説明

トラクタ用のプラウ装置

【課題】トラクタ用のプラウ装置を提供する。
【解決手段】本発明は、複数の犂体部がバランスよく配置されて大面積の耕作地を効率よく犂耕することができ、犂耕作業時に圃場土が片寄らないため連続的な作業を行うことのできるトラクタ用のプラウ装置に係り、前方にトラクタと連結されて牽引されるトラクタ連結部を有するメインフレームと、前記メインフレームに配設されてそれぞれシェアとはつ土板を有する複数の犂体部と、を備えるトラクタ用のプラウ装置において、前記複数の犂体部のそれぞれは前記メインフレームの前後長手方向に沿って側面に斜めに配置され、前記複数の犂体部のうち最前方の犂体部は前記メインフレームの前端から突出され、前記メインフレームを眺める方向にシェアとはつ土板が形成され、前記複数の犂体部のうち最前方の犂体部を除く残りの犂体部は前記最前方の犂体部とは逆方向にシェアとはつ土板が形成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の犂体部がバランスよく配置されて大面積の耕作地を効率よく犂耕することができ、犂耕作業時に土が片寄らないため連続的な作業を行うことができ、且つ、複数の犂体部のいずれかへの岩石による過負荷発生時に衝撃を緩和させて装置の破損防止及び作業能率の向上を両立させることができると共に、ユーザーの選択に応じて容易に犂体部の作業深さを調節することができて連続作業を行うことができ、その結果、作業能率が向上可能なトラクタ用のプラウ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、プラウは、作物を栽培する目的で牛馬などの家畜や機械などを用いて圃場土を掘り起こし、反転させて畦立て作業を行うのに使用するものである。
【0003】
特に、トラクタなどの機械に装着されるプラウ装置は、所定の形状のメインフレームにシェアとはつ土板からなる犂体部が上下回動自在に配設されて、トラクタが土中を前進すると、これと連結されたメインフレーム及び犂体部が牽引されながら圃場土を堀り起こして犂耕作業を行うことができる。
【0004】
上述したように、従来のトラクタ用のプラウ装置は、トラクタの大きさや馬力に応じて複数の犂体部を有する多連プラウ装置から構成されてもよい。普通、トラクタ用のプラウ装置は、犂体部が3以上の複数に備えられており、それぞれの犂体部がメインフレームに対して左右一列にまたは千鳥状に配設されてもよい。
【0005】
かような従来のトラクタ用のプラウ装置は、犂耕作業時に、複数の犂体部が土中に掘り込まれた後、トラクタで牽引されて犂耕作業を行うことになり、複数の犂体部が左右一列に配設された場合には、それぞれの犂体部が圃場土を掘り起こすときに発生する側力が大きくなるため千鳥状に配設して犂体部に発生する側力を分散させることができる。しかしながら、大面積の圃場の場合には複数の犂体部を千鳥状に配設するとしても、後方にのみ犂体部が形成されて重心が後方に偏ってしまい、前方への直線方向に対する牽引が決して容易ではないという不都合がある。
【0006】
また、土中に埋め込まれた岩石に犂体部がぶつかるといった予期しない状況が発生することがあるが、このとき、犂体部が単にメインフレームに固設されている場合には岩石による衝撃力をそのまま伝達されて犂体部が破損されたり変形されて畦の形状を崩したり装置全体の故障を発生させるという問題がある。
【0007】
さらに、犂耕作業時に下部リンクを下降させて犂体部が土中に掘り込まれるとき、土質の状態や地帯の形態に応じて犂体部の作業深さ、すなわち、犂体部が土中に掘り込まれる深さを異ならせる必要がある。このとき、単にトラクタにプラウ装置が付設された場合にはユーザーがトラクタ及びプラウ装置の連結高さを調節して連結しなければならない。すなわち、犂体部の作業深さに応じてユーザーは犂体部が付設されたメインフレームの高さを調節するために結合解除及び再結合を手作業で繰り返し行わなければならないという煩雑さがある。すなわち、メインフレームの高さを調節するための反復的な結合解除及び再結合により作業能率が低下し、ユーザーの疲労度は増加され、装置の故障が激しくなるという不都合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の犂体部がバランスよく配置されて大面積の圃場を効率よく犂耕することができ、犂耕作業時に圃場土が片寄らないため連続的な作業を行うことのできるトラクタ用のプラウ装置を提供するところにある。
