説明

データ収集装置

【課題】筐体内部に生じた結露水による電子部品や電子回路基板の不具合を抑制することが可能なデータ収集装置を得る。
【解決手段】屋外に設置されて各種データを収集するデータ収集装置において、電子回路基板9を収容する内部筐体7には、当該内部筐体7の内部と外部とを連通して内部筐体7の内部に生じた結露水を排出することが可能な連通路14が形成され、連通路14が、電子回路基板9から離間した位置で内部筐体7の外に向けて下方に延伸され、連通路14を介して内部筐体7の外部から内部に水が進入するのを抑制する水進入抑制機構として弁機構13を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に設置されるデータ収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のデータ収集装置として、特許文献1に開示されるものが知られている。特許文献1に開示されるデータ収集装置では、筐体の上部開口の上方および側方を間隙をあけて傘部で覆うことにより、当該上部開口から筐体の内部に雨水等が進入するのを抑制している。
【特許文献1】特開2006−105745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、屋外に設置されるデータ収集装置では、環境条件等によっては筐体の内部に結露水が生じ、当該筐体の内部に収容された電子部品や電子回路基板に影響が及ぶ虞がある。
【0004】
そこで、本発明は、筐体内部に生じた結露水による電子部品や電子回路基板の不具合を抑制することが可能なデータ収集装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明にあっては、屋外に設置されて各種データを収集するデータ収集装置において、電子回路基板を収容する筐体を備え、上記筐体には、当該筐体の内部と外部とを連通して筐体内部に生じた結露水を排出することが可能な連通路が形成され、上記連通路が、上記電子回路基板から離間した位置で筐体外に向けて下方に延伸され、上記連通路を介して筐体の外部から内部に水が進入するのを抑制する水進入抑制機構を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明にあっては、上記水進入抑制機構は、上記連通路を介して筐体の内部から外部に水が排出されるのを許容する逆止弁機構として構成されることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明にあっては、上記連通路に、通気性かつ防水性を有する素材からなる防水フィルタが設けられ、上記防水フィルタが、上記連通路を塞ぐ位置と連通路を開放する位置との間で動作可能に取り付けられて、上記逆止弁機構の弁体として機能することを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明にあっては、屋外に設置されて各種データを収集するデータ収集装置において、電子回路基板を収容する筐体を備え、上記筐体内で結露した水を上記電子回路基板から離間した位置で貯める貯水部を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明にあっては、上記筐体には、当該筐体の内部と外部とを連通する連通路が形成され、上記連通路内に上記貯水部が形成され、貯まった水によって当該連通路が塞がれるようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明にあっては、上記連通路に、通気性かつ防水性を有する素材からなる防水フィルタが設けられ、上記防水フィルタが上記貯水部の底部をなしていることを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明にあっては、上記貯水部に水が所定量貯まった際に、当該水を排出する排水弁機構を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明にあっては、上記防水フィルタが、上記連通路を塞ぐ位置と連通路を開放する位置との間で動作可能に取り付けられて、上記排水弁機構の弁体として機能することを特徴とす。
【0013】
請求項9の発明にあっては、上記排水弁機構は、上記貯水部に貯まった水の重さによって上記弁体としての防水フィルタが連通路を開放する位置に動いて開弁して排水されるように構成されることを特徴とする。
【0014】
請求項10の発明にあっては、屋外に設置されて各種データを収集するデータ収集装置において、電子回路基板を収容する筐体を備え、上記筐体には、当該筐体の内部と外部とを連通する連通路が形成され、上記連通路に、通気性かつ防水性を有する素材からなる防水フィルタが設けられ、上記筐体内の空気を加熱することができるヒータを備え、上記ヒータによって筐体内の空気を加熱して露点を上昇させるようにしたことを特徴とする。
