説明

トイレユニット

【課題】本発明は、省スペースを図りつつ着座方向と着座高さの変更を可能とした便器を備え、便器が備えられた空間の多目的な利用を可能としたトイレユニットを提供する。
【解決手段】壁面から突出するように設けられたカウンタと、前記カウンタの前方に配設された便器と、を備え、前記便器は、平面視が略円形を呈し、着座高さを調整するための昇降手段と、着座方向を調整するための回転手段と、を有すること、を特徴とするトイレユニットが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多目的な用途に利用をすることができるトイレユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる「衛生洗浄装置」の普及、洗面器、手洗い器、床材、壁材などの品質向上によって、トイレルームは用便だけのための空間から、リラックスすることができ、かつ、多目的な用途に利用することができる空間へと変貌しつつある。
例えば、一般の住宅においても、洗面所、浴室、寝室などと一体化したトイレルームなど、そこに暮らす人のライフスタイルを反映させたトイレルームが登場し始めている。 また、我が国の住宅事情では、一人になれる空間を家の中に設けることが難しく、トイレルームが「リラクゼーションの場」などとして見直されるようになってきている。
【0003】
トイレルームを多目的な用途に利用することができる空間とする場合には、その用途に応じて、着座手段としての便器により着座方向を変えたり、着座高さを調整したりすることが必要となる。
ここで、便座を回転させて着座方向を変え、便座取り付け部を昇降させて着座高さを調整することができる便器が提案されている(特許文献1を参照)。
また、便器の底部に回転手段を設けたポータブルトイレや、内蔵された昇降手段により便座を昇降させることのできる便器も提案されている(特許文献2、3を参照)。
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、汚れやすい便座の直下に回転手段が設けられており、汚れや清掃に用いた洗浄液などにより回転手段が動作不良を起こすおそれがあった。また、昇降手段を便器の外部に設けるようにしているので、便座の下方の空間に足(かかと)を入れることが困難となり、着座姿勢に制限が加えられるおそれもあった。
【0004】
また、特許文献2に開示された技術においては、ポータブルトイレのため排水管の考慮がされておらず、排水管を有する便器にこの技術を直接適用させることは困難であった。 また、特許文献3に開示された技術においては、昇降手段を内蔵させたために排水管が便器の前方側に設けられるようになっている。そのため、この技術に便器を回転させるための回転手段を付加したとしても、回転にともない排水管の水平方向位置が変化したり、回転による便器の軌跡が大きくなり省スペースを図ることができないなどの新たな問題を生じることになる。
【特許文献1】特開2000−213043号公報
【特許文献2】特開平7−250783号公報
【特許文献3】特開昭54−30639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、省スペースを図りつつ着座方向と着座高さの変更を可能とした便器を備え、便器が備えられた空間の多目的な利用を可能としたトイレユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、壁面から突出するように設けられたカウンタと、前記カウンタの前方に配設された便器と、を備え、前記便器は、平面視が略円形を呈し、着座高さを調整するための昇降手段と、着座方向を調整するための回転手段と、を有すること、を特徴とするトイレユニットが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、省スペースを図りつつ着座方向と着座高さの変更を可能とした便器を備え、便器が備えられた空間の多目的な利用を可能としたトイレユニットが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明をする。
図1は、本発明の実施の形態に係るトイレユニットを例示するための模式斜視図である。 図2は、カウンタ4の上面付近を例示するための模式斜視図である。
図1に示すように、トイレユニット1には、トイレユニット1が備えられるトイレルームなどの壁面から突出するようにして設けられたカウンタ4、カウンタ4の前方に配設された便器3などが主に備えられている。
