説明

データ取得頻度制御装置及びプログラム

【課題】複数のセンサー装置からのデータ取得において、ネットワーク全体のトラフィック量の低減を考慮し、データ獲得の目的に適したデータ量を取得できるようにデータ取得頻度を調整できるデータ取得頻度制御装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】本発明のデータ取得頻度制御装置は、複数のセンサー装置のうち、ある対象を検出する対象検出センサー装置と、当該対象検出センサー装置と関連する1又は複数の関連センサー装置とを対応付けた状況情報を記憶する状況情報記憶手段と、対象検出センサー装置から取得した対象検出データに基づいて、状況情報を参照して認識した対象検出センサー装置に関連する各関連センサー装置及び又は当該対象検出センサー装置に対して、データの送信頻度の変更を指示する送信頻度変更指示手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ取得頻度制御装置及びプログラムに関し、例えば、複数のセンサーを有して構成されるセンサーネットワークやホームネットワーク等のシステムにおいて、データの取得頻度を制御するデータ取得頻度制御装置及びプログラムに適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
近年、複数のセンサーを備える通信装置(以下、センサー装置)が分散的に配置され、複数のセンサー装置から間欠的にセンサーデータを制御装置が収集し、その収集したセンサーデータを用いて様々なサービスを提供することが要求されている。
【0003】
従来、例えば、複数のセンサーと、データを収集する制御装置と、サービス提供装置等からなるシステムでは、センサー側が自発的にデータを送信するイベント通知型のデータ送信方式と、制御装置がセンサーに対してポーリングを送信し、ポーリングを受信したセンサーがこれに応答してデータを制御装置に送信するポーリングによるデータ送信方式とが存在する。
【0004】
特許文献1には、イベント通知方式とポーリングによる送信方式とを用いて、監視装置が被監視装置から監視データを収集する監視データ収集システムに関する技術が記載されている。特許文献1の記載技術は、制御装置である監視装置の処理負荷が増大した場合に、監視データを取得できなくなることを回避するために、監視装置の輻輳状態に応じてデータ送信方式を切り替えるというものである。
【0005】
従来、特許文献1の記載技術のほかにも、データ送信方式を切り替える方法として、例えば、センサー装置側からイベント通知が発生していないときにはポーリングによる通知方式を採用する方法や、データの発生頻度や応答速度に応じてイベント通知方式とポーリングによる通知方式とを切り替える方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−325118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、特許文献1の記載技術も含め従来の方法はいずれも、センサー装置と制御装置との間の通信量や、センサー装置及び又は制御装置の処理負荷量などの物理的な値を指標として、イベント通知方式、ポーリングによる通知方式のいずれかに切り替えるというものである。
【0008】
しかしながら、従来の方法は、機械的に通信量や制御装置の処理量に応じて通知方式を切り替えるものであり、センサーの属性やセンサーがおかれた状況、役割など、それぞれのセンサーの意味的な特徴を考慮したものではない。
【0009】
例えば、センサーには、人感センサー、温度センサー、湿度センサー、電力センサーなど様々な種類がある。また提供するサービスに必要なデータは1種類でなく、複数種類のデータ観測が必要となる場合がある。サービスの態様によっては、長期的に観測が必要なものもあれば、短期的又は瞬間的に必要なものもある。よりきめ細かいサービスを提供するためには、例えば、ある期間のデータ取得間隔を短くしてより多くのデータを取得するなど取得間隔の変更することも必要となる。このように、データ観測の目的やサービスの目的に適した方法でデータを取得することが望まれる。
【0010】
従来の方法は、上記のようなそれぞれのセンサーの意味的な特徴に応じて、本来的な目的に必要なデータを適切に取得することができないという問題がある。
【0011】
