号の変化点から前記第1変化点までの時間差である第1時間差が予め定められた許容範囲に収まるか否かにより、前記有効区間の開始の遅れの有無を検知することとした。
【0015】
この構成によれば、ノイズ処理部は、複数ライン分、同期信号の変化点から区間が有効になったことを示す第2有効区間信号の第1変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき第1基準値を求め、第1基準値と、各ラインの同期信号の変化点から第1変化点までの時間差である第1時間差が予め定められた許容範囲に収まるか否かにより、有効区間の開始の遅れの有無を検知する。これにより、第2有効区間信号が有効を示す状態になる時点(有効区間の開始時点)のずれ(遅れ)の発生を検知することができる。
【0016】
又、請求項3に係る発明は、請求項2の発明において、前記ノイズ処理部は、ラインの画像データを記憶するラインメモリーを含み、前記有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データの何れかを画像データとして前記受信部に出力し、前記有効区間の開始の遅れを検知しないラインでは、前記送信部が送信した前記画像データを前記受信部に入力することとした。
【0017】
この構成によれば、ノイズ処理部は、ラインの画像データを記憶するラインメモリーを含み、有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データの何れかを画像データとして受信部に出力し、有効区間の開始の遅れを検知しないラインでは、送信部が送信した画像データを受信部に入力する。これにより、ノイズにより第2有効区間信号で有効区間の開始を示す変化点がずれ、受信部での画像データ取得開始が遅れても、ずれたラインでの画像データの内容を補正することができる。そして、有効区間の開始にずれが生じても、画質への影響を軽減することができる。
【0018】
又、請求項4に係る発明は、請求項2又は3の発明において、前記ノイズ処理部は、前記有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、前記第1時間差分、前記有効区間を長くした前記第2有効区間信号を前記受信部に出力することとした。
【0019】
この構成によれば、ノイズ処理部は、有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、第1時間差分、第1有効区間信号よりも有効区間を長くした第2有効区間信号を受信部に出力する。これにより、第2有効区間信号での有効区間の開始の遅れに伴い、短くなってしまった有効区間を通常の有効区間の長さに戻し、1ライン分のデータの全てを受信部に取得させることができる。
【0020】
又、請求項5に係る発明は、請求項3又は4の発明において、前記有効区間の開始の遅れを検知したラインに対し、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データのうち、何れを画像データとして前記受信部に出力するかの選択を受け付ける入力部を含み、前記ノイズ処理部は、前記入力部への選択入力に応じ、前記有効区間の開始の遅れを検知したラインで、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データを前記画像データとして前記受信部に出力することとした。
【0021】
この構成によれば、ノイズ処理部は、入力部への選択入力に応じ、有効区間の開始の遅れを検知したラインで、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データを画像データとして受信部に出力する。これにより、使用者は、ノイズにより有効区間がずれたラインでの画像データの内容の補正方法を選択することができる。従って、使用者は、任意の補正方法で有効区間がずれたラインでの画像データを補正することができる。
【0022】
又、請求項6に係る発明は、請求項5の発明において、前記入力部は、前記送信部から送信する画像データの種類を定める入力と、前記画像データの種類に応じて、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データのうち、何れを画像データとして前記受信部に出力するかを定める入力を受け付け、前記ノイズ処理部は、前記有効区間の開始の遅れを検知したラインで、前記画像データの種類に応じ、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データを前記画像データとして前記受信部に出力することとした。
【0023】
この構成によれば、ノイズ処理部は、有効区間の開始の遅れを検知したラインで、画像データの種類に応じ、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データを画像データとして受信部に出力する。これにより、例えば、文書の画像データでは、前のラインのデータ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインのデータで補正し、文字の輪郭の乱れによる画質の劣化を低減し、写真等の画像データでは、空白データで画質の劣化を低減するというように、ノイズが発生したラインに対し、画像データの種類に応じて所望の補正を行うことができる。
【0024】
又、請求項7に係る発明は、請求項1乃至6の発明において、前記ノイズ処理部は、複数ライン分、前記同期信号の変化点から区間が無効になったことを示す前記第2有効区間信号の第2変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき第2基準値を求め、前記第2基準値と各ラインの前記同期信号の変化点から前記第2変化点までの時間差である第2時間差が予め定められた許容範囲に収まるか否かにより、前記有効区間の終了の遅れの有無を検知することとした。
【0025】
この構成によれば、ノイズ処理部は、複数ライン分、同期信号の変化点から区間が無効になったことを示す第2有効区間信号の第2変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき第2基準値を求め、第2基準値と各ラインの同期信号の変化点から第2変化点までの時間差である第2時間差が予め定められた許容範囲に収まるか否かにより、有効区間の終了の遅れの有無を検知する。これにより、第2有効区間信号が無効となった時点(有効区間の終了時点)のずれ(遅れ)の発生を検知することができる。
【0026】
又、請求項8に係る発明は、請求項7の発明において、前記ノイズ処理部は、前記有効区間の終了の遅れを検知したラインでは、前記第2基準値よりも後の前記有効区間を無効区間とするように、前記第2有効区間信号の状態を変化させることとした。
【0027】
この構成によれば、ノイズ処理部は、有効区間の終了の遅れを検知したラインでは、有効区間中、第2基準値よりも後の有効区間では、空白データ、前のラインの画像データの何れかを画像データとして受信部に出力する。これにより、ノイズにより有効区間の終了を示す第2有効区間信号の変化点がずれ、受信部での画像データ取得完了が遅れても、ずれたラインでの画像データの内容への影響を軽減することができる。
【0028】
又、請求項9に係る画像形成装置は、請求項1乃至8の何れか1項に記載のデータ伝送装置を含むこととした。
【0029】
この構成によれば、画像データの伝送の同期に用いる信号にノイズ混入による有効区間のずれを検知可能な画像形成装置を提供することができる。又、画質への影響が軽減された画像データに基づき印刷を行うことができるので、印刷物が高画質の画像形成装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0030】
上述したように、本発明によれば、サンプリングによるノイズ除去処理で生じた受信部に対する第2有効区間信号での変化点のずれを検知することができる。そして、有効区間のずれにより画像データを受信部が適切に受信できないという問題に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】複合機の一例を示す模型的正面断面図である。
【図2】複合機の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】画像データ生成と伝送に関するハードウェアの一例を示すブロック図である。
【図4】データ伝送装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図5】データ伝送装置で、ノイズが無いときの各信号の状態変化の一例を示すタイミングチャートである。
【図6】データ伝送装置で、ノイズ混入による有効区間の開始の遅れを説明するためのタイミングチャートである。
【図7】ノイズ混入による有効区間の開始の遅れの検知制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【図8】有効区間の開始の遅れ検知時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図9】有効区間の開始の遅れを検知したときの画像データ伝送の補正の設定を行うための設定画面の一例を示す説明図である。
【図10】データ伝送装置で、ノイズ混入による有効区間の開始の遅れを説明するためのタイミングチャートである。
【図11】ノイズ混入による有効区間の終了の遅れの検知制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図1〜図11を用いて、本発明の実施形態を説明する。本説明では、データ伝送装置100を含む複合機101(画像形成装置に相当)を例に挙げて説明する。但し、本実施形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0033】
(画像形成装置の概略)
まず、図1に基づき、実施形態に係る画像形成装置としての複合機101の概略を説明する。図1は、複合機101の一例を示す模型的正面断面図である。
【0034】
図1に示すように、本実施形態の複合機101は、最上部に原稿カバー101aを有する。又、複合機101本体には、操作パネル1(入力部に相当)、画像読取部2、給紙部3a、搬送路3b、画像形成部4a、定着部4b等が設けられる。
【0035】
まず、図1に破線で示すように、操作パネル1は複合機101の正面上方に設けられる。そして、操作パネル1は、複合機101の状態や各種メッセージを表示する液晶表示部11を備える。液晶表示部11は、機能の選択、設定や文字入力等を行うためのキーを1又は複数表示できる。又、液晶表示部11は、各種のメッセージを表示する。又、液晶表示部11に対し、タッチパネル部12(例えば、抵抗膜方式)が設けられる。タッチパネル部12は、液晶表示部11で押された位置に応じた信号を出力する。又、操作パネル1には、コピー等の各種機能の実行開始を指示するためのスタートキー13等、各種のハードキーも設けられる。
【0036】
原稿カバー101aは、図1の紙面奥行き方向に支点を有し、手前側を振るように上下方向で開閉可能である。原稿カバー101aは、原稿の複写時、載置読取用コンタクトガラス21に載置された原稿を押さえる。
【0037】
画像読取部2は、載置読取用コンタクトガラス21に載置された原稿を読み取り、原稿の画像データを形成する。又、画像読取部2内には露光用のランプ23(図3参照)、イメージセンサー24(例えば、CCD、図3参照)、ミラー(不図示)、レンズ(不図示)等の光学系部材が設けられる。尚、原稿カバー101aに変えて、原稿を1枚ずつ、自動的、連続的に、画像読取部2の読み取り位置(送り読取用コンタクトガラス22)に向けて搬送する原稿搬送装置を設けてもよい。
【0038】
そして、これらの光学系部材を用い、画像読取部2は、載置読取用コンタクトガラス21に載置される原稿に光を照射し、その原稿の反射光を受けたイメージセンサー24の各画素の出力値をA/D変換し、画像データを生成する。複合機101は、読み取りにより得られた画像データに基づき印刷を行うことができる(コピー機能)。又、複合機101は読み取りにより得られた画像データをコンピューター200やFAX装置300等に送信することができる(図2参照、スキャン機能、送信機能)。
【0039】
給紙部3aは、複数の用紙(例えば、コピー用紙、普通紙、再生紙、厚紙、OHPシート等の各種シート)を収容し、1枚ずつ搬送路3bに送り込む。給紙部3aは、収納用紙が載置されるカセット30を含む(図1で上方のものに30a、下方のものに30bの符号を付す)。又、カセット30から搬送路3bに用紙を送り出すため回転駆動する給紙ローラー31、32が設けられる(図1では上方のものが給紙ローラー31、下方のものが給紙ローラー32。)。例えば、印刷時に、何れかの給紙ローラー31、32が回転駆動する。これにより、用紙が1枚ずつ搬送路3bに送り出される。
【0040】
搬送路3bは、給紙部3aから排出トレイ33まで用紙を搬送する通路である。尚、用紙搬送経路上には画像形成部4a、定着部4b等が配される。そして、搬送路3bには、用紙の案内のためのガイド34や、用紙搬送の際に回転駆動する搬送ローラー対35や、搬送されてくる用紙を画像形成部4aの手前で待機させ、トナー像形成のタイミングに合わせて用紙を送り出すレジストローラー対36や、排出トレイ33に用紙を排出する排出ローラー対37等が設けられる。
【0041】
画像形成部4aは、画像データに基づきトナー像を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。そのため、画像形成部4aは、図1中に示す矢印方向に回転駆動可能に支持された感光体ドラム41、及び、感光体ドラム41の周囲に配設された帯電装置42、露光装置43、現像装置44、転写ローラー45、クリーニング装置46等を備える。
【0042】
トナー像形成及び転写プロセスを説明する。まず、感光体ドラム41は、画像形成部4aの略中心に設けられ、所定方向に回転駆動する。帯電装置42は、感光体ドラム41を所定電位に帯電させる。露光装置43は、画像データに基づき、レーザー光を出力し、感光体ドラム41の表面を走査、露光する。これにより、画像データに応じた静電潜像が感光体ドラム41の周面上に形成される。尚、画像データとしては、画像読取部2で得られた画像データや、ネットワーク等により接続される外部のコンピューター200や相手方FAX装置300(図3参照)から送信された画像データ等が用いられる。
【0043】
そして、現像装置44は、感光体ドラム41に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。転写ローラー45は感光体ドラム41に圧接する。そして、レジストローラー対36は、トナー像にあわせタイミングを図り、用紙を感光体ドラム41と転写ローラー45のニップに進入させる。用紙のニップ進入時、所定の電圧が転写ローラー45に印加される。これにより、用紙に感光体ドラム41上のトナー像が転写される。クリーニング装置46は、転写後に感光体ドラム41に残留するトナーを除去する。
【0044】
定着部4bは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。本実施形態の定着部4bは、発熱体を内蔵する加熱ローラー47と加圧ローラー48を含む。加熱ローラー47と加圧ローラー48は圧接しニップを形成する。そして、用紙が、このニップを通過することで、用紙表面のトナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。トナー定着後の用紙は、排出トレイ33に排出される。このようにして、コピー機能、プリンター機能の使用時、画像形成(印刷)が行われる。
【0045】
(画像形成装置のハードウェア構成)
次に、図2に基づき、実施形態に係る複合機101のハードウェア構成の一例を説明する。図2は、複合機101の構成の一例を示すブロック図である。
【0046】
まず、複合機101には、主制御部5が設けられる。主制御部5は複合機101の動作制御を司る。主制御部5は、制御のため、例えば、CPU51を含む。CPU51は、中央演算処理装置であって、記憶部6に格納され、展開されるプログラムやデータに基づき複合機101の各部を制御する。
【0047】
又、複合機101には、画像処理部52が設けられる。画像処理部52は、印刷を行う画像データや、外部のコンピューター200や相手方のFAX装置300に送信する画像データに対し各種画像処理を施す。例えば、画像処理部52は、濃度変換や、拡大縮小や、圧縮伸張や、利用目的にあわせた画像データの形式変換等、複合機101が備える機能に応じて多種多様の画像処理を行える。
【0048】
記憶部6は、例えば、ROM61(Read Only Memory、例えば、フラッシュROM)、RAM62(Random Access Memory)、HDD63(Hard Disk Drive)を含む。このように、記憶部6は不揮発性と揮発性の記憶装置を組み合わせて構成される。
【0049】
記憶部6は、複合機101の制御用等の各種のプログラムやデータ、設定データ、画像データ等の各種データを記憶する。例えば、画像処理部52の処理前や処理後の画像データは、記憶部6のRAM62やHDD63等に格納され、印刷や送信に画像データが利用される。
【0050】
そして、主制御部5は、操作パネル1、画像読取部2等とバスや信号線等で接続され、操作パネル1や画像読取部2の動作を制御する。又、主制御部5は、操作パネル1になされた入力内容を認識する。
【0051】
又、主制御部5は、エンジン制御部40と通信可能に接続される。エンジン制御部40は印刷を行う部分(印刷エンジン部分)の動作を制御する。具体的に、エンジン制御部40は、給紙部3a、搬送路3b、画像形成部4a、定着部4b等の印刷エンジン部分の動作を制御する。又、印刷ジョブを実行するとき、エンジン制御部40は、用紙搬送などのため各種回転体を回転させるモーターや、トナー像を形成する回路、部分等を制御して、印刷を実際に制御する。主制御部5は、エンジン制御部40に対し、印刷を行うべき旨を指示する。エンジン制御部40は、この指示を受けて、印刷エンジン部分の動作を制御し、印刷を行わせる。
【0052】
