説明

トリガー式液体噴出器

【課題】噴出すべき液体の物性にかかわらず、操作レバーの牽曳に要する力を低減しながらも、液垂れを有効に抑制したトリガー式液体噴出器を提供する。
【解決手段】トリガー式液体噴出器1は、操作レバー3を繰り返し牽曳して容器内の液体を吸引し、加圧し、圧送するポンプ4と、圧送された液体を通過させる送給経路10を有するボディ2と、圧送された液体を外界に向けて噴射する噴射ノズル5とを備える。ボディ2の送給経路10の末端と噴射ノズル5の間に、弁座部11を備える弁室12を形成し、弁室12内に蓄圧弁13を配設する。蓄圧弁13は、基部14及び傘部15からなる。傘部15は、液体の送給圧が規定圧力以下の場合には弁座部11と液密に当接し、液体の送給圧が規定圧力を超えた場合には弾性的に変形して弁室12の弁座部11から離反する。周方向における少なくとも一部に、他の部分に比較して弁座部に対する傘部の当接力が低い部分を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、操作レバーを繰り返し牽曳して容器内の液体を吸引し、加圧し、圧送するポンプと、このポンプによって圧送された液体を通過させる送給経路を有するボディと、このボディの送給経路の末端に配置され送給経路を通って圧送された液体を外界に向けて噴射する噴射ノズルとを備えたトリガー式液体噴出器に関するものであり、特にかかる液体噴出器の操作レバーの牽曳に要する力の低減と液垂れの防止を図る。
【背景技術】
【0002】
トリガー式液体噴出器は、噴射ノズルを取り付けたボディに、液体の吸引、加圧、圧送を司るポンプ機構を組み込み、該ポンプ機構を、ばね部材にて弾性支持された操作レバーによって駆動する構造を有しており、近年では、カビ取り剤、洗剤、衣料用糊剤、住居用ワックス、整髪剤、芳香剤等の液体を霧状又は泡状にして噴出させるために多用されている。
【0003】
このようなトリガー式液体噴出器においては、操作レバーの牽曳に伴うポンプ機構内の圧力の上昇及び下降に従ってノズルから液体が噴出するが、送給経路内の圧力不足又は残圧に起因して噴出開始時又は噴出終了後に液体がノズルから垂れる、いわゆる液垂れが生じることがあった。
【0004】
かかる液垂れを防止するため、送給経路の開口側に、スプリングで弾性支持され、送給経路内の圧力変化に応じて前後に摺動して噴射ノズルを開閉する蓄圧弁を配置したトリガー式液体噴出器が知られている(例えば特許文献1参照。)。かかる液体噴出器では、送給経路内の圧力がスプリングの弾性力を超えるまで噴出が開始されないことから、噴出開始時の液垂れが抑制され、一方、吐出終了後にはスプリングにより蓄圧弁が噴射ノズルに押圧されることから、送給経路内に残圧があっても噴射ノズルを閉塞状態に維持でき、噴出終了後の液垂れが抑制される。
【0005】
また、特許文献2には、蓄圧弁としてスカート状の弾性弁体を採用し、この外周を送液経路の壁面に圧接させることで、蓄圧弁とノズル孔との間に残存する液体を少なくした液体噴出器が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−288256号公報
【特許文献2】特開2000−70787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載されたような液体噴出器では、蓄圧弁を支持するスプリングの弾性力を超える送給圧を発生させる必要があるため、特に液体の噴出量を増大させるために蓄圧弁の横断面積を大きくした場合に、操作レバーの牽曳に要する力が大きくなり、これを避けるためにスプリングの弾性力を小さくすると液垂れが生じやすくなるという問題があった。さらに、噴出すべき液体の物性によっては、弁体の円滑な摺動が妨げられ、これが一層の操作レバーの牽曳に要する力の増大と液垂れを招くという問題もあった。特許文献2にはこうした弁体の摺動を排除した液体噴出器が提案されているが、操作レバーの牽曳に要する力に関してはなお改善の余地が残されていた。
【0008】
