説明

データ処理装置及びプログラム

【課題】 瞬時にキャンセルを達成して不用なデータ処理がなされないようにしたデータ処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】 受信部11からなる受信手段により受信されたデータを記憶部12からなる記憶手段に一旦記憶してデータを処理するデータ処理装置10において、前記受信手段によるデータの受信をキャンセルすると同時に前記記憶手段に記憶されたデータを同時にキャンセルする設定ができる設定部17から構成される設定手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信されたデータを処理するデータ処理装置及びプログラムに関し、特に受信されるデータをキャンセルするデータ処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受信されるデータを適宜に拒否する機器としては、例えば、下記の特許文献1(特開平6−105108号公報)に開示された技術が提案されている。これは、自動着信機能を備えたファクシミリ装置において、送信優先として着信を拒否するものである。この従来技術は、ユーザが急いで情報を送信するために前処理を行なっている最中に、着信が検出されると直ちに受信状態に移行してしまうことを自動的に停止させるものである。そのために、ファクシミリ装置は、送信先電話番号の入力を検出する電話番号入力検出部を備え、オペレータが操作パネルから相手局の電話番号の入力を開始すると電話番号入力検出部がこれを検出して自動受信機能を停止し、送信優先モードを起動して以降の着信を全て拒否するようにしている。また、他の手段としては、スキャナの予定の個所に送信原稿が載置されたことを検出する原稿載置検出部を設けて、原稿の載置が検出されると自動的に送信優先モードが起動されるようにしたものである。
【0003】
また、例えば、ネットワークに接続された被制御機器が制御データによって制御されることを制御機器のモードによって拒否するようにした技術が下記の特許文献2(特開2002−44095号公報)で提案されている。これは、例えば、ユーザがデジタルTV(自機器)によってある放送チャンネルの番組を視聴している最中に、ネットワーク上の他機器から選局切替コマンドにより自機器の選局が突然別のチャンネルに切り替えられてしまうことがある。このようなことが起きると、ユーザに不快感を与えたり、ユーザにとってデジタルTV(自機器)の使用感が悪くなる。そこで、この従来技術はネットワーク上の自機器が他機器からのコマンドで不用意に操作されないようにしたものである。
【0004】
機器制御システムは、例えばIEEE1394シリアルバスを介して他機器が接続されるIEEE1394インターフェイスを搭載した自機器が、IEEE1394シリアルバスの使用方法(他機器からの制御を許可するか否か)を設定するように構成されている。IEEE1394シリアルバスの使用方法を設定する処理は、自機器の操作を他機器からの操作よりも優先する第1のユーザ設定と、他機器からの操作も受け付ける第2のユーザ設定とを含む。第1のユーザ設定及び第2のユーザ設定のいずれが設定されるかは、自機器のユーザが決定できる。第1のユーザ設定の場合に、自機器は、他機器からのコマンドを全て拒否した応答を返すように構成されている。
【0005】
また、例えば、画像形成装置においてマルチジョブを一旦停止してから消去すべきジョブを選択する技術が下記の特許文献3(特開平9−163088号公報)に提案されている。所謂マルチジョブ複写機では、読取ジョブとプリントジョブとを別々に登録し、これらのジョブが同時に実行されている場合、各ジョブ毎に停止を行なう。この場合に操作パネルのキーを増加させないようにしたものである。そのために、画像形成装置は、原稿画像を読取る画像読取手段と、画像読取手段によって読取られた画像データを記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された画像データに基づいて画像形成を行なう画像形成手段と、画像読取手段と、画像形成手段とを平行して実行させる制御手段と、実行中のすべての動作を停止させる停止指示手段と、停止指示手段によって実行中の複数の動作が停止されたとき、複数のうちのいくつかの動作を選択する選択手段と、選択手段によって選択された動作にかかわる画像データを記憶手段から消去する消去手段とを備えたものである。
【0006】
そして、画像読取手段と画像形成手段とが平行して動作しているときに停止指示手段により実行中のすべての動作が停止され、選択手段により停止された動作のうち所望の動作を選択し、消去手段により選択された動作にかかわる画像データが記憶手段から消去される。したがって、ユーザは停止指示手段の操作という1つの操作により画像読取手段と画像形成手段との動作を停止させ、その後選択手段により消去すべき画像データにかかわる動作を選択することができ、操作パネルのキーの数を増加することなく、シングルジョブ時の操作と違和感のないマルチジョブ時の操作を行なうことを可能としている。具体的には、操作パネル上にストップキーとクリアキーを設け、読取動作とプリント動作とを同時に実行中に、ストップキーにより2つの動作を停止させた後、1つのクリアキーによりデータの破棄を指令する。