更に、主制御部5は、各種コネクタ、ソケット、通信制御用のチップ等を備えた通信部53と接続される。通信部53は、ネットワークや公衆回線等により、外部のコンピューター200や相手方のFAX装置300と、複合機101を通信可能に接続する。例えば、画像データを含むデータを外部のコンピューター200や相手方FAX装置300(インターネットFAXでもよい)に送信することができる(スキャナ機能、FAX機能)。又、外部のコンピューター200や相手方FAX装置300からの画像データに基づき印刷を行うこともできる(プリンター機能、FAX機能)。このように、複合機101は、コピー機能、プリンター機能、スキャン機能、FAX機能などの複数の機能を備える。
【0053】
(画像データ生成と伝送に関するハードウェア構成の概要)
次に、図3に基づき、実施形態に係る複合機101での画像データ生成と伝送の一例を説明する。図3は、画像データ生成と伝送に関するハードウェアの一例を示すブロック図である。尚、画像データの流れは、白抜矢印で図示している。
【0054】
まず、原稿を読み取って画像データを生成する画像読取部2には、例えば、読取制御部20が設けられる。読取制御部20は、例えば、スキャナCPU20aや読取制御用のプログラムやデータを記憶するメモリーなどの各種電子部品が実装された基板で構成される。そして、読取制御部20は、主制御部5と通信可能に接続される。操作パネル1でコピー開始やスキャン開始が指示されて原稿の読み取りを行うとき、読取制御部20は、主制御部5からの指示を受け、画像読取部2内の各部を実際に制御する。
【0055】
読取制御部20は、巻取モーター2Mやランプ23やイメージセンサー24等と接続される。読取制御部20は、例えば、ランプ23や各種ミラーを移動させるための巻取モーター2Mの動作や、原稿に光を照射するランプ23の点消灯や、イメージセンサー24等の駆動等を制御する。
【0056】
まず、画像読取部2での原稿の読み取りと画像データ生成では、イメージセンサー24は、ランプ23から照射され原稿等で反射された反射光の強さに応じた電流(電圧)を画素ごとに出力する。尚、本実施形態のイメージセンサー24は、白黒(グレースケール)での読み取りに対応し、各画素の輝度を示す信号を出力可能である。又、イメージセンサー24は、カラー対応のラインセンサーであり、R、G、Bの各信号の出力も可能である。そして、イメージセンサー24の各出力電流(電圧)は、A/D変換部25に入力される。尚、A/D変換部25の前段にイメージセンサー24の各画素の出力値を増幅する増幅器が設けられてもよい。
【0057】
例えば、A/D変換部25は、イメージセンサー24の各画素のアナログの各出力電流(電圧)をディジタルの画像データに変換する。例えば、A/D変換部25は、グレースケールでは1画素当たり8ビット〜10ビットに量子化する。又、A/D変換部25は、R、G、Bをそれぞれ1画素当たり8ビット〜10ビットに量子化する(例えば、Red、Green、Blueで各8ビット、それぞれ0〜255の値を取り、256階調)。このように、カラー又はグレースケールの画像データが生成され、伝送の対象となる。
【0058】
補正部26は、γ補正やシェーディング補正等、画像読取部2の読取特性に対する補正用の演算回路等で構成される。一般に、イメージセンサー24において、ライン状に配された各画素に相当する各受光素子のばらつき(個体特性差)や、ランプ23の位置による発光量のムラやレンズの特性等で、主走査方向において同一濃度のものを読み取っても、画素の位置により、イメージセンサー24の各受光素子が出力する電流(電圧)の値に差が生ずる。そこで、補正部26は、A/D変換部25から出力された画像データの補正を行う。尚、補正部26を設けず、後述の画像処理部52で補正処理を行うようにしても良い。
【0059】
そして、画像データは、画像読取部2の送信部7から画像処理部52の受信部9に向けて出力される。画像処理部52は、受信部9で受信した画像データに対して画像処理を行う。例えば、画像処理部52は、印刷や送信のため、濃度変換処理や、拡大・縮小処理や、回転処理や、圧縮・伸張処理や、データ形式変換処理など、各種の画像処理を行う。この画像処理のため、画像処理部52には、1又は複数の画像処理回路52c(例えば、ASIC)が設けられる。尚、図3では、便宜上、画像処理回路52cは1つのみ図示している。又、画像処理部52が行う画像処理は、多種多様であるので、公知の画像処理を行えるものとして詳細な説明は割愛する。
【0060】
又、送信部7と受信部9の間に、ノイズ処理部8が設けられる。これらの送信部7と受信部9とノイズ処理部8により、データ伝送装置100が構成される。このように、複合機101は、データ伝送装置100を含む。
【0061】
尚、本説明では、受信部9は画像処理部52に設けられる例を説明するが、受信部9は記憶部6に設けてもよい。この場合、データ伝送装置100は、画像読取部2から記憶部6への画像データの伝送を扱うものとなり、画像読取部2の原稿読み取りで得られた画像データは、記憶部6に一旦蓄積され、画像処理部52に供される。そのため、記憶部6に送信部7を設け、画像処理部52に受信部9を別途設け、データ伝送装置100は、記憶部6から画像処理部52への画像データの伝送を扱うものとしても良い。そして、以下の説明は、送信部7を画像読取部2以外に設ける場合や、受信部9を画像処理部52以外に設ける場合にも同様に適用できる。
【0062】
(データ伝送装置100のハードウェア構成)
次に、図4に基づき、実施形態に係るデータ伝送装置100のハードウェア構成の一例を説明する。図4は、データ伝送装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0063】
まず、送信部7から説明する。データ伝送装置100では、送信部7内に送信用の回路として、第1タイミングコントローラー70や第1画像データメモリー71等を有する。
【0064】
第1タイミングコントローラー70は、例えば、コピーやスキャンの際、スキャナCPU20aの指示を受け、画像データの伝送における同期用の信号を生成する。例えば、第1タイミングコントローラー70は、第1垂直同期信号VSYNC1や第1水平同期信号HSYNC1や第1有効区間信号S1を生成する。
【0065】
第1垂直同期信号VSYNC1は、1ページの画像データの送信開始前の時点で状態が変化し(例えば、立ち上がる)、送信終了後の時点で状態が変化する(例えば、立ち下がる)信号である。尚、立ち上がり、立ち下がりは逆でもよい。言い換えると、第1垂直同期信号VSYNC1は、1ページの画像データの区切りを示す信号である。
【0066】
第1画像データメモリー71は、イメージセンサー24で生成され、A/D変換部25や補正部26でディジタル化された画像データの入力を受け、蓄える。例えば、第1タイミングコントローラー70は、画像データの第1画像データメモリー71への蓄積が開始されたり、蓄積が完了したりすると、第1垂直同期信号VSYNC1を変化させる。そして、第1タイミングコントローラー70は、第1画像データメモリー71に1ページの画像データの先頭ラインからの画像データの送信を開始させる。
【0067】
第1水平同期信号HSYNC1は、1ページの画像データ内の1ラインの区切りを示す信号である。第1水平同期信号HSYNC1は、ラインの画像データを送信開始前の時点で状態が変化し(例えば、立ち下がる)、1ライン分の画像データの送信が終了した後、状態が変化する(例えば、立ち上がる)信号である。尚、立ち上がり、立ち下がりは逆でもよい。言い換えると、第1水平同期信号HSYNC1は、1ライン分の画像データを送信すべき期間を示す信号である。
【0068】
例えば、第1画像データメモリー71で1ライン分の画像データの蓄積、送信準備が完了すると、第1タイミングコントローラー70は、第1水平同期信号HSYNC1によりラインを切り替えた後、第1画像データメモリー71から1ラインの先頭画素からの送信を行わせる。これにより、送信部7から受信部9に向けての1ライン分のデータの送信が行われる。
【0069】
尚、画像データは、複数の画素が一列に並べられたラインを複数組み合わせて構成される。600dpiでA4サイズに対応する画像データを例に挙げると、画像データの短辺(A4の場合、約21cm)では、約5000本のラインが並ぶ。そのため、例えば、第1水平同期信号HSYNC1は、第1垂直同期信号VSYNC1が立ち上がってから立ち下がるまで、数千回、立ち上がりと立ち下がりを繰り返す。
【0070】
第1有効区間信号S1は、画像データの送信が有効な状態であるか否か(データが有効か無効か)を示す信号である。第1タイミングコントローラー70は、第1画像データメモリー71から1ライン分の画像データの送信開始に伴い、第1有効区間信号S1の状態を変化させ(例えば、立ち上げる)、送信終了とともに状態を変化させる(例えば、立ち下げる)。尚、立ち上がり、立ち下がりは逆でもよい。そして、第1有効区間信号S1の状態は、第1水平同期信号HSYNC1が立ち下がっている状態で変化する。
【0071】
送信部7が送信した第1垂直同期信号VSYNC1、第1水平同期信号HSYNC1、第1有効区間信号S1、画像データは、ノイズ処理部8に入力される。
【0072】
ノイズ処理部8は、例えば、チップ化されたASICである。そして、ノイズ処理部8は、入力された第1垂直同期信号VSYNC1、第1水平同期信号HSYNC1、第1有効区間信号S1からノイズを除去するノイズ除去部80を有する。
【0073】
ノイズ除去部80は、例えば、ノイズ除去処理制御を行うノイズ除去制御部82、ノイズ除去処理のため、各信号の状態をサンプリングするサンプリング部83、ノイズが発生したか否かを検知するための基準値を保持する基準値保持部84、時間を計る計時部85等を含む。
【0074】
各信号(第1垂直同期信号VSYNC1、第1水平同期信号HSYNC1、第1有効区間信号S1)の状態変化があったとき、ノイズ除去部80のサンプリング部83は、予め定められた回数(例えば、数回〜十数回)、状態変化のあった信号の状態をサンプリングする。そして、ノイズ除去部80は、サンプリングにより得られたサンプリング値が、全て状態変化後の値で一致すれば、ノイズではなく、本当に状態変化があったとして、サンプリングした各信号の論理を今までと反転させた信号を信号出力部86から受信部9に向けて出力する。一方、ノイズ除去部80は、サンプリングにより得られたサンプリング値が、全て、状態変化後の値で一致しなければ、ノイズが混入したとして、サンプリングした信号の論理を反転させないように整形した波形の信号を信号出力部86から受信部9に向けて出力する。
【0075】
ノイズ処理部8は、上記のノイズ除去処理を、第1垂直同期信号VSYNC1、第1水平同期信号HSYNC1、第1有効区間信号S1のそれぞれに対して行う。そして、ノイズ処理部8は、第1垂直同期信号VSYNC1、第1水平同期信号HSYNC1、第1有効区間信号S1のそれぞれの信号波形をノイズ除去のために整形した信号である第2垂直同期信号VSYNC2、第2水平同期信号HSYNC2、第2有効区間信号S2を信号出力部86から出力する。
【0076】
尚、ノイズ処理部8には、送信部7が出力した画像データを複数ライン分蓄えるラインメモリー81を設けることができる。ラインメモリー81は、受信部9の第2画像データメモリー91に向けて画像データを出力する。
【0077】
受信部9には、第2垂直同期信号VSYNC2、第2水平同期信号HSYNC2、第2有効区間信号S2に基づき、画像データの伝送での同期をとり、画像データの取得、受信を制御する第2タイミングコントローラー90が設けられる。第2タイミングコントローラー90は、第2垂直同期信号VSYNC2に基づき、1ページの画像データの送信開始と終了を認識する。又、第2タイミングコントローラー90は、第2水平同期信号HSYNC2に基づき、ラインの切り替わりを認識する。又、第2タイミングコントローラー90は、第2有効区間信号S2に基づき、画像データの送信が有効である区間と無効である区間を認識する。そして、第2タイミングコントローラー90は、有効区間のとき、第2画像データメモリー91に画像データを取得させる。言い換えると、受信部9(第2タイミングコントローラー90)は、有効区間のとき第2画像データメモリー91で取得されたデータを、有効な画像データと扱う。
【0078】
(データ伝送装置100の画像データ伝送)
次に、図5に基づき、実施形態に係るデータ伝送装置100での同期信号の状態変化と画像データ伝送の一例を説明する。図5は、データ伝送装置100で、ノイズが無いときの各信号の状態変化の一例を示すタイミングチャートである。
【0079】
まず、ノイズがないとき(通常時)のデータ伝送装置100での各種同期信号の状態変化と画像データの伝送を説明する。
【0080】
送信部7(の第1タイミングコントローラー70)は、1ページの画像データの送信の開始を知らせ、1ページ分の画像データの送受信での同期をとるため、第1垂直同期信号VSYNC1を立ち上げる(t1の時点)。尚、図5のタイミングチャートには示していないが、1ページ分の画像データの送信が完了すると、第1垂直同期信号VSYNC1は立ち下がる。
【0081】
ノイズ処理部8は、第1垂直同期信号VSYNC1の状態変化を認識し、予め定められた回数、第1垂直同期信号VSYNC1の状態をサンプリングする。そして、ノイズ除去部80は、サンプリングにより得られたサンプリング値が、全て状態変化後の値で一致すると、本当に状態変化が合ったとして、いままでの状態と論理を反転させた第2垂直同期信号VSYNC2を受信部9に向けて出力する(t2の時点)。尚、図5に示すように、ノイズ処理部8によるサンプリングに一定の時間を有するので、第1垂直同期信号VSYNC1の状態変化が第2垂直同期信号VSYNC2の状態変化に反映されるまで、予め定められた一定時間Δ1分のずれが生ずる。
【0082】
又、送信部7(の第1タイミングコントローラー70)は、画像データの伝送中、ラインの切り替わりを知らせ、1ライン分の画像データの送受信での同期をとるため、第1水平同期信号HSYNC1を立ち下げる(t3、t5の時点)。
【0083】
ノイズ処理部8は、第1水平同期信号HSYNC1の状態変化を認識し、予め定められた回数、第1水平同期信号HSYNC1の状態をサンプリングする。そして、ノイズ除去部80は、サンプリングにより得られたサンプリング値が、全て状態変化後の値で一致すると、本当に状態変化が合ったとして、いままでの状態と論理を反転させた第2水平同期信号HSYNC2を受信部9に向けて出力する(t4、t6の時点)。尚、図5に示すように、ノイズ処理部8によるサンプリングに一定の時間を有するので、第1水平同期信号HSYNC1の状態変化が第2水平同期信号HSYNC2の状態変化に反映されるまで、予め定められた一定時間Δ1分のずれは生ずる。
【0084】
又、送信部7(の第1タイミングコントローラー70)は、画像データの送信が有効な状態であることを知らせ、画像データの実際の送受信での同期をとるため、第1有効区間信号S1を立ち上げる(t7の時点)。又、1ライン分の画像データの送信後、送信部7(の第1タイミングコントローラー70)は、1ライン分の画像データの送信が完了し、無効な状態であることを知らせるため、第1有効区間信号S1を立ち下げる(t8の時点)。このように、本実施形態の説明では、High状態である区間が有効区間であり、Lowである区間が無効区間である。
【0085】
ノイズ処理部8は、第1有効区間信号S1の状態変化を認識し、予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングする。そして、ノイズ除去部80は、サンプリングにより得られたサンプリング値が、全て状態変化後の値で一致すると、本当に状態変化が合ったとして、いままでの状態と論理を反転させた第2有効区間信号S2を受信部9に向けて出力する(t9、t10の時点)。尚、図5に示すように、ノイズ処理部8によるサンプリングに一定の時間を有するので、第1有効区間信号S1の状態変化が第2有効区間信号S2の状態変化に反映されるまで、予め定められた一定時間Δ1分のずれが生ずる。
【0086】
尚、上述のように、ノイズ処理部8の処理により、第1有効区間信号S1が有効を示す状態となってから(立ち上がってから)、第2有効区間信号S2が有効を示す状態となるまで(立ち上がるまで)、一定時間Δ1を要する。そのため、第1タイミングコントローラー701が、有効を示す状態に第1有効区間信号S1を変化させ、送信部7の第1画像データメモリー71から画像データの送信開始させるのと同時に(t11の時点)、受信部9の第2タイミングコントローラー90は、画像データの送信が有効であることを認識できない。
【0087】
そこで、本実施形態では、例えば、ノイズ処理部8のラインメモリー81は、一定時間Δ1分の時間遅延させた画像データを受信部9の第2画像データメモリー91に向けて出力する。これにより、1ラインの画像データの先頭の画素から、漏れなく画像データが受信部9に受信される(図5において遅延させた画像データを「画像データD1’」として図示。以下、同様。)。あるいは、ノイズ処理部8のラインメモリー81に遅延させず、送信部7の第1画像データメモリー71が、一定時間Δ1分のダミーのデータを1ラインの画像データの先頭に付加した画像データを送信してもよい。
【0088】
(ノイズ混入による有効区間の開始の遅れ検知)
次に、図5〜図7に基づき、ノイズ混入による有効区間の開始の遅れが生じたときの画像データ伝送の一例を説明する。図6は、データ伝送装置100で、ノイズ混入による有効区間の開始の遅れを説明するためのタイミングチャートである。図7は、ノイズ混入による有効区間の開始の遅れの検知制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【0089】
まず、図6を用いて、ノイズ混入による有効区間の開始の遅れを説明する。図6に示すように、第1有効区間信号S1が立ち上がる前に(有効区間を示す状態となる前に)、第1有効区間信号S1にノイズが混入したとき(図6のt12の時点)、ノイズ処理部8は、第1有効区間信号S1の状態変化があったため、一定時間Δ1をかけて予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングする。このとき、サンプリングにより得られたサンプリング値の全ては、状態変化後の値で一致しないので、ノイズ処理部8は、ノイズと判断し、第2有効区間信号S2の状態を変化させずに保つことになる。
【0090】
