説明

データ処理デバイスを動作させるための方法、装置、及びシステム

データ処理デバイスが外見的に「オフ」である間に動作することを可能にする方法、装置、及びシステム。一つの実施の形態によれば、データ処理デバイスは、新しいシステム状態、すなわち、視覚的オフを認識するように構成される。このようなデータ処理デバイスでは、電源ボタンが押下されると、デバイスをオフにする要求がモジュールによってインターセプトされ、デバイスは視覚的オフ状態へ遷移される。ユーザには、この遷移は瞬時のように見える。遷移中、データ処理デバイス及びデータ処理デバイスに接続されたヒューマン対話デバイス(「HIDデバイス」)の可聴インジケータ及び視覚インジケータをオフ及び/又は無効にすることができる。視覚的オフ状態の間、デバイスは完全に動作することができ、代替的な実施の形態では、デバイスを低電力状態にすることができる。ユーザが電源ボタンを再び押下して、データ処理デバイスを「ウェイクアップ」させると、デバイスは、視覚的オフから「オン」状態(「視覚的オン」)に遷移することができる。すなわち、データ処理デバイス及びそれに接続されたHIDデバイスのすべての可聴インジケータ及び視覚インジケータをオン及び/又は有効に戻すことができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピューティングの分野に関し、より詳細には、ユーザがデータ処理デバイスを外見的にシャットダウンした後に、そのデバイスが動作し続けることを可能にするための方法、装置、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(「PC」)の特性及び振る舞いは、通常、ユーザがそのデバイスの近くに存在する状態で予測される。たとえば、エラーメッセージ及び/又は対話型質問は、ユーザが存在して応答することを見込んで、PCに接続された表示デバイスに表示される場合がある。他方、サーバとして指定されたマシンは、通常、誰もそばにいることなく動作する。たとえば、サーバメッセージは、サーバアドミニストレータが遠隔でアクセス可能なログファイルに書き込まれる場合がある。サーバは、ローカルに取り付けられたマウス、キーボード、及び/又はモニタ等のヒューマンインタフェースデバイス(「HIDデバイス」)を有しない場合があるので、「ヘッドレス」で動作すると呼ばれることが多い。
【0003】
近年、デジタルホームの概念が次第に普及してきた。デジタルホームビジョンは、その中心において、ネットワーク上で相互接続されてシームレスに統合された、家庭内のさまざまなデバイス(たとえば、家庭用電子機器、PC等)を考えている。この環境内では、少なくとも1つのデバイス(たとえば、PC)が、ネットワーク上の他のデバイスによってアクセス可能なコンテンツをホストして操作することができる。換言すれば、現在考えられているように、これらのデジタルホーム環境は、サーバとして動作するPCを含むことができる。すなわち、ユーザがほとんど存在しない状況で動作するPCを含むことができる。図1は、デジタルホーム環境の一例を示している。このデジタルホーム環境内では、PC100は、ユーザとの対話なしで、デジタルホームネットワーク150のデバイス105、110、115、120、及び125と相互作用するサーバとして動作することができる。しかしながら、ほとんどのPCユーザは、PCがオンされる時、及び、PCがオフされる時の双方において、それらのPCがこれまでのPCと同様に振る舞うと予想し続ける。したがって、たとえば、ユーザは、自身のPCをオフにすると、そのマシンの電源が切断されるものと予想する。しかしながら、電源が切断された場合、PCはどの要求も処理することができない。すなわち、PCはサーバとして動作することができない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明を、限定ではなく、例として添付図面の図に示す。添付図面では、同じ参照符号は同様の要素を指し示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明の実施の形態は、データ処理デバイスが、外見的に電源が切断されている間、動作し続けることを可能にするために方法、装置、及びシステムを提供する。この明細書において本発明の「一つの実施の形態」に言及することは、その実施の形態に関して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施の形態に含まれることを意味する。したがって、この明細書全体を通じてさまざまな箇所に現れる「一つの実施の形態では」、「一つの実施の形態によれば」等のフレーズは、必ずしもすべてが同じ実施の形態に言及しているわけではない。
【0006】
以下の説明は、データ処理デバイスがデジタルホーム環境等のネットワーク接続環境内で動作しているものと仮定する。デジタルホーム環境のさまざまな詳細(たとえば、構成、物理ネットワーク及び通信プロトコル等)は、本発明の実施の形態の範囲に無関係であり、したがって、本明細書では省略する。この明細書においては、これらの環境が、サーバとして動作する中央データ処理デバイスを使用して、コンテンツをホストし、且つ/又は、ネットワークを介してサーバに接続された他のさまざまなデバイスと相互作用して、それらデバイスからの要求にサービスを提供することを考えていることだけが関係している。たとえば、中央データ処理デバイスがPCである場合、これらのPCは、たとえユーザが自身のPCをオフにした後であっても、サーバとして動作するのに利用可能でなければならない。本発明の実施の形態は、中央データ処理デバイスが他のデバイスからの要求にサービスを提供できる他のネットワーク接続環境にも適用可能とすることができ、且つ/又は、そのような他のネットワーク接続環境においても実施できることが当業者には容易に理解できよう。
【0007】
これに加えて、本発明の実施の形態は、さまざまな非ネットワーク接続環境でも実施することができる。たとえば、この非ネットワーク接続環境では、Windows(商標)のメディアセンターエディションを搭載したPCが、そのPCのハードディスクにテレビ番組をデジタルに記録するように構成される。このPCは、アンテナ、衛星、及び/又はケーブルに接続されて、テレビ放送を受信することができる。すなわち、PCは、「ネットワーク接続」という語のこれまでの意味での「ネットワーク接続」はされていないが、それにもかかわらず、コンテンツを受信することができる。したがって、本明細書では簡単にするために、「デジタルホーム」及び/又は「デジタルホーム環境」という用語が使用される場合があるが、本発明の実施の形態は、このような環境に限定されることはなく、あらゆるネットワーク接続環境及び/又は非ネットワーク接続環境を含む。
【0008】
