説明

データ集配信システムおよび入出力装置

【課題】 パケット組立テーブルおよびパケット分解デーブルを用いることなく、データの入出力関係の整合性を保ちデータの送受信が容易にできる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】 データの送受信を行う複数の入出力装置を有するデータ集配信システムであって、入出力装置は、機器からのデータを受ける入力チャネルを少なくとも1つ以上有する入力チャネル部と、入力チャネルで受けたデータを保持する入力バッファ部と、他の入出力装置から受信したデータを保持する出力バッファ部と、受信したデータを外部に出力する出力チャネルを少なくとも1つ以上有する出力チャネル部と、入力チャネルで受けたデータの送信先の入出力装置および送信先の入出力装置の出力チャネルが予め定義された入出力関係データベースを記憶する記憶部と、送信先の入出力装置の出力バッファ部を共有し、入出力関係データベースに基づいて、入力チャネルで受けたデータを共有した出力バッファ部に書き込み送受信する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器などのデータを送受信するパケット集配信システムおよび入出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機器などのデータを送受信するデータ集配信システムは、パケット方式による送受信を行っている。したがって、データ集配信システムを構成する入出力装置は、データをパケットに組み立てるためのパケット組み立てテーブル、パケットをデータに分解するためのパケット分解テーブルを有している(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1は、システム全体の入出力関係データベースを元に、パケット組立テーブルとパケット分解テーブルとを自動作成することにより、他の入出力装置との間で整合性がとれたデータの送受信ができる技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−28527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、パケット組立テーブルおよびパケット分解デーブルの作成とともに、それらのテーブルのバックアップや管理などのメンテナンスが必要であり非常に多くの労力が求められる。
【0006】
また、特許文献1のような、パケット組立テーブルおよびパケット分解デーブルの自動生成、および、それらのテーブルを用いたパケット組立/分解処理には、非常に多くの手順が要求される。
【0007】
上記従来技術が有する問題に鑑み、本発明の目的は、パケット組立テーブルおよびパケット分解デーブルを用いることなく、データの入出力関係の整合性を保ちデータの送受信が容易にできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のデータ集配信システムは、データの送受信を行う複数の入出力装置を有するデータ集配信システムであって、入出力装置は、機器からのデータを受ける入力チャネルを少なくとも1つ以上有する入力チャネル部と、入力チャネルで受けたデータを保持する入力バッファ部と、他の入出力装置から受信したデータを保持する出力バッファ部と、受信したデータを外部に出力する出力チャネルを少なくとも1つ以上有する出力チャネル部と、入力チャネルで受けたデータの送信先の入出力装置および送信先の入出力装置の出力チャネルが予め定義された入出力関係データベースを記憶する記憶部と、送信先の入出力装置の出力バッファ部を共有し、入出力関係データベースに基づいて、入力チャネルで受けたデータを共有した出力バッファ部に書き込み送受信する制御部と、を備える。
【0009】
また、制御部は、自身を送信先とした場合の送信元の入出力装置の入力バッファ部を共有し、入出力関係データベースに基づいて、送信元の入出力装置の入力チャネルで受けたデータを共有した入力バッファ部から読み込み送受信してもよい。
【0010】
また、制御部は、入出力関係データベースを送信元の入出力装置の配置に応じて並び替えた入力定義テーブルを生成して入力バッファ部に記憶し、入力定義テーブルに基づいて、入力チャネルで受けたデータを共有した出力バッファ部に書き込んでもよい。
【0011】
