説明

トイレ装置

【課題】使用者が意図を持って行う動作を非接触で検出することで、使用者の意図を判断し、意図どおりに便座の上げ下げの動作を制御する。
【解決手段】本発明にかかるトイレ装置は、動作検出手段14により人体の少なくとも一部の動作を検出し、モータ制御手段7によって検出した動作に対応して便座モータ5を制御し、便座4を回転動作させるものである。使用者が意図を持って行う動作を検出し、使用者の意図どおりに便座の動作を制御することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器を使用する使用者の動作を検出し、トイレの各種制御を行うトイレ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、トイレ装置として、人体検出センサを備え、使用者が便器に近づいたことを検出して便蓋を自動的に開くようにしたものはよく知られている。そうすることで、衛生面を気にする使用者に、トイレ空間でできるだけ物に手を触れないでいられるようにして快適性を確保する効果がある。
【0003】
しかし、便座については、男性が小用で使用するときには立ち上げて、そうでないときには着座するので下げた状態にするのが一般的な使い方であり、その男性小用だけを検出することは難しく、手で直接持ち上げたり下げたりするのが一般的であり、あるいは操作部に便座ボタンを設けて使用者の操作で便座の上げ下げを制御するものもある。
【0004】
しかし、衛生面を気にする使用者にとっては、便座に触れることはもちろん操作部に触れることも避けたいものである。
【0005】
便座の制御を自動的に行うためには、例えば特殊な履物を使用し、便座からその履物が検出できるかどうかで、検出できれば履物が便座の方を向いていて、それは使用者が便器のほうを向いているものとして便座を立ち上げる。検出できなければ履物は便座の方を向いていなくて、それは使用者が便器に背を向けているものとして便座を下げた状態にするという方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、便座や操作部に触れずに便座を上げたり下げたりするものとしては、物体が近付いたことを検出する検出ユニットに便座の開閉を駆動するモータを接続し、検出ユニットに手を近づけることで便座の上げ下げを制御する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−61361号公報
【特許文献2】登録実用新案第3153196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記第1の従来の方法では、専用の特殊な履物を履かなければならないという煩わしさがある。そして、その専用の履物を履いていても、便座と履物の位置関係によっては必ずしも正しく検出できず、誤動作を起こしてしまうことがある。
【0009】
更に、履物が便器の方に向いていることを正しく検出できたとしても、使用者が必ずしも便座を立ち上げたいということではなく、着座したいのに便座が立ち上がってしまうというような不便もある。そうしたことから、使用者が便座を立ち上げて使いたいのか、下げた状態で着座したいのかの意思を自動的に判定することはなかなか困難である。
【0010】
また、前記第2の従来の方法では、使用者の何気ない動作を近接と検出して、便座が使用者の意図しない動作をしてしまう場合が起こりやすい。
【0011】
つまり、家庭ではトイレ空間は一般に狭く、そこで使用者は、しゃがんだり立ったり、あるいは着衣を脱いだり着けたり動作をするものであるために、つい体の一部が検出ユニットに近付いてしまうことがある。近接したことを検出して便座の動作を制御すると、使用者の意図しない便座の動作になってしまうことが起こりやすいものである。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するものであり、使用者が意図を持って行う動作を非接触で検出することで、使用者の意図を判断し、意図どおりに便座の上げ下げの動作を制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のトイレ装置は、便座と、便座を回転動作させるモータと、人体の一部の動作を検出する動作検出手段と、前記動作検出手段により検出した動作に対応して前記モータを制御する制御手段を有する構成としたものである。
【0014】
この構成により、動作検出手段により人体の一部の動作を検出し、制御手段によって検出した動作に対応してモータを制御し便座を回転動作するので、使用者が意図を持って行う動作を検出し、使用者の意図どおりに便座の動作を制御することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、使用者が意図を持って行う動作を検出し、使用者の意図どおりに便座の上げ下げ動作を制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1におけるトイレ装置の構成図
【図2】同実施の形態における複数の赤外線検出器の出力の時間変化を示す図
【図3】同実施の形態における信号処理回路の動作を説明するフローチャート
【図4】本発明の実施の形態2におけるトイレ装置の遠隔操作装置の構成図
【図5】同実施の形態における複数の赤外線検出器と発光素子と受光素子の出力の時間変化を示す図
【図6】同実施の形態における信号処理回路の動作を説明するフローチャート
【図7】本発明の実施の形態3におけるトイレ装置の遠隔操作装置の構成図
【図8】同実施の形態における赤外線検出器と発光素子と複数の受光素子の出力の時間変化を示す図
【図9】同実施の形態における信号処理回路の動作を説明するフローチャート
【図10】本発明の実施の形態4におけるトイレ装置の遠隔操作装置の構成図
【図11】同実施の形態における信号処理回路の構成を説明する回路図
【図12】同実施の形態における複数の赤外線検出器の出力の時間変化を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の発明は、便座と、前記便座を回転動作させる便座モータと、人体の少なくとも一部の動作を検出する動作検出手段と、前記動作検出手段により検出した動作に対応して前記便座モータを制御するモータ制御手段を備えたものである。
【0018】
本発明によれば、動作検出手段により人体の少なくとも一部の動作を検出し、モータ制御手段によって検出した動作に対応して便座モータを制御し便座を回転動作させるので、使用者が意図を持って行う動作を検出し、使用者の意図どおりに便座の動作を制御することが可能となる。
【0019】
第2の発明は、前記便座および前記便座モータを含む本体と、前記本体とは別に設けら
