説明

データ収集システム、勤怠管理システム、およびデータ収集用リーダ端末

【課題】対象物に対して非接触状態でデータを読取りその収集を行うデータ収集システムにおいて、本来読取るべきデータをより確実に読取る。
【解決手段】対象物が有する識別データを非接触状態で読取るリーダ部12と、その識別データを含む所定データを記憶する記憶部15と、を有するリーダ端末10と、データの入力が可能である入力部22と、リーダ端末と接続、分離が可能である端末配置部と、を有するベース本体20と、を備えるデータ収集システム1であって、リーダ端末10が端末配置部と分離された状態では、該リーダ端末10は、識別データをリーダ部を介して非接触状態で読取るとともにその識別データを含む所定データを記憶部15に記憶し、両者がと接続された状態では、該リーダ端末10は、入力部22を介して入力されたデータを所定データとして取得するとともに該取得した所定データを記憶部15に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物が有するデータを非接触状態にて読取ることでデータの収集を行うデータ収集システムであり、特に所定人数で構成されるグループの勤怠状況に関するデータ収集を行う勤怠管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特定のデータを収集するシステムとして、いわゆる勤怠管理システムが挙げられる。勤怠管理システムは、対象となる複数の人員が所定の時間に所定の場所に出席しているか否かについてデータを収集するシステムである。これは従来、対象者のマニュアル操作によるデータ入力や磁気式IDカードを利用したデータ入力によって、勤怠データの収集が行われていた。しかし、これではデータの収集に時間を要し、また正確なデータ入力が困難となる場合があるため、非接触式の無線タグ(RFIDタグ等)を利用した勤怠状況に関するデータ収集システムに関する技術が開示されてきている(例えば、特許文献1を参照。)。尚、ここでいう勤怠管理には勤務者が対象となるが、この勤務者には広く学生や生徒等も含まれるものであり、この場合、学生等の出欠の管理が勤務者の勤怠管理に相当することになる。
【0003】
また、無線タグだけではなく携帯端末とも無線通信を行うことで、携帯端末に格納されているデータを読取るデータ収集システムに関する技術が開示されている(例えば、特許文献2を参照。)。この技術では、携帯端末に個人を識別するデータだけでなく、データ収集システムに関するデータやプログラムを記憶させておくことで、データ収集システム側の処理負荷を軽減させることを可能とする。
【特許文献1】特開2006−92045号公報
【特許文献2】特開2005−56192号公報
【特許文献3】特開2004−133631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
データ収集の簡便のため、対象が有しているデータを非接触状態で読取ろうとするとき、上述したような無線タグや磁気式タグ等の様々なデバイスを利用することができる。ここで、データを収集する際の利便性を考慮すると、その対象の位置まで、データを読取るための装置を移動させることが好ましい。
【0005】
一方で、この読取り装置による読取り結果に間違いがある場合やその読取り動作が良好に行われなかった場合等のために、その読取り手段とは別の手段によるデータ入力装置が設けられる場合がある。しかし、このような場合、データ入力装置を介して読取り装置が不意に操作されることで、故意に異なったデータを入力されてしまったりする虞がある。
【0006】
本発明では、上記した問題に鑑み、対象物に対して非接触状態でデータを読取りその収集を行うデータ収集システムにおいて、本来読取るべきデータをより確実に読取ることを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するために、データ収集を行うデータ収集システムにおいて、対象物のデータを読取るための装置であるリーダ端末と、それとは別に設けられたデータの入力部とが、リーダ端末によるデータ読取りが行われるときに同時に操作できない配置とした。これにより、データ読取り時の不意の操作を確実に回避することが可能と
なる。
【0008】
