説明

トウゴマ植物由来種子優先遺伝子プロモーター

配列番号:9または配列番号:10の配列に少なくとも約90%相同性を有するヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列。配列番号:9または配列番号:10の配列に少なくとも約90%相同性を有するヌクレオチド配列に作動可能に連結された目的のヌクレオチド配列が開示される。ベクター、標的発現を調節する方法、上記ヌクレオチド配列を含む細胞、植物、および種子を提供する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2007年12月4日に出願の米国特許仮出願第60/992,273号「Seed−Preferred Gene Promoters From the Castor Plant.」の出願日の利益を主張する。
【0002】
連邦支援研究または開発に関する陳述
本明細書に記載する研究は、一部にエネルギー省からの賞金に支援を受けた;賞金番号DE−FC07−01ID14213。合衆国政府は本発明にある種の権利を有する可能性がある。
【0003】
本発明は、他のヌクレオチド配列の発現を推進することができるヌクレオチド配列に関する。
【背景技術】
【0004】
組換え植物を作製するために重要な考慮すべき事柄は、導入遺伝子発現を推進するのに適切な活性を示す遺伝子プロモーターの使用である。プロモーターは、遺伝子発現のレベルだけではなく、発現の時機および組織特異性も制御することができる。
【0005】
特定の産業上の有用性を有する脂肪酸を生産するために使用することができる産業的油料種子作物の開発に関心がもたれている。トウゴマ植物(リキヌスコンムニス(Ricinus communis))は、その長い歴史を持つヒマシ油を得るための栽培のためにこの点に関して特に興味深い。したがって、トウゴマおよび他の植物の遺伝子導入亜種の作製に使用するためのトウゴマ由来のプロモーターがあれば、当技術分野の前進になると考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例となる実施形態には、配列番号:9もしくは配列番号:10の配列に少なくとも約90%相同性を有するヌクレオチド配列を含む単離されたヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列、ベクター、細胞、植物、および/または種子が含まれる。
【0007】
本発明の追加の例となる実施形態には、配列番号:9もしくは配列番号:10の配列に少なくとも約90%相同性を有するヌクレオチド配列を含む単離されたヌクレオチド配列に作動可能(operably linked)に連結された、目的のヌクレオチド配列(nucleotide sequence of interest)を含むヌクレオチド配列、ベクター、細胞、植物、および/または種子が含まれる。
【0008】
本発明の追加の例となる実施形態は、目的のヌクレオチド配列によりコードされた分子の発現を促進する方法であって、請求項1に記載の単離されたヌクレオチド配列を目的のヌクレオチド配列に作動可能に連結することを含む方法を含む。
【0009】
本発明の追加の例となる実施形態は、細胞中で目的のヌクレオチド配列にコードされた分子を産生する方法であって、請求項1に記載の単離されたヌクレオチド配列を目的のヌクレオチド配列に作動可能に連結すること、作動可能に連結されたヌクレオチド配列を細胞に供給する(providing)こと、および目的のヌクレオチド配列を発現させることを含む方法を含む。
【0010】
本発明の追加の例となる実施形態は、細胞中で標的(target)の発現を調節する方法であって、ヌクレオチド配列が細胞中で標的の発現を調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNAをコードする目的のヌクレオチド配列を提供すること、請求項1に記載の単離されたヌクレオチド配列を目的のヌクレオチド配列に作動可能に連結すること、作動可能に連結されたヌクレオチド配列を細胞に供給すること、および目的のヌクレオチド配列を発現させることを含む方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、植物全体でトウゴマオレオシンおよび54−SSPプロモーターを試験するための植物バイナリー発現ベクターを図示する。
【図2A】図2Aは、pDOW2771(54−SSPプロモーター)で形質転換されたT2シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)植物から単離された種々の組織由来の抽出物中のCopGFPの発現を示すグラフである。図2Aは、6種の異なるT1系統から作製されたT2植物の平均CopGFP発現結果(+/−標準偏差)を表す。T2系統ごとに、左端のバーは葉発現、中央のバーは発生中の長角果発現、および右端のバーは成熟種子発現に対応する。RFU=相対的蛍光単位;n=各T1系統由来の試験されたT2植物の数。
【図2B】図2Bは、pDOW2771(54−SSPプロモーター)で形質転換されたT2シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)植物から単離された種々の組織由来の抽出物中のCopGFPの発現を示すグラフである。図2Bは、葉中のGFP発現に対する種々の組織中のCopGFP発現を表す。T2系統ごとに、左端のバーは葉対葉発現、中央のバーは発生中の長角果対葉発現、および右端のバーは成熟種子対葉発現に対応する。RFU=相対的蛍光単位;n=各T1系統由来の試験されたT2植物の数。
【図2C】図2Cは、pDOW2771(54−SSPプロモーター)で形質転換されたT2シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)植物から単離された種々の組織由来の抽出物中のCopGFPの発現を示すグラフである。図2Cは、個々のT2系統中のCopGFP発現を表す。RFU=相対的蛍光単位;n=各T1系統由来の試験されたT2植物の数。
【図3A】は、pDOW2772(オレオシンプロモーター)で形質転換されたT2シロイヌナズナ植物から単離された種々の組織由来の抽出物中のCopGFPの発現を示すグラフである。図3Aは、7種の異なるT1系統から作製されたT2植物の平均CopGFP発現結果(+/−標準偏差)を表す。T2系統ごとに、左端のバーは葉発現、中央のバーは発生中の長角果発現、および右端のバーは成熟種子発現に対応する。RFU=相対的蛍光単位;n=各T1系統由来の試験されたT2植物の数。
