説明

データ同期登録装置

【課題】監視業務を停止させることなく、記録されているデータを効率よく更新できるデータ同期登録装置の提供。
【解決手段】本発明は、監視センタ装置3のデータを更新するためのデータ同期登録装置53であって、複数のデータ記憶装置のうちのいずれか2つに記録されているデータ間の差分データを抽出するデータ差分抽出装置51と、このデータ差分抽出装置51にて抽出した差分データを、2つのデータ記憶装置のうちの差分データが記録されていない一方に記録させるデータ同期装置52とを有する構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物に設置された所定の機器の異常を検知する端末装置を用いた監視センタ装置のデータを更新するためのデータ同期登録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術としては、下記特許文献1に示されているものがある。この従来技術は、建築物に設置された所定の機器の異常を検知する端末装置を用い、これら各機器の異常を監視センタ装置にて監視しているものである。そして、この監視センタ装置に記録されているデータの更新には、この監視センタ装置のデータ記憶装置の現行運用ディスクにこれまで記録させた情報を、新たなデータ記憶装置に記憶させる必要がある。
【0003】
具体的に、この特許文献1に示される従来技術においては、監視センタ装置による監視業務が終了した後、この監視センタ装置の全装置をすべて停止させ、この監視センタ装置のデータ記憶装置に設けられている退避用ディスクに、このデータ記憶装置の現行運用ディスクに記録されている全情報をコピーさせている。
【0004】
その後、このデータ記憶装置の現行運用ディスクを用い、監視センタ装置による監視業務を行う一方、新たな監視センタ装置の新データ記憶装置の運用ディスクに、現行運用ディスクからコピーした全情報をコピーさせる。そして、例えば翌営業日等の次の監視業務終了後に、現行運用ディスクの情報のうちの、退避用ディスクにコピーされていない差分情報のみを新たな監視センタ装置の新データ記憶装置の運用ディスクにコピーし、例えば翌日等の次の営業開始時から、新たな監視センタ装置による監視業務を開始させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−230586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1に示される従来技術では、監視センタ装置のデータ記憶装置に記録されている膨大な量の監視データを、新たな監視センタ装置の新データ記憶装置にコピーして移行させる際に、この監視センタ装置による監視業務を停止させる必要がある。このため、24時間365日に亘って監視業務を停止できない監視センタ装置のデータ更新方法として用い得ない。
【0007】
本発明は、前述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、監視業務を停止させることなく、記録されているデータを効率よく更新することが可能なデータ同期登録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係るデータ同期登録装置は、建築物に設置された所定の機器の異常を検知した場合に通報情報を発信する端末装置からの前記通報情報を受信する受信装置と、この受信装置にて受信した通報情報を記録する複数のデータ記憶装置と、これら複数のデータ記憶装置へのデータの記録が可能なデータ処理装置とを備えた監視センタ装置のデータを更新するためのデータ同期登録装置であって、前記複数のデータ記憶装置のうちのいずれか2つに記録されているデータ間の差分データを抽出するデータ差分抽出装置と、このデータ差分抽出装置にて抽出した差分データを、前記2つのデータ記憶装置のうちの前記差分データが記録されていない一方に記録させるデータ同期装置とを有することを特徴としている。
【0009】
このように構成した本発明は、複数のデータ記憶装置のうちのいずれか2つに記録されているデータ間の差分データがデータ差分抽出装置にて抽出され、この抽出された差分データが、この差分データが記録されていない一方のデータ記憶装置に記録される。この結果、これらデータ記憶装置に記録されているデータ間の差分データが、この差分データが記録されていない一方のデータ記憶装置に記録されていくため、これらデータ記録装置のいずれかを用いて監視センタ装置による監視業務を継続させることができる。よって、この監視センタ装置による監視業務を停止させることなく、データ記憶装置に記録されているデータを効率よく更新できる。