【0007】
また、上記特許文献3における従来技術を改良した画像形成装置が下記の特許文献4(特開2003−348277号公報)によって提案されている。この特許文献4における従来の技術は、キャンセル時に一旦複数の実行ジョブを停止させてからキャンセルするジョブを選択するものである。そのため、ジョブをキャンセルするためには、キャンセルに関係のないジョブまでも一旦停止させなければならないという不都合があった。そこで、上記特許文献3における従来技術は、画像形成装置の制御部に表示切り換え手段としての処理動作切り換え部を備えたものである。この処理動作切り換え部は操作パネル上の表示部に表示するキーを画像形成装置の作動状態に応じて切り換えるようになっている。
【0008】
【特許文献1】特開平6−105108号公報(段落〔0002〕、段落〔0006〕、段落〔0018〕、段落〔0023〕)
【特許文献2】特開2002−44095号公報(段落〔0004〕、段落〔0006〕、段落〔0008〕〜段落〔0010〕)
【特許文献3】特開平9−163088号公報(段落〔0003〕、段落〔0005〕、段落〔0006〕、〔0018〕、段落〔0074〕)
【特許文献4】特開2003−348277号公報(段落〔0004〕、段落〔0049〕、段落〔0062〕〜段落〔0076〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述した従来技術は、ジョブ自体を確認することなく直ちにキャンセルすることができなかった。例えば、最近のデータ処理が高速化された画像形成装置において、原稿を読取ったデータを受信して印刷に供する場合、途中で印刷を中止しようとしても直ちに中止することができず実質的に大幅な印刷処理がなされてしまう。そのため、不用なデータ処理による印刷物が生じてしまうという問題があった。このような問題点は、ファクシミリ装置における途中で直ちに受信、送信を中止する場合にも同様な問題点があった。
【0010】
そこで、本発明は、従来の問題点を排除し、瞬時にキャンセルを達成して不用なデータ処理がなされないようにしたデータ処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本願の請求項1に係る発明のデータ処理装置は、受信手段により受信されたデータを一旦記憶する記憶手段と、前記受信手段によるデータの受信をキャンセルすると同時に前記記憶手段に記憶されたデータをキャンセルする指示を入力する操作手段と、操作手段の入力に基づいて前記データのキャンセル指示を設定する設定手段(例えば、設定部17)と、を備え
前記受信手段によるデータの受信をキャンセルすると同時に前記記憶手段に記憶されたデータをキャンセルする操作手段からの指示に基づいて設定手段に設定することを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項2に係る発明のデータ処理装置は、請求項1にかかるデータ処理装置は、更に、設定手段によりキャンセルが設定されたデータのログを保持し該ログを報知する報知手段を備え
前記報知手段により、キャンセルが設定されたデータのログを保持し該ログを報知することを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項3に係る発明のデータ処理装置は、請求項2にかかるデータ処理装置は、更に、設定手段によりキャンセル状態に設定されたことを表示する表示手段を備え
前記表示手段に前記設定手段によりキャンセル状態に設定されたことを表示することを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3に記載のデータ処理装置において、前記設定手段は、キャンセルするデータ数を操作手段の入力に基づいて設定し、キャンセルすべきデータ数のデータをキャンセルした後に、該設定を解除することを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項5に係る発明は、受信手段により受信されたデータを一旦記憶する記憶手段と、前記受信手段によるデータの受信をキャンセルすると同時に前記記憶手段に記憶されたデータをキャンセルする指示を入力する操作手段と、操作手段の入力に基づいて前記データのキャンセル指示を設定する設定手段(例えば、設定部17)と、を備え、前記記憶手段に記憶されたデータを処理するデータ処理装置を構成するコンピュータに、
前記操作手段の入力に基づいて、前記受信手段によるデータの受信をキャンセルすると同時に前記記憶手段に記憶されたデータをキャンセルする指示を設定する設定手段としての機能を実行させることを特徴とするプログラムである。