【図3B】は、pDOW2772(オレオシンプロモーター)で形質転換されたT2シロイヌナズナ植物から単離された種々の組織由来の抽出物中のCopGFPの発現を示すグラフである。図3Bは、葉中のGFP発現に対する種々の組織中のCopGFP発現を表す。T2系統ごとに、左端のバーは葉対葉発現、中央のバーは発生中の長角果対葉発現、および右端のバーは成熟種子対葉発現に対応する。RFU=相対的蛍光単位;n=各T1系統由来の試験されたT2植物の数。
【図3C】図3Cは、pDOW2772(オレオシンプロモーター)で形質転換されたT2シロイヌナズナ植物から単離された種々の組織由来の抽出物中のCopGFPの発現を示すグラフである。図3Cは、個々のT2系統中のCopGFP発現を表す。RFU=相対的蛍光単位;n=各T1系統由来の試験されたT2植物の数。
【図4】図4は、シロイヌナズナ中の脂肪酸産生の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、他のヌクレオチド配列の発現を促進することができるヌクレオチド配列に関する。本発明の一態様は、配列番号:9および配列番号:10から選択されるヌクレオチド配列に少なくとも約60%同一性、少なくとも約70%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約90%同一性、または少なくとも約95%同一性を有するヌクレオチド配列を含む単離されたヌクレオチド配列を提供する。本発明の追加の態様では、そのような配列はプロモーターとして作用することができる。
【0013】
本発明の追加の態様は、配列番号:9および配列番号:10から選択されるヌクレオチド配列に少なくとも約60%同一性、少なくとも約70%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約90%同一性、または少なくとも約95%同一性を有する単離されたヌクレオチド配列を含むベクターを提供する。
【0014】
本発明の追加の態様は、配列番号:9および配列番号:10から選択されるヌクレオチド配列に少なくとも約60%同一性、少なくとも約70%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約90%同一性、または少なくとも約95%同一性を有する単離されたヌクレオチド配列を含む細胞を提供する。
【0015】
本発明の追加の態様は、配列番号:9および配列番号:10から選択されるヌクレオチド配列に少なくとも約60%同一性、少なくとも約70%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約90%同一性、または少なくとも約95%同一性を有する単離されたヌクレオチド配列を含むベクターを含む細胞を提供する。当業者に明らかであるように、細胞は、ヌクレオチド配列および/またはベクターの宿主となり得る(capable of harboring)どんな種類の細胞でも可能である。本発明に従って有用な細胞の例には、真核細胞、原核細胞、動物細胞、植物細胞、細菌細胞、生殖系細胞、種子細胞、シロイヌナズナ細胞、ヒマワリ細胞、ワタ細胞、ナタネ細胞、トウモロコシ細胞、ヤシ細胞、タバコ細胞、ピーナッツ細胞、ダイズ細胞、およびトウゴマ細胞が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本発明の追加の態様は、配列番号:9および配列番号:10から選択されるヌクレオチド配列に少なくとも約60%同一性、少なくとも約70%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約90%同一性、または少なくとも約95%同一性を有する単離されたヌクレオチド配列を含む植物を提供する。本発明に従って有用な植物の例には、ヒマワリ、ワタ、ナタネ、トウモロコシ、ヤシ、タバコ、ピーナッツ、ダイズ、シロイヌナズナ属(Arabidopsis sp.)およびトウゴマ属(Ricinus sp.)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本発明の追加の態様は、配列番号:9および配列番号:10から選択されるヌクレオチド配列に少なくとも約60%同一性、少なくとも約70%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約90%同一性、または少なくとも約95%同一性を有する単離されたヌクレオチド配列を含む種子を提供する。本発明に従って有用な種子の例には、ヒマワリ、ワタ、ナタネ、トウモロコシ、ヤシ、タバコ、ピーナッツ、ダイズ、シロイヌナズナ属およびトウゴマ属由来の種子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
本発明の追加の態様は、配列番号:9および配列番号:10から選択されるヌクレオチド配列に少なくとも約60%同一性、少なくとも約70%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約90%同一性、または少なくとも約95%同一性を有する単離されたヌクレオチド配列に作動可能に連結された、目的のヌクレオチド配列(a nucleotide sequence of interest)を提供する。
【0019】
本発明の追加の態様は、配列番号:9および配列番号:10から選択されるヌクレオチド配列に少なくとも約60%同一性、少なくとも約70%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約90%同一性、または少なくとも約95%同一性を有する単離されたヌクレオチド配列に作動可能に連結された、目的のヌクレオチド配列を含むベクターを提供する。
【0020】
本発明の追加の態様は、配列番号:9および配列番号:10から選択されるヌクレオチド配列に少なくとも約60%同一性、少なくとも約70%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約90%同一性、または少なくとも約95%同一性を有する単離されたヌクレオチド配列に作動可能に連結された、目的のヌクレオチド配列を含む細胞を提供する。
【0021】