【0009】
本発明の他の目的は、複数の犂体部のいずれかへの岩石による過負荷発生時に衝撃を緩和させて装置の破損防止及び作業能率の向上を両立させることができ、簡単な構成を通じて複数の犂体部の全体をそれぞれ緩衝させることのできるトラクタ用のプラウ装置を提供するところにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、ユーザーの選択に応じて容易に犂体部の作業深さを調節することができて連続作業を行うことができ、その結果、作業能率を向上させることのできるトラクタ用のプラウ装置を提供するところにある。
【0011】
本発明のその他の目的、特定の長所及び新規な特徴は添付図面と結び付けて行う下記の詳細な説明と好適な実施形態から一層明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成するために、本発明によるトラクタ用のプラウ装置は、前方にトラクタと連結されて牽引されるトラクタ連結部を有するメインフレームと、前記メインフレームに配設されてそれぞれシェアとはつ土板を有する複数の犂体部と、を備えるトラクタ用のプラウ装置において、前記複数の犂体部のそれぞれは前記メインフレームの前後長手方向に沿って側面に斜めに配置され、前記複数の犂体部のうち最前方の犂体部は前記メインフレームの前端から突出され、前記メインフレームを眺める方向にシェアとはつ土板が形成され、前記複数の犂体部のうち最前方の犂体部を除く残りの犂体部は前記最前方の犂体部とは逆方向にシェアとはつ土板が形成されることを特徴とする。
【0013】
本発明の他の目的を達成するために、本発明によるトラクタ用のプラウ装置は、前方にトラクタと連結されて牽引されるトラクタ連結部を有するメインフレームと、前記メインフレームに回動自在に配設される複数の犂体部と、前記犂体部のそれぞれを上下回動させる複数の駆動シリンダと、前記駆動シリンダのそれぞれを直線往復運動させるように油圧を提供する一対の油圧ラインと、を備える。
【0014】
また、本発明によるトラクタ用のプラウ装置において、前記緩衝バネは一対が備えられ、前記緩衝シリンダの左右に平行に配列されていてもよい。
【0015】
この場合、前記緩衝シリンダのピストンロッド先端と前記緩衝バネの他方の端を連結する連結ロッドと、前記メインフレームに配設され、前記連結ロッドの両端をスライド自在にガイドするガイドレールと、をさらに備えていてもよい。
【0016】
本発明のさらに他の目的を達成するために、本発明によるトラクタ用のプラウ装置は、前方にトラクタと連結されて牽引されるトラクタ連結部を有するメインフレームと、前記メインフレームに配設された犂体部と、を備えるトラクタ用のプラウ装置において、前記メインフレームの一方の側に回動自在に配設される第1支持リンクと、前記第1支持リンクの下端に回転自在に配設される第1車輪と、一方の端が前記メインフレームにヒンジ結合され、他方の端が前記第1支持リンクの上端にヒンジ結合されて前記第1支持リンクを回動させる第1シリンダと、を備えてなる。
【0017】