詳細には、本発明は、対象物が有する識別データを、該対象物に対して非接触状態で読取るリーダ部と、前記リーダ部によって読取られた識別データを含む所定データを記憶する記憶部と、を有するリーダ端末と、前記所定データと同種のデータの入力が可能である入力部と、前記リーダ端末と接続、分離が可能であり該リーダ端末が配置される端末配置部と、を有するベース本体と、を備えるデータ収集システムであって、前記リーダ端末が前記端末配置部と分離された状態では、該リーダ端末は、前記対象物が有する識別データを、前記リーダ部を介して非接触状態で読取るとともに該読取った識別データを含む所定データを前記記憶部に記憶し、前記リーダ端末が前記端末配置部と接続された状態では、該リーダ端末は、前記ベース本体の入力部を介して入力されたデータを前記所定データとして取得するとともに該取得した所定データを前記記憶部に記憶する。
【0009】
本発明に係るデータ収集システムは、上記リーダ端末とベース本体とを備え、原則としてリーダ端末を介したデータ収集を行う。このリーダ端末は、データ収集の対象である識別データを有する対象物に対して、非接触状態でのデータの読取りを行う。例えば、無線や磁気を利用することで、この非接触状態でのデータ読取りが行われる。そして、この読取られた識別データは、その他のデータとともに上記所定データとして記憶部に記憶される。ここで、ベース本体部においても、この所定データと同種データをマニュアル入力することを可能とする入力部が設けられている。これにより、リーダ端末が故障をしてしまった場合や読取り用のIDカード等を忘れてしまったり壊してしまったりした場合、またリーダ端末で読取ったデータを修正、削除する等の目的でデータ入力が行われる。そして、この入力部によって入力された所定データも、記憶部に記憶される。
【0010】
このように構成される本発明に係るデータ収集システムでは、リーダ端末によるデータの読取り手法を採用することで、データ収集を容易に行うことが可能となる。即ち、リーダ端末とベース本体とが分離した状態でリーダ端末による所定データの読取りが行われるため、リーダ端末を移動させることで、各所に位置する対象物に対してそれらが有する所定データを読取ることが可能となり、わざわざ対象物をリーダ端末の位置まで運んでくる必要がなくなる。特に、対象物の寸法、重量が比較的大きい場合等には、本発明のようにリーダ端末をベース本体部から分離して、対象物の有する所定データを読み込む手法は有用である。
【0011】
しかし、上記のようにリーダ端末がベース本体と分離して移動性を有することで、リーダ端末の操作者による悪意の操作によって、本来とは異なるデータが所定データとして収集される可能性がある。そこで、本発明に係るデータ収集システムでは、操作者の任意のデータ入力を可能とする上記入力部を、リーダ端末には設けず、ベース本体にのみ設けることとした。
【0012】
その結果、リーダ端末がベース本体と離れた状態(以下、「分離状態」という。)においては、リーダ端末のリーダ部による識別データの読取りのみが許され、その他のデータ入力は禁止される。そして、入力部を介したデータの入力が許されるのは、リーダ端末がベース本体と接続された状態(以下、「接続状態」という。)においてである。従って、この接続状態をデータ収集者の監視下に置くことで、容易なデータ収集というアドバンテージを保ちつつ、悪意の操作による誤データの収集を防止することが可能となる。
【0013】
ここで、上記のデータ収集システムにおいて、前記リーダ端末は、前記記憶部に記憶されている、前記所定データを直接無線で外部処理装置に送信する第一送信手段を、更に有し、前記ベース本体は、前記リーダ端末が前記端末配置部と接続された状態で、該リーダ端末の記憶部に記憶されている、前記所定データを有線で前記外部処理装置に送信する第
二送信手段を、更に有するようにしてもよい。
【0014】
即ち、リーダ端末においては、第一送信手段によりリーダ端末で読取ったデータを無線で外部処理装置に送ることで、上述したリーダ端末の移動性によるデータ収集の容易性を十分に確保することができる。一方で、ベース本体においては、第二送信手段によりリーダ端末で読取ったデータを有線で送る。これにより、ベース本体の移動性は低下するがその操作を監視下に置くことができるため、外部処理装置に誤ったデータが送信されるのを回避することができる。
【0015】
ここで、上述までのデータ収集システムを特定の目的に利用するという側面から、本発明を捉えることもできる。例えば、本発明は、上述までのデータ収集システムを含んで形成され、所定グループの人員の勤怠状況を確認する勤怠管理システムであって、前記対象物は、前記所定グループの人員各々に所持され、且つ個々の対象物が有する識別データは、該対象物に対応する人員を識別するための個人識別情報であって、前記リーダ端末は、前記端末配置部と分離された状態で前記対象物から前記個人識別情報を非接触状態にて読取ることで、前記所定グループの人員の勤怠データを収集するとともに、該所定グループが存在する空間であって前記外部処理装置との間で前記第一送信手段によるデータ送信が可能な所定空間に配置され、前記ベース本体は、前記外部処理装置との間で前記第二送信手段によるデータ送信が可能な空間に配置される勤怠管理システムである。