本発明の追加の態様は、配列番号:9および配列番号:10から選択されるヌクレオチド配列に少なくとも約60%同一性、少なくとも約70%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約90%同一性、または少なくとも約95%同一性を有する単離されたヌクレオチド配列に作動可能に連結された、目的のヌクレオチド配列を含むベクターを含む細胞を提供する。当業者に明らかであるように、細胞は、ヌクレオチド配列の宿主となり得るどんな種類の細胞でも可能である。本発明に従って有用な細胞の例には、真核細胞、原核細胞、動物細胞、植物細胞、細菌細胞、生殖系細胞、種子細胞、ヒマワリ細胞、ワタ細胞、ナタネ細胞、トウモロコシ細胞、ヤシ細胞、タバコ細胞、ピーナッツ細胞、ダイズ細胞、シロイヌナズナ属細胞、およびトウゴマ属細胞が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本発明の追加の態様は、配列番号:9および配列番号:10から選択されるヌクレオチド配列に少なくとも約60%同一性、少なくとも約70%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約90%同一性、または少なくとも約95%同一性を有する単離されたヌクレオチド配列に作動可能に連結された、目的のヌクレオチド配列を含む植物を提供する。本発明に従って有用な植物の例には、ヒマワリ、ワタ、ナタネ、トウモロコシ、ヤシ、タバコ、ピーナッツ、ダイズ、シロイヌナズナ属およびトウゴマ属が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本発明の追加の態様は、配列番号:9および配列番号:10から選択されるヌクレオチド配列に少なくとも約60%同一性、少なくとも約70%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約90%同一性、または少なくとも約95%同一性を有する単離されたヌクレオチド配列に作動可能に連結された、目的のヌクレオチド配列を含む種子を提供する。本発明に従って有用な種子の例には、ヒマワリ、ワタ、ナタネ、トウモロコシ、ヤシ、タバコ、ピーナッツ、ダイズ、シロイヌナズナ属およびトウゴマ属由来の種子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
当業者には明らかであるように、目的のヌクレオチド配列は、発現させたいと思うどんなヌクレオチド配列でもよい。目的のヌクレオチド配列の例には、タンパク質、リボザイム、アンチセンスRNA、siRNA、RNAi分子、マーカー、レポーター、酵素、シグナル伝達分子、脂肪酸合成、分解、貯蔵、および/または調節に関与するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、脂肪酸合成、分解、貯蔵、および/または調節に関与するタンパク質をコードするRNAに標的されたアンチセンスRNA、ならびに脂肪酸合成、分解、貯蔵、および/または調節に関与するタンパク質をコードするRNAに標的されたsiRNAおよび/またはRNAi分子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本発明の追加の態様は、目的のヌクレオチド配列を発現する方法を提供する。そのような方法の一例は、配列番号:9および配列番号:10から選択されるヌクレオチド配列に少なくとも約60%同一性、少なくとも約70%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約90%同一性、または少なくとも約95%同一性を有する単離されたヌクレオチド配列に目的のヌクレオチド配列を作動可能に連結すること、ならびに目的のヌクレオチド配列を発現させることを含む。
【0026】
当業者には明らかであるように、目的のヌクレオチド配列を発現させることは、一般に、作動可能に連結されたヌクレオチド配列に目的のヌクレオチド配列の発現を可能にする環境を提供する、または、作動可能に連結されたヌクレオチド配列を目的のヌクレオチド配列の発現を可能にする環境に供給することに関係する。目的のヌクレオチド配列の発現を可能にする環境の例は、当技術分野では一般に知られており、インビトロ転写キット、PCR反応、細胞、真核細胞、原核細胞、動物細胞、植物細胞、細菌細胞、生殖系細胞、種子細胞、ヒマワリ細胞、ワタ細胞、ナタネ細胞、トウモロコシ細胞、ヤシ細胞、タバコ細胞、ピーナッツ細胞、ダイズ細胞、シロイヌナズナ属細胞、およびトウゴマ属細胞などの、しかしこれらに限定されることはない、少なくとも1つのdNTPおよびポリメラーゼを有するどんな環境でも挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
当業者により認識されるように、作動可能に連結されたヌクレオチド配列は、当技術分野で既知のどんな手順でも使用して発現させる環境に供給してよい。そのような方法の例には、たとえば、リポフェクチンもしくはリポフェクタミン、アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介導入を使用するトランスフェクション(たとえば、Chistou(1996)、Trends Plant Sci.、1:423〜432頁;およびHooykaasとSchilperoot(1992)、Plant Mol.Bio.、19:15〜38頁参照)、フローラルディップ(たとえば、CloughとBent(1998)、Plant J.、16(6)735〜743頁参照)、エレクトロポレーション(たとえば、ShigekawaとDower(1988)、Biotechniques、6:742頁;Miller、ら(1988)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:856〜860頁;およびPowell、ら(1988)、Appl.Environ.Microbiol.、54:655〜660頁参照)、直接DNA取込み機構(たとえば、MandelとHiga(1972)、J.Mol.Biol.、53:159〜162頁;Dityatkin、ら(1972)、Biochimica et Biophysica Acta、281:319〜323頁;Wigler、ら(1979)、Cell、16:77頁;およびUchimiya、ら(1982)、In:Proc.5th Intl.Cong.Plant Tissue and Cell Culture、A.Fujiwara(編)、Jap.Assoc.for Plant Tissue Culture、Tokyo、507〜508頁参照)、融合機構(たとえば、Uchidaz、ら(1980)、In:Introduction of Macromolecules Into Viable Mammalian Cells、Basergaら(編)Wistar Symposium Series、1:169〜185頁参照);感染病原体(Fraley、ら(1986)、CRC Crit.Rev.Plant Sci.