【0016】
また、本願の請求項6に係る発明は、請求項5にかかるプログラムは、更に、キャンセルが設定されたデータのログを保持し該ログを報知するログ報知手段としての機能を実行させることを特徴とするプログラムである。
【0017】
また、本願の請求項7に係る発明は、前記請求項5または6に記載のプログラムにおいて、前記操作手段の入力に基づいて前記データのキャンセル指示を設定する処理においては、キャンセルするデータ数を操作手段の入力に基づいて設定し、該キャンセルすべきデータ数をキャンセルした後に、該設定を解除する処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本願発明は上記の構成を備えることにより以下のような優れた効果を奏する。すなわち、本願の請求項1に係るデータ処理装置においては、前記設定手段により前記受信手段のデータの受信を停止して受信をキャンセルすることと、既に受信され前記記憶手段に記憶されたデータを消去してキャンセルすることを同時に行なうことができるので、データが処理される以前に瞬時に全面的にキャンセルされ、不用なデータ処理がなされることを防止できる効果を有する。
【0019】
また、本願の請求項2に係る発明のデータ処理装置においては、前記設定手段により前記受信手段のデータの受信を停止して受信をキャンセルすることと、既に受信され前記記憶手段に記憶されたデータを消去してキャンセルすることを同時に行なうことができる。一方、前記報知手段によりキャンセルされたデータのログを保存し報知する。そのため、データが処理される以前に瞬時に全面的にデータのキャンセルがなされ、不用なデータ処理を行なうことを防止できるだけでなく、前記報知手段によりキャンセルされたデータ情報をログとして報知されるので、ユーザは的確にキャンセルされたデータ情報を把握できる効果を有する。
【0020】
また、本願の請求項3に係る発明のデータ処理装置においては、前記設定手段により前記受信手段のデータの受信を停止して受信をキャンセルすることと、既に受信され前記記憶手段に記憶されたデータを消去してキャンセルすることを同時に行なうことができる。そして、表示手段によりキャンセルが設定されたことを表示するので、ユーザはキャンセルに設定されたことを正確に認知できる効果を有する。一方、前記報知手段によりキャンセルされたデータのログを保存し報知する。そのため、データが処理される以前に瞬時に全面的にデータのキャンセルがなされ、不用なデータ処理を行なうことを防止できるだけでなく、前記報知手段によりキャンセルされたデータ情報をログとして報知されるので、ユーザは的確にキャンセルされたデータ情報を把握できる効果を有する。
【0021】
また、本願の請求項4に係る発明において、請求項1ないし請求項3におけるデータ処理装置は、前記設定手段により予めキャンセルすべきデータ数を設定することができ、キャンセルするデータ数に至った後には設定を解除して通常のデータ処理を行なうことになるので、任意にキャンセルすべきデータ数を設定できる効果を有する。
【0022】
また、本願の請求項5に係る発明のプログラムにおいては、データ処理装置を構成するコンピュータに、操作手段の入力に基づいて、前記受信手段によるデータの受信をキャンセルすると同時に前記記憶手段に記憶されたデータをキャンセルする指示を設定する設定手段としての機能を実行させる。そして、このプログラムは、操作手段の入力に基づいて、前記受信手段によるデータの受信をキャンセルすると同時に前記記憶手段に記憶されたデータをキャンセルする指示を設定するステップを有するので、前記設定手段により前記受信手段のデータの受信を停止して受信をキャンセルすることと、既に受信され前記記憶手段に記憶されたデータを消去してキャンセルすることを同時に行なうことができるため、データが処理される以前に瞬時に全面的にキャンセルされ、不用なデータ処理がなされることを防止できる効果を有する。
【0023】
また、本願の請求項6に係る発明のプログラムにおいては、請求項5におけるデータ処理装置を構成するコンピュータに、操作手段の入力に基づいて、前記受信手段によるデータの受信をキャンセルすると同時に前記記憶手段に記憶されたデータをキャンセルする指示を設定する設定手段としての機能を実行させ、キャンセルが設定されたデータのログを保持し該ログを報知するログ報知手段としての機能を実行させる。
【0024】
そして、このプログラムは、操作手段の入力に基づいて、前記受信手段によるデータの受信をキャンセルすると同時に前記記憶手段に記憶されたデータをキャンセルする指示を設定するステップと、キャンセルが設定されたデータのログを保持し該ログを報知するステップとを有するので、設定手段により前記受信手段のデータの受信を停止して受信をキャンセルすることと、既に受信され前記記憶手段に記憶されたデータを消去してキャンセルすることを同時に行なうことができるので、データが処理される以前に瞬時に全面的にキャンセルされ、不用なデータ処理がなされることを防止できるだけでなく、前記報知手段によりキャンセルされたデータ情報をログとして報知されるので、ユーザは的確にキャンセルされたデータ情報を把握できる効果を有する。