そのため、複数のセンサー装置からデータを収集するシステムにおいて、ネットワーク全体のトラフィックを上げることなく、本来取得すべき目的のデータを適切に取得することができるデータ取得頻度制御装置及びプログラムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を解決するために、第1の本発明のデータ取得頻度制御装置は、複数のセンサー装置のそれぞれがセンシングしたデータを、各センサー装置から取得するデータ取得頻度を制御するデータ取得頻度制御装置であって、(1)複数のセンサー装置のうち、ある対象を検出する対象検出センサー装置と、当該対象検出センサー装置と関連する1又は複数の関連センサー装置とを対応付けた状況情報を記憶する状況情報記憶手段と、(2)対象検出センサー装置から取得した対象検出データに基づいて、状況情報を参照して認識した対象検出センサー装置に関連する各関連センサー装置及び又は当該対象検出センサー装置に対して、データの送信頻度の変更を指示する送信頻度変更指示手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
第2の本発明のデータ取得頻度制御プログラムは、複数のセンサー装置のそれぞれがセンシングしたデータを、各センサー装置から取得するデータ取得頻度を制御するデータ取得頻度制御プログラムであって、コンピュータが、複数のセンサー装置のうち、ある対象を検出する対象検出センサー装置と、当該対象検出センサー装置と関連する1又は複数の関連センサー装置とを対応付けた状況情報を記憶する状況情報記憶手段を有し、コンピュータを、(1)対象検出センサー装置から取得した対象検出データに基づいて、状況情報を参照して認識した対象検出センサー装置に関連する各関連センサー装置及び又は当該対象検出センサー装置に対して、データの送信頻度の変更を指示する送信頻度変更指示手段として機能させることを特徴とするデータ取得頻度制御プログラム。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のセンサー装置からデータを収集するシステムにおいて、各センサー装置からデータを取得するデータ取得頻度を調整することで、ネットワーク全体のトラフィックを上げることなく、本来取得すべき目的のデータを適切に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係るネットワークの全体構成を示す全体構成図である。
【図2】実施形態に係る状況確認装置の内部構成を示す内部構成図である。
【図3】実施形態に係るセンサー状況情報の構成例を示す構成図である。
【図4】実施形態に係るセンサー制御装置の内部構成を示す内部構成図である。
【図5】実施形態に係る通信制御情報の構成例を示す構成図である。
【図6】実施形態に係るセンサー装置の内部構成を示す内部構成図である。
【図7】実施形態に係るホームネットワーク上でのセンサー装置の配置を示す配置図である。
【図8】実施形態に係るネットワークのデータ取得頻度制御処理の動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(A)実施形態
以下では、本発明のデータ取得頻度制御装置及びプログラムの実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
(A−1)実施形態の構成
(A−1−1)全体構成
図1は、実施形態に係るネットワークの全体構成例を示す全体構成図である。図1において、実施形態のネットワーク10は、複数のセンサー制御装置2−m(1≦m≦M、Mは自然数)、各センサー制御装置2−kに通信可能な複数のセンサー装置1−n(1≦n≦N、Nは自然数)、ゲートウェイ装置3、状況認識装置4、サービス提供装置5を有して構成される。なお、図1では、センサー制御装置2−1と通信可能な複数のセンサー装置1−nを例示する。
【0018】
図1において、ネットワーク10は、複数のネットワークを有する場合を例示しており、センサー装置1−n及びセンサー制御装置2−mの間のセンサー側ネットワーク6、センサー制御装置2−m及びゲートウェイ装置3の間のローカルネットワーク7、ゲートウェイ3及び状況認識装置4の間の上位ネットワーク8、状況認識装置4及びサービス提供装置5の間のグローバルネットワーク9を有する。
【0019】
センサー側ネットワーク6は、商用・非商用を問わず、センサー制御装置2−1で制御されるものであれば広く適用することができる。
【0020】
センサー装置1−nは、所定のセンサーと通信機能を有する装置である。センサー装置1−nは、センサー側ネットワーク6を介して、センシングしたデータをセンサー制御装置2−1に送信するものである。
【0021】
ここで、センサー装置1−nは、センサー制御装置2−1の制御によって、データ送信方式やデータの送信間隔などの通信制御が行われる。データ送信方式は、特に限定されることなく種々の方式を広く適用することができる。この実施形態では、イベント通知方式とセンサー制御装置2−1からのポーリングによる通知方式とを適用する場合を説明する。
【0022】
また、センサー装置1−nが有するセンサー種類は、提供するサービスに応じて、様々なセンサーを適用することができる。例えば、センサーの種類として、温度センサー、湿度センサー(以下、温度及び湿度をセンシング可能なセンサーを温湿度センサーと呼ぶ)、照度センサー、人感センサー、電力センサー等のセンサー類がある。また、センサー装置1−nは、そのセンサーの種類やサービスの目的等に応じて、適切な位置に配置される。
