説明

トナー

【課題】低粘度の樹脂を用いた場合においても、良好な材料分散性を得る事が出来、長期の使用に渡っても、ドラムフィルミングが発生しないトナーを提供すること。
【解決手段】結着樹脂及び着色剤としての磁性酸化鉄粒子を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであって、
結着樹脂は、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、温度55℃以上75℃以下に第1の吸熱ピークを有し、温度80℃以上120℃以下に第2の吸熱ピークを有し、磁性酸化鉄粒子は、吸油量が15ml/100g以上、40ml/100g以下であることを特徴とするトナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真における静電荷像を顕像化するための画像形成方法に使用されるトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般には、光導電性物質を利用した静電荷像担持体を帯電させる帯電工程と、帯電された静電荷像担持体に静電潜像を形成させる工程と、トナー担持体上に担持させたトナーを該静電潜像に転移させて可視化する現像工程と、現像された画像を転写手段により転写材に移行させて転写させる転写工程と、転写材上に転写された転写画像を加熱・定着する定着工程を経て、目的とする定着物を得る。
近年では、省エネ化に対する要望も高く、トナーの低温定着性能を向上させる為に種々のトナーが提案されている。特に近年では、例えば特許文献1に示すような、低融点の結晶性ポリエステルを添加することで、低温定着性を向上させるトナーが提案されている。しかし、更に低温定着性を向上させる為には、結晶性ポリエステルの低融点化を進める必要がある。このような場合、例えば結着樹脂や着色剤を含む材料を熱溶融混練し、冷却固化後、粉砕、分級し得られる所謂「粉砕法トナー」において、溶融混練時に粘度が低下し過ぎる為、十分なシェアを付与することが出来ず、結着樹脂と着色剤等のその他の材料との混合性(分散性)が著しく低下する傾向がある。その結果、材料の局在化が生じ、トナー粒子において、例えば着色剤の入っていない、所謂「空玉」等が生じる。
この空玉が、例えば着色剤として磁性酸化鉄粒子を用いる磁性一成分現像装置内に存在すると、磁気拘束力が及ばないため、長期の耐久において、空玉が飛散し、クリーニング部や、その他の部材で摺察され、ドラムフィルミング等を生じ易くなる。この現象は特に、低粘度の樹脂を用いたトナーにおいて顕著である。
このような、原材料の局在化を解消させる為に、原材料分散性を向上させる提案がなされている。例えば特許文献2では、重量平均分子量15万以下の結着樹脂を用いた磁性トナー用の磁性酸化鉄粒子が提案されている。この提案によれば、磁性酸化鉄粒子の吸油量と圧縮度を特定の範囲にすれば、磁性酸化鉄粒子の分散性が向上すると記載がある。しかし、実施例の評価では、重量平均分子量が11万と30万の2種類の結着樹脂による評価のみである。その為、より低分子量の結着樹脂を用いた場合には、結着樹脂、磁性酸化鉄粒子共に更なる最適化が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3963673号公報
【特許文献2】特許第3148311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記問題点を解消したトナーを提供することにある。即ち本発明の目的は、低粘度の樹脂を用いた場合においても、良好な材料分散性を得る事が出来、長期の使用に渡っても、ドラムフィルミングが発生しないトナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明は、結着樹脂及び着色剤としての磁性酸化鉄粒子を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記結着樹脂は、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、温度55℃以上
75℃以下に第1の吸熱ピークを有し、温度80℃以上120℃以下に第2の吸熱ピークを有し、前記磁性酸化鉄粒子は、吸油量が15ml/100g以上、40ml/100g以下であることを特徴とするトナーである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、低粘度の樹脂を用いた場合においても、良好な材料分散性を得る事が出来、長期の使用に渡っても、ドラムフィルミングが発生しないトナーを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に用いられる混練機の概略図である
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明者等は、粉砕法を用いた磁性トナーの製造工程の中で、溶融混練工程における、材料の分散性について鋭意検討した。
溶融混練工程において、原材料を均一に分散させる為の条件としては、各種原材料を溶融状態になった結着樹脂へ均一に分散させる初期分散性の進行を速くし、かつその後の溶融混練工程で再凝集させず、最終的な状態である到達分散物を安定的に得る必要がある。
その為には、メインバインダーである結着樹脂の最適な溶融状態を作り出し、機械的なシェアを掛けて練り混ぜる必要がある。
しかし、溶融粘度の低い結着樹脂を用いると、混練シェアが十分に掛かかり難く、混練シェアのバランスを調節するのは困難である。特に低温定着性の向上を目指し、低い温度で軟化する結着樹脂を用いた場合は、溶融粘度の急激な低下が生じ易く、材料分散が不均一になり易い傾向が強くなる。
そこで本発明者等は、低い温度で軟化し低粘度となる樹脂を用いても、混練シェアが十分に掛かり、原材料、特に着色剤である磁性酸化鉄粒子が良好に分散する結着樹脂の状態について検討した。
その結果、溶融混練工程において、温度が上昇する過程、即ち結着樹脂が完全に溶融する前の段階で、結着樹脂内に溶融特性が変化するポイントを存在させることで、シェアが掛かった状態で原材料が練り込まれ、良好な分散性が得られることを見出した。
樹脂が吸熱ピークを有するということは、結着樹脂の分子内の一部に溶融状態が生じていることを示す。溶融状態になることで、その他の材料との混合状態を作り出すことが出来る。さらにこの溶融ポイントでは、結着樹脂が完全に溶融していない為、混練シェアが十分に掛かり、良好な分散状態が得られると考えられる。
更に本発明者等は、上記結着樹脂の溶融ポイントにて、より効果的に分散していく着色剤、ここでは磁性酸化鉄粒子の検討、及び最適な溶融状態について検討を行った。
磁性酸化鉄粒子を結着樹脂中に均一に分散させる為には、上記溶融ポイントで、磁性酸化鉄粒子が、結着樹脂に馴染んでいくことが重要である。その為には、磁性酸化鉄粒子の表面性を制御する必要があると考え検討を進めた。
そして、磁性酸化鉄粒子の表面特性について、検討した結果、本発明者等は磁性酸化鉄粒子の吸油量と分散性の間に関連があることを見出した。
吸油量は、磁性酸化鉄粒子の化学的、物理的結合による複雑な凝集であるストラクチャーの程度を知るための指標であるが、油成分への馴染み易さも表す指標になり得ると考えた。即ち、上記結着樹脂の2箇所の溶融ポイントで、溶融した結着樹脂を擬似的に油成分と見なし、その結着樹脂へ馴染み易い、最適な磁性酸化鉄粒子の吸油量について検討した。
その結果、磁性酸化鉄粒子の吸油量を15ml/100g以上、40ml/100g以下に制御することで、溶融ポイントで効果的に結着樹脂に馴染んでいくことを見出した。
上述の様に、原材料を均一に分散させる為の条件としては、初期分散性の進行を速くし、かつその後の溶融混練工程で再凝集させず、到達分散物を安定的に得る必要があるが、
磁性酸化鉄粒子が結着樹脂に馴染むということは、初期分散の進行性が速いことを示す。
更に、再凝集を起こさず、到達分散物の状態を安定にさせる為には、結着樹脂の溶融ポイントの最適化が必要であり、本発明者等は結着樹脂溶融ポイントの個数とその温度領域について検討を行った。
結着樹脂の溶融ポイントが1つである場合、材料の分散の進行性が十分でなく、原材料が再凝集を起こし易く、十分な分散状態が得られなかった。
一方、結着樹脂の溶融ポイントが2つの場合、溶融状態の形成と混練シェアのバランスを最も取ることが出来、再凝集を起こす事無く、到達分散物の状態が安定することを見出した。ここで、当該結着樹脂の示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、温度55℃以上75℃以下に第1の吸熱ピーク(第1の溶融ポイント)を有し、温度80℃以上120℃以下に第2の吸熱ピーク(第2の溶融ポイント)を有する必要があることを見出した。
また、結着樹脂の溶融ポイントが3つ以上の場合、結着樹脂の粘度が下がりすぎてしまい、溶融状態と混練シェアの両立が出来ず、十分な分散状態が得られなかった。
