説明

トラクターのロータリー

【課題】 耕耘、代掻時に起こした泥土が硬い塊となった泥土でも、泥土がロータリーの刃と刃の間やロータリーカバーとロータリーの軸の間に詰まることを防止できるトラクターのロータリーを提供すること。
【解決手段】 トラクターのロータリーは、ロータリーの軸1の回転方向に対し刃2の後方位置に、弾性を有しかつ先端が刃2の先端より長く伸びた帯体4がロータリーの軸1に設けられ、帯体4のロータリーの軸1の回転方向側に棒状突起12が設けられ、帯体4の棒状突起の反対側で棒状突起12の設けられている位置より帯体4の基部側に帯体4で輪部9が形成され、帯体4の先方部の回転方向側の面に凹凸15が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクターのロータリーに関し、詳しくはロータリーの刃と刃の間やロータリーカバーとロータリーの軸の間に詰まる泥土を防止することができるトラクターのロータリーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、耕耘や代掻時に使用されるトラクターのロータリーにおいて、ロータリーの刃と刃の間やロータリーカバーとロータリーの軸との間に詰まる泥土等を払い落とすために、ロータリーの軸に設けられる帯体がある。
このような帯体として特開2002−262603のトラクターのロータリーの帯体104が提案されている。
この帯体104は、ロータリーの軸の回転方向に対し刃の後方位置に、弾性を有しかつ先端が刃の先端より長く伸びた帯体104が取り付け環部105を介して軸に設けられ、この帯体104にロータリーの軸の回転方向側に泥土及び草の切断刃108が設けられると共に、帯体104の前記切断刃108の反対側で切断刃108の取り付け位置より帯体104の基部側に帯体104で輪部109が形成されている。
【0003】
しかしながら、ロータリーの軸の回転数を少なくすると、切断刃108が泥土及び草を切断できず、逆に地面にめり込んだ切断刃108がロータリーの軸の回転を阻害するという問題があった。
また、切断刃108の切れ味が悪くなると、草を切断することができず切断刃108に草が絡みつき、その絡みついた草を除去する必要があるという問題もあった。
ロータリーの軸が回転すると、ロータリーカバーの裏面に付着した泥土を帯体104の先端が強く叩打するため、泥土がロータリーカバーの裏面にこびりついてしまうという問題もあった。
【特許文献1】特開2002−262603
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記点より本発明は、耕耘、代掻時に起こした泥土が硬い塊となっても、泥土がロータリーの刃と刃の間やロータリーカバーとロータリーの軸の間に詰まったりすることを防止できるトラクターのロータリーを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1のトラクターのロータリーは、ロータリーの軸の回転方向に対し刃の後方位置に、弾性を有しかつ先端が刃の先端より長く伸びた帯体がロータリーの軸に設けられ、この帯体のロータリーの軸の回転方向側に棒状突起が設けられ、帯体の前記棒状突起の反対側で棒状突起の設けられている位置より帯体の基部側に帯体で輪部が形成され、帯体の先方部の回転方向側の面に凹凸が設けられている。
【0006】
請求項2のトラクターのロータリーは、棒状突起が帯体に形成されたボルト孔を貫通した状態で帯体に固定されている所定の長さのボルトからなる。
【0007】
請求項3のトラクターのロータリーは、帯体の先方部の回転方向側の面に設けられている凹凸が、凹凸条であって、幅方向に亘って設けられている。
【0008】
請求項4のトラクターのロータリーは、凸条が略M字状の断面を有する。
【発明の効果】
【0009】
この請求項1のトラクターのロータリーは、本帯体がロータリーの軸の回転に伴い回転し、かつ耕耘等による振動と相俟って弾力によりしなるため、刃と刃の間に付着した泥土を払い落とす効果を呈する。
【0010】
また、帯体の先端は刃先より長いからロータリーカバーの裏面を叩くように接して回転する。
その帯体の先方部の回転方向側の面に凹凸を設けているので、帯体の回転により、ロータリーカバーの裏面に付着した泥土をこそぎとるように払い落とす効果を呈する。
【0011】
帯体にロータリーの軸の回転方向側に棒状突起が設けられているため、耕耘した泥土に棒状突起が当たり硬い泥土の塊は破壊される。
したがって、泥土がロータリーの刃と刃の間に付着したり、ロータリーカバーとロータリーの軸の間に詰ったりすることがない。
泥土が付着することにより、刃が埋まることもないので耕耘作業の効率が良く、又泥土を落とす人的作業も不要となり、トラクターの燃費を向上させると共に労力を削減できる。
【0012】
帯体は回転に伴い地面も叩打するから、刃で耕耘した後の地面を叩打することとなる。
耕耘後の地面の凹凸を均平にする効果を有する。
【0013】
以前は切断刃を使用していたが、切断刃の切れ味の劣化に伴い、草の切断を十分に行うためロータリーの軸の回転数を上げる必要が生じる。
これにより抵抗が大きくなりトラクターの燃費が悪化していた。
しかし、切断刃の代わりに棒状突起を使用することにより、燃費が切れ味の劣化に影響されることがない。
したがって、ロータリーの軸の回転数を上げる必要がなく抵抗も大きくならないので、トラクターの燃費が向上する。
【0014】
この請求項2のトラクターのロータリーは、所定の長さのボルトを使用しているので棒状突起が地面に必要以上にめり込むことがない。