また、本発明によるトラクタ用のプラウ装置は、前記メインフレームの他方の側に回動自在に配設される第2支持リンクと、前記第2支持リンクの下端に回転自在に配設される第2車輪と、一方の端が前記メインフレームにピン結合され、他方の端が前記第2支持リンクの上端にピン結合されて前記第2支持リンクを回動させる第2シリンダと、をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明によるトラクタ用のプラウ装置は、前記メインフレームの他方の側に回動自在に配設される第2支持リンクと、前記第2支持リンクの下端に回転自在に配設される第2車輪と、一方の端が前記第1支持リンクの上端にピン結合され、他方の端が前記第2支持リンクの上端にピン結合される連結リンクと、をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるトラクタ用のプラウ装置は、メインフレームに複数の犂体部が斜めに配設され、複数の犂体部のうち最前方の犂体部がメインフレームの前端に突出されることにより、大面積の圃場を効率よく犂耕することができ、バランスよく配置された複数の犂体部により側力の分散及び牽引作業が容易になる。
【0020】
また、複数の犂体部のうち最前方の犂体部と残りの犂体部のシェアとはつ土板が相対するように形成されて犂耕作業時に圃場土が片寄らないため連続的な作業を行うことができて作業能率を高めることができ、最前方の犂体部と残りの犂体部のシェアとはつ土板が一方向にも配設可能であるため圃場の端部における犂耕作業後に次の作業位置に圃場土が移行するため谷と畝が発生しないようにできる。
【0021】
そして、緩衝シリンダ及び緩衝バネを配設して、複数の犂体部のいずれかへの岩石による過負荷発生時に衝撃を緩和させて装置の破損防止及び作業能率を高めることができ、簡単な構成を通じて複数の犂体部の全体をそれぞれ緩衝することができる。
【0022】
さらに、車輪と結合された支持リンクをシリンダの駆動によって回動させることによりメインフレームの高さを調節してユーザーの選択に応じて容易に犂体部の作業深さを調節することができて連続的な作業を行うことができ、その結果、作業能率が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明によるトラクタ用のプラウ装置の好適な第1実施形態を示す斜視図。
【図2】図1の作動過程を示す平面図。
【図3】本発明の第2実施形態によるトラクタ用のプラウ装置を示す斜視図。
【図4】図3の各駆動シリンダ及び緩衝シリンダに油圧ラインが連結された状態を示す構成図。
【図5】第2実施形態の作動過程を示す構成図。
【図6】第2実施形態の作動過程を示す構成図。
【図7】第2実施形態の作動過程を示す構成図。
【図8】緩衝シリンダの他の形態を示す図。
【図9】本発明の第3実施形態によるトラクタ用のプラウ装置の斜視図。
【図10】第3実施形態の作動過程を示す側面図。
【図11】第3実施形態の作動過程を示す側面図。
【図12】本発明の第3実施形態の変形例を示す斜視図。
【図13】本発明の第3実施形態による別の変形例を示す斜視図。
【図14】図13の作動過程を示す側面図。
【図15】図13の作動過程を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に基づき、本発明によるトラクタ用のプラウ装置の好適な実施形態を詳述する。
【0025】
図1は、本発明によるトラクタ用のプラウ装置の好適な第1実施形態を示す斜視図であり、図2は、図1の作動過程を示す平面図である。
【0026】
本発明のトラクタ用のプラウ装置は、図1に示すように、メインフレーム100、犂体部200を備え、前記犂体部200は複数が備えられてそれぞれシェア210及びはつ土板220から構成される。
【0027】
メインフレーム100は、各種の構成要素と結合されて支持する骨組であり、所定の形状を有し、前方にトラクタ(図示せず)と連結されて牽引されるトラクタ連結部150を備える。メインフレーム100は鋼鉄から製作されるのが一般的であり、前記トラクタ連結部150と一体に溶接されてなる。トラクタ連結部150は、図示はしないが、トラクタの後方と連結されてトラクタの前方移動と共にメインフレーム100を移動させるための連結杆の役割を果たす。前記トラクタ連結部150及びメインフレーム100は、各種の構成要素やトラクタとの結合関係に応じてその形状が異なってくる。
【0028】