、4:1〜46頁;およびAnderson(1984)、Science、226:401〜409頁参照);マイクロインジェクション機構(たとえば、Crossway、ら(1986)、Mol.Gen.Genet.、202:179〜185頁参照);ならびに高速噴出性機構(たとえば、EPO 0405696 to Miller、Schuchardt、SkokutとGould、(The Dow Chemical Company)参照)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
本発明の特定の実施形態は、種子優先(seed preferred)の形で目的のヌクレオチド配列を発現する方法を提供する。そのような方法の一例は、配列番号:9および配列番号:10から選択されるヌクレオチド配列に少なくとも約60%同一性、少なくとも約70%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約90%同一性、または少なくとも約95%同一性を有する単離されたヌクレオチド配列に目的のヌクレオチド配列を作動可能に連結すること、作動可能に連結されたヌクレオチド配列を直接的にまたは間接的に種子細胞に供給すること、ならびに目的のヌクレオチド配列の発現を可能にすることを含む。
【0029】
本発明の他の実施形態は、標的タンパク質のレベルを低下させる方法を提供する。そのような方法の一例は、標的タンパク質をコードするRNAに結合することができるアンチセンスRNAおよび/またはsiRNAをコードするヌクレオチド配列を提供すること、配列番号:9および配列番号:10から選択されるヌクレオチド配列に少なくとも約60%同一性、少なくとも約70%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約90%同一性、または少なくとも約95%同一性を有する単離されたヌクレオチド配列にアンチセンスRNAおよび/またはsiRNAをコードするヌクレオチド配列を作動可能に連結すること、ならびにアンチセンスRNAおよび/またはsiRNAをコードするヌクレオチド配列を発現させることを含む。
【0030】
本発明の他の態様は、種子優先の形で標的タンパク質のレベルを低下させる方法を提供する。そのような方法の一例は、標的タンパク質をコードするRNAに結合することができるアンチセンスRNAおよび/またはsiRNAをコードするヌクレオチド配列を提供すること、配列番号:9および配列番号:10から選択されるヌクレオチド配列に少なくとも約60%同一性、少なくとも約70%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約90%同一性、または少なくとも約95%同一性を有する単離されたヌクレオチド配列にアンチセンスRNAおよび/またはsiRNAをコードするヌクレオチド配列を作動可能に連結すること、作動可能に連結されたヌクレオチド配列を直接的にまたは間接的に種子細胞に供給すること、ならびにアンチセンスRNAおよび/またはsiRNAをコードするヌクレオチド配列を発現させることを含む。
【0031】
本発明の追加の態様は、種子の脂肪酸含有量を変化させる方法を提供する。そのような方法の一例は、配列番号:9および配列番号:10から選択されるヌクレオチド配列に少なくとも約60%同一性、少なくとも約70%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約90%同一性、または少なくとも約95%同一性を有する単離されたヌクレオチド配列に脂肪酸合成、分解、貯蔵、および/または調節に関与するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を作動可能に連結すること、作動可能に連結されたヌクレオチド配列を直接的にまたは間接的に種子細胞に供給すること、ならびに目的のヌクレオチド配列の発現を可能にすることを含む。脂肪酸合成、分解、貯蔵、および/または調節に関与するタンパク質の例には、ACCアーゼ、FAS、KASI、KASII、KASIII、Fad2、およびFad3が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
種子の脂肪酸含有量を変化させる方法の追加の例は、脂肪酸合成、分解、貯蔵、および/または調節に関与するタンパク質をコードするRNAに結合することができるアンチセンスRNAおよび/またはsiRNAをコードするヌクレオチド配列を提供すること、配列番号:9および配列番号:10から選択されるヌクレオチド配列に少なくとも約60%同一性、少なくとも約70%同一性、少なくとも約80%同一性、少なくとも約90%同一性、または少なくとも約95%同一性を有する単離されたヌクレオチド配列にアンチセンスRNAおよび/またはsiRNAをコードするヌクレオチド配列を作動可能に連結すること、作動可能に連結されたヌクレオチド配列を直接的にまたは間接的に種子細胞に供給すること、ならびにアンチセンスRNAおよび/またはsiRNAをコードするヌクレオチド配列を発現させることを含む。
【0033】
本明細書で使用するように、「プロモーター」とは、一般に転写開始部位の上流にある、転写を開始させるRNAポリメラーゼおよび他のタンパク質の認識および結合に関与するDNAの領域のことである。プロモーターはエンハンサーおよびリプレッサーを含んでいてよい。
【0034】
本明細書で使用するように、「作動可能に連結された」とは、意図する形で機能するようにヌクレオチド配列が結合されることである。「作動可能に連結された」配列は、直接隣接していてもしていなくてもよい。たとえば、目的のヌクレオチド配列に作動可能に連結されているプロモーターは、それが目的のヌクレオチド配列の発現を推進することができる形で結合され配置されることが可能である。
【実施例】
【0035】
本発明は以下の実施例においてさらに説明されるが、この実施例は説明のために提供されるものであり、いかなる形でも本発明を限定するためのものではない。