以上の検討結果より、本発明のトナーは、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、温度55℃以上75℃以下に第1の吸熱ピークを有し、温度80℃以上120℃以下に第2の吸熱ピークを有する結着樹脂と、吸油量が15ml/100g以上、40ml/100g以下である磁性酸化鉄粒子を含有するトナー粒子を用いることで、トナー粒子の製造過程において、溶融状態の形成とシェアの掛かった混練を両立することが出来ることを見出した。その結果、長期の使用に渡っても、ドラムフィルミングが発生しないトナーを提供することが可能となった。
即ち本発明は、結着樹脂及び着色剤としての磁性酸化鉄粒子を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂は、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、温度55℃以上75℃以下(好ましくは温度55℃以上70℃以下)に第1の吸熱ピーク(以下、吸熱ピークP1ともいう)を有し、且つ、温度80℃以上120℃以下(好ましくは温度85℃以上115℃以下)に第2の吸熱ピーク(以下、吸熱ピークP2ともいう)を有し、該磁性酸化鉄粒子は、吸油量が15ml/100g以上、40ml/100g以下(好ましくは、24ml/100g以上、36ml/100g以下)であることを特徴とする。
【0009】
ところで、トナーに用いられる材料として、上記のような吸熱ピークを有するものは、多数存在する。例えば離型剤であるワックス類や、結晶性樹脂(結晶性ポリエステル等)等が挙げられる。これらの材料は一般的には、添加剤として結着樹脂とは別に添加される。その為、例えば本発明に用いられる結着樹脂と同様の温度領域に吸熱ピークを有する離型剤、若しくは結晶性樹脂を、従来公知の結着樹脂に添加した場合、添加剤そのものは、所定の温度で溶融するが、結着樹脂自体は溶融しない。その為、離型剤や結晶性樹脂の近辺では溶融状態は作り出されるが、メインバインダーである結着樹脂を含む全体では、均一な分散状態を得難い。
一方で、本発明の結着樹脂は、結着樹脂中の同一分子内に溶融ポイントが2つ存在する。その為、各溶融温度において、溶融ポイントを起点として、結着樹脂全体が一時的に半溶融状態となり、その他の材料と混ざり合うことで、全体としての均一分散が得られると予想される。即ち、溶融状態の形成と、混練シェアを掛けた混練の両立が可能となる。以上が、本発明の骨格である。
【0010】
以降、本発明についてより詳細に説明する。
本発明の結着樹脂において、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線における第1の吸熱ピークの吸熱量をΔH1とし、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線における第2の吸熱ピークの吸熱量をΔH2としたときに、ΔH1とΔH2が、ΔH1≦ΔH2の関係を満たすことが好ましい。
吸熱ピークの吸熱量は、分子が変化する時の変化量を表す為、吸熱量が大きいほど分子
全体が動き易くなる傾向が有る。より低温度領域にある第1の吸熱ピークにおける吸熱量ΔH1を第2の吸熱ピークの吸熱量ΔH2より小さくすることで、磁性酸化鉄粒子の配向性も揃う。そのため、磁性酸化鉄粒子は良好な分散性を示し、結果、トナーの黒色度も向上する為好ましい。
更に、本発明の結着樹脂において、上記第1の吸熱ピークの吸熱量ΔH1が、好ましくは0.20J/g以上、1.50J/g以下であり、より好ましくは0.25J/g以上、1.20J/g以下である。また、上記第2の吸熱ピークの吸熱量ΔH2が、好ましくは0.20J/g以上、2.00J/g以下であり、より好ましくは0.50J/g以上、1.80J/g以下である。
また、上記吸熱ピークにおいて、第1の吸熱ピークは、結着樹脂のガラス転移温度後に起こる高分子体が過剰に持っていたエネルギーを緩和する現象(エンタルピー緩和)に由来するピークであることが好ましい。
エンタルピー緩和は、結着樹脂がガラス状態から過冷却液体に相転移した直後にさらに分子が動こうとする力を示す。従って、第1の吸熱ピークにエンタルピー緩和による吸熱ピークを有することで、溶融状態の形成とシェアの掛かった混練をより両立させやすくなる為好ましい。
上記第1の吸熱ピーク、及び第2の吸熱ピーク、並びに、吸熱量ΔH1、及びΔH2は、結着樹脂のモノマー組成比や分子量を変化させることで、その数値を調整することが可能である。
また、各吸熱ピークの吸熱量を前記範囲にすることで、トナーの黒色度がより安定するため好ましい。
【0011】
一方、本発明の磁性酸化鉄粒子は、BET比表面積(以下、単にBETともいう)が、好ましくは7.0m/g以上、13.0m/g以下であり、より好ましくは9.0m/g以上、11.0m/g以下である。磁性酸化鉄粒子のBET比表面積を前記範囲に制御することで、トナー粒子表面に存在する磁性酸化鉄粒子の数が適正になり、帯電性が安定し、耐久によるカブリがより良化する為好ましい。
また、本発明に用いられる磁性酸化鉄粒子の形状は多面体が好ましい。磁性酸化鉄粒子の形状を多面体にすることで、結着樹脂との密着性が増し、高速の現像システムにおいてもトナー粒子から磁性酸化鉄粒子の遊離が抑えられるため好ましい。
また、本発明に用いられる磁性酸化鉄粒子の個数平均一次粒子径(以下、単に粒径ということもある)は、0.10μm以上、0.50μm以下であることが好ましく、0.10μm以上、0.30μm以下であることがより好ましい。同範囲にすることで、帯電性がより安定となり好ましい。
また、本発明の磁性酸化鉄粒子は、現像性をより安定にする為、測定磁場795.8kA/mでの飽和磁化(σs)は、70Am/kg以上、95Am/kg以下であることが好ましく、80Am/kg以上、90Am/kg以下であることがより好ましい。
【0012】
また、本発明のトナーの物性として、次に示す粘弾性特性を有することが好ましい。
即ち、トナーの周波数6.28rad/secで測定される粘弾性特性において、温度40℃における貯蔵弾性率(G’40)が、好ましくは7.0×10Pa以上、2.0×10Pa以下であり、温度70℃における貯蔵弾性率(G’70)が、好ましくは1.0×10Pa以上、1.0×10Pa以下であり、より好ましくは1.0×10Pa以上、5.0×10Pa以下である。
トナーの貯蔵弾性率とはその温度において、トナーが内部に蓄えられた応力を保持する能力、所謂弾性成分を示している。本発明に用いられる結着樹脂は、2つの温度領域に吸熱ピークを有するが、温度40℃における貯蔵弾性率(G’40)、及び、温度70℃における貯蔵弾性率(G’70)を一定の範囲に制御することで、より良好な分散状態を長期に安定的に維持出来る為好ましい。
【0013】
本発明に用いられる結着樹脂、即ち、二つの吸熱ピークを所定の温度範囲に有する結着樹脂は、例えば、分子鎖の一部を配向させ、同一分子内に結晶状態の部分を作り出すことにより作製することが出来る。この点で、本発明に用いられる結着樹脂は、ポリエステル樹脂が好ましく、その中でも特に線状ポリエステルが好ましい。本発明において特に好ましく用いられる線状ポリエステル樹脂の成分は以下の通りである。
ポリエステル樹脂を構成する2価の酸成分としては、以下のジカルボン酸又はその誘導体が挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸の如きアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物又はその低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル。
本発明で用いられる結着樹脂は、高分子鎖の一部を配向させることで結晶性を持たせることを特徴としているため、ポリエステル樹脂を構成する酸成分として、堅固な平面構造をとり、π電子系により非局在化した電子が豊富に存在することで、π−π相互作用により分子配向しやすい芳香族ジカルボン酸が好ましい。特に好ましくは直鎖構造をとりやすいテレフタル酸、イソフタル酸である。この芳香族ジカルボン酸の含有量は、上記吸熱ピークの温度を制御するという観点から、ポリエステル樹脂を構成する全酸成分100mol%中、好ましくは50mol%以上であり、より好ましくは70モル%以上であり、さらに好ましくは90モル%以上である。
一方、ポリエステル樹脂を構成する2価のアルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、水素化ビスフェノールA、下記式(1)で表されるビスフェノール及びその誘導体:および下記式(2)で示されるジオール類。
【0014】
【化1】

(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x、yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0乃至10である。)