【0010】
また本発明は、請求項1記載のデータ同期登録装置において、少なくとも3つ以上の前記データ記憶装置を有し、前記データ同期装置は、前記データ差分抽出装置にて抽出された差分データを、前記2つのデータ記憶装置とは異なるデータ記憶装置に記録させるとともに、このデータ記憶装置に差分データを記憶させた後に前記データ差分抽出装置にて抽出される新たな差分データを、前記2つのデータ記憶装置のうちの前記新たな差分データが記録されていない一方と、前記2つのデータ記憶装置とは異なるデータ記憶装置とのそれぞれに記録させることを特徴としている。
【0011】
このように構成した本発明は、データ差分抽出装置にて抽出された差分データが、この差分データが抽出された2つのデータ記憶装置とは異なるデータ記憶装置に記録される。そして、このデータ記憶装置に差分データを記憶させた後にデータ差分抽出装置にて抽出される新たな差分データが、この差分データが抽出された2つのデータ記憶装置のうちの新たな差分データが記録されていない一方と、これら2つのデータ記憶装置とは異なるデータ記憶装置のそれぞれに記録される。よって、これらデータ記憶装置のいずれか一方に不具合が発生した場合であっても、これらデータ記憶装置のいずれか他方を用いて監視業務を継続することが可能であるため、監視業務を停止させることなくデータをより効率よく確実に更新できる。
【0012】
さらに本発明は、請求項2記載のデータ同期登録装置において、前記データ処置装置は、前記データ差分抽出装置による差分データの抽出と、前記データ同期装置による前記差分データの記録とを繰り返させ、前記データ差分抽出装置にて差分データが抽出されない場合に、前記2つのデータ記憶装置のうちのいずれか一方を切り離し可能とすることを特徴としている。
【0013】
このように構成した本発明は、データ差分抽出装置による差分データの抽出と、データ同期装置による差分データの記録とを繰り返すことによって、データ差分抽出装置にて差分データが抽出されず、この差分データを抽出した2つのデータ記憶装置のそれぞれに更新データが記録され同期した状態となる。この結果、これら2つのデータ記憶装置のうちの一方を不要にでき、これら2つのデータ記憶装置のいずれか一方を切り離し、これら2つのデータ記憶装置のいずれか他方と、これら2つのデータ記憶装置とは異なるデータ記憶装置とに更新できるため、データ記憶装置に記録されたデータを効率よく更新できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、複数のデータ記憶装置のうちの指定するいずれか2つのデータ記憶装置に記録されているデータ間の差分データを、データ差分抽出装置にて抽出し、この差分データを、これら2つのデータ記憶装置のうちの差分データが記録されていない一方に記録させる。この結果、これら2つのデータ記憶装置に記録されているデータの差分データが、この差分データが記録されていない一方のデータ記憶装置に記録され、これらデータ記憶装置のいずれかを用いて監視センタ装置による監視業務を行うことができる。このように本発明は、監視センタ装置による監視業務を停止させることなく、各データ記憶装置に記録されているデータを効率よく更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るデータ同期登録装置の第1実施形態が備えられる遠隔監視システムの概要を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態が備えられる遠隔監視システムのデータ更新方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1実施形態が備えられる遠隔監視システムの他のデータ更新方法の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るデータ同期登録装置の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明に係るデータ同期登録装置の第1実施形態が備えられる遠隔監視システムの概要を示す図である。
【0018】
