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トイレの洗浄及び防汚機能を有するトイレットペーパー製品
説明

トイレの洗浄及び防汚機能を有するトイレットペーパー製品

【課題】トイレの洗浄機能及び防汚効果を奏するトイレットペーパー製品を提供する。
【解決手段】
複数のプライからなり水溶性接着剤を介して各プライを接着したトイレットペーパーを巻き取り筒状としたトイレットペーパー製品であり、その水溶性接着剤中にクエン酸を担持させ、かつ、そのクエン酸の担持量をトイレットペーパー単位面積当り0.3〜2.6g/m2とすることにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットペーパー製品、特にトイレの洗浄及び防汚機能を有するトイレットペーパー製品に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレの便器は、排泄物によって常に汚れる処であるとともに、上記排泄物に起因する汚れの他、トラップ内の水に起因する水垢、さらに埃塵など多岐にわたるため、トイレで用いられる洗浄剤については複数種の専用の製品をストックして常備することが行なわれており、かかる洗浄剤の常備が家庭或いは企業における収納スペースを圧迫し、その対処に苦慮することは少なくない。
【0003】
他方で、また、トイレは恒常的に汚れるところであり、また上記のとおり汚れの性質も多岐にわたることからその清掃作業の負荷は高い。さらに、その清掃方法も個々の環境、家庭において相違し、定型的といえるものもない。このためトイレの清掃を行なっていても、十分な清掃時間をとることができない、汚れが完全に除去できていない等の理由により経時的にトイレが汚れていくことがある。
【0004】
ここで、トイレにおける経時的な汚れの問題は、排尿に起因する「尿石」と呼ばれる難溶性のカルシウム化合物の汚物が便器に付着し堆積することが原因の一要因であり、その尿石付着のメカニズムが一般に理解されていないことから、洗浄剤を用いた清拭を行なっているにもかかわらず尿石が経時的に付着し、生活者が対処に苦慮することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−202900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記トイレ清掃にかかる問題を解決することを課題とし、具体的には、排泄行為の際に必須ともいえるトイレ内に恒常的に設置されるトイレットペーパーにトイレの洗浄機能及び防汚機能、特に尿石の洗浄、防汚機能を付与し、日常生活における排泄行為の際に、トイレットペーパーをトイレ内に流す作業を行なうだけで、トイレの洗浄及び防汚が行なわれるようにし、洗浄剤の常備の問題、トイレ掃除の頻度・手間の低減、尿石付着の問題を図ることとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明とその効果は次記のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
水解性のトイレットペーパー製品であって、前記トイレットペーパーを複数のプライからなり水溶性接着剤を介して各プライを接着したものとして、その水溶性接着剤中にクエン酸を担持させ、かつ、そのクエン酸の担持量をトイレットペーパー単位面積当り0.3〜2.6g/m2とし、たことを特徴とするトイレの洗浄及び防汚機能を有するトイレットペーパー製品。
【0008】
〔請求項2記載の発明〕
前記水溶性接着剤が、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、澱粉の何れか又はそれらの混合物を主成分とするものである請求項1記載のトイレの洗浄及び防汚機能を有するトイレットペーパー製品。
【0009】
〔請求項3記載の発明〕
前記水溶性接着剤中に含まれるクエン酸量が固形分換算で10.0〜50.0重量%である請求項1又は2記載のトイレの洗浄及び防汚機能を有するトイレットペーパー製品。
【0010】
〔請求項4記載の発明〕
前記水溶性接着剤中に、水溶性接着剤中の固形分に対して、固形分換算で5%〜400%の界面活性剤を含有させた請求項1〜3の何れか1項に記載のトイレの洗浄及び防汚機能を有するトイレットペーパー製品。
【0011】
