説明

データ入力機器およびその画面レイアウト方法

【課題】複数の画面キーにタッチすることによりデータを入力する複数のキーを少ないステップで迅速にレイアウト可能にするデータ入力機器およびその画面レイアウト方法を提供する。
【解決手段】適宜変更可能なベースキーの位置、このベースキーに対する他のキーの間隔およびベースキーの選択/解除を行うキー整列パラメータを設定し、複数のキーを表示し、これらのキーからタッチによりベースキーを選択し、ベースキーの位置を定め、このベースキーに関連するグループの他のキーにタッチして所定間隔でレイアウトする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ入力機器およびその画面レイアウト方法に関し、特にPOSアプリケーションの売り上げ画面作成時にキー、ラベル等(以下「キー」という)を配置した後、ユーザが意図するようにキーを簡単且つ迅速に整列配置(レイアウト)可能にするデータ入力機器およびその画面レイアウト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数のデータをコンピュータ等の情報(又はデータ)処理装置に入力するためにデータ入力機器が開発され、種々の分野において広く普及している。斯かる情報処理装置は、そのデータ処理速度および取り扱えるデータ量がますます増加しているので、データ入力機器のデータ入力は、高精度であることは勿論であるが、簡単且つ迅速に行えることが要求される。
【0003】
典型的なデータ入力機器は、例えばスーパーマーケット(スーパー)やコンビニエンスストア(コンビニ)等の小売店舗等で、顧客が選択した商品をレジカウンタへ運んで会計処理を行う際の会計処理に使用されるPOS(Point of Sales)端末である。
【0004】
斯かるPOS端末におけるデータ入力(又は登録)は、店員が入力操作するキーボードや商品に添付されたバーコードを光学的に読み取るバーコードリーダ等が一般的である。しかし、例えば、社員食堂、ファミリーレストラン、ファーストフード店等の比較的限られた商品(又はメニュー)を用意し、顧客の注文に応じて迅速に準備又は調理して提供するような場合には、商品にバーコード等が添付されていないので、バーコードリーダ等により迅速にデータ入力することができない。そこで、データ入力機器の液晶表示パネル(LCD)上の所定の部分に指等で触れる(即ち、タッチする)ことにより、タッチされた部分に対応するデータを入力(又は登録)する、所謂「タッチ画面」又は「ソフトキー」による入力が便利である。
【0005】
斯かるタッチ画面方式によるデータ入力は、表示画面上の複数の部分に、文字、図形、写真又はこれらの組み合わせを表示させ、操作者がタッチすることにより、それに対応するデータが入力される。従って、操作性に優れ、迅速なデータ入力が可能であると共に他の方法によるデータ入力よりも正確(即ち、最少入力エラーで)に入力可能である。
【0006】
しかし、斯かるタッチ画面によるデータ入力は、表示画面の表示面積(画面スペース)が有限であるので、一度に表示される(又は表示選択可能な)キーの個数に制限がある。そこで、実際の運用では、それぞれ必要なキーが配置された複数の画面を用意し、これらの画面を切り替えることにより必要な商品(又はデータ)を入力するのが一般的である。
【0007】
例えば、ハンバーガーショップ等では、その店で提供可能な商品のカテゴリにより、「ハンバーガー類」の画面、「フライ類」の画面、「ドリンク類」の画面、「サブメニュー類」の画面、「マネージャー用」の画面等を用意し、店員(オペレータ)がその都度切り替えてデータ入力する。
【0008】
斯かる技術分野における又は関連する従来技術は、幾つかの文献に開示されている。フリーキーレイアウトの設定におけるキー数、キーサイズ、キー形状等の変更を容易に行えるフリーキーレイアウト設定装置が開示されている(特許文献1参照。)。また、複雑な図形、文字列、記号等の位置揃えを簡単な操作で実現する位置揃え装置および記録媒体が開示されている(特許文献2参照。)。更に、POS端末の操作部や表示画面等の配置換えや機能動作の更新を行えるPOS操作表示の更新方法とPOS操作表示の更新装置が開示されている(特許文献3参照。)。
【0009】
【特許文献1】特開2000−10689号公報(第4頁、第1図)
【特許文献2】特開2000−259846号公報(第2頁、第1図、第2図)
【特許文献3】特開2001−202570号公報(第6頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の手法では、キーを画面に配置した後、ドラッグやドロップにより大まかにレイアウトした後に、矢印キー等を使用して各キーの位置を微調整し、画面レイアウトの整列を行っている。しかし、この手法では、キーの数×微調整という膨大な作業が発生し、種々の画面を作成する必要があるPOS画面等では画面を作成するのに非常に労力と時間がかかってしまうという課題があった。
【0011】