この図1に示す遠隔監視システムは、遠隔地に建築された複数のビル等の建築物に設置された昇降機や空調設備等の所定の機器である図示しないビル設備機器の稼働状態を遠隔監視するためのシステムである。そして、この遠隔監視システムは、これらビル設備機器を監視する複数の端末装置11a,11b,〜11nを備えている。ここで、これら複数の端末装置11a,11b,〜11nは、これら各端末装置11a,11b,〜11nが接続されたビル設備機器の異常を検知するための監視端末であり、一つの群とされて端末装置群1として所定の建築物に取り付けられている。
【0019】
また、これら端末装置11a,11b,〜11nは、インターネット等の通信回線網2を介して現行の監視センタ装置3内の複数台の受信装置31a,31b,〜31nに選択的に接続されている。さらに、これら端末装置11a,11b,〜11nは、これら端末装置11a,11b,〜11nのうちのいずれかが所定のビル設備機器の異常を検知した場合に、故障情報等の通報情報を発信し、この通報情報を受信装置31a,31b,〜31nに受信させる。
【0020】
ここで、この現行の監視センタ装置3は、受信装置31a,31b,〜31nに加え、これら受信装置31a,31b,〜31nにて受信した情報を処理するパーソナルコンピュータ(PC)等の処理装置33を備えている。また、この監視センタ装置3は、処理装置33にて処理した種々の情報や通報情報等の監視データを記録させて保管管理する複数、例えば2台の第1および第2のデータ記憶装置35a,35bを備えている。そして、これら受信装置31a,31b,〜31n、処理装置33、および第1および第2のデータ記憶装置35a,35bは、情報の伝送が円滑になるよう構内通信網、すなわちLAN(ローカルネットワーク)34によって互いに接続されている。
【0021】
さらに、第1および第2のデータ記憶装置35a,35bは、それぞれLAN34を介して処理装置33に接続されている。この処理装置33は、主たるデータ記憶装置として第1のデータ記憶装置35aを用い、この第1のデータ記憶装置35aに何等かの不具合が生じ、この第1のデータ記憶装置35aからのデータの読み出しができない場合に、第2のデータ記憶装置35bを用い、この第2のデータ記憶装置35bからデータの読み出しするように設定されている。
【0022】
そして、受信装置31a,31b,〜31nは、通信回線網2を介して端末装置11a,11b,〜11nから発信されてくる故障情報等の通報情報を受信する。また、第1および第2のデータ記憶装置35a,35bは、端末装置11a,11b,〜11nを識別するための端末情報や、これら端末装置11a,11b,〜11nで発生した過去の故障情報等にて構成された来歴情報等が記録されて保存される。
【0023】
次いで、処理装置33は、この処理装置33へと送られている情報を処理するデータ処理装置50を備えている。また、この処理装置33は、第1および第2のデータ記憶装置35a,35bとの間の差分データを抽出する差分データ抽出装置51と、この差分データを、この差分データが保存されていない未記録側の第1および第2のデータ記憶装置35a,35bのいずれか一方に記録させて保存させるデータ同期装置52とを備えている。さらに、これら差分データ抽出装置51とデータ同期装置52とによって、データ同期登録装置53が構成されている。このデータ同期登録装置53は、差分データ抽出装置51およびデータ同期装置52によって、第1および第2のデータ記憶装置35a,35bに記録されているデータを更新させるとともに、これら第1および第2のデータ記憶装置35a,35bとは異なる、第3のデータ記憶装置35cにデータを移行させる際に用いられるものである。
【0024】
ここで、データ処理装置50は、端末装置11a,11b,〜11nから受信した通報情報とともに、この故障情報を発信した端末装置11a,11b,〜11nに付随して記録されている端末コードに基づく契約顧客名称および住所を第1または第2のデータ記憶装置35a,35bから読み出す。また、このデータ処理装置50は、これら契約顧客名称および住所とともに、端末装置11a,11b,〜11nが設置されているビルの名称および住所、このビルのビル設備機器の保守業務を担当している営業所等の端末情報を第1または第2のデータ記憶装置35a,35bから読み出す。さらに、このデータ処理装置は、端末装置11a,11b,〜11nの故障来歴情報を必要に応じ、図示しない操作卓に表示させ、この操作卓に着席したオペレータの業務に必要な情報を素早く提供する。
【0025】