【0015】
請求項11の発明にあっては、上記筐体内で空気を循環させるファンを設けたことを特徴とする。
【0016】
請求項12の発明にあっては、上記筐体内で結露が発生したことを検知する結露センサを備えることを特徴とする。
【0017】
請求項13の発明にあっては、上記筐体の一部分に、他の部分より熱伝導性が高く結露が生じやすい結露発生部を上記電子回路基板から離間した位置に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、筐体内に結露によって生じた水が電子回路基板から離間した位置に配置された連通路から排出されるので、当該電子回路基板が結露水の影響を受けるのを抑制することができる。また、連通路が下方に向けて形成されているため、重力によって水が筐体内部に進入するのを抑制できる上、水進入抑制機構を備えている分、当該連通路から水が進入するのをより確実に抑制することができる。さらに、連通路を介して筐体の内部と外部とが連通しているため、密閉されている場合に比べて筐体の内部と外部との温度差が小さくなり、結露自体が生じにくくなる。
【0019】
請求項2の発明によれば、逆止弁機構によって、筐体の内部から外部への水の排出が許容され、外部から内部への水の進入が規制されるため、筐体内部に存在する水の量をより確実に減らして、水による電子回路基板への影響をより確実に抑制することができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、通気性かつ防水性を有する素材からなる防水フィルタを逆止弁機構の弁体とすることで、閉弁時においても通気性を維持しかつ水の外部からの進入を抑制できる構成を、比較的簡素な構成として得ることができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、筐体内に結露によって生じた水を電子回路基板から離間した位置で貯めることができるので、当該電子回路基板が結露水の影響を受けるのを抑制することができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、連通路を介して筐体の内部と外部とが連通しているため、密閉されている場合に比べて筐体の内部と外部との温度差が小さくなり、結露自体が生じにくくなる。また、例えば外部の湿度が高い状態など結露が生じやすいときには結露した水によって連通路を塞いで外部との連通を遮断することができるため、筐体の内部でそれ以上に結露が生じるのを抑制することができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、通気性かつ防水性を有する素材からなる防水フィルタを貯水部の底部とすることで、連通路内に当該貯水部を比較的容易に設けることができる。
【0024】
請求項7の発明によれば、筐体内部の水量が増大するのを抑制して、当該水によって電子回路基板に対して影響が生じるのをより確実に抑制することができる。
【0025】
請求項8の発明によれば、可動する防水フィルタを弁体とすることで貯水部から水を排出する排水弁機構を比較的簡素な構成として得ることができる。
【0026】
請求項9の発明によれば、貯まった水の自重によって自動的に開弁させることができる分、排水弁機構をより簡素な構成として得ることができる。
【0027】
請求項10の発明によれば、ヒータによって筐体内の空気の露点を上昇させることで結露しにくくして結露水を減らし、電子回路基板に対して影響が及ぶのを抑制することができる。
【0028】
請求項11の発明によれば、ファンを動作させて筐体内で空気を循環させることで、筐体内のより広範囲にわたって露点が高い状態が得られるため、筐体内でより一層結露が生じにくくなる。
【0029】
請求項12の発明によれば、結露センサを設けることで、結露が生じたときに速やかにヒータおよびファンを動作させて結露が生じにくい環境を作り出すことができるとともに、結露が生じたときあるいは生じやすいときにのみ、ヒータやファンを動作させることができるようになって、消費電力を軽減することができる。
【0030】
請求項13の発明によれば、電子回路基板から離間した筐体内の特定箇所で結露を生じさせることができるため、結露水による電子回路基板への影響をより確実に減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
(第1実施形態)図1は、本実施形態にかかるデータ収集装置を含むデータ収集システムの概略構成図、図2は、データ収集装置を示す図であって、(a)は外観図、(b)は内部構成の概略図、図3は、データ収集装置内に含まれる内部筐体を示す図であって、(a)は側方から見た外観図、(b)は下方から見た外観図、(c)は内部構成の概略図、図4は、図3(b)とは別の角度から見た内部筐体の内部構成を示す縦断面図、図5は、内部筐体に設けられる筒状部の縦断面図であって、(a)は結露水が貯まっている状態を示す図、(b)は結露水が排出される状態を示す図、図6は、データ収集装置内に設けられるヒータおよびファンの制御機構のブロック図である。