本発明は、従来技術の上述した課題に鑑みなされたものであり、斯かる課題を克服又は軽減するデータ入力機器およびその画面レイアウト方法を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の課題を解決するため本発明のデータ入力機器およびその画面レイアウト方法は次のような特徴的な構成を採用している。
【0013】
(1)液晶表示パネル等の表示装置の表示画面に、ユーザがタッチすることにより対応するデータを入力する複数の画面キーをユーザが希望する位置にそれぞれ整列配置するデータ入力機器において、
前記表示画面に表示された複数の画面キーの何れかをベースキーとして選択してどの位置に合せるかを選択する選択手段と、前記選択されたベースキーに対してタッチされる他の画面キー間の間隔を設定するキー間隔設定手段と、前記ベースキーの選択/解除を行う選択/解除手段とを備えるデータ入力機器。
【0014】
(2)前記キー間隔設定手段は、上下および左右方向にそれぞれ異なる値に設定可能にする上下キー間隔設定手段および左右キー間隔設定手段を備える上記(1)のデータ入力機器。
【0015】
(3)前記選択手段で選択設定される前記ベースキーの位置は、前記表示画面の上下左右何れかの辺である上記(1)又は(2)のデータ入力機器。
【0016】
(4)前記選択手段で選択される上下左右何れかの辺に対応して前記表示画面上にラインを表示する上記(3)のデータ入力機器。
【0017】
(5)前記選択手段およびキー間隔設定手段の設定は、ユーザが任意に変更可能であるデータ入力機器。
【0018】
(6)ユーザが指等によりタッチすることにより対応する位置のデータが入力されるデータ入力機器の表示画面に複数の画面キーをユーザの希望に応じて整列配置するデータ入力機器の画面レイアウト方法において、
複数の画面キーを前記表示画面に自由に表示することと、該表示された複数の画面キーの1つをベースキーとしてタッチ選択して希望位置に配置することと、前記ベースキーに対してタッチされる他の画面キーの間隔を予め設定し、前記ベースキーの配置に合わせて自動的に前記設定された間隔にするデータ入力機器の画面レイアウト方法。
【0019】
(7)前記複数の画面キーは、前記ベースキーを複数個順次選択して複数のグループ毎に整列配置する上記(6)のデータ入力機器の画面レイアウト方法。
【0020】
(8)前記画面キーの間隔は、前記グループ毎に任意に設定可能にする上記(7)のデータ入力機器の画面レイアウト方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明のデータ入力機器およびその画面レイアウト方法によると、次の如き実用上の顕著な効果が得られる。即ち、複数の画面キーを少ない操作ステップにより迅速に所定位置へレイアウトすることが可能である。
【0022】
一例として、9個の画面キーをレイアウトする場合について検討する。先ず、1つのキーの移動およびその後に微調整(ドラグおよびドロップ等)のステップ数を5と仮定すると、全てのキー(9個)の最適レイアウトには5×9=45という多くのステップ数を必要とし、そのための時間は習熟度にもよるが、相当長い時間を必要とする。一方、本発明によると、5(ベースキーの移動)+4(設定変更)+8(残りのキーのタッチ)=17ステップとなり、40%弱のステップ数で必要なキーのレイアウトが完了する。しかも、残りのキーをタッチする操作は、微調整を要する慎重なタッチを必要としないので、迅速に行うことが可能である。また、キーの個数が増加すると、操作ステップ数の減少は一層顕著になる。
【実施例1】
【0023】
以下、本発明によるデータ入力機器およびその画面レイアウト方法の好適実施例について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
先ず、図1は、本発明によるデータ入力機器の画面レイアウトの具体例を示している。このデータ入力機器は、略矩形状の表示画面10を有する。この具体例では、表示画面10には、左上部分にAグループの6個のキー11a〜11f、下左右にBグループの4個のキー11g〜11j、そして右上部分にCグループの6個のキー11k〜11pの合計16個のキーを有する。
【0025】
ここで、Aグループは、例えば上述のハンバーガーショップではハンバーガーの種別データである。Bグループは、サラダ、ポテト等のサイドオーダである。そして、Cグループは、コーラ、コーヒー(ホット又はアイス)、アイスティ等の飲み物である。このようにレイアウトすることにより、顧客の注文に応じて、正確且つ迅速にデータ入力することが可能である。
【0026】
また、複数の画面キーの縦方向および横方向の間隔は、本発明によると、後述する如くグループ毎に容易に設定することが可能である。また、これらの間隔は、グループ毎に異なる値に設定することも可能である。例えば、図1の具体例では、Aグループのキーの縦方向間隔、例えばキー11aとキー11c間の間隔は、Dvaに設定される。そして、横方向間隔、例えばキー11aおよび11b間の間隔は、Dhaに設定される。一方、Bグループのキー11g〜11iの横方向間隔は、Dhbに設定される。
【0027】