犂体部200は、実質的に、犂耕作業、すなわち、圃場土を掘り起こして反転させる役割を果たすものであり、図1に示すように、複数が備えられてそれぞれシェア210とはつ土板220から構成され、前記メインフレーム100に配設される。犂体部200は、図示の如く、8個からなる8連プラウ装置から構成されてもよい。シェア210は、圃場土を掘り起こすようにシャベル状に製作され、はつ土板220は前記シェア210上に斜めに付け加えられた刃状であって、シェア210により掘り起こされて移行された圃場土を受けて一方の側に堆積させる。すなわち、犂体部200はシェア210とはつ土板220の方向によって掘り起こして移行させた圃場土を堆積させる。
【0029】
本発明の第1実施形態によるトラクタ用のプラウ装置は、大面積の圃場を効率よく犂耕するために前記犂体部200がメインフレーム100にバランスよく配設され、連続的で且つ能率的な作業が行われるように掘り起こされて移行された圃場土が一側方向にのみ堆積しないように複数の犂体部200のそれぞれのシェア210及びはつ土板220の方向性を決定しようとする。
【0030】
すなわち、図1に示すように、前記複数の犂体部200のそれぞれは前記メインフレーム100の前後長手方向に沿って側面に斜めに配置されることにより、犂体部200が圃場土を掘り起こして移行させるときに発生する側力を長手方向に沿って一概に分散させることができる。
【0031】
また、前記複数の犂体部200のうち最前方の犂体部は前記メインフレーム100の前端から突出され、前記メインフレーム100を眺める方向にシェア210とはつ土板220が形成され、前記複数の犂体部200のうち最前方の犂体部を除く残りの犂体部は前記最前方の犂体部とは逆方向にシェアとはつ土板が形成されることにより、図2に示すように、圃場の前後を往復しながら連続作業を容易に行うことができる。
【0032】
図3から図7は、本発明によるトラクタ用のプラウ装置の第2実施形態を示す図であって、図3は、本発明の第2実施形態によるトラクタ用のプラウ装置の好適な実施形態を示す斜視図であり、図4は、図3の駆動シリンダ及び緩衝シリンダに油圧ラインが連結された状態を示す構成図であり、図5から図7は、作動過程を示す構成図である。そして、図8は、緩衝シリンダの他の形態を示す図である。
【0033】
本発明によるトラクタ用のプラウ装置の第2実施形態は、図3から図7に示すように、第1実施形態のメインフレーム100、犂体部200、駆動シリンダ300に油圧ライン400、410、緩衝シリンダ500及び緩衝バネ520を備えてなり、連結ロッド530及びガイドレール540をさらに備えていてもよい。
【0034】
犂体部200は複数が備えられてもよく、特に8個からなる8連プラウ装置から構成されてもよい。犂体部200は、その個数に応じて、側力の影響が少ない場合にはメインフレーム100に左右一列に配設されてもよく、千鳥状に配設されてもよく、図示の如く、斜め方向に配設されてもよい。それぞれの犂体部200はメインフレーム100に上下回動自在に配設され、シェア及びはつ土板から構成される。
【0035】
駆動シリンダ300は複数が備えられて前記犂体部200のそれぞれを上下回動させる。すなわち、本発明の第2実施形態によるプラウ装置がトラクタにより移動時には駆動シリンダ300を作動させて犂体部200を上方に回動させて持ち上げ、犂耕作業時には犂体部200を下方に回動させて下降させる。このような駆動シリンダ300は、油圧を用いた油圧シリンダであり、犂体部200の上下回動のために直線往復運動する復動シリンダである。前記駆動シリンダ300は、油圧の出入りにより作動され、油圧の出入りのために一対の油圧ライン400、410が配設される。
【0036】
一対の油圧ライン400、410は、図4から図7に示すように、前記駆動シリンダ300のそれぞれを直線往復運動させる油圧を提供する。図示はしないが、油圧ライン400、410により油圧を提供して排出するために、当然のことながら、油圧モータ、ドレイン及び切り替え弁などが備えれてもよい。前記複数の駆動シリンダ300は犂体部200の上方回動及び下方回動のための油圧ライン400、410の一対がそれぞれ前後端に連結される。これにより、油圧ライン400、410から油圧が駆動シリンダ300に提供されることにより、駆動シリンダ300が直線往復運動する結果、犂体部200は上下回動することができる。