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、噴出すべき液体の物性にかかわらず、操作レバーの牽曳に要する力を低減しながらも、液垂れを有効に抑制したトリガー式液体噴出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、この発明は、操作レバーを繰り返し牽曳して容器内の液体を吸引し、加圧し、圧送するポンプと、このポンプによって圧送された液体を通過させる送給経路を有するボディと、このボディの送給経路の末端に配置され送給経路を通って圧送された液体を外界に向けて噴射する噴射ノズルとを備えたトリガー式液体噴出器において、前記ボディの送給経路末端と噴射ノズルの間に、弁座部を備える弁室を形成するとともに、この弁室内に蓄圧弁を配設し、前記蓄圧弁は、前記弁室内に蓄圧弁を固定するための基部と、この基部から傘状に広がり、液体の送給圧が規定圧力以下の場合には前記弁室の弁座部と液密に当接して前記送給経路を閉塞状態に保持し、液体の送給圧が前記規定圧力を超えた場合には弾性的に変形して前記弁室の弁座部から離反する傘部とからなり、周方向における少なくとも一部に、他の部分に比較して弁座部に対する傘部の当接力が低い部分を設けたことを特徴とするトリガー式液体噴出器である。かかる構成を採用することにより、比較的小さな牽曳力で操作レバーを作動しても、蓄圧弁を摺動させることなく確実に開閉することが可能となる。
【0010】
また、上記の構成になるトリガー式液体噴出器において、弁室内に、蓄圧弁の傘部と当接する少なくとも1個の突起部を形成することが好ましい。これにより、閉塞状態において蓄圧弁の傘部が付勢されるため、より低い送給圧でも傘部を弁座部から離反することができる。
【0011】
さらに、弁室及び蓄圧弁をそれぞれ円形の正面視輪郭形状に形成し、これらを互いに偏心して配置することが好ましい。これにより、蓄圧弁を弁室に挿入した際に変形量が最も小さい部分において傘部が弁座部から離反しやすくなり、液体の噴出が開始される圧力が低下する。
【0012】
さらにまた、弁室及び蓄圧弁のうち、一方を円形の正面視輪郭形状に形成し、他方を楕円形の正面視輪郭形状に形成し、これらを互いに同心に配置することが好ましい。これによれば、弁室が楕円形の正面視輪郭形状の場合にはその長径部分において、蓄圧弁が楕円形の正面視輪郭形状の場合にはその短径部分において、それぞれ傘部が弁座部から離反しやすくなり、液体の噴出が開始される圧力が低下する。
【0013】
加えて、蓄圧弁の傘部は、基部側の端部から先端部までの縦断面長さが周方向において変化すること、あるいは、蓄圧弁の傘部は、周方向における少なくとも一部に、他の部分に比較して肉厚が小さい部分を設けることが好ましい。これにより、基部側の端部から先端部までの縦断面長さが最長となる位置、あるいは、肉厚が他の部分に比較して小さい位置において、傘部が弁座部から離反しやすくなり、液体の噴出が開始される圧力が低下する。
【0014】
そして、この発明のトリガー式液体噴出器は、花粉ケア剤、帯電防止剤、しわ取り剤及び消臭剤の中から選択される液体を収容した容器に取り付けて使用することが好ましい。なお、ここでいう「花粉ケア剤」とは、衣類に付着した花粉に対し花粉の破裂防止など不活性化させる、或いは付着し難くする組成物をいい、「帯電防止剤」とは、衣類の静電気を防止する組成物をいい、「しわ取り剤」とは、衣類に生じる着用しわ、洗濯乾燥しわなどの回復を促す組成物をいい、「消臭剤」とは、衣類に付着したタバコ臭、焼肉臭などを吸着して臭わないようにする、或いは香料でマスキングする組成物をいうものとする。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、蓄圧弁を摺動させることなく確実に開閉することができるので、噴出すべき液体の物性の影響を受けることが少ない上、当接力が比較的小さい部分から順に蓄圧弁が開くため、操作レバーの牽曳に要する力を低減しながらも、液垂れを有効に抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
図1はこの発明に従うトリガー式液体噴出器の基本的な構成態様の縦断面を示したものであり、図2はその要部を拡大して示した図である。
【0017】
図1に示すトリガー式液体噴出器(以下「噴出器」という。)1は、ボディ2と、このボディ2に枢支軸を介して揺動可能に取り付けられた操作レバー3と、一方の端部をボディ2に、他方の端部を操作レバー3にそれぞれ連結したポンプ4と、ボディ2の先端に取り付けつけられた噴射ノズル5とを備える。ボディ2は、図示しない容器の内部に通じるチューブ6を備え装着リング7を介して容器の口部に取り付けられるインテーク8と、このインテーク8に保持され液体の逆流を防止する吸入弁9と、インテーク8と噴射ノズル5を連通する送給経路10を有する。
【0018】