また、制御部は、入出力関係データベースを送信先の入出力装置の配置に基づいて並び替えた出力定義テーブルを生成して出力バッファ部に記憶し、出力定義テーブルに基づいて、送信元の入出力装置の入力チャネルで受けたデータを共有した入力バッファ部から読み込んでもよい。
【0012】
また、制御部は、入出力関係データベースが更新された場合、他の入出力装置に更新通知を送信し、更新通知に対する応答信号を受信した後に更新された入出力関係データベースを他の入出力装置に取得させてもよい。
【0013】
本発明の入出力装置は、データを送受信するデータ集配信システムの入出力装置であって、機器からのデータを受ける入力チャネルを少なくとも1つ以上有する入力チャネル部と、入力チャネルで受けたデータを保持する入力バッファ部と、他の入出力装置から受信したデータを保持する出力バッファ部と、受信したデータを外部に出力する出力チャネルを少なくとも1つ以上有する出力チャネル部と、入力チャネルで受けたデータの送信先の入出力装置および送信先の入出力装置の出力チャネルが予め定義された入出力関係データベースを記憶する記憶部と、送信先の入出力装置の出力バッファ部を共有し、入出力関係データベースに基づいて、入力チャネルで受けたデータを共有した出力バッファ部に書き込み送受信する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、パケット組立テーブルおよびパケット分解デーブルを用いることなく、データの入出力関係の整合性を保ちデータの送受信が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一の実施形態のデータ集配信システムSYSの構成を示すブロック図
【図2】一の実施形態の入出力装置の構成の一例を示すブロック図
【図3】一の実施形態の入出力関係データベース60の一例を示す図
【図4】入出力関係データベース60を並び替えて生成された入力定義テーブル70の一例を示す図
【図5】入出力関係データベース60を並び替えて生成された出力定義テーブル80の一例を示す図
【図6】入力定義テーブル70に基づいたデータ集配信システムSYSによるデータの送受信処理の流れ図
【図7】入力定義テーブル70に基づいたデータ集配信システムSYSによるデータの送受信の一例を示す図
【図8】入出力装置におけるファイル共用のためのディレクトリ構造の一例を示す図
【図9】出力定義テーブル80に基づいたデータ集配信システムSYSによるデータの送受信処理の流れ図
【図10】出力定義テーブル80に基づいたデータ集配信システムSYSによるデータの送受信の一例を示す図
【図11】データ集配信システムSYSによる入出力関係データベース60の更新処理の流れ図
【図12】更新された入出力関係データベース60’の一例を示す図
【図13】本発明の他の実施形態のデータ集配信システムSYS2の構成を示すブロック図
【図14】他の実施形態の入出力関係データベース65の一例を示す図
【図15】入力定義テーブルに基づいたデータ集配信システムSYS2によるデータの送受信の一例を示す図
【図16】出力定義テーブルに基づいたデータ集配信システムSYS2によるデータの送受信の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
《一の実施形態の説明》
図1は、本発明の一の実施形態のデータ集配信システムSYSを示している。データ集配信システムSYSは、ネットワークを介して互いに接続された入出力装置10A、12B、12C、12D・・・12Eを有している。入出力装置10A、12B−12Eには、被監視装置100A、100B、100C、100D・・・100Eおよび外部出力装置110A、110B、110C、110D・・・110Eがそれぞれ接続されている。本実施形態のデータ集配信システムSYSは、例えば、給電設備の監視システムに利用される。入出力装置10A、12B−12Eは、例えば、コンピュータなどの計算機であり、被監視装置100A−100E、外部出力装置110A−110Eのデータの送受信の制御および図示していない給電設備の配線の接点の切り替えなどを制御する。
【0017】
被監視装置100A−100Eは、例えば、水力発電所の水位や発電量の測定装置あるいは配線の接点の状態を検出する装置である。また、外部出力装置110A−110Eは、例えば、測定された水位や発電量を表示するモニタあるいは接点の状態を表示する系統盤などである。なお、図中の被監視装置100A−100Eおよび外部出力装置110A−110Eは、複数の測定装置などを1つのブロックにまとめて示す。