れる遠隔操作装置とをさらに備え、前記遠隔操作装置が、前記動作検出手段と、前記遠隔操作装置と前記本体との通信を行う通信手段とを有するものである。
【0020】
本発明によれば、使用者が至近距離で衣類の着脱などの動作をする本体とは別の場所に遠隔操作手段を設置することにより、使用者が意図を持って行う動作のみを検出し、使用者の意図どおりに便座の動作を制御することが可能となる。
【0021】
第3の発明は、動作検出手段が人体の少なくとも一部が近接したことを検出する近接検出器を複数有するものである。本発明によれば、複数の近接検出器のどれに先に近接したかによって人体の少なくとも一部の移動方向を判定することができて、移動方向に応じてモータ制御手段は便座の駆動を制御できる。
【0022】
第4の発明は、複数の近接検出器が、赤外線を検出する複数の赤外線検出器を有する構成であり、赤外線検出器は人体の一部から発する赤外線を検出することができ、それを複数配置したものである。本発明によれば、人体の少なくとも一部の移動方向を判定することができて、移動方向によりモータ制御手段は便座の駆動を制御できる。
【0023】
第5の発明は、複数の近接検出器は、発光素子と、前記発光素子から発せられた光を受光する受光素子と、前記発光素子および前記受光素子の近傍に赤外線を検出する複数の赤外線検出器を有するものである。
【0024】
本発明によれば、複数の赤外線検出器で人体の少なくとも一部から発する赤外線を検出して移動方向を判定することができ、更にその時に赤外線検出器近傍の発光素子から発せられた光が人体の一部に反射して受光素子に受光したかどうかで、使用者が赤外線検出器から近接した場所で動作したかを確認でき、使用者が意図を持って行う動作のみを検出し、人体の一部の移動方向を正しく検出して使用者の意図どおりに便座の動作を制御することが可能となる。
【0025】
第6の発明は、複数の近接検出器が、赤外線を検出する赤外線検出器と、発光素子と、複数配置し前記発光素子から発せられた光を受光する受光素子を有する構成であり、赤外線検出器により人体の少なくとも一部の近接を検出し、その時に発光素子から発せられた光が人体の一部に反射した光を複数の受光素子で受光するものである。
【0026】
本発明によれば、必要なときだけの発光で人体の少なくとも一部の移動方向を正しく検出して移動方向によりモータ制御手段は便座の駆動を制御できる。
【0027】
第7の発明は、複数の赤外線検出器が焦電型赤外線検出器であり、各焦電型赤外線検出器の方向性を逆にして直列接続され、動作検出手段がその両端の出力を検出する電子回路を備えたものである。
【0028】
本発明によれば、各焦電型赤外線検出器の方向性を逆にして直列接続した両端の出力の位相から、人体の少なくとも一部の移動方向を検出することができ、移動方向により制御手段は便座の駆動を制御できる。
【0029】
第8の発明は、動作検出手段が複数の赤外線検出器の出力を処理する電子回路を有し、前記電子回路において人が歩く速さより十分速い速度に対応した周波数に高い感度を持たせるフィルタ回路を備えたものである。
【0030】
本発明によれば、フィルタ回路で人が歩くような遅い周波数より十分速い動作速度に対応した周波数に高い感度を持っているので、人が意図しない移動などの動きや、遠くの動
きは検出しにくくなり、動作検出手段の近くで意図を持って動かした動きを検出しやすくなり、正確に人体の少なくとも一部の移動方向を検出することができ、移動方向により制御手段は誤動作なく便座の駆動を制御できる。
【0031】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態におけるトイレ装置の全体構成を説明する図であり、前記トイレ装置が便器1上面に取り付けられる。便蓋2は開けて使用し、使用しないときには閉じるものであり、便蓋モータ3は、便蓋2を回転駆動させて開閉動作を行うためのステッピングモータである。
【0032】
便座4は、着座するときには図に示すように下げて使うものであり、また男性の小用のときのように立って便器1を使うときには、立ち上げて使うものである。便座モータ5は、便座4を回転駆動させて、立ち上げ、立ち下げの動作を行うためのステッピングモータである。
【0033】
第1の受光素子6は、後述するリモコンから赤外線による信号を受信するフォトダイオードである。モータ制御手段7は、マイクロコンピュータにより構成され、第1の受光素子6が受光したリモコンからの信号により便蓋モータ3や便座モータ5の駆動を制御し、便蓋2の開閉、便座4の上げ下げの制御を行う。本体8は、これら便蓋2、便蓋モータ3、便座4、便座モータ5、第1の受光素子6、モータ制御手段7を有している。
【0034】
第1のリモコン9は、人が近づいたことを検出すると第1の受光素子6、に信号を無線で送信する。第1のリモコン9は、第1の赤外線センサ10、第1の信号処理回路11、第1の発光素子12を含む構成としていて、便器1の設置されているトイレ空間などで便器1より手前の壁などに取り付けている。
【0035】
第1の赤外線センサ10は焦電型赤外線センサであり、その視野範囲内での温度変化に対して出力を発生するものである。人がいないときには、便器1が設置されているトイレ空間などの壁などが視野に入っていて視野範囲内の温度は安定している。そこに人が入ってくると、壁の温度と人の皮膚の温度は異なるもので、多くの場合人の皮膚温の方が高いのであるが、異なる温度のものが視野に入ることで温度変動により出力を発生する。
【0036】
第1の信号処理回路11は、第1の赤外線センサ10の出力を増幅する増幅回路や、信号から人が近付いたことを判定するマイクロコンピュータにより構成される判定回路を有するものであり、第1の赤外線センサ10の出力から便器が設置されているトイレ空間内に人が入り、便器1に近付いたことを判定すると、第1の発光素子12を点滅させて、人が近付いた信号を第1の受光素子6、に送信する。第1の発光素子12は赤外発光ダイオードである。
【0037】
第1の受光素子6、は第1の発光素子12から第1のリモコン9に人が近付いたことを受信すると、モータ制御手段7は便蓋2が閉じていれば開ける方向に便蓋モータ3を回転させ、便蓋2を開ける。
【0038】
モータ制御手段7は便蓋2を開けるように便蓋モータ3を駆動してから予め定めた時間を経過すると便蓋モータ3を回転させて便蓋2を閉じる。ここで予め定めた時間とは通常排尿、排便に要する時間より十分長く例えば10分間として設定したものである。
【0039】
遠隔操作装置である第2のリモコン13は、人の手の上下動作を検出すると第1の受光素子6、に信号を無線で送信する。
【0040】