【0033】
本実施形態にかかるデータ収集システム1は、図1に示すように、クライアント端末2、データ収集装置(フィールドサーバ)3、およびサーバ4を含んでおり、これらが、インターネット等の電気通信回線5を介して相互に情報通信可能に接続されている。
【0034】
クライアント端末2は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等の汎用の情報処理装置によって構成される。このクライアント端末2は、電気通信回線5を介してデータ収集装置3やサーバ4が保有する各種情報(例えば収集データ)を閲覧またはダウンロードしたり、電気通信回線5を介してデータ収集装置3を遠隔操作したりすることができる。
【0035】
データ収集装置3は、屋外に設置されており、各種の情報(データ)を収集する。このデータ収集装置3は、図示しないアクセスポイントとの間で無線通信を行うことにより、電気通信回線5を介してクライアント端末2やサーバ4との間で情報通信を行うことができるようになっている。なお、このデータ収集装置3の詳細については後述する。
【0036】
サーバ4は、ワークステーション等の汎用の情報処理装置によって構成されている。このサーバ4は、データ収集装置3が検出した情報を受信したり、受信した情報を所定の形式で集計したり、集計した情報を統計処理等の解析手法を利用して解析することにより必要な情報を抽出したり、抽出された情報をクライアント端末2に送信したりすることができるようになっている。
【0037】
このデータ収集システム1は、農作物の育成を支援する農作物育成支援システムとして構成することができる。この場合には、データ収集装置3において、情報収集範囲A(農地)から、温度、湿度、風速、日照等、センサによって取得された種々の環境情報や、撮像装置によって取得された画像情報などの各種情報(データ)が収集され、当該情報が電気通信回線5を介してクライアント端末2やサーバ4に送信される。このとき、クライアント端末2で、データ収集装置3から送信された各種情報(データ)を直接取り扱うことができるようにしてもよいし、サーバ4で一旦処理された後に取り扱うことができるようにしてもよい。このシステムによれば、取得された情報に基づいて、より適切に施肥や灌水等を行うことができ、農作物の育成に便利である。
【0038】
データ収集装置3は、図2に示すように、脚部17上に設置されて容器部6aと蓋部6bとを有する外部筐体6を備えており、当該外部筐体6の内部に各種部品が収容されている。
【0039】
また、外部筐体6の内部には内部筐体7が設けられており、これら外部筐体6と内部筐体7とで筐体を二重構成とすることで、内部筐体7の中に収容される部品(電子部品8等)について、より確実な保護を図るとともに外部環境による影響の軽減を図っている。
【0040】
内部筐体7は、図3に示すように、有底角筒状の二つのケース7a,7bの開口縁同士を突き合わせて形成されており、ケース7a,7bの内部に、略直方体状の内部空間Sが形成されている。
【0041】
この内部空間S内には、各種の電子部品8が実装された電子回路基板9や、ファン10、内部環境センサ12、ヒータ20等が収容されており、これらは二つのケース7a,7bのうち少なくともいずれか一方に固定されている。
【0042】
電子回路基板9には、各種の電子部品8が実装されることで、データ収集装置3のデータ収集や、送受信、各部の制御等の種々の機能を担う電子回路が形成される。本実施形態では、この電子回路基板9は、支柱11を介してケース7aに支持されて、ケース7a,7bの双方から離間した内部空間S内の略中央位置に、ケース7a,7bの凹部の底をなす壁部と略平行となる姿勢(基板表面が上下方向に沿う姿勢)で配置されている。また、ヒータ20は、電子回路基板9に対して間隙をもって離間した位置で支柱11によって支持されている。
【0043】
内部環境センサ12は、例えば温度センサや、湿度センサ、水センサ等を含んで構成され、少なくとも、内部空間S内で結露が生じたこと、あるいは結露が生じる状態(空気性状)であることを検出できるようになっている。すなわち、本実施形態では、この内部環境センサ12が結露センサに相当する。
【0044】
また、ケース7a,7bのうち少なくともいずれか一方には配線挿通口7dが形成されており、内部筐体7の内外で配索される配線は、この配線挿通口7dに挿通される。なお、配線挿通口7dの隙間は、図示しないシール部材によって塞がれる。また、図3において、7fは、内部筐体7を外部筐体6に取り付けるためのねじ挿通孔付きのフランジ部である。
【0045】
