説明

トリフェノジオキサジン系顔料の合成

本発明は、一般式(I)、
【化1】


(式中、
Xは、ハロゲン原子であり、
Aと標示されている環は、1、2位;2、3位または3、4位と、8、9位;9、10位または10、11位において、環中に1個の窒素原子と1個の酸素原子を含むかあるいは環中に2個の窒素原子を含む5員または6員の複素環に、直線的にまたは角度をなして縮合している)の化合物を製造する方法であり、下記式(II)で表される3,6−ビスアリールアミノ−2,5−ジハロベンゾキノンを、有機スルホン酸の存在下で、非プロトン性極性有機溶媒中で酸化することを含む、上記方法に関する。
【化2】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非プロトン性極性有機溶媒中での酸化的閉環によりトリフェノジオキサジン化合物を製造する特に有利な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5,565,563号明細書 (特許文献1)、ドイツ特許出願公開第4442291号明細書(特許文献2)、および欧州特許出願公開第0889046号明細書(特許文献3)は、下記一般式のトリフェノジオキサジン化合物を記載している。
【0003】
【化1】

【0004】
(式中、Xは、水素原子またはハロゲン原子を表す。)
【0005】
Aと標示されている環は、直線的にまたは角度をなして縮合した、基員(radical members)からなる環、中でも式−NR−(CO)−NH−、−NR−(CO)−O−、または−CR=CH−CO−NH−を担持する。
【0006】
これらの化合物は、溶剤のない及び溶剤含有の両方のプラスチック塊またはプラスチック樹脂を含むプラスチックを着色するための顔料として特に有用である。これらは、油性塗料系または水性塗料系および様々な種類のラッカーを包含する。これらの化合物は、ビスコースまたは酢酸セルロースの紡糸着色、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ゴムまたは人工皮革の顔料着色にも適している。それらは、グラフィックファブリックの印刷、紙材の着色、テキスタイルのコーティング、またはその他の顔料印刷プロセスにも使用することができる。得られる顔料着色は、熱、光および気候ならびに化学製品に対する優れた堅牢性を有する。顔料は、良好な色強度(strength of color)を維持し、良好な塗装特性を有する。特に、それらは、マイグレーション、ブルーミング、上塗りおよび溶剤に対する良好な堅牢性を有する。
【0007】
米国特許第5,565,563号明細書(特許文献1)および欧州特許出願公開第0889046号明細書(特許文献3)に開示されている製造方法は、アルコキシ基でオルト置換され、比較的複雑な合成によってのみ得られる中間体、すなわち、アミノ化合物から出発する。
【0008】
独国特許出願公開第4442291号明細書(特許文献2)に開示されている製造方法は、容易に得られる非置換のアミノ化合物から出発する。顔料合成は、濃硫酸中の二酸化マンガンにより行われ、中間生成物の単離を必要とする。必要な顔料特性を得るために、有機溶剤中での粗製顔料の後処理が必要であることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,565,563号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第4442291号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0889046号明細書
【特許文献4】国際公開第2002046315号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記式(I)のトリフェノジオキサジン系顔料を高収率で製造するための新規な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚くことに、これらの顔料は、有機酸の存在下でのみであるが、非プロトン性極性溶媒中での、それぞれの2,5−ビスアリールアミノ−1,4−ベンゾキノンの酸化により調製できることが分かった。同じ方法が、PV23タイプのトリフェノジオキサジンでは結果有効的に(result−effectively)作用しないため、この知見は極めて驚くべきことであった。
【0012】
従って、本発明は、次の一般式(I)、
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、
Xは、ハロゲン原子、好ましくは、塩素又は臭素、特に塩素であり;
Aと標示されている環は、1、2位;2、3位または3、4位と、8、9位;9、10位または10、11位において、環中に1個の窒素原子と1個の酸素原子を含むかあるいは環中に2個の窒素原子を含む5員または6員の複素環に、直線的にまたは角度をなして縮合している)
の化合物を製造する方法であり、
下記式(II)3,6−ビスアリールアミノ−2,5−ジハロベンゾキノンを、有機スルホン酸の存在下で、非プロトン性極性有機溶媒中で酸化することを含む、上記方法を提供する。
【0015】
【化3】

