説明

トランス取付装置

【課題】 安価な構造で取付作業を能率良く行なうこと。
【解決手段】 トランス4の裏面に植設した多数のリード端子4aをプリント配線基板3
に開設した多数の端子孔5に挿入し、該各リード端子4aをプリント配線基板3のランド
に半田付けするようにしたトランス取付装置において、多数のリード端子4aのうちの適
当な1つまたは2つ以上のリード端子4aに補助端子8が付設され、その1つまたは2つ
以上の補助端子8に対向してプリント配線基板3に補助孔9が開設されており、各リード
端子4aをプリント配線基板3の端子孔5に挿入すると同時に、1つまたは2つ以上の補
助端子8をプリント配線基板3の補助孔9に挿入し、該各リード端子4a及び1つまたは
2つ以上の補助端子8をプリント配線基板3のランドに半田付けするようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装置(例えばBlu−ray Disc式のレコーダまたはプレー
ヤ)などの電子機器に用いられるトランスの取付装置に関し、特に、安価な構造で取付作
業を能率良く行なうことができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の一例として図4の斜視図に示すものがあり、これはディスク装置(例えばス
ロットイン型のBlu−ray Disc式のレコーダまたはプレーヤ)であって、キャ
ビネット1内の上部にディスク装置本体2が配置され、該ディスク装置本体2を制御する
ためのメイン基板やAV基板などの起立状態のプリント配線基板3にトランス4が取り付
けられている。
【0003】
上記構成において、ディスクDをディスク装置本体2のディスク挿入口2aに差し込む
と、それを検知する検知信号に基づいてディスクDがディスク装置本体2内に引き込まれ
、そのディスクDに記録されている情報が読み取られて再生されたり、録画される。
【0004】
従来、図5及び図6に示すように、前記トランス4は、その裏面に植設した多数のリー
ド端子4aをプリント配線基板3に開設した多数の端子孔5に挿入し、該各リード端子4
aをプリント配線基板3のランドに半田付け6することにより、そのプリント配線基板3
に取り付けられている。
【0005】
上記構成では、トランス4の重量を各リード端子4aで分担して支えているから、その
リード端子4aの1本あたりにかかる重量が大きいときには、例えば搬送時に落下するな
どの衝撃がかかった場合に、該各リード端子4aに過大な負荷がかかって、半田付け6が
損傷され、断線するおそれがある。
【0006】
上記難点を解消する技術として、一般的に、半田付け6の盛りつけを大きくして、各リ
ード端子4aの取付強度を増大させることが行なわれている。
【0007】
また、特許文献1に記載しているように、トランス4にダミー端子を追加して、リード
端子4aの1本あたりにかかる重量を小さくすることも考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−168609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来例のように、半田付け6の盛りつけを大きくする場合には,その大きくするのに手
間と時間とがかかり、取付作業の能率が低い。
【0010】
特許文献1に記載しているように、トランス4にダミー端子を追加する場合には、既存
のトランス4とは別個にダミー端子付きのトランス4を製作する必要があり、コストアッ
プになる。
【0011】
本発明は、上記従来の欠点に鑑み、安価な構造で取付作業を能率良く行なうことができ
るようにしたトランス取付装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、トランスの裏面に植設した多数の
リード端子をプリント配線基板に開設した多数の端子孔に挿入し、該各リード端子をプリ
ント配線基板のランドに半田付けするようにしたトランス取付装置において、前記多数の
リード端子のうちの適当な1つまたは2つ以上のリード端子に補助端子が付設され、その
1つまたは2つ以上の補助端子に対向してプリント配線基板に補助孔が開設されており、
各リード端子をプリント配線基板の端子孔に挿入すると同時に、1つまたは2つ以上の補
助端子をプリント配線基板の補助孔に挿入し、該各リード端子及び1つまたは2つ以上の
補助端子をプリント配線基板のランドに半田付けするようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記補助端子が、補助端子
本体と、該補助端子本体の基端部から直角に折れ曲がる補助腕とを有し、該補助腕の先端
にリード端子挿通孔が貫設されており、そのリード端子挿通孔にリード端子を挿通し、該
リード端子に補助腕を半田付けし、リード端子を端子孔に挿入すると同時に、補助端子本
体を補助孔に挿入するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、補助端子を付設することにより、リード端子の1本あ
たりにかかるトランスの重量を小さくしているので、例えば搬送時に落下するなどの衝撃
がかかった場合でも、各リード端子にかかる負荷が軽減されて、半田付けが損傷されるこ
とによる断線事故の発生が解消され、信頼性を高く維持することができる。
【0015】
また、従来のように半田付けの盛りつけを大きくする必要がないので、トランスの取付
作業を能率的に行なうことができる。
【0016】
更に、既存のトランスのリード端子に補助端子を付設すればよく、その既存のトランス
をそのまま利用することができるので、ダミー端子付きのトランスを製作する場合に比べ