【0018】
図2は、本実施形態の各入出力装置10A、12B−12Eの構成の一例を示す。なお、以下において、入出力装置10Aを例にして説明するが、入出力装置12B−12Eについても同様の構成を有し動作する。
【0019】
図2に示すように、入出力装置10Aは、入力チャネル部20、入力バッファ部22、出力バッファ部30、出力チャネル部32、記憶部40、CPU50を備える。
【0020】
入力チャネル部20は、被監視装置100Aから出力される発電量などのアナログデータや接点状態の情報などのデジタルデータを、入力チャネルICH1、ICH2、ICH3・・・ICH150のそれぞれで受信する。
【0021】
入力バッファ部22は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)で形成され、入力チャネルICH1−ICH150で受けたデータを、入力データとしてテキスト形式などの入力データファイルに書き込み保持する。入力バッファ部22は、不図示のネットワークインターフェスを介して、入力データを入出力装置10A、12B−12Eに送信する。なお、入出力装置10Aから入出力装置10Aへの入力データの送信は、入出力装置10A内の転送である。
【0022】
出力バッファ部30は、例えば、DRAMやSRAMで形成され、ネットワークインターフェス(不図示)を介して、入出力装置10A、12B−12Eからのデータを受信する。出力バッファ部30は、受信したデータを出力データとしてテキスト形式などの出力データファイルに書き込み保持する。なお、入出力装置10Aからの出力データの受信は、入出力装置10A内の転送である。
【0023】
出力チャネル部32は、出力バッファ部30で保持する出力データを、出力チャネルOCH1、OCH2、OCH3・・・OCH150から外部出力装置110Aに出力する。
【0024】
記憶部40は、ハードディスクや半導体メモリなどで形成され、後述するCPU50によって実行される制御プログラムを記憶する。また、記憶部40は、各入出力装置10A、12B−12Eの入力チャネルICH1−ICH150で受けた入力データの送信先である出力端の入出力装置、および、その出力端の入出力装置の出力チャネルOCH1−OCH150が予め定義された入出力関係データベース60を記憶する(図3)。
【0025】
図3は、入出力関係データベース60の一例を示す。入出力関係データベース60は、システム設計者により予め定義される。すなわち、入出力関係データベース60は、入力データを受ける送信元である入力端の入出力装置を示す情報、その入力データを受ける入力チャネルICHを示す情報、その入力データの送信先である出力端の入出力装置を示す情報、出力端の入出力装置が外部出力装置に出力する出力チャネルOCHを示す情報から構成される。入出力装置を示す情報は、例えば、入出力装置のアドレスである。この場合、入出力装置の項目に記載されている10A、12B、12C、12D、12Eは、入出力装置10A、12B、12C、12D、12Eのアドレスをそれぞれ示すものとする。例えば、入出力関係データベース60の2行目の情報は、入出力装置10Aの入力チャネルICH1が被監視装置100Aから入力データを受ける。入出力装置10Aは、その入力データを入出力装置12Bに送信して、出力チャネルOCH2から外部出力装置110Bに出力することを意味する。
【0026】
CPU50は、入出力装置の各部を統括的に制御するプロセッサである。例えば、CPU50は、記憶部40に記憶される制御プログラムに基づいて、各入出力装置10A、12B−12Eとの間でデータの送受信などの制御を行う。本実施形態のCPU50は、入出力関係データベース60を、入力データを受ける入力端の入出力装置10A、12B−12E毎に並び替えた入力定義テーブル70を生成し入力バッファ部22に記憶する(図4)。同時に、CPU50は、入出力関係データベース60を、送信先である出力端の入出力装置10A、12B−12E毎に並び替えた出力定義テーブル80を生成し出力バッファ部30に記憶する(図5)。入力定義テーブル70または出力定義テーブル80に基づいて、CPU50はデータの送受信などを制御する。
【0027】