【0037】
本発明の第2実施形態によるトラクタ用のプラウ装置は、図5から図8に示すように、複数の犂体部200のいずれかへの岩石による過負荷発生時に衝撃を緩和させて装置の破損防止及び作業能率の向上を両立させるところに特徴があり、これは、後述する緩衝シリンダ500及び緩衝バネ520により実現可能である。
【0038】
緩衝シリンダ500は、一方の端が前記メインフレーム100に固設され、他方の端にピストンロッド510が内外に挿抜されるようにスライド自在に装着され、前記一対の前端及び後端の油圧ライン400、410を前端及び後端にそれぞれ共有して直線往復運動する。緩衝シリンダ500もまた駆動シリンダ300と同様に油圧シリンダであると共に復動シリンダであり、前記複数の駆動シリンダ300と前後端油圧ライン400、410を共有して油圧ライン400、410から油圧が提供されると、駆動シリンダ300と一緒に直線往復運動する。
【0039】
また、緩衝バネ520は、一方の端が前記メインフレーム100に固設され、他方の端が前記ピストンロッド510の先端と連結されて前記ピストンロッドのスライド作動に応じて伸縮する。すなわち、緩衝バネ520は、緩衝シリンダ500の直線往復運動時に伸縮することにより、緩衝シリンダ500に伝わる圧力を吸収したり発散するように構成される。
【0040】
前記緩衝シリンダ500及び緩衝バネ520の作動を図5から図7に基づき詳述する。先ず、図5に示すように、犂耕作業時に前端油圧ライン400を介して油圧が駆動シリンダ300に伝達されて作動すると、犂体部200は下方回動をする。すなわち、犂体部200は、下方回動された状態で犂耕作業を行い、トラクタによりプラウ装置が牽引されながら犂体部200が圃場土を掘り起こして犂耕作業を行う。しかしながら、犂耕作業時に圃場土中には作業者も発見できない岩石が打ち込まれている場合もあり、犂体部200は下方回動された状態で犂耕作業を行うため、犂体部200の先端に岩石が引っ掛かってしまう。もし、犂体部200が岩石に引っ掛かって上方に持ち上げられない場合、犂体部200を構成するシェアやはつ土板が破損される恐れがある。このとき、緩衝シリンダ500もまた駆動シリンダ300と同様に前端油圧ライン400から油圧が提供されて緩衝シリンダ500のピストンロッド510が内部に挿入されるが、緩衝バネ520の弾性力により設定された圧力に見合う分だけピストンロッド510が滑り込む。
【0041】
図6に示すように、岩石に引っ掛かった犂体部200は岩石により上方に回動され、上方に回動された犂体部200の駆動シリンダ300は最初の位置に戻りながら、前端油圧ライン400を介して油圧が逆流し、前端油圧ライン400に過負荷がかかってしまう。このとき、逆流した油圧は緩衝シリンダ520に伝わって緩衝シリンダ500のピストンロッド510が内部に挿入され、ピストンロッド510のスライド作動によって緩衝バネ520は圧縮されながら岩石による過度な圧力を吸収する。
【0042】
また、緩衝バネ520の後端に連結された後端の油圧ライン410にはピストンロッド510のスライド作動により油圧が流出されて駆動シリンダ300の後端に流入する。
【0043】
図7に示すように、岩石により上方に回動された犂体部200が岩石を乗り越えた場合、緩衝バネ520に吸収された過度な圧力が解消され、これにより、緩衝バネ520は引っ張られながら、緩衝シリンダ500のピストンロッド510を外部に突出させる。緩衝シリンダ500のピストンロッド510が突出されるに伴い、緩衝シリンダ500に伝わった油圧は前端油圧ライン400を介してさらに上方に回動された犂体部200を回動させる駆動シリンダ300に伝わり、上方に回動された犂体部200は下方に回動されて犂耕作業を行い続けることが可能になる。
【0044】
このとき、作動シリンダ300の後端にある油圧は後端油圧ライン410を介してさらに緩衝シリンダ500の後端に伝わる。