次に、図2.A〜図2.Gを参照して、本発明によるデータ入力機器の画面レイアウト方法を、ステップ毎に説明する。
【0028】
図2.Aは、(ステップ1)を示す図である。この(ステップ1)では、キー整列又はレイアウトのパラメータをセットする(これらの値はいつでも変更可能)。この特定実施例では、4つの設定項目がある。項目1は、ベースキーを画面10上のどの辺に合わせるかを設定する。この設定値としては、図2.Aに示す如く、上辺、下辺、左辺および右辺の4つから適宜選択設定される。項目2および項目3は、隣接キーとの間隔を設定する。特に、項目2は、上下キー間隔、即ち上下又は縦方向に隣接するキー間の間隔を設定し、項目3は、左右キー間隔、即ち左右又は横方向に隣接するキー間隔を設定する。図2.Aに示す例では、上下キー間隔を「10」および左右キー間隔を「20」に設定している。最後の項目4は、ベースキー選択/解除キーであり、オペレータ(又はユーザ)により、ベースキーの「選択」又は「解除」を選択設定する。図2.Aの例では、「解除」が選択設定されている。
【0029】
次に、図2.Bは、(ステップ2)における表示画面10を示す図である。この(ステップ2)において、表示したい複数(この特定例では16個)のキー11a〜11p(以下、これらキーを総称して参照符号11を使用する)を、白紙の表示画面10上にランダムに表示する。このように、ステップ2は、白紙の前面にキーを自由に配置するステップである。
【0030】
次に、図2.Cは、ベースキーを選択する(ステップ3)における表示画面10の表示を示す。オペレータが、Aグループのベースキー(即ち、最も左上に表示されるキー)11aを選択して希望する位置へ移動する。
【0031】
次に、図2.Dは、(ステップ4)における表示画面10の表示例を示す。この(ステップ4)では、選択項目4においてベースキーを「選択」し、ベースとなるキー、ここではキー11aにオペレータがタッチする。ここで、設定項目1において、ベースキーを合わせる辺を「上辺」へ揃えることに設定しているので、ベースキー11aは、「上辺」に整列される。このとき、表示画面10には、整列のために選択設定された「上辺」に対応するラインVtが表示される。従って、オペレータによりタッチされたベースキー11aは、自動的に「上辺」のラインVtにアライメント(位置合せ)される。即ち、オペレータは、ベースキー11aの表示位置を微調整する必要はない。
【0032】
次に、図2.Eは、(ステップ5)における表示画面10の表示を示す。設定項目2で、上下キーの間隔を「10」に設定しているので、図2.E(a)に示す如く、オペレータがキー11bにタッチするとベースキー11aと同様に「上辺」のラインVtにアライメントされる。また、上から2列目のキー11cおよび11dは、ベースキー11aに対して上下間隔「10」をあけて配置される。また、オペレータが、上から3列目のキー11eおよび11fにタッチすると、これらのキーも図2.E(b)に示す如く、上から2列目のキー11cおよび11dに対して上下間隔「10」をあけて配置される。このように、ステップ5は、ベースキーに対して上辺を合わせたいキーをタッチするステップであり、
【0033】
次に、図2.Fは、(ステップ6)における表示画面10の表示例である。この(ステップ6)では、設定項目1の設定を「左辺」に変更している。そこで、表示画面10には、キーを揃えるための左ラインHlが表示される。
【0034】
次に、図2.Gは、(ステップ7)における表示画面10の表示例を示す。先ず、オペレータがベースキー11aにタッチすると、このキー11aは、図2.G(a)に示す如く、上述したラインVtおよびHlに揃えられる。同様に、オペレータがキー11cおよび11eにタッチすると、これらのキーはそれぞれ上下間隔Dvaを維持したままで左辺に揃えられる。更に、オペレータがキー11b、11dおよび11fにタッチすると、図2.G(b)に示す如く、それぞれキー11a、11cおよび11eに対して左右間隔Dhaを維持して所定位置に揃えられる。
【0035】
以上の(ステップ1)乃至(ステップ7)で、Aグループの6個のキー11a〜11fは、オペレータが希望する位置にレイアウトされる。以下同様に上述したステップを繰り返して、Bグループの4個のキー11g〜11jおよびCグループの6個のキー11k〜11pを希望する位置に配置又はレイアウトする。但し、Bグループのキー11g〜11jは、1列に配列されるので、設定項目2の上下間隔は省略される。尚、この特定例については存在しないが、複数のキーを縦1列に配列又はレイアウトする場合には、設定項目3の左右キー間隔は省略される。
【0036】
以上、本発明によるデータ入力機器およびその画面レイアウト方法の好適実施例について詳述した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではない。また、上述した各種選択手段や設定手段は、コンピュータ又はCPU(中央処理装置)と付属する処理プログラムやデータを保存するメモリにより実現可能であること、当業者には自明事項である。更に、本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であること、当業者には容易に理解できよう。尚、上述の説明では、表示画面に複数のキーが配列又はレイアウトされると説明したが、ここで、キーとは単なるブロックに限らずラベルや写真等も含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】複数のキーがレイアウトされた表示画面の具体例を示す図である。