本実施形態のデータ集配信システムSYSにおける、被監視装置100A−100Eから出力されるデータの流れは、例えば、入出力装置10Aは、被監視装置100Aから受けた入力データ(例えば、発電量)を集計して、入力バッファ部22の入力データファイルに書き込む。入出力装置10Aは、その入力データファイルの入力データを、入力定義テーブル70に基づいて、入出力装置10A、12B−12Eに出力データとして送信する。入出力装置10A、12B−12Eは、出力データを受信し出力バッファ部30の出力データファイルに書き込み、外部出力装置110A−110Eに出力する。逆に、入出力装置10Aは、出力定義テーブル80に基づいて、入出力装置10A、12B−12Eにおいて集計された入力データを、出力データとして受信することができる。入出力装置10Aは、受信した出力データを出力バッファ部30の出力データファイルに書き込み、外部出力装置110Aに出力する。
【0028】
次に、本実施形態のデータ集配信システムSYSにおける処理について、(1)入力定義テーブル70に基づいて行う場合、(2)出力定義テーブル80に基づいて行う場合、(3)入出力関係データベース60を更新する場合それぞれについて説明する。
【0029】
なお、本実施形態では、図7に示すような入出力装置10A、12B−12E間のデータの送受信は、従来技術のパケット方式の代わりに、公知のファイル共有の手法を用いて行うことを前提とする。
【0030】
具体的には、例えば、CPU50が、上記送受信動作を行うにあたり、図8に示すような構成の共有ディレクトリを予め生成する。CPU50は、MOUNTコマンドなどを用いて、生成した共有ディレクトリのそれぞれに、入出力装置12B−12Eの入力バッファ部22および出力バッファ部30をマウントする。なお、共有ディレクトリINbufA−Eは、入出力装置10A、12B−12Eの入力バッファ部22のそれぞれのマウントポイントを示す。共有ディレクトリOUTbufA−Eは、入出力装置10A、12B−12Eの出力バッファ部30のマウントポイントを示す。これにより、CPU50は、入力定義テーブル70に基づいて、自装置の入力バッファ部22に記憶された入力データファイルの入力データを入出力装置10A、12B−12Eの出力バッファ部30の出力データファイルに書き込むことで、入力データを送信する。或いは、CPU50は、出力定義テーブル80に基づいて、入出力装置10A、12B−12Eの入力バッファ部22の入力データファイルの入力データを読み込み、自装置の出力バッファ部30の出力データファイルに書き込むことで、出力データを受信する。
(1)入力定義テーブル70に基づいてデータの送受信を行う場合について
図6の流れ図および図7のデータ集配信システムSYSによるデータの送受信の図を参照しつつ、入力定義テーブル70に基づいた、本実施形態のデータ集配信システムSYSの送受信処理について説明する。なお、図7は、入出力装置10Aが入出力装置10A、12B−12Eとデータを送受信する場合を示すが、他の入出力装置12B−12Eについても同様の処理が行われる。また、CPU50は、予め入力定義テーブル70を記憶部40から読み込むものとする。
【0031】
ステップS10:入力バッファ部22は、被監視装置100Aから出力される入力データを、入力チャネル部20の入力チャネルICH1−ICH150で受信する。CPU50は、入力データを入力バッファ部22である共有ディレクトリINbufAの入力データファイル25を開く。CPU50は、入力チャネルICHに応じて、入力データを入力データファイル25の所定の箇所に書き込む。CPU50は、入力データファイル25を閉じる。
【0032】
ステップS11:CPU50は、入力データを出力端の入出力装置10A、12B−12Eに送信するために、入力データファイル25を開く。
【0033】
ステップS12:CPU50は、マウントした出力端の入出力装置10A、12B−12Eの出力バッファ部30である共有ディレクトリOUTbufA−Eのいずれかの出力データファイル35を開く。
【0034】
ステップS13:CPU50は、図7に示すように、入力定義テーブル70に基づいて、入力データファイル25の入力データを、ステップS12において開いた出力端の入出力装置の出力データファイル35の所定の箇所に順次書き込む。
【0035】
例えば、CPU50は、ステップS12において、出力端として入出力装置12Bの出力データファイル35を開いた場合、入力定義テーブル70に基づいて、入力チャネル部20の入力チャネルICH1から入力された入力データを、入出力装置12Bの出力データファイル35のDATA2と示された箇所に書き込む。