【0015】
【化2】

【0016】
これらの中でも、分子の一部を配向させ結晶性を持たせるという観点から直鎖構造をとり易い、炭素数2以上6以下の直鎖脂肪族アルコールが好ましい。当該直鎖脂肪族アルコールの含有量は、ポリエステル樹脂を構成する全アルコール成分100mol%中、好ましくは40mol%以上であり、より好ましくは50モル%以上である。
但し、それだけでは結晶化度が高くなり、非晶質の性質が失われてしまう。そこで、上
記酸とアルコールの組み合わせで得られたポリエステル樹脂の結晶構造を一部崩し、同一分子内に2つの吸熱ピークを持たせる為に、直鎖構造をとりつつ立体的に結晶性を崩すことが可能な側鎖に置換基を有する、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、及び、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等からなる群より選ばれる少なくとも一種の使用量が、ポリエステル樹脂を構成する全アルコール成分100モル%中、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上である。
本発明で用いられるポリエステル樹脂は、上述の2価のカルボン酸成分および2価のアルコール成分以外に、1価のカルボン酸成分、1価のアルコール成分、3価以上のカルボン酸成分、3価以上のアルコール成分を構成成分として含有してもよい。
1価のカルボン酸成分としては、安息香酸、p−メチル安息香酸等の炭素数30以下の芳香族カルボン酸や、ステアリン酸、ベヘン酸等の炭素数30以下の脂肪族カルボン酸等が挙げられる。
また、1価のアルコール成分としては、ベンジルアルコール等の炭素数30以下の芳香族アルコールや、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベへニルアルコール等の炭素数30以下の脂肪族アルコール等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸成分としては、特に制限されないが、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
また、3価以上のアルコール成分としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等が挙げられる。
ここで、本発明に用いられる結着樹脂としては、上記ポリエステル樹脂以外に、本発明の効果を損なわない程度に、公知のトナーを構成する結着樹脂を含有させることが可能である。
【0017】
上記ポリエステル樹脂の製造方法については、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、前述のカルボン酸成分およびアルコール成分を一緒に仕込み、エステル化反応またはエステル交換反応、および縮合反応を経て重合し、ポリエステル樹脂を製造する。ポリエステル樹脂の重合に際しては、例えば、チタンテトラブトキシド、ジブチルスズオキシド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の重合触媒を用いることができる。また、重合温度は、特に制限されないが、180〜290℃の範囲が好ましい。
また、本発明に用いられる結着樹脂の軟化点は低温定着性の観点から、定荷重押し出し方式の細管式レオメーターを用い、後述する方法にて算出される軟化点温度(Tm)が70℃以上、120℃以下であることが好ましい。さらに、本発明に用いられる結着樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、分子量5000〜10000の領域に少なくとも1つのピークを有することが好ましい。
【0018】
本発明に用いられる磁性酸化鉄粒子は、吸油量を規定の範囲に制御してあれば、特に制限は無いが、好ましくは、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄が用いられる。本発明で用いられる磁性酸化鉄粒子の製造方法は一般的な製造方法を用いても特に問題は無いが、好ましい製造方法について、以下具体的に説明する。
本発明に用いる磁性酸化鉄粒子は、第一鉄塩水溶液とアルカリ溶液とを中和混合して得られた、水酸化第一鉄スラリーを酸化して、磁性酸化鉄粒子を製造する方法である。
第一鉄塩として利用できるものは、硫酸第一鉄又は、塩化第一鉄の如き、水可溶性塩ならば特に限定されない。
次に、第一鉄塩水溶液とアルカリ溶液とを中和混合して、水酸化第一鉄スラリーを生成させる。ここでアルカリ溶液は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム水溶液の如き水酸化アルカリ水溶液を用いることが出来る。水酸化第一鉄スラリーを生成させる際のアルカリ溶液量は、求める磁性酸化鉄粒子の形状に応じて調整すればよい。こうして得られた、水酸化第一鉄スラリーより、磁性酸化鉄粒子を得るために、常法の酸素含有ガス、好ましく
は空気をスラリー中に吹き込みながら酸化反応を行う。ここで、必要があれば、得られたコア粒子の表面に各種金属元素を含む被覆層を形成しても良い。
得られた磁性酸化鉄粒子のスラリーを常法のろ過、洗浄、乾燥、粉砕処理を行い、磁性酸化鉄粒子を得る。
特に本発明において、磁性酸化鉄粒子の吸油量は、例えば磁性酸化鉄粒子の形状の制御や、磁性酸化鉄粒子の表面処理等を制御することにより調整することが出来る。また、磁性酸化鉄粒子の吸油量は磁性酸化鉄粒子のストラクチャー構造も反映している為、磁性酸化鉄粒子をミックスマーラー又はらいかい機等を用いて圧縮、せん断及びへらなでし、凝集体をほぐすことで、吸油量を調整することも出来る。
本発明において、上記磁性酸化鉄粒子の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは20質量部以上150質量部以下であり、より好ましくは40質量部以上120質量部以下である。
【0019】
また本発明においては、トナーに離型性を与えるために必要に応じて離型剤(ワックス)を用いることができる。該ワックスとしては、トナー粒子中での分散のしやすさ、離型性の高さから、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き炭化水素系ワックスが好ましく用いられる。必要に応じて一種または二種以上のワックスを、併用してもかまわない。例としては次のものが挙げられる。
酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
本発明において特に好ましく用いられるワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。このような脂肪族炭化水素系ワックスとしては、以下のものが挙げられる。アルキレンを高圧下でラジカル重合し、又は低気圧下でチーグラー触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から得られる合成炭化水素ワックス及びそれを水素添加して得られる合成炭化水素ワックス;これらの脂肪族炭化水素系ワックスをプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により分別したワックス。
前記脂肪族炭化水素系ワックスの母体としての炭化水素としては、以下のものが挙げられる。金属酸化物系触媒(多くは二種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの(例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)に
よって合成された炭化水素化合物);ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンの如きアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素。このような炭化水素の中でも、本発明では、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であることが好ましく、特にアルキレンの重合によらない方法により合成された炭化水素がその分子量分布からも好ましい。
使用できる具体的な例としては、以下のものが挙げられる。ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200(三洋化成工業株式会社);ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学株式会社);サゾール H1、H2、C80、C105、C77(サゾール社);HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精蝋株式会社)、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社);木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODA)。