【0016】
即ち、本発明に係るデータ収集システムを好適に利用する一例として、上記勤怠管理システムが挙げられる。この勤怠管理システムでは、上記所定空間内においてリーダ端末の移動性によるデータ収集の容易性が確保され、所定グループの人員の個人識別情報が収集されて彼らの勤怠管理が行われる。尚、ここでいう勤怠管理とは、所定グループの人員の各人が所定空間に存在している、即ち出席しているか欠席しているかを管理するだけでなく、所定空間に存在していることを以てその者に何らかの情報を提供するなど、情報収集後の何らかのアクションまでも含むものである。
【0017】
尚、リーダ端末が所定空間内に存在する限りにおいては、上記第一送信手段によるデータ送信は可能であるが、入力部が設けられたベース本体を介したデータ送信はあくまでも第二送信手段によって行われる。これにより、リーダ端末の移動性が確保されている状態、即ち分離状態では、第二送信手段によるデータ送信は利用できないことになり、もって外部処理装置に不意にデータが送信されるのを回避することができる。また、上記勤怠管理システムでは、第一送信手段による無線でのデータ送信と第二送信手段による有線でのデータ送信が可能であるので、勤怠管理が必要とされる空間に適宜合わせて両送信手段を選択することが可能である。例えば、大学等の教室においては無線送信を採用し、その教室より絶対数が少ない教員室等では有線送信を採用するようにしてもよい。
【0018】
ここで上記の勤怠管理システムにおいて、より詳細には、前記勤怠管理システムは、複数の所定グループの人員の勤怠状況を確認するシステムであって、前記リーダ端末は、前記複数の所定グループの各々がその勤怠状況を確認されるべきスケジュールを表すスケジュール情報を、取得するスケジュール情報取得手段と、該リーダ端末が前記対象物から非接触状態で個人識別データを読取るとき、前記スケジュール情報取得手段によって取得されたスケジュール情報と、該個人識別データの読取りが行われた時刻情報とに基づいて、該スケジュール情報に関連付けられた一の所定グループを特定し、該特定された一の所定グループに属する人員に関連する前記個人識別データのみを取得するデータ取得手段と、を更に有するようにしてもよい。
【0019】
即ち、上記勤怠管理システムでは、リーダ端末は、スケジュール情報取得手段によって取得されたスケジュールと、個人識別データの読取りが行われた時刻に従って勤怠管理を
行うべき所定グループを識別しながら、その決められたスケジュールとその対象者であるか否かの関連性を踏まえた上で勤怠管理のデータ収集を行うものである。従って、ある所定グループの人員がたとえ上記リーダ端末によるデータ収集の対象となる個人識別データをもっていたとしても、リーダ端末によるデータ読取り時が、その人員がその場所にいるべきスケジュールでなければ、リーダ端末はデータ収集の対象としないことになる。
【0020】
また、本発明をデータ収集用のリーダ端末機の側面から捉えることも可能である。その場合、本発明は、対象物が有する識別データを、該対象物に対して非接触状態で読取るリーダ部と、前記リーダ部によって読取られた識別データを含む所定データを記憶する記憶部と、を有し、データ収集を行うデータ収集用リーダ端末であって、前記データ収集用リーダ端末は、自身が配置されるベース本体と接続、分離が可能であり、前記ベース本体と分離された状態では、前記対象物が有する識別データを、前記リーダ部を介して非接触状態で読取るとともに該読取った識別データを含む所定データを前記記憶部に記憶し、前記ベース本体と接続された状態では、該ベース本体に設けられた入力部を介して入力されたデータを前記所定データとして取得するとともに該取得した所定データを前記記憶部に記憶する。このようにリーダ端末機を構成することで、上述したようなデータ収集の容易化と、誤ったデータの収集防止を両立することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
対象物に対して非接触状態でデータを読取りその収集を行うデータ収集システムにおいて、本来読取るべきデータをより確実に読取ることを可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