【0036】
ステップS14:CPU50は、ステップS12において開いた出力端の入出力装置の出力データファイル35を閉じる。
【0037】
ステップS15:CPU50は、次の入出力装置に入力データを送信するか否かを判定する。CPU50は、全ての出力端の入出力装置に入力データを送信したと判定した場合、ステップS16(NO側)へ移行する。一方、CPU50は、入力データを送信していない出力端の入出力装置があると判定した場合、ステップS11(YES側)へ移行する。CPU50は、その入出力装置に入力データを送信するために、ステップS11〜ステップS14の処理を行う。
【0038】
ステップS16:CPU50は、入力データファイル25を閉じる。
【0039】
ステップS17:出力バッファ部30は、更新された出力データファイル35の出力データを、出力チャネル部32の出力チャネルOCH1−OCH150から外部出力装置110Aに出力する。CPU50は処理を終了する。
(2)出力定義テーブル80に基づいてデータの送受信を行う場合について
図9の流れ図および図10のデータ集配信システムSYSによるデータの送受信の図を参照しつつ、出力定義テーブル80に基づいた、本実施形態のデータ集配信システムSYSの送受信処理について説明する。なお、図10は、入出力装置10Aが入出力装置10A、12B−12Eとデータを送受信する場合を示すが、他の入出力装置12B−12Eについても同様の処理が行われる。また、CPU50は、予め出力定義テーブル80を記憶部40から読み込むものとする。
【0040】
ステップS20:入力バッファ部22は、被監視装置100Aから出力される入力データを、入力チャネル部20の入力チャネルICH1−ICH150で受信する。CPU50は、入力データを入力バッファ部22である共有ディレクトリINbufAの入力データファイル25を開く。CPU50は、入力チャネルICHに応じて、入力データを入力データファイル25の所定の箇所に書き込む。CPU50は、入力データファイル25を閉じる。
【0041】
ステップS21:CPU50は、入力端の入出力装置10A、12B−12Eから入力データを受信するために、出力バッファ部30である共有ディレクトリOUTbufAの出力データファイル35を開く。
【0042】
ステップS22:CPU50は、マウントした入力端の入出力装置10A、12B−12Eの入力バッファ部22である共有ディレクトリINbufA−Eのいずれかの入力データファイル25を開く。
【0043】
ステップS23:CPU50は、図10に示すように、ステップS22において開いた入力端の入出力装置の入力データファイル25の入力データを、出力定義テーブル80に基づいて、出力データファイル35の所定の箇所に順次書き込む。
【0044】
例えば、CPU50は、ステップS22において、入力端として入出力装置12Bの入力データファイル25を開いた場合、出力定義テーブル80に基づいて、入出力装置12Bの入力チャネル部20の入力チャネルICH2から入力された入力データを読み込み、出力データファイル35のDATA4と示された箇所に書き込む。
【0045】
ステップS24:CPU50は、ステップS22において開いた入力端の入出力装置の入力データファイル25を閉じる。
【0046】
ステップS25:CPU50は、次の入出力装置から入力データを受信するか否かを判定する。CPU50は、全ての入力端の入出力装置10A、12B−12Eから入力データを受信したと判定した場合、ステップS26(NO側)へ移行する。一方、CPU50は、入力データを受信していない入力端の入出力装置があると判定した場合、ステップS21(YES側)へ移行する。CPU50は、その入出力装置から入力データを受信するために、ステップS21〜ステップS24の処理を行う。
【0047】
ステップS26:CPU50は、出力データファイル35を閉じる。
【0048】
ステップS27:出力バッファ部30は、更新された出力データファイル35の出力データを、出力チャネル部32の出力チャネルOCH1−OCH150から外部出力装置110Aに出力する。CPU50は処理を終了する。
(3)入出力関係データベース60を更新する場合について