さらに、データ処置装置50は、第1および第2のデータ記憶装置35a,35bへの種々のデータの記録が可能に構成されている。そして、このデータ処理装置50は、例えばオペレータにて操作卓から入力された端末情報を、これら第1および第2のデータ記憶装置35a,35bに記録させる。また、データ同期登録装置53の差分データ抽出装置51は、第1のデータ記憶装置35aに記録されている第1のデータと、第2のデータ記憶装置35bに記録されている第2のデータとの間の異なるデータである差分データを抽出する。
【0026】
なお、図1においては、第2のデータ記憶装置35bと交換するための、データ移行用の第3のデータ記憶装置35cが、LAN34を介して処理装置33に接続されている。この第3のデータ記憶装置35bもまた、受信装置31a,31b,〜31nにて受信した通報情報を記録するものであって、データ差分抽出装置51にて抽出された差分データが記録され、この差分データを記録させた後に抽出される差分データが、第1および第2のデータ記憶装置35a,35bのうちの未記録側の一方とともに記録される。
【0027】
次いで、上記遠隔監視システムの通常の監視業務について説明する。
【0028】
まず、新規の端末装置11nの登録業務は、遠隔監視システムの監視センタ装置3が設置されている監視センタの操作卓に着席したオペレータが、予め作成された入力票に基づいて操作卓を操作し、新規の端末装置11nの端末情報等を入力する。すると、この入力された端末情報は、処理装置33のデータ処理装置50にて処理され、第1および第2のデータ記憶装置35a,35bのそれぞれに記録される。この結果、この監視センタ装置3は、24時間365日に亘って各端末装置11a,11b,〜11nからの通報情報の受信、すなわち故障通報受信業務等の遠隔監視業務に対応した状態となる。
【0029】
そして、予め登録した端末装置11a,11b,〜11nが接続され、例えば遠隔地のビルのいずれかのビル設備機器が故障等した場合においては、この故障等したビル設備機器の異常を監視している端末装置11aから通報情報が発信され、通信回路網2を介して、いずれかの受信装置31aにて受信される。さらに、この受信装置31aにて受信された通報情報は、この受信装置31aから処理装置33のデータ処理装置50を介して操作卓へと送信されるとともに、この処理装置50の第1および第2のデータ記憶装置35a,35bに送信されて記録される。
【0030】
このとき、受信した通報情報に付随している端末コード等に基づいて、例えば第1のデータ記憶装置35aに記憶されている第1のデータの中から、通報情報を発信した端末装置11aの契約顧客名称および住所がデータ処理装置50にて読み出されて操作卓へ送信される。また同時に、この端末装置11aが設置されているビルの名称および住所、このビルのビル設備機器の保守管理を担当している営業所等の端末情報がデータ処理装置50にて読み出されて操作卓へ送信される。さらに、通報情報を発信した端末装置11aからの最近の通報状況、すなわち故障情報が、例えば第1のデータ記憶装置35aからデータ処理装置50にて読み出されて操作卓へ送信される。
【0031】
そして、この操作卓の操作を担当しているオペレータが、この操作卓のモニタに表示されている故障情報に応じて、担当者の出動の要否を判断する。この判断の結果、出動が必要と判断した場合においては、通報情報を発信した端末装置11aが設置されているビルの保守担当営業所の担当者に出動の指示をする。ここで、データ処理装置50は、通常の場合、第1のデータ記憶装置35aから必要に応じたデータを読み出すが、この第1のデータ記憶装置35aに何等かの支障が生じ、この第1のデータ記憶装置35aから必要に応じたデータの読み出しができない場合には、第2のデータ記憶装置35bから必要に応じたデータを読み出す。
【0032】
さらに、通報情報とともに端末情報が送られた操作卓の操作を担当するオペレータは、出動の指示を出した担当者と電話や電子メール等で連絡を取る。さらに、このオペレータは、必要に応じ、通報情報を発信した端末装置11aの過去の故障情報を電子メール等で送信して担当者に提供し、通報情報を発信した端末装置11aが取り付けられたビル設備機器の故障等の迅速な復旧を支援する。
【0033】
図2は、本発明の第1実施形態が備えられる遠隔監視システムのデータの更新方法を示すフローチャートである。以下、この図2に示すフローチャートに基づいて、遠隔監視システムの監視センタ装置3の第2のデータ記憶装置35bを、新規な第3のデータ記憶装置35cに交換して更新する手順について説明する。