ここで、ノイズ処理部8が、一定時間Δ1をかけて、予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングし、ノイズか否かを検知している間に、第1有効区間信号S1が本当に切り替わる(立ち上がる)ときがある(図6のt13の時点)。この場合、ノイズ処理部8は、ノイズと判断した後に、再び、一定時間Δ1をかけて予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングしてから、有効を示す状態に第2有効区間信号S2の状態を切り替える(図6のt14の時点)。
【0091】
このように、第1有効区間信号S1が立ち上がる前に(有効区間を示す状態となる前に)、第1有効区間信号S1にノイズが混入すると、第1有効区間信号S1に対する第2有効区間信号S2の変化が、ノイズがないときの予め想定される一定時間Δ1分(t13〜t15の区間)よりも更に遅れる場合がある(図6において、t13〜t14の区間。一定時間Δ1+αと図示)。
【0092】
ノイズ混入により、通常の第2有効区間信号S2の変化点(図6のt15の時点)よりも遅れて有効区間信号が立ち上がると、有効区間が通常(本来)よりも短くなる。そのため、1ラインの画像データのうち、ノイズで有効区間の開始の遅れ分(ずれ分、図6において、t15〜t14の区間。αの区間)だけ先頭部分の画素のデータが失われる。そうすると、画像データの画質の低下を招く。そこで、ノイズのため、通常の有効区間よりも有効区間の開始が遅れたとき、画質低下を防ぐための処理を行う必要がある。そのためには、ノイズのため、通常の有効区間よりも有効区間の開始が遅れたことを検知する必要がある。そこで、まず、図7を用いて、ノイズ混入による有効区間の開始の遅れの検知を説明する。
【0093】
まず、図7のスタートは、原稿の読み取りが開始され、画像読取部2で1ページ分の画像データの生成が開始された時点である。この後、送信部7から受信部9に向けて、順次、画像データが送信される。尚、本フローチャートは、1ページの画像データの伝送ごとに、スタート→エンドが繰り返される。
【0094】
そして、ノイズ処理部8は、第2水平同期信号HSYNC2の変化点(立ち下がりエッジ)から第2有効区間信号S2の変化点(立ち上がりエッジ、有効を示す状態への変化)までの時間(図5において、時間T1)を複数ライン分、測定する(ステップ♯1)。そして、ノイズ処理部8は、測定した時間に基づき、第1基準値を定める(ステップ♯2)。例えば、ノイズ除去部80は、5〜20ライン分の変化点から変化点までの時間を計時する(画像データの全ライン数よりも少ない)。
【0095】
具体的に、ノイズ除去部80の計時部85は、第2水平同期信号HSYNC2の変化点から第2有効区間信号S2の変化点までの時間を複数ライン分、計時する。そして、ノイズ除去制御部82は、計時された時間に基づき第1基準値を定め、基準値保持部84に保持させる。例えば、ノイズ除去制御部82は、計時された各時間の平均をとり第1基準値を定めても良いし(平均値)、最も多い時間を第1基準値と定めても良い(多数決)。尚、第1水平同期信号HSYNC1の変化点(立ち下がりエッジ)から第2有効区間信号S2の変化点(立ち上がりエッジ、有効を示す状態への変化)までの時間を複数ライン分取得し、同様に基準値を定めても良い(図5に「時間T1’」と図示)
【0096】
そして、ノイズ処理部8は、現在のラインについて、第2水平同期信号HSYNC2の変化点(立ち下がりエッジ)から第2有効区間信号S2の変化点(立ち上がりエッジ)までの時間と、第1基準値とを比較する(ステップ♯3)。
【0097】
そして、ノイズ処理部8は、現在のラインで、ノイズにより通常よりも有効区間がずれているか(ノイズ混入による有効区間の開始の遅れが生じているか)を判断し、ノイズによる有効区間の開始の遅れの有無を検知する(ステップ♯4)。尚、有効区間の開始の遅れが生じているときの処理の詳細は後述する。
【0098】
具体的に、ノイズ除去制御部82は、第1基準値と第2水平同期信号HSYNC2の変化点から第2有効区間信号S2の変化点までの時間の時間差である第1時間差を求める。そして、ノイズ除去制御部82は、予め定められた許容範囲に第1時間差が収まるか否かにより、ノイズによる有効区間の開始の遅れの有無を判断する。ノイズ除去制御部82は、許容範囲を越えれば、有効区間の開始の遅れが有ると判断し、許容範囲に収まるのであれば、有効区間の開始の遅れは無いと判断する。許容範囲は、第1時間差の誤差を許容する範囲であり、予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングするために要する一定時間Δ1よりも短い時間である。
【0099】
そして、ノイズ処理部8は、第2垂直同期信号VSYNC2を確認して、全てのラインの伝送が終了したかを確認する(ステップ♯5)。もし、全てのラインの伝送が終了すれば(ステップ♯5のYes)、本フローは終了する(エンド)。一方、全てのラインの伝送が完了していなければ(ステップ♯5のNo)、第1水平同期信号HSYNC1、第2水平同期信号HSYNC2等の状態変化により、次のラインの画像データの伝送が開始される(ステップ♯6)。その後、ステップ♯3に戻る。
【0100】
(有効区間の開始の遅れ検知時の処理)
次に、図8、図9に基づき、ノイズ混入による有効区間の開始の遅れが検知されたときの処理の一例を説明する。図8は、有効区間の開始の遅れ検知時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。図9は、有効区間の開始の遅れを検知したときの画像データ伝送の補正の設定を行うための設定画面11aの一例を示す説明図である。
【0101】
まず、本実施形態のノイズ処理部8は、第2有効区間信号S2での有効区間の開始がノイズの混入により通常よりも遅れていることを検知したラインでは、画質の劣化を減らすための処理(補正処理)を行う。そして、図8のスタートは、有効区間の開始の遅れを検知した時点である。尚、図8のフローチャートは、ノイズにより有効区間の開始の遅れが検知されるごとに実行される。
【0102】
具体的に、ノイズ処理部8は、ラインの画像データを記憶するラインメモリー81を用いて、有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データの何れかを画像データとして受信部9に出力する。このように、有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、ノイズ処理部8は、補正した1ライン分の画像データを送信する(ステップ♯22、詳細は後述)。尚、ノイズ処理部8は、有効区間の開始の遅れを検知しないラインでは、通常通り、送信部7が送信した画像データを受信部9に入力する。
【0103】
まず、本実施形態のノイズ処理部8は、空白データ(真っ白なデータ)を受信部9に出力できる。このとき、ノイズ処理部8は、ラインメモリー81に、ラインの各画素について、白を示すデータを受信部9に向けて送信させる。
【0104】
例えば、文字原稿(文書)を読み取って得られた原稿では、もともと地肌部分(下地部分)の面積が広いので、1本のラインを真っ白なラインに差し替えてもそれほど目立たない場合がある。そのため、有効区間の開始の遅れにより一部が失われたラインのデータを用いて印刷などを行うよりも、真っ白なラインに差し替えた方が、画質の劣化、乱れを抑えることができる場合がある。
【0105】
又、本実施形態のノイズ処理部8は、前のラインの画像データを受信部9に出力できる。ノイズ処理部8のラインメモリー81は、前のラインの画像データを記憶しておく。そして、有効区間の開始の遅れを検知では、ノイズ処理部8は、ラインメモリー81に、前のラインの画像データを受信部9に出力(送信)させる。このとき、第2有効区間信号S2の有効への状態を変化に合わせて、前のラインの画像データを順次送信する。
【0106】
例えば、文字原稿(文書)を読み取って得られた画像データに基づき印刷を行うとき、有効区間の開始の遅れにより一部が失われたラインのデータを用いて印刷などを行うよりも、前のラインの画像データに差し替えた方が、画質の劣化、乱れを抑えることができる場合がある。
【0107】
又、写真原稿を読み取って得られた画像データに基づき印刷等を行うとき、一部が失われたラインのデータを用いると不自然な色や画像が現れかねない。一方、写真原稿を読み取って得られた画像データでは、前のラインの画像データに差し替えても、差し替えに気づき憎い場合がある。
【0108】
又、本実施形態のノイズ処理部8は、第1時間差を認識できるので、第1時間差分ずらした(遅らせた)現在のラインの画像データを受信部9に出力してもよい。
【0109】
そして、いずれの態様で有効区間の開始の遅れを検知したラインの画像データの補正を行うかは、図9に示すように、操作パネル1で予め設定しておくことができる。
【0110】
図9は、操作パネル1の液晶表示部11に表示される設定画面11aの一例を示している。使用者は、操作パネル1に対して入力を行うことにより、有効区間の開始の遅れを検知したラインの画像データの補正に関する設定画面11aを表示させることができる。
【0111】
この設定画面11aでは、読み取る原稿の種類(画像読取部2の送信部7から送信される画像データの種類)に応じて、いずれの方法で有効区間の開始の遅れを検知したラインの画像データの補正を行うかを設定することができる。
【0112】
ここで、使用者は、操作パネル1に設けられる液晶表示部11とタッチパネル部12を用いて、コピーやスキャンを行うとき、「文字原稿」、「写真原稿」、「文字+写真」というように原稿の画質を設定することができる。尚、操作パネル1に「文字原稿」、「写真原稿」、「文字+写真」というように原稿の画質を設定するためのハードキーが設けられても良い。
【0113】
原稿の画質を設定によって、例えば、画像処理部52が行う画像処理の内容が変化する。例えば、文字原稿が選択された場合、鮮明にし、くっきりとした文字とするため、画像処理部52は、エッジ強調処理(微分フィルター処理)を画像データに施す。又、写真原稿が選択された場合、滑らかな色変化を再現するため、画像処理部52は、平滑化処理(積分フィルター処理)を画像データに施す。又、「文字+写真」が選択された場合、画像処理部52は、画像データを文字領域と写真領域に分割し、それぞれの領域に、微分フィルター処理や積分フィルター処理を行う。
【0114】
そして、設定画面11aには、文字+写真キーK1、文字キーK2、写真キーK3が設けられる。使用者は、設定したい原稿の種類を示すキーを押す。何れかのキーが押されると、液晶表示部11は、有効区間の開始の遅れを検知したラインの画像データの送信方法(補正の内容)を選択して設定する設定選択領域が表示される。設定選択領域には、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データの何れかを画像データとして受信部9に出力するかを選択するためのラジオボタンR1〜R3が設けられる。使用者は、何れかのラジオボタンを押して選択を行う。又、設定選択領域は、文字+写真キーK1、文字キーK2、写真キーK3が押されるごとに表示され、原稿の画質の種類に応じて、有効区間の開始の遅れを検知したラインの画像データをどのように補正するかを選択することができる。
【0115】
そして、設定画面11aでのOKキーK4が押されると、設定内容が記憶部6に記憶される。そして、ノイズ処理部8は、原稿の読み取りに際し、操作パネル1に入力された原稿の画質の設定と記憶部6に記憶された設定内容に基づき有効区間の開始の遅れを検知したラインの画像データをどのように補正するかを確認する(ステップ♯21)。そして、有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、ノイズ処理部8は確認した補正を施したラインの画像データを受信部9に出力する(ステップ♯22)。
【0116】
そして、第2有効区間信号S2での有効区間の開始の遅れがあると、本来の有効区間よりも有効区間は短くなる。そこで、ノイズ処理部8は、有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、第1時間差分、有効区間を長くした第2有効区間信号S2を受信部9に出力する(ステップ♯23→エンド)。これにより、1ライン分の画素が足りないということは生じない。
【0117】
(ノイズ混入による有効区間の終了の遅れ検知)
次に、図5、図10、図11に基づき、実施形態に係るデータ伝送装置100で、ノイズ混入による有効区間の終了の遅れが生じたときの画像データ伝送の一例を説明する。図10は、データ伝送装置100で、ノイズ混入による有効区間の終了の遅れを説明するためのタイミングチャートである。図11は、ノイズ混入による有効区間の終了の遅れの検知制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【0118】
まず、図10を用いて、ノイズ混入による有効区間の終了の遅れを説明する。図10に示すように、第1有効区間信号S1が立ち下がる前(有効区間の完了の前、無効区間を示す状態となる前)に、第1有効区間信号S1にノイズが混入したとき(図10のt21の時点)、ノイズ処理部8は、第1有効区間信号S1の状態変化があったため、一定時間Δ1をかけて、予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングする。このとき、サンプリングにより得られたサンプリング値の全ては、状態変化後の値(Low)で一致しない。そのため、ノイズ処理部8は、ノイズと判断し、第2有効区間信号S2の状態を変化させずに保つことになる(Highで保つ)。
【0119】
ここで、ノイズ処理部8が、一定時間Δ1をかけて、予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングし、ノイズか否かを検知している間に、第1有効区間信号S1が本当に切り替わる(立ち下がる)ときがある(図10のt22の時点)。この場合、ノイズ処理部8は、ノイズと判断した後に、再び、一定時間Δ1をかけて予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングしてから、無効を示す状態(Low状態)に、第2有効区間信号S2の状態を切り替える(図10のt23の時点)。このように、第1有効区間信号S1が立ち下がる前に(無効区間を示す状態となる前に)、第1有効区間信号S1にノイズが混入すると、第1有効区間信号S1に対する第2有効区間信号S2の変化が、ノイズがないときの予め想定される一定時間Δ1分(t22〜t24の区間)よりも更に遅れる場合がある(図10において、t22〜t23の区間。一定時間Δ1+αと図示)。
【0120】
ノイズ混入により、通常の第2有効区間信号S2の変化点t24よりも更に遅れて有効区間信号が立ち下がると、通常よりも有効区間が長くなる。そのため、1ラインの画像データのうち、ノイズのため、通常よりも有効区間の終了が遅れた分(ずれ分、図10において、t24〜t23の区間。αの区間)だけ、画像データの末尾部分に余分な画素のデータが付加される。
【0121】
そうすると、1ラインあたりの画像データの画素数が変化し、伝送処理や画像処理で異常を招く可能性がある。そして、ノイズのため、通常の有効区間よりも有効区間の終了が遅れたとき、余分な画素に対する処理を行う必要がある。そのためには、ノイズにより、通常の有効区間よりも有効区間の終了が遅れたことを検知する必要がある。そこで、まず、図11を用いて、ノイズ混入による有効区間の開始の遅れの検知を説明する。
【0122】
まず、図11のスタートは、原稿の読み取りが開始され、画像読取部2で1ページ分の画像データの生成が開始された時点である。この後、送信部7から受信部9に向けて、順次、画像データが送信される。尚、本フローチャートは、1ページの画像データの伝送ごとに、スタート→エンドが繰り返される。
【0123】
そして、ノイズ処理部8は、第2水平同期信号HSYNC2の変化点(立ち下がりエッジ)から第2有効区間信号S2の変化点(立ち下がりエッジ、無効を示す状態への変化点)までの時間(図5において、時間T2)を複数ライン分、測定する(ステップ♯31)。そして、ノイズ処理部8は、測定した時間に基づき、第2基準値を定める(ステップ♯32)。例えば、ノイズ除去部80は、5〜20ライン分の変化点から変化点までの時間を計時する(画像データの全ライン数よりも少ない)。
【0124】
具体的に、ノイズ除去部80の計時部85は、第2水平同期信号HSYNC2の変化点(立ち下がり)から第2有効区間信号S2の変化点(立ち下がり、無効を示す状態への変化)までの時間を複数ライン分、計時する。そして、ノイズ除去制御部82は、計時された時間に基づき第2基準値を定め、基準値保持部84に保持させる。例えば、ノイズ除去制御部82は、計時された各時間の平均をとり第2基準値を定めても良いし(平均値)、最も多い時間を第2基準値と定めても良い(多数決)。尚、第1水平同期信号HSYNC1の変化点(立ち下がりエッジ)から第2有効区間信号S2の変化点(立ち下がりエッジ)までの時間を複数ライン分取得し、同様に基準値を定めても良い(図5に「時間T2’」と図示)
【0125】
そして、ノイズ処理部8は、現在のラインで、第2水平同期信号HSYNC2の変化点(立ち下がりエッジ)から第2有効区間信号S2の変化点(立ち下がりエッジ)までの時間と、第2基準値とを比較する(ステップ♯33)。
【0126】
そして、ノイズ処理部8は、現在のラインで、ノイズにより通常よりも有効区間がずれているか(ノイズ混入により、通常よりも第2有効区間信号S2の変化が遅れているか)を判断し、ノイズによる有効区間の終了の遅れの有無を検知する(ステップ♯34)。尚、有効区間の終了の遅れが生じているときの処理の詳細は後述する。
【0127】
具体的に、ノイズ除去制御部82は、第2基準値と第2水平同期信号HSYNC2の変化点から第2有効区間信号S2の変化点(立ち下がり、無効を示す状態への変化点)までの時間の時間差である第2時間差を求める。そして、ノイズ除去制御部82は、予め定められた許容範囲に第2時間差が収まるか否かにより、ノイズによる有効区間の開始の遅れの有無を判断する。ノイズ除去制御部82は、許容範囲を越えれば、有効区間の終了の遅れが有ると判断し、許容範囲に収まるのであれば、有効区間の終了の遅れは無いと判断する。許容範囲は、第2時間差の誤差を許容する範囲であり、予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングするために要する一定時間Δ1よりも短い時間である。