第2のリモコン13は、手の上下動作を検出する動作検出手段14と第2の発光素子15とを含むものであり、動作検出手段14は第2の赤外線センサ16と、第3の赤外線センサ17と、第2の信号処理回路18を含む構成であり、第2の発光素子15は赤外発光ダイオードである。第2のリモコン13は、便器1の設置されているトイレ空間などで便器1の横か、やや奥の使用者が手の届く範囲の壁などに取り付けている。
【0041】
なお、第2の発光素子15と第1の受光素子6とはそれぞれ、一組の通信手段の送信手段と受信手段として機能し、第2の赤外線センサと第3の赤外線センサとは、複数の近接検出器として機能する。
【0042】
第2の赤外線センサ16と第3の赤外線センサ17は上下に並べて設置していて、いずれも第1の赤外線センサと同様の焦電型赤外線センサであり、その視野範囲内での温度変化に対して出力を発生するものである。
【0043】
図2を用いて第2の赤外線センサ16と第3の赤外線センサ17の出力特性について説明する。図2においてV16は第2の赤外線センサ16の出力の時間変化であり、V17は第3の赤外線センサ17の出力の時間変化である。
【0044】
図2(a)は第2の赤外線センサ16と第3の赤外線センサ17の前で、使用者が手を下から上に振り上げた場合であり、まず下に取り付けている第3の赤外線センサ17が温度変化に対する出力を発生し、続いて上に取り付けている第2の赤外線センサ16が温度変化に対する出力を発生する。
【0045】
一方、図2(b)は第2の赤外線センサ16と第3の赤外線センサ17の前で、使用者が手を上から下に振り下ろした場合であり、まず上に取り付けている第2の赤外線センサ16が温度変化に対する出力を発生し、続いて下に取り付けている第3の赤外線センサ17が温度変化に対する出力を発生する。
【0046】
第2の信号処理回路18は、第2の赤外線センサ16、第3の赤外線センサ17、それぞれの増幅回路と増幅した信号を読み込み信号処理するマイクロコンピュータを含むものであり、第2の赤外線センサ16、第3の赤外線センサ17のいずれが先に出力を発生したか、即ち図2(a)のパターンか(b)のパターンかを判定し、その判定結果を、第2の発光素子15を点滅させて第1の受光素子6、に送信する。
【0047】
第1の受光素子6、は第2の発光素子15からの信号を受信すると、それが第3の赤外線センサ17が先に出力を発生し、後から第2の赤外線センサ16が出力を発生したという判定であれば、使用者が手を下から上に振り上げたものとして、モータ制御手段7は便座4が下げられた状態であれば立ち上げるように便座モータ5を駆動する。
【0048】
第2の赤外線センサ16が先に出力を発生し、後から第3の赤外線センサ17が出力を発生したという判定であれば、使用者が手を上から下に振り下ろしたものとして、モータ制御手段7は便座4が上げられた状態であれば立ち下げるように便座モータ5を駆動する。
【0049】
第2の信号処理回路18はタイマー19を有し、例えば第2の赤外線センサ16が出力を発生した後に所定時間以内に第3の赤外線センサ17の出力が発生しない、あるいは第3の赤外線センサ17が出力を発生した後に所定時間以内に第2の赤外線センサ16の出力が発生しないような場合には、使用者が便座を駆動するために手を振り上げたり、振り下ろしたりの動作をしたのではないと判定し、第2の発光素子15から信号を送るようなことはしない。
【0050】
その所定時間は通常、人が手を振り上げたり振り下ろしたりすると、第2の赤外線センサ16と第3の赤外線センサ17の間を通過するのに要する時間に、ある程度の時間を加え、例えば0.3秒以内という程度である。
【0051】
第2の信号処理回路18は、例えば第2の赤外線センサ16が出力を発生した後、早すぎる所定時間以内に第3の赤外線センサ17の出力が発生した、あるいは第3の赤外線センサ17が出力を発生した後に早すぎる所定時間以内に第2の赤外線センサ16の出力が発生したような場合には、使用者が便座を駆動するために手を振り上げたり、振り下ろしたりの動作をしたのではないと判定し、第2の発光素子15から信号を送るようなことはしない。
【0052】
その所定時間は通常、人が手を振り上げたり振り下ろしたりすると、第2の赤外線センサ16と第3の赤外線センサ17の間を通過するのに要する時間より十分短い時間の、例えば0.05秒以内という程度である。
【0053】
第2の信号処理回路18は第2の赤外線センサ16、第3の赤外線センサ17、それぞれの出力が所定時間の範囲に発生して、手を振り上げた、あるいは降り下げたと判定して信号送信したら、タイマー19により、所定時間のセンサ出力検出を受け付けない時間を設けている。
【0054】
それは、使用者は手を上に振り上げたら、その後、戻す行為として自然と手を振り下ろしてしまうものであり、それが第2の赤外線センサ16、第3の赤外線センサ17の前で振り下ろして戻してしまっても、それを便座を立ち下げるための行為として検出しないようにするためである。
【0055】
ここでの所定時間は0.5秒以上という程度であるが、便座が立ち下がった状態から立ち上がるの、あるいは立ち上がった状態から立ち下がるのに要する時間は、次の便座駆動を行う必要はないので、その所要時間に合わせて1.5秒以上という程度とすればよい。
【0056】
モータ制御手段7は、便座が立ち上がっている状態で手を下から上に振り上げたという信号を受信したり、便座が立ち下がっている状態で手を上から下に振り下ろしたという信号を受信したりしても、便座モータ5を駆動することはない。
【0057】
次に第2の信号処理回路18の作用について、図3のフローチャートに基づき説明する。
【0058】
図3において、第2の信号処理回路18は、まずステップS1で第2の赤外線センサ16が手を検出した出力があったかどうかを判定し、なければステップS2に進み、出力の変化があって手を検出するとステップS3に進む。そしてステップS3では、タイマー19により待ち時間のカウントを開始しステップS4に進む。
【0059】
ステップS4では、次に第3の赤外線センサ17が手を検出した出力があったかどうかを判定する。そしてなければステップS5に進み、出力の変化があって手を検出するとステップS6に進む。ステップS5では、ステップS3でカウントを開始した待ち時間が予め定めた所定時間t1を過ぎたかどうかを判定する。そしてt1を過ぎてしまうと、使用者が手を上下動作させたものではないと判断してステップS1に戻る。
【0060】
一方、ステップS5においてまだt1を過ぎていなければステップS4に戻って第3の赤外線センサ17が手を検出することを待つ。ここで所定時間t1は前記したように通常
、人が手を振り上げたり振り下ろしたりすると、第2の赤外線センサ16と第3の赤外線センサ17の間を通過するのに要する時間にある程度の時間を加え、例えば0.3秒という程度である。
