説明

データ信号適応平均化方法及び装置

【課題】生理的パラメータを計測するためのシステムでのノイズによる影響を低減する方法を与える。
【解決手段】生理的パラメータを計測するためのシステムにおいてノイズによる影響を低減するための方法は、(a)生物組織を通じて伝達される電磁エネルギーの少なくとも一つの波長から導かれる複数の計測値を生成する工程、(b)前記計測値の推定値を算出する工程、(c)前記計測値と前記算出された推定値とを比較する工程、(d)前記比較した結果に基づいて複数の重みのうちの一つを前記計測値に割り当てることによって、前記計測値に重み付けを行う工程、(e)前記重み付けがなされた複数の計測値を平均化する工程、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理的パラメータを計測するための方法及び装置に関し、特に、生理的パラメータを計測するためのシステムにおいてノイズによる影響を低減するための方法及び装置に関する。特に、データ信号を適応的に平均化するための方法及び装置に関する。本発明は、パルス酸素計にフィルタリング処理技術を用いて、動脈血のヘモグロビンの酸素飽和度を予測する。
【背景技術】
【0002】
パルス酸素計は、典型的に、動脈血のヘモグロビンの酸素飽和度に限らず、様々な血流特性を計測、表示する。酸素計は、光を指や耳といった血液灌流組織を通過させ、組織での光吸収を光学的に感知する。次に、光吸収量は、計測されるべき血液構成成分(例えば、オキシヘモグロビン)量を計算するために使用される。
【0003】
組織を通過する光には、一つ又はそれ以上の波長のものが選択され、この波長の光は、血液に存在する血液構成成分量を表す量だけ血液に吸収される。組織を通過する光の量は、組織の血液構成成分及び関係する光吸収の変化量に従って変化する。次に、飽和度は、Beer-Lambertの法則に基づいて計算される。伝統的に、飽和度は、二つの波長(例えば、赤色光及び赤外光)での光吸収度を計測することによって決定される。飽和度は、次に、米国特許第4802486号、米国特許第4911167号、米国特許第4928692号、米国特許第4969254号、米国特許第5078136号及び米国特許第5485847号に開示されるように、“比率の比率(ratio of ratios)”の値を求めることによって計算できる。
【0004】
組織を通過する光学信号は、ノイズ及びモーションアーチファクト(motion artifact)により劣化する。ノイズ源の一つは、光検出器に到達する周囲の光である。他のノイズ源は、他の電子機器からの電磁的な接続である。患者のモーションもまた、ノイズを発生し、信号に影響を与える。例えば、検出器と皮膚との間の接続やエミッタと皮膚との間の接続が、いずれか一方が皮膚から離れるように動くと、一時的に中断される。また、血液が流体であることから、周囲の組織と異なって慣性効果に応答して酸素計のプローブが取り付けられる場所で瞬間的にその体積を変化させることになる。
【0005】
モーションアーチファクトは、医者が気づくことなく、医者の頼るところのパルス酸素計信号を劣化させる。これは、特に、患者のモニターが遠隔にある場合やモーションが小さすぎる場合、又は医者がセンサーの取付位置ではなく患者の機器や他の部分をみている場合に起こる。
【0006】
モーション検出のために加速度計を使用する酸素計システムが米国特許第5025791号に開示される。モーションが検出されると、モーションによる読取り値が、誤りとして除去されるか又は指示される。典型的な酸素計では、脈拍信号の最上点と最下点でとられた計測値を使用して所望の特性を計算する。モーションにより最上点に誤りが生じ、この結果、計測値が、誤った値で、誤った時間に記録されるものとなる。
【0007】
EKG信号をモニターし、酸素計の読取り値と相関して、酸素計の読取り値上のノイズ及びモーションによる影響を制限するように同期させる他のシステムが米国特許第4802486号に開示される。これは、周期的なモーション信号にロックする酸素計の機会を低減させる。
【0008】
米国特許第5078136号に開示されるシステムは、酸素計信号を解析するのに直線補間及び変化率技術を使用して、ノイズ及びモーションアーチファクトによる影響を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5025791号明細書
【特許文献2】米国特許第4802486号明細書