【0023】
センサー制御装置2−mは、複数のセンサー装置1−nとの間の通信制御を行うものである。これにより、センサー側ネットワーク6の通信制御を行うことができる。また、センサー制御装置2−mは、センサー装置1−nから受信したデータを、ローカルネットワーク7を通じて、ゲートウェイ装置3に送信するものである。
【0024】
また、センサー制御装置2−mは、ゲートウェイ装置3を介して、状況認識装置4から制御指示信号を受け取り、この制御指示信号に基づいて、通信可能な各センサー装置1−nのデータ送信方式の切り替えやデータ送信方式の設定条件の変更を行う。
【0025】
ゲートウェイ装置3は、ローカルネットワーク7と上位ネットワーク8との間に介在するものであり、センサー制御装置2−m又は状況認識装置4から受信したデータを送信先に向けて転送するものである。
【0026】
状況認識装置4は、上位ネットワーク8を通じて、ゲートウェイ装置3からデータを受信する。受信したデータに基づいて、状況認識装置4は目的とする状況を確認する。そして、状況認識装置4は、受信したデータ(いわゆる生データ)と、その受信データに基づいて所定の加工処理を施した加工後のデータを、グローバルネットワーク9を通じてサービス提供装置5に与える。
【0027】
また、状況認識装置4は、観測する現在の状況に応じて、各センサー装置1−nのデータ送信方式の切り替えや条件の変更を指示する。この各センサー装置1−nのデータ送信方式の切り替えや条件の変更は、状況認識装置4が、各センサー装置1−nが接続しているセンサー制御装置2−mに対して指示する。状況認識装置4は、各センサー装置1−nが接続しているセンサー制御装置2−mに関する情報を保持しており、変更等を指示するセンサー装置1−nのセンサー制御装置2−mを特定し、そのセンサー制御装置2−mに対して変更等の指示を行う。
【0028】
なお、図1では、説明便宜のために、1台のサービス提供装置5を備える場合を例示する。つまり、状況認識装置4が、1つのサービスに関するデータ収集を行う場合を例示する。しかし、状況認識装置4は複数のサービスのそれぞれについてデータ収集するようにしてもよい。このとき、状況認識装置4は、それぞれのサービスの目的に応じた状況を確認し、それぞれの状況に応じたデータ加工やセンサー制御装置2−mへの指示を行うようにしてもよい。
【0029】
サービス提供装置5は、グローバルネットワーク9を通じて状況認識装置4から取得したデータを用いて、所定のサービスを提供するものである。
【0030】
(A−1−2)状況認識装置4の内部構成
図2は、この実施形態の状況認識装置4の内部構成を示す内部構成図である。図2において、状況認識装置4は、通信処理部41、状況確認部42、センシング方法変更部43、データ加工部44、センサー状況情報記憶部45を有する。
【0031】
通信処理部41は、グローバルネットワーク9、上位ネットワーク8との間でデータを送受信するものである。
【0032】
センサー状況情報記憶部45は、サービスに係る各センサー装置1−nの状況に関するセンサー状況情報を記憶するものである。
【0033】
センサー状況情報は、例えば、各センサー装置1−nのセンサーの種類やサービスにおける役割や配置位置等のデータ収集で各センサーがおかれている特徴的な意義と状況を示す情報や、他のセンサー装置1−nのセンサーとの関係、通信制御されているセンサー制御装置などの情報を有するものである。
【0034】
図3は、センサー状況情報記憶部45に記憶される情報の項目例を示す構成図である。例えば、図3の例では、部屋に人が入ってきたことを感知したときに温度、湿度、照度、電力等のデータを観測するサービスに用いる場合を想定したものである。
【0035】
図3に示すように、センサー状況情報の項目として、大きくは、「センサー識別情報」、「状況情報」、「関連センサー識別情報」、「センサー制御装置」がある。また、項目「状況情報」の一例として、「種類」、「役割」、「配置位置」、「送信方式」、「イベント閾値」、「ポーリング(取得間隔)」がある。
【0036】
「センサー識別情報」は、各センサー装置1−nを識別する情報であり、例えば、ID、アドレス情報などが該当する。「種類」は、各センサー装置1−nが有するセンサーの種類であり、例えば、人感センサー、温湿度センサー、照度センサー、電力センサー等である。
【0037】
「役割」とは、データ観測の目的において、そのセンサーが果たす意義・役割を定義したものである。この「役割」に定義するセンサーの意義・役割は、データ観測の目的、サービスの目的に応じて異なる。そのため、それらの目的に応じて適宜決定することができるものである。
【0038】