【0025】
また、本願の請求項7に係る発明において、請求項5または6におけるプログラムは、操作手段の入力に基づいて前記データのキャンセル指示を設定する処理において、キャンセルするデータ数を操作手段の入力に基づいて設定し、該キャンセルすべきデータ数をキャンセルした後に、該設定を解除する処理を実行させるステップからなり、前記設定手段により予めキャンセルすべきデータ数を設定することができ、キャンセルするデータ数に至った後には通常のデータ処理を行なうので、任意にキャンセルすべきデータ数を設定できる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施例1におけるデータ処理装置を画像形成装置に適用した場合を示すブロック図、図2は、図1における画像形成装置における操作部の操作パネルを示す説明図、図3は、本発明の実施例1における画像形成装置の動作を示すフローチャート、図4は、キャンセルされるデータのログ情報(履歴情報)を記憶し、報知部において、キャンセル処理が行われたことを報知する処理手順を示すフローチャートであり、(A)は、図3のステップS8およびステップS9における処理のサブルーチン、(B)は、図3のステップS10における処理のサブルーチンを示すフローチャートである。図5は、本発明の実施例2におけるデータ処理装置を携帯電話に適用した場合を示すブロック図である。図6は、本発明の実施例2における携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【実施例1】
【0027】
図1に示すように、データ処理装置10は、データを受信する受信部11と、データを一旦記憶する記憶部12と、データを処理するデータ処理部13と、操作部14と、制御部15と、報知部16とからなる。そして、操作部14は受信部11によるデータの受信をキャンセルすると同時に記憶部12に既に記憶されたデータを同時にキャンセルすることを設定する設定部17を備えており、操作部14から入力された指示(情報)に基づいて設定部17に、受信部11によるデータの受信をキャンセルすると同時に記憶部12に既に記憶されたデータを同時にキャンセルするか否かが設定される。また、設定部17は操作部14から入力される指示に基づいて、全てのデータをキャンセルするだけでなくキャンセルしたいデータ数を設定することも可能とするものである。
【0028】
制御部15は設定部17により設定されたキャンセルすべきデータ数をカウントし、キャンセルすべきデータ数が全てキャンセルされたことを検知して設定部17のキャンセル設定を解除し、その後はデータ処理部13でデータの処理がなされるように制御するものである。更に、報知部16はキャンセルされたデータのログを保持し、このログを報知するようになっている。このログの報知は、具体的には後述する操作パネルの表示画面によってなされるようになっている。
【0029】
図2において、上記データ処理装置10を画像形成装置に適用した場合における操作部14の操作パネル141を示す。操作パネル141は表示画面142と、表示用発光ダイオード143と、操作用キー面144とからなる。表示用発光ダイオード143はキャンセルの表示手段を形成するキャンセル表示用発光ダイード143aを含む複数個の発光ダイオードからなる。操作用キー面144にはキャンセル用キー144a、スクロール用キー144b、144c、144d、144e、エンター用キー144f等が配されている。
【0030】
次に、上述した構成によるデータ処理装置10を画像形成装置に適用した場合につき、図3、図4で示すフローチャートを参照してその動作を説明する。
【0031】
原稿を読取ったデータは、通常の場合には受信部11で受信され、記憶部12で一旦記憶され、データ処理部13において、例えば、印刷処理のためのデータ処理がなされる。ここで、ユーザがデータのキャンセルを行なう場合、通常キャンセルと常時キャンセルを選択できる。通常キャンセルを行うには、キャンセル用キーを押し表示パネルに表示されるデータを選択した後「ENTER」キーを押すことにより選択したデータをキャンセルできる。通常キャンセルを行うには、図2(A)で示すように操作用キー面144のキャンセル用キー144aを押すことにより表示パネルに通常キャンセルか常時キャンセルかを選択する表示がなされ、スクロールキーによっていずれかを選択でき、通常キャンセルを選択することによって上記の操作ができるように構成されている。
【0032】
常時キャンセルが選択された場合には、スクロール用キー144b〜144eを操作して図2(B)で示すように表示画面142に常時キャンセルの表示をさせ選択して行なう。常時キャンセルを選択した場合、(1)これから受信するデータの全キャンセル、(2)既に受信したデータの全キャンセル、(3)これから受信するデータの全キャンセルと既に受信したデータの全キャンセル、の3つのキャンセルモードが設定できる。この選択は、図2(C)に示すようにスクロール用キー144b〜144eを操作して行うことができる。