ここで、本発明に係るデータ収集システムおよびそれを利用して形成される勤怠管理システムの実施の形態について図面に基づいて説明する。尚、本実施例のデータ収集システムは、所定グループの人員の勤怠状況を確認する勤怠管理システムに適用されるが、これはこの本発明に係るデータ収集システムを本実施例に限定する意図はなく、本発明と技術的思想が同一の範囲にある限りは様々なデータ収集を行うためのシステムに本発明を適用することが可能である。
【実施例1】
【0023】
図1には、本発明に係るデータ収集システム1の構成を示す。本実施例に係るデータ収集システム1は、大学での生徒の出欠を管理するための勤怠管理システム100(図2を参照)を構成する一部である。各生徒は、個人を識別するためのIDカード200(図2を参照)を所持している。このIDカード200にはパッシブタイプのRFIDタグが埋め込まれ、そのRFIDタグ中のメモリに個人識別のためのID番号が記憶されている。
【0024】
ここで、データ収集システム1は、主にリーダ端末10とベース本体20とで構成され、リーダ端末10はベース本体20に対して、接続、分離が可能である。リーダ端末10はベース本体20と分離した状態で、データ収集システム1の管理対象である個人が有するIDカード200に対して非接触式のデータ読取りを行う。即ち、リーダ端末10から個人が有するIDカード200中のRFIDタグに対して読取り信号が送信され、その結果該RFIDタグから返信されるID番号をリーダ端末が読取ることで、該IDカード200を有する個人の識別が行われる。尚、読取られたID番号は、リーダ端末10内に設けられた記憶メモリ(後述する記憶部15に相当)に格納される。リーダ端末10を用いたデータ収集の詳細については、後述する。
【0025】
また、リーダ端末10には複数の設定ボタン5が設けられている。この設定ボタン5は、収集するデータの種別情報等を設定するためにのみ使用されるものであり、収集されるデータを編集・改竄する等、当該種別情報以外の収集データの内容に関連する操作を行う
ことは許されていない。尚、当該種別情報を入力する必要がない場合は、設定ボタン5による入力が出来ないようにしてもよい。
【0026】
更に、リーダ端末10には、IDカード200が有するID番号を読取るためのスペースである読取りスペース6が、設定ボタン5下に設けられている。従って、IDカード200のID番号をリーダ端末10に読取らせる場合は、該IDカード200を読取りスペース6上にかざすことで、そのID番号が非接触状態でリーダ端末10に読取られる。そして、その読取られたID番号は表示部7に表示され、ID番号の読取りが成功したか否かを確認することが可能である。
【0027】
一方で、ベース本体20の正面左側には、リーダ端末10が接続配置される配置部3が設けられている。更に、その正面右側には、リーダ端末10に対してユーザがマニュアル操作でデータ入力を可能とする入力ボタン4が設けられている。この入力ボタン4によるデータ入力は、リーダ端末10による非接触式のデータ読取りと同等のデータをリーダ端末10の記憶メモリに入力することが可能であるが、その入力が許可されるのは、リーダ端末10がベース本体20と接続状態になっているときに限られ、その入力内容は、リーダ端末10の表示部7に表示され、その内容の正否を確認することができる。
【0028】
次に、図2に基づいて本発明に係るデータ収集システム1を含んで形成される勤怠管理システム100を、その機能面から詳細に説明する。図2は、勤怠管理システム100が発揮する機能を、各「機能部」としてイメージ化したものであり、該勤怠管理システム100は、上記データ収集システム1と、該データ収集システム1によって収集されたデータを処理する外部処理装置であるサーバ2とで構成される。更に、図2には、勤怠管理システム100を構成はしないが、その管理対象となる個人が所持するIDカード200が示されている。
【0029】
リーダ端末10は、リーダ制御部11、リーダ部12、データ無線送信部13、リーダ接続部14、記憶部15を有している。リーダ制御部11は、リーダ端末10を構成する各機能部を全体的に制御する。リーダ部12は、IDカード200から上記非接触式のデータ読取りを行う。具体的には、リーダ部12は、上述したように読取りスペース6上にかざされたIDカード200に対して、非接触状態でそれが有するID番号に関するデータを読取る。そして、リーダ部12によって読取られたデータは、記憶部15に送られそこに記憶される。そして、記憶部15に順次蓄えられたデータは、データ無線送信部13によってサーバ2に無線送信される。リーダ接続部14は、リーダ端末10とベース本体20との接続状態を検知し、両者間の信号、データのやり取りを司るリーダ端末10側の機能部である。
【0030】