該離型剤(ワックス)は結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下添加することが好ましい。
【0020】
本発明のトナーには、その帯電性を安定化させるために電荷制御剤を用いることが好ましい。電荷制御剤は、その種類や他のトナー粒子構成材料の物性によっても異なるが、一般に、トナー粒子中に結着樹脂100質量部当たり0.1質量部以上10質量部以下含まれることが好ましく、0.1質量部以上5質量部以下含まれることがより好ましい。このような電荷制御剤としては、本発明に用いられる結着樹脂の末端に存在する酸基あるいは水酸基と中心金属が相互作用し易い、有機金属錯体、キレート化合物が有効である。その例としては、モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体;芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩が挙げられる。
使用できる具体的な例としては、Spilon Black TRH、T−77、T−95(保土谷化学社)、BONTRON(登録商標)S−34、S−44、S−54、E−84、E−88、E−89 (オリエント化学社)が挙げられる。また、電荷制御樹脂も上述の電荷制御剤と併用することもできる。
【0021】
また、本発明のトナーにおいては、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上のため、シリカ微粉末をトナー粒子に外添することが好ましい。
本発明に用いられるシリカ微粉末は、窒素吸着によるBET法による比表面積が30m/g以上(より好ましくは50m/g以上400m/g以下)の範囲内のものが良好な結果を与える。トナー粒子100質量部に対してシリカ微粉体0.01質量部以上8.00質量部以下、好ましくは0.10質量部以上5.00質量部以下使用するのが良い。前記シリカ微粉末のBET比表面積は、例えば比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)、GEMINI2360/2375(マイクロメティリック社製)、トライスター3000(マイクロメティリック社製)を用いてシリカ微粉末の表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
また、本発明に用いられるシリカ微粉末は、必要に応じ、疎水化、摩擦帯電性コントロールの目的で未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン化合物又は、その他の有機ケイ素化合物の如き処理剤で、或いは種々の処理剤を併用して処理されていることが好ましい。
更に本発明のトナーには、必要に応じて他の添加剤を外部添加しても良い。このような添加剤としては、例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラ定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粉体が挙げられる。例えば滑剤としては、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフ
ッ化ビニリデン粉末が挙げられる。また研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられ、中でもチタン酸ストロンチウム粉末が好ましい。
【0022】
本発明のトナーを作製するには、結着樹脂及び着色剤としての磁性酸化鉄粒子、並びに必要に応じてワックス、荷電制御剤、及びその他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により充分混合してから二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に、ワックス、磁性酸化鉄粒子及び含金属化合物を分散又は溶解せしめ、冷却固化後粉砕及び分級を行って本発明に係るトナー粒子を得ることが出来る。
さらに必要に応じ所望の外添剤をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分混合し、本発明に係るトナーを得ることができる。
混合機としては、以下のものが挙げられる。ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。
混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。
粉砕機としては、以下のものが挙げられる。カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。
分級機としては、以下のものが挙げられる。クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)。
粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い。
特に本発明においては、磁性酸化鉄粒子を結着樹脂中に均一分散させるため、トナー製造時の溶融混練時に十分に混合することが重要である。本発明においては、二軸押出混練機が好ましく使用される。
二軸押出混練機には、温度を一定に保つ加熱シリンダーの中に2本のパドルと呼ばれる回転軸が通っている。原材料は加熱シリンダーの一端から供給され、加熱されて溶融状態になりつつパドルの回転により混練されてもう一端より押出される。途中に脱気を主な目的とするベント孔を設置することもある。図1に本発明に好ましく用いられる押出混練機の概略図を示す。
この混合分散を良好に行う為には、混練時の加熱設定温度を調整することが好ましい。本発明では、混練物の到達温度が100℃以上、200℃以下であることが好ましい。この温度範囲であれば、均一分散状態を安定的に得る事が出来好ましい。
【0023】
本発明に係る物性の測定方法は以下に示す通りである。後述の実施例もこの方法に基づいている。
<結着樹脂の吸熱ピーク及び吸熱量の測定>
結着樹脂のDSC曲線における第1及び第2の吸熱ピークのピーク温度、並びに、第1及び第2の吸熱ピークの吸熱量は以下の方法で測定される。まず、結着樹脂の吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量計「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、結着樹脂約5mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30乃至200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この昇温過程において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、結着樹脂のガラス転移温度(Tg)とする。
上記2度目の昇温過程で温度30乃至200℃の範囲において、ガラス転移温度(Tg)の直後に得られた吸熱ピークを第1の吸熱ピークP1、さらに昇温させて得られる吸熱ピークを第2の吸熱ピークP2とする。そして、該第1及び第2の吸熱ピークのピーク温度をそれぞれ温度P1および温度P2という。一方、該第1及び第2の吸熱ピークの吸熱量ΔHは上記吸熱ピークの積分値を求めることで得ることができる。
【0024】
<結着樹脂の軟化点の測定>
結着樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメーター「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダーに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダー底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量(Smax)と、流出が開始した時点におけるピストンの降下量(Smin)との差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度(Tm)である。
測定試料は、約1.0gのサンプルを、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
【0025】
<結着樹脂のピーク分子量(Mp)の測定>
結着樹脂のピーク分子量(Mp)の測定は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)を用いて以下に示す通り行う。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。