〔請求項5記載の発明〕
前記水溶性接着剤中に、クエン酸量の1〜30重量%の乳酸を含有させた請求項1〜4の何れか1項に記載のトイレの洗浄及び防汚機能を有するトイレットペーパー製品。
【0012】
〔請求項6記載の発明〕
前記水溶性接着剤中に、クエン酸量の1〜60重量%のアスコルビン酸を含有させた請求項1〜5の何れか1項に記載のトイレの洗浄及び防汚機能を有するトイレットペーパー製品。
【0013】
(作用効果)
本発明は、水解性のトイレットペーパーを構成する水溶性接着剤中にクエン酸を担持させたことにより、排泄後にトイレットペーパーを使用し、その使用後のトイレットペーパーをトイレ内に投入することで、トイレ内のトラップのドレン水中にトイレットペーパー中のクエン酸が溶出する。そして、その際に、トイレのトラップ内に溜まった水を酸性にする。トイレの汚れは、尿石を含め多くが酸性溶液により洗浄することができ、上記クエン酸の溶出によりトイレのトラップ内の溜まり水を酸性にすることにより、トイレの汚れ、特に尿石の洗浄或いは分解の促進が図られる。
【0014】
ここで、トイレにおける尿石の付着について説明する。排尿直後の尿は健康体であれば弱酸性であるものの、体調等によって弱アルカリ性の尿となることがあり、また尿中に含まれるウレアーゼ酵素による尿の分解によってアルカリ成分が生成されることもあり、それらの尿由来のアルカリ成分が尿中或いは外部のカルシウム、リン酸、炭酸ガス等と反応して難溶性のカルシウム化合物を生成し便器等に付着することによる。
【0015】
本発明は、ほぼ排泄行為毎に使用されるトイレットペーパーであり、排泄行為後にただちにトイレ内に投入されるものであることから、尿由来のアルカリ成分が難溶性のカルシウム化合物、すなわち尿石として付着する前にそのアルカリ成分の中和を図ることができ、もって尿石付着防止等のトイレの防汚機能をも効果的に発揮する。
【0016】
また、クエン酸は殺菌機能をも有する。よって、本発明では尿石に付着した腐敗有機物中に発生したバクテリアを殺菌することができ、もってバクテリアの増殖に起因する悪臭の発生をも防止できる。すなわち、副次的に消臭機能の作用効果をも奏する。
【0017】
他方、本発明では、特にクエン酸を複数プライを接着するための水溶性接着剤中に含有せしめた。クエン酸は常温では固体であるために同様の固体のトイレットペーパー原紙に付着させることが難しい。また、トイレットペーパーにおいては、保湿液などを表面に塗布することが行なわれることがあるが、このような保湿液中に含有せしめた場合、クエン酸の吸湿性によって紙力が低下され、使用の際に意図しない断紙が生じやすくなる。また、紙力の低下によって十分な生産速度で生産することが困難となる。また、トイレットペーパーは、トイレットペーパーホルダーに取り付けて使用されるが、トイレットペーパーホルダーは、一般にトイレットペーパーの過回転を防止する目的或いはトイレットペーパーを切断しやすくすべく、先端に裁断刃を有する紙押え部を有しており、ロールからトイレットペーパーを引き出す際に、上記紙押え部との摺れが生ずるため、トイレットペーパー表面にクエン酸を担持させても離脱がしやすい。また、表面へのクエン酸の担持は、トイレットペーパー使用時に粉末化したクエン酸が肌に付着するおそれも高まる。本発明では、各プライ間に位置するバインダー成分でもある接着剤中に含有せしめたため、離脱のおそれや強度低下のおそれもなく、十分な洗浄効果を発揮させることができる。
【0018】
なお、従来、トイレットペーパーの製造時における薬液のpH調整や安定性を向上させるべく、保湿液や接着剤中にクエン酸等の酸を極微量添加させることはあったが、トイレットペーパー自体に洗浄効果に着目し、これを発現させるような態様で含有せしめたものはない。
【0019】
また、本発明においては、水溶性接着剤は、溶解性に優れるポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、澱粉の何れか或いはこれらの混合物を主成分とするのが望ましい。これらの水溶性接着剤は、多量の水との接触により迅速に溶解し、もってクエン酸の溶出速度が速くなる点で優れる。
【0020】