ここで、図4に示すように、この内部筐体7には、その内部と外部とを連通する連通路14が形成される。本実施形態では、ケース7bの底壁7eに、略円筒状の筒状部7gが下方に向けて突出形成されており、この筒状部7gの筒内部を介して、内部筐体7の内部(内部空間S)と外部とが連通されている。
【0046】
この筒状部7gは、内部筐体7の最下部に形成され、下方に向けて伸びているため、内部空間Sで結露が生じた場合、その水(結露水)は、重力によって筒状部7gの筒内、すなわち連通路14に導入され、当該連通路14内をさらに下方に向かうことになる。このとき、本実施形態では、図4に示すように、この筒状部7g(連通路14、貯水部18)が、電子部品8および電子回路基板9から離間した位置に配置されているため、結露水が筒状部7gの筒内、すなわち連通路14および貯水部18に流れる、あるいは貯まるにあたって、電子部品8および電子回路基板9の被水が抑制される。この場合、離間させる程度としては、貯水部18に貯まった結露水Wが通常起こりうるレベルの振動による水撥ねによっては電子部品8や電子回路基板9が被水しない程度に設定しておくのが好ましい。
【0047】
また、図5に示すように、筒状部7gの下端には、その開口部7hを塞ぐ位置(図5の(a))と開放する位置(図5の(b))との間で動作可能な弁体13aを有する弁機構13が取り付けられており、弁体13aが開口部7hを塞いでいる状態では、図5の(a)に示すように、弁体13aを底壁(底部)、筒状部7gの周壁下部を側壁とする、結露水Wを貯める貯水部18が形成されるようになっている。
【0048】
弁体13aは、通気性かつ防水性を有する素材によって構成されて、防水フィルタとして機能する。すなわち、図5の(a)のように弁体13aが閉じている状態では、水は弁体13aを透過することができないから、筒状部7g内(貯水部18)に結露水Wを貯めることができるとともに、外部からの水の進入が抑制される。一方、気体は弁体13aを透過することができるから、結露水Wが貯まっていないときには、この弁体13aを通じて内部筐体7の内外での空気や水蒸気の流通が許容される。
【0049】
かかる構成では、例えば、湿度の高い状態で結露が生じて結露水Wによって弁体13aが覆われると、連通路14が塞がれ、外部からの水蒸気(を含む空気)の進入が抑制されることになって、それ以上の結露の発生が抑制されるという効果もある。なお、一旦水で塞がれても、乾燥すれば水は蒸発して無くなり、再び連通路14として機能することができる。
【0050】
この弁機構13では、貯水部18に所定量の結露水Wが貯まると、図5の(b)に示すように、結露水Wの重さで弁体13aが下方に弾性的に撓んで開弁し、結露水Wが排出されるようになっており、すなわち、本実施形態では、この弁機構13が排水弁機構に相当する。なお、かかる開閉動作を行わせるため、弁体13aのスペックの調整によって弁体13a自体に所要の弾性を与えてもよいし、別途弾性素材によって弁体13aを閉弁方向に付勢するようにしてもよい。
【0051】
また、図5の(a)および(b)から、この弁機構13は、内部筐体7の外部から内部への水の進入を規制するとともに、内部から外部への水の排出を許容する逆止弁機構に相当することが明らかである。
【0052】
さらに、この逆止弁機構としての弁機構13、ならびに通気性かつ防水性を有する素材によって構成される弁体13aが、連通路14を介して内部筐体7の外部から内部に水が進入するのを抑制する水進入抑制機構に相当することも明らかである。
【0053】
ところで、本実施形態では、内部筐体7の内部にヒータ20が設けられており、このヒータ20によって内部空間Sの空気を暖めて露点を上昇させることができるようになっている。
【0054】
さらに、内部筐体7の内部にはファン10が設けられており、このファン10によって内部空間S内で空気を循環できるようになっている。
【0055】
これらヒータ20およびファン10の動作は、図6に示す制御機構30によって制御されるようになっている。すなわち、制御機構30は、制御部8a、ヒータスイッチ8b、およびファンスイッチ8cを備えており、制御部8aによってヒータスイッチ8bおよびファンスイッチ8cの開閉を切り換えることで、ヒータ20およびファン10に対する電源部21からの電力の供給/停止を切り換えて動作を制御し、内部空間Sの温度や湿度を調整する。
【0056】
ここで、この制御機構30は、内部筐体7内に設けられた内部環境センサ12の検出結果によってヒータスイッチ8bおよびファンスイッチ8cの開閉が制御されるように構成されている。具体的には、制御部8aは、内部環境センサ12によって結露が生じたことが検出された場合に、ヒータスイッチ8bをONしてヒータ20を動作させ、内部空間Sの空気の温度を上昇させて露点を上昇させ、結露が生じにくくする。さらに、その場合にはファンスイッチ8cをONすることでファン10も動作させ、内部空間S内の空気温度のばらつきを減らし、局所的に結露が生じるのを抑制する。
【0057】