【0009】
図2に示すように、カウンタ4の上面には、洗面器5や操作手段6などが設けられている。また、操作手段6は、カウンタ4の上面の便器3に近接する部分に設けられている。そして、洗面器5の後方のカウンタ4の後端にはカウンタ4の上面から立設するようにして鏡7が設けられ、操作手段6の後方のカウンタ4の後端にはカウンタ4の上面から立設するようにして鏡8が設けられている。また、鏡8の下部には表示手段9が鏡8に埋め込まれるようにして設けられている。
洗面器5は、平面視が略楕円形をなしており、そのボウル部5aは漏斗状を呈している。そして、ボウル部5aの最も低い部分には排水口5bが設けられ、排水口5bには図示しない排水トラップを介してこれも図示しない排水管が接続されている。
また、カウンタ4の上面には、図示しない水栓が設けられ、洗面器5の内部に向かって吐水ができるようになっている。そして、洗面器5の内側に吐水された水道水などの水は、ボウル部5aに設けられた排水口5bより外部に向けて排出されるようになっている。
【0010】
図示しない水栓は、いわゆるスイッチ水栓やスイング水洗などとすることができる。また、水栓を複数設けて、一部を温水用の水洗とすることもできるし、水栓を湯水混合水栓とすることもできる。
【0011】
また、吐水の形態は、例えば、シャワー状の吐水などとすることができるが、これに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。また、水石鹸を吐出させる液体石鹸供給器などを設けるようにすることもできる。
【0012】
図3は、操作手段6を例示するための模式図である。
図3に示すように、操作手段6には、例えば、タッチパネル式のキーボード6a、平面状のポインティングデバイスであるタッチパッド6b、後述する便器3の回転や昇降などの指令を入力するための操作スイッチ6c、体脂肪測定手段や心電波形検出手段などの健康管理測定手段6dを設けるようにすることができる。尚、操作手段6に設けることができるものは、これらに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。ただし、トイレユニット1が多目的に利用されることを考慮すれば、種々の作業の邪魔にならないように、カウンタ4の上面からの突出量が少ないものを選択するようにすることが好ましい。また、トイレユニット1が水回り設備であることを考慮して、いわゆる防水仕様とすることが好ましい。
【0013】
操作スイッチ6cとしては、例えば、後述する便器3の回転や昇降などの指令を入力するためのスイッチ、便器3に設けられた「衛生洗浄装置」の各動作の指令(例えば、局部洗浄の開始またはその停止、温風の送風またはその停止、洗浄位置の調整、吐水強さの調整)をするためのスイッチ、照明のON/OFFをするためのスイッチ、暖房のON/OFFをするためのスイッチなどを例示することができる。ただし、これらに限定されるわけではなく、トイレユニット1に備えられる各種の装置、器具などの操作や調整を行うためのスイッチを適宜設けるようにすることができる。また、老齢者や身体障害者などがトイレユニット1を使用することなどを考慮して、非常呼び出しスイッチを設けるようにすることもできる。
【0014】
健康管理測定手段6dとしては、例えば、体脂肪測定手段や心電波形検出手段などを例示することができる。
体脂肪測定手段としては、例えば、生体電気インピーダンス法を用いたものを例示することができる。生体電気インピーダンス法とは、血液、筋肉などのように多量の水分を含む組織は電流を通しやすく、逆に脂肪、骨などの水分を含まない組織は電流を通しにくいという電気的特徴を利用して、体内に微弱な電流を流したときのインピーダンス値から身体の組成を分析する方法である。
【0015】
本実施の形態においては、タッチパネル式のキーボード6aの両側に平板状の電極6e、電極6fを設け、この電極6e、電極6fに指先、手のひら、手の甲などを接触させることで身体に微弱な電流を流してインピーダンスを測定するようにしている。
【0016】
心電波形検出手段として用いるときは、右側の電極6fの近傍に設けられた電極6gをも含めた3個の電極(電極6e、電極6f、電極6g)を使用する。例えば、電極6eを正極、電極6fをグランド、電極6gを負極とすることができる。
【0017】