【0033】
図3は、以上のキャンセル処理を行う手順を示すフローチャートである。図3のステップS1で示すキャンセル操作を行う。この操作によってデータ処理装置10は、ステップS2で示すように印刷処理を一時的に停止する。次に、ユーザは、ステップS3において通常キャンセルを選択するか、常時キャンセルを選択するか否かの操作を行う。通常キャンセルが選択された場合は、ステップS6おいてキャンセルするジョブの選択とキャンセルが実行される。また、ステップS3において、ユーザが全て常時キャンセルを選択しないで所望のデータ数を選択し、この選択されたデータ数だけをキャンセルする場合は、ステップS6で示すように操作パネル141の操作によって所望のデータ数を設定する。その結果、データ処理装置10は、次のステップS5において設定されたデータ数のデータをステップS7でキャンセルする。
【0034】
ステップS3で常時キャンセルを選択する場合には、図2(C)で示すように表示画面142に常時キャンセルの表示を行わせて常時キャンセルを選択し、ステップS4でスクロール用キー144b〜144eを操作して、(1)これから受信するデータの全キャンセル、(2)既に受信したデータの全キャンセル、(3)これから受信するデータの全キャンセルと既に受信したデータの全キャンセル、の3つのキャンセルモードのいずれかをエンター用キー144fを押して選択する。
【0035】
ステップS4でデフォルトの常時キャンセル(上記(3)のこれから受信するデータの全キャンセルと既に受信したデータの全キャンセル)が選択された場合には、キャンセル表示用発光ダイオード143aが発光して常時キャンセルが設定されたことを表示する。そして、ステップS9で既に受信したデータの全キャンセルが行われ、ステップS10でこれからの受信データも全てキャンセルされ、処理を終了する。スッテプS4で上記(2)の既に受信したデータの全キャンセルが選択された場合には、既に受信したデータの全キャンセルがステップS8で行われ、処理を終了する。また、ステップS4で上記(1)のこれから受信するデータの全キャンセルが選択された場合には、ステップS10で、これからの受信データは全てキャンセルされ、処理を終了する。
【0036】
また、ステップS9およびステップS10のキャンセル処理においては、図4のサブルーチン処理手順によって、キャンセルされるデータのログ情報(履歴情報)を記憶し、報知部16において、キャンセル処理が行われたことを報知することができる。すなわち、図4は、キャンセルされるデータのログ情報(履歴情報)を記憶し、報知部16において、キャンセル処理が行われたことを報知する処理手順を示すフローチャートであり、(A)は、図3のステップS8およびステップS9における処理のサブルーチン、(B)は、図3のステップS10における処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0037】
既に受信したデータの全キャンセルの処理が行われる場合、図4(A)において、先ず、ステップS41において、受信履歴(ログ)を残すか否かが判断され、受信データの受信履歴を残さない設定であると判断された場合は、既に受信したデータをステップS43で消去する。また、データの消去処理の後、報知部16において消去処理が行われたことをユーザに報知して、処理を終了するようにできる。ステップS41で、受信履歴を残す設定であると判断された場合には、ステップS42で受信データの履歴を保存した上で、既に受信したデータの全てをステップS43で消去する。この場合も前述と同様に、データの消去処理の後、報知部16において消去処理が行われたことをユーザに報知して、処理を終了するようにできる。
【0038】
これからの受信データを全消去する場合は、図4(B)において、先ず、ステップS45でデータを受信する。そして、ステップS46において、受信履歴(ログ)を残すか否かが判断され、受信データの受信履歴を残さない設定であると判断された場合は、既に受信したデータをステップS48で消去する。また、データの消去処理の後、報知部16において消去処理が行われたことをユーザに報知して、処理を終了するようにできる。ステップS46で、受信履歴を残す設定であると判断された場合には、ステップS44で受信データの履歴を保存した上で、受信したデータの全てをステップS48で消去する。この場合も前述と同様に、データの消去処理の後、報知部16において消去処理が行われたことをユーザに報知して、処理を終了するようにできる。
【0039】