【0045】
上記のように作動する緩衝シリンダ500及び緩衝バネ520は、メインフレーム100に配設されて単に複数の駆動シリンダ300に連結された油圧ライン400、410だけを共有すればよいため、設置が容易である。複数の犂体部200の全体に対して同時に適用することができる。前記緩衝バネ520は1本であってもよく、それ以上であってもよく、緩衝シリンダ500と相対するように配設されてもよい。このため、緩衝バネ520の緩衝力やサイズ及び長さと一緒に設置空間を考慮して適切に配設される必要がある。例えば、図4から図7に示すように、緩衝バネ520は一対が備えられて前記緩衝シリンダ500の左右に平行に配列可能である。この場合、前記緩衝シリンダ500のピストンロッド510の先端と前記緩衝バネ520の他方の端を連結する連結ロッド530と、前記メインフレーム100に配設され、前記連結ロッド530の両端をスライド自在にガイドするガイドレール540と、を備えることができる。連結ロッド530は緩衝バネ520と緩衝シリンダ500のピストンロッド510を連結するためのものであり、ガイドレール540は前記ピストンロッド510をガイドして緩衝シリンダ500のピストンロッド510及び緩衝バネ520が長手方向にのみスライド及び変形されるようにするためのものである。
【0046】
このような緩衝シリンダ500は、図8に示すように構成されて、外部の緩衝バネ520を省略することができるが、緩衝シリンダ500の内部のピストンロッド510の後方にバネ550を挿入することにより外部に配設された緩衝バネ520の役割を代えることができる。
【0047】
一方、このような第2実施形態は種々の形態に変更可能であるが、油圧ライン400、410と緩衝ピストン500を省略し、純粋に作動シリンダ300により動作可能である。
【0048】
すなわち、作動シリンダ300の内部に犂体部200が岩石により上方に回動された後にさらに元の位置に戻るような油圧を有する限り、敢えて油圧ライン400、410により外部から油圧を供給されなくても、本発明の第2実施形態を実現することができる。
【0049】
また、緩衝シリンダ500が配設される場合、後端油圧ライン410と緩衝バネ520を省略し、前端の油圧ライン400を介して作動シリンダ300から逆流する油圧を緩衝シリンダ500に貯蔵し、この後、さらに前端の油圧ライン400を介して油圧を再供給することにより作動シリンダ300を動作させることができる。
【0050】
このとき、緩衝シリンダ500にはバネ550が内蔵されてもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0051】
図9から図15は、本発明によるトラクタ用のプラウ装置の第3実施形態を示す図であって、図9は、本発明によるトラクタ用のプラウ装置の第3実施形態を示す斜視図であり、図10及び図11は、作動過程を示す側面図であり、図12は、本発明の第3実施形態のトラクタ用のプラウ装置の第3−1実施形態を示す斜視図であり、図13は、本発明の第3実施形態によるトラクタ用のプラウ装置の第3−2実施形態を示す斜視図であり、図14及び図15は、図13の作動過程を示す側面図である。
【0052】
本発明のトラクタ用のプラウ装置は、図9から図11に示すように、第1実施形態の構成であるメインフレーム100と犂体部200に第1支持リンク610、第1車輪620、第1シリンダ630を備え、図12から図15に示すように、第2支持リンク710、第2車輪720、第2シリンダ730及び連結リンク800をさらに備えていてもよい。
【0053】
前記メインフレーム100及び犂体部200はトラクタに連結されてトラクタの前方移動によって犂耕作業を行うが、このとき、メインフレーム100の高さを調節することにより犂体部200が土中に掘り込まれる作業高さを調節することができる。このような犂体部200の作業高さを容易に調節するために、後述する第1支持リンク610、第1車輪620及び第1シリンダ630を配設する。
【0054】