試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては例えば、東ソー社製あるいは昭和電工社製の分子量が1×10〜1×10程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。又、検出器はRI(屈折率)検出器を用いる。尚、カラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807、800Pの組み合せや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd
columnの組み合せを挙げることができる。
また、試料は以下のようにして作製する。
試料をTHF中に入れ、25℃で数時間放置した後、十分振とうし、THFとよく混ぜ(試料の合一体が無くなるまで)、更に12時間以上静置する。その時THF中への放置時間が24時間となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2〜0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)など使用できる。)を通過させたものをGPCの試料とする。又、試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0026】
<磁性酸化鉄粒子の吸油量の測定>
本発明において、磁性酸化鉄粒子のアマニ油吸油量はJIS K 5101−1978(顔料試験方法)に記載されている方法に従って測定された値をいう。
【0027】
<磁性酸化鉄粒子の形状及び平均一次粒子径の測定>
平均一次粒子径は走査型電子顕微鏡(倍率40000倍)で磁性酸化鉄粒子を観察し、200個の粒子のフェレ径を計測し個数平均一次粒子径を求めた。また、観察像より磁性酸化鉄粒子の形状を判断した。本実施例において、走査型電子顕微鏡としては、S−4700(日立製作所製)を用いた。
【0028】
<磁性酸化鉄粒子のBET比表面積の測定>
磁性酸化鉄粒子のBET比表面積の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行なう。具体的な測定方法は、以下の通りである。
測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、本装置に付属の専用ソフト「TriStar3000 Version4.00」を用いて行い、また装置には真空ポンプ、窒素ガス配管、ヘリウムガス配管が接続される。窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET多点法により算出した値を本発明におけるBET比表面積とする。
尚、BET比表面積は以下のようにして算出する。
まず、磁性酸化鉄粒子に窒素ガスを吸着させ、その時の試料セル内の平衡圧力P(Pa)と磁性酸化鉄粒子の窒素吸着量Va(mol・g−1)を測定する。そして、試料セル内の平衡圧力P(Pa)を窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)で除した値である相対圧Prを横軸とし、窒素吸着量Va(mol・g−1)を縦軸とした吸着等温線を得る。次いで、磁性酸化鉄粒子の表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量である単分子層吸着量Vm
(mol・g−1)を、下記のBET式を適用して求める。
Pr/Va(1−Pr)=1/(Vm×C)+(C−1)×Pr/(Vm×C)
(ここで、CはBETパラメータであり、測定サンプル種、吸着ガス種、吸着温度により変動する変数である。)
BET式は、X軸をPr、Y軸をPr/Va(1−Pr)とすると、傾きが(C−1)/(Vm×C)、切片が1/(Vm×C)の直線と解釈できる(この直線をBETプロットという)。
直線の傾き=(C−1)/(Vm×C)
直線の切片=1/(Vm×C)
Prの実測値とPr/Va(1−Pr)の実測値をグラフ上にプロットして最小二乗法により直線を引くと、その直線の傾きと切片の値が算出できる。これらの値を用いて上記の傾きと切片の連立方程式を解くと、VmとCが算出できる。
さらに、上記で算出したVmと窒素分子の分子占有断面積(0.162nm)から、下記の式に基づいて、磁性酸化鉄粒子のBET比表面積S(m・g−1)を算出する。
S=Vm×N×0.162×10−18
(ここで、Nはアボガドロ数(mol−1)である。)
本装置を用いた測定は、装置に付属の「TriStar3000 取扱説明書V4.0」に従うが、具体的には、以下の手順で測定する。
充分に洗浄、乾燥した専用のガラス製試料セル(ステム直径3/8インチ、容積約5ml)の風袋を精秤する。そして、ロートを使ってこの試料セルの中に約1.5gの磁性酸化鉄粒子を入れる。
磁性酸化鉄粒子を入れた前記試料セルを真空ポンプと窒素ガス配管を接続した「前処理装置 バキュプレップ061(島津製作所社製)」にセットし、23℃にて真空脱気を約10時間継続する。尚、真空脱気の際には、磁性酸化鉄粒子が真空ポンプに吸引されないよう、バルブを調整しながら徐々に脱気する。セル内の圧力は脱気とともに徐々に下がり、最終的には約0.4Pa(約3ミリトール)となる。真空脱気終了後、窒素ガスを徐々に注入して試料セル内を大気圧に戻し、試料セルを前処理装置から取り外す。そして、この試料セルの質量を精秤し、風袋との差から磁性酸化鉄粒子の正確な質量を算出する。尚、この際に、試料セル内の磁性酸化鉄粒子が大気中の水分等で汚染されないように、秤量中はゴム栓で試料セルに蓋をしておく。
次に、磁性酸化鉄粒子が入った前記の試料セルのステム部に専用の「等温ジャケット」を取り付ける。そして、この試料セル内に専用のフィラーロッドを挿入し、前記装置の分析ポートに試料セルをセットする。尚、等温ジャケットとは、毛細管現象により液体窒素を一定レベルまで吸い上げることが可能な、内面が多孔性材料、外面が不浸透性材料で構成された筒状の部材である。
続いて、接続器具を含む試料セルのフリースペースの測定を行なう。フリースペースは、23℃においてヘリウムガスを用いて試料セルの容積を測定し、続いて液体窒素で試料セルを冷却した後の試料セルの容積を、同様にヘリウムガスを用いて測定して、これらの容積の差から換算して算出する。また、窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)は、装置に内蔵されたPoチューブを使用して、別途に自動で測定される。
次に、試料セル内の真空脱気を行った後、真空脱気を継続しながら試料セルを液体窒素で冷却する。その後、窒素ガスを試料セル内に段階的に導入して磁性酸化鉄粒子に窒素分子を吸着させる。この際、平衡圧力P(Pa)を随時計測することにより前記した吸着等温線が得られるので、この吸着等温線をBETプロットに変換する。尚、データを収集する相対圧Prのポイントは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の合計6ポイントに設定する。得られた測定データに対して最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片からVmを算出する。さらに、このVmの値を用いて、前記したように磁性酸化鉄粒子のBET比表面積を算出する。
【0029】
<磁性酸化鉄粒子の磁気特性の測定>
東英工業製振動試料型磁力計VSM―P7を使用し、試料温度25℃、外部磁場795.8kA/mにて測定した。
【0030】
<トナーの粘弾性の測定>
トナーの、温度40℃における貯蔵弾性率(G’40)及び温度70℃における貯蔵弾性率(G’70)は以下のように測定する。
測定装置としては、回転平板型レオメーター「ARES」(TA INSTRUMENTS社製)を用いる。
測定試料としては、25℃の環境下で、錠剤成型器を用いて、トナーを直径7.9mm、厚さ2.0±0.3mmの円板状に加圧成型した試料を用いる。
該試料をパラレルプレートに装着し、室温(25℃)から100℃に15分間で昇温して、試料の形を整えた後、粘弾性の測定開始温度まで冷却し、測定を開始する。この際、初期のノーマルフォースが0になるようにサンプルをセットする。また、以下に述べるように、その後の測定においては、自動テンション調整(Auto Tension Adjustment ON)にすることで、ノーマルフォースの影響をキャンセルできる。
測定は、以下の条件で行う。
(1)直径7.9mmのパラレルプレートを用いる。
(2)周波数(Frequency)は6.28rad/sec(1.0Hz)とする。(3)印加歪初期値(Strain)を0.1%に設定する。
(4)30〜200℃の間を、昇温速度(Ramp Rate)2.0℃/minで測定を行う。尚、測定においては、以下の自動調整モードの設定条件で行う。自動歪み調整モード(Auto Strain)で測定を行う。
(5)最大歪(Max Applied Strain)を20.0%に設定する。