以上の本実施形態によれば、内部筐体7内に結露によって生じた結露水Wが電子回路基板9から離間した位置に配置された連通路14から排出されるので、電子回路基板9が結露水Wの影響を受けるのを抑制することができる。また、連通路14が下方に向けて形成されているため、重力によって水が内部筐体7の内部に進入するのを抑制できる上、水進入抑制機構として弁機構13ならびに通気性および防水性を有する素材からなる弁体13aを備えている分、当該連通路14から水が進入するのをより確実に抑制することができる。さらに、連通路14を介して内部筐体7の内部と外部とが連通しているため、密閉されている場合に比べて内部筐体7の内部と外部との温度差が小さくなり、結露自体が生じにくくなる。
【0058】
また、本実施形態によれば、逆止弁機構としての弁機構13によって、内部筐体7の内部から外部への結露水Wの排出が許容され、外部から内部への水の進入が規制されるため、内部筐体7の内部に存在する水の量をより確実に減らして、水による電子部品8や電子回路基板9への影響をより確実に抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、通気性かつ防水性を有する防水フィルタによって弁機構13の弁体13aを構成することで、閉弁時においても通気性を維持しかつ水の外部からの進入を抑制できる構成を、比較的簡素な構成として得ることができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、内部筐体7内に結露によって生じた結露水Wを電子回路基板9から離間した位置に設けた貯水部18に貯めることができるので、当該電子回路基板9が結露水の影響を受けるのを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、連通路14(および弁体13a)を介して内部筐体7の内部と外部とが連通しているため、内部筐体7が密閉されている場合に比べて内部筐体7の内部と外部との温度差が小さくなり、結露自体が生じにくくなる。また、例えば外部の湿度が高い状態など結露が生じやすいときにはそのときに結露した水によって連通路14を塞いで外部との連通を遮断することができるため、内部筐体7の内部でそれ以上に結露が生じるのを抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、通気性かつ防水性を有する素材からなる防水フィルタとしての弁体13aを貯水部18の底部とすることで、連通路14内に当該貯水部18を比較的容易に設けることができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、排水弁機構としての弁機構13を設けたため、内部筐体7の内部で水量が増大するのを抑制して、当該水によって電子部品8に対して影響が生じるのをより確実に抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、可動する防水フィルタを弁体13aとすることで、貯水部18から水を排出する排水弁機構としての弁機構13を、比較的簡素な構成として得ることができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、貯まった結露水Wの自重によって排水弁機構としての弁機構13を自動的に開弁させることができる分、排水弁機構をより簡素な構成として得ることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、ヒータ20によって内部筐体7内の空気の露点を上昇させることで結露しにくくして結露水を減らし、電子部品8に対して影響が及ぶのを抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、ファン10を動作させて内部筐体7内で空気を循環させることで、内部筐体7内のより広範囲にわたって露点が高い状態が得られるため、より一層結露が生じにくくなる。
【0068】
また、本実施形態によれば、結露センサを含む内部環境センサ12を設けることで、結露が生じたときに速やかにヒータ20およびファン10を動作させて結露が生じにくい環境を作り出すことができるとともに、結露が生じたときあるいは生じやすいときにのみ、ヒータ20やファン10を動作させることができるようになって、消費電力を軽減することができる。
【0069】
(第2実施形態)図7は、本実施形態にかかるデータ収集装置の内部筐体の筒状部の縦断面図である。なお、本実施形態にかかる内部筐体は、上記実施形態と同様の構成要素を備えている。よって、同様の構成要素については共通の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0070】