他方、一般的にはトイレの便器掃除ではトイレ用と称される比較的洗浄力が強い専用の洗浄剤が用いられ、かかるトイレ洗浄剤は注意書きで促されることもあるほどの劇薬であり、刺激臭や人体にとって毒である等の問題により、肌に直接触れるトイレットペーパーに担持させることは不可能であるが、本発明では、食品添加物にも使用され、また無臭であるクエン酸を洗浄・防汚成分としているため、トイレットペーパーが肌に直接的に触れる使用態様をなんら阻害することがなく、使用者において安心感のある製品となる。
【0021】
また、本発明では、トイレットペーパーにおけるクエン酸の担持量を、トイレットペーパー単位面積当り0.3〜2.6g/m2とすることで所望の効果を発揮するが、好ましくは単位面積当り1.0〜2.1g/m2であり、より好ましくは単位面積当り1.3〜2.0g/m2である。排尿後のトラップ内の溜まり水のpHが概ね6.0〜9.0程度であり、直後に酸性でもすぐにpHがアルカリ性に変化すること等の種々の試験・調査から得られたものである。すなわち、上記本発明の担持量とすることで、十分に使用の際にトイレ洗浄機能、防汚機能の作用効果が得られる。
【0022】
これは、出願人が、クエン酸の洗浄効果が、トイレ内のトラップ内の水量が2.0Lに対して0.1g以上あれば、トイレの汚れの洗浄効果が得られること、また同時にプライ糊に対しクエン酸を多量に含ませるとプライ糊の接着性が低下し、これを補うためにプライ糊付着量を増やすと水解性が悪化することを知見したためである。これを説明すると、トイレ内のトラップ内の水量は2.0L前後であり、トイレットペーパーの一般的な使用量は40〜240cmであるが、例えば2プライでは、ほとんどが70cm程度である。クエン酸量が0.3g/m2未満であると、上記一般的なトラップ内水量及びトイレットペーパー使用量において所望の効果を発揮することができず、また、クエン酸量が2.6g/m2超とすると肌への刺激となってしまう。
【0023】
他方、本発明においては、水溶性接着剤中に、水溶性接着剤中の固形分に対して、固形分換算で5%〜400%の界面活性剤を含有させると、水溶性接着剤の水溶性を向上させることができる。また、特に界面活性剤を酸性のものとすると、クエン酸による洗浄効果を向上する。
【0024】
さらに、本発明においては、水溶性接着剤中に、乳酸、アスコルビン酸を含有させると、尿中に含まれる蛋白質や脂質の分解性が向上し、より高いトイレの洗浄等の効果が得られる。
【発明の効果】
【0025】
以上のとおり、本発明によれば、排泄毎にトイレの洗浄、トイレの防汚効果が得られることから、トイレ専用の洗浄剤、特に、尿石専用の洗浄剤等を常備する必要性が乏しくなり、かかる洗浄剤常備にかかる収納スペースの苦慮からも開放される。また、意識せずとも頻繁にトイレ洗浄、トイレ防汚を行えるため、トイレを清潔に維持することができるとともに、清掃頻度をも減らすことができる。よって、副次的にトイレ洗浄剤の購入費を抑制する効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るトイレットペーパー製品の斜視図である。
【図2】本発明に係るトイレットペーパー製品のクエン酸の担持態様を説明するための平面図である。
【図3】本発明に係るトイレットペーパー製品のクエン酸の担持態様を説明するための断面図である。
【図4】本発明に係るトイレットペーパー製品のクエン酸の他の担持態様を説明するための平面図である。
【図5】本発明に係るトイレットペーパー製品のクエン酸の他の担持態様を説明するための断面図である。
【図6】本発明に係るトイレットペーパー製品のクエン酸の別の担持態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。
本発明に係るトイレットペーパー製品X1は、帯状の水解性のトイレットペーパーを巻き取り筒状にしたものであり、図1に示すとおり、紙管11にトイレットペーパーS3が巻かれたものが例示できる。その大きさ等は、トイレットペーパーの幅L1が100〜115mmであり、直径L2については100〜120mm、巻き長さ(トイレットペーパーの全長)が18〜70m、紙管径が35〜50mmである。なお、本発明に係るトイレットペーパー製品は、紙管を有しない所謂コアレスであってもよい。
【0028】
他方、本発明に係るトイレットペーパーS3は、特徴的に2プライ以上からなる層構造を有し(図では2プライのものを示す)、各プライを構成するトイレットペーパー原紙S1,S2同士が水溶性接着剤25を介して積層一体化され、その水溶性接着剤25中にクエン酸が担持されている。
【0029】