(6)最大トルク(Max Allowed Torque)200.0g・cmとし、最低トルク(Min Allowed Torque)0.2g・cmと設定する。
(7)歪み調整(Strain Adjustment)を 20.0% of Current Strain と設定する。測定においては、自動テンション調整モード(Auto Tension)を採用する。
(8)自動テンションディレクション(Auto Tension Direction)をコンプレッション(Compression)と設定する。
(9)初期スタティックフォース(Initial Static Force)を10.0g、自動テンションセンシティビティ(Auto Tension Sensitivity)を40.0gと設定する。
(10)自動テンション(Auto Tension)の作動条件は、サンプルモデュラス(Sample Modulus)が1.0×10(Pa)以上である。
【0031】
<トナー黒色度の評価>
トナーの黒色度の評価は、ベタ黒画像のCIE Lab測定におけるL値を測定した。
測定にはGretagMacbeth社製 Spectrolinoを用いて測定することができる。以下に具体的な測定条件を示す。
(測定条件)
観測光源:D50
観測視野:2°
濃度 :DIN
白色基準:Abs
フィルター:No
【実施例】
【0032】
以上本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下実施例にもとづいて具体的に
本発明を説明する。しかしながら、本発明は何らこれらに限定されるものではない。尚、以下の配合における「部」、「%」は特に説明が無い場合は質量基準である。
【0033】
<結着樹脂(A−1)の製造例>
[酸成分]
・テレフタル酸(TPA) 100mol部
[アルコール成分]
・エチレングリコール(EG) 65mol部
・ネオペンチルグリコール(NPG) 40mol部
上記ポリエステルを構成するためのモノマーをエステル化触媒(ジブチルスズオキシド)と共に5Lオートクレーブに仕込んだ。そこに、還流冷却器、水分分離装置、Nガス導入管、温度計及び攪拌装置を付し、オートクレーブ内にNガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。反応の進行度合いを粘度でモニターしながら行い、反応が後期に差し掛かったところで無水トリメリット酸:5mol部を加えた。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂(A−1)を得た。該結着樹脂の諸物性については表2(表では「樹脂A−1」と記した)に示した通りである。
【0034】
<結着樹脂(A−2)乃至(A−11)の製造例>
表1に記載のモノマーをエステル化触媒(ジブチルスズオキシド)とともに5Lオートクレーブに仕込み、還流冷却器、水分分離装置、Nガス導入管、温度計及び攪拌装置を付し、オートクレーブ内にNガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。この際、表1に「後添」と記載してあるモノマーに関しては、重縮合反応の後期に加えた。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂(A−2)乃至(A−11)を得た。これらの結着樹脂の諸物性については表2に示した通りである。
【0035】
<磁性酸化鉄粒子(B−1)の製造例>
Fe2+を2.0mol/L含有する水溶液50Lに水溶性ケイ酸塩としてSi4+を0.23mol/L含有する水溶液を10L添加し、NaOHを5.0mol/L含有する水溶液42Lと撹拌混合し、水酸化第一鉄スラリーを得た。この水酸化第一鉄スラリーのpHを12に調整し、温度90℃にて30L/minの空気を吹き込みコア粒子が50%生成するまで酸化反応を行い、次いで、コア粒子が75%生成するまで20L/minの空気を吹き込む、次いでコア粒子が90%生成するまで10L/minの空気を吹き込む、次いで空気を5L/min吹き込み酸化反応を完結させ、コア粒子スラリーを得た。得られたコア粒子の磁性酸化鉄粒子スラリーへケイ酸ソーダの水溶液(Si品位13.4%)を120gと、硫酸アルミニウム水溶液(Al品位4.2%)を380g同時に投入し、pHを5以上、9以下に調整し、表面をケイ素及びアルミニウムを含む被覆層が形成された磁性酸化鉄粒子スラリーを得た。得られた磁性酸化鉄粒子を含むスラリーを常法の濾過、乾燥、粉砕を行い、磁性酸化鉄粒子(B−1)を得た。磁性酸化鉄粒子(B−1)に関して前記測定法により測定された物性値を表3に示す。
【0036】
<磁性酸化鉄粒子(B−2)の製造例>
Fe2+を2.0mol/L含有する水溶液50Lに水溶性ケイ酸塩としてSi4+を0.192mol/L含有する水溶液20L添加し、NaOHを5.0mol/L含有する水溶液42Lと撹拌混合した。得られたスラリー中の残留NaOHは2.5g/Lであった。このスラリーの温度を85℃に維持しながら空気を65L/min通気することで酸化を行い、コア粒子を得た。得られたスラリーにFe2+を1.30mol/L、Zn2+を0.05mol/L、且つSi4+を0.26mol/L含有する硫酸第一水溶液、硫酸亜鉛水溶液、及びケイ酸ナトリウム水溶液の混合水溶液4.50Lを添加し、混合スラリーのpHを8.5、温度85℃に維持しながら再び空気を通気して酸化を行い、表面を亜鉛及びケイ素を含む複合酸化鉄にて被覆した。得られた磁性酸化鉄粒子のスラリー
にせん断をかけ、その後、常法の濾過、洗浄後、粉砕を行い磁性酸化鉄粒子(B−2)とした。磁性酸化鉄粒子(B−2)に関して前記測定法により測定された物性値を表3に示す。
【0037】
<磁性酸化鉄粒子(B−3)の製造例>
2mol/Lの硫酸第一鉄水溶液50Lに、0.14mol/Lの硫酸チタニル水溶液5Lを、pH1、温度50℃の条件下で混合し、十分撹拌した。このチタン塩含有硫酸第一鉄水溶液と、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液43Lを混合して水酸化第一鉄スラリーを得た。この水酸化第一鉄スラリーを、pHを12に維持し、85℃にて空気を吹き込み酸化反応を行った。得られた磁性酸化鉄粒子を含むスラリーを常法のろ過、洗浄、乾燥、粉砕を行ない、磁性酸化鉄粒子(B−3)を得た。磁性酸化鉄粒子(B−3)に関して前記測定法により測定された物性値を表3に示す。
【0038】
<磁性酸化鉄粒子(B−4)の製造例>
磁性酸化鉄粒子(B−1)の製造例において、水酸化第一鉄スラリーのpHを13に変更し、また、粉砕後の磁性酸化鉄粒子をヨドキャスティング社製サンドミルMPUV−2に投入、装置内雰囲気温度を70℃に調整しながら、線荷重140kg/cmにて30分間圧密処理を行った以外は磁性酸化鉄粒子(B−1)と同様にして、磁性酸化鉄粒子(B−4)を得た。磁性酸化鉄粒子(B−4)に関して前記測定法により測定された物性値を表3に示す。
【0039】
<磁性酸化鉄粒子(B−5)の製造例>
磁性酸化鉄粒子(B−3)の製造例において、水酸化第一鉄スラリーを、pHを13に変更し、反応温度を80℃とする以外は、磁性酸化鉄粒子(B−3)の製造例と同様にして磁性酸化鉄粒子(B−5)を得た。磁性酸化鉄粒子(B−5)に関して前記測定法により測定された物性値を表3に示す。
【0040】
<磁性酸化鉄粒子(B−6)の製造例>
磁性酸化鉄粒子(B−1)の製造例において、ケイ酸ソーダの水溶液(Si品位13.4%)の添加量を180gとした以外は、磁性酸化鉄粒子(B−1)の製造例と同様にして磁性酸化鉄粒子(B−6)を得た。磁性酸化鉄粒子(B−6)に関して前記測定法により測定された物性値を表3に示す。
【0041】
<磁性酸化鉄粒子(B−7)の製造例>
Fe2+1.55mol/Lを含む硫酸第一鉄水溶液65Lと、2.37mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液88Lを混合し、撹拌した。混合水溶液中の残留水酸化ナトリウムが2.1g/Lとなるように調整後、温度80℃、pHを6〜8に維持しながら、30L/minの空気を吹き込み、第1の酸化反応を一旦終了させた。
次いで、Fe2+1.27mol/Lを含む硫酸第一鉄水溶液中に、Zn2+0.5mol/Lとなるように硫酸亜鉛を添加した水溶液2.25Lを別に用意し、前述の反応スラリーに加え、pHを6〜8に維持しながら、再び15L/minの空気を吹き込み、第2の酸化反応を終了させた。
次いで、Fe2+1.01mol/Lを含む硫酸第一水溶液中に、Si4+0.44mol/Lとなるようにケイ酸ナトリウム(3号)を添加した水溶液2.3Lを別に用意し、前述の反応スラリーに加え、pHを6〜8に維持しながら、再び15L/minの空気を吹き込み、第3の酸化反応を終了させた。得られた生成粒子は通常の洗浄、濾過、乾燥、粉砕工程により処理し、磁性酸化鉄粒子(B−7)を得た。磁性酸化鉄粒子(B−7)に関して前記測定法により測定された物性値を表3に示す。