第1支持リンク610は、図9から図11に示すように、前記メインフレーム100の一方の側に回動自在に配設され、第1車輪620は前記第1支持リンク610の下端に回転自在に設けられ、第1シリンダ630は一方の端が前記メインフレーム100にピン結合され、他方の端が前記第1支持リンク610の上端にピン結合されて前記第1支持リンク610を回動させる。すなわち、第1支持リンク610の下端に回転自在に結合された第1車輪620によりメインフレーム100は圃場から離れたままで支持され、メインフレーム100の離隔高さに応じて犂体部200の作業深さが定まる。このため、第1車輪620を昇降させることによりメインフレーム100の離隔高さを調節することができ、その結果、犂体部200の作業深さも調節される。このとき、第1支持リンク610はメインフレーム100に回動自在に結合されており、第1支持リンク610の上端にピン結合された第1シリンダ630を駆動させて第1支持リンク310を回動させることができる。第1シリンダ630の駆動により第1支持リンク610が回動されることにより、第1支持リンク610の下端に回転自在に結合された第1車輪620がメインフレーム100に対して昇降される。
【0055】
図12に示すように、本発明によるトラクタ用のプラウ装置は、第2支持リンク710、第2車輪720及び第2シリンダ730をさらに備えることもできる。すなわち、メインフレーム100に対して一方の側及び他方の側にそれぞれ別々に高さを調節できるようにして圃場の傾斜度や土壌の状態に応じて犂体部200の作業深さを異ならせることができる。このとき、第1支持リンク710は前記メインフレーム100の他方の側に回動自在に配設され、第2車輪720は前記第2支持リンク710の下端に回転自在に設けられ、第2シリンダ730は一方の端が前記メインフレーム100にピン結合され、他方の端が前記第2支持リンク710の上端にピン結合されて前記第2支持リンク710を回動させる。前記第2支持リンク710、第2車輪720及び第2シリンダ730の構成及び作動過程は、第1支持リンク610、第1車輪620及び第1シリンダ630とメインフレーム100の一方の側及び他方の側に配設されたことを除いては同様であるため、その詳細な説明は省く。
【0056】
一方、図13から図15に示すように、第2シリンダ730を省略し、第1支持リンク610と第2支持リンク610の上端を連結する連結リンク800を介して第1シリンダ630の駆動だけで第1支持リンク610及び第2支持リンク710を回動させて第1車輪620及び第2車輪720を一緒に昇降させることもできる。すなわち、第1シリンダ630の駆動により第1支持リンク610が回動され、第1支持リンク610と連結された連結リンク800に回動力が伝わると共に、第2支持リンク710もまた回動される。このとき、第1支持リンク610の下端に配設された第1車輪620及び第2支持リンク710の下端に配設された第2車輪720が昇降してメインフレーム100の全体の高さが一緒に調節可能である。すなわち、連結リンク800は一方の端が前記第1支持リンク610の上端にピン結合され、他方の端が前記第2支持リンク710の上端にピン結合されることにより、第1支持リンク610と第2支持リンク710を連結して一緒に回動させることができる。
【0057】
このような第3実施形態による本発明のトラクタ用のプラウ装置は、特に、広い大面積の平らな圃場の犂耕作業に用いて好適である。
【符号の説明】
【0058】
100:メインフレーム
150:トラクタ連結部
200:犂体部
210:シェア
220:はつ土板
300:駆動シリンダ
400:油圧ライン
500:緩衝シリンダ
510:ピストンロッド
520:緩衝バネ
530:連結ロッド
540:ガイドレール
610:第1支持リンク
620:第1車輪
630:第1シリンダ
710:第2支持リンク
720:第2車輪
730:第2シリンダ