上記トイレットペーパー原紙S1,S2は、トイレットペーパーS3に用いられる原料パルプを選択して適宜使用することができる。好ましくは、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)とLBKP(広葉樹クラフトパルプ)とを配合したものである。また、古紙パルプが配合されていてもよいが、得られるティシュペーパーの風合いの点でも望ましいことから、バージンパルプのNBKPとLBKPのみから構成されているのがよい。その場合の配合割合(JIS P 8120)としては、NBKP:LBKP=20:80〜80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40が望ましい。
【0030】
ここで、トイレットペーパーは、一般的にJIS P 4501で規定される、ほぐれやすさの試験方法における水解性の結果が100秒以下であることが指標とされるが、本発明のトイレットペーパーS3では、使用後のトイレットペーパーS3をトイレ内に廃棄した際に、水溶性接着剤25中のクエン酸が迅速に溶出される必要性があるため、上記水解性は40秒以下、特には20秒以下とするのが望ましい。かかる水解性と達成するために、本発明では、トイレットペーパーS3の各プライを構成するトイレットペーパー原紙S1,S2の坪量を11〜25g/m2とし、積層数は2〜4層程度とするのが望ましい。また、水解性を良好なものとすべく、さらにトイレットペーパー原紙S1,S2の原料であるパルプスラリーの叩解度を低叩解度とする、トイレットペーパー原紙S1,S2及び水溶性接着剤25中に撥水性を高めるサイズ剤や湿潤時の紙力を増加させる湿潤紙力剤を用いないか使用量を少量とする、等の措置をとるのが望ましい。
【0031】
他方、本発明に用いる水溶性接着剤25としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、PVA(ポリビニルアルコール)、水溶性インキ等を単体或いは混合したものを接着主成分とするものを用いることができ、特に水溶性に優れるカルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉を接着主成分とするものが好適である。
【0032】
なお、水溶性接着剤25中にクエン酸を担持させるには、水溶性接着剤25中にクエン酸を予め混合する態様の他、トイレットペーパー原紙S1(S2)に水溶性接着剤25を付与した後、その水溶性接着剤25上に接着力が過度に低下しない程度に粉末状のクエン酸を散布させて固着させるようにしてもよい。
【0033】
また、水溶性接着剤25については、水解性を確保すべく、0.1g/m2〜5.0g/m2程度の付与量とするのが望ましい。この範囲であると水溶性接着剤自体の水溶性が十分に発揮されるとともに、クエン酸量を十分に担持させることができる。
【0034】
他方、本発明では、クエン酸の担持量を、トイレットペーパー単位面積当り0.3〜2.6g/m2とする。これは幅100〜120mmの一般的なトイレットペーパーにおける一般的な最低の使用量が40cmであり、これを基準とした場合、0.3g/m2であると担持量が0.1g未満となって十分な便器の洗浄効果、防汚効果を発揮するのが困難となり、反対に2.6g/m2では0.4gを超え、そのように担持させても洗浄効果、防汚効果の向上がほとんどなく、また、トイレットペーパーS3に、同量を担持させること自体、接着性を阻害したり、過剰の接着剤を必要としたりして適用が困難となることによる知見に基づく。
【0035】
また、接着剤中のクエン酸含有量は固形分換算で10.0〜50.0重量%が好ましい。10.0重量%未満だとクエン酸による効果が発揮できず、50.0重量%超であると効果が頭打ちであり、かつ、プライ糊の接着性を阻害する。より好ましいクエン酸含有量はプライ糊当たり12.5〜47.7重量%である。なお、トイレットペーパーは使用態様からして使用者が任意の位置で裁断して使用するものであるから水溶性接着剤は、トイレットペーパーの連続方向に沿う方向については、連続的に配されるようにする。本発明では、トイレットペーパーS3の任意のどの位置であっても上記クエン酸担持量となっているようにする。
【0036】
