説明

トナー回収装置

【課題】専用の駆動手段を必要とすることなく、振動による異音や画像ノイズの発生を防止して廃トナーを良好に搬送できるトナー回収装置を得る。
【解決手段】感光体ドラムから除去された廃トナーを搬送する搬送部に搬送羽根22を有する搬送スクリュー20を設け、該搬送スクリュー20の回転によって廃トナーを搬送するトナー回収装置。搬送羽根22に対して針金状の撹拌部材30が支点部33を支点として搖動自在に配置されている。撹拌部材30は支点部33と加振部32と長尺の攪拌部31とからなる。搬送スクリュー20の両端部に位置する搬送羽根22には持上げ部22aが形成され、搬送スクリュー20の回転に伴って持上げ部22aと接触する加振部32が往復移動するとともに、攪拌部31が搬送羽根22の外周部に接離し、搬送羽根22に付着した廃トナーを崩す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー回収装置、特に、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置において感光体や中間転写ベルトなどの像担持体から残留トナーを回収するトナー回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置においては、感光体ドラムの表面から転写されずに残留したトナーをクリーニングブレードなどによって除去し、この廃トナーを断面円弧形状の内壁部を有する搬送部に落とし込み、該搬送部に設けた搬送羽根を有するスクリューを回転駆動することにより廃トナー容器に回収するように構成されている。
【0003】
ところで、この種のトナー回収装置にあっては、搬送羽根の表面に廃トナーが付着して良好な搬送を妨げ、搬送部で廃トナーが詰まるなどの問題点を有していた。従来では、ポリエステルフィルムからなる櫛歯状掻き落とし部材を搬送羽根に接触させて廃トナーの詰まりを防止したり、特許文献1に記載されているように、搬送スクリューに形成した突起にて搬送部の内壁でのトナーの凝集を防止したり、特許文献2に記載されているように、搬送スクリューと搬送部の内壁との間に設けた緩衝部材にてトナーの凝集を防止するようにしていた。しかし、近年では、トナーの小径化や低融点化に伴って廃トナーの嵩密度が高くなる傾向にあり、前記従来の手法では対応できなくなっている。
【0004】
そこで、特許文献3では、感光体ドラム上から廃トナーを除去するブラシローラと搬送スクリューとの間に振動部材を設け、該振動部材で廃トナーの架橋を防止するようにしたクリーニング装置が提案されている。しかし、この装置では振動部材を振動させる駆動手段を必要として装置が大型化するとともに、振動による騒音や感光体ドラム上でピッチむらなどの画像ノイズが発生するという問題点を有している。
【0005】
一方、特許文献4では、振動部材を専用の駆動手段を設けることなく、搬送スクリューの回転に連動させるようにした架橋防止手段として、針金状の攪拌部材に弾性部材を設け、該弾性部材が搬送スクリューの搬送羽根と接触する際の振動で攪拌部材を搬送羽根に接離させるようにしたトナー回収装置が提案されている。しかし、この装置では、搬送羽根の角度や表面粗さに起因する負荷抵抗により攪拌部材がスラスト方向に負荷を受け、該負荷が解放されるときに過度な振動が生じる不具合を有している。攪拌部材の過度な振動は、異音の発生や、感光体などの画像形成用エレメントに振動を与えて画像ノイズの発生につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−257410号公報
【特許文献2】特開2007−93640号公報
【特許文献3】特開平10−319811号公報
【特許文献4】特開2008−224726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、専用の駆動手段を必要とすることなく、振動による異音や画像ノイズの発生を防止して廃トナーを良好に搬送できるトナー回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するため、本発明の一形態であるトナー回収装置は、
像担持体の表面から残留トナーを除去するトナー回収装置において、
像担持体の表面から除去した廃トナーを搬送する搬送部と、
前記搬送部で廃トナーを搬送するための搬送羽根を有する搬送スクリューと、
攪拌部と加振部と支点部とで構成され、該支点部を支点として搖動自在に設置された攪拌部材と、
を備え、
前記搬送スクリューに前記加振部を該搬送スクリューの軸方向と略直交する方向に往復移動させる持上げ部を形成し、