この場合、本発明の実施例1のデータ処理装置10は、受信部11により受信されたデータを記憶部12に一旦記憶してデータ処理部13でデータを処理するのであるが、受信部11によるデータの受信をキャンセルすると同時に記憶部12に記憶されたデータをキャンセルすることを設定する設定部17を備えている。また、設定部17によるキャンセル状態に設定されたことを表示するキャンセル表示用発光ダイオード143aと、設定部17によりキャンセルが設定されたデータのログを保持し該ログを報知する報知部16を備える。
【0040】
そのため、設定部17により受信部11のデータの受信を停止して受信をキャンセルすることと既に受信され記憶部12に記憶されたデータを消去してキャンセルすることを同時に行なうことができる。そして、キャンセル表示用発光ダイオード143aによりキャンセルが設定されたことを表示するので、ユーザはキャンセルに設定されたことを正確に認知できる。一方、報知部16によりキャンセルされたデータのログを保存し報知する。そのため、データが処理される以前に瞬時に全面的にデータのキャンセルがなされ、不用なデータ処理を行なうことを防止できるだけでなく、報知部16によりキャンセルされたデータ情報をログとして報知されるので、ユーザは的確にキャンセルされたデータ情報を把握できる。
【0041】
データ処理装置10は、プリンタ、複写機等に適用されるが、キャンセルが瞬時に実行できるので、不用に印刷出力を行なってしまうことがない。また、データ処理装置10はファクシミリにおける受信側に適用した場合でも同様に不用に印刷出力を行なってしまうことがない。データ処理装置10は、ファクシミリ装置における送信側に適用した場合にあっては、原稿を読取ったデータを受信してデータ処理を行ないファクシミリ信号として送信する機能を実行するが、これを瞬時にキャンセルできるので相手に送信したくないデータの送信を直ちに停止できる。
【実施例2】
【0042】
図5に基づいて本発明を携帯電話に適用した実施例2について説明する。データ処理装置20は、データの受信手段を形成する送受信部21と、受信されたデータを音声信号にデータ処理して音声信号を発生させる送受話部22と、留守録として受信されたデータを記憶する記憶部23と、操作部24と、制御部25と、ディスプレイ26と、受信されたデータ情報をログとして記録するログ記録部27とからなる。操作部24は常時キャンセル用操作釦とデータ情報をログとして記録することを設定するログ設定用操作釦とを備えている。そして、制御部25は、操作部24における常時キャンセル用操作釦が操作されると、送受信部21において受信されたデータをキャンセルするように制御するものである。即ち、操作部24、制御部25でもってキャンセルのための設定手段が形成されている。また、ディスプレイ26は、ログ記録部27のログ情報が表示される報知手段を形成している。
【0043】
次に、実施例2の動作について図6のフローチャートに基づいて説明する。ユーザは常時キャンセルとする場合には、ステップS11で示すように操作部24における常時キャンセル用操作釦を操作する。次のステップS12において示すように、制御部25は送受信部21に着信があると、ステップS13で示すようにユーザに対して呼び出し音、振動等による着信通知を行なわない。ステップS14においてユーザがログ設定用操作釦の操作により受信情報を残すログ設定になっているか否かが判別される。ログ設定になっている場合には、ステップS15で示すようにログを保存することによって着信履歴が保存される。
【0044】
そして、次にステップS16において制御部25が電話回線の切断を行うことによってキャンセルを実行する。一方、ステップS14において受信情報を残すログ設定になっていない場合には、そのままステップS16において電話回線切断を行い、キャンセルを実行し、処理を終了する。
【0045】
ユーザが常時キャンセルの操作をしない場合には、送受信部21で受信された着信情報により制御部24が着信の呼び出しを行い送受話部22でもって通常の通話を行うようになる。
【0046】
従って、本発明の実施例2のデータ処理装置20は、操作部24における常時キャンセル用操作釦が操作されると、制御部25が送受信部21において受信されたデータをキャンセルするように制御するものである。そして、ログ設定用操作釦の操作によりログ記録部27が受信されたデータ情報をログとして記録し、これをディスプレイ26において報知することができる。そのため、データが処理される以前に瞬時に全面的にデータのキャンセルがなされ、不用なデータ処理を行うことを防止できるだけでなく、ディスプレイ26によりキャンセルされたデータ情報をログとして報知するので、ユーザは的確にキャンセルされたデータ情報を把握できる。
【0047】
なお、上述した本発明の実施例1におけるデータ処理装置10は、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置に適用できるものである。そして、複数のユーザが共同でプリンタを使用する場合において、プリンタでキャンセルを行なうと不特定多数のユーザが送信したデータを受信側のプリンタでキャンセルしてしまうことになるが、そのデータは送信者のパーソナルコンピュータに保存されているのでログを見て必要に応じて再度送信すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例1におけるデータ処理装置を画像形成装置に適用した場合を示すブロック図である。