他方、本発明においては、クエン酸に加えて前記水溶性接着剤中に界面活性剤を含有させるのが望ましい。界面活性剤により水溶性接着剤の水溶性を向上させることができる。これは界面活性剤は、親水性が高く、水に溶けやすい効果を有するためである。また、前記界面活性剤を酸性のものとすると、クエン酸による洗浄効果をより向上する。これは、クエン酸のようなヒドロキシ酸と酸性の界面活性剤とが混合されている場合、それぞれ単体の持つ洗浄効果以上の効果を発揮するためである。
【0037】
なお、水溶性接着剤中に界面活性剤を含有せしめる場合には、水溶性接着剤の固形分に対して、添加する界面活性剤の量は固形分換算で5%〜400%、好ましくは30%〜350%である。
【0038】
他方、本発明においては、クエン酸に加えて前記水溶性接着剤中に乳酸、ビタミンC(アスコルビン酸)を含有せしめるのが望ましい。これらを含有させることでより高い洗浄効果を発揮させることができる。クエン酸は尿中のアルカリ成分を中和すると共に、カルシウムイオンをキレートする効果によって尿石の形成を抑えるが、その一方で尿中に含まれる蛋白質や脂質の分解能力が低い。乳酸やビタミンCはこれらを分解する能力が高く、クエン酸と混合することで、より高い洗浄効果が得られる。
【0039】
なお、水溶性接着剤中のクエン酸量に対する、乳酸量は1〜30重量%、好ましくは5〜15重量%である。同様にビタミンC(アスコルビン酸)量は1〜60重量%、好ましくは10〜45重量%である。
【0040】
ここで、各トイレットペーパー原紙S1,S2同士を接着するための水溶性接着剤25の付与態様については、ベタ付与としてもよいが、好ましくは、網目状、図2に示すように平面視で散点状となるように付与されているのがよい。このように散点状、網目状とすると水解性が良好となるとともに、クエン酸を含む水溶性接着剤部分と水との接触が広範囲となり、クエン酸が迅速に溶出する。なお、水溶性接着剤25のトイレットペーパー原紙S1(S2)への付与は、既知の各種塗工機、印刷機により塗布することができる。
【0041】
また、特に本発明においては、トイレットペーパーS3をエンボスを有するものとして、特に好適に以下の水溶性接着剤の塗布態様を例示する。すなわち、各トイレットペーパー原紙のうち、トイレットペーパーの最外層に位置するトイレットペーパー原紙或いはこれを含む複数のプライにエンボスを付与し、そのエンボスの凸部に水溶性接着剤を付与し、その凸部を介して、他の各プライと接着されている構成である。
【0042】
エンボスの付与により、トイレットペーパー原紙間に空隙ができ、水解性が促進されて水溶性接着剤からのクエン酸の溶出が迅速になる。ここで、上記エンボスは特に限定されないが、水溶性接着剤を凸部に好適に付与でき、接着剤の付与量をも好適な範囲にできるとともに、意匠性の向上効果が高いことから、所謂デザインエンボスと称される、エンボス密度で1〜15個/cm2、エンボス深さ0.3〜2.5mmで図柄を描くように付与されたデザインエンボスが例示できる。なお、デザインエンボスと合わせて、各プライを構成するトイレットペーパー原紙には、柔らかさ向上のために、紙面全体に、エンボス密度30〜100個/cm2、エンボス深さ0.2〜2.0mmの所謂マイクロエンボスをも付与するのが望ましく、このマイクロエンボスの凸部には接着糊を付与しない態様とするのが好適である。
【0043】
すなわち、本発明における特に好ましい構造態様は、2プライの積層構造であり、その一方のプライを構成するトイレットペーパー原紙にマイクロエンボスとデザインエンボスが付与されてものとし、他方のプライを構成するトイレットペーパー原紙をマイクロエンボスのみが付与されたものとし、それらの凸部を対面させるように積層して、デザインエンボスの凸部頭頂部に付与されたクエン酸を含有する水溶性接着剤により積層一体化された構造である。
【試験例】
【0044】
次いで、本発明に係るトイレットペーパーに担持させるクエン酸量の検討試験について述べる。まず、出願人は、人の尿のpHを調査すべく被験者10人の尿を検査したところ、概ねpH6〜8程度であった。次に、トイレのトラップ内に溜まる水量を調査したところ2L前後が多く、特に、溜まり水がこの程度である場合に、尿石等の汚れの付着が多く見られることを知見した。そこで、2Lの水に対して尿を排出し、上記トラップ内の水がpH8〜9のアルカリ性溶液となることを想定し、どの程度のクエン酸量であれば、上記アルカリの中和が行なえ、十分な洗浄効果、防汚効果が得られるか試験した。結果は下記表1のとおりである。