【特許文献3】米国特許第5078136号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、様々な重みが異なった計測値に割り当てられ、フィルター計測値を得るために、重み付き計測値が平均化される、ところの生理的パラメータ(例えば、血中酸素飽和度)を計測するためのシステムにおいてノイズによる影響を低下させるための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第一の態様は、生理的パラメータを計測するためのシステムにおいてノイズによる影響を低減するための方法を提供する。当該方法は、
(a)生物組織を通じて伝達される電磁エネルギーの少なくとも一つの波長から導かれる複数の計測値を生成する工程、
(b)前記計測値の推定値を算出する工程、
(c)前記計測値と前記算出された推定値とを比較する工程、
(d)前記比較した結果に基づいて複数の重みのうちの一つを前記計測値に割り当てることによって、前記計測値に重み付けを行う工程、
(e)前記重み付けがなされた複数の計測値を平均化する工程、
を含む。
【0012】
本願発明の他の態様は、生理的パラメータを計測するためのシステムにおいてノイズによる影響を低減させるための装置を提供する。当該装置は、
(a)生物組織を通じて伝達される電磁エネルギーの少なくとも一つの波長から導かれる複数の計測値を生成する手段、
(b)前記計測値の推定値を算出する手段、
(c)前記計測値と前記算出された推定値とを比較する手段、
(d)前記比較した結果に基づいて複数の重みのうちの一つを前記計測値に割り当てることによって、前記計測値に重み付けを行う手段、
(e)前記重み付けがなされた複数の計測値を平均化する手段、
を備える。
【0013】
本発明は、生理的パラメータが時間とともにどのように変化し、これらパラメータがノイズ環境で計測値にどのように関係するかを説明するために、数学的モデルを使用するフィルタリング処理技術を使用する。このようなフィルタは、生理的パラメータの最適な予測値に到達するように、平均重み及び平均時間の組を変更することができる。
【0014】
本発明の技術は、動脈血のヘモグロビンの酸素飽和度を決定するために、パルス酸素計に関連して使用できる。少なくとも部分的に、帯域外ノイズを除くために、バンドパスフィルターが使用され、0.5Hz以下、10Hz以上のデータを減衰することができる。フィルタリング処理後のデータは、次に、後述する飽和度計算アルゴリズムを使用して処理される。
【0015】
本発明は、適応フィルタリング処理技術(例えば、カルマン(Kalman)フィルター法)を利用して、血液酸素飽和度を計算する。カルマンフィルター法は、パラメータが時間とともに変化するとき、最小二乗的にパラメータを一致させることができる。伝統的な、予測量を平均化又はローパスフィルタリング処理する古典的最小二乗法(CLS)を利用できる。カルマンフィルター法は、実質的に同一の結果を達成するが、カルマンフィルターは、平均化の最適量を計算する。適当なカルマンフィルターアルゴリズムは、「Introduction to Random Signals and Applied Kalman Filtering」(R G Brown及びP Y C Hwang著、第2版、1992年、John Willey & Sons)に開示される。カルマンフィルター定理を利用したカルマン心拍同期平均化プロセッサが酸素飽和度の計算に使用され、このプロセッサは、例えば、心拍数を計算するためのアルゴリズムにより供給され、又はECG波形からの心拍数に基づいたトリガーにより同期化される。酸素計から心拍数を計算するための技術の詳細は「Method and Apparatus for measuring Pulse Rate and Saturation」(国際出願番号PCT/IB97/00290)(代理人用整理番号P21988B)に開示される。これに開示される情報は、本出願に参照文献として組み入れられる。
【0016】
カルマンフィルターを使用すると、本発明は、適当な前処理データを、適当な減光係数を使用してオキシヘモグロビン及び全ヘモグロビン濃度に対応する量に変換することを含む。これら二つの変換量のある瞬間の比は、飽和度を与える。ある瞬間の飽和度値は、減光係数を使用するか又は比率の比率から直接的に計算され得る。この方法は、(所望の場合、最大値又は最小値は使用され、カルマンフィルタリング処理されるが、)パルス探索アルゴリズムのような最大値又は最小値を探索する必要がない。最大値/最小値の比(つまり、事象ベースのアルゴリズム)ではなく、ある瞬間の比(つまり、時間ベースのアルゴリズム)を使用することは、それが到達すると事象を払いのけデータを修正するコードを維持する。したがって、本発明の方法は、パルス探索、事象ベースの飽和度計算アルゴリズムよりも簡単に適用できる点に利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、患者のヘモグロビンの酸素飽和度のような生理的パラメータを計測するための装置の略図である。