【図2.A】複数のキーをレイアウトする(ステップ1)の説明図である。
【図2.B】複数のキーをレイアウトする(ステップ2)の説明図である。
【図2.C】複数のキーをレイアウトする(ステップ3)の説明図である。
【図2.D】複数のキーをレイアウトする(ステップ4)の説明図である。
【図2.E】複数のキーをレイアウトする(ステップ5)の説明図である。
【図2.F】複数のキーをレイアウトする(ステップ6)の説明図である。
【図2.G】複数のキーをレイアウトする(ステップ7)の説明図である。
【符号の説明】
【0038】
10 表示画面
11 キー
Dva 上下キー間隔
Dha、Dhb 左右キー間隔
Vt、Hl 位置合わせライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネル等の表示装置の表示画面に、ユーザがタッチすることにより対応するデータを入力する複数の画面キーをユーザが希望する位置にそれぞれ整列配置するデータ入力機器において、
前記表示画面に表示された複数の画面キーの何れかをベースキーとして選択してどの位置に合せするかを選択する選択手段と、前記選択されたベースキーに対してタッチされる他の画面キー間の間隔を設定するキー間隔設定手段と、前記ベースキーの選択/解除を行う選択/解除手段とを備えることを特徴とするデータ入力機器。
【請求項2】
前記キー間隔設定手段は、上下および左右方向にそれぞれ異なる値に設定可能にする上下キー間隔設定手段および左右キー間隔設定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のデータ入力機器。
【請求項3】
前記選択手段で選択設定される前記ベースキーの位置は、前記表示画面の上下左右何れかの辺であることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ入力機器。
【請求項4】
前記選択手段で選択される上下左右何れかの辺に対応して前記表示画面上にラインを表示することを特徴とする請求項3に記載のデータ入力機器。
【請求項5】
前記選択手段およびキー間隔設定手段の設定は、ユーザが任意に変更可能であることを特徴とするデータ入力機器。
【請求項6】
ユーザが指等によりタッチすることにより対応する位置のデータが入力されるデータ入力機器の表示画面に複数の画面キーをユーザの希望に応じて整列配置するデータ入力機器の画面レイアウト方法において、
複数の画面キーを前記表示画面に自由に表示することと、該表示された複数の画面キーの1つをベースキーとしてタッチ選択して希望位置に配置することと、前記ベースキーに対してタッチされる他の画面キーの間隔を予め設定し、前記ベースキーの配置に合わせて自動的に前記設定された間隔にすることとなることを特徴とするデータ入力機器の画面レイアウト方法。
【請求項7】
前記複数の画面キーは、前記ベースキーを複数個順次選択して複数のグループ毎に整列配置することを特徴とする請求項6に記載のデータ入力機器の画面レイアウト方法。
【請求項8】
前記画面キーの間隔は、前記グループ毎に任意に設定可能にすることを特徴とする請求項7に記載のデータ入力機器の画面レイアウト方法。

【図1】
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【図2.A】
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【図2.B】
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【図2.C】
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【図2.D】
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【図2.E】
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【図2.F】
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【図2.G】
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【公開番号】特開2006−127215(P2006−127215A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−315761(P2004−315761)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】