トラックチェインブッシュ用のカートリッジシール
【課題】トラックチェインブッシュ用のカートリッジシールを提供する。
【解決手段】履帯式機械を推進させるために使用されるトラックチェイン用のカートリッジが説明されている。カートリッジは、ブッシュを軸方向に貫通するピンを含む。ブッシュは、２つの対向端部と、ブッシュの対向端部間に延在するシリンダー状の外側表面とを含み得る。ブッシュの各端部は、シールを収容するための環状シールポケットと、ブッシュの各端部を内側トラックリンクに結合させるための環状ステップ溝とを含む。ブッシュは、２つのインサート間に軸方向に配置され得る。シールは、インサートの一方に係合するトラックシールである。インサートは、ピンに結合されている２つのカラー間に軸方向に配置され得る。カラーはまた、トラックシールを収容する環状シールポケットを含み得る。
【解決手段】履帯式機械を推進させるために使用されるトラックチェイン用のカートリッジが説明されている。カートリッジは、ブッシュを軸方向に貫通するピンを含む。ブッシュは、２つの対向端部と、ブッシュの対向端部間に延在するシリンダー状の外側表面とを含み得る。ブッシュの各端部は、シールを収容するための環状シールポケットと、ブッシュの各端部を内側トラックリンクに結合させるための環状ステップ溝とを含む。ブッシュは、２つのインサート間に軸方向に配置され得る。シールは、インサートの一方に係合するトラックシールである。インサートは、ピンに結合されている２つのカラー間に軸方向に配置され得る。カラーはまた、トラックシールを収容する環状シールポケットを含み得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本明細書は、一般的に履帯式作業機械用のチェイン、より詳しくは、チェインの両側に配置されたリンクを結合するためのカートリッジアセンブリに関する。
【背景技術】
【０００２】
履帯式作業機械は、作動中、地表面上で作業機械を推進させるために関節式トラックチェインを利用する。そのようなトラックチェインは、トラック継手が水、汚れ、砂、岩石および／または化学元素の種々の研磨混合物にさらされ、および砂漠での高熱から極寒地域での極寒まで様々である広範な温度範囲にさらされ得る劣悪な環境で動作する。従って、トラック継手にシールが配置され、そのシールが、使用中、確実に効果的に汚染物質を締め出しかつ潤滑剤を保持するように維持される必要がある。
【０００３】
典型的なトラックチェイン設計は、対のチェインリンクまたは２対のチェインリンクに対して回転可能であるかまたは固定されたトラックピンを含み、リンク間でトラックピンの周りに回転可能に位置決めされたブッシュを有する。これらの設計によれば、リンクの内面に対するまたはトラックブッシュに対する種々のシール構成および位置がある。いくつかの典型的なカートリッジアセンブリは、ブッシュの各端面に隣接して位置決めされた対の軸受部材を有するブッシュを含む。軸受部材およびブッシュは、トラックピンの端部に圧入嵌めまたは溶接された対のカラーによって保持される。シール溝は、軸受部材およびカラーの各端部に位置決めされ、そこにシール構造を設け得る。シール構造は、ブッシュの端面および軸受の端面を押す。しかしながら、ブッシュの両端部に２つのシールを使用するにも関わらず、シール領域に汚染物質が無いようにすることおよびシールを位置決めすることには、問題が残っている。それゆえ、改良型の設計が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【０００４】
一態様では、履帯式下部構造体のためのトラックチェイン用のカートリッジが説明されている。カートリッジは、２つの対向端部を含むブッシュを含む。ブッシュの各端部は環状シールポケットを含む。各ポケットはシールを収容する。
【０００５】
別の態様では、トラックチェイン用のカートリッジが説明されている。カートリッジは、ブッシュを軸方向に貫通するピンを含む。ブッシュは、２つの対向端部と、２つの対向端部間に延在するシリンダー状の外側表面とを含む。ブッシュの各端部は、シールを収容するための環状シールポケットと、ブッシュの各端部を内側トラックリンクに係合するための環状ステップ溝とを含む。ブッシュは、２つのインサート間に軸方向に配置し得る。シールは、インサートの一方とそれぞれ係合するトラックシールである。インサートは、２つのカラー間に軸方向に配置される。カラーはピンに結合させ得る。カラーは各々、環状シールポケットを含み得る。シールポケットをインサートまたは軸受からブッシュへ移動させることによって、幅広なインサートを用いてインサートの保持を改善し得る。
【０００６】