【0045】
【表1】

【0046】
試験の結果、概ね0.1g以上のクエン酸量で、ほぼ中和でき、0.15g以上であれば十分に中和が行えることが知見された。
【0047】
他方で、出願人は、別途に2プライのトイレットペーパー製品の一般的な使用量について調査したところ、最も少ない場合で40cm、最も多い場合で240cmであり、概ね70cm程度であった。よって、出願人は上記クエン酸の中和能力とトイレットペーパーの一般的な使用量からして、概ね70cm当たり0.1〜1gのクエン酸を担持させればよいことを知見した。
【実施例】
【0048】
次いで、本発明の実施例、比較例について、水解性、2LのpH8水溶液に対する中和能力、洗浄・防汚効果について試験し、合わせて生産性についても試験したので述べる。 各例にかかる物性・組成は、試験結果とともに下記表2に示す。
なお、実施例1〜実施例6は、本発明にかかるものであり、エンボスの凸部頭頂部に水溶性接着剤を付与してトイレットペーパー原紙を積層一体化し、その水溶性接着剤中にクエン酸を担持させたものである。
比較例1、7は、クエン酸保持量が少ないもの、比較例2、8は、クエン酸保持量が過多のものである。
比較例3は、エンボスの凸部頭頂部に水溶性接着剤を付与してトイレットペーパー原紙を積層一体化したものであるが、その水溶性接着剤中にクエン酸を含まないものである。
比較例4は、2プライの一般的な市販品であり、水溶性接着剤を用いず所謂プライエンボスによりトイレットペーパー原紙同士が積層一体化されたものである。
比較例5、比較例6は、水及びグリセリンを保湿主成分とする保湿液中にクエン酸を含有させて、2プライのトイレットペーパー原紙の積層内面に塗布して付与したものであり、積層一体化は実施例1と同様にプライエンボスにより行なったものである。また、特に比較例6については一過性湿潤紙力増強剤を含有せしめたトイレットペーパー原紙を用いたものである。
比較例9〜11は、接着剤中にクエン酸以外の成分(乳酸、ビタミンC等)のみを含有せしめたものである。
【0049】
試験方法は下記のとおりとした。
〔紙厚〕ダイヤルシックネスゲージ(ピーコック紙厚計)により測定した。
〔引張り強度〕JIS P 8113に基づいて測定した。
〔水解性試験〕JIS P 4501に基づいて測定した。
〔便器内の水のpH変化(2LのpH8水溶液に対する中和能力)〕水解性試験と同様の作業し、試験開始から5秒を経過した際、30秒を経過した際における水溶液のpHを測定した。なお、pH8への調整には、セスキ酸ソーダを用い、pH測定は、ポーターブルpHメーター(ラコムテスターpH計)を用いた。
〔便器上部の黒ずみ(洗浄・防汚性)〕各例における試料を実際に1週間使用することとし、1週間後の便器上部の黒ずみを目視にて評価した。なお、一週間におけるトイレの使用頻度はほぼ同等である。評価は、一般的な市販品である比較例2を「3」として基準とし、「1」非常に黒ずんだ、「2」やや黒ずんだ、「3」比較例2と変わらない、「4」あまり黒ずまなかった、「5」ほとんど黒ずまなかった、の5段階評価とすることとした。
〔使用中のプライ剥がれ〕使用中のプライ剥がれは、上記黒ずみ評価と同時に行い、1週間使用したトイレットペーパーについて、官能評価した。評価は、「1」非常に剥がれやすい、「2」やや剥がれやすい、「3」比較2と変わらない、「4」あまり剥がれない、「5」ほとんど剥がれない、の5段階評価することとした。
〔トイレの臭い(消臭性)〕トイレの臭いは、上記黒ずみ評価と同時に行い、1週間後のトイレの臭いについて、官能評価した。評価は、「1」非常に臭う、「2」やや臭う、「3」比較例2と変わらない、「4」あまり臭わない、「5」ほとんど臭わない、の5段階評価とすることとした。
なお、〔便器上部の黒ずみ(洗浄・防汚性)〕、〔使用中のプライ剥がれ〕、〔トイレの臭い(消臭性)〕に用いた各例に係るトイレットロールは、すべて同じ幅(114mm)、巻径(108.5mm)のものであり、試験において各例における1回の平均使用量は40〜240cmの範囲に収まり、すべて一般的な1回の使用量の範囲内であった。
【0050】
【表2】

【0051】