【図2】図1における画像形成装置における操作部の操作パネルを示す説明図である。
【図3】本発明の実施例1における画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】キャンセルされるデータのログ情報(履歴情報)を記憶し、報知部において、キャンセル処理が行われたことを報知する処理手順を示すフローチャートであり、(A)は、図3のステップS8およびステップS9における処理のサブルーチン、(B)は、図3のステップS10における処理のサブルーチンを示すフローチャートである。図3における要部の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例2におけるデータ処理装置を携帯電話に適用した場合を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施例2における携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
10 データ処理装置
11 受信部
12 記憶部
13 データ処理部
14 操作部
15 制御部
16 報知部
17 設定部
141 操作パネル
142 表示画面
143 表示用発光ダイオード
143a キャンセル表示用発光ダイオード
144 操作用キー面
144a キャンセル用キー
144b〜144e スクロール用キー
144f エンター用キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信手段により受信されたデータを一旦記憶する記憶手段と、前記受信手段によるデータの受信をキャンセルすると同時に前記記憶手段に記憶されたデータをキャンセルする指示を入力する操作手段と、操作手段の入力に基づいて前記データのキャンセル指示を設定する設定手段と、を備え
前記受信手段によるデータの受信をキャンセルすると同時に前記記憶手段に記憶されたデータをキャンセルする操作手段からの指示に基づいて設定手段に設定することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記データ処理装置は、更に、設定手段によりキャンセルが設定されたデータのログを保持し該ログを報知する報知手段を備え
前記報知手段により、キャンセルが設定されたデータのログを保持し該ログを報知するようになしたことを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記データ処理装置は、更に、設定手段によりキャンセル状態に設定されたことを表示する表示手段を備え
前記表示手段に前記設定手段によりキャンセル状態に設定されたことを表示することを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記設定手段は、キャンセルするデータ数を操作手段の入力に基づいて設定し、キャンセルすべきデータ数のデータをキャンセルした後に、該設定を解除することを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
受信手段により受信されたデータを一旦記憶する記憶手段と、前記受信手段によるデータの受信をキャンセルすると同時に前記記憶手段に記憶されたデータをキャンセルする指示を入力する操作手段と、操作手段の入力に基づいて前記データのキャンセル指示を設定する設定手段と、を備え、前記記憶手段に記憶されたデータを処理するデータ処理装置を構成するコンピュータに、
前記操作手段の入力に基づいて、前記受信手段によるデータの受信をキャンセルすると同時に前記記憶手段に記憶されたデータをキャンセルする指示を設定する設定手段としての機能を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
前記データ処理装置を構成するコンピュータに、
前記キャンセルが設定されたデータのログを保持し該ログを報知するログ報知手段としての機能を実行させることを特徴とする請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記操作手段の入力に基づいて前記データのキャンセル指示を設定する処理においては、キャンセルするデータ数を操作手段の入力に基づいて設定し、該キャンセルすべきデータ数をキャンセルした後に該設定を解除する処理を実行させることを特徴とする請求項5または6に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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