【0128】
そして、ノイズ処理部8は、第2垂直同期信号VSYNC2を確認して、全てのラインの伝送が終了したかを確認する(ステップ♯35)。もし、全てのラインの伝送が終了すれば(ステップ♯35のYes)、本フローは終了する(エンド)。一方、全てのラインの伝送が完了していなければ(ステップ♯35のNo)、第1水平同期信号HSYNC1、HSYNC2の状態変化により、次のラインの画像データの伝送が開始される(ステップ♯36)。その後、ステップ♯33に戻る。
【0129】
(有効区間の開始の遅れ検知時の処理)
次に、図10を用いて、ノイズ混入による有効区間の終了の遅れが検知されたときの処理の一例を説明する。
【0130】
図10に示すように、ノイズ混入により、通常の第2有効区間信号S2の変化点t24よりも更に遅れて有効区間信号が立ち下がると、通常よりも有効区間が長くなる。そのため、1ラインの画像データのうち、ノイズのため、通常よりも有効区間の終了が遅れた分(図10において、t24〜t23の区間で網掛けで示すαの区間)だけ、画像データの末尾部分に余分な画素のデータが付加される。
【0131】
そこで、ノイズ処理部8は、有効区間の終了の遅れを検知したラインでは、第2基準値よりも後の有効区間を無効区間とするように、第2有効区間信号S2の状態を変化させる。言い換えると、本来の有効区間信号の終了する時点である変化点t24で第2有効区間信号S2を立ち下げる。これにより、有効区間の終了の遅れが検知されたラインで、ラインの画像データに余分な画素のデータの付加を防ぐことができる。
【0132】
あるいは、ノイズ処理部8は、有効区間の終了の遅れを検知したラインでは、受信部9に第2基準値よりも後の有効区間で受信したデータを破棄する指示を与え、受信部9が、第2基準値よりも後の有効区間で受信したデータを無効と扱うようにしてもよい。
【0133】
このようにして、本実施形態のデータ伝送装置100は、画像データと、画像データが有効か無効かを示す第1有効区間信号S1と、予め定められた1ライン分の周期で状態が変化し、ラインの切り替わりを示す同期信号(例えば、第1水平同期信号HSYNC1)を送信する送信部7と、画像データと第1有効区間信号S1と同期信号の入力を受け、画像データと同期信号(例えば、第2水平同期信号HSYNC2)を出力するとともに、第1有効区間信号S1の状態が変化したとき、予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングし、連続して同じ状態が所定回数続くと続いた状態に論理を切り替えて、第1有効区間信号S1からノイズを除去した第2有効区間信号S2を生成し、出力するノイズ処理部8と、ノイズ処理部8が出力した画像データと同期信号(例えば、第2水平同期信号HSYNC2)と第2有効区間信号S2が入力され、第2有効区間信号S2に基づき、画像データが有効な区間であるか否かを認識し、有効区間の画像データを取得する受信部9と、を含み、ノイズ処理部8は、複数ライン分、同期信号の変化点から第2有効区間信号S2の変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき基準値を求め、基準値と同期信号の変化点から第2有効区間信号S2の変化点までの時間を各ラインで比較し、第1有効区間信号S1へのノイズ混入による有効区間のずれの有無を検知する。
【0134】
これにより、第1有効区間信号S1の変化点に近いタイミングで生じたノイズの除去処理によって、第2有効区間信号S2で示される有効区間にずれが生じたラインを検知することができる。
【0135】
又、ノイズ処理部8は、複数ライン分、同期信号(例えば、第2水平同期信号HSYNC2)の変化点から区間が有効になったことを示す第2有効区間信号S2の第1変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき第1基準値を求め、第1基準値と、各ラインの同期信号の変化点から第1変化点までの時間差である第1時間差が予め定められた許容範囲に収まるか否かにより、有効区間の開始の遅れの有無を検知する。これにより、第2有効区間信号S2が有効を示す状態になる時点(有効区間の開始時点)のずれ(遅れ)の発生を検知することができる。
【0136】
又、ノイズ処理部8は、ラインの画像データを記憶するラインメモリー81を含み、有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データの何れかを画像データとして受信部9に出力し、有効区間の開始の遅れを検知しないラインでは、送信部7が送信した画像データを受信部9に入力する。これにより、ノイズにより第2有効区間信号S2で有効区間の開始を示す変化点がずれ、受信部9での画像データ取得開始が遅れても、ずれたラインでの画像データの内容を補正することができる。そして、有効区間の開始にずれが生じても、画質への影響を軽減することができる。
【0137】
又、ノイズ処理部8は、有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、第1時間差分、有効区間を長くした第2有効区間信号S2を受信部9に出力する。これにより、第2有効区間信号S2での有効区間の開始の遅れに伴い、短くなってしまった有効区間を通常の有効区間の長さに戻し、1ライン分のデータの全てを受信部9に取得させることができる。
【0138】
又、有効区間の開始の遅れを検知したラインに対し、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データのうち、何れを画像データとして受信部9に出力するかの選択を受け付ける入力部(操作パネル1)を含み、ノイズ処理部8は、入力部への選択入力に応じ、有効区間の開始の遅れを検知したラインで、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データを画像データとして受信部9に出力する。これにより、使用者は、ノイズにより有効区間がずれたラインでの画像データの内容の補正方法を選択することができる。従って、使用者は、任意の補正方法で有効区間がずれたラインでの画像データを補正することができる。
【0139】
又、入力部は、送信部7から送信する画像データの種類を定める入力と、画像データの種類に応じて、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データのうち、何れを画像データとして受信部9に出力するかを定める入力を受け付け、ノイズ処理部8は、有効区間の開始の遅れを検知したラインで、画像データの種類に応じ、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データを画像データとして受信部9に出力する。これにより、例えば、文書の画像データでは、前のラインのデータ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインのデータで補正し、文字の輪郭の乱れによる画質の劣化を低減し、写真等の画像データでは、空白データで画質の劣化を低減するというように、ノイズが発生したラインに対し、画像データの種類に応じて所望の補正を行うことができる。
【0140】
又、ノイズ処理部8は、複数ライン分、同期信号(例えば、第2水平同期信号HSYNC2)の変化点から区間が無効になったことを示す第2有効区間信号S2の第2変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき第2基準値を求め、第2基準値と各ラインの同期信号の変化点から第2変化点までの時間差である第2時間差が予め定められた許容範囲に収まるか否かにより、有効区間の終了の遅れの有無を検知する。これにより、第2有効区間信号S2が無効となった時点(有効区間の終了時点)のずれ(遅れ)の発生を検知することができる。
【0141】
又、ノイズ処理部8は、有効区間の終了の遅れを検知したラインでは、第2基準値よりも後の有効区間を無効区間とするように、第2有効区間信号S2の状態を変化させる。これにより、ノイズにより有効区間の終了を示す第2有効区間信号S2の変化点がずれ、受信部9での画像データ取得完了が遅れても、ずれたラインでの画像データの内容への影響を軽減することができる。
【0142】
又、画像形成装置(例えば、複合機101)は、データ伝送装置100を含む。従って、画像データの伝送の同期に用いる信号にノイズ混入による有効区間のずれを検知可能な画像形成装置を提供することができる。又、画質への影響が軽減された画像データに基づき印刷を行うことができるので、印刷物が高画質の画像形成装置を提供することができる。
【0143】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明は、データ伝送装置やデータ伝送装置を搭載した画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0145】
100 データ伝送装置 101 複合機(画像形成装置)
1 操作パネル(入力部) 2 画像読取部
7 送信部 8 ノイズ処理部
81 ラインメモリー 9 受信部
S1 第1有効区間信号 S2 第2有効区間信号
HSYNC1 第1水平同期信号(同期信号)
HSYNC2 第2水平同期信号(同期信号)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズを除去しつつ画像データを伝送するデータ伝送装置と、このデータ伝送装置を含む複写機、複合機、FAX装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複写機、複合機、FAX装置等の画像形成装置に原稿を読み取って画像データを生成する画像読取部(スキャナー)が設けられることがある。そして、画像読取部のような画像データを生成する部分から画像データに基づき処理(例えば、画像処理や印刷)を行う部分に向けて画像データの伝送が行われる。この画像データの伝送では、タイミングのずれ等を防ぐ観点から、送信部と受信部で同期をとりつつ、伝送を行う場合がある。画像データ伝送での同期に関する技術の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、信号中の水平同期信号パルス幅時間と不要パルス等のパルス幅時間とを比較判別し、水平同期信号のパルス幅より長いパルス幅時間を有する場合にパルス信号を出力し、水平同期信号のパルス幅時間より短いパルス幅時間を有する場合は信号を出力しない第1のノイズ除去部と、第1のノイズ除去部よりの信号を基にしてパルス信号を発生し、信号と水平同期信号とを比較し、一定の場合にパルス信号を出力する第2のノイズ除去部と、第2のノイズ除去部よりの信号を基にして水平同期信号を再生ずる水平同期信号再生部とで構成したノイズパルス除去回路が記載されている。この構成により、不要信号を除去して、正規の水平同期信号と同等のパルスを再生し、水平同期の安定化を図ろうとする(特許文献1:請求項1、[発明が解決しようとする課題]の欄等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平04−180365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
まず、画像データ伝送での送信部と受信部の同期を図るため、水平同期信号や垂直同期信号といった信号の他、画像データの伝送が有効な区間であるか、無効な区間であるかを示す有効区間信号を送信部から受信部に向けて送信することがある。受信部は、有効区間信号が、有効区間を示す状態(例えば、High又はLow)であるときに、画像データを取り込む。言い換えると、有効区間信号は、画像データ伝送の開始と終了を受信部に伝達するための信号である。
【0006】
一方、有効区間信号や、垂直同期信号や、水平同期信号に、ノイズが混入することがある。ノイズにより、正確な同期が妨げられ、画像データの伝送に支障を生じさせることがある。そこで、有効区間信号等に混入したノイズ除去処理を行う部分(例えば、ノイズ除去回路)が設けられることがある。このノイズ処理部には、有効区間信号等が入力される。そして、ノイズ処理部は、ノイズ除去後の有効区間信号等を受信部に出力する。
【0007】
ここで、送信部からの信号の状態が変わったとき、複数回、一定の時間をかけて、送信部からの信号の状態(HighであるかLowであるか)をサンプリングしてノイズ処理を行うことがある。具体的に、複数回連続して同じ状態が続かなければノイズとして扱い、受信部に出力する信号の状態を変化前の状態で維持して、ノイズ除去を行う。一方、複数回連続して変化後の状態が続けば、ノイズによる状態変化では無いと判断して、受信部に出力する信号の状態を変化させる。このような方法で有効区間信号等のノイズ除去を行うことがある。
【0008】
しかし、このような方法によりノイズ除去を行うとき、受信部に入力される有効区間信号の変化点(開始や終了を示すエッジ)が、本来の位置よりも大きく遅れることがあるという問題がある。具体的には、有効区間の開始や終了に近いタイミングで送信部からの有効区間信号にノイズが混入すると、ノイズ処理部は、ノイズか否かを判断するため、一定の時間をかけて、複数回、送信部からの信号の状態をサンプリングする。そして、この複数回のサンプリング中、ノイズではなく、正当に送信部からの有効区間信号が変化するときがある。この場合、ノイズによる状態変化に起因する複数回のサンプリングが完了してから、正当な有効区間信号の変化に対する複数回のサンプリングが行われる。そのため、ノイズ処理部が受信部に出力する有効区間信号の状態変化が遅れてしまう。
【0009】
このように、ノイズにより有効区間信号の状態変化が遅れると、受信部が送信部により送信された画像データを適切に受信できないという問題がある。例えば、画像データ中の画素の一部の欠落が生じ、異常な画像となってしまうことがある。
【0010】
尚、特許文献1記載の発明は、不要信号を除去して、正規の水平同期信号と同等のパルスを再生する。しかし、ノイズ除去に伴い、有効区間信号で示される有効区間がずれることにより、受信部が画像データを適切に受信できないという問題についての言及はなく、上記の問題を解決することはできない。
【0011】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、有効区間のずれにより画像データを受信部が適切に受信できないという問題に対処するため、複数回のサンプリングによるノイズ除去で生じた受信部に向けての有効区間信号の変化点のずれを検知することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に係るデータ伝送装置は、画像データと、前記画像データが有効か無効かを示す第1有効区間信号と、予め定められた1ライン分の周期で状態が変化し、ラインの切り替わりを示す同期信号を送信する送信部と、前記画像データと前記有効区間信号と前記同期信号の入力を受け、前記画像データと前記同期信号を出力するとともに、前記第1有効区間信号の状態が変化したとき、予め定められた回数、前記第1有効区間信号の状態をサンプリングし、連続して同じ状態が所定回数続くと続いた状態に論理を切り替えて、前記第1有効区間信号からノイズを除去した第2有効区間信号を生成し、出力するノイズ処理部と、前記ノイズ処理部が出力した前記画像データと前記同期信号と前記第2有効区間信号が入力され、前記第2有効区間信号に基づき、前記画像データが有効な区間であるか否かを認識し、有効区間の前記画像データを取得する受信部と、を含み、前記ノイズ処理部は、複数ライン分、前記同期信号の変化点から前記第2有効区間信号の変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき基準値を求め、前記基準値と前記同期信号の変化点から前記第2有効区間信号の変化点までの時間を各ラインで比較し、前記第1有効区間信号へのノイズ混入による前記有効区間のずれの有無を検知することとした。
【0013】
この構成によれば、ノイズ処理部は、複数ライン分、同期信号の変化点から第2有効区間信号の変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき基準値を求め、基準値と同期信号の変化点から第2有効区間信号の変化点までの時間を各ラインで比較し、第1有効区間信号へのノイズ混入による有効区間のずれの有無を検知する。これにより、第1有効区間信号の変化点に近いタイミングで生じたノイズの除去処理によって、第2有効区間信号で示される有効区間にずれが生じたラインを検知することができる。
【0014】
又、請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記ノイズ処理部は、複数ライン分、前記同期信号の変化点から区間が有効になったことを示す前記第2有効区間信号の第1変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき第1基準値を求め、前記第1基準値と、各ラインの前記同期信号の変化点から前記第1変化点までの時間差である第1時間差が予め定められた許容範囲に収まるか否かにより、前記有効区間の開始の遅れの有無を検知することとした。
【0015】
この構成によれば、ノイズ処理部は、複数ライン分、同期信号の変化点から区間が有効になったことを示す第2有効区間信号の第1変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき第1基準値を求め、第1基準値と、各ラインの同期信号の変化点から第1変化点までの時間差である第1時間差が予め定められた許容範囲に収まるか否かにより、有効区間の開始の遅れの有無を検知する。これにより、第2有効区間信号が有効を示す状態になる時点(有効区間の開始時点)のずれ(遅れ)の発生を検知することができる。
【0016】
又、請求項3に係る発明は、請求項2の発明において、前記ノイズ処理部は、ラインの画像データを記憶するラインメモリーを含み、前記有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データの何れかを画像データとして前記受信部に出力し、前記有効区間の開始の遅れを検知しないラインでは、前記送信部が送信した前記画像データを前記受信部に入力することとした。
【0017】