「配置位置」とは、センサー装置1−nが配置されている位置を示すものである。図3の例の場合、家の和室にセンサーが配置されている場合を例示しているが、これに限られず、「和室のエアコン横」、「和室のコンセント」等のように、より詳細な位置を記載するようにしてもよい。例えば、同じセンサーが同じ部屋に複数個配置されることもあるので、その場合には、どこに配置したセンサーであるかを識別することができる。
【0039】
「送信方式」は、センサーを有するセンサー装置1−nの現在のデータ送信方式である。また、「イベント閾値」は、イベント通知方式を採用している場合のイベント通知の閾値、「ポーリング(取得間隔)」は、ポーリングによる通知方式を採用している場合のデータ送信の間隔である。「イベント閾値」、「ポーリング(取得間隔)」には、データ取得頻度が記載される。例えば、「イベント閾値」には、データを送信するまでのイベント発生回数を管理するようにしてもよく、イベント発生回数が小さいほどデータ取得頻度が高くなる。また「ポーリング(取得間隔)」には、例えば「1分に1回」、「1時間に1回」など単位時間当たりのポーリング回数を管理する。また例えば、データ取得頻度を「1(低頻度)」〜「5(高頻度)」段階で予め設定して管理するようにしてもよい。
【0040】
「関連センサー識別情報」は、データ観測等の目的において、そのセンサーと関連して配置されている1又は複数のセンサーの識別情報である。「センサー制御装置識別情報」は、そのセンサー装置1−nの通信制御を行うセンサー制御装置の識別情報であり、例えば、アドレス情報などが該当する。
【0041】
例えば、図3において想定するサービスで用いるセンサーには、センシング対象(例えば人)の活動に呼応して対象が活動的であることを検出できるセンサーが存在する。これを活動検出センサーと呼ぶ。図3の例では、「役割」に「活動検出」と記載する。活動検出センサーの例としては、例えば、図3の場合、人を直接的に感知する人感センサー、部屋に存在する人が家電製品を利用することで電力量の変化を検出することで、間接的に人を感知する電力センサー(ACコンセントに接続された家電製品の電力量を測定するもの)等があげられる。なお、活動検出センサーとしてもっぱら有効でないセンサーとしては、例えば、直接的又は間接的に人を感知することができないセンサーであり、温湿度センサー等がある。
【0042】
また、上記のような活動検出センサーによる対象の検出と連携して、目的とするデータ観測を行うセンサーがある。これを関連センサー又は関連センサー群と呼ぶ。図3の例では、「役割」に「関連」と記載する。例えばエアコンの稼働状況を観測するサービスの場合、部屋に存在する人の検出に伴い、その部屋の状況を観測するセンサーが該当する。図3の例の場合、人感センサーに関与する関連センサーとして、温湿度センサー、照度センサー、電力センサーが該当する。なお、電力センサーは、活動検出センサーとしての役割もあるが、エアコンの稼働状況を観測するという目的を考慮すると、関連センサーとしての役割もある。
【0043】
状況確認部42は、受信したデータに基づいてセンサー状況情報を参照し、現実に発生している状況を確認するものである。例えば、受信したデータに含まれるセンサー識別情報が図3のセンサー識別情報「A」であるとすると、「配置位置:和室」の「役割:活動検出センサー」からのセンサーデータであることを確認する。また活動検出センサーからのデータ受信後に、センサー識別情報「B」や「C」とするデータを受信すると、「配置位置:和室」に人が存在するときの温度・湿度、や照度のセンサーデータであることを推定できる。
【0044】
センシング方法変更部43は、状況確認部42により確認された状況に応じて、センサー制御装置2−mに対して、センサー装置1−nのデータ送信方式の切り替えや条件の変更を指示するものである。センシング方法変更部43は、例えば、状況に応じてセンシング方法を変更する動作定義を有しており、その動作定義に従ってセンシング方法の変更を指示する方法を用いることができる。例えば、活動検出センサー(図3のセンサー識別情報「A」)からデータを受信すると、その活動検出センサーのデータ送信方式をイベント通知方式からポーリングによる通知方式に変更する指示をする。また例えば、活動検出センサーからのデータ受信後、その活動検出センサーに関与する関連センサー「B」、「C」、「D」のデータ取得頻度を上げるようにポーリング(取得間隔)を短くすること、イベント閾値を小さくすることを指示する。このように、状況に応じてセンシング変更を指示することで、活動検出センサーからのデータ取得頻度を下げ、データ観測に必要な温湿度センサー、照度センサーからのデータ取得頻度を上げることができる。
【0045】
データ加工部44は、上位ネットワーク8を通じて受信したデータに対して所定の加工処理を行うものである。これにより、サービス提供装置5がサービス提供で要求するデータに加工することができ、その加工後のデータをサービス提供装置5に与えることができる。データ加工部44が行う加工処理は、サービスに応じて異なるが、例えば、集計処理、統計処理等がある。