【0016】
式(I)の好ましい化合物は、式(Ia)、(IIa)、(IIIa)および(IIIb)を有する化合物である。
【0017】
【化4】

【0018】
(式中、Xは、水素 またはハロゲンであり、R、R、RおよびRは、互いに独立して、水素、C1〜8アルキル基、置換されたまたは置換されていないフェニル基、ベンジル基、ベンズアニリド基またはナフチル基、置換されたまたは置換されていないC5〜6シクロアルキル基である。)
【0019】
置換基R、R、RおよびRは、互いに独立して、好ましくは、水素、メチル基、エチル基、n−またはイソ−プロピル基、n−、イソ−、sec−またはtert−ブチル基、シクロヘキシル基、置換されたまたは置換されていないベンズアニリド基、ナフチル基、非置換のフェニル基、ハロゲン、好ましくは、塩素、ニトロ、C1〜8アルキル基、好ましくは、C1〜8アルキル基、およびC1〜8アルコキシ基からなる群から選択される基により1回または複数回置換されたフェニル基である。
【0020】
本発明の方法において使用できる非プロトン性極性有機溶媒の例は、エーテル類、エステル類、ケトン類、アミン類、ニトロメタン、クロロベンゼン類、およびクロロトルエン類 である。クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、2−クロロトルエン、3−クロロトルエン、4−クロロトルエン、2,4−ジクロロトルエン、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、特に、1,2−ジクロロベンゼン、4−クロロトルエン、2,4−ジクロロトルエンおよび4−メチルアニソールが有利である。上記の溶媒は、上記の式(II)の化合物の重量に基づいて、3〜20倍量、好ましくは、5〜15倍量で使用するのが賢明である。
【0021】
本発明の方法において使用できる有機スルホン酸の例は、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸およびキシレンスルホン酸である。有機スルホン酸の量は、上記の式(II)の化合物に基づいて、10〜360モル%、好ましくは、40〜240モル%の範囲であってよい。
【0022】
本発明の酸化プロセスの温度は、20〜200℃、好ましくは、60〜180℃、特に、100〜170℃、特に好ましくは、120〜160℃であることができる。
【0023】
本発明の方法において使用できる酸化剤および閉環剤の例は、ベンゼンスルホニルクロリド、トルエンスルホニルクロリドのような芳香族スルホニルクロリド、およびクロラニルである。ベンゼンスルホニルクロリドまたはトルエンスルホニルクロリドとクロラニルの混合物が特に好ましい。酸化剤および閉環剤の量は、上記の式(II)の化合物に基づいて、70〜240モル%、好ましくは、90〜260モル%の範囲であることができる。
【0024】
クロラニルと上記のスルホニルクロリドの混合物が使用される場合、スルホニルクロリドに対するクロラニルの重量による量は、1:10〜1:2、特に、1:3〜1:5の範囲であることが好ましい。
【0025】
上記の一般式(II)の出発化合物は、当業者に周知の方法、例えば、1当量のクロラニルと2当量の芳香族アミン“HN−A−環系”の縮合反応により製造することができる。
【0026】
1当量のクロラニルと2当量の上記芳香族アミン“HN−A−環系”から出発するワンポット反応で上記の式(I)の化合物を製造することも可能である。
【0027】
本発明による方法により形成される顔料は、任意に溶剤存在下での、合成ポリマー、合成樹脂および再生繊維を含む適当な基材の原液顔料着色(mass pigmentation)に適している。これらの基材は、より具体的には、油、水あるいは溶剤をベースとする表面コーティング、ポリエステル紡糸溶融物、ポリエチレン、ポリスチレンあるいはポリ塩化ビニルの成形材料、ゴム、合成皮革および天然皮革を包含する。さらに、顔料は、紙の原液着色(mass coloration)、並びにテキスタイルのコーティングおよび印刷のための印刷インキの製造において、ならびに皮革の染色において使用することができる。
【0028】
上述の基材に塗布される場合、顔料は、耐マイグレーションであり、光に対して堅牢であり、洗浄、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩および過酸化物漂白、摩擦、噴霧の重ね塗りおよび溶剤に対する堅牢性を示すことが分かっている。特に、該顔料は、高い着色力、良好な不透明度および良好な熱安定性および高い光堅牢性を示す。
【0029】
皮革は、靴、室内装飾品、衣類などの様々な物品の製造において使用されており、最近では、自動車産業での使用量が増加している。皮革は、ダッシュボード、ステアリングホイールカバー、ドアパネル、ギアレバーハンドル、シートカバーおよびヘッドレストに使用される。自動車の車内は、温度の極端な変化、強烈な日光、ならびに相当の摩損および裂け目を受けるため、染色プロセスにおいて用いられる顔料は、高い光堅牢性、高い耐熱性、耐マイグレーション性、高い耐汗性などの要求仕様を満たす必要がある。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を説明するのに役立つ一連の例を以下に挙げる。
【0031】
参考例:
6,14−ジクロロ−3,11−ジエチル−1,3,9,11−テトラヒドロ−ジイミダゾ[4,5−b:4’,5’−m]−トリフェノジオキサジン−2,10−ジオン
a)2,5−ジクロロ−3,6−ビス(1−エチル−2−オキソ−1,3−ジヒドロベンズイミダゾール−5−イル)アミノ−1,4−ベンゾキノン
5−アミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−オン90gおよび無水炭酸水素ナトリウム42gを、ジメチルアセトアミド1000g中に懸濁し、混合物を70℃まで加熱する。クロラニル62gを2時間かけて加える。混合物を1時間還流下で加熱し、100℃まで冷却し、100℃で濾過し、熱ジメチルアセトアミド1000gで洗浄し、塩化物がなくなるまで水で洗浄する。減圧下で80℃で乾燥することにより、下記式の褐色の粉末が105g得られる。収率81%。
【0032】
【化5】