【0034】
はじめに第1段階として、図1に示すように、監視センタ装置3のLAN34に第3のデータ記憶装置35cを接続し、この第3のデータ記憶装置35cを、データ処理装置50、データ差分抽出装置51およびデータ同期装置52のそれぞれに登録する(ステップS1)。
【0035】
次いで、処理装置33を操作して特定の第2および第3のデータ記憶装置35b,35cを指定し、これら第2および第3のデータ記憶装置35b,35cに記録されているデータをデータ差分抽出装置51にて比較し、これらデータの差分である第1の差分データをデータ差分抽出装置51にて抽出する(ステップS2)。
【0036】
そして、このステップS2にて抽出した第1の差分データを、データ同期装置52にて第3のデータ記憶装置35cに記録させ、第1段階のデータ同期登録を行う(ステップS3)。このとき、この第1の差分データの第3のデータ記憶装置35cへの記録は、長時間にわたって第2のデータ記憶装置35bに記録された膨大な量のデータを第3のデータ記憶装置35cに記録させて登録させるため、比較的長時間を要する。
【0037】
このとき、上記ステップS2およびステップS3との間、すなわち第1の差分データを抽出して第3のデータ記憶装置35cに記録させるまでの間において、いずれかの端末装置11a,11b,〜11nから新規に通報されてくる通報情報に関するデータについては、データ処理装置50にて第1のデータ記憶装置35aに記録させる。このとき、操作卓への表示が必要な各データについては、第1のデータ記憶装置35aから読み出されて操作卓のモニタ等に表示されるため、通常の監視業務の継続が可能となる。
【0038】
さらに、上記ステップS3での第1の差分データの第3のデータ記憶装置35cへの記録が完了した時点においては、この第3のデータ記憶装置35cへ第1の差分データを記録させて登録させている間の通報情報に関する各データが存在する。このため、第1および第3のデータ記憶装置35a,35cに記録されているデータをデータ差分抽出装置51にて比較し、これらデータの差分である第2の差分データをデータ差分抽出装置51にて抽出する(ステップS4)。
【0039】
そして、このステップS4にて抽出した第2の差分データを、データ同期装置52にて第2および第3のデータ記憶装置35b,35cのそれぞれに記録させる(ステップS5)。このとき、第2のデータ記憶装置35bは、本更新作業が完了した際に不要となる。ところが、第1および第3のデータ記憶装置35a,35cのいずれかが更新作業中に何らかの不具合等が発生した場合においても、通常の監視業務に支障が無いようにする目的から、本更新作業が完了するまでの間、すべての第1〜第3のデータ記憶装置35a,35b,35cのそれぞれを同期させる。またこのとき、この第2の差分データの第2および第3のデータ記憶装置35b,35cへの登録、すなわち第2段階のデータ同期登録においては、第1段階でのデータ同期登録の際に比べ、記録させるデータの量が少ないため、作業時間が少なく短時間で完了できる。
【0040】
さらに、データ差分抽出装置51にて、第1のデータ記憶装置35aに記録されているデータと第3のデータ記憶装置35cに記録されているデータとの間の差分データがデータ差分抽出装置51にて抽出されなくなるまで、上記ステップS4での差分データの抽出、およびステップS5でのデータ同期登録を繰り返させる。そして、このデータ差分抽出装置51にて差分データが抽出されなくなった場合に、第1および第3のデータ記憶装置35a,35cに記録されているデータが完全に同期したとデータ処理装置50にて判断され(ステップS6)、第2のデータ記憶装置35bをLAN34から切り離しても良い指示、すなわち切り離し許可表示を操作卓に表示させる。この後、この切り離し許可表示を確認したオペレータが、第2のデータ記憶装置35bをLAN34から切り離し作業し、通報情報に関するデータの更新作業を終了させる(ステップS7)。
【0041】
なお、上述のステップS1〜ステップS7までの更新作業を繰り返して、第1および第2のデータ記憶装置35a,35bの更新作業を1台ずつ行うことにより、これら第1および第2のデータ記憶装置35a,35bのそれぞれを新たな2台の図示しないデータ記憶装置に更新することができる。
【0042】