そして、電極6fと電極6gに右手の手の平を接触させ、左手の手の平を電極6eに接触させて、電極6eと電極6fとの間の電圧値及び電極6fと電極 6gとの間の電圧値を測定するようにしている。
【0018】
このようにして測定された生体インピーダンスや電圧値に基づいて、図示しない演算手段により体脂肪率、心電波形、R波とR波との間の心拍数などが演算される。そして、図示しない記憶手段に格納されている体重、年齢などのデータから被験者の健康状態を判定して、表示手段9に表示するようにしている。
【0019】
また、測定された各種のデータは、被験者の個人データとして図示しない記憶手段に記憶され、健康状態を自己管理することができるようになっている。
尚、健康管理測定手段は前述のものに限定されるわけではなく、例えば、図示しないカフや加圧ポンプなどを設けて血圧を測定可能としたものなどを設けるようにすることもできる。
【0020】
表示手段9には、液晶駆動により表示を行う液晶表示装置やプラズマ放電を利用したプラズマ表示装置などのように表示面が平面であるフラットパネル表示装置を用いることが好ましい。また、表示手段9に図示しないチューナなどを備えてテレビジョン放送などを受信可能とすることもできるし、図示しない音楽プレーヤやスピーカなどを備えて音楽などを聴取可能とすることもできる。
【0021】
次に、トイレユニット1を多目的に利用する場合の着座方向と着座高さについて説明をする。
図4、図5は、身体の側方にカウンタ4がくるような向きに着座した場合を例示するための模式図である。
尚、図4は平面図であり、図5は正面図である。また、前述したものと同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
ここで、トイレユニット1のレイアウト寸法を例示するものとすれば、図4に例示をするように、奥行き寸法L1を1700mm程度、幅寸法W1を1235mm程度、カウンタ4の幅寸法W2を500mm程度、カウンタ4の前面から便器3の中心までの寸法L2を280mm程度とすることができる。ただし、本発明はこれらの寸法に限定されるわけではなく、適宜変更することができる。尚、図5中のH1は着座高さ(例えば、床から便座までの高さ)である。
図4、図5に示すように、身体の側方にカウンタ4がくるような向きに着座した場合には、カウンタ4を肘掛けなどとすることができる。このような向きに着座する場合としては、例えば、用便をするとき、図示しない音楽プレーヤなどで音楽を聴くときなどを例示することができる。
【0022】
このような場合における着座高さH1を用便の場合を例にとり説明をすると、成人の場合は着座高さH1を370mm〜380mm程度とすることが好ましく、車椅子使用者の場合はそれよりも40mm〜50mm程度高くすることが好ましい。また、子供の場合は成人の場合よりも70mm〜80mm程度低くすることが好ましい。
また、カウンタ4を肘掛けとしつつ着座するような場合には、着座高さH1を450mm程度とすることが好ましい。
【0023】
図6、図7は、身体の正面にカウンタ4がくるような向きに着座した場合を例示するための模式図である。
尚、図6は模式平面図であり、図7は模式正面図である。また、図7中のH2は着座高さ(例えば、床から便座までの高さ)である。また、前述したものと同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0024】
図6、図7に示すように、身体の正面にカウンタ4がくるような向きに着座した場合には、カウンタ4を机や作業台などとすることができる。このような向きに着座する場合としては、例えば、パソコン作業をするとき、表示手段9でテレビジョン放送などを視聴するとき、読書をするとき、化粧をするときなどの机上作業を例示することができる。そして、このような場合における着座高さH2は、500mm程度とすることが好ましい。
このように、トイレユニット1の利用目的などにより好ましい着座高さが異なるものとなる。また、カウンタ4を机として使用するか否かなどで着座方向も異なるものとなる。
【0025】
そのため、着座手段としての便器3に、着座高さの調整のための昇降機能と着座方向の変更のための回転機能が設けられていることが好ましい。尚、図4〜図7に例示をしたような平面視が円形の便器3では、身体の向きを比較的簡単に変更することができるので、回転機能は必ずしも必要ではなく省くこともできる。また、便器3に回転機能(例えば、ボールベアリングなど)を設けるもののモータなどの動力源は設けず、手動(人力)で着座方向の変更をするようにしたものとすることもできる。