送給経路10の末端と噴射ノズル5の間には、弁座部11を備える弁室12が形成されており、この弁室12の内部には蓄圧弁13が配設されている。この蓄圧弁13は、ボディ2の先端に、又はボディ2の先端に配設された部材に嵌装され弁室12内に蓄圧弁13を固定する役割を果たす基部14と、この基部14の送給経路10側の端部から噴射ノズル5側に向かって次第に径を拡大して延び、傘状に広がる傘部15とからなる。この傘部15は、ゴムや合成樹脂等の弾性を有する材料から形成されており、その外径が弁室12の弁座部11における内径よりも若干大きくなるように構成されている。これによって、蓄圧弁13を弁室12内に配設した際には、傘部15が径方向内側に僅かに弾性変形した状態で弁座部11に当接し、これら傘部15と弁座部11との間を液密に保つことができる。また、弁座部11及び傘部15の少なくとも一方の周方向における少なくとも一部には、これらの間の当接力が低くなる部分を設けている。
【0019】
操作レバー3を繰り返して牽曳すると、ポンプ4が作動し、図示しない容器内の液体がインテーク8内に吸引され、ポンプ4内で加圧され、吸入弁9に向かって圧送される。圧送された液体は、吸入弁9を開き、送給経路10内を通過して弁室12に入る。弁室12内の液体の圧力が傘部15の弾性力に相当する規定圧力以下の場合には、傘部15は弁座部11に当接した状態を維持し、したがって送給経路10と噴射ノズル5の間は蓄圧弁13により閉塞されている。ポンプ4によって連続して液体の圧送が行われると、弁室12内の液体の送給圧が上昇し、これが規定圧力を超えると、傘部15が、弁座部11に対する当接力の低い部分から順に、径方向内側に弾性的に変形して弁座部11から離反する。この結果、弁室12と蓄圧弁13の間に隙間が生じ、この隙間を介して圧送された液体が噴射ノズル5に達し、ここから外界に向けて噴出される。
【0020】
操作レバー3の牽曳を止めると、液体の圧送も停止するため、弁室12内の液体の送給圧が次第に低下する。そして、送給圧が傘部15の弾性力に相当する規定圧力以下になると、傘部15が迅速に復元して再び弁座部11に当接し、噴射ノズル5への液体の供給が遮断される。この結果、噴射ノズル5からの液体の噴出が停止する。
【0021】
このように、この発明に従う噴出器では、蓄圧弁から摺動部を排除するとともに、蓄圧弁の傘部と弁室の弁座との間の当接力が低い部分を設けたことで、前記したような弁体の摺動により噴射ノズルへの液体の供給を制御する従来の噴出器の抱える問題点を解決し、操作レバーの牽曳に要する力を低減しながらも、液垂れを有効に抑制することができる。
【0022】
図3は、この発明に従う噴出器の第一の実施例の要部の縦断面を示す。この実施例において、前記の基本的な構成態様と共通の部材については同一符号をもって示し、その説明を省略する。この実施例では、弁室12内に傘部15と当接する突起部16を形成している。この突起部16は、傘部15の弾性力を弁座部11と分担して支持するが、傘部15と弁座部11が依然として液密に当接できるような高さに構成されている。これにより、突起部16を設けた部分が、他の部分に比較して弁座部11に対する傘部15の当接力が低い部分となる。したがって、突起部16を設けた部分において、より低い送給圧をもって傘部15が弁座部11から離反を開始する。すなわち、前記離反は、突起部16との当接部分から生じ易くなる。この結果、操作レバーの牽曳に要する力をより一層低減することができる。なお、突起部16の数は1個に限定されず、周方向に複数個並べて配置することもできる。
【0023】
図4はこの発明に従う噴出器の第二の実施例の要部の縦断面を示し、図5はこの噴出器の蓄圧弁13の正面視輪郭の形状、すなわち図4に矢印Aで示す方向から見た輪郭形状を示しており、実線は弁室12に取り付ける前の状態を示しており、破線は弁室12内に取り付けた後の状態を示している。この実施例においても、前記の基本的な構成態様と共通の部材については同一符号をもって示し、その説明を省略する。この実施例では、蓄圧弁13は、図5に実線で示すような円形の正面視輪郭形状を有しており、この円の中心から偏心した状態で基部14が設けられている。また、弁室12も正面視形状が円形となるよう形成されている。したがって、図4に示すように、基部14の中心軸が弁室12の中心軸と一致するように蓄圧弁13をボディ2の先端に嵌装すると、蓄圧弁13の正面視輪郭形状である円と弁室12の正面視輪郭形状である円とは互いに偏心して配置される結果、蓄圧弁13は図5に破線で示すような、弁室12の正面視輪郭形状に対応した形状に変形する。この状態では、弁室12に取り付ける前後の傘部15の変形量が小さい部分は、弁座部11への当接力が小さくなる。このため、液体の送給圧が上昇した際に、この部分が相対的に早く変形し弁座部11から離反する。この結果、操作レバーの牽曳に要する力をより一層低減することができる。
【0024】