【0033】
b)空気での酸化による、6,14−ジクロロ−3,11−ジエチル−1,3,9,11−テトラヒドロ−ジイミダゾ[4,5−b:4’,5’−m]トリフェノジオキサジン−2,10−ジオン(国際公開第2002046315号パンフレット(特許文献4))
2,5−ジクロロ−3,6−ビス(1−エチル−2−オキソ−1,3−ジヒドロベンズイミダゾール−5−イル)アミノ−1,4−ベンゾキノン(例1aで得られるような)53gおよび炭酸カリウム28gを、ジメチルアセトアミド400g中に懸濁し、混合物が還流するよう加熱する。空気を取り入れながら(約50l/h)、混合物を10時間還流し、100℃で濾過し、熱ジメチルアセトアミド400gで洗浄し、塩化物がなくなるまで水で洗浄する。減圧下で80℃で乾燥することにより、下記式のグリーン−メタリックの粉末が21g得られる。収率40%。
【0034】
【化6】

【実施例】
【0035】
例1
2,5−ジクロロ−3,6−ビス(1−エチル−2−オキソ−1,3−ジヒドロベンズイミダゾール−5−イル)アミノ−1,4−ベンゾキノン(参考例1a中で得られるような)132g、およびクロラニル10gを、1,2−ジクロロベンゼン1250g中に懸濁する。次いで、混合物を加熱する。80〜100℃の間で、メタンスルホン酸40gを加える。約135〜140℃でベンゼンスルホニルクロリド45gを加える。次いで、反応混合物を145℃まで4時間加熱し、100℃まで冷却し、濾過により集める。フィルターケークを熱1,2−ジクロロベンゼン1.5Lで洗浄し、その後、沸騰水中に懸濁し、濾過により集め、塩化物がなくなるまで水で洗浄する。80℃で乾燥することにより、下記式のグリーン−メタリックの粉末が114g得られた。収率:87.3%。
【0036】
【化7】