【0026】
また、着座高さの調整に代えて、または、着座高さの調整とともにカウンタ4の高さを調整可能とする図示しない昇降手段をカウンタ4に設けるようにすることもできる。
尚、着座高さの調整や着座方向の変更は、操作手段6の操作スイッチ6cを操作することで行われるようになっている。
また、便器3とカウンタ4は、着座方向の変更の際にカウンタ4の下に着座した者の脚部が侵入可能となるような高さになっている。この場合、便器3とカウンタ4の高さに所定の寸法差がないような場合には、音や表示手段9による警告を行うこともできる。
【0027】
また、カウンタ4の裏面には、いわゆるタッチセンサなどが設けられ、着座高さの調整時(便器3の昇降時)、カウンタ4の昇降時などに着座した者の脚部などを感知した場合には、昇降動作が停止するようになっている。この場合、音や表示手段9による告知をするようにすることができる。
【0028】
また、着座方向の変更時(便器3の回転時)、着座高さの調整時(便器3の昇降時)、カウンタ4の昇降時などに所定以上の負荷が加わった場合には、昇降動作が停止するようになっている。この場合、音や表示手段9による告知をするようにすることができる。
【0029】
図8、図9は、便器3を例示するための模式図であり、図8は模式斜視図、図9は模式正面図である。
図8に示すように、便器3には、便座3a、便器本体3b、昇降回転部3cが設けられている。そして、便座3a、便器本体3b、昇降回転部3cは、平面視が略円形を呈している。すなわち、便器3は平面視が略円形を呈している。
【0030】
便座3aには、用便用の孔3dが設けられている。また、便座3aは、開閉可能とすることができ、また、取り外し可能とすることもできる。この場合、使用者が便器3に着座する際には、便座3aの上面が着座位置となる。
便器本体3bには、後述するように、封水部3fや排水部3g(図11を参照)が設けられている。便器本体3bは、例えば、陶器、合成樹脂、合成樹脂にセラミック材、陶器粉を混入させたものなどからなるものとすることができる。
【0031】
便器本体3bは、下方向けて外形寸法が漸減しており、便器3の下方に空間3hが形成されるようになっている。そのため、着座時には、この空間3hに足(かかと)を入れることができるので、楽な姿勢で座ることができるようになる。
【0032】
また、便座3aは略円形を呈しており、着座方向に制限や方向性がないようになっている。そして、空間3hも便器3の全周にわたって形成されている。そのため、どの方向からでも便器3に着座をすることができ、また、任意の方向に着座をしても空間3hに足(かかと)を入れることができるので、楽な姿勢で座ることができる。
【0033】
昇降回転部3cには、取り付け部31が設けられており、後述する回転手段10(図11を参照)などが備えられている。取り付け部31はトイレユニット1の床面に取り付けられ、取り付け部31を介して便器3がトイレユニット1の床面に取り付けられることになる。
また、昇降回転部3cの上部が、便器本体3bの下端に設けられた開口に挿入されており、便器本体3bが上昇端の位置にあっても昇降回転部3cの上部が便器本体3bの下端に設けられた開口から出ないようになっている。そのため、昇降回転部3cの内部に設けられた昇降手段13や回転手段10などが隠蔽され、また、後述する排水管3kなどからの悪臭も遮蔽されるようになっている。
【0034】
図10は、便器本体3bを例示するための模式断面図である。
尚、前述したものと同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
図10に示すように、便器本体3bは、上周縁に図示しない通水リムを備えたボウル部3j、ボウル部3jと連通するようにして設けられた封水部3f、封水部3fと略逆U字状に屈曲して連通する排水管3gを備えている。
【0035】
また、ボウル部3jの上周縁に備えられた図示しない通水リムには、図示しないフラッシュバルブを介して図示しない給水源が接続されている。そのため、図示しないフラッシュバルブを操作することにより、水タンクなどの給水源から水道水などの水が図示しない通水リムに供給され、図示しない通水リムに設けられた吐水口から便器3のボウル部3jに向けて吐水されるようになっている。
【0036】