本発明の実施の形態によれば、ユーザにはデータ処理デバイスの電源が切断されているように見えるが、データ処理デバイスは実際には要求を処理できる新しい動作「状態」(以下「視覚的オフ(Visual Off)」と呼ぶ)を含み、且つ/又は、認識するようにデータ処理デバイス(以下、「PC」と総称する)を構成することができる。「状態」という概念は、以下でさらに詳細に説明する。視覚的オフ状態は、基本的には、ユーザが自身のマシンをオフにした時にユーザが通常予想するような動作をPCが行うように見えることによって、ユーザのPCがオフであることをユーザに確信させる。しかしながら、実際には、PCは、動作中の場合があり、要求(たとえば、ローカル要求及び/又はPCに接続された他のデバイスからの要求)を処理するのに利用可能な場合がある。このように、ユーザは、PCがオンである間は、自身のPCをよく知られているデスクトップ処理デバイスとして使用し続けることができ、PCは、外見的には電源が切断されているが、要求を処理するのに利用可能であり続けることができる。この新しい状態(すなわち、視覚的オフ)は、以下でさらに詳細に説明する。この明細書は、デジタルホーム環境で実行されるサーバに関する視覚的オフ状態を説明するが、本発明の実施の形態はそのように限定されるものではないことが当業者には容易に理解されよう。その代わり、視覚的オフは、デバイスが、デジタルホーム及び/又は他のネットワーク接続環境若しくは非ネットワーク接続環境内でサーバとして指定されるかどうかにかかわらず、ありとあらゆるデータ処理デバイスの特徴として実施することができる。
【0009】
視覚的オフ状態の以下の説明は、PCがアドバンストコンフィギュレーションアンドパワーインターフェース(「ACPI」)準拠のオペレーティングシステムを実行していることを前提とする。しかし、本発明の実施の形態は、そのようなものに限定されるものではない。ACPI準拠のオペレーティングシステムの以下の説明は、したがって、例示であって、限定ではない。ACPI改訂第2.0b版(2002年10月11日)は、電力管理方式のオープン業界標準仕様であってもよい。関連のあるACPIシステム状態には、S0(「オン」)、S1及びS2(同様に「オン」であるが、S0よりも低電力状態にある)、S3(「メモリサスペンド」)、S4(「ハイバーネート」及び/又は「ハードディスクサスペンド」)、並びにS5(「ソフトオフ」)が含まれる。前の3つの状態(S0、S1、及びS2)は、以後、「オン」状態を呼ばれる場合がある一方、後の3つの状態(S3、S4、及びS5)は、「オフ」状態を呼ばれる場合がある。各状態のさまざまな特性は当業者に既知であり、そのさらなる説明は、本発明を不必要に分かりにくくしないために本明細書では省略する。これに加えて、PCが、本明細書で説明したACPI機能を認識するために、一定の変更をPCのハードウェア(たとえば、システムのマザーボード)及び/又はファームウェア(たとえば、PCの基本入出力システム、すなわち「BIOS」)において実施できることが当業者には理解されよう。このような変更の詳細は、実施態様特有のものであり、当業者には容易に理解されよう。さらに、本発明の実施の形態は、本明細書では、ACPI特有の専門用語に従って説明されるが、本発明のさまざまな実施の形態は、他の電力管理方式に準拠したオペレーティングシステム上で実施できること、及び/又は、さまざまな実施の形態の態様は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はそれらの組み合わせで実施できることが当業者には容易に理解されよう。
【0010】
一つの実施の形態では、PCは、ユーザがソフト電源ボタンを押下して自身のPCをオフにした時に視覚的オフ状態に入るように構成することができる。したがって、たとえば、ユーザがPCの電源ボタンを押下してPCをオフにすると、PC(PCに接続されたHIDデバイスを含む)は直ちにオフになるように見え得る。ユーザの観点からすれば、PCは、現在使用されている拡張されたシャットダウン手順又はサスペンド手順を迂回するように見え、その代わり、直ちにオフになるように見え得る。ユーザが再び電源ボタンを押下してPCをオンにすると、PC(PCに接続されたHIDデバイスを含む)は、通常の起動メッセージがなく、且つ、非常に長い遅延がなく、素早く起動するように見える(すなわち、「視覚的オフ」状態から「視覚的オン(Visual On)」状態に移行する)。したがって、ユーザの観点からすれば、視覚的オフ及び視覚的オンは、基本的に、ユーザのPCを「オフ」及び「オン」にする、簡単化された直観的でユーザフレンドリーな方法をユーザに提供する。上記説明は、電源ボタンがPCに存在することを前提としているが、さまざまな実施の形態では、本発明の実施の形態における電源ボタンには、PCに接続されたキーボード及び/若しくは表示デバイスのボタン、並びに/又は、PCへ要求を送信できる赤外線遠隔制御デバイス(たとえば、テレビのリモコンと同様のもの)のボタンも含めることができる。したがって、本明細書における「電源ボタン」のどの言及も、上記のすべて及び/又はPCへコマンドを送信する他のあらゆる手段を含む。
【0011】
これに加えて、代替的な実施の形態では、PCは、所定の基準に従って視覚的オフ及び/又は視覚的に遷移するように構成することができる。したがって、たとえば、PCは、ユーザがPCの近くに存在すること及び/又は存在しないことに基づいて「オン」及び「オフ」になるように構成することができる。このシナリオでは、ユーザによる(たとえば、ユーザが積極的に電源ボタンを押下することによる)動作を必要としないで、さまざまなデバイス(指紋/目の網膜のスキャナ、アクティブバッジ、及び/又は顔認識カメラが含まれる)からの入力を使用して、PCを視覚的オフ及び/又は視覚的オンに遷移させる時を判断することができる。たとえば、顔認識カメラからの入力に基づいて、PC100は、ユーザがPCの近くに位置していないと判断することができ、一つの実施の形態では、それに応じて「視覚的オフ」に遷移するようにPCを構成することができる。代替的な実施の形態では、PC100は、所定の非活動期間(たとえば、キーボード作業及び/又はマウス作業がPC100で検出されない)後に視覚的オフ状態に遷移するように構成することができる。PC100は、本発明の実施の形態の趣旨から逸脱することなく、さまざまな方法で(単独でも組み合わせでも)、視覚的オフ及び/又は視覚的オンに遷移するように構成できることが当業者には容易に理解されよう。したがって、本明細書における「電源ボタンの押下」の言及は、ユーザによる肯定的な動作にのみ限定されるものではなく、(たとえば、上述したように、デバイスからの入力を使用し、且つ/又は、所定の時間しきい値を設定して)視覚的オフ及び/又は視覚的オンに遷移するようにPC100に命令する他の方法も含む。
【0012】
図2は、PC100が視覚的オフ機能を有するように構成される本発明の一つの実施の形態を概念的に示している。視覚的オフ状態を達成するために、PC100のオペレーティングシステム250は、機能し続けるが、ユーザの観点からすれば、さまざまなHIDデバイスはシャットダウンしたように見え得る。PC100がオフである錯覚をユーザに提供するために、PC及びさまざまなHIDデバイスのすべての可聴インジケータ及び視覚インジケータをオフにすることができる。この目標を達成するために、一つの実施の形態では、PC100のフロントパネル及び/又はバックパネルのすべてのライト(発光ダイオード(LED)等)はオフにされ、PCに接続された1つ又は複数の表示デバイス(ディスプレイ(複数可)の視覚表示(複数可)及びライト(LED等))も、オフにされたように見え得る。これに加えて、PCに取り付けられたあらゆるキーボード及び/又はマウスも、無効にすることができ、キーボード及び/又はマウスの視覚インジケータ(たとえば、キーボードのLED等)をオフにすることができる。PCのすべての可聴アラームも(たとえば、スピーカをオフにすることによって)オフにすることができる。