図11の流れ図を参照しつつ、本実施形態のデータ集配信システムSYSにおける入出力関係データベース60の更新処理について説明する。なお、入出力装置10Aは、システム設計者などによる指示を受け付ける、キーボードなどの不図示の入力装置を有するものとする。入出力装置10Aは、上記指示に基づいて、図3に示す入出力関係データベース60を更新する。また、入出力装置12B−12Eについても同様の構成を有し動作する。
【0049】
ステップS30:CPU50は、システム設計者などによる入力装置(不図示)の操作に基づいて、入出力関係データベース60の更新指示を受け付ける。CPU50は、例えば、図12に示すように入出力関係データベース60’を更新する。
【0050】
ここで、入出力関係データベース60’の網掛け部分が更新された箇所を示す。この更新の一例は、入出力装置10Aの入力チャネルICH112に接続されていた機器が撤去され、入出力装置12Eにより監視される発電量などを計測する機器が新たに増設された場合を示す。すなわち、入出力装置10Aの入力チャネルICH112に新たに接続される機器からの入力データの出力端が、入出力装置12Bの出力チャネルOCH142から入出力装置12Eの出力チャネルOCH150に変更される。
【0051】
ステップS31:CPU50は、入出力装置12B−12Eに、入出力関係データベース60’に更新されたことを知らせる更新通知を送信する。
【0052】
ステップS32:入出力装置12B−12EのCPU50は、入出力装置10Aから更新通知を受信すると更新した入出力関係データベース60’のダウンロードを要求する。入出力装置10AのCPU50は、そのダウンロード要求に応答して、入出力関係データベース60’を入出力装置12B−12Eのそれぞれにダウンロードさせる。入出力装置12B−12Eは、受信した入出力関係データベース60’にそれぞれ更新する。
【0053】
ステップS33:CPU50は、入出力関係データベース60’に基づいて、新しい入力定義テーブルおよび出力定義テーブルを生成し、入力バッファ部22および出力バッファ部30に記憶する。
【0054】
このように、本実施形態では、入出力装置10A、12B−12Eが、共通の入出力関係データベース60から生成された入力定義テーブル70および出力定義テーブル80を用いるとともに、他の入出力装置の入力バッファ部22および出力バッファ部30をマウントすることにより、パケット組立テーブルおよびパケット分解デーブルを用いることなく、データの入出力関係の整合性を保ちデータの送受信が容易にできる。
【0055】
また、入力定義テーブル70に基づいて、入出力装置10A、12B−12Eが、他の入出力装置に入力データを送信することにより、被監視装置のリアルタイムの監視が可能となる。一方、出力定義テーブル80に基づいて、入出力装置10A、12B−12Eが、他の入出力装置から入力データを受信することにより、外部出力装置110A−110Eによる出力表示などの定期的な更新が可能となる。ただし、入出力装置10A、12B−12Eが入力定義テーブル70または出力定義テーブル80のいずれに基づいてデータの送受信を行うかは、被監視装置100A−100Eや外部出力装置110A−110Eの特性やリアルタイム性を考慮し決定することが好ましい。
【0056】
また、機器の増設や撤去により一の入出力装置において入出力関係データベース60が更新された場合、他の入出力装置は、更新された入出力関係データベース60’を一の入出力装置から取得することから、常にデータを正しく送受信できる。
《他の実施形態の説明》
図13は、本発明の他の実施形態のデータ集配信システムSYS2の構成を示すブロック図である。一の実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図中の破線の矢印は、被監視装置100A−100Cから出力されるデータの流れの一例を示す。
【0057】
なお、本実施形態のデータ集配信システムSYS2が一の実施形態のデータ集配信システムSYSと異なる点は、次の通りである。
(A)入出力装置10Aが親装置、入出力装置12B−12Cが子装置として動作する。これにより、全てのデータは、入出力装置10Aにより送受信処理される。なお、入出力装置10Aで全てのデータ送受信処理を行わず、入出力装置12B−12Cが一部を分担してもデータ集配信は可能である。
(B)入出力装置10Aは、入力チャネルICH1−ICH100により接点情報などのデジタル情報を受け、入力チャネルICH101−ICH150により電流値あるいは電圧値などのアナログ情報を受ける。また、入出力装置10Aは、出力チャネルOCH1−OCH150から接点情報などのデジタル情報を出力し、出力チャネルOCH151−OCH300から電流値あるいは電圧値などのアナログ情報を出力する。