図6は、この発明に従う噴出器の第三の実施例の蓄圧弁13の正面視輪郭の形状を示しており、実線は弁室12に取り付ける前の状態を示しており、破線は弁室12内に取り付けた後の状態を示している。この実施例では、弁室12が円形の正面視輪郭形状を有し、蓄圧弁13が楕円形の正面視輪郭形状を有しおり、これらの円と楕円が同心となるように、弁室12に対して蓄圧弁13を配置している。このため、蓄圧弁13は、当初は図6に実線で示すような楕円形の正面視輪郭形状であるが、弁室12内に挿入すると、弁室12の正面視輪郭形状に対応して変形し、図6に破線で示すような円形の正面視形状に変形する。この状態では、弁室12に取り付ける前後の傘部15の変形量が小さい部分、すなわち当初の楕円形の正面視輪郭形状の短径部分は、弁座部11への当接力が小さくなり、液体の送給圧が上昇した際に、この部分が相対的に早く変形し弁座部11から離反する。この結果、操作レバーの牽曳に要する力をより一層低減することができる。
【0025】
なお、図示は省略するが、弁室12の正面視輪郭形状を楕円形に形成し、蓄圧弁13の正面視輪郭形状を円形に形成し、これらの円と楕円が同心となるように、弁室12に対して蓄圧弁13を配置することもできる。この場合、弁室12の楕円形の正面視輪郭形状の長径部分において、傘部15の変形量が最も小さくなり、ここでの弁座部11への当接力が小さくなることから、前記と同様に操作レバーの牽曳に要する力をより一層低減することができる。
【0026】
図7は、この発明に従う噴出器の第四の実施例の要部の縦断面を示す。この実施例においても、前記の基本的な構成態様と共通の部材については同一符号をもって示し、その説明を省略する。この実施例では、蓄圧弁13の傘部15を、基部側の端部から先端部までのそれの縦断面長さaが周方向において変化するように形成している。すなわち、傘部15を、正面視の輪郭形状が円形で、図7の上側に位置する部分で縦断面長さaが最大となり、下側に位置する部分で縦断面長さaが最小となり、これらの間で連続的に縦断面長さaが変化するように形成している。このように構成することで、縦断面長さaが最長となる位置、すなわち図7の例では上側の位置において、蓄圧弁13の弁座部11への当接力が小さくなり、液体の送給圧が上昇した際に、この部分が相対的に早く変形し弁座部11から離反する。この結果、操作レバーの牽曳に要する力をより一層低減することができる。
【0027】
図8は、この発明に従う噴出器の第五の実施例の蓄圧弁13の背面視輪郭の形状、すなわち図4に矢印Bで示す方向からみた輪郭形状を示している。この実施例では、蓄圧弁13の傘部15を、径方向外側の輪郭形状が円形(図8では最外の円として表れる。)となり、径方向内側の輪郭形状が円形(図8では外側から2番目の円として表れる。)となり、これらを互いに偏心配置した状態となるように、すなわち傘部15の肉厚が円周方向で変化するように形成している。これにより、蓄圧弁13を弁室12内に配置した際には、弁座部11に対する当接力は、肉厚の大きい部分で高く、肉厚の小さい部分で低くなるので、操作レバーを牽曳し液体の送給圧が上昇すると、肉厚の小さい部分が相対的に早く変形し弁座部11から離反する。この結果、操作レバーの牽曳に要する力をより一層低減することができる。
【0028】
また、蓄圧弁の傘部が、周方向における少なくとも一部に、他の部分に比較して肉厚が小さい部分を有するような形状とすることで、操作レバーの牽曳に要する力を低減することもできる。例えば、図9に示す第六の実施例では、蓄圧弁13の傘部15を、径方向外側の輪郭形状が楕円形(図8では最外の円として表れる。)となり、径方向内側の輪郭形状が円形(図8では外側から2番目の円として表れる。)となり、これらを互いに同心配置した状態とすることで、径方向外側の輪郭形状の短径部で肉厚が最も小さくなり、長径部で肉厚が最も大きくなるように形成している。これにより、蓄圧弁13を弁室12内に配置した際には、弁座部11に対する当接力は、肉厚の大きい部分で高く、肉厚の小さい部分で低くなるので、操作レバーを牽曳し液体の送給圧が上昇すると、肉厚の小さい部分が相対的に早く変形し弁座部11から離反する。この結果、操作レバーの牽曳に要する力をより一層低減することができる。また、これとは逆に、傘部15を、径方向外側の輪郭形状が円形となり、径方向内側の輪郭形状が楕円形となり、これらを互いに同心配置した状態に形成してもよい。
【0029】
この発明に従うトリガー式液体噴出器を取り付ける容器に収容する液体は、噴射ノズルから噴射可能な性状のものであれば特に限定されないが、花粉ケア剤、帯電防止剤、しわ取り剤及び消臭剤から選択することが特に好ましい。これらの液体の組成の一例を以下に示す。