【0013】
図2に概念的に示すように、一つの実施の形態では、PC100が視覚的オフ状態に入ることを可能にするモジュール(モジュール200)がPC100にロードされる。以下の説明は、モジュール200がソフトウェアドライバであることを前提としているが、モジュール200は、本発明の実施の形態の趣旨から逸脱することなく、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はそれらの任意の組み合わせで実施できることが当業者には容易に理解されよう。一つの実施の形態では、視覚的オフがPC100において構成される(たとえば、モジュール200がPC100のメモリにロードされる)場合において、電源ボタンが押下されたことをモジュール200が検出すると、モジュール200は、(たとえば、各デバイスのデバイスドライバを介して)さまざまなデバイスにシャットダウンする/オフになるように命令することができる。たとえば、モジュール200は、PC100のハードウェア(たとえば、LEDドライバ及び/又は入出力ラインを制御するPC100のチップセットのロジック及び/又は付属ロジック(たとえば、システム入出力、すなわち「SIO」))へ、PC100のフロントパネル及びバックパネルのライトをオフにする信号を送信して、入出力ラインの状態を変更する。
【0014】
これに加えて、モジュール200は、表示デバイス210の状態を変更する(たとえば、ACPIの「D0」状態から「D3」状態へ移行する)ように表示デバイスドライバ205に命じる信号を表示デバイスドライバ205へ送信することもでき、したがって、ディスプレイを見えなくすることもできる。同様に、モジュール200は、各デバイスの各デバイスドライバであるキーボードドライバ215、マウスドライバ225、及びスピーカドライバ235を介して、キーボード220及びマウス230へのすべての入力を無効にすることができ、スピーカ240へのすべての音響信号をミュートすることができる。上記説明は、モジュール200がデバイスドライバを介してさまざまなデバイスと相互作用することを考えているが、代替的な実施の形態では、これらのデバイスは、他のさまざまな方法で(たとえば、デバイスハードウェアに直接アクセスしてそれらの状態を変更することにより)シャットダウンできることも当業者には容易に理解されよう。
【0015】
ユーザの観点からすれば、視覚的オフ状態は、PCのすべての視覚インジケータ及び可聴インジケータがオフになるという点で「オフ」状態と類似しているが、これらの状態は実際にはかなり異なっていることに留意することが重要であってもよい。具体的には、視覚的オフ状態の期間中、PCは、引き続き「オン」状態のままとすることができ、オペレーティングシステムは継続して要求を処理することができる。一つの実施の形態では、所定の期間の後、オペレーティングシステムは、PCを低電力状態(S3又はS4)に遷移させることができる。換言すれば、視覚的オフの期間中、PCは、「オン」状態からS3状態又はS4状態へ遷移することができ、入来する要求を受信すると「オン」状態に遷移して戻ることができる。しかしながら、これらの遷移中にPCはまだ視覚的オフであるので、PCのすべての可聴インジケータ及び視覚インジケータは依然としてオフのままであり、したがって、ユーザの観点からすれば、PCは依然としてオフのままであってもよい。
【0016】
これとは対照的に、PCが視覚的オフを有するように構成されていない場合、PCは、それでもS3状態又はS4状態に遷移することができ、PCの電源を切断することができる。PCは、視覚的オフがないので、本質的にオフであり、要求を処理することができない。ただし、たとえば、パケットをスヌープし、入来するパケットにあらかじめ定義されたビットパターンを見つけるとPCをS3状態又はS4状態からウェイクアップさせる埋め込み式コントローラがPCのローカルエリアネットワークカードにある場合、PCは、システムを「ウェイクアップ」させるメカニズムを含むことはできる。しかしながら、重要なことは、視覚的オフがないので、PCがS3状態又はS4状態から「オン」状態に遷移して戻った時に、PC及びPCに接続されたすべてのHIDデバイスはオンになるということであってもよい。換言すれば、PC及びPCに接続されたHIDデバイスのすべての可聴インジケータ及び/又は視覚インジケータは、PCが要求を処理するように再起動された時にオンに戻る。この振る舞いは、ユーザが自身のPCが「オフ」であると信じている時(たとえば、深夜)に、どの視覚インジケータ及び/又は可聴メッセージも自身のPCから発せられるのを望むことがありそうもないデジタルホーム環境内では望ましくない。
【0017】
図3は、本発明の一つの実施の形態の概要を示すフロー図である。この図は、PC100を視覚的オフ状態に入らせ、次いで、視覚的オン状態に戻らせるプロセスを示している。以下のオペレーションは連続的なプロセスとして説明することができるが、オペレーションの多くは実際には並列又は同時に実行することができる。これに加えて、オペレーションの順序は、本発明の実施の形態の趣旨から逸脱することなく、並べ替えることができる。301において、モジュール200がPCにロードされて、PC100の視覚的オン−視覚的オフを構成する。モジュール200は、PC100を監視して、PC100が視覚的オフに遷移するように命令されたかどうかを判断する。したがって、302において、PC100は、視覚的オン状態で要求を処理し続けることもできるし、PC100が303で視覚的オフ状態に遷移する命令を(ユーザが電源ボタンを押下することを介して)受信した場合には、モジュール200は、304でさまざまなHIDデバイスの可聴インジケータ及び/又は視覚インジケータをオフにすることもできる。
【0018】
これらのHIDデバイスをシャットダウンできる範囲は、本発明の実施の形態ごとに異なり得ることが当業者には容易に理解されよう。したがって、たとえば、一つの実施の形態では、PCに接続されたすべてのHIDデバイスの可聴インジケータ及び視覚インジケータをオフにすることができ、代替的な実施の形態では、インジケータのサブセットのみをオフにすることができる。305において、モジュール200は、継続してPC100を監視することができ、ユーザが電源ボタンを再び押下したことを検出すると、PC100を視覚的オン状態に遷移させることができる。次に、306において、モジュール200は、PC100に接続されたHIDデバイスの音響出力及びビデオ出力を再びアクティブにすることができる(PC100のフロントパネル及びバックパネルのライトをオンにすることを含む)。
【0019】