さらに別の態様では、トラックチェインの既存のリンクサブアセンブリの既存のカートリッジを取り替える方法が説明されている。この方法は、トラックチェインの端部をマスタリンクで切り離すことを含む。この方法は、２対の内側および外側リンクを含む既存のリンクサブアセンブリから既存のカートリッジを取り外すことをさらに含む。この方法は、リンクサブアセンブリに新しいカートリッジを提供することをさらに含む。新しいカートリッジは、ブッシュを軸方向に貫通するピンを含む。ブッシュは、２つの対向端部と、２つの端部間に延在するシリンダー状の外側表面とを含む。ブッシュの各端部は、シールを収容するための環状シールポケットと、ブッシュの各端部を内側トラックリンクに結合させるための環状ステップ溝とを含み得る。ブッシュは、２つのインサート間に軸方向に配置され得る。シールは、インサートの一方にそれぞれ係合するトラックシールである。この方法はまた、２対の内側および外側トラックリンク間にカートリッジを圧入嵌めすることを含む。
【０００７】
上述の態様のいずれか１つ以上では、ブッシュは、ブッシュの各端部を内側トラックリンクに結合させるための環状ステップ溝を含み得る。上述の態様のいずれか１つ以上では、ブッシュは、２つのインサートまたは軸受間に配置され得る。上述の態様のいずれか１つ以上との組み合わせでは、ブッシュの端部に配置されたシールは、インサートの一方とそれぞれ係合し得るトラックシールとし得る。上述の態様のいずれか１つ以上では、各インサートは、カラーとブッシュとの間に配置され、２つのカラーは、ブッシュに沿って軸方向に延在するピンに結合され得る。カラーは各々、環状シールポケットを含み得る。上述の態様のいずれか１つ以上との組み合わせでは、各カラーの各環状シールポケットとピンとの間にスラストリングが配置され得る。上述の態様のいずれか１つ以上との組み合わせでは、各カラーは、ピンと外側リンクとの間に配置され得る。上述の態様のいずれか１つ以上との組み合わせでは、各インサートまたは軸受は、ピンと内側リンクとの間に配置され得る。
【図面の簡単な説明】
【０００８】
【図１】トラックチェインアセンブリ用の開示のカートリッジアセンブリの断面図である。
【図２】シールラビリンスを改善するために内側リンク近くへのブッシュ端部の配置を示す。
【図３】シールラビリンスを改善するために内側リンク近くへのブッシュ端部の配置を示す。
【図４】アイドラを横切る開示のカートリッジを示す。
【図５】スプロケットを横切る開示のカートリッジを示す。
【発明を実施するための形態】
【０００９】
図１は、２対の内側および外側リンク１１、１２と１３、１４との間に配置されかつそれらに沿って延在する開示のブッシュ１０の断面図を示す。ブッシュ１０は２つの対向端部１５、１６を含み得る。各対向端部１５、１６はそれぞれ環状シールポケット１７、１８を含み得る。各環状シールポケット１７、１８は、図示の実施形態ではトラックシールとし得るシール２１、２２をそれぞれ含み得る。各シール２１、２２は、インサートまたは軸受２５、２６に係合するために、追加的な耐摩耗材料層２３、２４を含んでもよい。
【００１０】
図１に示すアセンブリ３０はまた、ブッシュ１０を軸方向に貫通するピン３３に結合されたカラー３１、３２を含み得る。カラー３１、３２は、溶接、しっかりとした圧入嵌め、またはネジ接続もしくはピンや他の締結具を含む接続などの取り外し可能な接続手段によってピン３３に永続的に固定してもよい。
【００１１】
カラー３１、３２とインサート２５、２６との間にスラストリング３４、３５を配置し得る。カラー３１、３２、スラストリング３４、３５およびインサート２５、２６によって追加的な環状シールポケット３６、３７を形成し得る。当業者には明らかであるように、環状シールポケット３６、３７は、カラー３１、３２によって全体的に形成できるか、または軸受もしくはインサート２５、２６によって全体的に形成できる。当業者には他の設計も明らかである。環状シールポケット３６、３７はまた、図示の実施形態ではトラックシールとし得るシール３８、３９を収容する。当然、当業者には他のタイプのシールも明らかである。それぞれインサート２５、２６に係合するためにシール３８、３９に追加的な耐摩耗層または先端部４１、４２を設けてもよい。ピン３３の内部４４を、全体的に４５、４６で示すプラグアセンブリによってシールし得る。
【００１２】