【0061】
ステップS6では、第3の赤外線センサ17が手を検出したのが早すぎないかを確認するのであるが、ステップS3でカウントを開始した待ち時間が予め定めた所定時間t2を過ぎているかどうかを判定し、t2を過ぎていればステップS7に進み、まだt2に達していなければ使用者が手を上下動作させたものではないと判断してステップS1に戻る。
【0062】
ここで所定時間t2は前記したように通常、人が手を振り上げたり振り下ろしたりすると、第2の赤外線センサ16と第3の赤外線センサ17の間を通過するのに要する時間より十分短い時間の、例えば0.05秒という程度である。
【0063】
ステップS7では、第2の赤外線センサ16、第3の赤外線センサ17の順で所定時間の範囲内で手を検出した出力が発生したので、使用者が手を上から下に振り下ろしたものとしてその信号を第2の発光素子15から送信する。そしてステップS13に進む。
【0064】
ステップS2では第3の赤外線センサ17が手を検出した出力があったかどうかを判定し、なければステップS1に戻り、出力の変化があって手を検出するとステップS8に進む。そしてステップS8では、タイマー19により待ち時間のカウントを開始しステップS9に進む。
【0065】
ステップS9では、次に第2の赤外線センサ16が手を検出した出力があったかどうかを判定する。そしてなければステップS10に進み、出力の変化があって手を検出するとステップS11に進む。ステップS10では、ステップS8でカウントを開始した待ち時間が予め定めた所定時間t1を過ぎたかどうかを判定する。そしてt1を過ぎてしまうと、使用者が手を上下動作させたものではないと判断してステップS1に戻る。
【0066】
一方、ステップS10においてまだt1を過ぎていなければステップS9に戻って第2の赤外線センサ16が手を検出することを待つ。ここで所定時間t1は前記したように通常、人が手を振り上げたり振り下ろしたりすると、第2の赤外線センサ16と第3の赤外線センサ17の間を通過するのに要する時間にある程度の時間を加え、例えば0.3秒という程度である。
【0067】
ステップS11では、第2の赤外線センサ16が手を検出したのが早すぎないかを確認するのであるが、ステップS8でカウントを開始した待ち時間が予め定めた所定時間t2を過ぎているかどうかを判定し、t2を過ぎていればステップS12に進み、まだt2に達していなければ使用者が手を上下動作させたものではないと判断してステップS1に戻る。
【0068】
ここで所定時間t2は前記したように通常、人が手を振り上げたり振り下ろしたりすると、第2の赤外線センサ16と第3の赤外線センサ17の間を通過するのに要する時間より十分短い時間の、例えば0.05秒という程度である。
【0069】
ステップS12では、第3の赤外線センサ17、第2の赤外線センサ16の順で所定時間の範囲内で手を検出した出力が発生したので、使用者が手を下から上に振り上げたものとしてその信号を第2の発光素子15から送信する。そしてステップS13に進む。
【0070】
ステップS13では、タイマー19を一旦リセットし、再度待ち時間のカウントを開始してステップS14に進む。ステップS14ではステップS13でカウントを開始した待
ち時間が予め定めた所定時間t3を経過したかどうかを判定する。経過していなければステップS14に戻って経過するのを待つ。経過すればステップS1に戻って、再び第2の赤外線センサ16の出力を確認することを繰り返す。
【0071】
ここで所定時間t3だけ待つのは、手の上下動作を確定した直後に、そこから戻すための上下動作があっても、それを検出しないようにするためであり、前記したように便座が立ち上がりや立ち下りに要する時間に合わせ、例えば1.5秒という程度ある。
【0072】
以上のように本発明の実施の形態1によれば、複数の近接検出器を焦電型の赤外線センサとしたことで、使用者の手が赤外線センサの視野に入ることで生じる温度変化による出力の変化の発生する順により手を上から下に振り下ろしたのか、下から上に振り上げたのかを判定することができ、その上下動作に連動するように便座を立ち上げたり、立ち下げたりの駆動を制御することが可能となる。
【0073】
なお、本実施の形態1では近接検出器として焦電型赤外線センサを用いたが、サーモパイル型赤外線センサを用いても同様の効果を得られるものであり、他にも、2枚の電極を備えた構成にして、信号処理回路において電極における静電容量を測定することで、手が近付いたことを検出するという方法もある。
【0074】
赤外線センサや電極での静電容量の測定は、わずかな消費電流でできることであり、リモコンを無線にして電池電源で制御することが可能となる効果がある。
【0075】
(実施の形態2)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態において、第1の実施の形態と異なるところは動作検出手段14の部分であり、図4は動作検出手段14を含む遠隔操作装置である第2のリモコン13の構成を説明する図である。図4において図1と同じ機能を有するものには同じ番号を付し、説明を省略する。
【0076】
図4において、第3の発光素子20、第2の受光素子21はともにフォトダイオードであり、第3の発光素子20が点灯して出力された赤外光がその前の物体で反射すると、第2の受光素子21が受光して出力を発生する。
【0077】
第2の受光素子21の出力は、第3の発光素子20と第2の受光素子21の前方の物体までの距離に関係し、距離が近いほど出力は大きく、10cmぐらいまでの距離に人体の一部、例えば使用者の手が近接すればそれを検出することができる。
【0078】
その近接の判定を行うのが、第1の近接判定部22である。第1の近接判定部22では第2の受光素子21の出力が所定レベル以上であれば、何かの物体が近接したと判定する。また第2の近接判定部23は第2の赤外線センサ16、第3の近接判定部24は第3の赤外線センサ17の出力を監視し、温度変化即ち人体の一部が近付いたことを判定する。
【0079】
これは焦電型赤外線センサである第2の赤外線センサ16や第3の赤外線センサ17は、比較的離れた例えば1〜2m離れた場所で大きいものが動いたときにも、よく似た出力を発生するので、それと区別して10cmぐらいまでの距離に物体があるかどうかを確認するために第3の、第3の発光素子20を点灯したときの第2の受光素子21の出力の大きさも判定している。
【0080】
発光制御部25は、第3の発光素子20の点灯、消灯を制御する。これは第3の、第3の発光素子20を点灯するためには多くの電流を流さなければならない。したがって常に点灯しておくのでなく、10cmぐらいに手が近付いているのかどうかを判定するときだ