表2に示されるとおり、まず、本発明の実施例は、生産性に優れ、しかも水解性が20秒未満と極めて優れた水解性を有する。また、pH8水溶液の変化及び洗浄・防汚効果を見ても、その効果が十分に発揮されている。さらに消臭性の効果も発揮している。これに対して、クエン酸を含有しない或いはクエン酸量が少ない比較例1、比較例3、比較例4比較例7ではpHの変化、洗浄・防汚機能が発揮されていない。また、比較例5では、著しい紙力の低下が見られ製造時における断紙の発生も見られ、十分な生産速度とすることができない。他方、比較例6では、湿潤紙力増強剤を含有させた原紙を用いたものの紙力の向上は十分ではなく、本発明の実施例と比較して極めて低速な生産速度とすることしかできなかった。また、湿潤紙力増強剤の配合によって水解性は50秒近くに達し、水解性にも劣るものとなった。
【0052】
さらに、比較例5、6においてはクエン酸を含有しているが、実際には洗浄・防汚効果については、十分な効果が現れていない。これは、比較例5、6では、30秒後にはpH8→pH6.5にまで変化するものの5秒後ではpH7以上であり中性域にあり、水解性の悪化や薬液等に起因してクエン酸の溶出速度が遅くなっているものと推測される。通常、使用後のトイレットペーパーをトイレに投入してから流すまでの時間は、そう長くはないため、十分な洗浄・防汚効果が発揮されなかったと推測される。
【0053】
また、比較例2、比較例8のようにクエン酸過多の場合は、プライ剥離の問題が生じている。さらに、比較例9〜11を見てみると、pH変化が十分ではない、或いは洗浄効果等の評価において十分な効果が発揮されない等、乳酸、ビタミンC等単体では、本発明所望の効果が十分に発現しないことが判る。
【0054】
以上の試験結果からして本発明の構成をとることで、洗浄・防汚効果等の所望の効果が十分に発揮されるものとなることが示された。
【符号の説明】
【0055】
X2…ワインダー装置、X3…ログアキュームレーター、X4…ログカッター設備、10…トイレットロール、10R…ログ、11L…長尺紙管、11…紙管、12…紙管原紙、12A…紙管用原紙原反、13…糊付けロール、14…コアワインダー、15…シャフト、16…スリッター、S1,S2…トイレットペーパー原紙、S3…トイレットペーパー、51…重ね合わせ部、54…コンタクトエンボス付与装置、70…ミシン目線形成装置、75…巻き取り装置、76…ログカッター、(A)…紙管製造工程、(B)…ログ製造工程。(C)…裁断工程、30…糊、22…水解性原紙、25…水溶性接着剤、50…洗浄剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水解性のトイレットペーパー製品であって、前記トイレットペーパーを複数のプライからなり水溶性接着剤を介して各プライを接着したものとして、その水溶性接着剤中にクエン酸を担持させ、かつ、そのクエン酸の担持量をトイレットペーパー単位面積当り0.3〜2.6g/m2としたことを特徴とするトイレの洗浄及び防汚機能を有するトイレットペーパー製品。
【請求項2】
前記水溶性接着剤が、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、澱粉の何れか又はそれらの混合物を主成分とするものである請求項1記載のトイレの洗浄及び防汚機能を有するトイレットペーパー製品。
【請求項3】
前記水溶性接着剤中に含まれるクエン酸量が固形分換算で10.0〜50.0重量%である請求項1又は2記載のトイレの洗浄及び防汚機能を有するトイレットペーパー製品。
【請求項4】
前記水溶性接着剤中に、水溶性接着剤中の固形分に対して、固形分換算で5%〜400%の界面活性剤を含有させた請求項1〜3の何れか1項に記載のトイレの洗浄及び防汚機能を有するトイレットペーパー製品。
【請求項5】
前記水溶性接着剤中に、クエン酸量の1〜30重量%の乳酸を含有させた請求項1〜4の何れか1項に記載のトイレの洗浄及び防汚機能を有するトイレットペーパー製品。
【請求項6】
前記水溶性接着剤中に、クエン酸量の1〜60重量%のアスコルビン酸を含有させた請求項1〜5の何れか1項に記載のトイレの洗浄及び防汚機能を有するトイレットペーパー製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−46679(P2013−46679A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186287(P2011−186287)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】