【0046】
(A−1−3)センサー制御装置2−mの内部構成
図4は、センサー制御装置2−mの内部構成を示す内部構成図である。図4において、センサー制御装置2−mは、制御部21、通信処理部22、通信制御管理部23を有する。
【0047】
通信制御管理部23は、通信可能なセンサー装置1−nの通信制御管理情報をセンサー装置1−n毎に保持するものである。
【0048】
通信処理部22は、各センサー装置1−nからセンサーデータを受信し、ゲートウェイ装置3に向けて受信したデータを送信するものである。さらに、通信処理部22は、ローカルネットワーク7を通じて、状況認識装置4からの各センサー装置1−nに対する通信制御指示を受け取る。通信処理部22は、この受信した通信制御指示を制御部21に与える。また、状況認識装置4は、センサー装置1−nに対する通信制御の制御信号を制御部21から受け取り、その制御信号をセンサー装置1−nに向けて送信する。
【0049】
通信制御管理部23が保持する通信制御管理情報の一例を図5に示す。図5において、通信制御管理情報は、「センサー識別情報」、「送信方式」、「イベント閾値」、「ポーリング(取得間隔)」を項目として有する。「センサー識別情報」、「送信方式」、「イベント閾値」、「ポーリング(取得間隔)」は、図3で説明したセンサー状況情報の対応する項目と同じである。
【0050】
制御部21は、状況認識装置4からの通信制御指示に基づいて、各センサー装置1−nの通信制御を行うものである。制御部21は、状況認識装置4からセンサー装置1−nに対する通信制御指示を受け取ると、通信制御管理情報を参照して、指示されたセンサー装置1−nに対してデータ送信方式を切り替えや条件の設定変更を行う。
【0051】
制御部21は、イベント通知制御部211と、ポーリング制御部212とを有する。イベント通知制御部211は、状況認識装置4からデータ発信を行うイベント閾値の変更を受けると、その指示されたイベント閾値を指示されたセンサー装置1−nに対して通知するようにする。また、ポーリング制御部212は、状況認識装置4からデータ発信を行うポーリングの間隔の変更を受けると、その変更後のポーリング間隔で、対応するセンサー装置1−nに対してポーリングを送信するようにする。
【0052】
(A−1−4)センサー装置1−nの内部構成
図6は、センサー装置1−nの内部構成を示す内部構成図である。図6において、センサー装置1−nは、通信処理部11、センサー12を有する。通信処理部11は、イベント通知部111、ポーリング通知部112、センサーデータ蓄積部113を有する。
【0053】
通信処理部11は、センサー制御装置2−mからの指示を受けて、イベント通知部111とポーリング通知部112とを切り替え、いずれを用いてセンサーデータをセンサー制御装置2−mに送信するものである。
【0054】
イベント通知部111は、イベントが発生すると、センサー制御装置2−mに制御された所定のイベント閾値に従って、センサー12によりセンシングされたデータを送信するものである。
【0055】
ポーリング通知部112は、センサー制御装置2−mからポーリングを受信すると、センサー12によりセンシングされたデータやセンサーデータ蓄積部113に蓄積されたデータを送信するものである。
【0056】
センサー12は、センシングデータを生成するものである。センサーデータ蓄積部113は、センサー12によりセンシングされたデータを一時的に蓄積するものである。
【0057】
(A−2)実施形態の動作
次に、この実施形態のネットワーク10におけるデータ取得頻度制御処理の動作を、図面を参照しながら説明する。
【0058】
ここでは、例えば、部屋に人が入ったときのエアコンの稼働状況を観測するサービスを、ホームネットワーク上で適用する場合を例示する。
【0059】
図7は、ホームネットワーク上でのセンサー装置1−nの配置を示す配置図である。図7では、斜線を含む丸が温湿度センサーや照度センサー(関連センサー)を示し、黒丸が人感センサー(活動検出センサー)、白丸が、ACコンセントの電力量を計測する電力センサーとし、各部屋の適切な位置に配置されている。
【0060】
図8は、実施形態のネットワーク10におけるデータ取得頻度制御処理の動作を示すシーケンス図である。
【0061】
まず、活動検出センサーは、当初、イベント発生時にセンサーデータを通知するイベント通知方式を適用しており、関連センサーは、センサー制御装置2−1からポーリングを受信するとデータを送信するポーリング方式を適用しているものとする。なお、活動検出センサーは複数あってもよい。
【0062】
図8において、センサー制御装置2−1は、ポーリング制御部212が、定期的にポーリング方式を適用する関連センサーに対してポーリングを送信する(S101)。