【0036】
[実施例1]
プロモーター単離
レグミン様(「54−SSP」)およびオレオシンタンパク質をコードする遺伝子は、遺伝子アノテーションが既知遺伝子への配列に基づく相同性を使用して実現された無作為cDNA塩基配列決定プロジェクトを通して同定された。これらの選択された遺伝子のためのプロモーターは、GenomeWalker(商標)キット(Clontech Laboratories,INC.)を製造元の指示書に従って使用して、PCRベースの「ゲノムウォーキング」を介して単離された。この技法では、配列が既知の短いオリゴヌクレオチドアダプター分子が、いくつかの異なる平滑末端切断制限酵素ですでに消化されたトウゴマゲノムDNAの末端に先ずライゲートされた。一次PCR反応は、アダプター分子にアニールする順方向PCRプライマーおよび54−SSPまたはオレオシン遺伝子のコード領域内のDNAに特異的にアニールする逆方向PCRプライマーを使用して実施された。次に、ネステッドプライマーを使用する第2順目のPCRは、これも既知のアダプターおよび遺伝子特異的配列に基づいて、実施された。この戦略を使用して、選択されたコード配列から上流のDNA配列が単離され、クローニングベクターpCR2.1(Invitrogen Corp.)に挿入され、塩基配列決定された。この過程で使用されるプライマーを以下に示す。

54−SSPプライマー
一次PCR反応プライマー
アダプタープライマー1(順方向プライマー):5’GTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG C 3’(配列番号:1)
54−SSPプライマーB(逆方向プライマー):5’GAG AGC AGC GAA GAA GGC TGA ACC ATA G 3’(配列番号:2)

ネステッドPCR反応プライマー
ネステッドアダプタープライマー2(順方向プライマー):5’ACT ATA GGG CAC GCG TGG T 3’(配列番号:3)
54−SSPプライマーA(逆方向プライマー):5’GAG AGC CAT GGA AGA GAA CAA GTA GGA A 3’(配列番号:4)

オレオシンプライマー
一次PCR反応プライマー
アダプタープライマー1(順方向プライマー):5’GTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG C 3’(配列番号:5)
オレオシンプライマーB(逆方向プライマー):5’ATA GGC TTG CAG AAT CAG AGC TTC TGG TTA 3’(配列番号:6)

ネステッドPCR反応プライマー
ネステッドアダプタープライマー2(順方向プライマー):5’ACT ATA GGG CAC GCG TGG T 3’(配列番号:7)
オレオシンプライマーA(逆方向プライマー):5’GGT GAC TAA CAA CCG GTG ATT GTT GAT GCT 3’(配列番号:8)
【0037】
この様な形で得られるプロモーターフラグメントの配列が決定されると、特定のクローニング部位がプライマー配列に組み込まれている追加のPCR産物を作製して発現ベクター構築を促進することが可能であった。
【0038】
54−SSPプロモーターのコンセンサスヌクレオチド配列(54−SSP開始コドンの直前を先行する1124塩基対)は配列番号:9に見出される。
【0039】
オレオシンプロモーターのコンセンサスヌクレオチド配列(オレオシン開始コドンの直前を先行する528塩基対)は配列番号:10に見出される。オレオシンプロモーターの試験のために使用されるクローンは、位置234のTがAで置き換えられているPCR作製配列エラーを有していたことは注意すべきである。
【0040】
[実施例2]
プロモーターの試験
オレオシンおよび54−SSP遺伝子プロモーターの活性を、レポーター遺伝子緑色蛍光タンパク質(GFP)を使用して、植物全体(シロイヌナズナ)において試験した。CopGFP遺伝子の上流にオレオシンまたは54−SSPプロモーターのある発現カセット(Evrogen)を有し、カリフラワーモザイクウイルス35Sターミネーター領域が続くシロイヌナズナ形質転換のためのバイナリーベクターを構築した。以下のベクター、すなわちCopGFPレポーター遺伝子に作動可能に連結されたpDOW2771−54−SSPプロモーターおよびCopGFPレポーター遺伝子に作動可能に連結されたpDOW2772−オレオシンプロモーターのマップは図1に示されている。
【0041】
シロイヌナズナ植物はフローラルディップ法により形質転換された(CloughとBent(1998)Plant Journal、16:735〜743頁)。バイナリーベクターは、除草剤グルホシネート上での形質転換体の選択を可能にするホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(phosphinothricin acetyltransferase)(PAT)遺伝子を含有していた。プロモーターが主として種子中で活性であるかどうかを判定するために、葉、発生中の長角果(siliques)、および成熟種子を含む第1世代(T1)形質転換体からある種の組織を収穫した。これらの組織は下に記載されるCopGFP蛍光について試験された。T1植物由来の種子を植え付けてT2植物を作製し、このT2植物からも葉、発生中の長角果、および成熟種子試料が採取され分析された。組織試料は、以下のCopGFPアッセイ法により分析された。
【0042】
CopGFPアッセイ:組織試料は、組織ホモジナイザーにおいて1分間、1XCCLR緩衝液(125mM Tris(pH7.8)と、HPO、10mM CDTA、10mM DTT、50%グリセロールおよび5%TritonX−100とを含有するCell Culture Lysis Buffer5X試薬(Promega Crop.、カタログ番号E153A))中で粉砕した。試料は、さらに使用するまでドライアイス上に置いた。抽出物は4℃で15分間14K×gで遠心分離した。上澄み液を別のチューブに移してさらなる分析のために使用した。各上澄み200μlをCostar96ウェル平底マイクロタイタープレート(Corning,Inc.、カタログ番号3915)上に置き、蛍光はSpectraMax Gemini XSマイクロプレートリーダー(Molecular Devices,Inc.)を使用して測定した。CopGFPを発現している大腸菌(E.coli)系統を含有する培養物を標準として使用した。組織抽出物のタンパク質濃度は、BCAタンパク質アッセイキット(Pierce Biotechnology,Inc.;カタログ番号23225)を使用して決定した。蛍光はmgのタンパク質あたりの蛍光として表した。実験はすべて重複して実施した。