本発明の一つの実施の形態では、PC100に接続されたHIDデバイスは、視覚的オフ状態では基本的に不要である(たとえば、ディスプレイは見えなくされ、音響はミュートされ、且つ/又は、キーボード及び/若しくはマウスは無効にされる)ので、それらのデバイスへの出力を生成するプロセスを完全にオフにして電力消費を削減することができる。一つの実施の形態では、オペレーティングシステム250は、視覚的オフの間、PC100を「オフ」状態に遷移させることができ、HIDデバイスへの出力を生成する計算プロセスをオフにすることができる。代替的に、PCは、「視覚的オフ」では「オン」状態のままとすることができるが、それでもなお、HIDデバイスへの出力を生成する計算プロセスをオフにして電力消費を削減することができる。図4は、本発明の一つの実施の形態による節電を実施するシステムの一例を示している。より具体的には、図4は、図2のシステムをさらに詳細に示している。図示するように、(たとえば、表示デバイス210の状態をACPIの「D0」状態から「D3」状態へ変更するように表示デバイスドライバ205に命令することによって)たとえば、グラフィックスが表示デバイス210に表示されることを単に防止するのではなく、PC100のグラフィックスエンジンの一部(たとえば、グラフィックスコントローラ400の計算部分)もオフにすることができる。一つの実施の形態では、グラフィックスコントローラの各ドライバ(「グラフィックスドライバ405」として示す)は、グラフィックスコントローラ400をシャットダウンすることができ、オペレーティングシステム250からグラフィックスコントローラ400へのメッセージをインターセプトすることができる。一つの実施の形態では、グラフィックスドライバ405は、オペレーティングシステムからのすべてのメッセージをインターセプトすることができる一方、代替的な実施の形態では、グラフィックスドライバ405は、一定のメッセージを処理して、残りのメッセージを記憶することができる。以下の説明は、グラフィックスドライバ405が、このシャットダウン、インターセプト、及び記憶を実行することを前提としているが、代替的な実施の形態では、モジュール200が、代わりにこれらの機能を実行することができる。
【0020】
したがって、一つの実施の形態では、オペレーティングシステム250は、グラフィックスドライバ405を介してグラフィックスコントローラ400へメッセージを送信し続けることができ、コントローラがこれらの命令を処理して、グラフィックスの出力を表示デバイス220に提供しているものと信じ続けることができる。実際には、グラフィックスドライバ405によって、グラフィックスコントローラ400とオペレーティングシステム250との間のインターフェースは動作状態のままにすることが可能になるが、計算を実行する、グラフィックスコントローラ400の部分はオフにすることができる。グラフィックスドライバ405は、オペレーティングシステム250からの通信をインターセプトして記憶し、したがって、グラフィックスコントローラ400のこれらの部分は、オペレーティングシステム250の機能を中断することなく、依然としてオフのままにすることが可能になり、且つ/又は、表示デバイス220が適切に動作していることを信じることが可能になる。換言すれば、オペレーティングシステム250は、グラフィックスコントローラ400の一定の部分がオフであることを知らずに、機能し続けることができ、「仮想的な」グラフィックスサブシステム(すなわち、グラフィックスドライバの一部及び/又はグラフィックスコントローラの一部)と相互作用し続けることができる。この仮想的なグラフィックスサブシステムは、本発明の実施の形態の趣旨から逸脱することなく、他の方法で実施できることが当業者には容易に理解されよう。グラフィックスを生成することが大量のシステム資源を消費するものと仮定すると、グラフィックスを生成する計算をオフにすることによって、大幅な節電を実現することができる。同様に、別の例では、PC100の音響エンジンの部分(通常、システムの音響を生成する音響アダプタ425(サウンドカード))を完全にオフにして、PC100の電力を節約することができる。この実施の形態では、音響ドライバ410が、スピーカデバイスドライバ235と音響アダプタ425との間の通信をインターセプトして記憶する。音響の生成により消費されるシステム資源はグラフィックスの生成により消費される資源よりも少ないが、それでもなお、音響が不要な場合に、これによって、PC100に節電が追加して提供される。この場合も、この「仮想的な」音響サブシステム(すなわち、音響ドライバ及び/又は音響アダプタ)は、本発明の実施の形態の趣旨から逸脱することなく、他の方法で実施できることが当業者には容易に理解されよう。
【0021】
一つの実施の形態では、上述したシナリオをオペレーティングシステム250に完全にトランスペアレントにするために、グラフィックスドライバ405及び/又は音響ドライバ410は、オペレーティングシステム250からHIDデバイスへの少なくとも1つ又は複数の前の要求及び/又はメッセージを保存して再サブミットすることができる。これらの要求は、各コントローラ及び/又は各アダプタ(たとえば、これらのデバイスのメモリ)に保存することができ、且つ/又は、PC100の或るロケーション(たとえば、PC100のメモリ及び/又はハードディスク)に保存することができる。したがって、たとえば、PC100が視覚的オンに遷移して戻された時、各HIDデバイスはオンに戻ることができ、グラフィックスドライバ405及び/又は音響ドライバ410は、オペレーティングシステム250からこれらのデバイスへの要求及び/又はメッセージをインターセプトしているので、一つの実施の形態では、この保存された情報を使用して、HIDデバイスを、オペレーティングシステムが信じているそのデバイスの状態に復帰させることができる。したがって、たとえば、オペレーティングシステム250が、グラフィックスコントローラ400に命令A、B、及びCを発行していた場合、これらの命令の1つ又は複数は、グラフィックスドライバ405が保存することができ、グラフィックスコントローラ400の計算部分をオンにすると共に、PC100が視覚的オン状態に遷移して戻された時に実行することができる。その後、オペレーティングシステム250の観点からすれば、グラフィックスコントローラ400は、オペレーティングシステム250が信じている状態にある。すなわち、A、B、及びCを実行した状態にある。オペレーティングシステム250は、したがって、HIDデバイスが一時的に低電力状態に遷移され、且つ/又は、オフにされたことに気付くことなく、HIDデバイスと相互作用し続けることができる。この「動的デバイス除去」技法(すなわち、デバイスがシステムにとって必要でない時にデバイスを動的に除去すること)によって、大幅な節電を実現できることが当業者には容易に理解されよう。一方、これに加えて、視覚的オフは、本発明のさまざまな実施の形態の趣旨から逸脱することなく、上述した電力消費の削減技法にかかわらず実施できることが当業者には容易に理解されよう。
【0022】