この構成によれば、ノイズ処理部は、ラインの画像データを記憶するラインメモリーを含み、有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データの何れかを画像データとして受信部に出力し、有効区間の開始の遅れを検知しないラインでは、送信部が送信した画像データを受信部に入力する。これにより、ノイズにより第2有効区間信号で有効区間の開始を示す変化点がずれ、受信部での画像データ取得開始が遅れても、ずれたラインでの画像データの内容を補正することができる。そして、有効区間の開始にずれが生じても、画質への影響を軽減することができる。
【0018】
又、請求項4に係る発明は、請求項2又は3の発明において、前記ノイズ処理部は、前記有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、前記第1時間差分、前記有効区間を長くした前記第2有効区間信号を前記受信部に出力することとした。
【0019】
この構成によれば、ノイズ処理部は、有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、第1時間差分、第1有効区間信号よりも有効区間を長くした第2有効区間信号を受信部に出力する。これにより、第2有効区間信号での有効区間の開始の遅れに伴い、短くなってしまった有効区間を通常の有効区間の長さに戻し、1ライン分のデータの全てを受信部に取得させることができる。
【0020】
又、請求項5に係る発明は、請求項3又は4の発明において、前記有効区間の開始の遅れを検知したラインに対し、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データのうち、何れを画像データとして前記受信部に出力するかの選択を受け付ける入力部を含み、前記ノイズ処理部は、前記入力部への選択入力に応じ、前記有効区間の開始の遅れを検知したラインで、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データを前記画像データとして前記受信部に出力することとした。
【0021】
この構成によれば、ノイズ処理部は、入力部への選択入力に応じ、有効区間の開始の遅れを検知したラインで、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データを画像データとして受信部に出力する。これにより、使用者は、ノイズにより有効区間がずれたラインでの画像データの内容の補正方法を選択することができる。従って、使用者は、任意の補正方法で有効区間がずれたラインでの画像データを補正することができる。
【0022】
又、請求項6に係る発明は、請求項5の発明において、前記入力部は、前記送信部から送信する画像データの種類を定める入力と、前記画像データの種類に応じて、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データのうち、何れを画像データとして前記受信部に出力するかを定める入力を受け付け、前記ノイズ処理部は、前記有効区間の開始の遅れを検知したラインで、前記画像データの種類に応じ、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データを前記画像データとして前記受信部に出力することとした。
【0023】
この構成によれば、ノイズ処理部は、有効区間の開始の遅れを検知したラインで、画像データの種類に応じ、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データを画像データとして受信部に出力する。これにより、例えば、文書の画像データでは、前のラインのデータ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインのデータで補正し、文字の輪郭の乱れによる画質の劣化を低減し、写真等の画像データでは、空白データで画質の劣化を低減するというように、ノイズが発生したラインに対し、画像データの種類に応じて所望の補正を行うことができる。
【0024】
又、請求項7に係る発明は、請求項1乃至6の発明において、前記ノイズ処理部は、複数ライン分、前記同期信号の変化点から区間が無効になったことを示す前記第2有効区間信号の第2変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき第2基準値を求め、前記第2基準値と各ラインの前記同期信号の変化点から前記第2変化点までの時間差である第2時間差が予め定められた許容範囲に収まるか否かにより、前記有効区間の終了の遅れの有無を検知することとした。
【0025】
この構成によれば、ノイズ処理部は、複数ライン分、同期信号の変化点から区間が無効になったことを示す第2有効区間信号の第2変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき第2基準値を求め、第2基準値と各ラインの同期信号の変化点から第2変化点までの時間差である第2時間差が予め定められた許容範囲に収まるか否かにより、有効区間の終了の遅れの有無を検知する。これにより、第2有効区間信号が無効となった時点(有効区間の終了時点)のずれ(遅れ)の発生を検知することができる。
【0026】
又、請求項8に係る発明は、請求項7の発明において、前記ノイズ処理部は、前記有効区間の終了の遅れを検知したラインでは、前記第2基準値よりも後の前記有効区間を無効区間とするように、前記第2有効区間信号の状態を変化させることとした。
【0027】
この構成によれば、ノイズ処理部は、有効区間の終了の遅れを検知したラインでは、有効区間中、第2基準値よりも後の有効区間では、空白データ、前のラインの画像データの何れかを画像データとして受信部に出力する。これにより、ノイズにより有効区間の終了を示す第2有効区間信号の変化点がずれ、受信部での画像データ取得完了が遅れても、ずれたラインでの画像データの内容への影響を軽減することができる。
【0028】
又、請求項9に係る画像形成装置は、請求項1乃至8の何れか1項に記載のデータ伝送装置を含むこととした。
【0029】
この構成によれば、画像データの伝送の同期に用いる信号にノイズ混入による有効区間のずれを検知可能な画像形成装置を提供することができる。又、画質への影響が軽減された画像データに基づき印刷を行うことができるので、印刷物が高画質の画像形成装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0030】
上述したように、本発明によれば、サンプリングによるノイズ除去処理で生じた受信部に対する第2有効区間信号での変化点のずれを検知することができる。そして、有効区間のずれにより画像データを受信部が適切に受信できないという問題に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】複合機の一例を示す模型的正面断面図である。
【図2】複合機の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】画像データ生成と伝送に関するハードウェアの一例を示すブロック図である。
【図4】データ伝送装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図5】データ伝送装置で、ノイズが無いときの各信号の状態変化の一例を示すタイミングチャートである。
【図6】データ伝送装置で、ノイズ混入による有効区間の開始の遅れを説明するためのタイミングチャートである。
【図7】ノイズ混入による有効区間の開始の遅れの検知制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【図8】有効区間の開始の遅れ検知時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図9】有効区間の開始の遅れを検知したときの画像データ伝送の補正の設定を行うための設定画面の一例を示す説明図である。
【図10】データ伝送装置で、ノイズ混入による有効区間の開始の遅れを説明するためのタイミングチャートである。
【図11】ノイズ混入による有効区間の終了の遅れの検知制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図1〜図11を用いて、本発明の実施形態を説明する。本説明では、データ伝送装置100を含む複合機101(画像形成装置に相当)を例に挙げて説明する。但し、本実施形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0033】
(画像形成装置の概略)
まず、図1に基づき、実施形態に係る画像形成装置としての複合機101の概略を説明する。図1は、複合機101の一例を示す模型的正面断面図である。
【0034】
図1に示すように、本実施形態の複合機101は、最上部に原稿カバー101aを有する。又、複合機101本体には、操作パネル1(入力部に相当)、画像読取部2、給紙部3a、搬送路3b、画像形成部4a、定着部4b等が設けられる。
【0035】
まず、図1に破線で示すように、操作パネル1は複合機101の正面上方に設けられる。そして、操作パネル1は、複合機101の状態や各種メッセージを表示する液晶表示部11を備える。液晶表示部11は、機能の選択、設定や文字入力等を行うためのキーを1又は複数表示できる。又、液晶表示部11は、各種のメッセージを表示する。又、液晶表示部11に対し、タッチパネル部12(例えば、抵抗膜方式)が設けられる。タッチパネル部12は、液晶表示部11で押された位置に応じた信号を出力する。又、操作パネル1には、コピー等の各種機能の実行開始を指示するためのスタートキー13等、各種のハードキーも設けられる。
【0036】
原稿カバー101aは、図1の紙面奥行き方向に支点を有し、手前側を振るように上下方向で開閉可能である。原稿カバー101aは、原稿の複写時、載置読取用コンタクトガラス21に載置された原稿を押さえる。
【0037】
画像読取部2は、載置読取用コンタクトガラス21に載置された原稿を読み取り、原稿の画像データを形成する。又、画像読取部2内には露光用のランプ23(図3参照)、イメージセンサー24(例えば、CCD、図3参照)、ミラー(不図示)、レンズ(不図示)等の光学系部材が設けられる。尚、原稿カバー101aに変えて、原稿を1枚ずつ、自動的、連続的に、画像読取部2の読み取り位置(送り読取用コンタクトガラス22)に向けて搬送する原稿搬送装置を設けてもよい。
【0038】
そして、これらの光学系部材を用い、画像読取部2は、載置読取用コンタクトガラス21に載置される原稿に光を照射し、その原稿の反射光を受けたイメージセンサー24の各画素の出力値をA/D変換し、画像データを生成する。複合機101は、読み取りにより得られた画像データに基づき印刷を行うことができる(コピー機能)。又、複合機101は読み取りにより得られた画像データをコンピューター200やFAX装置300等に送信することができる(図2参照、スキャン機能、送信機能)。
【0039】
給紙部3aは、複数の用紙(例えば、コピー用紙、普通紙、再生紙、厚紙、OHPシート等の各種シート)を収容し、1枚ずつ搬送路3bに送り込む。給紙部3aは、収納用紙が載置されるカセット30を含む(図1で上方のものに30a、下方のものに30bの符号を付す)。又、カセット30から搬送路3bに用紙を送り出すため回転駆動する給紙ローラー31、32が設けられる(図1では上方のものが給紙ローラー31、下方のものが給紙ローラー32。)。例えば、印刷時に、何れかの給紙ローラー31、32が回転駆動する。これにより、用紙が1枚ずつ搬送路3bに送り出される。
【0040】
搬送路3bは、給紙部3aから排出トレイ33まで用紙を搬送する通路である。尚、用紙搬送経路上には画像形成部4a、定着部4b等が配される。そして、搬送路3bには、用紙の案内のためのガイド34や、用紙搬送の際に回転駆動する搬送ローラー対35や、搬送されてくる用紙を画像形成部4aの手前で待機させ、トナー像形成のタイミングに合わせて用紙を送り出すレジストローラー対36や、排出トレイ33に用紙を排出する排出ローラー対37等が設けられる。
【0041】
画像形成部4aは、画像データに基づきトナー像を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。そのため、画像形成部4aは、図1中に示す矢印方向に回転駆動可能に支持された感光体ドラム41、及び、感光体ドラム41の周囲に配設された帯電装置42、露光装置43、現像装置44、転写ローラー45、クリーニング装置46等を備える。
【0042】
トナー像形成及び転写プロセスを説明する。まず、感光体ドラム41は、画像形成部4aの略中心に設けられ、所定方向に回転駆動する。帯電装置42は、感光体ドラム41を所定電位に帯電させる。露光装置43は、画像データに基づき、レーザー光を出力し、感光体ドラム41の表面を走査、露光する。これにより、画像データに応じた静電潜像が感光体ドラム41の周面上に形成される。尚、画像データとしては、画像読取部2で得られた画像データや、ネットワーク等により接続される外部のコンピューター200や相手方FAX装置300(図3参照)から送信された画像データ等が用いられる。
【0043】
そして、現像装置44は、感光体ドラム41に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。転写ローラー45は感光体ドラム41に圧接する。そして、レジストローラー対36は、トナー像にあわせタイミングを図り、用紙を感光体ドラム41と転写ローラー45のニップに進入させる。用紙のニップ進入時、所定の電圧が転写ローラー45に印加される。これにより、用紙に感光体ドラム41上のトナー像が転写される。クリーニング装置46は、転写後に感光体ドラム41に残留するトナーを除去する。
【0044】
定着部4bは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。本実施形態の定着部4bは、発熱体を内蔵する加熱ローラー47と加圧ローラー48を含む。加熱ローラー47と加圧ローラー48は圧接しニップを形成する。そして、用紙が、このニップを通過することで、用紙表面のトナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。トナー定着後の用紙は、排出トレイ33に排出される。このようにして、コピー機能、プリンター機能の使用時、画像形成(印刷)が行われる。
【0045】
(画像形成装置のハードウェア構成)
次に、図2に基づき、実施形態に係る複合機101のハードウェア構成の一例を説明する。図2は、複合機101の構成の一例を示すブロック図である。
【0046】
まず、複合機101には、主制御部5が設けられる。主制御部5は複合機101の動作制御を司る。主制御部5は、制御のため、例えば、CPU51を含む。CPU51は、中央演算処理装置であって、記憶部6に格納され、展開されるプログラムやデータに基づき複合機101の各部を制御する。
【0047】
又、複合機101には、画像処理部52が設けられる。画像処理部52は、印刷を行う画像データや、外部のコンピューター200や相手方のFAX装置300に送信する画像データに対し各種画像処理を施す。例えば、画像処理部52は、濃度変換や、拡大縮小や、圧縮伸張や、利用目的にあわせた画像データの形式変換等、複合機101が備える機能に応じて多種多様の画像処理を行える。
【0048】
記憶部6は、例えば、ROM61(Read Only Memory、例えば、フラッシュROM)、RAM62(Random Access Memory)、HDD63(Hard Disk Drive)を含む。このように、記憶部6は不揮発性と揮発性の記憶装置を組み合わせて構成される。
【0049】
記憶部6は、複合機101の制御用等の各種のプログラムやデータ、設定データ、画像データ等の各種データを記憶する。例えば、画像処理部52の処理前や処理後の画像データは、記憶部6のRAM62やHDD63等に格納され、印刷や送信に画像データが利用される。
【0050】
そして、主制御部5は、操作パネル1、画像読取部2等とバスや信号線等で接続され、操作パネル1や画像読取部2の動作を制御する。又、主制御部5は、操作パネル1になされた入力内容を認識する。
【0051】
又、主制御部5は、エンジン制御部40と通信可能に接続される。エンジン制御部40は印刷を行う部分(印刷エンジン部分)の動作を制御する。具体的に、エンジン制御部40は、給紙部3a、搬送路3b、画像形成部4a、定着部4b等の印刷エンジン部分の動作を制御する。又、印刷ジョブを実行するとき、エンジン制御部40は、用紙搬送などのため各種回転体を回転させるモーターや、トナー像を形成する回路、部分等を制御して、印刷を実際に制御する。主制御部5は、エンジン制御部40に対し、印刷を行うべき旨を指示する。エンジン制御部40は、この指示を受けて、印刷エンジン部分の動作を制御し、印刷を行わせる。
【0052】
更に、主制御部5は、各種コネクタ、ソケット、通信制御用のチップ等を備えた通信部53と接続される。通信部53は、ネットワークや公衆回線等により、外部のコンピューター200や相手方のFAX装置300と、複合機101を通信可能に接続する。例えば、画像データを含むデータを外部のコンピューター200や相手方FAX装置300(インターネットFAXでもよい)に送信することができる(スキャナ機能、FAX機能)。又、外部のコンピューター200や相手方FAX装置300からの画像データに基づき印刷を行うこともできる(プリンター機能、FAX機能)。このように、複合機101は、コピー機能、プリンター機能、スキャン機能、FAX機能などの複数の機能を備える。
【0053】
(画像データ生成と伝送に関するハードウェア構成の概要)
次に、図3に基づき、実施形態に係る複合機101での画像データ生成と伝送の一例を説明する。図3は、画像データ生成と伝送に関するハードウェアの一例を示すブロック図である。尚、画像データの流れは、白抜矢印で図示している。
【0054】
まず、原稿を読み取って画像データを生成する画像読取部2には、例えば、読取制御部20が設けられる。読取制御部20は、例えば、スキャナCPU20aや読取制御用のプログラムやデータを記憶するメモリーなどの各種電子部品が実装された基板で構成される。そして、読取制御部20は、主制御部5と通信可能に接続される。操作パネル1でコピー開始やスキャン開始が指示されて原稿の読み取りを行うとき、読取制御部20は、主制御部5からの指示を受け、画像読取部2内の各部を実際に制御する。