け点灯するようにして、電流消費を抑制する。
【0081】
そのために、発光制御部25は第2の近接判定部23と第3の近接判定部24からの入力を受け付けるようにしていて、いずれかの近接判定部が近接を判定したときに第3の、第3の発光素子20を発光させるようにしている。
【0082】
動作方向判定部26は、第2の近接判定部23、第3の近接判定部24の判定の順番より上から下か、下から上かいずれの方向に、人体の一部の例えば手が動いたかを判定するとともに、その時に第1の近接判定部22の判定より近接した場所で手などが動いたことの確認と合わせて、動作方向を確定している。
【0083】
なお、第3の発光素子20と第2の受光素子と、第3の発光素子20と第2の受光素子との近傍に配置される第2の赤外線センサ16および第3の赤外線センサ17とが、複数の近接検出器として機能する。
【0084】
図5は第2の赤外線センサ16と第3の赤外線センサ17、および第3の発光素子20と第2の受光素子21の前で、使用者が手を下から上に振り上げた場合の、それぞれの素子の出力の時間的変化を示すタイミングチャートである。
【0085】
図2(a)と同様、V16は第2の赤外線センサ16の出力の時間変化であり、V17は第3の赤外線センサ17の出力の時間変化であり、また、I20は第3の発光素子20の出力、V21は第2の受光素子21の出力の時間変化である。
【0086】
図5に示すように、手を下から上に振り上げると、図2(a)と同様、まず下に取り付けている第3の赤外線センサ17が温度変化に対する出力を発生する。それを第3の近接判定部24が近接と判定し、発光制御部25が第3の、第3の発光素子20を所定のパターンで点滅させる。第3の発光素子20で発光した光は手で反射して第2の受光素子21が受光する。
【0087】
第2の受光素子21は第3の発光素子20の点滅パターンと一致する出力を発生する。そして上に取り付けている第2の赤外線センサ16が温度変化に対する出力を発生する。
【0088】
このように第3の赤外線センサ17、第2の赤外線センサ16の順で出力を発生し、且つ第3の発光素子20の点滅に対して第2の受光素子21でそれと同じ出力があれば、動作方向判定部26は手が下から上に振り上げられたと判定する。第3の発光素子20の点滅に対して第2の受光素子21の出力がなければ、動作方向判定部26は手を近づけて振り上げる動作をしたものではないと判定する。
【0089】
使用者が手を上から下に振り下ろした場合は、第2の赤外線センサ16と第3の赤外線センサ17の出力の順が逆になり、先に第2の赤外線センサ16が出力を発生し、後から第3の赤外線センサ17が出力を発生する。
【0090】
ここで、発光制御部25が第3の、第3の発光素子20を点滅させるのは、他の例えば自然光などで第2の受光素子21が出力をしてしまうことと区別するためであり、所定の点滅パターンと同じパターンで出力があることで、第3の発光素子20の発光が反射して第2の受光素子21が受光したことを確認するためである。
【0091】
第2の実施の形態における第2の信号処理回路18の動作について、図6のフローチャートにより説明する。図6において、第1の実施の形態の図3と同一の動作については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0092】
ステップS1で第2の赤外線センサ16が手を検出した出力があったと判定するとステップS3に進んでタイマー19により待ち時間のカウントを開始しステップS101に進む。ステップS101で第3の、第3の発光素子20を例えば図5に示すような所定のパターンで点滅する。そしてステップS102に進む。
【0093】
ステップS102では、ステップS101で第3の、第3の発光素子20を点滅したそのパターンと同じパターンの受光があったかを判定し、同じパターンの受光があればステップS4に進み、同じパターンの受光がなければステップS1に戻る。
【0094】
また、ステップS2で第3の赤外線センサ17が手を検出した出力があったと判定するとステップS8に進んでタイマー19により待ち時間のカウントを開始しステップS103に進む。ステップS103で第3の、第3の発光素子20を例えば図5に示すような所定のパターンで点滅する。そしてステップS104に進む。
【0095】
ステップS104では、ステップS103で第3の、第3の発光素子20を点滅したそのパターンと同じパターンの受光があったかを判定し、同じパターンの受光があればステップS9に進み、同じパターンの受光がなければステップS1に戻る。
【0096】
このようにして実施の形態2によれば、第2の赤外線センサ16と第3の赤外線センサ17で手の近接と動く方向を検出する以外に、第3の発光素子20と第2の受光素子21により10cmぐらいのところに手が近接しているかどうかを確認しているので、1〜2m離れた場所での大きい動きのような、使用者が便座を上げ下げするための動作でない、別の動作を誤って判定してしまうことがなく、より確実に判定できる。
【0097】
また、第2の赤外線センサ16か第3の赤外線センサ17により手の近接を検出した時にだけ、第3の発光素子を点灯するので、消費電流を抑えることができ、電池電源のリモコンに搭載することもできる。
【0098】
(実施の形態3)
次に本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態において、第1、第2の実施の形態と異なるところは動作検出手段14の部分であり、図7は動作検出手段14を含む遠隔操作装置である第2のリモコン13の構成を説明する図である。図7において図1、図4と同じ機能を有するものには同じ番号を付し、説明を省略する。
【0099】
図7において、第3の発光素子20は赤外発光ダイオードであり、それに対してフォトダイオードより成る受光素子が二つある。第3の受光素子27は第3の発光素子20より上方に配置し、第4の受光素子28は第3の発光素子20より下方に配置している。
【0100】
第3の受光素子27と第4の受光素子28は、それぞれ第3の発光素子20との間に一定の間隔を開けて配置したものであり、その間隔は例えば5cmぐらいである。そして第3の発光素子20が点灯して出力された赤外光がその前の物体で反射すると、第3の受光素子27や第4の受光素子28が受光して出力を発生する。
【0101】
第3の受光素子27、第4の受光素子28の出力は、前方の物体までの距離が10cmぐらいまでの距離に人体の一部、例えば使用者の手が近接すればそれを検出することができる。
【0102】
一方、焦電型である第2の赤外線センサ16は、その視野角を十分広くたとえば90度以上にしていて、比較的広い範囲、また1〜2mぐらい離れた場所までの温度変化に対し