図5は、PC100が「オン」状態から視覚的オフ状態へ遷移する時及び視覚的オン状態へ再び戻る時の、上述した節電技法を含む本発明の一つの実施の形態を示すフローチャートであってもよい。図示するように、501において、PC100は、ブートアップされると、PC100及びすべての接続デバイスへの電源投入及び構成等のさまざまな初期化タスクを実行する。視覚的オフ及び視覚的オンが、502でPC100に構成され(たとえば、モジュール200がPC100のメモリにロードされ)、503において、PC100及びその関連したデバイスは、視覚的オン状態にあるとみなすことができ、十分に機能することができる。504において、モジュール200は、PC100を監視して、PC100が視覚的オフ状態に遷移しているかどうかを判断することができる。PC100が視覚的オフ状態に遷移していない場合、PC100は、視覚的オン状態に引き続き留まる。一方、モジュール200が、504において、PC100が遷移している(たとえば、ユーザが電源ボタンを押下してPC100をオフにし、且つ/又は、PC100が、視覚的オフの間、自動的に電力消費削減に構成される)と判断した場合、この実施の形態によれば、505において、システム状態(オフにして、PC100を視覚的オフ状態に遷移させることができるさまざまなHIDデバイスの可聴インジケータ及び/又は視覚インジケータに関する情報を含む)のコピーを、PC100の或るロケーション(たとえば、PC100のメモリ)にコピーすることができる。次に、506において、PC100に接続されたHIDデバイス、並びに、グラフィックスコントローラの一部及び/又は音響アダプタの一部をオフにすることができる。一つの実施の形態では、オフにされるグラフィックスコントローラの一部及び/又は音響アダプタの一部は、グラフィックス計算及び/又は音響計算を実行して、表示デバイス及び/又はスピーカ(複数可)へのグラフィックス出力及び/又は音響出力を生成できる部分であってもよい。
【0023】
その後、507において、PC100の構成が変化した(たとえば、オペレーティングシステムが、オフにされるデバイスの1つへメッセージを送信した)場合、508において、各ドライバ(たとえば、グラフィックスコントローラに対応するグラフィックスドライバ、及び/又は、音響アダプタに対応する音響ドライバ)は、これらのメッセージをインターセプトして、これらのメッセージの1つ又は複数でPC100のメモリのシステム構成情報を更新することができる。一つの実施の形態では、ドライバの代わりに、モジュール200が、これらのメッセージをインターセプトして、システム構成情報を更新することができる。一方、構成が変化しない場合、システムは、509において、各ドライバが、システムを視覚的オン状態に遷移させる要求(たとえば、ユーザが電源ボタンを押下した)を検出するまで、電源切断状態のままでいることができる。各ドライバがシステムを視覚的オン状態に遷移させる要求を検出した場合、509において、PC100は視覚的オフ状態から視覚的オン状態へ遷移し、510において、遷移が完了すると、PC100及びそのすべてのHIDデバイスは、その各「オン」状態へ復帰することができ、PC100のメモリにシステム状態と共に記憶されたデバイス構成情報を実行して、すべてのHIDデバイスを更新することができる。その後、PC100及びそのすべてのHIDデバイスは、視覚的オン状態を続ける。
【0024】
したがって、要約すれば、視覚的オフ状態は、さまざまな方法で達成することができる。図4で上述して図示したように、一つの実施の形態では、視覚的オフは、オペレーティングシステム250からさまざまなデバイスドライバへの通信を475においてインターセプトすることによって達成することができる。この実施の形態によれば、上記の図2に関してさらに詳細に説明したように、モジュール200は、表示デバイス210の状態を変更するように(たとえば、ACPIの「D0」状態から「D3」状態へ移行するように)表示デバイスドライバ205に命令することができ、したがって、表示を見えなくすることができる。一方、グラフィックスコントローラ400及び音響アダプタ425は、オペレーティングシステム250からの命令を処理し続けることができる(たとえば、すべての計算を実行して、グラフィックス及び/又は音響を生成する)。代替的な実施の形態では、図4に関して図示して説明したように、表示デバイスドライバ205が表示を見えなくし、且つ、スピーカデバイスドライバ235が音響をミュートすることに加えて、グラフィックスコントローラ400の一部及び音響アダプタ425の一部(たとえば、グラフィックス計算を実行する部分及び音響計算を実行する部分)をオフにすることができる。オペレーティングシステム250は、グラフィックスサブシステム及び音響サブシステムの一部と相互作用することができ、これによって、表示デバイス210及びスピーカ240と相互作用している錯覚がオペレーティングシステム250に提供される。実際には、ドライバは、オペレーティングシステム250からのメッセージの少なくとも1つ又は複数をインターセプトして記憶し、グラフィックスコントローラ400の計算部分及び音響アダプタ425の計算部分は、オフのままとすることができる。一つの実施の形態では、これら記憶されたメッセージは後に実行され、HIDデバイスは、オペレーティングシステム250が信じているそれらデバイスの状態に復帰される。この実施の形態によって、PC100が視覚的オフにある間、電力消費の削減が可能になる。
【0025】
PC100が視覚的オフ状態にある間、一つの実施の形態では、PCの電源が切断されているように見せる音響インジケータ及び視覚インジケータがその状態に留まって、PC100がオフであるというユーザの錯覚を維持することが重要であってもよい。これを達成するために、一つの実施の形態では、HIDデバイスへのオペレーティングシステムのメッセージ及び/又は他のメッセージは、モジュール200によってインターセプトされて、それらデバイスへ渡らないようにすることができる。代替的な実施の形態では、HIDデバイスへのメッセージは、デバイスに渡される前に、モジュール200が変更することができる。メッセージをインターセプトすることによって、モジュール200は、デバイスが動作しているものとオペレーティングシステムが思い続けることを可能にする。これらのメッセージは、本発明の実施の形態の趣旨から逸脱することなく、他のさまざまな方法でインターセプトすることもできる。
【0026】
これに加えて、誤って、すなわち、ユーザが電源ボタンを押下すること以外の何らかの理由で、PC100が視覚的オフ状態を抜け出ないことを確実にするために、一つの実施の形態では、システムが「ウェイクアップ」するための要求が電源ボタンの押下を発信元とするのか、それとも他のデバイス(複数可)を発信元とするのかを認識するようにモジュール200を構成することができる。したがって、たとえば、前述したように、視覚的オフの間、オペレーティングシステムは、「オン」状態から低電力のS3状態又はS4状態へ遷移するようにPC100に命令することができる。PC100は、S3状態又はS4状態にある間に処理要求を受信した場合、「ウェイクアップ」するか、又は、「オン」状態に遷移して戻る。本発明の一つの実施の形態では、ウェイクアップ要求の発信元が、PC100で実行を試みているアプリケーション(たとえば、PC100のハードディスクにテレビ番組を記録することを開始する要求。この要求は、S3状態又はS4状態から「オン」状態へ遷移するようにPC100に要求する)、PC100のネットワークインターフェースカード(「NIC」)の媒体アクセス制御(「MAC」)アドレスにアドレス指定されたネットワークトラフィック、及び/又は、ユーザの電源ボタンの押下(すなわち、視覚的オン状態へPC100を遷移させる要求)であるかどうかをモジュール200が認識することは重要であってもよい。