前記搬送スクリューの回転に伴って前記加振部が往復移動するとともに、前記攪拌部が搬送羽根の外周部に接離すること、
を特徴とする。
【0009】
前記トナー回収装置においては、搬送スクリューの回転に伴って持上げ部が加振部を往復移動させ、撹拌部が搬送羽根の外周部に接離することにより、搬送羽根に付着した廃トナーを崩す。それゆえ、搬送部へ移動した廃トナーの嵩密度が低くなり、廃トナーを詰まりを生じることなく良好にスクリューにて搬送することができる。しかも、撹拌部材の加振部は持上げ部に接触して搬送スクリューの回転に基づいて往復移動するため、攪拌部材がスラスト方向に受ける負荷が軽減され、異音や画像ノイズが発生することはない。さらに、撹拌部材に対して専用の駆動手段を必要とすることなく、装置をコンパクトに構成できる。
【発明の効果】
【0010】
以上のごとく、本発明によれば、専用の駆動手段を必要とすることなく、振動による異音や画像ノイズの発生を防止して廃トナーを良好に搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るトナー回収装置の基本構造を示す断面図である。
【図2】前記トナー回収装置における撹拌部材の動作を説明する断面図である。
【図3】前記トナー回収装置における搬送スクリューと撹拌部材との関係を示す斜視図である。
【図4】前記トナー回収装置における搬送スクリューと撹拌部材との関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るトナー回収装置の実施例について、添付図面を参照して説明する。
【0013】
まず、図1を参照して本発明の一実施例であるトナー回収装置1の基本構成を示す。このトナー回収装置1は、矢印A方向に回転駆動される感光体ドラム2に対して、ポリウレタンなどからなるクリーニングブレード10を所定の圧力で接触させたもので、ブレード10はケーシング11の内壁面に固定されている。ケーシング11は感光体ドラム2などを含むイメージングユニットの筐体を構成している。ケーシング11の一部は断面円弧形状の凹部である搬送部12とされ、図3及び図4に示すように、この搬送部12にはシャフト21に搬送羽根22を螺旋状に形成した搬送スクリュー20が配置されている。
【0014】
このような基本構成を備えたトナー回収装置1は、電子写真方式の複写機やプリンタなどの画像形成装置に従来から搭載されているものである。感光体ドラム2上に形成されたトナー像は図示しない用紙に転写され、転写されずに残留したトナーはクリーニングブレード10によって除去される。除去された廃トナーは搬送部12に落ち込み、搬送スクリュー20の回転に基づいてスクリュー20の軸方向に搬送され、図示しない廃トナー容器に回収される。
【0015】
ところで、近年では、トナーの小径化や低融点化に伴って廃トナーの嵩密度が高くなり、ブレード10にて除去された廃トナーが搬送羽根22の表面に付着して搬送部12にて詰まってしまう。
【0016】
そこで、本トナー回収装置1では、撹拌部材30を搬送部12に設けた。この撹拌部材30は、図3及び図4に示すように、針金の両端部分を屈曲することにより、長尺状の撹拌部31、クランク状に折れ曲がった加振部32、支点部33を一体的に形成したものである。撹拌部材30は、支点部33がケーシング11に形成した穴部13(図1参照)に挿入され、長尺状の撹拌部31が搬送羽根22の外周面に対向し、かつ、軸方向に位置が固定された状態で、支点部33を支点として揺動自在である。
【0017】
一方、搬送スクリュー20の両端部分に位置する搬送羽根22には、攪拌部材30の加振部32を搬送スクリュー20の軸方向と略直交する方向に往復移動させる、即ち、攪拌部31の自重に抗して持ち上げる持上げ部22aが形成されている。動作の初期状態における持上げ部22aと撹拌部材30の位置関係は図2(A)、図3(A)及び図4(A)に示すとおりであり、加振部32は持上げ部22aの根元部に接触し、撹拌部31は搬送羽根22の外周面に近接又は接触している。
【0018】
搬送スクリュー20が回転すると、加振部32が持上げ部22aによって上方に押し上げられ、図2(B)、図3(B)及び図4(B)に最上点として示すように、撹拌部材30は支点部33を支点として上方に回動し、撹拌部31が搬送羽根22の外周面から離れる。さらに、搬送スクリュー20が回転すると加振部32が持上げ部22aの外周面に沿って最下点に至り、撹拌部材30は支点部33を支点として下方に回動し、撹拌部31が搬送羽根22の外周面に近接又は接触する。