【0063】
関連センサーにおいて、通信処理部11がセンサー制御装置2−1からポーリングを受信すると、ポーリング通信部112がセンシングしたデータをセンサー制御装置2−1に送信する。センサー制御装置2−1では、通信処理部22が、関連センサーからのセンサーデータを受信し(S102)、その受信したセンサーデータを、ゲートウェイ装置3を通じて、状況認識装置4に向けて送信する(S103、S104)。
【0064】
状況認識装置4では、通信処理部41が、定期的に受信したセンサーデータをサービス提供装置5に送信する(S105)。このとき、状況認識装置4では、受信したデータに基づいて、所定の加工処理を施し、その加工後のデータもサービス提供装置5に与えるようにしてもよい。
【0065】
ここで、活動検出センサーは、イベント通知方式を採用している。すなわち、対象(例えば人等)を検出するというイベントが発生するまで、活動検出センサーはデータ送信(イベント通知)を行わない。そのため、活動検出センサーのイベント通知に係るデータは、ローカルネットワーク7や上位ネットワーク8上に送信されない。また、活動検出センサーに対する関連センサーは、ポーリング方式を採用している。活動検出センサーによる対象検出前においては、センサー制御装置2−1のポーリング間隔を、例えば1時間に1回等のように比較的長く設定することで、センサー制御装置2−1が取得するデータ取得量を減らすことができ、さらにローカルネットワーク7、上位ネットワーク8上のトラフィック量も抑えることができる。
【0066】
次に、活動検出センサーにおいて、センサー12が対象を検出すると、イベント通信部111が対象検出を示すセンサーデータをセンサー制御装置2−1にイベント通知をする(S106)。なお、イベント発生した場合、活動検出センサーは、比較的高頻度でデータを上げる。
【0067】
センサー制御装置2−1では、通信処理部22が、対象の活動検出を示すデータを受信し(S107)、活動検出センサーからのデータ(活動検出データ)を、ゲートウェイ装置3を通じて、状況認識装置4に向けて送信する(S108、S109)。また、状況認識装置4は、受信したデータをサービス提供装置5に送信する(S110)。
【0068】
ここで、状況認識装置4において、状況確認部42は、通信処理部41がデータを受信すると、そのデータに含まれるセンサー識別情報に基づいて、活動検出センサーからのデータであると認識し、活動検出センサーが対象を検出したことを確認する。
【0069】
また、状況認識装置4において、センシング方法変更部43は、活動検出センサーからデータを受信したことを認識すると、当該活動検出センサーのデータ送信方式をイベント通知方式からポーリング方式に切り替える。また、センシング方法変更部43は、センサー状況確認情報記憶部45のセンサー状況確認情報を参照して、当該活動センサーに関与する関連センサー群を特定し、その関連センサー群からのデータ取得頻度を上げるように、ポーリング間隔の変更を行う(S111)。
【0070】
ポーリング間隔の変更は、例えば、1時間に1回のデータ取得頻度であったものを、毎分1回のデータ取得頻度、又は数秒に1回のデータ取得頻度に変更するなど、予め設定された変更内容に応じて変更することができる。
【0071】
そして、状況認識装置4は、センシング方法変更部43により変更されたデータ送信方式やポーリング間隔の内容を示す通信制御指示(センシング変更コマンド)を、当該活動検出センサー及び関連センサー群と通信可能なセンサー制御装置2−1に送信する(S112、S113)。
【0072】
センサー制御装置2−1では、制御部21が、状況認識装置4からの通信制御指示を受けて、対応する活動検出センサーのデータ送信方式の切り替え及び関連センサー群のポーリング間隔の変更を行う。
【0073】
例えば、イベント通知制御部211は、活動検出センサーに対して、イベント通知の停止を要求し、ポーリングによるデータ送信方式への切り替えを指示する(S114)。さらに、イベント通知制御部211は、通信制御管理部23の通信制御管理情報における当該活性検出センサーのデータ送信方式をポーリングによるデータ送信方式に切り替え、状況認識装置4から指示されたポーリング間隔に設定変更する(S115)。
【0074】
また例えば、ポーリング制御部212は、通信制御管理部23の通信制御管理情報における当該関連センサーのポーリング間隔を、状況認識装置4から指示されたポーリング間隔に設定変更する(S116)。
【0075】
そして、センサー制御装置2−1は、変更後のポーリング間隔に基づいて、各センサー装置1−nに対してポーリングを送信し(S117、S118)、これにより、センサー装置1−nから取得したセンサーデータを、ゲートウェイ装置3を通じて、状況認識装置4に与える(S120)。また、状況認識装置4は、受信したセンサーデータ及び収集したデータに基づいて所定の加工処理をしたデータをサービス提供装置5に送信する(S121)。