このように構成した第1実施形態によれば、監視センタ装置3の複数のデータ記憶装置35a,35bのうちの一つ、例えば第2のデータ記憶装置35bを交換して更新する場合に、この監視センタ装置3のLAN34に新たな更新用の第3のデータ記憶装置35cを接続して登録する。次いで、この第3のデータ記憶装置35cに記録されているデータと、追って不要となる第2のデータ記憶装置35bに記録されているデータとの間の第1の差分データをデータ差分抽出装置51にて抽出し、この第1の差分データを第3のデータ記憶装置35cに記録させる。
【0043】
さらに、この第1の差分データを第3のデータ記憶装置35cに記録させる際に更新される新たな通報情報に関するデータを、第1のデータ記憶装置35aに記録させる。よって、この第1のデータ記憶装置35aを用いることにより、監視センタ装置3による監視業務を停止させることなる、第2のデータ記憶装置35bに記録されているデータを効率よく更新することができる。
【0044】
また、この第1の差分データを抽出して第3のデータ記憶装置35cに記録させるまでの間に、新たに端末装置11a,11b,〜11nから通報され第1のデータ記憶装置35aに記録されたデータを、これら第1および第3のデータ記憶装置35a,35b間のデータの差分、すなわち第2の差分データとしてデータ差分抽出装置51にて抽出する。そして、この第2の差分データを第3のデータ記憶装置35cに記録させることにより、この第3のデータ記憶装置35cを第1および第2のデータ記憶装置35a,35bに同期でき、第2のデータ記憶装置35bを取り外し可能な状態にできる。
【0045】
このとき、第2の差分データを第3のデータ記憶装置35cに記録させる際に、この第2の差分データを第2のデータ記憶装置35bに記録させる。この結果、更新作業中に第1および第3のデータ記憶装置35a,35b,35cのいずれかに何らかの不具合等が発生した場合においても、第2のデータ記憶装置35bを用いて監視業務を継続させることができる。よって、監視センタ装置3を停止させることなく、この監視センタ装置3による監視業務を継続しながら、第1および第2のデータ記憶装置35a,35bに記録されたデータをより効率よく確実に更新できる。
【0046】
さらに、データ差分抽出装置51にて第2の差分データが抽出されなくなるまで、このデータ差分抽出装置51による第2の差分データの抽出と、この第2の差分データのデータ同期装置52による記録とを繰り返す。この結果、この第2の差分データを抽出した第1および第3のデータ記憶装置35a,35bのそれぞれに更新データが記録され同期した状態になる。この状態においては、第2のデータ記憶装置35bが不要になり切り離し可能となる。このため、この第2のデータ記憶装置35bを切り離すことによって、監視センタ装置3を第1および第3のデータ記憶装置35a,35cに更新できるため、第1および第2のデータ記憶装置35a,35bに記録されたデータを効率よく更新できる。
【0047】
また、図3は、本発明の第1実施形態が備えられる遠隔監視システムの他のデータ更新方法の概要を示す図である。以下、監視センタ装置3全体を、この監視センタ装置3と同様に構成された新たな新監視センタ装置4に更新する場合の方法について説明する。
【0048】
具体的に、図3に示す更新方法は、監視センタ装置3の第1および第2のデータ記憶装置35a,35bのそれぞれに記録されているデータを、新監視センタ装置4の新たな2台の第1および第2のデータ記憶装置45a,45bに更新する方法である。そして、第1段階として、現在使用中の監視センタ装置3のLAN34と、新たな新監視センタ装置4のLAN44との間にLAN中継装置5を接続する。
【0049】
次いで、監視センタ装置3または新監視センタ装置4の処理装置33,43のいずれかのデータ処理装置50、データ差分抽出装置51およびデータ同期装置52を用い、監視センタ装置3の第1および第2のデータ記憶装置35a,35bに記録されたデータを、新監視センタ装置4の第1および第2のデータ記憶装置45a,45bに記録させる。
【0050】
さらに、これら第1および第2のデータ記憶装置35a,35b,45a,45bの計4台に記録されている各データの同期を完了させた後、LAN中継装置5を切り離すとともに、新監視センタ装置4の各受信装置41a,41b,〜41nのそれぞれを通信回線網2に接続する。この結果、監視センタ装置3を切り離し可能にできるとともに、この監視センタ装置3にて継続していた監視業務を、新監視センタ装置4にて支障なく継続させることが可能となる。よって、従前の監視センタ装置3の設置場所とは異なる場所に新監視センタ装置4を設置して移転する場合であっても、各端末装置11a,11b,〜11nからの通報情報を受信して行う故障通報受信業務を停止させることなく監視センタ装置3の移転が可能となる。