それゆえ、外側リンク１２、１４が、ピン３３に固定されたカラー３１、３２上に乗っている。内側リンク１１、１３はインサート２５、２６（または軸受２５、２６）上に乗っている。ブッシュ１０を、環状ステップ溝４７、４８によって内側リンク１１、１３に結合し得る。図２〜図３に示すように、環状ステップ溝４７、４８のサイズは変動してもよい。図２では、環状ステップ溝１４７は、図３に示す環状ステップ溝２４７よりも小さい。ステップ溝４７、４８、１４７、２４７は、アイドラおよびスプロケットの負荷からシール２１、２２を保護し、かつまた、ブッシュ１０、１００、２００に追加的な強度を与える助けをし得る。図２〜図３にはまた、インサート１２５、２２５の幾何学的形状の変形例も示す。幅の広いインサート１２５は、内側リンク１１を適所に保持するのを助け、内側リンク１１がスプロケットまたはアイドラに干渉しないようにする。これについては、図４〜図５に関連して以下説明する。
【００１３】
図１〜図３を参照すると、カラー３１、３２およびインサート２５、２６は実質的に同一であることが分かる。図２〜図３にインサート１２５、２２５および環状ステップ溝１４７、２４７のサイズの変形例を示す。カートリッジまたはアセンブリ３０の全体的な設計は対称的である必要はない。さらに、スラストリング３４、３５はカラー３１、３２またはインサート２５、２６、１２５、２２５と一体式である。
【００１４】
内側および外側リンク１１、１２、１３、１４は、本体部分５１、５２、５３、５４およびシュー当接面５５、５６、５７、５８を含み得る。各リンク１１、１２、１３、１４はまた、レール面６１、６２、６３、６４を含み得る。
【００１５】
図１に示すカートリッジアセンブリ３０および図２〜図３に示すその変形は、汚れおよび汚染物質が環状シールポケット１７、１８、３６、３７に入り込まないようにする好適なラビリンスを提供する。特に、（１）内側リンク１１、１３の下に延在するブッシュ１０の環状ステップ４７、４８は、（２）インサート２５、２６およびカラー３１、３２の上面６５、６７、６６、６８とリンク１１、１２、１３、１４のレール面６１、６２、６３、６４との間のそれぞれの当接係合に加えて、（３）ブッシュ１０の環状上面６７、６８とインサート２５、２６の内側表面７１、７２との間の係合と組み合わされて、好適なラビリンス様構造を提供し、環状シールポケット１７、１８の汚染を制限し得る。同様に、（１）外側リンク１２、１４のレール面６２、６４とカラー３１、３２の上面６６、６８との間の係合も、（２）スラストリング３４、３５の内側表面７１、７２、７３、７４とインサート２５、カラー３１、インサート２６、およびカラー３２の端面７６、７７、７８、７９との間の係合と組み合わせされて、ラビリンス型の構造を提供して、環状シールポケット３６、３７の汚染を制限し得る。
【００１６】
ブッシュ１０の厚さは従来技術のブッシュよりも厚くされて、インサートの保持を改善するために厚みのあるインサート２５、２６、１２５、２２５を提供している。また、インサートの保持には、インサート２５、２６に対向するように、ブッシュ１０にシールポケット１７、１８を配置することが寄与している。
【００１７】
図４にカートリッジアセンブリ３０とアイドラ８１との係合を示し、図５にカートリッジアセンブリ３０とスプロケット８２との係合を示す。
【産業上の利用可能性】
【００１８】
履帯式下部構造体のトラックチェイン用のカートリッジアセンブリを図示し、説明した。開示の設計は、汚れおよび汚染を低減しそれゆえシールの早期摩耗を低減する、より強力なブッシュ、改良されたインサート（軸受）保持、幅広のインサートおよび改良型の環状シール設計を提供する。ブッシュ設計はまた、ブッシュの各端部に環状シールポケットを配置させて説明している。改良型のブッシュ設計はまた、環状ステップ溝または環状ステップを含んで、ブッシュの各端部を内側トラックリンクに結合する。ブッシュの両端部に配置されたインサートまたは軸受の幾何学的形状は、インサートの保持を改善するために変動させてもよい。外側カラーと内側インサートとの間にスラストリングを含んでもよいし、またはスラストリングは、カラーおよび／またはインサート自体から形成してもよい。第２または外側の環状シールポケットは、インサート、カラーおよびスラストリングによって形成してもよい。
【００１９】
既存の従来技術のカートリッジを、開示のカートリッジと取り替えるためには、交換が必要な既存のカートリッジを取り外す前にマスタリンクでチェインを切り離してもよい。外側環状シールポケット、２つのインサートおよび２つのカラーを備える改良型ブッシュを軸方向に貫通するピンを含む新しいカートリッジは、内側および外側リンクに圧入嵌めされる。
【符号の説明】
【００２０】
１０、１００、２００ ブッシュ
１１、１３ 内側リンク
１２、１４ 外側リンク
１５、１６ ブッシュの端部
１７、１８ 環状シールポケット
２１、２２ シール
２３、２４ 追加的な耐摩耗材料層
２５、２６ インサート
３０ カートリッジアセンブリ
３１、３２ カラー
３３ ピン
３４、３５ スラストリング
３６、３７ 環状シールポケット
３８、３９ シール