【0043】
これらの実験結果は図2および図3に示されている。54−SSPプロモーターでもオレオシンプロモーターでも、植物葉材料中よりも種子中のほうにはるかに多くの活性が存在していた。発生中の長角果は栄養組織と発生中の種子の両方を含有しており、これらの組織中のプロモーターの活性は、葉組織と成熟種子中のプロモーターの活性の間であった。
【0044】
オレオシンプロモーターの追加試験は、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を使用して、シロイヌナズナ植物中で実施した。これらの実験結果も、種子中のほうがオレオシンプロモーターのより高い活性を示していた。
【0045】
[実施例3]
脂肪酸合成遺伝子の調節のためのベクター
脂肪酸合成タンパク質の調節のためのベクターは、実施例2において概説した通りに作製される。54−SSPプロモーターの制御下にある脂肪酸合成タンパク質をコードする以下のベクター、すなわち
pSSP:Fad2− Fad2遺伝子に作動可能に連結された54−SSPプロモーター
pSSP:Fad3− Fad3遺伝子に作動可能に連結された54−SSPプロモーター;および
pSSP:KASII− KASII遺伝子に作動可能に連結された54−SSPプロモーター
が作製される。
【0046】
オレオシンプロモーターの制御下にある脂肪酸合成タンパク質をコードする以下のベクター、すなわち
pOleo:Fad2− Fad2遺伝子に作動可能に連結されたオレオシンプロモーター;
pOleo:Fad3− Fad3遺伝子に作動可能に連結されたオレオシンプロモーター;および
pOleo:KASII− KASII遺伝子に作動可能に連結されたオレオシンプロモーター
が作製される。
【0047】
54−SSPプロモーターの制御下にある脂肪酸合成タンパク質に対するアンチセンス分子をコードする以下のベクター、すなわち
pSSP:Fad2:AS− Fad2 RNAに対するアンチセンスに作動可能に連結された54−SSPプロモーター;
pSSP:Fad3:AS− Fad3 RNAに対するアンチセンスに作動可能に連結された54−SSPプロモーター;および
pSSP:KASII:AS− KASII RNAに対するアンチセンスに作動可能に連結された54−SSPプロモーター
が作製される。
【0048】
オレオシンプロモーターの制御下にある脂肪酸合成タンパク質に対するアンチセンス分子をコードする以下のベクター、すなわち
pOleo:Fad2:AS− Fad2 RNAに対するアンチセンスに作動可能に連結されたオレオシンプロモーター;
pOleo:Fad3:AS− Fad3 RNAに対するアンチセンスに作動可能に連結されたオレオシンプロモーター;および
pOleo:KASII:AS− KASII RNAに対するアンチセンスに作動可能に連結されたオレオシンプロモーター
が作製される。
【0049】
脂肪酸合成タンパク質に対するsiRNA分子をコードするベクターが作製される。siRNA分子は、自己とハイブリダイズして、一本鎖ループ領域および塩基対合ステムを含むヘアピン構造を形成するRNA分子を発現するように設計され得る。塩基対合ステム領域は、その発現が阻害されることになる遺伝子をコードする内在性メッセンジャーRNAのすべてまたは一部分に対応するセンス配列、およびセンス配列に完全にまたは部分的に相補的なアンチセンス配列を含む。したがって、分子の塩基対合ステム領域が一般にRNA干渉の特異性を決定する。これらのヘアピンRNA分子は、内在性遺伝子の発現を阻害するのに高度に効率的であり、これらの分子が誘導するRNA干渉は次世代に受け継がれる。たとえば、ChuangとMeyerowitz(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:5985〜5990頁;Stoutjesdijkら(2002)Plant Physiol.129:1723〜1731頁;およびWaterhouseとHelliwell(2003)Nat.Rev.Genet.5:29〜38頁を参照されたい。hpRNA干渉を使用して遺伝子の発現を阻害するまたは発現停止させるための方法は、たとえば、ChuangとMeyerowitz(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:5985〜5990頁;Stoutjesdijkら(2002)Plant Physiol.129:1723〜1731頁;WaterhouseとHelliwell(2003)Nat.Rev.Genet.5:29〜38頁;Pandolfiniら、BMC Biotechnology3:7頁、および米国特許出願公開第20030175965号に記載されている。インビボで遺伝子発現を発現停止にするヘアピンRNA構築物の効率についての過渡的アッセイは、Panstrugaら(2003)Mol.Biol.Rep.30:135〜150頁により記載されている。
【0050】
54−SSPプロモーターの制御下にある脂肪酸合成タンパク質に対するsiRNA分子をコードする以下のベクター、すなわち
pSSP:Fad2:si− Fad2 RNAに対するsiRNAに作動可能に連結された54−SSPプロモーター;
pSSP:Fad3:si− Fad3 RNAに対するsiRNAに作動可能に連結された54−SSPプロモーター;および
pSSP:KASII:si− KASII RNAに対するsiRNAに作動可能に連結された54−SSPプロモーター
が作製される。
【0051】
オレオシンプロモーターの制御下にある脂肪酸合成タンパク質に対するアンチセンス分子をコードする以下のベクター、すなわち
pOleo:Fad2:si− Fad2 RNAに対するsiRNAに作動可能に連結されたオレオシンプロモーター;
pOleo:Fad3:si− Fad3 RNAに対するsiRNAに作動可能に連結されたオレオシンプロモーター;および
pOleo:KASII:si− KASII RNAに対するsiRNAに作動可能に連結されたオレオシンプロモーター
が作製される。
【0052】
[実施例4]
シロイヌナズナおよびトウゴマ栽培および形質転換