【0076】
これにより、イベント通知をしていた活動検出センサーのデータ送信方式をポーリング方式に変更することで、対象検出をした活動検出センサーからのデータ送信頻度を減らすことができるので、ローカルネットワーク7や上位ネットワーク8上の無駄なセンサーデータトラフィックを減らすことが可能となる。
【0077】
一方で、活動検出センサーがセンシングの対象を発見したことから、それらの関与センサー群のポーリングの間隔を短くし、データの変化を細かく取得することで、状況認識装置4がセンシング対象の活動を認識しやすくする。このように、対象検出のためのセンサー動作頻度を下げて、対象の周辺のセンサーデータの取得頻度を上げることにより、センサーデータのトラフィックを上げずに、必要なセンサーデータを取得することが可能となる。
【0078】
例えば、図7に例示したホームネットワークにおいて、和室に配置された人感センサー51及び52が活動検出センサーに相当し、温湿度センサー・照度センサー55と電力センサー53及び54が人感センサーに関連する関連センサーに相当する。
【0079】
和室に対象とする人が入ってきたことを人感センサー51及び52がセンシングすると、人感センサー51及び52がセンシングしたデータを、図7では図示しないセンサー制御装置2−1にイベント通知する。
【0080】
その後、図8で説明したデータ取得頻度制御により、人感センサー51及び52は、イベント通知方式からポーリング方式に切り替える。また、図7に図示しないセンサー制御装置2−1のポーリング間隔は、図7に図示しない状況認識装置4からの通信制御指示に従った間隔に変更する。温湿度センサー・照度センサー55と電力センサー53及び54は、センサー制御装置2−1からそれまでよりも短くなった間隔でポーリングを受信し、そのポーリング受信に基づいて、センシングしたデータをセンサー制御装置2−1に送信する。
【0081】
このようにすることで、対象とする人がいる和室で、人の活動を把握するための電力量データや温度・湿度データ、照度データのデータ量を増やすことができる。そのため、例えば、エアコンの温度の上がりすぎ(又は下がりすぎ)を検出するために、温湿度センサー55の稼動間隔を数分おきから数秒おきに変更することができる。
【0082】
ほかの部屋の各種センサーは、和室とは異なる別のセンサー制御装置2−mが制御する。そのため、ほかの部屋に位置する各種センサーからのデータ収集については、低いポーリング頻度とイベント型を維持し、余計なトラフィックがネットワーク上に発生しないようにすることができる。
【0083】
また、その後、活動検出センサーである人感センサーが、対象を検出できなくなると(すなわち、状況認識装置4において活動検出センサーからのデータ取得がなくなると)、状況認識装置4は、関連センサー群のポーリング間隔をもとのポーリング間隔に変更する指示や、活動検出センサーのデータ送信方式をイベント通知方式に切り替える指示を、センサー制御装置に対して行う。
【0084】
(A−3)実施形態の効果
以上のように、実施形態によれば、活動検出センサーがセンシング対象を検出した後に活動検出センサーの送信するデータ量を下げ、活動検出センサーに関与するセンサー群のセンシングの頻度を上げることにより、ネットワーク全体のトラフィックを上げずに、より詳細な活動を認識・推定するために、必要な数多くのデータを取得することが可能となる。
【0085】
(B)他の実施形態
(B−1)上述した実施形態では、図1に示したネットワーク10に適用する場合を例示したが、ネットワークの構成は、図1に示した構成に限定されるものではない。
【0086】
例えば、上述した実施形態では、ゲートウェイ装置3を通じて複数のネットワーク間でのセンサーデータのやりとりを行っているが、単一のネットワーク内で状況認識装置を配置しても良い。
【0087】
また、上述した実施形態では、サービス提供装置5をグローバルネットワーク9の背後に配置したが、サービス提供装置5が上位ネットワーク8に配置されるようにしてもよい。
【0088】
(B−2)上述した実施形態では、状況認識装置4におけるセンサーデータ取得の方法として、センサー制御装置2−mによるポーリングによる方式とイベント通知方式とを切り替えていたが、ポーリングによる方式だけを用いて、状況認識装置4がポーリングの間隔を広くしたり狭くしたりすることにより同様の効果を得ることも可能である。
【0089】
また、上述した実施形態では、状況認識装置4におけるセンサーデータの取得の方法として、センサー制御装置2−mによるポーリングによる方式とイベント通知方式を切り替えていたが、イベント通知方式だけを用いて、状況認識装置4がイベントの閾値を大きくしたり小さくしたり調整することにより、同様の効果を得ることも可能である。
【0090】