本実施形態では、内部筐体7Aの内部と外部とを連通する連通路14Aを屈曲形成することで、当該連通路14Aを介して水が外部から内部に進入するのを抑制するようにしている。具体的には、内部筐体7Aのケース7bの最下部となる底壁7eから下方に向けて突出形成される筒状部7gの相互に対向する内面(図7では左右の内面)に、複数のリブ15を筒状部7gの延伸方向(軸方向)に沿って互い違いに突出させることで、連通路14Aを屈曲形成してある。これにより、連通路14Aの下方から水が進入しようとしても、リブ15が障壁となって抑制される。なお、この筒状部7gおよび連通路14Aも、上記第1実施形態と同様に、電子部品8や電子回路基板9からそれらに対する被水が生じない程度に離間させた位置に配置されている。
【0071】
かかる構成によっても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、内部筐体7A内に結露によって生じた水が電子回路基板9から離間した位置に配置された連通路14Aから排出されるので、当該電子回路基板9が結露水の影響を受けるのを抑制することができる。また、連通路14Aが下方に向けて形成されているため、重力によって水が内部筐体7Aの内部に進入するのを抑制できる上、水進入抑制機構としてリブ15を備えている分、連通路14Aから水が進入するのをより確実に抑制することができる。そして、連通路14Aを介して内部筐体7Aの内部と外部とが連通しているため、密閉されている場合に比べて内部筐体7Aの内部と外部との温度差が小さくなり、結露自体が生じにくくなる。
【0072】
(第3実施形態)図8は、本実施形態にかかるデータ収集装置の内部筐体の内部構成を示す縦断面図である。なお、本実施形態にかかる内部筐体は、上記実施形態と同様の構成要素を備えている。よって、同様の構成要素については共通の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0073】
本実施形態にあっては、内部筐体7Bの一部分に、他の部分より熱伝導性が高く結露が生じやすい結露発生部16が設けられている。具体的には、ケース7bの凹部の底を成す壁部を例えば鉄や銅等の金属製の板材によって構成し、内部筐体7Bの他の部分は合成樹脂を成形して構成する。
【0074】
かかる構成とすることで、電子部品8や電子回路基板9から離間した内部筐体7B内の特定箇所で結露を生じさせることができるため、結露水による電子部品8や電子回路基板9への影響をより確実に減らすことができる。
【0075】
図9は、第3実施形態の変形例にかかるデータ収集装置の内部筐体の内部構成を示す縦断面図である。
【0076】
本変形例にあっても、内部筐体7Cの一部分に、他の部分より熱伝導性が高く結露が生じやすい結露発生部16Cが設けられている。具体的には、ケース7aの最下部となる底壁7jに貫通孔7iを形成し、この貫通孔7iに鉄や銅等の金属製の板材によって構成したプラグ状の結露発生部16Cを圧入してある。
【0077】
かかる構成とすることで、上記図8の実施形態と同様の効果を得ることができるのはもちろんのこと、結露発生部16Cを内部筐体7Cの最下部に設けた分、当該結露発生部16Cで生じた水を同じく最下部に設けられた連通路14(すなわち貯水部18)に速やかに導入することができる。
【0078】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0079】
例えば、上記各実施形態では、本発明を二重筐体の内部筐体の構成として実施した場合を例示したが、これを外部筐体の構成として実施することももちろん可能である。
【0080】
また、ヒータやファンによる効果は、水進入抑制機構や、排水弁機構、連通路の無い筐体に対しても有効である。
【0081】
また、筐体の内部構成や電子回路の構成、筐体自体の形状や大きさ等も、上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0082】
また、連通路の形状を例えばS字状に屈曲させることで貯水部を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるデータ収集装置を含むデータ収集システムの概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかるデータ収集装置を示す図であって、(a)は外観図、(b)は内部構成の概略図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかるデータ収集装置に含まれる内部筐体を示す図であって、(a)は側方から見た外観図、(b)は下方から見た外観図、(c)は内部構成の概略図である。
【図4】図3(b)とは別の角度から見た内部筐体の内部構成を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態にかかるデータ収集装置に含まれる内部筐体に設けられる筒状部の縦断面図であって、(a)は結露水が貯まっている状態を示す図、(b)は結露水が排出される状態を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態にかかるデータ収集装置内に設けられるヒータおよびファンの制御機構のブロック図。