排水管3gは、外部の排水管3k(例えば、下水管などへの排水管)と接続され、ボウル部3jに吐水された水を汚物とともに外部に排出できるようになっている。また、ボウル部3jと排水管3gとを封水部3fを介して連通させることで、悪臭の発生を抑制しつつ汚物の排出ができるようになっている。
【0037】
また、排水管3gは、排水管3kの中に挿入するようにして接続されており、その軸方向および回転方向に移動可能となっている。そのため、後述する回転手段10、昇降手段13(図11を参照)により便器本体3bが回転、昇降しても、排水管3gと排水管3kとの接続が維持可能となっている。尚、排水管3gの外周面と排水管3kの内周面との間に形成される隙間に図示しないシール部材を設けるようにすることもできる。
【0038】
ここで、排水管3gの中心軸と後述する回転手段10の回転中心とが略同軸となっている。そのため、後述する回転手段10により便器本体3bが回転しても、排水管3gの中心軸の水平方向の位置がずれることがない。その結果、排水管3gと排水管3kとの水平方向の位置関係も維持することができ、排水管3gや排水管3kの破損、隙間の増大などによる悪臭の発生などを抑制することができる。
【0039】
図11は、回転手段と昇降手段とを例示するための模式断面図である。
尚、前述したものと同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0040】
昇降回転部3cの下部には回転手段10が設けられており、回転手段10上面には昇降手段13が設けられている。また、排水管3gが回転手段10の中心を貫通するようにして設けられている。尚、排水管3gと昇降手段13とが干渉しないように、排水管3gを取り囲むようにして昇降手段13の各要素(昇降手段本体14、ガイド手段15)が設けられている。
【0041】
回転手段10には、昇降回転部3cの底部に設けられたベアリング部12と、ベアリング部12の可動側を回転させるための回転駆動手段11などが備えられている。
ベアリング部12の固定側は昇降回転部3cに固着され、可動側は昇降手段13を介して便器本体3bと接続されている。そのため、昇降手段13とともに便器本体3bが回転可能となっている。
【0042】
回転駆動手段11としては、例えば、歯車やベルトなどを介してモータなどの駆動力をベアリング部12の可動側に伝達させるものなどを例示することができる。
昇降手段13には、図示しない駆動手段や動力伝達手段、昇降時のガイドを行うためのガイド手段15などを設けた昇降手段本体14などが備えられている。
昇降手段本体14の下部は、ベアリング部12の可動側と接続されている。また、昇降手段本体14に備えられたガイド手段15の先端部が便器本体3bと接続されている。そのため、昇降手段本体14を介して便器本体3bが回転可能となっている。
【0043】
昇降手段本体14に備えられた図示しない駆動手段は、例えば、モータとすることができる。また、図示しない動力伝達手段は、例えば、ラックとピニオンギヤのような歯車伝達機構とすることができる。ただし、これに限定されるわけではなく、例えば、水圧シリンダのような流体の圧力差を利用したものなどを適宜選択することができる。
【0044】
ガイド手段15は、便器本体3bの昇降方向の案内と回転方向のいわゆる「回り止め」をすることができるものであればよく、例えば、図11に示したような円形断面を有する2本の棒状体などを例示することができる。ただし、これに限定されるわけではなく、例えば、多角形断面(四角形断面、六角形断面など)を有する棒状体を1本設けるようにすることもできる。
【0045】
また、回転方向の位置を保持する手段(例えば、回転駆動手段11に設けられたブレーキなど)を設けるようにすることが好ましい。回転方向の位置を保持する手段を設けるものとすれば、着座位置がブレないので座り心地や作業性を向上させることができる。
【0046】
尚、昇降手段13に備えられる図示しない駆動手段の配線などには、回転手段10による回転に対応させるために図示しない集電手段(例えば、スリップリングなど)を設けるようにすることができる。
【0047】
図12は、他の実施の形態に係る便器を例示するための模式斜視図である。
尚、前述したものと同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0048】
本実施の形態においては、便座3aを覆うようにして開閉式の便蓋3eが設けられている。そのため、便蓋3eの上に着座することができ、便器30に着座する際の安定感、座り心地や、トイレユニット1内の見栄えなどを向上させることができる。また、便蓋3eは、取り外し可能とすることもできる。この場合、使用者が便器30に着座する際には、便蓋3eの上面が着座位置となる。