て出力を発生するものであり、第2の近接判定部23が第2の赤外線センサ16の出力を基に第2のリモコン13近傍に人または人体の一部が近付いたことを判定する。
【0103】
第2の近接判定部23が第2の赤外線センサ16の出力より人が近付いたことを判定すると、発光制御部25は、第3の発光素子20を所定のパターンで点滅する。実際に人体の一部の例えば手が近付いていたらその点滅のパターンに合わせて、第3の受光素子27や第4の受光素子28が出力を発生する。
【0104】
動作方向判定部26は、第3の受光素子27と第4の受光素子28の出力の順番より上から下か、下から上かいずれの方向に、人体の一部の例えば手が動いたかを判定して動作方向を確定している。
【0105】
これは、第3の、第3の発光素子20を発光するためには多くの電流を流す必要があり、それを抑制するために、第2の赤外線センサ16から第2の近接判定部23により人または人体の一部が近付いた可能性の高いと判定したときにだけ、第3の発光素子20を発光させることとしている。
【0106】
なお、第2の赤外線センサ16と、第3の発光素子20と、第3の発光素子20から発せられた光を受光する第3の受光素子27および第4の受光素子とが、複数の近接検出器として機能する。
【0107】
図8は第2の赤外線センサ16と第3の発光素子20、および第3の受光素子27、第4の受光素子28の前で、使用者が手を下から上に振り上げた場合の、それぞれの素子の出力の時間的変化を示すタイミングチャートである。
【0108】
V16は第2の赤外線センサ16の出力の時間変化であり、I20は第3の発光素子20の出力、V27は第3の受光素子27の出力、V28は第4の受光素子28の出力の時間変化である。
【0109】
図8に示すように、まず人が近付き手を近付けてくると、第2の赤外線センサ16が視野範囲内で温度変化を検出して出力を発生する。これを第2の近接判定部23が近接と判定する。第2の赤外線センサ16の出力はその視野範囲内に手が入っている間は大きな変化はない。
【0110】
第1の近接判定部22が近接を判定すると発光制御部25が第3の、第3の発光素子20を所定のパターンで点滅させる。そして使用者の手が第4の受光素子28の近傍に近付くと、第3の発光素子20で発光した光は手で反射して第4の受光素子28が受光する。
【0111】
第4の受光素子28は第3の発光素子20の点滅パターンと一致する出力を発生する。その後、上に取り付けている第3の受光素子27の近傍に使用者の手が近付くと、第3の発光素子20で発光した光は手で反射して第3の受光素子27が受光する。第3の受光素子27は第3の発光素子20の点滅パターンと一致する出力を発生する。
【0112】
このように第4の受光素子28、第3の受光素子27の順で出力の発生があれば、動作方向判定部26は手が下から上に振り上げられたと判定する。そして発光制御部25により第3の発光素子20の点滅を停止する。
【0113】
ここで、第2の赤外線センサ16の出力から第1の近接判定部22が近接を判定しても、その後に第3の受光素子27と第4の受光素子28の出力がなければ、それは手を近づけて振り上げる動作をしたものではないと判定して、第3の発光素子20の点滅を停止す
る。
【0114】
使用者が手を上から下に振り下ろした場合は、第3の受光素子27と第4の受光素子28の出力の順が逆になり、先に第3の受光素子27が出力を発生し、後から第4の受光素子28が出力を発生する。
【0115】
第3の実施の形態における第2の信号処理回路18の動作について、図9のフローチャートにより説明する。図9において、第1の実施の形態の図3と同一の動作については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0116】
図9において、第2の信号処理回路18は、まずステップS201で発光制御部25により第3の、第3の発光素子20を消灯する。次にステップS202で第2の近接判定部23により第2の赤外線センサ16の信号から人または人体の一部の近接があるかどうかを判定する。
【0117】
近接があったと判定すれば、ステップS203に進み、近接があったと判定しなければステップS201に戻り処理を繰り返す。そしてステップS203でタイマー19により待ち時間のカウントを開始する。ステップS204で発光制御部25により第3の、第3の発光素子20を所定パターンでの点滅を開始する。
【0118】
ステップS205において、ステップS203でカウントを開始した待ち時間が所定時間t4を経過したかどうかを判定し、まだ経過してなければステップS206に進み、すでに経過してしまえばステップS201に戻る。
【0119】
これは後に説明する第3の受光素子27や第4の受光素子28が所定パターンの検出をしないまま所定時間t4を経過した場合であり、離れた場所での人の動きや人以外の動きなどで第2の赤外線センサ16が近接検出のような出力をした場合には第3の、第3の発光素子20を消灯して再び第2の赤外線センサ16が近接検出の出力をするのを待つ。ここでの所定時間t4は例えば1分である。
【0120】
ステップS206では第3の受光素子27が所定の点滅パターンを検出したかどうかを判定する。検出しなければステップS207に進み、検出すればステップS3に進みタイマー19により再び待ち時間のカウントを開始し、ステップS208で、第4の受光素子28が所定の点滅パターンを検出したかどうかを判定する。
【0121】
そして検出していなければステップS5に進み、所定の点滅パターンを検出するとステップS6に進む。ステップS5では待ち時間が所定時間t1を過ぎたかどうかを判定し、t1を過ぎてしまうとステップS201に戻る。
【0122】
ステップS5においてまだt1を過ぎていなければステップS208に戻って第4の受光素子28が所定のパターンを検出することを待つ。
【0123】
ステップS6では待ち時間が予め定めた所定時間t2を過ぎているかどうかを判定し、t2を過ぎていればステップS209に進み、まだt2に達していなければ使用者が手を上下動作させたものではないと判断してステップS201に戻る。
【0124】
ステップS209では第3の、第3の発光素子20を消灯しステップS7に進む。ステップS7では、第2の赤外線センサ16が近接を検出し、第3の受光素子27、第4の受光素子28の順で所定時間の範囲内で所定パターンの点滅を検出したので、使用者が手を上から下に振り下ろしたものとしてその信号を第2の発光素子15から送信する。そして
ステップS13に進む。
【0125】
ステップS207では第4の受光素子28が所定の点滅パターンを検出したかどうかを判定し、検出しなければステップS205に戻り、所定の点滅パターンを検出するとステップS8に進み、タイマー19により待ち時間のカウントを開始しステップS210に進む。