ベース本体20は、データ入力部22、データ有線送信部23、ベース接続部24を有している。ベース接続部24は、上記リーダ接続部14と対を為す機能部であり、ベース本体20とリーダ端末10との接続状態を検知し、両者間の信号、データのやり取りを司るベース本体20側の機能部である。
【0031】
更に、データ入力部22は、上述した入力ボタン4によって実現される機能部である。即ち、データ入力部22は、リーダ部12のように勤怠管理システム1の外部に存在するデータを能動的に読込み、収集するのではなく、入力ボタン4を介したユーザからの入力を受けて受動的にデータを収集する。また、上述したように、このデータ入力部22によるデータの収集は、ベース接続部24と上記リーダ接続部14とによってリーダ端末10とベース本体20とが接続状態にあると、リーダ端末10側のリーダ制御部11で認識されたときに限って実行される。即ち、ベース本体20側でのデータ入力処理や後述するデータ送信処理等の各種処理は、リーダ端末10側の制御部であるリーダ制御部11を介し
て全て行われる。そして、データ入力部22を介して入力されたデータは、ベース接続部24とリーダ接続部14とを経て、リーダ端末10の表示部7に表示されるとともに記憶部15に記憶される。即ち、ベース本体20側ではデータの蓄積は行われず、全てのデータはリーダ端末10側に蓄積されることになる。
【0032】
またベース本体20は、データ有線送信部23を介してサーバ2と有線で電気的に接続されている。そこで、リーダ端末10とベース本体20とが接続状態にあるときは、リーダ端末10の記憶部15に記憶されているデータを、データ有線送信部23を介してサーバ2に転送することも可能である。
【0033】
このように構成される本実施例に係る勤怠管理システム100は、リーダ端末10をベース本体20から分離した状態で、リーダ部12によって点在するデータ収集の対象物、本実施例においては各生徒が有するIDカード内のID番号を能動的に収集することができる。換言すると、リーダ端末10をベース本体20から分離してその移動性を高めた状態でのデータ収集は、リーダ部12を介したデータの読取り、収集に限られ、端末操作によるデータの入力は一切許されない。これは、データの意図的な改変等、誤ったデータ収集が為されることを防止する上で非常に重要である。
【0034】
一方で、リーダ端末10とベース本体20とが接続された状態では、リーダ端末10の移動性は十分に奪われた状態となり、その場合はデータ入力部22を介したデータ入力、即ち入力ボタン4の操作によるデータ入力が許可される。このようにデータのマニュアル入力が許可されるのは、リーダ端末10によって収集されたデータに何らかの誤りがあった場合、それを訂正、削除する必要性が認められること、出席をした生徒であってもIDカードを携帯し忘れた者がいる可能性があり、その場合入力ボタン4を介したマニュアルによるデータ入力が認められるべきであること等の理由による。但し、このときリーダ端末10はベース本体20と必ず接続状態になければならず、従ってデータ収集を行う者(本実施例においては教師)がベース本体20をその監視下に置きさえすれば、誤ったデータの入力を防止することが容易に達成される。
【0035】
このように本実施例に係る勤怠管理システム1は、リーダ端末10の移動性を利用してデータ収集を容易に行えるようにするとともに、マニュアル操作によるデータの入力は、あくまでもデータ収集を行う者の監視下でのみ許可されるように構成されるので、誤ったデータの入力を可及的に排除することが可能であり、以てデータの確実な読取りが行われる。尚、上記実施例においては、データ収集システム1における制御部としては、リーダ端末10側にのみリーダ制御部11が設けられているが、上述のようにリーダ端末10の移動性を利用したデータ収集と、マニュアル操作によるデータの入力の所定の制限とが両立できる範囲においては、ベース本体20側にも制御部を設けて、該制御部によって、ベース本体20を構成する各機能部を全体的に制御するようにしてもよい。
【0036】
ここで、勤怠管理システム100を教室での生徒の出欠データ収集に適用した具体例について、図3、4に基づいて説明する。図3は、三つの教室TR1、TR2、TR3における生徒S1、S2、S3のそれぞれの出欠データが収集されるために、勤怠管理システム100を構成するリーダ端末10およびベース本体20が各教室に配置されている状態を示す第一の図である。各教室におけるデータ収集を行う教師をT1、T2、T3としている。
【0037】