そして、これらの他にも、いわゆる「衛生洗浄装置」、トイレットペーパーホルダー、老齢者や身体障害者のための手すりなどを適宜設けるようにすることもできる。
【0049】
本実施の形態においては、カウンタ4の前方に便器3が配設されている。そして、カウンタ4の上面には、洗面器5、操作手段6(例えば、タッチパネル式のキーボード6a、タッチパッド6b、便器3の回転や昇降などの指令を入力するための操作スイッチ6c、体脂肪測定手段や心電波形検出手段などの健康管理測定手段6dなど)、鏡8、表示手段9などが設けられている。
【0050】
そのため、トイレユニット1を用便のための空間として利用するだけでなく、例えば、体脂肪測定、心電波形測定、血圧測定などの健康管理測定を日常的に行うこともできるし、カウンタ4を机や作業台として使用し、操作手段6のタッチパネル式のキーボード6a、タッチパッド6b、図示しないパーソナルコンピュータ、表示手段9などを用いることにより事務作業のような机上作業を行うこともできる。また、表示手段9でテレビジョン放送などを視聴したり、図示しない音楽プレーヤやスピーカなどで音楽などを聴取したり、読書をしたり、化粧をしたりすることもできる。
【0051】
その結果、家の中に個人の空間を設けにくいという我が国の住宅事情の下にあっても、トイレユニット1を用便のための空間として利用するだけでなく、多目的に利用することができる個人の空間として使用することができるようになる。
【0052】
また、便器3は平面視が略円形をしており、着座方向に制限や方向性がないようになっている。そして、空間3hも便器3の全周にわたって形成されている。そのため、どの方向からでも便器3に着座をすることができ、また、任意の方向に着座をしても空間3hに足(かかと)を入れることができるので、楽な姿勢で座ることができる。また、便器3には、昇降回転部3cが設けられ種々の目的に合わせた着座高さや着座方向が選択できるようになっている。そのため、トイレユニット1を多目的に利用する場合であっても、それぞれの目的に合わせた快適な使用をすることができる。
【0053】
また、昇降手段13や回転手段10などが昇降回転部3cの内部に隠蔽されている。そのため、特許文献1に開示された技術のように、汚れや清掃に用いた洗浄液などにより昇降手段13や回転手段10が動作不良を起こすおそれがない。また、排水管3kなどからの悪臭の発生をも遮蔽することができる。
【0054】
そして、排水管3gの中心軸と回転手段10の回転中心とが略同軸となっているため、回転手段10により便器本体3bが回転しても、排水管3gの中心軸の水平方向の位置がずれることがない。その結果、排水管3gと排水管3kとの水平方向の位置関係も維持することができ、排水管3gや排水管3kの破損、悪臭の発生などが起こるおそれがない。また、便器3の平面視が略円形であるため、回転による便器3の軌跡が変化せず、省スペースを図ることもできる。
【0055】
次に、トイレユニット1の作用について説明をする。
トイレユニット1の使用者は、便器3に着座した後、使用目的に応じて着座方向や着座高さの調整をする。この場合、操作はカウンタ4の上面に設けられた操作手段6を用いて行うことができる。尚、必要があれば、カウンタ4の高さを調整することもできる。
【0056】
その後、使用者は、目的に応じた各種の作業を行う。
例えば、用便にあっては、用便後に図示しないフラッシュバルブを操作して汚物を排出するが、この際、音楽を聴取したり、テレビジョン放送を視聴しながら用便やその後の排出作業をすることができる。
また、化粧や化粧直しの際には、洗面器5や鏡8などを用いることができ、音楽を聴取したり、テレビジョン放送を視聴しながらこれらの作業を行うことができる。
また、カウンタ4を机や作業台として使用し、タッチパネル式のキーボード6a、タッチパッド6b、図示しないパーソナルコンピュータ、表示手段9などを用いることにより各種の事務作業をしたり、便器3を椅子、カウンタ4を机として読書や手書きの文章作りなどを行ったり、音楽などを鑑賞したりするリラクゼーションの場として活用することができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
【0058】