４１、４２ 追加的な耐摩耗層
４４ ピンの内部
４５、４６ プラグアセンブリ
４７、４８ 環状ステップ溝
５１、５２、５３、５４ 本体部分
５５、５６、５７、５８ シュー当接面
６１、６３ 内側リンクのレール面
６２、６４ 外側リンクのレール面
６５ インサートの上面
６６ カラーの上面
６７ インサートの上面、ブッシュの環状上面
６８ カラーの上面、ブッシュの環状上面
７１、７２ インサートの内側表面、スラストリングの内側表面
７３、７４ スラストリングの内側表面
７６、７８ インサートの端面
７７、７９ カラーの端面
８１ アイドラ
８２ スプロケット
１２５ インサート
１４７ 環状ステップ溝
２２５ インサート
２４７ 環状ステップ溝
【技術分野】
【０００１】
本明細書は、一般的に履帯式作業機械用のチェイン、より詳しくは、チェインの両側に配置されたリンクを結合するためのカートリッジアセンブリに関する。
【背景技術】
【０００２】
履帯式作業機械は、作動中、地表面上で作業機械を推進させるために関節式トラックチェインを利用する。そのようなトラックチェインは、トラック継手が水、汚れ、砂、岩石および／または化学元素の種々の研磨混合物にさらされ、および砂漠での高熱から極寒地域での極寒まで様々である広範な温度範囲にさらされ得る劣悪な環境で動作する。従って、トラック継手にシールが配置され、そのシールが、使用中、確実に効果的に汚染物質を締め出しかつ潤滑剤を保持するように維持される必要がある。
【０００３】
典型的なトラックチェイン設計は、対のチェインリンクまたは２対のチェインリンクに対して回転可能であるかまたは固定されたトラックピンを含み、リンク間でトラックピンの周りに回転可能に位置決めされたブッシュを有する。これらの設計によれば、リンクの内面に対するまたはトラックブッシュに対する種々のシール構成および位置がある。いくつかの典型的なカートリッジアセンブリは、ブッシュの各端面に隣接して位置決めされた対の軸受部材を有するブッシュを含む。軸受部材およびブッシュは、トラックピンの端部に圧入嵌めまたは溶接された対のカラーによって保持される。シール溝は、軸受部材およびカラーの各端部に位置決めされ、そこにシール構造を設け得る。シール構造は、ブッシュの端面および軸受の端面を押す。しかしながら、ブッシュの両端部に２つのシールを使用するにも関わらず、シール領域に汚染物質が無いようにすることおよびシールを位置決めすることには、問題が残っている。それゆえ、改良型の設計が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【０００４】
一態様では、履帯式下部構造体のためのトラックチェイン用のカートリッジが説明されている。カートリッジは、２つの対向端部を含むブッシュを含む。ブッシュの各端部は環状シールポケットを含む。各ポケットはシールを収容する。
【０００５】
別の態様では、トラックチェイン用のカートリッジが説明されている。カートリッジは、ブッシュを軸方向に貫通するピンを含む。ブッシュは、２つの対向端部と、２つの対向端部間に延在するシリンダー状の外側表面とを含む。ブッシュの各端部は、シールを収容するための環状シールポケットと、ブッシュの各端部を内側トラックリンクに係合するための環状ステップ溝とを含む。ブッシュは、２つのインサート間に軸方向に配置し得る。シールは、インサートの一方とそれぞれ係合するトラックシールである。インサートは、２つのカラー間に軸方向に配置される。カラーはピンに結合させ得る。カラーは各々、環状シールポケットを含み得る。シールポケットをインサートまたは軸受からブッシュへ移動させることによって、幅広なインサートを用いてインサートの保持を改善し得る。
【０００６】
さらに別の態様では、トラックチェインの既存のリンクサブアセンブリの既存のカートリッジを取り替える方法が説明されている。この方法は、トラックチェインの端部をマスタリンクで切り離すことを含む。この方法は、２対の内側および外側リンクを含む既存のリンクサブアセンブリから既存のカートリッジを取り外すことをさらに含む。この方法は、リンクサブアセンブリに新しいカートリッジを提供することをさらに含む。新しいカートリッジは、ブッシュを軸方向に貫通するピンを含む。ブッシュは、２つの対向端部と、２つの端部間に延在するシリンダー状の外側表面とを含む。ブッシュの各端部は、シールを収容するための環状シールポケットと、ブッシュの各端部を内側トラックリンクに結合させるための環状ステップ溝とを含み得る。ブッシュは、２つのインサート間に軸方向に配置され得る。シールは、インサートの一方にそれぞれ係合するトラックシールである。この方法はまた、２対の内側および外側トラックリンク間にカートリッジを圧入嵌めすることを含む。