800:連結リンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方にトラクタと連結されて牽引されるトラクタ連結部を有するメインフレームと、前記メインフレームに配設されてそれぞれシェアとはつ土板を有する複数の犂体部と、を備えるトラクタ用のプラウ装置において、
前記複数の犂体部のそれぞれは前記メインフレームの前後長手方向に沿って側面に斜めに配置され、前記複数の犂体部のうち最前方の犂体部は前記メインフレームの前端から突出され、前記メインフレームを眺める方向にシェアとはつ土板が形成されたことを特徴とするトラクタ用のプラウ装置。
【請求項2】
前記複数の犂体部のうち最前方の犂体部を除く残りの犂体部は、前記最前方の犂体部とは逆方向にシェアとはつ土板が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のトラクタ用のプラウ装置。
【請求項3】
前方にトラクタと連結されて牽引されるトラクタ連結部を有するメインフレームと、前記メインフレームに回動自在に配設される複数の犂体部と、前記犂体部のそれぞれを上下回動させる複数の駆動シリンダと、を備えることを特徴とするトラクタ用のプラウ装置。
【請求項4】
一方の端が前記メインフレームに固設され、他方の端にピストンロッドが内外に挿抜されるようにスライド自在に装着された緩衝シリンダと、前記駆動シリンダと緩衝シリンダを連結して油圧を移動させる油圧ラインと、を備えることを特徴とする請求項3に記載のトラクタ用のプラウ装置。
【請求項5】
一方の端が前記メインフレームに固設され、他方の端が前記ピストンロッドの先端と連結されて前記ピストンロッドのスライド作動に応じて伸縮する緩衝バネを備えることを特徴とする請求項4に記載のトラクタ用のプラウ装置。
【請求項6】
前記緩衝バネは一対が備えられ、前記緩衝シリンダの左右に平行に配列されたことを特徴とする請求項5に記載のトラクタ用のプラウ装置。
【請求項7】
前記緩衝シリンダのピストンロッド先端と前記緩衝バネの他方の端を連結する連結ロッドを備えることを特徴とする請求項6に記載のトラクタ用のプラウ装置。
【請求項8】
前記メインフレームに配設され、前記連結ロッドの両端をスライド自在にガイドするガイドレールを備えることを特徴とする請求項7に記載のトラクタ用のプラウ装置。
【請求項9】
前記緩衝シリンダの内側にバネが備えられたことを特徴とする請求項5に記載のトラクタ用のプラウ装置。
【請求項10】
前方にトラクタと連結されて牽引されるトラクタ連結部を有するメインフレームと、前記メインフレームに配設された犂体部と、を備えるトラクタ用のプラウ装置において、
前記メインフレームの一方の側に回動自在に配設される第1支持リンクと、前記第1支持リンクの下端に回転自在に配設される第1車輪と、一方の端が前記メインフレームにヒンジ結合され、他方の端が前記第1支持リンクの上端にヒンジ結合されて前記第1支持リンクを回動させる第1シリンダと、を備えてなることを特徴とするトラクタ用のプラウ装置。
【請求項11】
前記メインフレームの他方の側に回動自在に配設される第2支持リンクと、前記第2支持リンクの下端に回転自在に配設される第2車輪と、一方の端が前記メインフレームにピン結合され、他方の端が前記第2支持リンクの上端にピン結合されて前記第2支持リンクを回動させる第2シリンダと、をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載のトラクタ用のプラウ装置。
【請求項12】
前記メインフレームの他方の側に回動自在に配設される第2支持リンクと、前記第2支持リンクの下端に回転自在に配設される第2車輪と、一方の端が前記第1支持リンクの上端にピン結合され、他方の端が前記第2支持リンクの上端にピン結合される連結リンクと、をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載のトラクタ用のプラウ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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