【0042】
<磁性酸化鉄粒子(B−8)の製造例>
1.8mol/Lの硫酸第一鉄水溶液50Lと、濃度3.8mol/Lの苛性ソーダ水溶液45L、Siに換算して0.3mol/Lの3号珪酸ソーダ5Lを混合し、水酸化第一鉄を含むスラリーを得た。このスラリーを85℃、pHが6〜8に維持しながら、20L/分の速度で空気を吹き込み、酸化反応を行った(第一段反応)。
ここで、一旦空気の吹き込みを停止し、1.8mol/Lの硫酸第一鉄水溶液1.9Lと、0.7mol/Lの硫酸亜鉛水溶液1Lとを反応スラリーに添加し、pHが8になるように10mol/Lの苛性ソーダ水溶液を適量添加した。十分に撹拌後、20L/分の速度で空気を吹き込む酸化反応を再開した。そして、酸化反応中の反応スラリーのpHが8〜9となるように調整し、反応を終了させた(第二段反応)。
こうして得られた磁性酸化鉄粒子を含むスラリーを常法の濾過洗浄、乾燥、解砕後、ヨドキャスティング社製サンドミルMPUV−2に投入、装置内雰囲気温度を70℃に調整しながら、線荷重140kg/cmにて30分間圧密処理を行い、磁性酸化鉄粒子(B−8)を得た。磁性酸化鉄粒子(B−8)に関して前記測定法により測定された物性値を表3に示す。
【0043】
<磁性酸化鉄粒子(B−9)の製造例>
3.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液20Lを入れた反応容器中に、Fe2+が1.5mol/Lである硫酸第一鉄水溶液20Lを加え、温度を95℃として、水酸化第一鉄塩コロイドを含有する第一鉄塩懸濁液を生成させた。
ここに毎分100Lの空気を通気させながらケイ素分を28g有するケイ酸ナトリウム水溶液0.2Lを60分かけて滴下した。その後30分撹拌して磁性酸化鉄粒子を含む第一鉄懸濁液を得た。
ここに6.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10.5とした。さらに毎分100Lの空気を通気させながらケイ素分を28g有するケイ酸ナトリウム水溶液0.1Lを30分かけて滴下してその後30分撹拌して磁性酸化鉄粒子を生成させた。
ここに0.5mol/Lの硫酸アルミニウム水溶液150mlを添加し十分に撹拌したのち、磁性酸化鉄粒子を濾別した。これを水洗、乾燥、解砕後、ヨドキャスティング社製サンドミルMPUV−2に投入、装置内雰囲気温度を70℃に調整しながら、線荷重140kg/cmにて30分間圧密処理を行い、磁性酸化鉄粒子(B−9)を得た。磁性酸化鉄粒子(B−9)に関して前記測定法により測定された物性値を表3に示す。
【0044】
<磁性酸化鉄粒子(B−10)の製造例>
Fe2+1.54mol/Lを含む硫酸第一鉄水溶液65Lと、2.38mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液88Lを混合し、撹拌した。混合水溶液中の残留水酸化ナトリウムが2.1g/Lとなるように調整後、温度80℃を維持しながら、30L/minの空気を吹き込み、第1の酸化反応を一旦終了させた。
次いで、Fe2+1.27mol/Lを含む硫酸第一鉄水溶液中に、Zn2+0.5mol/Lとなるように硫酸亜鉛を添加した水溶液2.25Lを別に用意し、前述の反応スラリーに加え、再び15L/minの空気を吹き込み、第2の酸化反応を終了させた。
次いで、Fe2+1.01mol/Lを含む硫酸第一水溶液中に、Si4+0.60mol/Lとなるようにケイ酸ナトリウム(3号)を添加した水溶液2.3Lを別に用意し、前述の反応スラリーに加え、再び15L/minの空気を吹き込み、第3の酸化反応を終了させた。得られた生成粒子は通常の洗浄、濾過、乾燥、解砕工程により処理し、磁性酸化鉄粒子(B−10)を得た。磁性酸化鉄粒子(B−10)に関して前記測定法により測定された物性値を表3に示す。
【0045】
<磁性酸化鉄粒子(B−11)の製造例>
珪酸ソーダ(3号)(SiO 29wt%)2770gを含む1.83mol/LのNaOH水溶液31.2Lに、1.6Nの硫酸第一鉄水溶液18.8Lを添加してFe(
OH)を含む硫酸第一鉄水溶液を得た。この時の鉄に対するアルカリの添加量2OH/Feは0.95であり、Fe2+(Fe(OH)を含む)の濃度は0.6mol/Lであった。Fe(OH)を含む硫酸第一鉄水溶液に90℃の温度で毎分100Lの空気を120分間通気して磁性酸化鉄粒子を含む水溶液の生成反応を行った。
引き続き、6NのNaOH水溶液1.58L(Fe2+に対して1.10当量に該当する。)、pH11.9、温度90℃において毎分100Lの空気を60分間通気して磁性酸化鉄粒子の生成反応を行った。この磁性酸化鉄粒子を含むアルカリ性懸濁液中に硫酸アルミニウム10%水溶液1.56L(磁性酸化鉄に対して0.1wt%に該当する。)を加え30分間攪拌した後、3Nの希硫酸を添加してpH7に調整した。得られた黒色沈澱物を常法により、濾過、水洗、乾燥、解砕した。その後、ヨドキャスティング社製サンドミルMPUV−2に投入、装置内雰囲気温度を70℃に調整しながら、線荷重150kg/cmにて50分間圧密処理を行い、磁性酸化鉄粒子(B−11)を得た。磁性酸化鉄粒子(B−11)に関して前記測定法により測定された物性値を表3に示す。
【0046】
<磁性酸化鉄粒子(B−12)の製造例>
Fe2+1.54mol/Lを含む硫酸第一鉄水溶液65Lと、2.38mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液88Lを混合し、撹拌した。混合水溶液中の残留水酸化ナトリウムが2.1g/Lとなるように調整後、温度80℃を維持しながら、30L/minの空気を吹き込み、第1の酸化反応を一旦終了させた。
次いで、Fe2+1.27mol/Lを含む硫酸第一鉄水溶液中に、Zn2+0.5mol/Lとなるように硫酸亜鉛を添加した水溶液2.25Lを別に用意し、前述の反応スラリーに加え、再び15L/minの空気を吹き込み、第2の酸化反応を終了させた。得られた生成粒子は通常の洗浄、濾過、乾燥、解砕工程により処理し、磁性酸化鉄粒子(B−12)を得た。磁性酸化鉄粒子(B−12)に関して前記測定法により測定された物性値を表3に示す。
【0047】
〔実施例1〕
・結着樹脂(A−1) 100質量部
・磁性酸化鉄粒子(B−1) 70質量部
・下記に示す荷電制御剤−1 2質量部
【0048】
【化3】

【0049】
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、図1に示した、二軸混練押出機を用い、吐出口における溶融物温度が160℃になるように、温度を設定し、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ジェットミルで粉砕し、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)5.5μmの負帯電性の磁性トナー粒子を得た。磁性トナー粒子100質量部に対し、疎水性シリカ微粉体1[BET比表面積150m/gのシリカ微粉体100質量部
に対しヘキサメチルジシラザン(HMDS)30質量部及びジメチルシリコンオイル10質量部で疎水化処理したもの]を1.0質量部とチタン酸ストロンチウム微粉体(粒度分布の累積体積頻度が50%となる粒径[D50]:1.0μm)3.0質量部を外添混合し目開き150μmのメッシュで篩い、トナー(C−1)を得た。トナーの処方及び得られた物性を表4に記す。
得られたトナー(C−1)について、市販のデジタル複写機iR5075N(キヤノン(株)社製)を用い、高温高湿環境[HH](30℃、80%RH)、常温常湿環境[NN](23℃、50%RH)で印字比率5%のテストチャートを用いて10万枚の連続プリントを行い、以下の評価を行った。結果を表4に示す。
<ドラムフィルミング[HH]及び[NN]の評価>
静電荷像担持体(感光体ドラム)へのフィルミングについては、上記10万枚プリント終了後、各試験環境([HH]、[NN])に於いてハーフトーン画像を5枚連続して出力し、白抜けや画像スジなどの画像欠陥の状況を目視で観察することにより、以下の基準により判断した。
A(非常に良い):全く画像欠陥が無い
B(良い):画像欠陥が極僅かに有る
C(普通):画像欠陥が多少有る
D(悪い):画像欠陥がかなり有る
<カブリ[HH]及び[NN]の評価>
カブリは、反射率計(リフレクトメーター モデル TC−6DS 東京電色社製)を用いて測定を行い、画像形成後の白地部反射濃度最悪値をDs、画像形成前の転写材の反射平均濃度をDrとし、Dr−Dsをカブリ量としてカブリの評価を行った。したがって、数値が小さいほどカブリ抑制が良いことを示す。この評価を、各試験環境([HH]、[NN])に於いて10万枚プリント終了後に行い、以下の基準で評価した。
A(非常に良い):カブリが1未満
B(良い):カブリが1以上、3未満
C(普通):カブリが3以上、5未満。
D(悪い):カブリが5以上。
<色調測定(L値[NN])>