また、ボルトを使用することにより泥土の状態に応じて棒状突起の長さ調節が容易となるので、抵抗を少なくすることができる。
したがって、トラクターの燃費を向上させることができる。
【0015】
この請求項3のトラクターのロータリーは、凹凸が凹凸条であって、幅方向に亘って設けられているので、この凹凸条がロータリーカバーの裏側に接触することにより、ロータリーカバーの裏側に付着した泥土をこそぎとることができる。
【0016】
この請求項4のトラクターのロータリーは、凸条が略M字形状の断面を有するので、ロータリーの軸が回転すると凸条の略M字状の断面の頂点に当たる部分が連続してロータリーカバーの裏側に付着した泥土に接触することにより、ロータリーカバーの裏側に付着した泥土をより効率よくこそぎとることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づき説明する。図1は本発明トラクターのロータリー部の簡略化した縦断側面図、図2は同上の正面図、図3は帯体の斜視図である。
【0018】
図中1はロータリーの軸であり、軸1の長さ方向に角度を変えて耕耘するための刃2、2…が装着されている。3はロータリーカバーであり、側面が軸1と同心円の弧状と成り、回転する刃2、2…の外側周上を軸1の前後面の下部を除いて覆設してある。
【0019】
又、軸1の回転方向に対し、各刃2、2…の後方位置に帯体4、4…が装着されている。
帯体4は、図3に示すように長尺状帯の弾性のある、例えばゴム等を長さ方向の略中央部付近で二つ折りに屈曲し、屈曲部で軸1を挾み、取り付け環部5が形成されるよう重合すると共に、軸1の回転方向と反対側の帯体4で曲面を形成して折り返し、その端部付近を取り付け環部5の基部に重合して三重とし、この基部に両側より座金6を当て、ボルト7及びナット8で締着することにより、取り付け環部5と輪部9が一挙に形成されるものである。
又、帯体4の先端は刃2の先端よりも長く形成され、回転によりロータリーカバー3の裏面を叩くことができるようになっている。
【0020】
そして、取り付け環部5に刃2が挿通する窓孔10が設けられている。
又、帯体4の幅方向の略中央部に軸1の回転方向側に棒状突起が設けられている。
図面では、棒状突起は所定の長さのボルト12で構成されている。
帯体4に穿設された適宜のボルト孔にボルト12を挿通させ、帯体4の表裏両側から座金11を当て、ボルト12及びナット13で締着することにより、帯体4に止着されている。
【0021】
帯体4の先方部の回転方向側の面に凹凸条15が設けられている。
これらの凹凸条15は、幅方向に亘って設けられている。
ロータリーの軸1が回転に伴って帯体4も回転し、この凹凸条15がロータリーカバー3の裏側に接触することにより、ロータリーカバー3の裏側に付着した泥土をこそぎとることができる。
【0022】
また、凸条が略M字状の断面を有するので、ロータリーの軸1が回転すると凸条のM字状の断面の頂点に当たる部分が連続してロータリーカバー3の裏側に付着した泥土に接触することにより、ロータリーカバー3の裏側に付着した泥土をより効率よくこそぎとることができる。
【0023】
本実施形態では、帯体4の先方部の回転方向側の面に凹凸条15が設けられているが、これに限定されることなく、例えば、帯体の全面に凹凸条が設けられていてもよい。
【0024】
また、本実施形態では、凸条が略M字状の断面を有するが、これに限定されることなく、例えば、凸条が略三角形の断面を有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態であるトラクターのロータリーの簡略化した縦断側面図である。
【図2】本発明の一実施形態であるトラクターのロータリーの一部を簡略化した正面図である。
【図3】本発明の一実施形態であるトラクターのロータリーに設けた帯体の斜視図である。
【図4】従来のトラクターのロータリーに設けた帯体の斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 軸
2 刃
3 ロータリーカバー
4 帯体
5 取り付け環部
6 座金
7 ボルト
8 ナット
9 輪部
10 窓孔
11 座金
12 ボルト
13 ナット
15 凹凸条
104 帯体
105 取り付け環
108 切断刃
109 輪部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリーの軸の回転方向に対し刃の後方位置に、弾性を有しかつ先端が刃の先端より長く伸びた帯体がロータリーの軸に設けられ、この帯体のロータリーの軸の回転方向側に棒状突起が設けられ、帯体の棒状突起の反対側で棒状突起の設けられている位置より帯体の基部側に帯体で輪部が形成され、帯体の先方部の回転方向側の面に凹凸が設けられていることを特徴とするトラクターのロータリー。
【請求項2】
棒状突起は、帯体に形成されたボルト孔を貫通した状態で帯体に固定されている所定の長さのボルトからなることを特徴とする請求項1に記載のトラクターのロータリー。
【請求項3】
帯体の先方部の回転方向側の面に設けられている凹凸が、凹凸条であって、幅方向に亘って設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のトラクターのロータリー。
【請求項4】
凸条が略M字状の断面を有することを特徴とする請求項3記載のトラクターのロータリー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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