各教室は、教師が位置する領域(例えば教壇付近の領域)R1と、生徒が位置する領域R2に区別され、領域R2で生徒間をリーダ端末10が回されることで、各生徒が有するIDカードのID番号データが収集される。このとき、上述したように、生徒はリーダ端末10によるデータの読取り操作しか許されず、マニュアル操作によるデータの入力はで
きない。一方で、ベース本体20は領域R1に設置されており、教師の監視下に置かれている。従って、生徒はベース本体20の入力ボタン4を勝手に操作することはできない。また、各教室に設置されている各ベース本体20は、別室SRに設置されたサーバ2とLAN(Local Area Network)30で電気的に接続されている。
【0038】
また、図4は、勤怠管理システム100を構成するリーダ端末10のみが各教室に配置されている状態を示す第二の図である。図4に示す形態では、各教室TR1〜TR3に対応するベース本体20が、三台別室SR内に設置されており、各ベース本体20とサーバ2とは、LAN30で接続されている。従って、各教室を担当する教師は、授業が始まる前に担当する教室に対応するベース本体20からリーダ端末10を分離させて、それを教室へ運ぶ。尚、図3、4に示すこの別室SRは、生徒が自由に入ることは許されていない教師用の部屋である。
【0039】
ここで、図3や図4に示した勤怠管理システム100を利用して、各教室で生徒の出欠データを収集するときに行われる勤怠管理処理について、図5に基づいて説明する。図5に示す処理は、リーダ端末10が有するリーダ制御部11によって実行される処理である。尚、本勤怠管理処理が行われる前提条件として、リーダ端末10はベース本体20と接続状態に置かれている。
【0040】
S101では、リーダ端末10が、LAN30を介してスケジュール情報をサーバ2より取得する。具体的には、ベース本体20のデータ有線送信部23を介して、サーバ2に有線接続されている勤怠管理システム1が、サーバ2の有するスケジュール情報を、リーダ接続部14およびベース接続部24を経て記憶部15に記憶する。このスケジュール情報とは、各教室毎に、勤怠管理をすべき所定の時間に、その勤怠管理の対象となる生徒がどの生徒達であるかを関連付けた情報である。例えば、1限目(10:30AM〜0:00PM)は、教室TR1はクラスAの生徒達、教室TR2はクラスBの生徒達等のような情報である。尚、上記スケジュール情報には、クラスA、クラスB等の各クラスを構成する生徒個人の情報も含まれる。ここで、図3に示す勤怠管理システム100では、授業が行われる教室でスケジュール情報の取得が行われ、図4に示す勤怠管理システム100では、別室SRで各教室用のスケジュール情報の取得が行われた後、それぞれのリーダ端末を各教師が自分の担当の教室へと運ぶ。S101の処理が終了すると、S102へ進む。
【0041】
S102では、各教室において、リーダ端末10による出席している生徒のID番号データの取得が開始される。このデータ取得の開始は、例えば授業開始の10分前から行われ、リーダ端末10がベース本体20から分離されて、既に着席している生徒達の間に渡される。そして各生徒が、個々に自己が有するIDカード200をリーダ端末10の読取りスペース6に近づけることで、リーダ端末10がリーダ部12を介して非接触状態でそのID番号データを取得することになる。S102の処理が終了すると、S103へ進む。
【0042】
S103からS107までの処理は、リーダ端末10でID番号情報が取得されたときの処理となる。S103では、リーダ部12を介して読取られたID番号データに基づいて、そのID番号データに対応する生徒が、その教室で出欠管理の対象となる生徒であるか否かが判定される。具体的には、S101でリーダ端末10が取得したスケジュール情報と照合することで、その生徒が出欠管理の対象であるか否かが判定される。そこで、本判定で当該生徒が対象者であると判定されるとS104からS106の処理が行われ、対象者ではないと判定されるとS107に進む。
【0043】
S104では、現時点(生徒のID番号データが読込まれた時点)での時刻情報を取得する。この時刻情報は、リーダ制御部11内に設けられているタイマーから取得される。
S104の処理が終了すると、S105へ進む。
【0044】
S105では、S104で取得された時刻情報に基づいて、出欠管理の対象である生徒が、時間内の出席なのか、遅刻なのか、出席と認められない欠席扱いなのかが関連付けられる。例えば、ID番号データの読込まれた時刻が始業10分以内までの時刻であれば出席とし、それ以降終業30分前までは遅刻扱いとし、更にそれ以降は欠席扱いと関連付ける。ここで、図6に上記関連付けの結果を表の形で示す。この結果は、データの読取りを行ったリーダ端末10の識別情報、IDカードのID番号を読取った時刻情報、勤怠管理の対象となる授業情報(スケジュール情報)、IDカードを所持する生徒の識別情報、そして当該生徒が授業に出席したか、欠席したか、又は遅刻したかを示す情報が一連となって形成される。この関連付け結果は、リーダ端末10の記憶部15に記憶される。S105の処理が終了すると、S106へ進む。