シロイヌナズナおよびトウゴマは通常の条件下で栽培される。ベクターは、エレクトロポレーションによりアグロバクテリウムツメファシエンス系統GV3101 pMP90に導入され、フローラルディップ法によりシロイヌナズナおよびトウゴマを形質転換するのに使用される(N.Bechtold、J.Ellis、とG.Pelletier(1993)C.R.Acad.Sci.Paris 316、1194〜1198頁)。ベクターは、高速粒子および感染病原体も使用して導入される。形質転換は、最初の開花の約5日後に実施される。
【0053】
[実施例5]
シロイヌナズナおよびトウゴマの種子中の脂肪酸含有量の決定
脂肪酸分析:種子はメチル化され(1mlの1N HCl、メタノール、Supelco、80℃で1時間)、ヘキサンで抽出され、トリメチルシリル化される(100μlのBSTFA−TMCS(ビス(トレイメチルシリル)トリフルオロアセトアミドトリメチルシラン)、Supelco、90℃で45分間)。BSTFA−TMCSはエバポレーションにより取り除かれ、試料はヘキサン中に再懸濁される。試料は、5973質量選択検出器を装備したHewlett−Packard6890ガスクロマトグラフ(GC/MS)およびSupelcoSP−2340シアノキャピラリーカラム(60m×250μm×0.25μm)上で分析される。注射器は225℃に保持され、オーブン温度は変化させ(15℃/分で100〜240℃に続いて240℃で5分間)、およびヘリウム流量は1.1ml/分である。ピークアイデンティティーの指定は、溶出時間対真正基準に基づいて実施され、その質量スペクトルに基づいて確認される。定量化はHewlett−Packardケムステーションソフトウェアを使用して実施される。
【0054】
[実施例6]
シロイヌナズナおよびトウゴマにおける脂肪酸合成の調節
Fad2を介して脂肪酸合成を調節する3種の方法が比較される(遺伝子発現、アンチセンス発現、siRNA発現)。遺伝子抑制の3種の方法を比較するために3種の遺伝子(簡単にスコア化されるので12−不飽和化酵素FAD2および15−不飽和化酵素FAD3、ならびに遺伝子発現における低下の評価のために以前使用されたことがあるのでFAD2)、他にもβ−ケトアシル−ACPシンターゼ(KAS)IIが選ばれる。これらの酵素と脂肪酸合成間の関係は図4に描かれている。
【0055】
種子はガスクロマトグラフィーによるその組成の再現性のある定量分析を可能にするので、およびピークの指定を特定の脂肪酸として定性的に確証するためのピークの質量分光分析を可能にするので、分析のために種子が選ばれる。スチューデントt検定を使用して平均値(平均値あたり10以上の試料に基づいて)間の差について有意性を特定する。
【0056】
[実施例7]
KASII発現の調節
色素体中でKASIIは16Cを18C脂肪酸へ伸長する。KASIIでは、16:0プラス16:1脂肪酸(KASIIの基質)のレベルが産物18:0および18:1プラス代謝物18:2および18:3のレベルと比較される。
【0057】
野生型シロイヌナズナおよびトウゴマは、pSSP:KASII、pOleo:KASII、pSSP:KASII:AS、pOleo:KASII:AS、pSSP:KASII:si、またはpOleo:KASII:siで形質転換された系統と比較される。pSSP:KASIIおよびpOleo:KASIIベクターを宿す植物は、C18および高級脂肪酸における対応する増加とともに16:0脂肪酸に有意な減少を示す。pSSP:KASII:AS、pOleo:KASII:AS、pSSP:KASII:si、およびpOleo:KASII:siベクターを宿す植物は、C18および高級脂肪酸における対応する減少とともに16:0脂肪酸に有意な増加を示す。
【0058】
[実施例8]
FAD2発現の調節
FAD2では、18:1脂肪酸(FAD2の基質)のレベルがその産物18:2および代謝物18:3のレベルと比較される。分析では、18:2は18:3と合わされて、FAD2により不飽和化されている全脂肪酸割合を得る。
【0059】
野生型シロイヌナズナおよびトウゴマは、pSSP:FAD2、pOleo:FAD2、pSSP:FAD2:AS、pOleo:FAD2:AS、pSSP:FAD2:si、またはpOleo:FAD2:siで形質転換された系統と比較される。pSSP:FAD2およびpOleo:FAD2ベクターを宿す植物は、18:2および18:3脂肪酸に有意な増加を示す。pSSP:FAD2:AS、pOleo:FAD2:AS、pSSP:FAD2:si、およびpOleo:FAD2:siベクターを宿す植物は、低次脂肪酸における対応する増加とともに18:2および18:3脂肪酸に有意な減少を示す。
【0060】
[実施例9]
FAD3発現の調節
FAD3では、18:1プラス18:2脂肪酸(18:2はFAD3の基質である)のレベルがその産物18:3のレベルと比較される。
【0061】
野生型シロイヌナズナおよびトウゴマは、pSSP:FAD3、pOleo:FAD3、pSSP:FAD3:AS、pOleo:FAD3:AS、pSSP:FAD3:si、またはpOleo:FAD3:siで形質転換された系統と比較される。pSSP:FAD3およびpOleo:FAD3ベクターを宿す植物は、18:3脂肪酸に有意な増加を示す。pSSP:FAD3:AS、pOleo:FAD3:AS、pSSP:FAD3:si、およびpOleo:FAD3:siベクターを宿す植物は、低次脂肪酸における対応する増加とともに18:3脂肪酸に有意な減少を示す。
【0062】
本発明はある種の例となる実施形態において記載されたが、本発明は本開示の精神と範囲内においてさらに改変してよい。したがって、本出願は、その一般原則を使用した本発明のどんな異形、使用または改作も含めることを意図している。さらに、本出願は、本発明が関連するおよび添付の特許請求の範囲の限度内に収まる当技術分野の既知のまたは慣行内に入るような本開示からの逸脱を含むことを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号:9または配列番号:10の配列に少なくとも約90%相同性を有するヌクレオチド配列を含む単離されたヌクレオチド配列。
【請求項2】
配列番号:9または配列番号:10の配列に少なくとも約90%相同性を有するヌクレオチド配列に作動可能に連結された目的のヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1に記載の単離されたヌクレオチド配列。
【請求項3】