【0027】
PC100がオフであるという錯覚を維持するために、要求が電源ボタンを発信元とする(たとえば、ユーザが電源ボタンを押下してPC100をオンにする)場合にのみ、視覚的オフから視覚的オンへ遷移するようにモジュール200を構成することができる。これとは対照的に、PC100がサスペンドされるか、又は、視覚的オフにハイバーネートされている間に、或るデバイスがPC100と通信する(たとえば、PC100が、そのNICのMACアドレスへアドレス指定されたネットワークトラフィックを受信する)場合、又は、PC100のアプリケーションが(たとえば、午前2時にテレビ番組を記録するために)アクティブにされる場合、モジュール200は、この通信がPC100への「ウェイクアップ」要求であるが、PC100を視覚的オン状態へ遷移させる要求でないことを認識するようにモジュール200を構成することができる。したがって、たとえば、一つの実施の形態では、モジュール200は、PC100のさまざまなハードウェアコンポーネントを監視して、「ウェイクアップ」要求の送信元を判断することができる。この判断は、本発明の実施の形態の趣旨から逸脱することなく、さまざまな方法で行えることが当業者には容易に理解されよう。
【0028】
本発明の実施の形態は、さまざまなデータ処理デバイスにおいて実施することができる。これらのデータ処理デバイスはさまざまなタイプのソフトウェア、ファームウェア、及びハードウェアを含むことができるということが当業者には容易に理解されよう。本発明の一つの実施の形態によれば、データ処理デバイスは、本発明の一つの実施の形態を達成する命令を実行できるさまざまなコンポーネントも含むことができる。たとえば、データ処理デバイスは、少なくとも1つのマシンアクセス可能媒体を含むことができ、且つ/又は、その媒体に接続することができる。この明細書では、「マシン」には、1つ又は複数のプロセッサを有するあらゆるデータ処理デバイスが含まれるが、これらに限定されるものではない。この明細書では、マシンアクセス可能媒体は、データ処理デバイスによってアクセス可能なあらゆる形態で情報を記憶し、且つ/又は、伝送するあらゆるメカニズムを含む。このマシンアクセス可能媒体には、記録可能/記録不能媒体(読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス等)、並びに、電気、光、音響、又は他の形態の伝播信号(搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
一つの実施の形態によれば、データ処理デバイスは、1つ又は複数のプロセッサ等の他のさまざまな既知のコンポーネントを含むことができる。プロセッサ(複数可)及びマシンアクセス可能媒体は、ブリッジ/メモリコントローラを使用して通信接続することができ、プロセッサは、マシンアクセス可能媒体に記憶された命令を実行できる場合がある。ブリッジ/メモリコントローラは、グラフィックスコントローラに接続することができ、グラフィックスコントローラは、表示デバイスの表示データの出力を制御することができる。同様に、音響アダプタも、スピーカへの音響出力を制御するブリッジ/メモリコントローラに接続することができる。ブリッジ/メモリコントローラは、1つ又は複数のバスに接続することができる。ユニバーサルシリアルバス(「USB」)ホストコントローラ等のバスホストコントローラをバス(複数可)に接続することができ、複数のデバイスをUSBに接続することができる。たとえば、キーボード及びマウス等のユーザ入力デバイスをデータ処理デバイスに含めて、入力データを提供することができる。データ処理デバイスは、これに加えて、デバイスをネットワーク(たとえば、ネットワーク150)に接続できるネットワークインターフェース(たとえば、ネットワークインターフェースカード及び/又はモデム)も含むことができる。
【0030】
上記明細書では、本発明を、本発明の特定の例示の実施の形態に関して説明した。しかしながら、添付の特許請求の範囲で説明されるように、本発明の実施の形態のより広い精神及び範囲から逸脱することなく、それら実施の形態にさまざまな修正及び変更を行えることが理解されよう。したがって、この明細書及び図面は、制限的な意味ではなく、例示の意味で考慮されるべきであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】通常のデジタルホーム環境を示す図である。
【図2】本発明の概念的な実施の形態を示す図である。
【図3】本発明の一つの実施の形態の概要を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一つの実施の形態による節電を実施する図2のシステムの一例を示す図である。
【図5】本発明の一つの実施の形態を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ処理デバイスを動作させる方法であって、
視覚的オン状態及び視覚的オフ状態を認識するように前記データ処理デバイスを構成すること、
前記データ処理デバイスをオフにする要求を識別すること、及び
前記コンピューティングデバイスをオフにする代わりに、前記コンピューティングデバイスを前記視覚的オフ状態に遷移させること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記データ処理デバイスを前記視覚的オフ状態に遷移させることは、前記データ処理デバイス及び前記データ処理デバイスに接続された少なくとも1つのヒューマンインタフェースデバイス(「HIDデバイス」)の可聴インジケータ及び視覚インジケータをオフにすることを含む、請求項1に記載の、データ処理デバイスを動作させる方法。
【請求項3】
前記データ処理デバイスをオフする要求を識別することは、前記要求を、前記データ処理デバイスのオペレーティングシステムによる受信の前にインターセプトすることをさらに含む、請求項1に記載の、データ処理デバイスを動作させる方法。
【請求項4】
前記データ処理デバイスをオンにする要求を識別すること、及び
前記視覚的オフ状態から前記視覚的オン状態へ前記データ処理デバイスを遷移させること、
をさらに含む、請求項2に記載の、データ処理デバイスを動作させる方法。
【請求項5】
前記視覚的オフ状態から前記視覚的オン状態へ前記データ処理デバイスを遷移させることは、前記データ処理デバイス及び前記データ処理デバイスに接続された前記少なくとも1つのHIDデバイスの可聴インジケータ及び視覚インジケータをオンにすることをさらに含む、請求項4に記載の、データ処理デバイスを動作させる方法。
【請求項6】
前記データ処理デバイスをオフにする前記要求は、前記データ処理デバイスの電源ボタン、前記データ処理デバイスに接続されたディスプレイのボタン、前記データ処理デバイスに接続されたキーボードのあらかじめ定義されたキー、及び前記データ処理デバイスに接続されたリモート制御デバイスのボタンの1つによって生成される、請求項1に記載の、データ処理デバイスを動作させる方法。