【0051】
なお、監視センタ装置3全体を新たな新監視センタ装置4に更新する場合においては、これら監視センタ装置3および新監視センタ装置4のいずれかの処理装置33,43にデータ差分抽出装置51およびデータ同期装置51が取り付けられていれば良い。特に、従前の監視センタ装置3全体を更新する場合においては、データ差分抽出装置51およびデータ同期装置52を備えた新監視センタ装置3を用いることによって、従前の監視センタ装置3の第1および第2のデータ記憶装置35a,35bに記録されたデータを更新できる。
【0052】
さらに、本発明は、上述した実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において種々の実施形態が可能である。例えば、上記第1実施形態においては、処理装置33のデータ処理装置51とは別個の構成として、データ差分抽出装置51およびデータ同期装置52を備えたデータ同期登録装置53を説明した。しかしながら、本発明においては、この構成に限られず、データ同期登録装置53をデータ処理装置50と一体に構成したり、このデータ同期登録装置53による処理機能をデータ処理装置50の一つの処理機能としたりすることもできる。
【符号の説明】
【0053】
1 端末装置群
2 通信回線網
3 監視センタ装置
4 新監視センタ装置
5 LAN中継装置
11a,11b,〜11n 端末装置
31a,31b,〜31n 受信装置
33 処理装置
34 LAN
35a 第1のデータ記憶装置
35b 第2のデータ記憶装置
35c 第3のデータ記憶装置
41a,41b,〜41n 受信装置
43 処理装置
44 LAN
45a 第1のデータ記憶装置
45b 第2のデータ記憶装置
50 データ処理装置
51 差分データ抽出装置
52 データ同期装置
53 データ同期登録装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物に設置された所定の機器の異常を検知した場合に通報情報を発信する端末装置からの前記通報情報を受信する受信装置と、
この受信装置にて受信した通報情報を記録する複数のデータ記憶装置と、
これら複数のデータ記憶装置へのデータの記録が可能なデータ処理装置とを備えた監視センタ装置のデータを更新するためのデータ同期登録装置であって、
前記複数のデータ記憶装置のうちのいずれか2つに記録されているデータ間の差分データを抽出するデータ差分抽出装置と、
このデータ差分抽出装置にて抽出した差分データを、前記2つのデータ記憶装置のうちの前記差分データが記録されていない一方に記録させるデータ同期装置と
を有することを特徴とするデータ同期登録装置。
【請求項2】
請求項1記載のデータ同期登録装置において、
少なくとも3つ以上の前記データ記憶装置を有し、
前記データ同期装置は、前記データ差分抽出装置にて抽出された差分データを、前記2つのデータ記憶装置とは異なるデータ記憶装置に記録させるとともに、このデータ記憶装置に差分データを記憶させた後に前記データ差分抽出装置にて抽出される新たな差分データを、前記2つのデータ記憶装置のうちの前記新たな差分データが記録されていない一方と、前記2つのデータ記憶装置とは異なるデータ記憶装置とのそれぞれに記録させることを特徴とするデータ同期登録装置。
【請求項3】
請求項2記載のデータ同期登録装置において、
前記データ処置装置は、前記データ差分抽出装置による差分データの抽出と、前記データ同期装置による前記差分データの記録とを繰り返させ、前記データ差分抽出装置にて差分データが抽出されない場合に、前記2つのデータ記憶装置のうちのいずれか一方を切り離し可能とすることを特徴とするデータ同期登録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−88922(P2013−88922A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227065(P2011−227065)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】