【0045】
S106では、S105で記憶部15に記憶された関連付け結果をデータ無線送信部13を介してサーバ2へ転送する。これにより、サーバ2は各教室の出欠状況を逐次蓄積していくことになる。S106の処理が終了すると、S107へ進む。尚、このサーバ2への転送は、リーダ端末10が生徒のID情報を読込む毎に行う他に、概ね全員のID情報を読込んだ後に一括して無線で転送してもよく、またはその全員分のデータを、図3に示す場合には各教師の近くに置かれているベース本体20を介してLAN30によりサーバ2へ転送してもよい。また、図4に示す場合であって、教室内からサーバ2に対して無線による転送が困難である場合は、後述するS108等の処理によってリーダ端末10がベース本体20に接続されたときに、関連付け結果を一括して転送するようにしてもよい。
【0046】
S107では、スケジュール情報に基づいて、現時点が授業終了時刻であるか否かが判定される。授業終了時刻であると判定されるとS108へ進み、授業終了時刻ではないと判定されるとS103以降の処理が順次行われる。
【0047】
S108では、授業終了に伴ってリーダ端末10がベース本体20に戻され、接続状態とされると、リーダ制御部11が、ベース本体20側のデータ入力部22によるデータ入力が許可されるように、ベース接続部24に対してリーダ接続部14を設定する。S108の処理が終了すると、S109の処理が行われる。
【0048】
S109では、当該教室の授業に出席していたが自己のIDカードを携帯し忘れていた者の出欠データの入力が、データ入力部22によって行われる。上述までのように、このデータ入力部22を介したデータ入力はマニュアル入力となるため、データ収集を行う者(教師)の監視下で行われたり、教師自身が生徒自らの申告に従って入力を行ったりする。データ入力部22による入力では、生徒個人を特定するためのID番号と、当該授業の種類等の情報の入力が行われ、これらと入力した時刻情報とが関連付けられた結果がリーダ端末10の記憶部15に一旦記憶される。S109の処理が終了すると、S110へ進む。
【0049】
S110では、S109で記憶部15に記憶された関連付け結果を、ベース本体10のデータ有線送信部23を介して接続されているLAN30を経由して、サーバ2に転送する。これにより、サーバ2は各教室の出欠状況を更に蓄積していくことになる。S110の処理後、本勤怠管理処理を終了する。
【0050】
本勤怠管理処理によると、リーダ端末10を回覧することで授業に出席した生徒の出欠を容易に管理できるとともに、誤ったデータの入力を可及的に防止することが可能となる。
【0051】
(その他の実施例)
図5に示す勤怠管理処理の他の実施例について言及する。先の勤怠管理処理では、リーダ端末10側において、読取ったID情報を有する生徒が当該スケジュール(授業予定)の対象となる生徒であるか否かの判断を行い、その判断に従って図6に示す関連付け結果が作成された(処理S103〜S105を参照。)。ここで、これらの処理をリーダ端末10において実行せずに、サーバ2において実行するようにしてもよい。サーバ2で実行することで、S101において生徒に関する情報を取得する必要が無くなる他、処理S103及びS105をリーダ端末10で行う必要がなくなり、リーダ端末10における処理の負荷を軽減することが可能となる。尚、この場合、リーダ端末10は、読取った生徒のID情報の全てをサーバ2へ送信するものとし、それらの生徒が授業の対象者であるか否かのフィルタリングおよび関連付け結果の作成は、サーバ2上で行われる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施例に係るデータ収集システムに相当する勤怠管理システムの概略構成を表す図である。
【図2】本発明の実施例に係るデータ収集システムを含んで形成される勤怠管理システムが有する各機能をイメージ化した図である。
【図3】図2に示す勤怠管理システムが、教室での生徒の出欠管理に使用されるときに構築された第一のシステムの全図である。
【図4】図2に示す勤怠管理システムが、教室での生徒の出欠管理に使用されるときに構築された第二のシステムの全図である。