【0126】
ステップS210では、次に第3の受光素子27が所定の点滅パターンを検出したかどうかを判定する。そして検出しなければステップS10に進み、所定の点滅パターンを検出するとステップS11に進む。
【0127】
ステップS10では待ち時間が予め定めた所定時間t1を過ぎたかどうかを判定する。そしてt1を過ぎてしまうとステップS201に戻り、ステップS10においてまだt1を過ぎていなければステップS210に戻って第3の受光素子27が所定の点滅パターンを検出することを待つ。
【0128】
ステップS11では、待ち時間が予め定めた所定時間t2を過ぎているかどうかを判定し、t2を過ぎていればステップS211に進み、まだt2になっていなければ使用者が手を上下動作させたものではないと判断してステップS201に戻る。
【0129】
ステップS211では第3の、第3の発光素子20を消灯しステップS12に進む。ステップS12では、第2の赤外線センサ16が近接を検出し、第4の受光素子28、第3の受光素子27の順で所定時間の範囲内で所定パターンの点滅を検出したので、使用者が手を下から上に振り上げたものとしてその信号を第2の発光素子15から送信する。そしてステップS13に進む。
【0130】
ステップS13では、タイマー19により再度待ち時間のカウントを開始してステップS14に進む。ステップS14ではステップS13でカウントを開始した待ち時間が予め定めた所定時間t3を経過したかどうかを判定する。経過していなければS14に戻って経過するのを待つ。経過すればステップS201に戻る。
【0131】
このようにして実施の形態3によれば、焦電型である第2の赤外線センサ16で人または人体の一部の近接を検出してから、第3の、第3の発光素子20を点滅させて第3の受光素子27、第4の受光素子28で近接と動く方向を検出しているので、第3の、第3の発光素子20を発光するために必要な消費電流を最小限に抑え、そして1〜2m離れた場所での大きい動きのような、使用者が便座を上げ下げするための動作でない、別の動作を誤って判定してしまうことがなく、10cmぐらいのところでの手の動きだけを確実に判定することができ、電池電源のリモコンにも搭載できる。
【0132】
なお、近接を検出する焦電型である第2の赤外線センサ16を、第3の発光素子20や第3の受光素子27、第4の受光素子28と同じ第2のリモコン13に搭載したが、別の場所に搭載してもよい。
【0133】
例えば、実施の形態1で説明した第1のリモコンに搭載している人が近付いたことを検出する第1の赤外線センサ10で代用しても良い。この場合には第1のリモコンから第2のリモコンへ人の近接検出を直接通信する手段か、または本体8を介して第2のリモコンに通信する手段を備えることで実現できる。
【0134】
(実施の形態4)
次に本発明の第4の実施の形態について説明する。図10は遠隔操作装置である第2の
リモコンの構成を示す図であり図1、図4、図7と同じ機能を有するものは同じ番号を付し説明を省略する。
【0135】
第4の実施の形態では近接検出器は第1の実施の形態と同様に焦電型赤外線センサ2個で、図10に示すように第2の赤外線センサ16と第3の赤外線センサ17より成る。そして2個の焦電型赤外線センサは素子同士を近接させて一体化し1個のパッケージに収めたものであり、更に2個の焦電型赤外線センサは方向を逆にして直列接続している。
【0136】
焦電型赤外線センサは、そもそもセンサ自身の温度と視野となる対象物の温度の温度差の変化に対して出力を発生するものであり、センサ自身も温度が急に変動した場合には出力を発生するものである。そこで2個のセンサの方向を逆にして直列接続することでセンサ自身の温度変動の影響をキャンセルしている。
【0137】
図11に直列接続した赤外線センサの信号処理を行う電子回路29の構成を示す。直流電源30は例えば電池で、例えば3Vを供給している。電源IC31は直流電源30の電源を入力にして、それよりも低い電圧、例えば1.5Vを出力としている。
【0138】
第2の赤外線センサ16、第3の赤外線センサ17は、二つの焦電型赤外線センサを方向性を逆にして直列に接続している。このいずれかの赤外線センサの視野の温度が変化すると出力電流が発生し抵抗32を流れるとともにFET33に電流を供給する。
【0139】
FET33では電流増幅され抵抗34を流れてその両端の電圧はフィルタ回路35で特定の周波数成分を中心に増幅される。
【0140】
フィルタ回路35は、オペアンプ36と、抵抗37、抵抗38と、コンデンサ39、コンデンサ40により構成したバンドパスフィルタであり、抵抗37と抵抗38により増幅率を決め、抵抗37、抵抗38とコンデンサ39より成る積分回路と、抵抗37、抵抗38、コンデンサ40より成る微分回路でフィルタ特性を決めるものである。
【0141】
それらの組合せによりフィルタ回路35は、30Hzぐらいにピークを持たせるような周波数特性、増幅率で約1000倍となるようにしている。一般に人が移動するようなことを検出するのであれば1Hzぐらいにピークを持たせた周波数特性のフィルタ回路にしておけば検出しやすいのであるが、センサ近傍で手を上下動作させる速さはそれよりかなり速いものである。
【0142】
ここで30Hzぐらいにピークを持たせた周波数特性としていることで、手の上下動作を効率よく検出し、そして離れた場所での人の移動などではセンサの出力がほとんど増幅されないようにして、手の上下動作以外の要因の誤検出がないようにしている。
【0143】
図12を用いて第2の赤外線センサ16と第3の赤外線センサ17を直列接続したセンサの出力特性について説明する。図2においてV36はフィルタ回路35のオペアンプ36の出力電圧の時間変化である。図2(a)は第2の赤外線センサ16と第3の赤外線センサ17の前で、使用者が手を下から上に振り上げた場合であり、図2(b)は使用者が手を上から下に振り下ろした場合である。
【0144】
図2(a)において、使用者が手を下から上に振り上げると、まず第3の赤外線センサ17の視野に使用者の手が入る。第3の赤外線センサ17は図11に示すようにグランド側がマイナスとなるように接続しているので、まずプラス側の電圧を発生することになる。そして第3の赤外線センサ17の視野から使用者の手が出て行くときに逆にマイナス側に出力を発生する。
【0145】
第3の赤外線センサ17の視野から使用者の手が出て行くのとほぼ同時に次は第2の赤外線センサ16の視野に使用者の手が入る。第2の赤外線センサ16は図11に示すようにグランド側がプラスとなるように接続しているので、まずマイナス側の電圧が発生することになる。そして第2の赤外線センサ16の視野から使用者の手が出て行くときに逆にプラス側に出力を発生する。