【請求項7】
前記データ処理デバイスをオフにする前記要求は、前記データ処理デバイスに接続された1つ又は複数のデバイスからの入力に基づいて自動的に生成される、請求項1に記載の、データ処理デバイスを動作させる方法。
【請求項8】
前記データ処理デバイスをオフにする前記要求は、所定の非活動期間の満了時に自動的に生成される、請求項1に記載の、データ処理デバイスを動作させる方法。
【請求項9】
前記データ処理デバイスに接続された前記少なくとも1つのHIDデバイスは、1つ又は複数のディスプレイデバイス、キーボード、マウス、及びスピーカの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の、データ処理デバイスを動作させる方法。
【請求項10】
前記データ処理デバイスを前記視覚的オフ状態に遷移させることは、前記データ処理デバイスのオペレーティングシステムから、前記データ処理デバイスを低電力状態に遷移させる命令を受信すると、前記データ処理デバイスを低電力状態に遷移させること、をさらに含む、請求項2に記載の、データ処理デバイスを動作させる方法。
【請求項11】
前記データ処理デバイスを前記視覚的オフ状態に遷移させることは、前記少なくとも1つのHIDデバイスへの出力を生成する計算プロセスをオフにすること、をさらに含む、請求項2に記載の、データ処理デバイスを動作させる方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのHIDデバイスは表示デバイスであり、該表示デバイスへの出力を生成する前記計算プロセスをオフにすることは、
グラフィックス計算を実行することができる、グラフィックスコントローラの部分をオフにすること、
オペレーティングシステムから前記グラフィックスコントローラへのメッセージをインターセプトすること、及び
前記オペレーティングシステムから少なくとも1つのロケーションへの前記メッセージの少なくとも1つを記憶すること、
をさらに含む、請求項11に記載の、データ処理デバイスを動作させる方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのロケーションは、メモリ及びハードディスクの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の、データ処理デバイスを動作させる方法。
【請求項14】
前記表示デバイスの前記可聴インジケータ及び前記視覚インジケータをオンにすること、
グラフィックス計算を実行することができる、前記グラフィックスコントローラの前記部分をオンにすること、及び
前記データ処理システムの前記少なくとも1つのロケーションに記憶された前記オペレーティングシステムからの前記メッセージの前記少なくとも1つを実行すること、
をさらに含む、請求項12に記載の、データ処理デバイスを動作させる方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのHIDデバイスはスピーカであり、該スピーカへの出力を生成する前記計算の部分をオフにすることは、
音響計算を実行することができる、音響アダプタの部分をオフにすること、
前記オペレーティングシステムから前記音響アダプタへのメッセージをインターセプトすること、及び
前記オペレーティングシステムから少なくとも1つのロケーションへの前記メッセージの少なくとも1つを記憶すること、
をさらに含む、請求項11に記載の、データ処理デバイスを動作させる方法。
【請求項16】
前記スピーカの前記可聴インジケータ及び前記視覚インジケータをオンにすること、
音響計算を実行することができる、前記音響コントローラの前記部分をオンにすること、及び
前記少なくとも1つのロケーションに記憶された前記オペレーティングシステムからの前記メッセージの前記少なくとも1つを実行すること、
をさらに含む、請求項15に記載の、データ処理デバイスを動作させる方法。
【請求項17】
システムであって、
視覚的オン状態及び視覚的オフ状態を認識するように構成されるデータ処理デバイスと、
前記データ処理デバイスに接続された少なくとも1つのヒューマンインタフェースデバイス(「HIDデバイス」)と、
前記データ処理デバイスをオフにする要求をインターセプトすることができ、且つ、前記データ処理デバイスをオフにしないで、前記視覚的オフ状態に遷移させることができるモジュールと、
を備える、システム。
【請求項18】
前記データ処理デバイスに接続された電源ボタンをさらに備え、該電源ボタンは、前記データ処理デバイスをオフにする前記要求を発行することができる、請求項17に記載の、システム。
【請求項19】
前記モジュールは、前記データ処理デバイス及び前記データ処理デバイスに接続された前記少なくとも1つのHIDデバイスの可聴インジケータ及び視覚インジケータをオフにすることによって、前記データ処理デバイスを前記視覚的オフ状態に遷移させる、請求項17に記載の、システム。
【請求項20】
前記モジュールは、さらに、前記データ処理デバイスをオフにする前記要求を、前記データ処理デバイスのオペレーティングシステムによる受信の前にインターセプトする、請求項17に記載の、システム。
【請求項21】
前記モジュールは、
前記データ処理デバイスをオンにする要求を識別すること、及び
前記視覚的オフ状態から前記視覚的オン状態へ前記データ処理デバイスを遷移させること、
がさらにできる、請求項17に記載の、システム。
【請求項22】
前記モジュールは、前記データ処理デバイス及び前記データ処理デバイスに接続された前記少なくとも1つのHIDデバイスの可聴インジケータ及び視覚インジケータをオンにすることにより、前記視覚的オフ状態から前記視覚的オン状態へ前記データ処理デバイスを遷移させる、請求項21に記載の、システム。
【請求項23】
前記電源ボタンは、前記データ処理デバイスの電源ボタン、前記データ処理デバイスに接続されたディスプレイのボタン、前記データ処理デバイスに接続されたキーボードのあらかじめ定義されたキー、及び前記データ処理デバイスに接続されたリモート制御デバイスのボタンの少なくとも1つを備える、請求項18に記載の、システム。
【請求項24】
前記電源ボタンは、前記データ処理デバイスに接続された入力デバイスをさらに含み、前記入力デバイスは、前記データ処理デバイスへのユーザ情報を取り込んで送信することができ、前記ユーザ情報は、処理されて、前記データ処理デバイスをオフにする前記要求を生成する、請求項18に記載の、システム。
【請求項25】
前記電源ボタンは、所定の非活動期間の満了時に、前記データ処理デバイスをオフにする前記要求を自動的に生成することができるタイミングメカニズムをさらに含む、請求項18に記載の、システム。
【請求項26】
前記データ処理デバイスに接続された前記少なくとも1つのHIDデバイスは、1つ又は複数のディスプレイデバイス、キーボード、マウス、及びスピーカの少なくとも1つを含む、請求項19に記載の、システム。
【請求項27】