【図2】図2は、図1に示す装置でのデータフローを示すブロック図である。
【図3】図3は、古典的最小二乗アルゴリズムの性能とカルマンアルゴリズムの性能を比較するグラフである。
【図4】図4は、カルマン心拍同期平均化フィルターの入出力を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照すると、図1は、患者のヘモグロビンの酸素飽和度のような生理的パラメータを計測するための装置をしめす。センサー/酸素計組合せ60は、センサー61、及び酸素計モニター62、から構成される。センサー61は、それぞれ、赤外線及び赤色スペクトル範囲の波長放出特性を典型的に有するLED63、64を含む。光ダイオードセンサー65が、LED63、64によって伝えられた光を受信する。抵抗器66(又は同様の電気的インピーダンス要素)は、インピーダンス値を波長に関連付けるテーブルにより特定される特定波長または波長の組み合わせに対応して選択される。デコード手段67が、抵抗器66のインピーダンス値を決定し、特定のセンサー61の送信特性に対応する適当な減光係数が生成される。よって、酸素計は、再校正せずに様々な波長の光を放出するLEDを有する様々なセンサーと一緒に使用できる。センサー61は、コネクター手段68によって酸素計モニター62に着脱可能に連結される。このようなセンサー/酸素計組合せの一例は、米国特許第4621643号に開示される。
【0019】
センサーから受信したデータは、図2に示すスキームに従って処理される。それは、米国特許第5348004号に開示されるタイプの装置を使用して処理できる。最初の処理工程1、2では、(通常、赤色及び赤外LEDからの)データの自然対数がとられ、データは、バンドパスフィルタリング処理される(工程1)。次に、フィルタリング処理されたデータは、酸素飽和度の計算用のアルゴリズムによって処理される。フィルタリング処理されたデータを処理するためのアルゴリズムは、カルマンフィルタリング処理を使用でき(工程11)、これは、心拍同期平均化しても、しなくてもよい(工程9)。これらフィルタリング処理技術は、上記の刊行物「Introduction to Random Signals and Applied Kalman Filtering」に開示される。
【0020】
カルマンフィルタリング処理を使用すると、予測されるべきパラメータx(例えば、酸素飽和度又は心拍数)が、幾らか周期的に、時間的に変化する。x値が、ある時間の幾らかのサンプルで知られている場合、xは、直前の値からの変化が少しだけ又は全くないことが期待され得る。Qは、この差の分散である。パラメータxは、直接的に計測されない。実際に計測されるのは、パラメータzであり、これは、xに一定値Hを掛け、これに計測ノイズを加えたものである。Rは、この計測ノイズの分散である。これらは、下記のように書ける。
【0021】
=xk−1+n
=H+n
zを知ってx値を予測できる能力及びxの最終的な予測は、R及びQにより量化された二つのノイズに関連する。カルマンフィルターは、予測誤差Pと呼ばれるパラメータで、二つのノイズを量化する。カルマンフィルターは、また、カルマン利得Kと呼ばれる中間項を使用する。P−1は、ゼロ値で初期化される。次に、各々の新しいデータ点Kでは、以下の工程が行われる。
【0022】
−1=Pk−1−1+H−1
=P−1
=xk−1+K(z−Hk−1
k+1=P+Q
カルマンフィルター(工程11)で、飽和度は変化でき、モデルは、二つの部分に分けられる。第一の部分は、
=u+n
である。
【0023】
つまり、伝達される前処理したデータの比は、計測ノイズを除いた飽和度値である。データの点在は、ノイズ分散の実時間計測値を与える。第二の部分は、平均飽和度が経時変化しないが、それが変化するならば、その変化の標準偏差は実測可能な変化率のある一定値Q1/2であることを示す。つまり、第二の部分は、
=sk−1+n
である。
【0024】
この第二の方程式は、飽和度が2秒間に10ポイントだけ変化した場合にそれが計測ノイズに起因するものであることを認知する能力をカルマンフィルターに与える。次に、カルマンフィルターは、直前の値とともに、計算した飽和度をさらに平均化し、この変化を、生理学で期待されるものにさらに一致させる。対照的に、この変化が境界内である場合は、カルマンフィルターは、ほんの少しだけ平均化する。
【0025】
Rの値は、最後のNポイント上のusとvとの間の差から予測される、ここで、使用者は、値Nを特定する。一つの実施例では、飽和度のためのカルマンモデルは、また、パルスのより小さい部分に小さい重みを与え、より大きい部分に大きい重みを与え、実際の分散に小さい増分値を加えて、計測システムの誤差固有値(例えば、ハードウェアノイズ)を表す。
【0026】