【0055】
読取制御部20は、巻取モーター2Mやランプ23やイメージセンサー24等と接続される。読取制御部20は、例えば、ランプ23や各種ミラーを移動させるための巻取モーター2Mの動作や、原稿に光を照射するランプ23の点消灯や、イメージセンサー24等の駆動等を制御する。
【0056】
まず、画像読取部2での原稿の読み取りと画像データ生成では、イメージセンサー24は、ランプ23から照射され原稿等で反射された反射光の強さに応じた電流(電圧)を画素ごとに出力する。尚、本実施形態のイメージセンサー24は、白黒(グレースケール)での読み取りに対応し、各画素の輝度を示す信号を出力可能である。又、イメージセンサー24は、カラー対応のラインセンサーであり、R、G、Bの各信号の出力も可能である。そして、イメージセンサー24の各出力電流(電圧)は、A/D変換部25に入力される。尚、A/D変換部25の前段にイメージセンサー24の各画素の出力値を増幅する増幅器が設けられてもよい。
【0057】
例えば、A/D変換部25は、イメージセンサー24の各画素のアナログの各出力電流(電圧)をディジタルの画像データに変換する。例えば、A/D変換部25は、グレースケールでは1画素当たり8ビット〜10ビットに量子化する。又、A/D変換部25は、R、G、Bをそれぞれ1画素当たり8ビット〜10ビットに量子化する(例えば、Red、Green、Blueで各8ビット、それぞれ0〜255の値を取り、256階調)。このように、カラー又はグレースケールの画像データが生成され、伝送の対象となる。
【0058】
補正部26は、γ補正やシェーディング補正等、画像読取部2の読取特性に対する補正用の演算回路等で構成される。一般に、イメージセンサー24において、ライン状に配された各画素に相当する各受光素子のばらつき(個体特性差)や、ランプ23の位置による発光量のムラやレンズの特性等で、主走査方向において同一濃度のものを読み取っても、画素の位置により、イメージセンサー24の各受光素子が出力する電流(電圧)の値に差が生ずる。そこで、補正部26は、A/D変換部25から出力された画像データの補正を行う。尚、補正部26を設けず、後述の画像処理部52で補正処理を行うようにしても良い。
【0059】
そして、画像データは、画像読取部2の送信部7から画像処理部52の受信部9に向けて出力される。画像処理部52は、受信部9で受信した画像データに対して画像処理を行う。例えば、画像処理部52は、印刷や送信のため、濃度変換処理や、拡大・縮小処理や、回転処理や、圧縮・伸張処理や、データ形式変換処理など、各種の画像処理を行う。この画像処理のため、画像処理部52には、1又は複数の画像処理回路52c(例えば、ASIC)が設けられる。尚、図3では、便宜上、画像処理回路52cは1つのみ図示している。又、画像処理部52が行う画像処理は、多種多様であるので、公知の画像処理を行えるものとして詳細な説明は割愛する。
【0060】
又、送信部7と受信部9の間に、ノイズ処理部8が設けられる。これらの送信部7と受信部9とノイズ処理部8により、データ伝送装置100が構成される。このように、複合機101は、データ伝送装置100を含む。
【0061】
尚、本説明では、受信部9は画像処理部52に設けられる例を説明するが、受信部9は記憶部6に設けてもよい。この場合、データ伝送装置100は、画像読取部2から記憶部6への画像データの伝送を扱うものとなり、画像読取部2の原稿読み取りで得られた画像データは、記憶部6に一旦蓄積され、画像処理部52に供される。そのため、記憶部6に送信部7を設け、画像処理部52に受信部9を別途設け、データ伝送装置100は、記憶部6から画像処理部52への画像データの伝送を扱うものとしても良い。そして、以下の説明は、送信部7を画像読取部2以外に設ける場合や、受信部9を画像処理部52以外に設ける場合にも同様に適用できる。
【0062】
(データ伝送装置100のハードウェア構成)
次に、図4に基づき、実施形態に係るデータ伝送装置100のハードウェア構成の一例を説明する。図4は、データ伝送装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0063】
まず、送信部7から説明する。データ伝送装置100では、送信部7内に送信用の回路として、第1タイミングコントローラー70や第1画像データメモリー71等を有する。
【0064】
第1タイミングコントローラー70は、例えば、コピーやスキャンの際、スキャナCPU20aの指示を受け、画像データの伝送における同期用の信号を生成する。例えば、第1タイミングコントローラー70は、第1垂直同期信号VSYNC1や第1水平同期信号HSYNC1や第1有効区間信号S1を生成する。
【0065】
第1垂直同期信号VSYNC1は、1ページの画像データの送信開始前の時点で状態が変化し(例えば、立ち上がる)、送信終了後の時点で状態が変化する(例えば、立ち下がる)信号である。尚、立ち上がり、立ち下がりは逆でもよい。言い換えると、第1垂直同期信号VSYNC1は、1ページの画像データの区切りを示す信号である。
【0066】
第1画像データメモリー71は、イメージセンサー24で生成され、A/D変換部25や補正部26でディジタル化された画像データの入力を受け、蓄える。例えば、第1タイミングコントローラー70は、画像データの第1画像データメモリー71への蓄積が開始されたり、蓄積が完了したりすると、第1垂直同期信号VSYNC1を変化させる。そして、第1タイミングコントローラー70は、第1画像データメモリー71に1ページの画像データの先頭ラインからの画像データの送信を開始させる。
【0067】
第1水平同期信号HSYNC1は、1ページの画像データ内の1ラインの区切りを示す信号である。第1水平同期信号HSYNC1は、ラインの画像データを送信開始前の時点で状態が変化し(例えば、立ち下がる)、1ライン分の画像データの送信が終了した後、状態が変化する(例えば、立ち上がる)信号である。尚、立ち上がり、立ち下がりは逆でもよい。言い換えると、第1水平同期信号HSYNC1は、1ライン分の画像データを送信すべき期間を示す信号である。
【0068】
例えば、第1画像データメモリー71で1ライン分の画像データの蓄積、送信準備が完了すると、第1タイミングコントローラー70は、第1水平同期信号HSYNC1によりラインを切り替えた後、第1画像データメモリー71から1ラインの先頭画素からの送信を行わせる。これにより、送信部7から受信部9に向けての1ライン分のデータの送信が行われる。
【0069】
尚、画像データは、複数の画素が一列に並べられたラインを複数組み合わせて構成される。600dpiでA4サイズに対応する画像データを例に挙げると、画像データの短辺(A4の場合、約21cm)では、約5000本のラインが並ぶ。そのため、例えば、第1水平同期信号HSYNC1は、第1垂直同期信号VSYNC1が立ち上がってから立ち下がるまで、数千回、立ち上がりと立ち下がりを繰り返す。
【0070】
第1有効区間信号S1は、画像データの送信が有効な状態であるか否か(データが有効か無効か)を示す信号である。第1タイミングコントローラー70は、第1画像データメモリー71から1ライン分の画像データの送信開始に伴い、第1有効区間信号S1の状態を変化させ(例えば、立ち上げる)、送信終了とともに状態を変化させる(例えば、立ち下げる)。尚、立ち上がり、立ち下がりは逆でもよい。そして、第1有効区間信号S1の状態は、第1水平同期信号HSYNC1が立ち下がっている状態で変化する。
【0071】
送信部7が送信した第1垂直同期信号VSYNC1、第1水平同期信号HSYNC1、第1有効区間信号S1、画像データは、ノイズ処理部8に入力される。
【0072】
ノイズ処理部8は、例えば、チップ化されたASICである。そして、ノイズ処理部8は、入力された第1垂直同期信号VSYNC1、第1水平同期信号HSYNC1、第1有効区間信号S1からノイズを除去するノイズ除去部80を有する。
【0073】
ノイズ除去部80は、例えば、ノイズ除去処理制御を行うノイズ除去制御部82、ノイズ除去処理のため、各信号の状態をサンプリングするサンプリング部83、ノイズが発生したか否かを検知するための基準値を保持する基準値保持部84、時間を計る計時部85等を含む。
【0074】
各信号(第1垂直同期信号VSYNC1、第1水平同期信号HSYNC1、第1有効区間信号S1)の状態変化があったとき、ノイズ除去部80のサンプリング部83は、予め定められた回数(例えば、数回〜十数回)、状態変化のあった信号の状態をサンプリングする。そして、ノイズ除去部80は、サンプリングにより得られたサンプリング値が、全て状態変化後の値で一致すれば、ノイズではなく、本当に状態変化があったとして、サンプリングした各信号の論理を今までと反転させた信号を信号出力部86から受信部9に向けて出力する。一方、ノイズ除去部80は、サンプリングにより得られたサンプリング値が、全て、状態変化後の値で一致しなければ、ノイズが混入したとして、サンプリングした信号の論理を反転させないように整形した波形の信号を信号出力部86から受信部9に向けて出力する。
【0075】
ノイズ処理部8は、上記のノイズ除去処理を、第1垂直同期信号VSYNC1、第1水平同期信号HSYNC1、第1有効区間信号S1のそれぞれに対して行う。そして、ノイズ処理部8は、第1垂直同期信号VSYNC1、第1水平同期信号HSYNC1、第1有効区間信号S1のそれぞれの信号波形をノイズ除去のために整形した信号である第2垂直同期信号VSYNC2、第2水平同期信号HSYNC2、第2有効区間信号S2を信号出力部86から出力する。
【0076】
尚、ノイズ処理部8には、送信部7が出力した画像データを複数ライン分蓄えるラインメモリー81を設けることができる。ラインメモリー81は、受信部9の第2画像データメモリー91に向けて画像データを出力する。
【0077】
受信部9には、第2垂直同期信号VSYNC2、第2水平同期信号HSYNC2、第2有効区間信号S2に基づき、画像データの伝送での同期をとり、画像データの取得、受信を制御する第2タイミングコントローラー90が設けられる。第2タイミングコントローラー90は、第2垂直同期信号VSYNC2に基づき、1ページの画像データの送信開始と終了を認識する。又、第2タイミングコントローラー90は、第2水平同期信号HSYNC2に基づき、ラインの切り替わりを認識する。又、第2タイミングコントローラー90は、第2有効区間信号S2に基づき、画像データの送信が有効である区間と無効である区間を認識する。そして、第2タイミングコントローラー90は、有効区間のとき、第2画像データメモリー91に画像データを取得させる。言い換えると、受信部9(第2タイミングコントローラー90)は、有効区間のとき第2画像データメモリー91で取得されたデータを、有効な画像データと扱う。
【0078】
(データ伝送装置100の画像データ伝送)
次に、図5に基づき、実施形態に係るデータ伝送装置100での同期信号の状態変化と画像データ伝送の一例を説明する。図5は、データ伝送装置100で、ノイズが無いときの各信号の状態変化の一例を示すタイミングチャートである。
【0079】
まず、ノイズがないとき(通常時)のデータ伝送装置100での各種同期信号の状態変化と画像データの伝送を説明する。
【0080】
送信部7(の第1タイミングコントローラー70)は、1ページの画像データの送信の開始を知らせ、1ページ分の画像データの送受信での同期をとるため、第1垂直同期信号VSYNC1を立ち上げる(t1の時点)。尚、図5のタイミングチャートには示していないが、1ページ分の画像データの送信が完了すると、第1垂直同期信号VSYNC1は立ち下がる。
【0081】
ノイズ処理部8は、第1垂直同期信号VSYNC1の状態変化を認識し、予め定められた回数、第1垂直同期信号VSYNC1の状態をサンプリングする。そして、ノイズ除去部80は、サンプリングにより得られたサンプリング値が、全て状態変化後の値で一致すると、本当に状態変化が合ったとして、いままでの状態と論理を反転させた第2垂直同期信号VSYNC2を受信部9に向けて出力する(t2の時点)。尚、図5に示すように、ノイズ処理部8によるサンプリングに一定の時間を有するので、第1垂直同期信号VSYNC1の状態変化が第2垂直同期信号VSYNC2の状態変化に反映されるまで、予め定められた一定時間Δ1分のずれが生ずる。
【0082】
又、送信部7(の第1タイミングコントローラー70)は、画像データの伝送中、ラインの切り替わりを知らせ、1ライン分の画像データの送受信での同期をとるため、第1水平同期信号HSYNC1を立ち下げる(t3、t5の時点)。
【0083】
ノイズ処理部8は、第1水平同期信号HSYNC1の状態変化を認識し、予め定められた回数、第1水平同期信号HSYNC1の状態をサンプリングする。そして、ノイズ除去部80は、サンプリングにより得られたサンプリング値が、全て状態変化後の値で一致すると、本当に状態変化が合ったとして、いままでの状態と論理を反転させた第2水平同期信号HSYNC2を受信部9に向けて出力する(t4、t6の時点)。尚、図5に示すように、ノイズ処理部8によるサンプリングに一定の時間を有するので、第1水平同期信号HSYNC1の状態変化が第2水平同期信号HSYNC2の状態変化に反映されるまで、予め定められた一定時間Δ1分のずれは生ずる。
【0084】
又、送信部7(の第1タイミングコントローラー70)は、画像データの送信が有効な状態であることを知らせ、画像データの実際の送受信での同期をとるため、第1有効区間信号S1を立ち上げる(t7の時点)。又、1ライン分の画像データの送信後、送信部7(の第1タイミングコントローラー70)は、1ライン分の画像データの送信が完了し、無効な状態であることを知らせるため、第1有効区間信号S1を立ち下げる(t8の時点)。このように、本実施形態の説明では、High状態である区間が有効区間であり、Lowである区間が無効区間である。
【0085】
ノイズ処理部8は、第1有効区間信号S1の状態変化を認識し、予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングする。そして、ノイズ除去部80は、サンプリングにより得られたサンプリング値が、全て状態変化後の値で一致すると、本当に状態変化が合ったとして、いままでの状態と論理を反転させた第2有効区間信号S2を受信部9に向けて出力する(t9、t10の時点)。尚、図5に示すように、ノイズ処理部8によるサンプリングに一定の時間を有するので、第1有効区間信号S1の状態変化が第2有効区間信号S2の状態変化に反映されるまで、予め定められた一定時間Δ1分のずれが生ずる。
【0086】
尚、上述のように、ノイズ処理部8の処理により、第1有効区間信号S1が有効を示す状態となってから(立ち上がってから)、第2有効区間信号S2が有効を示す状態となるまで(立ち上がるまで)、一定時間Δ1を要する。そのため、第1タイミングコントローラー701が、有効を示す状態に第1有効区間信号S1を変化させ、送信部7の第1画像データメモリー71から画像データの送信開始させるのと同時に(t11の時点)、受信部9の第2タイミングコントローラー90は、画像データの送信が有効であることを認識できない。
【0087】
そこで、本実施形態では、例えば、ノイズ処理部8のラインメモリー81は、一定時間Δ1分の時間遅延させた画像データを受信部9の第2画像データメモリー91に向けて出力する。これにより、1ラインの画像データの先頭の画素から、漏れなく画像データが受信部9に受信される(図5において遅延させた画像データを「画像データD1’」として図示。以下、同様。)。あるいは、ノイズ処理部8のラインメモリー81に遅延させず、送信部7の第1画像データメモリー71が、一定時間Δ1分のダミーのデータを1ラインの画像データの先頭に付加した画像データを送信してもよい。
【0088】
(ノイズ混入による有効区間の開始の遅れ検知)
次に、図5〜図7に基づき、ノイズ混入による有効区間の開始の遅れが生じたときの画像データ伝送の一例を説明する。図6は、データ伝送装置100で、ノイズ混入による有効区間の開始の遅れを説明するためのタイミングチャートである。図7は、ノイズ混入による有効区間の開始の遅れの検知制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【0089】
まず、図6を用いて、ノイズ混入による有効区間の開始の遅れを説明する。図6に示すように、第1有効区間信号S1が立ち上がる前に(有効区間を示す状態となる前に)、第1有効区間信号S1にノイズが混入したとき(図6のt12の時点)、ノイズ処理部8は、第1有効区間信号S1の状態変化があったため、一定時間Δ1をかけて予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングする。このとき、サンプリングにより得られたサンプリング値の全ては、状態変化後の値で一致しないので、ノイズ処理部8は、ノイズと判断し、第2有効区間信号S2の状態を変化させずに保つことになる。
【0090】
ここで、ノイズ処理部8が、一定時間Δ1をかけて、予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングし、ノイズか否かを検知している間に、第1有効区間信号S1が本当に切り替わる(立ち上がる)ときがある(図6のt13の時点)。この場合、ノイズ処理部8は、ノイズと判断した後に、再び、一定時間Δ1をかけて予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングしてから、有効を示す状態に第2有効区間信号S2の状態を切り替える(図6のt14の時点)。
【0091】
このように、第1有効区間信号S1が立ち上がる前に(有効区間を示す状態となる前に)、第1有効区間信号S1にノイズが混入すると、第1有効区間信号S1に対する第2有効区間信号S2の変化が、ノイズがないときの予め想定される一定時間Δ1分(t13〜t15の区間)よりも更に遅れる場合がある(図6において、t13〜t14の区間。一定時間Δ1+αと図示)。
【0092】
ノイズ混入により、通常の第2有効区間信号S2の変化点(図6のt15の時点)よりも遅れて有効区間信号が立ち上がると、有効区間が通常(本来)よりも短くなる。そのため、1ラインの画像データのうち、ノイズで有効区間の開始の遅れ分(ずれ分、図6において、t15〜t14の区間。αの区間)だけ先頭部分の画素のデータが失われる。そうすると、画像データの画質の低下を招く。そこで、ノイズのため、通常の有効区間よりも有効区間の開始が遅れたとき、画質低下を防ぐための処理を行う必要がある。そのためには、ノイズのため、通常の有効区間よりも有効区間の開始が遅れたことを検知する必要がある。そこで、まず、図7を用いて、ノイズ混入による有効区間の開始の遅れの検知を説明する。