て、コストダウンを図ることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、補助端子をトランスに取り付けるにあたって、補助端
子本体の基端部から直角に折れ曲がる補助腕のリード端子挿通孔にリード端子を挿通した
後、該リード端子に補助腕を半田付けするだけでよく、その取付作業を迅速容易に行なう
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の一形態であるトランス取付装置の分解斜視図である。
【図2】同要部の分解斜視図である。
【図3】同横断面図である。
【図4】トランス取付装置を用いた電子機器の斜視図である。
【図5】従来例の分解斜視図である。
【図6】同横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図3は本発明の実施の一形態であるトランス取付装置を用いたスロットイン型の
Blu−ray Disc式のレコーダまたはプレーヤを示すものであって、トランス4
の多数のリード端子4aのうちの適当な1つまたは2つ以上(この実施の形態では上側2
つ)のリード端子4aに補助端子8が付設され、各補助端子8に対向して起立状態のプリ
ント配線基板3に補助孔9が開設されている。上記以外の構成は図4〜図6に示す構成と
ほぼ同じであるから、同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0020】
図2に示すように、前記補助端子8は、銅などの金属からなり、リード端子4aと同じ
ように円柱状の補助端子本体8aと、該補助端子本体8aの基端部から直角に折れ曲がる
補助腕8bとを有し、該補助腕8bの先端にリード端子挿通孔10が貫設されている。
【0021】
トランス4の取付手順を説明すると、図2に仮想線で示すように、リード端子挿通孔1
0にリード端子4aを挿通し、該リード端子4aの根元部に補助腕8bを半田付け6する
ことにより、そのリード端子4aに対して補助端子本体8aが所定間隔をおいて平行に配
置されており、各リード端子4aを端子孔5に挿通すると同時に、各補助端子8の補助端
子本体8aを補助孔9に挿通し、該各リード端子4a及び各補助端子本体8aをプリント
配線基板3のランドに半田付け6する。
【0022】
上記構成によれば、補助端子8を付設することにより、リード端子4aの1本あたりに
かかるトランス4の重量を小さく(例えば10g以下)しているので、例えば搬送時に落
下するなどの衝撃がかかった場合でも、各リード端子4aにかかる負荷が軽減されて、半
田付け6が損傷されることによる断線事故の発生が解消され、信頼性を高く維持すること
ができる。
【0023】
また、従来のように半田付け6の盛りつけを大きくする必要がないので、トランス4の
取付作業を能率的に行なうことができる。
【0024】
更に、既存のトランス4のリード端子4aに補助端子8を付設すればよく、その既存の
トランス4をそのまま利用することができるので、ダミー端子付きのトランス4を製作す
る場合に比べて、コストダウンを図ることができる。
【0025】
しかも、補助端子8をトランス4に取り付けるにあたって、補助端子本体8aの基端部
から直角に折れ曲がる補助腕8bのリード端子挿通孔10にリード端子4aを挿通した後
、該リード端子4aに補助腕8bを半田付け6するだけでよく、その取付作業を迅速容易
に行なうことができる。
【0026】
上記の実施の一形態では、補助端子8を2つ用いたが、これに限定されるわけではなく
、トランス4の重量に合わせて、1つまたは3つ以上の補助端子8を用いる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
上記の実施の形態では、スロットイン型のBlu−ray Disc式のレコーダまた
はプレーヤを例にあげて説明したが、これに限定されるわけではなく、例えば液晶テレビ
などの各種電子機器に用いられるトランス4にも適用される。
【符号の説明】
【0028】
3 プリント配線基板
4 トランス
4a リード端子
5 端子孔
6 半田付け
8 補助端子
8a 補助端子本体
8b 補助腕
9 補助孔
10 リード端子挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスの裏面に植設した多数のリード端子をプリント配線基板に開設した多数の端子
孔に挿入し、該各リード端子をプリント配線基板のランドに半田付けするようにしたトラ
ンス取付装置において、前記多数のリード端子のうちの適当な1つまたは2つ以上のリー
ド端子に補助端子が付設され、その1つまたは2つ以上の補助端子に対向してプリント配
線基板に補助孔が開設されており、各リード端子をプリント配線基板の端子孔に挿入する
と同時に、1つまたは2つ以上の補助端子をプリント配線基板の補助孔に挿入し、該各リ
ード端子及び1つまたは2つ以上の補助端子をプリント配線基板のランドに半田付けする
ようにしたことを特徴とするトランス取付装置。
【請求項2】
前記補助端子が、補助端子本体と、該補助端子本体の基端部から直角に折れ曲がる補助
腕とを有し、該補助腕の先端にリード端子挿通孔が貫設されており、そのリード端子挿通
孔にリード端子を挿通し、該リード端子に補助腕を半田付けし、リード端子を端子孔に挿
入すると同時に、補助端子本体を補助孔に挿入するようにしたことを特徴と請求項1に記
載のトランス取付装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−228558(P2011−228558A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98423(P2010−98423)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】