オペレーティングシステムをさらに備え、前記モジュールは、さらに、前記オペレーティングシステムから、前記データ処理デバイスを低電力状態に遷移させる命令を受信すると、前記データ処理デバイスを低電力状態に遷移させることができる、請求項19に記載の、システム。
【請求項28】
グラフィックスコントローラ及び音響アダプタの少なくとも1つをさらに備える、請求項19に記載の、システム。
【請求項29】
前記グラフィックスコントローラ及び前記音響アダプタの前記少なくとも1つの、計算を実行することができる部分がオフにされる、請求項28に記載の、システム。
【請求項30】
少なくとも1つのストレージロケーションをさらに備え、前記グラフィックスコントローラ及び前記音響アダプタの前記少なくとも1つのそれぞれに対応するドライバが、前記オペレーティングシステムからのメッセージをインターセプトすることができ、前記オペレーティングシステムから前記少なくとも1つのストレージロケーションへの前記メッセージの少なくとも1つを記憶することができる、請求項29に記載の、システム。
【請求項31】
前記少なくとも1つのストレージロケーションは、メモリ及びハードディスクの少なくとも1つを備える、請求項30に記載の、システム。
【請求項32】
命令を記憶したマシンアクセス可能媒体を含む物品であって、該命令は、マシンによって実行されると、前記マシンに、
視覚的オン状態及び視覚的オフ状態を認識するようにデータ処理デバイスを構成させ、
前記データ処理デバイスをオフにする要求を識別させ、
前記コンピューティングデバイスをオフにする代わりに、前記コンピューティングデバイスを前記視覚的オフ状態に遷移させる、
物品。
【請求項33】
前記命令は、前記マシンによって実行されると、さらに、前記データ処理デバイス及び該データ処理デバイスに接続された少なくとも1つのヒューマンインタフェースデバイス(「HIDデバイス」)の可聴インジケータ及び視覚インジケータを前記マシンにオフにさせる、請求項32に記載の物品。
【請求項34】
前記命令は、前記マシンによって実行されると、さらに、前記マシンをオフにする前記要求を、前記データ処理デバイスのオペレーティングシステムによる受信の前に、前記マシンにインターセプトさせる、請求項32に記載の物品。
【請求項35】
前記命令は、前記マシンによって実行されると、さらに、前記マシンに、
前記データ処理デバイスをオンにする要求を識別させ、
前記視覚的オフ状態から前記視覚的オン状態へ前記データ処理デバイスを遷移させる、
請求項33に記載の物品。
【請求項36】
前記命令は、前記マシンによって実行されると、さらに、前記データ処理デバイス及び前記データ処理デバイスに接続された少なくとも1つのHIDデバイスの可聴インジケータ及び視覚インジケータを前記マシンにオンにさせる、請求項35に記載の物品。
【請求項37】
前記マシンによって実行されると、前記マシンに前記データ処理デバイスをオフにさせる前記命令は、前記データ処理デバイスの電源ボタン、前記データ処理デバイスに接続されたディスプレイのボタン、前記データ処理デバイスに接続されたキーボードのあらかじめ定義されたキー、及び前記データ処理デバイスに接続されたリモート制御デバイスのボタンの1つによって生成される、請求項32に記載の物品。
【請求項38】
前記マシンによって実行されると、前記マシンに前記データ処理デバイスをオフにさせる前記命令は、前記データ処理デバイスに接続された1つ又は複数のデバイスからの入力に基づいて自動的に生成される、請求項32に記載の物品。
【請求項39】
前記マシンによって実行されると、前記マシンに前記データ処理デバイスをオフにさせる前記命令は、所定の非活動期間の満了時に自動的に生成される、請求項32に記載の物品。
【請求項40】
前記データ処理デバイスに接続された前記少なくとも1つのHIDデバイスは、1つ又は複数のディスプレイデバイス、キーボード、マウス、及びスピーカの少なくとも1つを含む、請求項33に記載の物品。
【請求項41】
前記命令は、前記マシンによって実行されると、さらに、前記データ処理デバイスのオペレーティングシステムから、前記データ処理デバイスを低電力状態に遷移させる命令を受信すると、前記マシンに前記データ処理デバイスを低電力状態に遷移させる、請求項33に記載の物品。
【請求項42】
前記命令は、前記マシンによって実行されると、さらに、前記少なくとも1つのHIDデバイスへの出力を生成できる計算プロセスをオフにすることによって、前記マシンに前記データ処理デバイスを視覚的オフ状態に遷移させる、請求項33に記載の物品。
【請求項43】
前記少なくとも1つのHIDデバイスは表示デバイスであり、前記命令は、前記マシンによって実行されると、さらに、前記マシンに、
グラフィックス計算を実行する、グラフィックスコントローラの部分をオフにさせ、
オペレーティングシステムから前記グラフィックスコントローラへのメッセージをインターセプトさせ、
前記オペレーティングシステムから少なくとも1つのロケーションへの前記メッセージの少なくとも1つを記憶させる、
請求項42に記載の物品。
【請求項44】
前記少なくとも1つのロケーションは、メモリ及びハードディスクの少なくとも1つを含む、請求項43に記載の物品。
【請求項45】
前記命令は、前記マシンによって実行されると、さらに、前記マシンに、前記表示デバイスの前記可聴インジケータ及び前記視覚インジケータをオンにさせ、前記少なくとも1つのロケーションに記憶された前記オペレーティングシステムからの前記メッセージの前記少なくとも1つを実行させる、請求項43に記載の物品。
【請求項46】
前記少なくとも1つのHIDデバイスはスピーカであり、前記命令は、前記マシンによって実行されると、さらに、前記マシンに、
音響計算を実行することができる、音響アダプタの部分をオフにさせ、
オペレーティングシステムから前記音響アダプタへのメッセージをインターセプトさせ、
前記オペレーティングシステムから少なくとも1つのロケーションへの前記メッセージの少なくとも1つを記憶させる、
請求項42に記載の物品。
【請求項47】
前記命令は、前記マシンによって実行されると、さらに、前記マシンに、
前記スピーカの前記可聴インジケータ及び前記視覚インジケータをオンにさせ、
音響計算を実行することができる、前記音響コントローラの前記部分をオンにさせ、
前記データ処理デバイスの前記少なくとも1つのロケーションに記憶された前記オペレーティングシステムからの前記メッセージの前記少なくとも1つを実行させる、
請求項46に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−503058(P2007−503058A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523948(P2006−523948)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/026402
【国際公開番号】WO2005/020053
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(591003943)インテル・コーポレーション (1,101)
【Fターム(参考)】