【0030】
(花粉ケア剤)
例1:スノーテックスAK(日産化学工業株式会社製) 0.5質量%
下記一般式Iにおいて、R:メチル基、m=10、x=210、y=9 0.5質量%
エタノール(試薬1級、甘糟化学産業株式会社製) 15質量%
アーカード210(ライオンアクゾ株式会社) 0.1質量%
PEG#400(ライオン株式会社) 0.5質量%
香料 0.01質量%
精製水 残部
例2:アルミナゾル−520(日産化学工業株式会社製) 0.5質量%
下記一般式Iにおいて、R:水素原子、m=15、x=70、y=3 1質量%
エタノール(試薬1級、甘糟化学産業株式会社製) 10質量%
アーカード210(ライオンアクゾ株式会社) 0.1質量%
PEG#400(ライオン株式会社) 0.5質量%
香料 0.01質量%
精製水 残部
【0031】
(帯電防止剤)
例3:シリカドール20P(日本化学工業株式会社製) 0.3質量%
下記一般式Iにおいて、R:水素原子、m=15、x=70、y=3 0.5質量%
エタノール(試薬1級、甘糟化学産業株式会社製) 10質量%
アーカードT−800(ライオンアクゾ株式会社) 0.1質量%
ヘキシレングリコール 1質量%
香料 0.01質量%
精製水 残部
例4:エタノール(試薬1級、甘糟化学産業株式会社製) 15質量%
アーカード210(ライオンアクゾ株式会社) 0.2質量%
PEG#300(ライオン株式会社) 0.5質量%
香料 0.01質量%
精製水 残部
例5:SH3746(東レダウコーニング株式会社製) 0.3質量%
2−プロパノール(鹿1級、関東化学株式会社製) 10質量%
アーカード210(ライオンアクゾ株式会社) 0.1質量%
PEG#1500(ライオン株式会社) 1質量%
香料 0.01質量%
精製水 残部
【0032】
(しわ取り剤)
例6:下記一般式Iにおいて、R:水素原子、m=20、x=7、y=3 1質量%
エタノール(試薬1級、甘糟化学産業株式会社製) 10質量%
香料 0.01質量%
精製水 残部
例7:下記一般式Iにおいて、R:水素原子、m=10、x=210、y=9 0.5質量%
エタノール(試薬1級、甘糟化学産業株式会社製) 15質量%
アーカード210(ライオンアクゾ株式会社) 0.1質量%
香料 0.01質量%
精製水 残部
例8:SH3775(東レダウコーニング株式会社製) 0.3質量%
エタノール(試薬1級、甘糟化学産業株式会社製) 10質量%
アーカード210(ライオンアクゾ株式会社) 0.1質量%
ジプロピレングリコール 3質量%
香料 0.01質量%
精製水 残部
例9:Klebosol30CAL25(Clariant社製) 0.5質量%
下記一般式Iにおいて、R:水素原子、m=20、x=7、y=3 1質量%
エタノール(試薬1級、甘糟化学産業株式会社製) 10質量%
アーカード210(ライオンアクゾ株式会社) 0.1質量%
香料 0.01質量%
精製水 残部
例10:スノーテックスAK(日産化学工業株式会社製) 0.5質量%
下記一般式Iにおいて、R:メチル基、m=10、x=210、y=9 0.5質量%
エタノール(試薬1級、甘糟化学産業株式会社製) 15質量%
アーカード210(ライオンアクゾ株式会社) 0.1質量%
香料 0.01質量%
精製水 残部
【0033】
(消臭剤)
例11:スノーテックス20(日産化学工業株式会社製) 0.5質量%
エタノール(試薬1級、甘糟化学産業株式会社製) 10質量%
香料 0.01質量%
精製水 残部
例12:スノーテックスZL(日産化学工業株式会社製) 0.5質量%
エタノール(試薬1級、甘糟化学産業株式会社製) 10質量%
香料 0.01質量%
精製水 残部
例13:Klebosol30CAL25(Clariant社製) 0.5質量%
エタノール(試薬1級、甘糟化学産業株式会社製) 15質量%
アーカード210(ライオンアクゾ株式会社) 0.1質量%
香料 0.01質量%
精製水 残部
例14:アルミナゾル−520(日産化学工業株式会社製) 1質量%
エタノール(試薬1級、甘糟化学産業株式会社製) 10質量%
アーカードT−800(ライオンアクゾ株式会社) 0.1質量%
香料 0.01質量%
精製水 残部
【0034】
一般式I
【化1】

【0035】