【0019】
以上のごとく、本トナー回収装置1においては、搬送スクリュー20の1回転ごとに攪拌部材30が上下方向に振動し、該振動に基づいて撹拌部31が搬送羽根22の外周面に接離する。これにて、搬送羽根22に付着した廃トナーが崩され、搬送部12に落下する。搬送部12に落下した廃トナーはその嵩密度が低くなり、詰まることなく搬送スクリュー20によって搬送部12を一方向に搬送される。
【0020】
また、撹拌部材30の振動は加振部32が持上げ部22aと接触して生じるため、攪拌部材30がスラスト方向に受ける負荷が軽減され、異音や感光体ドラム2上に形成されるトナー画像にノイズを発生させることもない。さらに、撹拌部材30は搬送スクリュー20の回転に伴って振動するため、専用の駆動手段を必要とすることはなく、トナー回収装置1の大型化を回避できる。
【0021】
ところで、前記持上げ部22aは、搬送羽根22の先端部を幅広く形成したものであり、前記加振部32と接触する外周面がなだらかに変化している。これにて、攪拌部材30の動作がよりスムーズなものになる。
【0022】
(他の実施例)
なお、本発明に係るトナー回収装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0023】
特に、本トナー回収装置は、感光体ドラムに限らず、カラー画像を形成するための中間転写ベルトなどの像担持体に適用することも可能である。また、像担持体上の残留トナーを除去する部材はクリーニングブレード以外であってもよい。
【0024】
また、撹拌部材30は複数の部材を組み合わせて形成してもよい。但し、前記実施例のごとく1本の針金で構成すれば、簡単な構造として容易に製作できる。また、持上げ部22aは搬送羽根22とは別体として形成してもよい。さらに、撹拌部材30の攪拌部31、加振部32及び支点部33の形状も任意に変更が可能であり、ケーシング11への取付け構造も任意である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上のように、本発明は、トナー回収装置に有用であり、特に、専用の駆動手段を必要とすることなく、振動による異音や画像ノイズの発生を防止して廃トナーを良好に搬送できる点で優れている。
【符号の説明】
【0026】
1…トナー回収装置
2…感光体ドラム
10…クリーニングブレード
12…搬送部
20…搬送スクリュー
22…搬送羽根
22a…持上げ部
30…撹拌部材
31…撹拌部
32…加振部
33…支点部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の表面から残留トナーを除去するトナー回収装置において、
像担持体の表面から除去した廃トナーを搬送する搬送部と、
前記搬送部で廃トナーを搬送するための搬送羽根を有する搬送スクリューと、
攪拌部と加振部と支点部とで構成され、該支点部を支点として搖動自在に設置された攪拌部材と、
を備え、
前記搬送スクリューに前記加振部を該搬送スクリューの軸方向と略直交する方向に往復移動させる持上げ部を形成し、
前記搬送スクリューの回転に伴って前記加振部が往復移動するとともに、前記攪拌部が搬送羽根の外周部に接離すること、
を特徴とするトナー回収装置。
【請求項2】
前記持上げ部は前記加振部を前記攪拌部の自重に抗して持ち上げること、を特徴とする請求項1に記載のトナー回収装置。
【請求項3】
前記持上げ部は前記加振部と接触する外周面がなだらかに変化していること、を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトナー回収装置。
【請求項4】
前記持上げ部は前記搬送羽根の先端部を幅広く形成したものであること、を特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載のトナー回収装置。
【請求項5】
前記撹拌部材は、針金を屈曲して撹拌部と加振部、支点部を一体的に形成したものであること、を特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載のトナー回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−22238(P2011−22238A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165370(P2009−165370)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】