(C)入出力装置12Bは、入力チャネルICH1−ICH100により接点情報などのデジタル情報を受け、入力チャネルICH101−ICH200により電流値あるいは電圧値などのアナログ情報を受ける。また、入出力装置12Bは、出力チャネルOCH1−OCH50から接点情報などのデジタル情報を出力し、出力チャネルOCH51−OCH100から電流値あるいは電圧値などのアナログ情報を出力する。
(D)入出力装置12Cは、入力チャネルICH1−ICH50により接点情報などのデジタル情報を受け、入力チャネルICH51−ICH100により電流値あるいは電圧値などのアナログ情報を受ける。また、入出力装置12Cは、出力チャネルOCH1−OCH50から接点情報などのデジタル情報を出力し、出力チャネルOCH51−OCH100から電流値あるいは電圧値などのアナログ情報を出力する。
【0058】
図14は、本実施形態のデータ集配信システムSYS2における入出力関係データベース65の構成の一例を示す。入力側の網掛け部分は、本実施形態の入力定義テーブルに対応し、出力端の網掛け部分は、出力定義テーブルに対応する。
【0059】
図15および図16は、データ集配信システムSYS2によるデータの送受信の一例を示す。
【0060】
なお、本実施形態のデータ集配信システムSYS2によるデータの送受信処理は、入出力装置10A、12B−12Cそれぞれの構成が一の実施形態と同じであることから、一の実施形態と同様であり詳細な説明は省略する。
【0061】
このように、本実施形態では、入出力装置10A、12B−12Cが、共通の入出力関係データベース65から生成された入力定義テーブルおよび出力定義テーブルを用いるとともに、他の入出力装置の入力バッファ部22および出力バッファ部30をマウントすることにより、パケット組立テーブルおよびパケット分解デーブルを用いることなく、データの入出力関係の整合性を保ちデータの送受信が容易にできる。
【0062】
また、入力定義テーブルに基づいて、入出力装置10Aが、入出力装置12B−12Cに入力データを送信することにより、被監視装置のリアルタイムの監視が可能となる。一方、出力定義テーブルに基づいて、入出力装置10Aが、入出力装置12B−12Cから入力データを受信することにより、外部出力装置110Aの出力表示などの定期的な更新が可能となる。入出力装置10Aが入力定義テーブルまたは出力定義テーブルのいずれに基づいてデータの送受信を行うかは、被監視装置100A−100Cや外部出力装置110A−110Cの特性やリアルタイム性を考慮し決定することが好ましい。
《実施形態の補足事項》
(1)上記実施形態では、CPU50が、入出力関係データベース60に基づいて、入力定義テーブル70および出力定義テーブル80を生成して、入力バッファ部22および出力バッファ部30それぞれに記憶したが、本発明はこれに限定されず、入出力関係データベース60そのものを、入力定義テーブル70および出力定義テーブル80として用いてもよい。
【0063】
(2)上記実施形態では、入力データファイル25の入力データの配列が入力チャネル部20の入力チャネルICHの配列と、および、出力データファイル35の出力データの配列が出力チャネル部32の出力チャネルOCHの配列とそれぞれ一致したが、本発明はこれに限定されない。入力データファイル25および出力データファイル35のデータ配列は、入力チャネル部20の入力チャネルICHの配列や出力チャネル部32の出力チャネルOCHの配列と異なっていてもよい。
【0064】
(3)上記実施形態では、入出力関係データベース60を更新した場合、入出力装置10Aは、ステップS32の各入出力装置からのダウンロード要求に応答して、各入出力装置に入出力関係データベース60’をダウンロードさせたが、本発明はこれに限定されない。例えば、入出力装置10Aは、入出力装置12B−12Eの記憶部40を所定のマウントポイントにマウントして、入出力関係データベース60’を入出力装置12B−12Eの記憶部40に直接書き込むようにしてもよい。
【0065】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図する。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物によることも可能である。