第二のカルマンフィルター(工程12)では、カルマンフィルターは、変化を飽和度の時間微分に制限する。このフィルターの方程式は、飽和度の時間分散が統計的に経時変化しないことを示す。
【0027】
dx/dt=dxk−1/dt+n
dz/dt=dx/dt+n
ここで、zは、第一のカルマンフィルターからの飽和度の予測値であり、xは、変化をその時間微分に制限した後の飽和度の予測値である。この実施例では、パラメータnは、実測された変化率の第二の微分に対応するように選択されることが好適であり、nがそのデータから予測される。カルマンフィルターの一般形では、これら二つの別々のフィルターは、一つのフィルターに組み合わせることができる。これらを別々に分けることによって、行列代数を使用する必要が除かれ、各カルマンフィルターを別々に試験できる。
【0028】
計測ノイズは、使用されるデータ値の周りのウィンドウを中心に置く(又はセンターリングする)ことによって予測される。このセンターリングは、ノイズのより正確な予測値を与えるが、半分のウィンドウ長さだけカルマンフィルターの出力を遅らせる。1秒のウィンドウが使用されると、フィルターがモーションに直ぐに応答し、飽和度予測値での1/2秒の遅れは、臨床的に著しいものではない。
【0029】
心拍同期平均化カルマンフィルタリング処理
カルマンCGA(Kalman cardiac gated averaging)アルゴリズムは、カルマン飽和度アルゴリズムと直列的に適用される(工程8、9)。カルマンCGAプロセッサは、継続する血量計パルス又は波形を最適に平均化して、最適な血量計波形を作り出す。下記の第一の方程式は、計測ノイズを除く、計測血量計形状と平均化血量計波形とを相関する。
【0030】
=x+n
Q値は、データから予測される。以下の方程式に従って、新しいパルスは、許容できる数パーセント以上、平均化血量計パルスと異なり得ない。
【0031】
=xk−N+n
カルマン心拍同期平均化モデルは、入力波形が著しく変化した場合、より多数のデータポイントを自動的に平均化し、波形が、期待される生理的な変化に基づいた仮説に従う場合、直ちに更新する能力を有する。カルマン同期平均化は、米国特許第4802486号に開示されるような、ネルコー・インコーポレイテッドから入手可能の酸素計(N200及びN3000(商標))に使用される従来技術の飽和度計算方法を著しく改善する。図4は、本発明の一つの実施例に従ったカルマンフィルターの入出力の例を示す。トリガー波形100は、ECGのR波又は心拍計算方法からのものである。未修正データ波形102は、モーションにより損なわれたものであり、可変平均化により、カルマン心拍同期平均化技術が、規則的なフィルタリング処理後の波形104を維持させることができる。予測される残余106は、計測データ上のノイズと時間的によく相関する。
【0032】
カルマン心拍同期平均化技術が、CLS飽和度計算技術、カルマン飽和度計算技術又はその他の技術のうちのいずれかによって処理するための酸素計データパルスを成形するために使用され得る。いずれかの実施例は、心拍同期平均化トリガーのように酸素計データを処理するアルゴリズムによって生成される心拍数又はECG心拍数を使用できる。カルマン飽和度計算技術は、カルマン心拍同期平均化技術なしで使用できる。
【0033】
図2を参照すると、二つの飽和度値が、バンドパスフィルターからのデータから計算される。一つの飽和度値は、ECG波形からのトリガーを使用し、ハーモニックフィルター(工程7)及び心拍同期平均化を有するカルマンフィルターを使用して得られる。ハーモニックフィルター(工程7)は、心拍数の整数倍のエネルギーのみがフィルターを通過できるように、IR及び赤色波をデジタル式にフィルタリング処理する。ハーモニックフィルター(工程7)の応答は、それに印加される心拍数信号とともに変化し、心拍数にないモーション及びノイズエネルギーを減衰させる。このアレンジメントでは、これに続くカルマンCGAによるフィルタリング処理(工程9)及び/又は後述する飽和度計算(工程11)アルゴリズムが、幾らかの重み化及び平均化を、フィルタリング処理後のデータストリームに基づいて、IR及び赤色データストリームに適用する。
【0034】
本発明の装置に使用し得る、ノイズによる液強を低減するハーモニックフィルターの使用の詳細は、本出願と同時に出願した「Method and Apparatus for Harmonically Filtering Data」(国際出願番号PCT/IB97/00293)(代理人用整理番号P21977D)に開示される。本発明の装置に使用し得る、ノイズによる影響を低減する適応組合せフィルタリング処理の使用の詳細は、本出願と同時に出願した「Method and Apparatus for Measuring Measuring Pulse Rate and Saturation」(国際出願番号PCT/IB97/00290)(代理人用整理番号P21977B)に開示される。