【図7】本発明の第2実施形態にかかるデータ収集装置の内部筐体の筒状部の縦断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態にかかるデータ収集装置の内部筐体の内部構成を示す縦断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態の変形例にかかるデータ収集装置の内部筐体の内部構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0084】
3 データ収集装置
7,7A,7B,7C 内部筐体(筐体)
9 電子回路基板
10 ファン
12 内部環境センサ(結露センサ)
13 弁機構(水進入抑制機構、逆止弁機構、排水弁機構)
13a 弁体(防水フィルタ)
14,14A 連通路
16,16C 結露発生部
18 貯水部
20 ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に設置されて各種データを収集するデータ収集装置において、
電子回路基板を収容する筐体を備え、
前記筐体には、当該筐体の内部と外部とを連通して筐体内部に生じた結露水を排出することが可能な連通路が形成され、
前記連通路が、前記電子回路基板から離間した位置で筐体外に向けて下方に延伸され、
前記連通路を介して筐体の外部から内部に水が進入するのを抑制する水進入抑制機構を備えることを特徴とするデータ収集装置。
【請求項2】
前記水進入抑制機構は、前記連通路を介して筐体の内部から外部に水が排出されるのを許容する逆止弁機構として構成されることを特徴とする請求項1に記載のデータ収集装置。
【請求項3】
前記連通路に、通気性かつ防水性を有する素材からなる防水フィルタが設けられ、
前記防水フィルタが、前記連通路を塞ぐ位置と連通路を開放する位置との間で動作可能に取り付けられて、前記逆止弁機構の弁体として機能することを特徴とする請求項2に記載のデータ収集装置。
【請求項4】
屋外に設置されて各種データを収集するデータ収集装置において、
電子回路基板を収容する筐体を備え、
前記筐体内で結露した水を前記電子回路基板から離間した位置で貯める貯水部を備えることを特徴とするデータ収集装置。
【請求項5】
前記筐体には、当該筐体の内部と外部とを連通する連通路が形成され、
前記連通路内に前記貯水部が形成され、貯まった水によって当該連通路が塞がれるようにしたことを特徴とする請求項4に記載のデータ収集装置。
【請求項6】
前記連通路に、通気性かつ防水性を有する素材からなる防水フィルタが設けられ、
前記防水フィルタが前記貯水部の底部をなしていることを特徴とする請求項5に記載のデータ収集装置。
【請求項7】
前記貯水部に水が所定量貯まった際に、当該水を排出する排水弁機構を備えることを特徴とする請求項6に記載のデータ収集装置。
【請求項8】
前記防水フィルタが、前記連通路を塞ぐ位置と連通路を開放する位置との間で動作可能に取り付けられて、前記排水弁機構の弁体として機能することを特徴とする請求項7に記載のデータ収集装置。
【請求項9】
前記排水弁機構は、前記貯水部に貯まった水の重さによって前記弁体としての防水フィルタが連通路を開放する位置に動いて開弁して排水されるように構成されることを特徴とする請求項8に記載のデータ収集装置。
【請求項10】
屋外に設置されて各種データを収集するデータ収集装置において、
電子回路基板を収容する筐体を備え、
前記筐体には、当該筐体の内部と外部とを連通する連通路が形成され、
前記連通路に、通気性かつ防水性を有する素材からなる防水フィルタが設けられ、
前記筐体内の空気を加熱することができるヒータを備え、
前記ヒータによって筐体内の空気を加熱して露点を上昇させるようにしたことを特徴とするデータ収集装置。
【請求項11】
前記筐体内で空気を循環させるファンを設けたことを特徴とする請求項10に記載のデータ収集装置。
【請求項12】
前記筐体内で結露が発生したことを検知する結露センサを備えることを特徴とする請求項10または11に記載のデータ収集装置。
【請求項13】
前記筐体の一部分に、他の部分より熱伝導性が高く結露が生じやすい結露発生部を前記電子回路基板から離間した位置に設けたことを特徴とする請求項1〜12のうちいずれか一つに記載のデータ収集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−256606(P2008−256606A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100801(P2007−100801)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)