【符号の説明】
【0066】
10A、12A−12E 入出力装置、20 入力チャネル部、22 入力バッファ部、30 出力バッファ部、32 出力チャネル部、40 記憶部、50 CPU、100A−100E 被監視装置、110A−110E 外部出力装置、SYS、SYS2 データ集配信システム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの送受信を行う複数の入出力装置を有するデータ集配信システムであって、
前記入出力装置は、
機器からのデータを受ける入力チャネルを少なくとも1つ以上有する入力チャネル部と、
前記入力チャネルで受けた前記データを保持する入力バッファ部と、
他の前記入出力装置から受信したデータを保持する出力バッファ部と、
前記受信したデータを外部に出力する出力チャネルを少なくとも1つ以上有する出力チャネル部と、
前記入力チャネルで受けたデータの送信先の入出力装置および前記送信先の入出力装置の前記出力チャネルが予め定義された入出力関係データベースを記憶する記憶部と、
前記送信先の入出力装置の前記出力バッファ部を共有し、前記入出力関係データベースに基づいて、前記入力チャネルで受けたデータを共有した前記出力バッファ部に書き込み送受信する制御部と、を備える
ことを特徴とするデータ集配信システム。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ集配信システムにおいて、
前記制御部は、自身を前記送信先とした場合の送信元の入出力装置の前記入力バッファ部を共有し、前記入出力関係データベースに基づいて、前記送信元の入出力装置の前記入力チャネルで受けたデータを共有した前記入力バッファ部から読み込み送受信する
ことを特徴とするデータ集配信システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のデータ集配信システムにおいて、
前記制御部は、前記入出力関係データベースを前記送信元の入出力装置の配置に応じて並び替えた入力定義テーブルを生成して前記入力バッファ部に記憶し、前記入力定義テーブルに基づいて、前記入力チャネルで受けたデータを前記共有した出力バッファ部に書き込む
ことを特徴とするデータ集配信システム。
【請求項4】
請求項2に記載のデータ集配信システムにおいて、
前記制御部は、前記入出力関係データベースを前記送信先の入出力装置の配置に基づいて並び替えた出力定義テーブルを生成して前記出力バッファ部に記憶し、前記出力定義テーブルに基づいて、前記送信元の入出力装置の前記入力チャネルで受けたデータを前記共有した入力バッファ部から読み込む
ことを特徴とするデータ集配信システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のデータ集配信システムにおいて、
前記制御部は、前記入出力関係データベースが更新された場合、前記他の入出力装置に更新通知を送信し、前記更新通知に対する応答信号を受信した後に更新された前記入出力関係データベースを前記他の入出力装置に取得させる
ことを特徴とするデータ集配信システム。
【請求項6】
データを送受信するデータ集配信システムの入出力装置であって、
機器からのデータを受ける入力チャネルを少なくとも1つ以上有する入力チャネル部と、
前記入力チャネルで受けた前記データを保持する入力バッファ部と、
他の前記入出力装置から受信したデータを保持する出力バッファ部と、
前記受信したデータを外部に出力する出力チャネルを少なくとも1つ以上有する出力チャネル部と、
前記入力チャネルで受けたデータの送信先の入出力装置および前記送信先の入出力装置の前記出力チャネルが予め定義された入出力関係データベースを記憶する記憶部と、
前記送信先の入出力装置の前記出力バッファ部を共有し、前記入出力関係データベースに基づいて、前記入力チャネルで受けたデータを共有した前記出力バッファ部に書き込み送受信する制御部と、
を備えることを特徴とする入出力装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−146910(P2011−146910A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5970(P2010−5970)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】