【0146】
そして図12(a)に示すように第3の赤外線センサ17の視野から使用者の手が出て行くときのマイナス側の出力と第2の赤外線センサ16の視野に手が入るときのマイナス側の出力が重なるようになって、プラス、マイナス、プラスの順に出力が発生する。
【0147】
図2(b)において、使用者が手を上から下に振り下ろすと、まず第2の赤外線センサ16の視野に使用者の手が入り、まずマイナス側の電圧を発生することになる。そして第2の赤外線センサ16の視野から使用者の手が出て行くときに逆にプラス側に出力を発生する。
【0148】
第2の赤外線センサ16の視野から使用者の手が出て行くのとほぼ同時に次は第3の赤外線センサ17の視野に使用者の手が入り、まずプラス側の電圧が発生することになる。そして第3の赤外線センサ17の視野から使用者の手が出て行くときに逆にマイナス側に出力を発生する。
【0149】
図12(b)に示すように第2の赤外線センサ16の視野から使用者の手が出て行くときのプラス側の出力と第3の赤外線センサ17の視野に手が入るときのプラス側の出力が重なるようになって、マイナス、プラス、マイナスの順に出力が発生する。
【0150】
即ち、使用者が手を下から上に振り上げた場合と、上から下に振り下ろした場合では位相が全く反対の出力となるので、どちらの波形かを判定することで手の上下の移動方向は容易に判定できる。
【0151】
このようにして実施の形態4によれば、2個の焦電型赤外線センサを近接させて方向性を逆にして直列接続した出力より動作を検出しているので、赤外線センサ自身の温度変化による出力をキャンセルして誤検出を防止している他、信号処理のフィルタ回路でゆっくりとした動作の出力を抑えているので、手の動きなど使用者が意図した動作だけを検出できるように、その精度を高めることができている。
【0152】
なお、このように2個の焦電型赤外線センサを近接させて方向性を逆にして直列接続する構成は、本発明の実施の形態2への応用も可能であり、即ち、2個の直列接続した焦電型赤外線センサと発光素子と受光素子により動作を検出することで、更に検出の精度を高めることもできる。
【0153】
また、以上説明してきた実施の形態1〜4において、複数の赤外線センサや複数の受光素子は上下に配置して説明したが、このようにすることで便座の立ち上げ、立ち下げという動きと、手の上下動作を合わせてわかり易い操作にできるという効果があるからである。
【0154】
しかし、これは本発明を限定するものではなく、複数の赤外線センサや複数の受光素子を左右に並べて配置したり、斜めに並べて配置したりしても、手など人体の一部の移動方向を検出することは同様に可能であり、便座に触れずに使用者の意図どおりに便座を駆動する同様の効果を有するものである。
【産業上の利用可能性】
【0155】
以上のように本発明は、動作検出手段により人体の少なくとも一部の上下動作を検出し、制御手段によって検出した上下動作に対応してモータを制御し便座を回転動作するので、使用者が意図を持って行う上下動作を検出し、使用者の意図どおりに便座の動作を制御することが可能となるので、トイレ装置に適用できる他、手が汚れたり濡れたりしているときに、操作したいような機器にも利用可能である。
【符号の説明】
【0156】
1 便器
2 便蓋
3 便蓋モータ
4 便座
5 便座モータ
6 第1の受光素子
7 モータ制御手段
8 本体
9 第1のリモコン
10 第1の赤外線センサ
11 第1の信号処理回路
12 第1の発光素子
13 第2のリモコン
14 動作検出手段
15 第2の発光素子
16 第2の赤外線センサ
17 第3の赤外線センサ
18 第2の信号処理回路
19 タイマー
20 第3の発光素子
21 第2の受光素子
22 第1の近接判定部
23 第2の近接判定部
24 第3の近接判定部
25 発光制御部
26 動作方向判定部
27 第3の受光素子
28 第4の受光素子
29 電子回路
30 直流電源
31 電源IC
32、34、37、38 抵抗
33 FET
35 フィルタ回路
39、40 コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座と、前記便座を回転動作させる便座モータと、人体の少なくとも一部の動作を検出する動作検出手段と、前記動作検出手段により検出した動作に対応して前記便座モータを制御するモータ制御手段を備えたトイレ装置。
【請求項2】
前記便座および前記便座モータを含む本体と、前記本体とは別に設けられる遠隔操作装置とをさらに備え、前記遠隔操作装置が、前記動作検出手段と、前記遠隔操作装置と前記本体との通信を行う通信手段とを有する請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記動作検出手段が、前記人体の少なくとも一部が近接したことを検出する複数の近接検出器を有する請求項1または2に記載のトイレ装置。
【請求項4】
前記複数の近接検出器が、赤外線を検出する複数の赤外線検出器を有する請求項3に記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記複数の近接検出器が、発光素子と、前記発光素子から発せられた光を受光する受光素子と、前記発光素子および前記受光素子の近傍に赤外線を検出する複数の赤外線検出器を有する請求項3に記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記複数の近接検出器が、赤外線を検出する赤外線検出器と、発光素子と、前記発光素子から発せられた光を受光する複数の受光素子を有する請求項3に記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記複数の赤外線検出器が焦電型赤外線検出器であり、各焦電型赤外線検出器の方向性を逆にして直列接続され、前記動作検出手段が両端の出力を検出する電子回路を備えた請求項4または5に記載のトイレ装置。
【請求項8】
前記動作検出手段が前記複数の赤外線検出器の出力を処理する電子回路を有し、前記電子回路において人が歩く速さより十分速い速度に対応した周波数に高い感度を持たせるフィルタ回路を備えた請求項4、5または7に記載のトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−254135(P2012−254135A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127881(P2011−127881)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】