【0093】
まず、図7のスタートは、原稿の読み取りが開始され、画像読取部2で1ページ分の画像データの生成が開始された時点である。この後、送信部7から受信部9に向けて、順次、画像データが送信される。尚、本フローチャートは、1ページの画像データの伝送ごとに、スタート→エンドが繰り返される。
【0094】
そして、ノイズ処理部8は、第2水平同期信号HSYNC2の変化点(立ち下がりエッジ)から第2有効区間信号S2の変化点(立ち上がりエッジ、有効を示す状態への変化)までの時間(図5において、時間T1)を複数ライン分、測定する(ステップ♯1)。そして、ノイズ処理部8は、測定した時間に基づき、第1基準値を定める(ステップ♯2)。例えば、ノイズ除去部80は、5〜20ライン分の変化点から変化点までの時間を計時する(画像データの全ライン数よりも少ない)。
【0095】
具体的に、ノイズ除去部80の計時部85は、第2水平同期信号HSYNC2の変化点から第2有効区間信号S2の変化点までの時間を複数ライン分、計時する。そして、ノイズ除去制御部82は、計時された時間に基づき第1基準値を定め、基準値保持部84に保持させる。例えば、ノイズ除去制御部82は、計時された各時間の平均をとり第1基準値を定めても良いし(平均値)、最も多い時間を第1基準値と定めても良い(多数決)。尚、第1水平同期信号HSYNC1の変化点(立ち下がりエッジ)から第2有効区間信号S2の変化点(立ち上がりエッジ、有効を示す状態への変化)までの時間を複数ライン分取得し、同様に基準値を定めても良い(図5に「時間T1’」と図示)
【0096】
そして、ノイズ処理部8は、現在のラインについて、第2水平同期信号HSYNC2の変化点(立ち下がりエッジ)から第2有効区間信号S2の変化点(立ち上がりエッジ)までの時間と、第1基準値とを比較する(ステップ♯3)。
【0097】
そして、ノイズ処理部8は、現在のラインで、ノイズにより通常よりも有効区間がずれているか(ノイズ混入による有効区間の開始の遅れが生じているか)を判断し、ノイズによる有効区間の開始の遅れの有無を検知する(ステップ♯4)。尚、有効区間の開始の遅れが生じているときの処理の詳細は後述する。
【0098】
具体的に、ノイズ除去制御部82は、第1基準値と第2水平同期信号HSYNC2の変化点から第2有効区間信号S2の変化点までの時間の時間差である第1時間差を求める。そして、ノイズ除去制御部82は、予め定められた許容範囲に第1時間差が収まるか否かにより、ノイズによる有効区間の開始の遅れの有無を判断する。ノイズ除去制御部82は、許容範囲を越えれば、有効区間の開始の遅れが有ると判断し、許容範囲に収まるのであれば、有効区間の開始の遅れは無いと判断する。許容範囲は、第1時間差の誤差を許容する範囲であり、予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングするために要する一定時間Δ1よりも短い時間である。
【0099】
そして、ノイズ処理部8は、第2垂直同期信号VSYNC2を確認して、全てのラインの伝送が終了したかを確認する(ステップ♯5)。もし、全てのラインの伝送が終了すれば(ステップ♯5のYes)、本フローは終了する(エンド)。一方、全てのラインの伝送が完了していなければ(ステップ♯5のNo)、第1水平同期信号HSYNC1、第2水平同期信号HSYNC2等の状態変化により、次のラインの画像データの伝送が開始される(ステップ♯6)。その後、ステップ♯3に戻る。
【0100】
(有効区間の開始の遅れ検知時の処理)
次に、図8、図9に基づき、ノイズ混入による有効区間の開始の遅れが検知されたときの処理の一例を説明する。図8は、有効区間の開始の遅れ検知時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。図9は、有効区間の開始の遅れを検知したときの画像データ伝送の補正の設定を行うための設定画面11aの一例を示す説明図である。
【0101】
まず、本実施形態のノイズ処理部8は、第2有効区間信号S2での有効区間の開始がノイズの混入により通常よりも遅れていることを検知したラインでは、画質の劣化を減らすための処理(補正処理)を行う。そして、図8のスタートは、有効区間の開始の遅れを検知した時点である。尚、図8のフローチャートは、ノイズにより有効区間の開始の遅れが検知されるごとに実行される。
【0102】
具体的に、ノイズ処理部8は、ラインの画像データを記憶するラインメモリー81を用いて、有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データの何れかを画像データとして受信部9に出力する。このように、有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、ノイズ処理部8は、補正した1ライン分の画像データを送信する(ステップ♯22、詳細は後述)。尚、ノイズ処理部8は、有効区間の開始の遅れを検知しないラインでは、通常通り、送信部7が送信した画像データを受信部9に入力する。
【0103】
まず、本実施形態のノイズ処理部8は、空白データ(真っ白なデータ)を受信部9に出力できる。このとき、ノイズ処理部8は、ラインメモリー81に、ラインの各画素について、白を示すデータを受信部9に向けて送信させる。
【0104】
例えば、文字原稿(文書)を読み取って得られた原稿では、もともと地肌部分(下地部分)の面積が広いので、1本のラインを真っ白なラインに差し替えてもそれほど目立たない場合がある。そのため、有効区間の開始の遅れにより一部が失われたラインのデータを用いて印刷などを行うよりも、真っ白なラインに差し替えた方が、画質の劣化、乱れを抑えることができる場合がある。
【0105】
又、本実施形態のノイズ処理部8は、前のラインの画像データを受信部9に出力できる。ノイズ処理部8のラインメモリー81は、前のラインの画像データを記憶しておく。そして、有効区間の開始の遅れを検知では、ノイズ処理部8は、ラインメモリー81に、前のラインの画像データを受信部9に出力(送信)させる。このとき、第2有効区間信号S2の有効への状態を変化に合わせて、前のラインの画像データを順次送信する。
【0106】
例えば、文字原稿(文書)を読み取って得られた画像データに基づき印刷を行うとき、有効区間の開始の遅れにより一部が失われたラインのデータを用いて印刷などを行うよりも、前のラインの画像データに差し替えた方が、画質の劣化、乱れを抑えることができる場合がある。
【0107】
又、写真原稿を読み取って得られた画像データに基づき印刷等を行うとき、一部が失われたラインのデータを用いると不自然な色や画像が現れかねない。一方、写真原稿を読み取って得られた画像データでは、前のラインの画像データに差し替えても、差し替えに気づき憎い場合がある。
【0108】
又、本実施形態のノイズ処理部8は、第1時間差を認識できるので、第1時間差分ずらした(遅らせた)現在のラインの画像データを受信部9に出力してもよい。
【0109】
そして、いずれの態様で有効区間の開始の遅れを検知したラインの画像データの補正を行うかは、図9に示すように、操作パネル1で予め設定しておくことができる。
【0110】
図9は、操作パネル1の液晶表示部11に表示される設定画面11aの一例を示している。使用者は、操作パネル1に対して入力を行うことにより、有効区間の開始の遅れを検知したラインの画像データの補正に関する設定画面11aを表示させることができる。
【0111】
この設定画面11aでは、読み取る原稿の種類(画像読取部2の送信部7から送信される画像データの種類)に応じて、いずれの方法で有効区間の開始の遅れを検知したラインの画像データの補正を行うかを設定することができる。
【0112】
ここで、使用者は、操作パネル1に設けられる液晶表示部11とタッチパネル部12を用いて、コピーやスキャンを行うとき、「文字原稿」、「写真原稿」、「文字+写真」というように原稿の画質を設定することができる。尚、操作パネル1に「文字原稿」、「写真原稿」、「文字+写真」というように原稿の画質を設定するためのハードキーが設けられても良い。
【0113】
原稿の画質を設定によって、例えば、画像処理部52が行う画像処理の内容が変化する。例えば、文字原稿が選択された場合、鮮明にし、くっきりとした文字とするため、画像処理部52は、エッジ強調処理(微分フィルター処理)を画像データに施す。又、写真原稿が選択された場合、滑らかな色変化を再現するため、画像処理部52は、平滑化処理(積分フィルター処理)を画像データに施す。又、「文字+写真」が選択された場合、画像処理部52は、画像データを文字領域と写真領域に分割し、それぞれの領域に、微分フィルター処理や積分フィルター処理を行う。
【0114】
そして、設定画面11aには、文字+写真キーK1、文字キーK2、写真キーK3が設けられる。使用者は、設定したい原稿の種類を示すキーを押す。何れかのキーが押されると、液晶表示部11は、有効区間の開始の遅れを検知したラインの画像データの送信方法(補正の内容)を選択して設定する設定選択領域が表示される。設定選択領域には、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データの何れかを画像データとして受信部9に出力するかを選択するためのラジオボタンR1〜R3が設けられる。使用者は、何れかのラジオボタンを押して選択を行う。又、設定選択領域は、文字+写真キーK1、文字キーK2、写真キーK3が押されるごとに表示され、原稿の画質の種類に応じて、有効区間の開始の遅れを検知したラインの画像データをどのように補正するかを選択することができる。
【0115】
そして、設定画面11aでのOKキーK4が押されると、設定内容が記憶部6に記憶される。そして、ノイズ処理部8は、原稿の読み取りに際し、操作パネル1に入力された原稿の画質の設定と記憶部6に記憶された設定内容に基づき有効区間の開始の遅れを検知したラインの画像データをどのように補正するかを確認する(ステップ♯21)。そして、有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、ノイズ処理部8は確認した補正を施したラインの画像データを受信部9に出力する(ステップ♯22)。
【0116】
そして、第2有効区間信号S2での有効区間の開始の遅れがあると、本来の有効区間よりも有効区間は短くなる。そこで、ノイズ処理部8は、有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、第1時間差分、有効区間を長くした第2有効区間信号S2を受信部9に出力する(ステップ♯23→エンド)。これにより、1ライン分の画素が足りないということは生じない。
【0117】
(ノイズ混入による有効区間の終了の遅れ検知)
次に、図5、図10、図11に基づき、実施形態に係るデータ伝送装置100で、ノイズ混入による有効区間の終了の遅れが生じたときの画像データ伝送の一例を説明する。図10は、データ伝送装置100で、ノイズ混入による有効区間の終了の遅れを説明するためのタイミングチャートである。図11は、ノイズ混入による有効区間の終了の遅れの検知制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【0118】
まず、図10を用いて、ノイズ混入による有効区間の終了の遅れを説明する。図10に示すように、第1有効区間信号S1が立ち下がる前(有効区間の完了の前、無効区間を示す状態となる前)に、第1有効区間信号S1にノイズが混入したとき(図10のt21の時点)、ノイズ処理部8は、第1有効区間信号S1の状態変化があったため、一定時間Δ1をかけて、予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングする。このとき、サンプリングにより得られたサンプリング値の全ては、状態変化後の値(Low)で一致しない。そのため、ノイズ処理部8は、ノイズと判断し、第2有効区間信号S2の状態を変化させずに保つことになる(Highで保つ)。
【0119】
ここで、ノイズ処理部8が、一定時間Δ1をかけて、予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングし、ノイズか否かを検知している間に、第1有効区間信号S1が本当に切り替わる(立ち下がる)ときがある(図10のt22の時点)。この場合、ノイズ処理部8は、ノイズと判断した後に、再び、一定時間Δ1をかけて予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングしてから、無効を示す状態(Low状態)に、第2有効区間信号S2の状態を切り替える(図10のt23の時点)。このように、第1有効区間信号S1が立ち下がる前に(無効区間を示す状態となる前に)、第1有効区間信号S1にノイズが混入すると、第1有効区間信号S1に対する第2有効区間信号S2の変化が、ノイズがないときの予め想定される一定時間Δ1分(t22〜t24の区間)よりも更に遅れる場合がある(図10において、t22〜t23の区間。一定時間Δ1+αと図示)。
【0120】
ノイズ混入により、通常の第2有効区間信号S2の変化点t24よりも更に遅れて有効区間信号が立ち下がると、通常よりも有効区間が長くなる。そのため、1ラインの画像データのうち、ノイズのため、通常よりも有効区間の終了が遅れた分(ずれ分、図10において、t24〜t23の区間。αの区間)だけ、画像データの末尾部分に余分な画素のデータが付加される。
【0121】
そうすると、1ラインあたりの画像データの画素数が変化し、伝送処理や画像処理で異常を招く可能性がある。そして、ノイズのため、通常の有効区間よりも有効区間の終了が遅れたとき、余分な画素に対する処理を行う必要がある。そのためには、ノイズにより、通常の有効区間よりも有効区間の終了が遅れたことを検知する必要がある。そこで、まず、図11を用いて、ノイズ混入による有効区間の開始の遅れの検知を説明する。
【0122】
まず、図11のスタートは、原稿の読み取りが開始され、画像読取部2で1ページ分の画像データの生成が開始された時点である。この後、送信部7から受信部9に向けて、順次、画像データが送信される。尚、本フローチャートは、1ページの画像データの伝送ごとに、スタート→エンドが繰り返される。
【0123】
そして、ノイズ処理部8は、第2水平同期信号HSYNC2の変化点(立ち下がりエッジ)から第2有効区間信号S2の変化点(立ち下がりエッジ、無効を示す状態への変化点)までの時間(図5において、時間T2)を複数ライン分、測定する(ステップ♯31)。そして、ノイズ処理部8は、測定した時間に基づき、第2基準値を定める(ステップ♯32)。例えば、ノイズ除去部80は、5〜20ライン分の変化点から変化点までの時間を計時する(画像データの全ライン数よりも少ない)。
【0124】
具体的に、ノイズ除去部80の計時部85は、第2水平同期信号HSYNC2の変化点(立ち下がり)から第2有効区間信号S2の変化点(立ち下がり、無効を示す状態への変化)までの時間を複数ライン分、計時する。そして、ノイズ除去制御部82は、計時された時間に基づき第2基準値を定め、基準値保持部84に保持させる。例えば、ノイズ除去制御部82は、計時された各時間の平均をとり第2基準値を定めても良いし(平均値)、最も多い時間を第2基準値と定めても良い(多数決)。尚、第1水平同期信号HSYNC1の変化点(立ち下がりエッジ)から第2有効区間信号S2の変化点(立ち下がりエッジ)までの時間を複数ライン分取得し、同様に基準値を定めても良い(図5に「時間T2’」と図示)
【0125】
そして、ノイズ処理部8は、現在のラインで、第2水平同期信号HSYNC2の変化点(立ち下がりエッジ)から第2有効区間信号S2の変化点(立ち下がりエッジ)までの時間と、第2基準値とを比較する(ステップ♯33)。
【0126】
そして、ノイズ処理部8は、現在のラインで、ノイズにより通常よりも有効区間がずれているか(ノイズ混入により、通常よりも第2有効区間信号S2の変化が遅れているか)を判断し、ノイズによる有効区間の終了の遅れの有無を検知する(ステップ♯34)。尚、有効区間の終了の遅れが生じているときの処理の詳細は後述する。
【0127】
具体的に、ノイズ除去制御部82は、第2基準値と第2水平同期信号HSYNC2の変化点から第2有効区間信号S2の変化点(立ち下がり、無効を示す状態への変化点)までの時間の時間差である第2時間差を求める。そして、ノイズ除去制御部82は、予め定められた許容範囲に第2時間差が収まるか否かにより、ノイズによる有効区間の開始の遅れの有無を判断する。ノイズ除去制御部82は、許容範囲を越えれば、有効区間の終了の遅れが有ると判断し、許容範囲に収まるのであれば、有効区間の終了の遅れは無いと判断する。許容範囲は、第2時間差の誤差を許容する範囲であり、予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングするために要する一定時間Δ1よりも短い時間である。
【0128】
そして、ノイズ処理部8は、第2垂直同期信号VSYNC2を確認して、全てのラインの伝送が終了したかを確認する(ステップ♯35)。もし、全てのラインの伝送が終了すれば(ステップ♯35のYes)、本フローは終了する(エンド)。一方、全てのラインの伝送が完了していなければ(ステップ♯35のNo)、第1水平同期信号HSYNC1、HSYNC2の状態変化により、次のラインの画像データの伝送が開始される(ステップ♯36)。その後、ステップ♯33に戻る。
【0129】
(有効区間の開始の遅れ検知時の処理)
次に、図10を用いて、ノイズ混入による有効区間の終了の遅れが検知されたときの処理の一例を説明する。
【0130】
図10に示すように、ノイズ混入により、通常の第2有効区間信号S2の変化点t24よりも更に遅れて有効区間信号が立ち下がると、通常よりも有効区間が長くなる。そのため、1ラインの画像データのうち、ノイズのため、通常よりも有効区間の終了が遅れた分(図10において、t24〜t23の区間で網掛けで示すαの区間)だけ、画像データの末尾部分に余分な画素のデータが付加される。
【0131】