【０００７】
上述の態様のいずれか１つ以上では、ブッシュは、ブッシュの各端部を内側トラックリンクに結合させるための環状ステップ溝を含み得る。上述の態様のいずれか１つ以上では、ブッシュは、２つのインサートまたは軸受間に配置され得る。上述の態様のいずれか１つ以上との組み合わせでは、ブッシュの端部に配置されたシールは、インサートの一方とそれぞれ係合し得るトラックシールとし得る。上述の態様のいずれか１つ以上では、各インサートは、カラーとブッシュとの間に配置され、２つのカラーは、ブッシュに沿って軸方向に延在するピンに結合され得る。カラーは各々、環状シールポケットを含み得る。上述の態様のいずれか１つ以上との組み合わせでは、各カラーの各環状シールポケットとピンとの間にスラストリングが配置され得る。上述の態様のいずれか１つ以上との組み合わせでは、各カラーは、ピンと外側リンクとの間に配置され得る。上述の態様のいずれか１つ以上との組み合わせでは、各インサートまたは軸受は、ピンと内側リンクとの間に配置され得る。
【図面の簡単な説明】
【０００８】
【図１】トラックチェインアセンブリ用の開示のカートリッジアセンブリの断面図である。
【図２】シールラビリンスを改善するために内側リンク近くへのブッシュ端部の配置を示す。
【図３】シールラビリンスを改善するために内側リンク近くへのブッシュ端部の配置を示す。
【図４】アイドラを横切る開示のカートリッジを示す。
【図５】スプロケットを横切る開示のカートリッジを示す。
【発明を実施するための形態】
【０００９】
図１は、２対の内側および外側リンク１１、１２と１３、１４との間に配置されかつそれらに沿って延在する開示のブッシュ１０の断面図を示す。ブッシュ１０は２つの対向端部１５、１６を含み得る。各対向端部１５、１６はそれぞれ環状シールポケット１７、１８を含み得る。各環状シールポケット１７、１８は、図示の実施形態ではトラックシールとし得るシール２１、２２をそれぞれ含み得る。各シール２１、２２は、インサートまたは軸受２５、２６に係合するために、追加的な耐摩耗材料層２３、２４を含んでもよい。
【００１０】
図１に示すアセンブリ３０はまた、ブッシュ１０を軸方向に貫通するピン３３に結合されたカラー３１、３２を含み得る。カラー３１、３２は、溶接、しっかりとした圧入嵌め、またはネジ接続もしくはピンや他の締結具を含む接続などの取り外し可能な接続手段によってピン３３に永続的に固定してもよい。
【００１１】
カラー３１、３２とインサート２５、２６との間にスラストリング３４、３５を配置し得る。カラー３１、３２、スラストリング３４、３５およびインサート２５、２６によって追加的な環状シールポケット３６、３７を形成し得る。当業者には明らかであるように、環状シールポケット３６、３７は、カラー３１、３２によって全体的に形成できるか、または軸受もしくはインサート２５、２６によって全体的に形成できる。当業者には他の設計も明らかである。環状シールポケット３６、３７はまた、図示の実施形態ではトラックシールとし得るシール３８、３９を収容する。当然、当業者には他のタイプのシールも明らかである。それぞれインサート２５、２６に係合するためにシール３８、３９に追加的な耐摩耗層または先端部４１、４２を設けてもよい。ピン３３の内部４４を、全体的に４５、４６で示すプラグアセンブリによってシールし得る。
【００１２】
それゆえ、外側リンク１２、１４が、ピン３３に固定されたカラー３１、３２上に乗っている。内側リンク１１、１３はインサート２５、２６（または軸受２５、２６）上に乗っている。ブッシュ１０を、環状ステップ溝４７、４８によって内側リンク１１、１３に結合し得る。図２〜図３に示すように、環状ステップ溝４７、４８のサイズは変動してもよい。図２では、環状ステップ溝１４７は、図３に示す環状ステップ溝２４７よりも小さい。ステップ溝４７、４８、１４７、２４７は、アイドラおよびスプロケットの負荷からシール２１、２２を保護し、かつまた、ブッシュ１０、１００、２００に追加的な強度を与える助けをし得る。図２〜図３にはまた、インサート１２５、２２５の幾何学的形状の変形例も示す。幅の広いインサート１２５は、内側リンク１１を適所に保持するのを助け、内側リンク１１がスプロケットまたはアイドラに干渉しないようにする。これについては、図４〜図５に関連して以下説明する。
【００１３】
図１〜図３を参照すると、カラー３１、３２およびインサート２５、２６は実質的に同一であることが分かる。図２〜図３にインサート１２５、２２５および環状ステップ溝１４７、２４７のサイズの変形例を示す。カートリッジまたはアセンブリ３０の全体的な設計は対称的である必要はない。さらに、スラストリング３４、３５はカラー３１、３２またはインサート２５、２６、１２５、２２５と一体式である。