色調測定は上記評価機を用いて、常温常湿環境(23℃、50%RH)において10万枚プリント後、紙を差し引いたトナー透過濃度が1.30以上1.50以下のベタ黒画像を出力し、このベタ黒画像のCIE Lab測定におけるL値を測定した。なお小さい数値ほど黒味が強いことを表す。測定にはGretagMacbeth社製 Spectrolinoを用いて測定した。
実施例1に関しては、何れの評価も良好な結果が得られた。
【0050】
〔実施例2乃至15〕
実施例1に記載のトナー製造例において、表4に記載の処方に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー(C−2)乃至(C−15)を作製した。これらのトナーに対して、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表4に示す。
実施例2に関しては、結着樹脂の第1の吸熱ピークP1温度が本発明における規定値の下限付近の為、ドラムフィルミングの評価が高温高湿環境でCランク、常温常湿環境でBランクとなった。
実施例3に関しては、結着樹脂の第1の吸熱ピークP1温度が本発明における規定値の上限付近の為、ドラムフィルミングの評価が高温高湿環境でCランク、常温常湿環境でBランクとなった。また、結着樹脂の吸熱量ΔH1とΔH2の値が同一の為、L値の値が上昇した。また、磁性酸化鉄粒子のBET比表面積が上記好ましい範囲外であるため、高温高湿環境のかぶり評価がBランクとなった。
実施例4に関しては、結着樹脂の第2の吸熱ピークP2温度が本発明における規定値の下限付近の為、ドラムフィルミングの評価が高温高湿環境でCランク、常温常湿環境でB
ランクとなった。
実施例5に関しては、結着樹脂の第1の吸熱ピークP1温度が上記好ましい範囲の上限付近、及び第2の吸熱ピークP2温度が上記好ましい範囲の上限付近の為、ドラムフィルミングの高温高湿環境の評価がBランクとなった。
実施例6に関しては、結着樹脂の第2の吸熱ピークP2温度が本発明における規定値の上限付近の為、ドラムフィルミングの評価が高温高湿環境でCランク、常温常湿環境でBランクとなった。
実施例7に関しては、磁性酸化鉄粒子の吸油量が上記好ましい範囲の下限の為、ドラムフィルミングの評価が高温高湿環境でBランクとなった。また、磁性酸化鉄粒子のBET比表面積が上記好ましい範囲の下限付近である為、かぶりの評価が、高温高湿環境、常温常湿環境共に、Bランクとなった。
実施例8に関しては、磁性酸化鉄粒子の吸油量が、上記好ましい範囲外である為、ドラムフィルミングの評価が、高温高湿環境、常温常湿環境共にBランクとなった。また、磁性酸化鉄粒子のBET比表面積が、上記より好ましい範囲の下限付近である為、かぶりの評価が高温高湿環境でBランクとなった。
実施例9に関しては、磁性酸化鉄粒子の吸油量が、上記好ましい範囲の上限である為、ドラムフィルミングの評価が、高温高湿環境でBランクとなった。また、磁性酸化鉄粒子のBET比表面積が、上記より好ましい範囲の上限付近である為、かぶりの評価が高温高湿環境でBランクとなった。
実施例10に関しては、磁性酸化鉄粒子の吸油量が、上記好ましい範囲外である為、ドラムフィルミングの評価が、高温高湿環境、常温常湿環境共にBランクとなった。また、磁性酸化鉄粒子のBET比表面積が、上記好ましい範囲外である為、かぶりの評価が高温高湿環境、常温常湿環境で共にCランクとなった。
実施例11に関しては、磁性酸化鉄粒子の吸油量が、上記好ましい範囲外である為、ドラムフィルミングの評価が、高温高湿環境、常温常湿環境共にBランクとなった。また、磁性酸化鉄粒子のBET比表面積が、上記好ましい範囲の上限付近である為、かぶりの評価が、高温高湿環境、常温常湿環境共に、Bランクとなった。
実施例12に関しては、磁性酸化鉄粒子の吸油量が、本発明における規定値の下限である為、ドラムフィルミングの評価が、高温高湿環境でCランク、常温常湿環境でBランクとなった。また、磁性酸化鉄粒子のBET比表面積が、上記好ましい範囲外である為、かぶりの評価が高温高湿環境、常温常湿環境で共にCランクとなった。
実施例13に関しては、磁性酸化鉄粒子の吸油量が、本発明における規定値の上限である為、ドラムフィルミングの評価が、高温高湿環境でCランク、常温常湿環境でBランクとなった。また、磁性酸化鉄粒子のBET比表面積が、上記好ましい範囲外である為、かぶりの評価が高温高湿環境、常温常湿環境で共にCランクとなった。
実施例14に関しては、結着樹脂の第1の吸熱ピークP1温度が本発明における規定値の上限付近、また磁性酸化鉄粒子の吸油量が、本発明における規定値の下限である為、ドラムフィルミングの評価が、高温高湿環境、常温常湿環境共にCランクとなった。また、磁性酸化鉄粒子のBET比表面積が、上記好ましい範囲外である為、かぶりの評価が高温高湿環境、常温常湿環境で共にCランクとなった。
実施例15に関しては、結着樹脂の第2の吸熱ピークP2温度が本発明における規定値の下限付近、また磁性酸化鉄粒子の吸油量が、本発明における規定値の上限である為、ドラムフィルミングの評価が、高温高湿環境、常温常湿環境共にCランクとなった。また、磁性酸化鉄粒子のBET比表面積が、上記好ましい範囲外である為、かぶりの評価が高温高湿環境、常温常湿環境で共にCランクとなった。
【0051】
〔比較例1乃8〕
表5に記載の処方で、実施例1と同様にして、トナー(C−16)乃至(C−23)を作製した。これらのトナーに対して、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表5に示す。
比較例1に関しては、磁性酸化鉄粒子の吸油量が本発明における規定値の範囲外である為、ドラムフィルミングの評価が、高温高湿環境でDランク、常温常湿環境でCランクとなった。
比較例2に関しては、磁性酸化鉄粒子の吸油量が本発明における規定値の範囲外である為、ドラムフィルミングの評価が、高温高湿環境でDランク、常温常湿環境でCランクとなった。また、磁性酸化鉄粒子のBET比表面積が、上記好ましい範囲外である為、かぶりの評価が高温高湿環境、常温常湿環境で共にCランクとなった。
比較例3に関しては、該結着樹脂の第1の吸熱ピークP1温度が本発明における規定値の範囲外である為、ドラムフィルミングの評価が、高温高湿環境でDランク、常温常湿環境でCランクとなった。
比較例4に関しては、結着樹脂の第1の吸熱ピークP1温度が本発明における規定値の範囲外である為、ドラムフィルミングの評価が、高温高湿環境でDランク、常温常湿環境でCランクとなった。
比較例5に関しては、結着樹脂の第1の吸熱ピークP1が無く、また、第2の吸熱ピーク温度が本発明における規定値の範囲外である為、ドラムフィルミングの評価が、高温高湿環境でDランク、常温常湿環境でCランクとなった。
比較例6に関しては、結着樹脂の第2の吸熱ピークP2温度が本発明における規定値の範囲外である為、ドラムフィルミングの評価が、高温高湿環境でDランク、常温常湿環境でCランクとなった。
比較例7に関しては、結着樹脂に吸熱ピークが存在しない為、ドラムフィルミングの評価が、高温高湿環境でDランク、常温常湿環境でCランクとなった。
比較例8に関しては、結着樹脂に吸熱ピークが存在せず、また磁性酸化鉄粒子の吸油量が本発明における規定値の範囲外である為、ドラムフィルミングの評価が、高温高湿環境、常温常湿環境共にDランクとなった。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
【表3】

【0055】
【表4】

【0056】
【表5】

【符号の説明】
【0057】
1.加熱シリンダー、2.パドル、3.ベント孔、4.原料供給口、5.製品出口、6.原料ホッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂及び着色剤としての磁性酸化鉄粒子を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記結着樹脂は、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、温度55℃以上75℃以下に第1の吸熱ピークを有し、温度80℃以上120℃以下に第2の吸熱ピークを有し、
前記磁性酸化鉄粒子は、吸油量が15ml/100g以上、40ml/100g以下であることを特徴とするトナー。
【請求項2】
前記示差走査熱量計により測定されるDSC曲線における第1の吸熱ピークの吸熱量をΔH1とし、前記示差走査熱量計により測定されるDSC曲線における第2の吸熱ピークの吸熱量をΔH2としたときに、前記ΔH1とΔH2が、ΔH1≦ΔH2の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記磁性酸化鉄粒子のBET比表面積が、7.0m/g以上、13.0m/g以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。

【図1】
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