そこで、ノイズ処理部8は、有効区間の終了の遅れを検知したラインでは、第2基準値よりも後の有効区間を無効区間とするように、第2有効区間信号S2の状態を変化させる。言い換えると、本来の有効区間信号の終了する時点である変化点t24で第2有効区間信号S2を立ち下げる。これにより、有効区間の終了の遅れが検知されたラインで、ラインの画像データに余分な画素のデータの付加を防ぐことができる。
【0132】
あるいは、ノイズ処理部8は、有効区間の終了の遅れを検知したラインでは、受信部9に第2基準値よりも後の有効区間で受信したデータを破棄する指示を与え、受信部9が、第2基準値よりも後の有効区間で受信したデータを無効と扱うようにしてもよい。
【0133】
このようにして、本実施形態のデータ伝送装置100は、画像データと、画像データが有効か無効かを示す第1有効区間信号S1と、予め定められた1ライン分の周期で状態が変化し、ラインの切り替わりを示す同期信号(例えば、第1水平同期信号HSYNC1)を送信する送信部7と、画像データと第1有効区間信号S1と同期信号の入力を受け、画像データと同期信号(例えば、第2水平同期信号HSYNC2)を出力するとともに、第1有効区間信号S1の状態が変化したとき、予め定められた回数、第1有効区間信号S1の状態をサンプリングし、連続して同じ状態が所定回数続くと続いた状態に論理を切り替えて、第1有効区間信号S1からノイズを除去した第2有効区間信号S2を生成し、出力するノイズ処理部8と、ノイズ処理部8が出力した画像データと同期信号(例えば、第2水平同期信号HSYNC2)と第2有効区間信号S2が入力され、第2有効区間信号S2に基づき、画像データが有効な区間であるか否かを認識し、有効区間の画像データを取得する受信部9と、を含み、ノイズ処理部8は、複数ライン分、同期信号の変化点から第2有効区間信号S2の変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき基準値を求め、基準値と同期信号の変化点から第2有効区間信号S2の変化点までの時間を各ラインで比較し、第1有効区間信号S1へのノイズ混入による有効区間のずれの有無を検知する。
【0134】
これにより、第1有効区間信号S1の変化点に近いタイミングで生じたノイズの除去処理によって、第2有効区間信号S2で示される有効区間にずれが生じたラインを検知することができる。
【0135】
又、ノイズ処理部8は、複数ライン分、同期信号(例えば、第2水平同期信号HSYNC2)の変化点から区間が有効になったことを示す第2有効区間信号S2の第1変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき第1基準値を求め、第1基準値と、各ラインの同期信号の変化点から第1変化点までの時間差である第1時間差が予め定められた許容範囲に収まるか否かにより、有効区間の開始の遅れの有無を検知する。これにより、第2有効区間信号S2が有効を示す状態になる時点(有効区間の開始時点)のずれ(遅れ)の発生を検知することができる。
【0136】
又、ノイズ処理部8は、ラインの画像データを記憶するラインメモリー81を含み、有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データの何れかを画像データとして受信部9に出力し、有効区間の開始の遅れを検知しないラインでは、送信部7が送信した画像データを受信部9に入力する。これにより、ノイズにより第2有効区間信号S2で有効区間の開始を示す変化点がずれ、受信部9での画像データ取得開始が遅れても、ずれたラインでの画像データの内容を補正することができる。そして、有効区間の開始にずれが生じても、画質への影響を軽減することができる。
【0137】
又、ノイズ処理部8は、有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、第1時間差分、有効区間を長くした第2有効区間信号S2を受信部9に出力する。これにより、第2有効区間信号S2での有効区間の開始の遅れに伴い、短くなってしまった有効区間を通常の有効区間の長さに戻し、1ライン分のデータの全てを受信部9に取得させることができる。
【0138】
又、有効区間の開始の遅れを検知したラインに対し、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データのうち、何れを画像データとして受信部9に出力するかの選択を受け付ける入力部(操作パネル1)を含み、ノイズ処理部8は、入力部への選択入力に応じ、有効区間の開始の遅れを検知したラインで、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データを画像データとして受信部9に出力する。これにより、使用者は、ノイズにより有効区間がずれたラインでの画像データの内容の補正方法を選択することができる。従って、使用者は、任意の補正方法で有効区間がずれたラインでの画像データを補正することができる。
【0139】
又、入力部は、送信部7から送信する画像データの種類を定める入力と、画像データの種類に応じて、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データのうち、何れを画像データとして受信部9に出力するかを定める入力を受け付け、ノイズ処理部8は、有効区間の開始の遅れを検知したラインで、画像データの種類に応じ、空白データ、前のラインの画像データ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインの画像データを画像データとして受信部9に出力する。これにより、例えば、文書の画像データでは、前のラインのデータ、又は、第1時間差分ずらした現在のラインのデータで補正し、文字の輪郭の乱れによる画質の劣化を低減し、写真等の画像データでは、空白データで画質の劣化を低減するというように、ノイズが発生したラインに対し、画像データの種類に応じて所望の補正を行うことができる。
【0140】
又、ノイズ処理部8は、複数ライン分、同期信号(例えば、第2水平同期信号HSYNC2)の変化点から区間が無効になったことを示す第2有効区間信号S2の第2変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき第2基準値を求め、第2基準値と各ラインの同期信号の変化点から第2変化点までの時間差である第2時間差が予め定められた許容範囲に収まるか否かにより、有効区間の終了の遅れの有無を検知する。これにより、第2有効区間信号S2が無効となった時点(有効区間の終了時点)のずれ(遅れ)の発生を検知することができる。
【0141】
又、ノイズ処理部8は、有効区間の終了の遅れを検知したラインでは、第2基準値よりも後の有効区間を無効区間とするように、第2有効区間信号S2の状態を変化させる。これにより、ノイズにより有効区間の終了を示す第2有効区間信号S2の変化点がずれ、受信部9での画像データ取得完了が遅れても、ずれたラインでの画像データの内容への影響を軽減することができる。
【0142】
又、画像形成装置(例えば、複合機101)は、データ伝送装置100を含む。従って、画像データの伝送の同期に用いる信号にノイズ混入による有効区間のずれを検知可能な画像形成装置を提供することができる。又、画質への影響が軽減された画像データに基づき印刷を行うことができるので、印刷物が高画質の画像形成装置を提供することができる。
【0143】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明は、データ伝送装置やデータ伝送装置を搭載した画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0145】
100 データ伝送装置 101 複合機(画像形成装置)
1 操作パネル(入力部) 2 画像読取部
7 送信部 8 ノイズ処理部
81 ラインメモリー 9 受信部
S1 第1有効区間信号 S2 第2有効区間信号
HSYNC1 第1水平同期信号(同期信号)
HSYNC2 第2水平同期信号(同期信号)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データと、前記画像データが有効か無効かを示す第1有効区間信号と、予め定められた1ライン分の周期で状態が変化し、ラインの切り替わりを示す同期信号を送信する送信部と、
前記画像データと前記有効区間信号と前記同期信号の入力を受け、前記画像データと前記同期信号を出力するとともに、前記第1有効区間信号の状態が変化したとき、予め定められた回数、前記第1有効区間信号の状態をサンプリングし、連続して同じ状態が所定回数続くと続いた状態に論理を切り替えて、前記第1有効区間信号からノイズを除去した第2有効区間信号を生成し、出力するノイズ処理部と、
前記ノイズ処理部が出力した前記画像データと前記同期信号と前記第2有効区間信号が入力され、前記第2有効区間信号に基づき、前記画像データが有効な区間であるか否かを認識し、有効区間の前記画像データを取得する受信部と、を含み、
前記ノイズ処理部は、複数ライン分、前記同期信号の変化点から前記第2有効区間信号の変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき基準値を求め、前記基準値と前記同期信号の変化点から前記第2有効区間信号の変化点までの時間を各ラインで比較し、前記第1有効区間信号へのノイズ混入による前記有効区間のずれの有無を検知することを特徴とするデータ伝送装置。
【請求項2】
前記ノイズ処理部は、複数ライン分、前記同期信号の変化点から区間が有効になったことを示す前記第2有効区間信号の第1変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき第1基準値を求め、前記第1基準値と、各ラインの前記同期信号の変化点から前記第1変化点までの時間差である第1時間差が予め定められた許容範囲に収まるか否かにより、前記有効区間の開始の遅れの有無を検知することを特徴とする請求項1記載のデータ伝送装置。
【請求項3】
前記ノイズ処理部は、ラインの画像データを記憶するラインメモリーを含み、前記有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データの何れかを画像データとして前記受信部に出力し、前記有効区間の開始の遅れを検知しないラインでは、前記送信部が送信した前記画像データを前記受信部に入力することを特徴とする請求項2に記載のデータ伝送装置。
【請求項4】
前記ノイズ処理部は、前記有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、前記第1時間差分、前記有効区間を長くした前記第2有効区間信号を前記受信部に出力することを特徴とする請求項2又は3に記載のデータ伝送装置。
【請求項5】
前記有効区間の開始の遅れを検知したラインに対し、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データのうち、何れを画像データとして前記受信部に出力するかの選択を受け付ける入力部を含み、
前記ノイズ処理部は、前記入力部への選択入力に応じ、前記有効区間の開始の遅れを検知したラインで、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データを前記画像データとして前記受信部に出力することを特徴とする請求項3又は4に記載のデータ伝送装置。
【請求項6】
前記入力部は、前記送信部から送信する画像データの種類を定める入力と、前記画像データの種類に応じて、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データのうち、何れを画像データとして前記受信部に出力するかを定める入力を受け付け、
前記ノイズ処理部は、前記有効区間の開始の遅れを検知したラインで、前記画像データの種類に応じ、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データを前記画像データとして前記受信部に出力することを特徴とする請求項5に記載のデータ伝送装置。
【請求項7】
前記ノイズ処理部は、複数ライン分、前記同期信号の変化点から区間が無効になったことを示す前記第2有効区間信号の第2変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき第2基準値を求め、前記第2基準値と各ラインの前記同期信号の変化点から前記第2変化点までの時間差である第2時間差が予め定められた許容範囲に収まるか否かにより、前記有効区間の終了の遅れの有無を検知することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のデータ伝送装置。
【請求項8】
前記ノイズ処理部は、前記有効区間の終了の遅れを検知したラインでは、前記第2基準値よりも後の前記有効区間を無効区間とするように、前記第2有効区間信号の状態を変化させることを特徴とする請求項7に記載のデータ伝送装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載のデータ伝送装置を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
画像データと、前記画像データが有効か無効かを示す第1有効区間信号と、予め定められた1ライン分の周期で状態が変化し、ラインの切り替わりを示す同期信号を送信する送信部と、
前記画像データと前記有効区間信号と前記同期信号の入力を受け、前記画像データと前記同期信号を出力するとともに、前記第1有効区間信号の状態が変化したとき、予め定められた回数、前記第1有効区間信号の状態をサンプリングし、連続して同じ状態が所定回数続くと続いた状態に論理を切り替えて、前記第1有効区間信号からノイズを除去した第2有効区間信号を生成し、出力するノイズ処理部と、
前記ノイズ処理部が出力した前記画像データと前記同期信号と前記第2有効区間信号が入力され、前記第2有効区間信号に基づき、前記画像データが有効な区間であるか否かを認識し、有効区間の前記画像データを取得する受信部と、を含み、
前記ノイズ処理部は、複数ライン分、前記同期信号の変化点から前記第2有効区間信号の変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき基準値を求め、前記基準値と前記同期信号の変化点から前記第2有効区間信号の変化点までの時間を各ラインで比較し、前記第1有効区間信号へのノイズ混入による前記有効区間のずれの有無を検知することを特徴とするデータ伝送装置。
【請求項2】
前記ノイズ処理部は、複数ライン分、前記同期信号の変化点から区間が有効になったことを示す前記第2有効区間信号の第1変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき第1基準値を求め、前記第1基準値と、各ラインの前記同期信号の変化点から前記第1変化点までの時間差である第1時間差が予め定められた許容範囲に収まるか否かにより、前記有効区間の開始の遅れの有無を検知することを特徴とする請求項1記載のデータ伝送装置。
【請求項3】
前記ノイズ処理部は、ラインの画像データを記憶するラインメモリーを含み、前記有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データの何れかを画像データとして前記受信部に出力し、前記有効区間の開始の遅れを検知しないラインでは、前記送信部が送信した前記画像データを前記受信部に入力することを特徴とする請求項2に記載のデータ伝送装置。
【請求項4】
前記ノイズ処理部は、前記有効区間の開始の遅れを検知したラインでは、前記第1時間差分、前記有効区間を長くした前記第2有効区間信号を前記受信部に出力することを特徴とする請求項2又は3に記載のデータ伝送装置。
【請求項5】
前記有効区間の開始の遅れを検知したラインに対し、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データのうち、何れを画像データとして前記受信部に出力するかの選択を受け付ける入力部を含み、
前記ノイズ処理部は、前記入力部への選択入力に応じ、前記有効区間の開始の遅れを検知したラインで、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データを前記画像データとして前記受信部に出力することを特徴とする請求項3又は4に記載のデータ伝送装置。
【請求項6】
前記入力部は、前記送信部から送信する画像データの種類を定める入力と、前記画像データの種類に応じて、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データのうち、何れを画像データとして前記受信部に出力するかを定める入力を受け付け、
前記ノイズ処理部は、前記有効区間の開始の遅れを検知したラインで、前記画像データの種類に応じ、空白データ、前のラインの画像データ、又は、前記第1時間差分ずらした現在のラインの画像データを前記画像データとして前記受信部に出力することを特徴とする請求項5に記載のデータ伝送装置。
【請求項7】
前記ノイズ処理部は、複数ライン分、前記同期信号の変化点から区間が無効になったことを示す前記第2有効区間信号の第2変化点までの時間を測定し、測定した時間に基づき第2基準値を求め、前記第2基準値と各ラインの前記同期信号の変化点から前記第2変化点までの時間差である第2時間差が予め定められた許容範囲に収まるか否かにより、前記有効区間の終了の遅れの有無を検知することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のデータ伝送装置。
【請求項8】
前記ノイズ処理部は、前記有効区間の終了の遅れを検知したラインでは、前記第2基準値よりも後の前記有効区間を無効区間とするように、前記第2有効区間信号の状態を変化させることを特徴とする請求項7に記載のデータ伝送装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載のデータ伝送装置を含むことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−51482(P2013−51482A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187130(P2011−187130)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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