【００１４】
内側および外側リンク１１、１２、１３、１４は、本体部分５１、５２、５３、５４およびシュー当接面５５、５６、５７、５８を含み得る。各リンク１１、１２、１３、１４はまた、レール面６１、６２、６３、６４を含み得る。
【００１５】
図１に示すカートリッジアセンブリ３０および図２〜図３に示すその変形は、汚れおよび汚染物質が環状シールポケット１７、１８、３６、３７に入り込まないようにする好適なラビリンスを提供する。特に、（１）内側リンク１１、１３の下に延在するブッシュ１０の環状ステップ４７、４８は、（２）インサート２５、２６およびカラー３１、３２の上面６５、６７、６６、６８とリンク１１、１２、１３、１４のレール面６１、６２、６３、６４との間のそれぞれの当接係合に加えて、（３）ブッシュ１０の環状上面６７、６８とインサート２５、２６の内側表面７１、７２との間の係合と組み合わされて、好適なラビリンス様構造を提供し、環状シールポケット１７、１８の汚染を制限し得る。同様に、（１）外側リンク１２、１４のレール面６２、６４とカラー３１、３２の上面６６、６８との間の係合も、（２）スラストリング３４、３５の内側表面７１、７２、７３、７４とインサート２５、カラー３１、インサート２６、およびカラー３２の端面７６、７７、７８、７９との間の係合と組み合わせされて、ラビリンス型の構造を提供して、環状シールポケット３６、３７の汚染を制限し得る。
【００１６】
ブッシュ１０の厚さは従来技術のブッシュよりも厚くされて、インサートの保持を改善するために厚みのあるインサート２５、２６、１２５、２２５を提供している。また、インサートの保持には、インサート２５、２６に対向するように、ブッシュ１０にシールポケット１７、１８を配置することが寄与している。
【００１７】
図４にカートリッジアセンブリ３０とアイドラ８１との係合を示し、図５にカートリッジアセンブリ３０とスプロケット８２との係合を示す。
【産業上の利用可能性】
【００１８】
履帯式下部構造体のトラックチェイン用のカートリッジアセンブリを図示し、説明した。開示の設計は、汚れおよび汚染を低減しそれゆえシールの早期摩耗を低減する、より強力なブッシュ、改良されたインサート（軸受）保持、幅広のインサートおよび改良型の環状シール設計を提供する。ブッシュ設計はまた、ブッシュの各端部に環状シールポケットを配置させて説明している。改良型のブッシュ設計はまた、環状ステップ溝または環状ステップを含んで、ブッシュの各端部を内側トラックリンクに結合する。ブッシュの両端部に配置されたインサートまたは軸受の幾何学的形状は、インサートの保持を改善するために変動させてもよい。外側カラーと内側インサートとの間にスラストリングを含んでもよいし、またはスラストリングは、カラーおよび／またはインサート自体から形成してもよい。第２または外側の環状シールポケットは、インサート、カラーおよびスラストリングによって形成してもよい。
【００１９】
既存の従来技術のカートリッジを、開示のカートリッジと取り替えるためには、交換が必要な既存のカートリッジを取り外す前にマスタリンクでチェインを切り離してもよい。外側環状シールポケット、２つのインサートおよび２つのカラーを備える改良型ブッシュを軸方向に貫通するピンを含む新しいカートリッジは、内側および外側リンクに圧入嵌めされる。
【符号の説明】
【００２０】
１０、１００、２００ ブッシュ
１１、１３ 内側リンク
１２、１４ 外側リンク
１５、１６ ブッシュの端部
１７、１８ 環状シールポケット
２１、２２ シール
２３、２４ 追加的な耐摩耗材料層
２５、２６ インサート
３０ カートリッジアセンブリ
３１、３２ カラー
３３ ピン
３４、３５ スラストリング
３６、３７ 環状シールポケット
３８、３９ シール
４１、４２ 追加的な耐摩耗層
４４ ピンの内部
４５、４６ プラグアセンブリ
４７、４８ 環状ステップ溝
５１、５２、５３、５４ 本体部分
５５、５６、５７、５８ シュー当接面
６１、６３ 内側リンクのレール面
６２、６４ 外側リンクのレール面
６５ インサートの上面
６６ カラーの上面
６７ インサートの上面、ブッシュの環状上面
６８ カラーの上面、ブッシュの環状上面
７１、７２ インサートの内側表面、スラストリングの内側表面
７３、７４ スラストリングの内側表面
７６、７８ インサートの端面
７７、７９ カラーの端面
８１ アイドラ
８２ スプロケット
１２５ インサート
１４７ 環状ステップ溝
２２５ インサート
２４７ 環状ステップ溝
【特許請求の範囲】
【請求項１】
２つの対向端部を含むブッシュ；
を含み、ブッシュの各端部が、シールを収容するための環状シールポケットを含む、トラックチェイン用のカートリッジ。
【請求項２】