目的のヌクレオチド配列がタンパク質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびsiRNAからなるグループから選択される分子をコードする、請求項2に記載の単離されたヌクレオチド配列。
【請求項4】
請求項1に記載の単離されたヌクレオチド配列を含むベクター。
【請求項5】
配列番号:9または配列番号:10の配列に少なくとも約90%相同性を有するヌクレオチド配列に作動可能に連結された目的のヌクレオチド配列をさらに含む、請求項4に記載のベクター。
【請求項6】
ヌクレオチド配列がタンパク質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびsiRNAからなるグループから選択される分子をコードする、請求項4に記載のベクター。
【請求項7】
選択可能なマーカーをさらに含む、請求項5に記載のベクター。
【請求項8】
選択可能なマーカーがホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子である、請求項7に記載のベクター。
【請求項9】
請求項1に記載の単離されたヌクレオチド配列を含む細胞。
【請求項10】
請求項1に記載の単離されたヌクレオチド配列が細胞のゲノムに安定的に組み込まれている、請求項9に記載の細胞。
【請求項11】
細胞が、真核、原核、動物、植物、生殖系、種子、シロイヌナズナ属、ヒマワリ、ワタ細胞、ナタネ、トウモロコシ、ヤシ、タバコ、ピーナッツ、ダイズ、およびトウゴマ属細胞からなるグループから選択される、請求項9に記載の細胞。
【請求項12】
細胞が請求項4に記載のベクターを含む、請求項9に記載の細胞。
【請求項13】
請求項1に記載の単離されたヌクレオチド配列を含む植物。
【請求項14】
植物がシロイヌナズナ属、ヒマワリ、ワタ細胞、ナタネ、トウモロコシ、ヤシ、タバコ、ピーナッツ、ダイズ、およびトウゴマ属からなるグループから選択される、請求項13に記載の植物。
【請求項15】
植物が請求項4に記載のベクターを含む、請求項13に記載の植物。
【請求項16】
植物が請求項9に記載の細胞を含む、請求項13に記載の植物。
【請求項17】
請求項1に記載の単離されたヌクレオチド配列を含む種子。
【請求項18】
種子がシロイヌナズナ属、ヒマワリ、ワタ細胞、ナタネ、トウモロコシ、ヤシ、タバコ、ピーナッツ、ダイズ、およびトウゴマ属種子からなるグループから選択される、請求項17に記載の種子。
【請求項19】
植物が請求項4に記載のベクターを含む、請求項17に記載の種子。
【請求項20】
植物が請求項9に記載の細胞を含む、請求項17に記載の種子。
【請求項21】
目的のヌクレオチド配列によりコードされる分子の発現を促進する方法であって、請求項1に記載の単離されたヌクレオチド配列を目的のヌクレオチド配列に作動可能に連結することを含む方法。
【請求項22】
目的のヌクレオチド配列によりコードされる分子の発現が、種子優先の形で促進される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
目的のヌクレオチド配列によりコードされる分子が、タンパク質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびsiRNAからなるグループから選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
細胞中で目的のヌクレオチド配列によりコードされる分子を産生する方法であって、
請求項1に記載の単離されたヌクレオチド配列を目的のヌクレオチド配列に作動可能に連結すること、および
作動可能に連結されたヌクレオチド配列を細胞に供給すること、
目的のヌクレオチド配列を発現させること、
を含む方法。
【請求項25】
目的のヌクレオチド配列によりコードされる分子が、タンパク質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびsiRNAからなるグループから選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
細胞中で標的の発現を調節する方法であって、
ヌクレオチド配列が細胞中で標的の発現を調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNAをコードするものである目的のヌクレオチド配列を提供すること、
請求項1に記載の単離されたヌクレオチド配列を目的のヌクレオチド配列に作動可能に連結すること、
作動可能に連結されたヌクレオチド配列を細胞に供給すること、および
目的のヌクレオチド配列を発現させること、
を含む方法。
【請求項27】
細胞が、原核、真核、細菌、アグロバクテリウム、酵母、植物、哺乳動物、およびヒト細胞からなるグループから選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
植物細胞が、トウゴマ、シロイヌナズナ、ヒマワリ、ワタ、ナタネ、トウモロコシ、ヤシ、タバコ、ピーナッツまたはダイズ細胞からなるグループから選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
標的が遺伝子、オリゴヌクレオチド配列、および/またはタンパク質である、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
標的が、脂肪酸合成、分解、貯蔵、および/または調節に関与するタンパク質から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
標的が、ACCアーゼ、FAS、KASI、KASII、KASIII、Fad2、およびFad3からなるグループから選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
請求項13に記載の植物の遺伝的子孫。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−505163(P2011−505163A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537035(P2010−537035)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/085426
【国際公開番号】WO2009/073738
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】