上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したにすぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を相互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上の説明から明らかなように、この発明によって、蓄圧弁を摺動させることなく確実に開閉することができるので、噴出すべき液体の物性の影響を受けることが少なく、操作レバーの牽曳に要する力を低減しながらも、液垂れを有効に抑制するトリガー式液体噴出器を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明に従うトリガー式液体噴出器の基本的な構成態様の縦断面図である。
【図2】図1に示す噴出器の要部の拡大断面図である。
【図3】この発明に従う噴出器の第一の実施例の要部の縦断面図である。
【図4】この発明に従う噴出器の第二の実施例の要部の縦断面図である。
【図5】図4に示す噴出器の蓄圧弁の正面視輪郭形状を示す図である。
【図6】この発明に従う噴出器の第三の実施例の蓄圧弁の正面視輪郭形状を示す図である。
【図7】この発明に従う噴出器の第四の実施例の要部の縦断面図である。
【図8】この発明に従う噴出器の第五の実施例の蓄圧弁の背面視輪郭形状を示す図である。
【図9】この発明に従う噴出器の第六の実施例の蓄圧弁の背面視輪郭形状を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 トリガー式液体噴出器
2 ボディ
3 操作レバー
4 ポンプ
5 噴射ノズル
6 チューブ
7 装着リング
8 インテーク
9 吸入弁
10 送給経路
11 弁座部
12 弁室
13 蓄圧弁
14 基部
15 傘部
16 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作レバーを繰り返し牽曳して容器内の液体を吸引し、加圧し、圧送するポンプと、このポンプによって圧送された液体を通過させる送給経路を有するボディと、このボディの送給経路の末端に配置され送給経路を通って圧送された液体を外界に向けて噴射する噴射ノズルとを備えたトリガー式液体噴出器において、
前記ボディの送給経路末端と噴射ノズルの間に、弁座部を備える弁室を形成するとともに、この弁室内に蓄圧弁を配設し、
前記蓄圧弁は、前記弁室内に蓄圧弁を固定するための基部と、この基部から傘状に広がり、液体の送給圧が規定圧力以下の場合には前記弁室の弁座部と液密に当接して前記送給経路を閉塞状態に保持し、液体の送給圧が前記規定圧力を超えた場合には弾性的に変形して前記弁室の弁座部から離反する傘部とからなり、周方向における少なくとも一部に、他の部分に比較して弁座部に対する傘部の当接力が低い部分を設けたことを特徴とするトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記弁室内に、前記蓄圧弁の傘部と当接する少なくとも1個の突起部を形成してなる、請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記弁室及び蓄圧弁はそれぞれ円形の正面視輪郭形状を有し、互いに偏心して配置される、請求項1又は2に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項4】
前記弁室及び蓄圧弁のうち、一方が円形の正面視輪郭形状を有し、他方が楕円形の正面視輪郭形状を有し、互いに同心に配置される、請求項1又は2に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項5】
前記蓄圧弁の傘部は、前記基部側の端部から先端部までの縦断面長さが周方向において変化する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項6】
前記蓄圧弁の傘部は、周方向における少なくとも一部に、他の部分に比較して肉厚が小さい部分を設ける、請求項1〜5のいずれか一項に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項7】
花粉ケア剤、帯電防止剤、しわ取り剤及び消臭剤の中から選択される液体を収容した容器に取り付けて使用する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のトリガー式液体噴出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−229445(P2008−229445A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70541(P2007−70541)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】