ブッシュが、各端部を内側トラックリンクに結合させるための環状ステップ溝をさらに含む、請求項１に記載のカートリッジ。
【請求項３】
ブッシュが２つのインサート間に配置される、請求項１に記載のカートリッジ。
【請求項４】
シールが、インサートの一方をそれぞれ係合するトラックシールである、請求項３に記載のカートリッジ。
【請求項５】
インサートが２つのカラー間に配置され、カラーが、ブッシュに沿って軸方向に延在するピンに結合され、カラーが各々環状シールポケットを含む、請求項１に記載のカートリッジ。
【請求項６】
各カラーの各環状シールポケットとピンとの間に配置されたスラストリングをさらに含む、請求項５に記載のカートリッジ。
【請求項７】
各カラーがピンと外側リンクとの間に配置されている、請求項５に記載のカートリッジ。
【請求項８】
各インサートがピンと内側リンクとの間に配置されている、請求項３に記載のカートリッジ。
【請求項９】
ブッシュを軸方向に貫通するピン；
を含み、
ブッシュが、２つの対向端部と、ブッシュの端部間に延在するシリンダー状の外側表面とを含み；ブッシュの各端部が、シールを収容するための環状シールポケットと、各端部を内側トラックリンクに結合させるための環状ステップ溝とを含み；
ブッシュが２つのインサート間に軸方向に配置され、シールが、インサートの一方とそれぞれ係合するトラックシールであり；
インサートは２つのカラー間に軸方向に配置され、カラーはピンに結合され、カラーは各々環状シールポケットを含む、トラックチェイン用のカートリッジ。
【請求項１０】
カラーの環状シールポケットとピンとの間の半径方向に配置されたスラストリングをさらに含む、請求項９に記載のカートリッジ。
【請求項１１】
各カラーがピンと外側リンクとの間に半径方向に配置されている、請求項９に記載のカートリッジ。
【請求項１２】
各インサートがピンと内側リンクとの間に半径方向に配置されている、請求項９に記載のカートリッジ。
【請求項１３】
トラックチェインの既存のリンクサブアセンブリの既存のカートリッジを取り替える方法であって、
トラックチェインの端部をマスタリンクで切り離すこと；
既存のリンクサブアセンブリから既存のカートリッジを取り外すことであって、既存のリンクサブアセンブリが２対の内側および外側リンクを含むこと；
リンクサブアセンブリに新しいカートリッジを提供することであって、新しいカートリッジがピンを含み、ピンが軸方向にブッシュを貫通し、ブッシュが２つの対向端部と、ブッシュの端部間に延在するシリンダー状の外側表面とを含み；ブッシュの各端部が、シールを収容するための環状シールポケットと、ブッシュの各端部を内側トラックリンクに結合させるための環状ステップ溝とを含み；ブッシュが２つのインサート間に軸方向に配置され、およびシールが、インサートの一方とそれぞれ係合するトラックシールであること；
２対の内側および外側リンクによってカートリッジを圧入嵌めすること
を含む方法。
【請求項１４】
インサートが２つのカラー間に軸方向に配置され、カラーが、ブッシュに沿って軸方向に延在するピンに結合され、カラーが各々環状シールポケットを含む、請求項１３に記載の方法。
【請求項１５】
カラーの環状シールポケットとピンとの間に半径方向に配置されたスラストリングをさらに含む、請求項１４に記載の方法。
【請求項１６】
各カラーがピンと外側リンクの一方との間に半径方向に配置されている、請求項１４に記載の方法。
【請求項１７】
各インサートがピンと内側リンクの一方との間に半径方向に配置されている、請求項１３に記載の方法。
【請求項１８】
２つの対向端部と、それらの間に配置されたシリンダー状の外側表面と；
を含むブッシュであって、
ブッシュの各端部が、シールを収容するために環状シールポケットを含む、ブッシュ。
【請求項１９】
ブッシュが、各端部を内側トラックリンクに結合させるための環状ステップ溝をさらに含む、請求項１８に記載のブッシュ。
【請求項２０】
シールがトラックシールである、請求項１８に記載のブッシュ。
【請求項１】
２つの対向端部を含むブッシュ；
を含み、ブッシュの各端部が、シールを収容するための環状シールポケットを含む、トラックチェイン用のカートリッジ。
【請求項２】
ブッシュが、各端部を内側トラックリンクに結合させるための環状ステップ溝をさらに含む、請求項１に記載のカートリッジ。
【請求項３】
ブッシュが２つのインサート間に配置される、請求項１に記載のカートリッジ。
【請求項４】
シールが、インサートの一方をそれぞれ係合するトラックシールである、請求項３に記載のカートリッジ。
【請求項５】
インサートが２つのカラー間に配置され、カラーが、ブッシュに沿って軸方向に延在するピンに結合され、カラーが各々環状シールポケットを含む、請求項１に記載のカートリッジ。