【図5】図3および図4に示すシステムで生徒の出欠管理を行うための勤怠管理処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図5に示すフローチャートによる勤怠管理処理で使用される、生徒の出欠に関する情報の関連付け結果を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1・・・・勤怠管理システム
2・・・・サーバ
3・・・・配置部
4・・・・入力ボタン
5・・・・設定ボタン
10・・・・リーダ端末
20・・・・ベース本体
30・・・・LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物が有する識別データを、該対象物に対して非接触状態で読取るリーダ部と、前記リーダ部によって読取られた識別データを含む所定データを記憶する記憶部と、を有するリーダ端末と、
前記所定データと同種のデータの入力が可能である入力部と、前記リーダ端末と接続、分離が可能であり該リーダ端末が配置される端末配置部と、を有するベース本体と、
を備えるデータ収集システムであって、
前記リーダ端末が前記端末配置部と分離された状態では、該リーダ端末は、前記対象物が有する識別データを、前記リーダ部を介して非接触状態で読取るとともに該読取った識別データを含む所定データを前記記憶部に記憶し、
前記リーダ端末が前記端末配置部と接続された状態では、該リーダ端末は、前記ベース本体の入力部を介して入力されたデータを前記所定データとして取得するとともに該取得した所定データを前記記憶部に記憶する
ことを特徴とするデータ収集システム。
【請求項2】
前記リーダ端末は、前記記憶部に記憶されている、前記所定データを直接無線で外部処理装置に送信する第一送信手段を、更に有し、
前記ベース本体は、前記リーダ端末が前記端末配置部と接続された状態で、該リーダ端末の記憶部に記憶されている、前記所定データを有線で前記外部処理装置に送信する第二送信手段を、更に有する
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ収集システム。
【請求項3】
請求項2に記載のデータ収集システムを含んで形成され、所定グループの人員の勤怠状況を確認する勤怠管理システムであって、
前記対象物は、前記所定グループの人員各々に所持され、且つ個々の対象物が有する識別データは、該対象物に対応する人員を識別するための個人識別情報であって、
前記リーダ端末は、前記端末配置部と分離された状態で前記対象物から前記個人識別情報を非接触状態にて読取ることで、前記所定グループの人員の勤怠データを収集するとともに、該所定グループが存在する空間であって前記外部処理装置との間で前記第一送信手段によるデータ送信が可能な所定空間に配置され、
前記ベース本体は、前記外部処理装置との間で前記第二送信手段によるデータ送信が可能な空間に配置される、
ことを特徴とする勤怠管理システム。
【請求項4】
前記勤怠管理システムは、複数の所定グループの人員の勤怠状況を確認するシステムであって、
前記リーダ端末は、
前記複数の所定グループの各々がその勤怠状況を確認されるべきスケジュールを表すスケジュール情報を、取得するスケジュール情報取得手段と、
該リーダ端末が前記対象物から非接触状態で個人識別データを読取るとき、前記スケジュール情報取得手段によって取得されたスケジュール情報と、該個人識別データの読取りが行われた時刻情報とに基づいて、該スケジュール情報に関連付けられた一の所定グループを特定し、該特定された一の所定グループに属する人員に関連する前記個人識別データのみを取得するデータ取得手段と、
を更に有することを特徴とする請求項3に記載の勤怠管理システム。
【請求項5】
対象物が有する識別データを、該対象物に対して非接触状態で読取るリーダ部と、前記リーダ部によって読取られた識別データを含む所定データを記憶する記憶部と、を有し、データ収集を行うデータ収集用リーダ端末であって、
前記データ収集用リーダ端末は、自身が配置されるベース本体と接続、分離が可能であり、前記ベース本体と分離された状態では、前記対象物が有する識別データを、前記リーダ部を介して非接触状態で読取るとともに該読取った識別データを含む所定データを前記記憶部に記憶し、前記ベース本体と接続された状態では、該ベース本体に設けられた入力部を介して入力されたデータを前記所定データとして取得するとともに該取得した所定データを前記記憶部に記憶する
ことを特徴とするデータ収集用リーダ端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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