【0035】
本発明のこれら特徴に関する情報は、これら出願書類に開示され、参照文献として、本出願の明細書に組み入れる。
【0036】
第二の飽和度値は、カルマンフィルター(工程11)を適用することによって得られる。事象ベースの心拍同期平均化を有する第一のカルマンフィルターとは対照的に、第二のフィルターは時間ベースである。第二のフィルターは、バンドパスフィルターからのデータ及び第一のフィルターからのデータで動作する。第二のフィルターの適用の前に、不可能な飽和度計算(例えば、負の飽和度)になるデータポイントが除去される(工程10)。第二のフィルターの適用後、最も良好な飽和度値が、各値に関連した信頼レベルに従って選択される(工程12)。
【0037】
第二のフィルター後の飽和度値は、どれをどのように表示するかを決定する適当な後処理を行った後に表示される(工程14)。酸素飽和度の信頼レベルは、どの飽和度が信頼できるかを決定する、酸素計データで行われるアルゴリズムから入手可能の計量から予測できる。例えば、信頼レベルは、飽和度レベルを計算する信号の存続時間及び予測値からのそのレベルの分散に従って決定できる。飽和度レベルの信頼性を評価する技術のより詳細は、本出願と同時に出願した「Method and Apparatus for Arbitrating to obtain Best Estimates for Blood Constituent Values and Rejecting Harmonics」(国際出願番号PCT/IB97/00292)(代理人用整理番号P21977C)に開示される。本発明のこれら特徴に関する情報は、この出願書類に開示され、参照文献として本出願の明細書に組み入れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理的パラメータを計測するためのシステムにおいてノイズによる影響を低減するための方法であって、
(a)生物組織を通じて伝達される電磁エネルギーの少なくとも一つの波長から導かれる複数の計測値を生成する工程、
(b)前記計測値の推定値を算出する工程、
(c)前記計測値と前記算出された推定値とを比較する工程、
(d)前記比較した結果に基づいて複数の重みのうちの一つを前記計測値に割り当てることによって、前記計測値に重み付けを行う工程、
(e)前記重み付けがなされた複数の計測値を平均化する工程、
を含む方法。
【請求項2】
前記工程(e)における平均化の対象となる重み付き計測値の数が、前記工程(d)の結果に応じて変化する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記複数の重みが、少なくとも二つの波長からのデータを組み合わせることによって得られる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
各計測値に割り当てられる重みが、当該計測値とその直前に得られた計測値との間の変化量に基づいたものである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
カルマンフィルタを用いることによって、前記工程(b)から(e)を実行する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
生理的パラメータを計測するためのシステムにおいてノイズによる影響を低減するための装置であって、
(a)生物組織を通じて伝達される電磁エネルギーの少なくとも一つの波長から導かれる複数の計測値を生成する手段、
(b)前記計測値の推定値を算出する手段、
(c)前記計測値と前記算出された推定値とを比較する手段、
(d)前記比較した結果に基づいて複数の重みのうちの一つを前記計測値に割り当てることによって、前記計測値に重み付けを行う手段、
(e)前記重み付けがなされた複数の計測値を平均化する手段、
を備える装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−172442(P2009−172442A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116451(P2009−116451)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【分割の表示】特願平10−545318の分割
【原出願日】平成9年3月21日(1997.3.21)
【出願人】(591191572)ネルコー ピューリタン ベネット エルエルシー (22)
【Fターム(参考)】