【請求項６】
各カラーの各環状シールポケットとピンとの間に配置されたスラストリングをさらに含む、請求項５に記載のカートリッジ。
【請求項７】
各カラーがピンと外側リンクとの間に配置されている、請求項５に記載のカートリッジ。
【請求項８】
各インサートがピンと内側リンクとの間に配置されている、請求項３に記載のカートリッジ。
【請求項９】
ブッシュを軸方向に貫通するピン；
を含み、
ブッシュが、２つの対向端部と、ブッシュの端部間に延在するシリンダー状の外側表面とを含み；ブッシュの各端部が、シールを収容するための環状シールポケットと、各端部を内側トラックリンクに結合させるための環状ステップ溝とを含み；
ブッシュが２つのインサート間に軸方向に配置され、シールが、インサートの一方とそれぞれ係合するトラックシールであり；
インサートは２つのカラー間に軸方向に配置され、カラーはピンに結合され、カラーは各々環状シールポケットを含む、トラックチェイン用のカートリッジ。
【請求項１０】
カラーの環状シールポケットとピンとの間の半径方向に配置されたスラストリングをさらに含む、請求項９に記載のカートリッジ。
【請求項１１】
各カラーがピンと外側リンクとの間に半径方向に配置されている、請求項９に記載のカートリッジ。
【請求項１２】
各インサートがピンと内側リンクとの間に半径方向に配置されている、請求項９に記載のカートリッジ。
【請求項１３】
トラックチェインの既存のリンクサブアセンブリの既存のカートリッジを取り替える方法であって、
トラックチェインの端部をマスタリンクで切り離すこと；
既存のリンクサブアセンブリから既存のカートリッジを取り外すことであって、既存のリンクサブアセンブリが２対の内側および外側リンクを含むこと；
リンクサブアセンブリに新しいカートリッジを提供することであって、新しいカートリッジがピンを含み、ピンが軸方向にブッシュを貫通し、ブッシュが２つの対向端部と、ブッシュの端部間に延在するシリンダー状の外側表面とを含み；ブッシュの各端部が、シールを収容するための環状シールポケットと、ブッシュの各端部を内側トラックリンクに結合させるための環状ステップ溝とを含み；ブッシュが２つのインサート間に軸方向に配置され、およびシールが、インサートの一方とそれぞれ係合するトラックシールであること；
２対の内側および外側リンクによってカートリッジを圧入嵌めすること
を含む方法。
【請求項１４】
インサートが２つのカラー間に軸方向に配置され、カラーが、ブッシュに沿って軸方向に延在するピンに結合され、カラーが各々環状シールポケットを含む、請求項１３に記載の方法。
【請求項１５】
カラーの環状シールポケットとピンとの間に半径方向に配置されたスラストリングをさらに含む、請求項１４に記載の方法。
【請求項１６】
各カラーがピンと外側リンクの一方との間に半径方向に配置されている、請求項１４に記載の方法。
【請求項１７】
各インサートがピンと内側リンクの一方との間に半径方向に配置されている、請求項１３に記載の方法。
【請求項１８】
２つの対向端部と、それらの間に配置されたシリンダー状の外側表面と；
を含むブッシュであって、
ブッシュの各端部が、シールを収容するために環状シールポケットを含む、ブッシュ。
【請求項１９】
ブッシュが、各端部を内側トラックリンクに結合させるための環状ステップ溝をさらに含む、請求項１８に記載のブッシュ。
【請求項２０】
シールがトラックシールである、請求項１８に記載のブッシュ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１２−１０６７２７（Ｐ２０１２−１０６７２７Ａ）
【公開日】平成２４年６月７日（２０１２．６．７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−２４９５８５（Ｐ２０１１−２４９５８５）
【出願日】平成２３年１１月１５日（２０１１．１１．１５）
【出願人】（３９１０２０１９３）キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】ＣＡＴＥＲＰＩＬＬＡＲ ＩＮＣＯＲＰＯＲＡＴＥＤ
【公開日】平成２４年６月７日（２０１２．６．７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年１１月１５日（２０１１．１１．１５）
【出願人】（３９１０２０１９３）キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】ＣＡＴＥＲＰＩＬＬＡＲ ＩＮＣＯＲＰＯＲＡＴＥＤ
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