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、トイレユニット1に設けられる各要素などの形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、トイレユニット1の設置場所も一般家庭に限定されるわけではなく、例えば、有料または無料の公衆トイレなどにも設置をすることができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態に係るトイレユニットを例示するための模式斜視図である。
【図2】カウンタの上面付近を例示するための模式斜視図である。
【図3】操作手段を例示するための模式図である。
【図4】身体の側方にカウンタがくるような向きに着座した場合を例示するための模式図である。
【図5】身体の側方にカウンタがくるような向きに着座した場合を例示するための模式図である。
【図6】身体の正面にカウンタがくるような向きに着座した場合を例示するための模式図である。
【図7】身体の正面にカウンタがくるような向きに着座した場合を例示するための模式図である。
【図8】便器を例示するための模式図である。
【図9】便器を例示するための模式図である。
【図10】便器本体を例示するための模式断面図である。
【図11】回転手段と昇降手段とを例示するための模式断面図である。
【図12】他の実施の形態に係る便器を例示するための模式斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1 トイレユニット、3 便器、3a 便座、3b 便器本体、3c 昇降回転部、3d 孔、3e 便蓋、3f 排水部、3g 排水部、3h 空間、31 取り付け部、3j ボウル部、3k 排水管、4 カウンタ、5 洗面器、6 操作手段、6a キーボード、6b タッチパッド、6c タッチパッド、6d 健康管理測定手段、6e 電極、6f 電極、6g 電極、7 鏡、8 鏡、9 表示手段、10 回転手段、13 昇降手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面から突出するように設けられたカウンタと、
前記カウンタの前方に配設された便器と、
を備え、
前記便器は、平面視が略円形を呈し、着座高さを調整するための昇降手段と、着座方向を調整するための回転手段と、を有すること、を特徴とするトイレユニット。
【請求項2】
前記カウンタの上面の前記便器に近接する部分には、操作手段が設けられていること、を特徴とする請求項1記載のトイレユニット。
【請求項3】
前記操作手段には、健康管理測定手段が設けられていること、を特徴とする請求項1または2に記載のトイレユニット。
【請求項4】
前記健康管理測定手段により、体脂肪、心電波形及び血圧よりなる群から選ばれた少なくとも1つが測定されること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のトイレユニット。
【請求項5】
前記操作手段の後方の前記カウンタの後端において、前記カウンタの上面から立設するように設けられた表示手段と、
をさらに備えたこと、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のトイレユニット。
【請求項6】
前記便器は、ボウル部と、封水部を介して前記ボウル部と連通する排水管と、を有し、
前記排水管の中心軸は、前記回転手段の回転中心と略同軸であること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のトイレユニット。
【請求項7】
前記便器の便器本体は、下方に向けて外形寸法が漸減していること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のトイレユニット。
【請求項8】
前記便器には、便蓋が設けられていること、を特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のトイレユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−285839(P2008−285839A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−129905(P2007−129905)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】