なお、イベント通知方式を採用する場合、各センサー装置の通信制御を行うセンサー制御装置を備えず、状況認識装置が、センサー装置に対して直接イベント閾値の変更を指示するようにしてもよい。
【0091】
(B−3)上述した状況認識装置が、センサー制御装置とサービス提供装置との間に、1台の装置として配置される場合を例示したが、サービス提供装置にセンサーデータを供給する前、すなわち、サービス提供装置の前段に位置されていればよく、ゲートウェイ装置等のネットワーク装置に搭載されるようにしてもよい。
【0092】
(B−4)上述した実施形態では、説明便宜上、活動検出センサーとこれに関与する関連センサー群との2つに分けて説明した。しかし、関連センサー群の中で、データ観測上で、状況を認識するために特に必要なセンサーについては、他の関連センサーよりも更に優先してデータ取得頻度を上げるようにしてもよい。すなわち、関連センサー群の中で、データ取得頻度を高く設定した関連センサーと、低く設定した関連センサーとを設けるようにしてもよい。さらに、関連センサー群に属する各関連センサーについて個別のデータ取得頻度を設定するようにしてもよい。
【0093】
(B−5)上述した実施形態の状況認識装置の処理は、いわゆるソフトウェア処理により実現されるものである。例えば、状況認識装置のハードウェアは、CPU、RAM、ROM、EEPROM等からなり、CPUが、二次記憶部に格納されるプログラムを、処理に必要なデータを用いて実行することにより、各種処理を実現する。
【符号の説明】
【0094】
1−1〜1−N…センサー装置、2−1〜2−M…センサー制御装置、3…ゲートウェイ装置、4…状況確認装置、5…サービス提供装置、10…ネットワーク、
41…通信処理部、42…状況確認部、43…センシング方法変更部、44…データ加工部、45…センサー状況情報記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサー装置のそれぞれがセンシングしたデータを、上記各センサー装置から取得するデータ取得頻度を制御するデータ取得頻度制御装置であって、
上記複数のセンサー装置のうち、ある対象を検出する対象検出センサー装置と、当該対象検出センサー装置と関連する1又は複数の関連センサー装置とを対応付けた状況情報を記憶する状況情報記憶手段と、
上記対象検出センサー装置から取得した対象検出データに基づいて、上記状況情報を参照して認識した上記対象検出センサー装置に関連する上記各関連センサー装置及び又は当該対象検出センサー装置に対して、データの送信頻度の変更を指示する送信頻度変更指示手段と
を備えることを特徴とするデータ取得頻度制御装置。
【請求項2】
上記状況情報は、上記各センサー装置の通信制御を行うセンサー制御装置に関する情報を含むものであり、
上記送信頻度変更指示手段が、上記状況情報を参照して、上記各関連センサー装置に対応する上記センサー制御装置に対して、データ取得に係るポーリング間隔の変更又はイベント閾値の変更を指示することを特徴とする請求項1に記載のデータ取得頻度制御装置。
【請求項3】
上記送信頻度変更指示手段が、上記対象検出センサー装置から取得した上記対象検出データに基づく対象検出状況に応じて、当該対象検出センサー装置及び又はこれに関連する上記各関連センサー装置のデータ送信方式の切り替えを指示するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ取得頻度制御装置。
【請求項4】
複数のセンサー装置のそれぞれがセンシングしたデータを、上記各センサー装置から取得するデータ取得頻度を制御するデータ取得頻度制御プログラムであって、
コンピュータが、上記複数のセンサー装置のうち、ある対象を検出する対象検出センサー装置と、当該対象検出センサー装置と関連する1又は複数の関連センサー装置とを対応付けた状況情報を記憶する状況情報記憶手段を有し、
上記コンピュータを、
上記対象検出センサー装置から取得した対象検出データに基づいて、上記状況情報を参照して認識した上記対象検出センサー装置に関連する上記各関連センサー装置及び又は当該対象検出センサー装置に対して、データの送信頻度の変更を指示する送信頻度変更指示手段として機能させることを特徴とするデータ取得頻度制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−104943(P2012−104943A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250010(P2010−250010)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成21年度総務省「消費エネルギー抑制ホームネットワーク技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】