【0037】
例2
2,5−ジクロロ−3,6−ビス(1−エチル−2−オキソ−1,3−ジヒドロベズイミダゾール−5−イル)アミノ−1,4−ベンゾキノン(参考例1aで得られるような)13.2g、クロラニル1.25g、および2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸ナトリウム1gを、1,2−ジクロロベンゼン125ml中に懸濁する。次いで、混合物を加熱する。80〜100℃の間で、メタンスルホン酸4mlを添加する。約135〜140℃で、ベンゼンスルホニルクロリド4.5mlを加える。その後、反応混合物を145℃まで4時間加熱し、100℃まで冷却し、濾過により集める。フィルターケークを熱1,2−ジクロロベンゼン150mlで洗浄し、次いで、沸騰水中に懸濁し、濾過により集め、塩化物がなくなるまで水で洗浄する。80℃で乾燥することにより、下記式のグリーン−メタリックの粉末が12.2g得られた。収率:93.1%。
【0038】
【化8】

【0039】
例3
2,5−ジクロロ−3,6−ビス(1−エチル−2−オキソ−1,3−ジヒドロベンズイミダゾール−5−イル)アミノ−1,4−ベンゾキノン(参考例1aで得られるような)13.2gおよび2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.1gを、4−クロロトルエン125ml中に懸濁する。次いで、混合物を加熱する。80〜100℃の間で、メタンスルホン酸4mlを添加する。約135〜140℃で、ベンゼンスルホニルクロリド4.5mlを加える。その後、反応混合物を145℃まで4時間加熱し、100℃まで冷却し、濾過により集める。フィルターケークを熱4−クロロトルエン150mlで洗浄し、次いで、沸騰水中に懸濁し、濾過により集め、塩化物がなくなるまで水で洗浄する。80℃で乾燥することにより、下記式のグリーン−メタリックの粉末が12.1g得られた。収率:92.4%。
【0040】
【化9】

【0041】
例4
2,5−ジクロロ−3,6−ビス(1−エチル−2−オキソ−1,3−ジヒドロベンズイミダゾール−5−イル)アミノ−1,4−ベンゾキノン(参考例1aで得られるような)13.2g、クロラニル1.25g、および2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸ナトリウム1gを、2,4−ジクロロトルエン125ml中に懸濁する。次いで、混合物を加熱する。80〜100℃の間で、メタンスルホン酸4mlを添加する。約135〜140℃でベンゼンスルホニルクロリド4.5mlを加える。その後、反応混合物を145℃まで4時間加熱し、100℃まで冷却し、濾過により集める。フィルターケークを熱2,4−ジクロロトルエン150mlで洗浄し、次いで、沸騰水中に懸濁し、濾過により集め、塩化物がなくなるまで水で洗浄する。80℃で乾燥することにより、下記式のグリーン−メタリックの粉末が12g得られた。収率:91.6%。
【0042】
【化10】

【0043】
例5
2,5−ジクロロ−3,6−ビス(1−エチル−2−オキソ−1,3−ジヒドロベンズイミダゾール−5−イル)アミノ−1,4−ベンゾキノン(参考例1aで得られるような)13.2g、クロラニル1.25g、および2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸ナトリウム1gを、2,4−ジクロロトルエン125ml中に懸濁する。次いで、混合物を加熱する。80〜100℃の間で、ベンゼンスルホン酸9.8gを添加する。約135〜140℃でベンゼンスルホニルクロリド4.5mlを加える。その後、反応混合物を4時間145℃まで加熱し、100℃まで冷却し、濾過により集める。フィルターケークを熱2,4−ジクロロトルエン150mlで洗浄し、次いで、沸騰水に懸濁し、濾過により集め、塩化物がなくなるまで水で洗浄する。80℃で乾燥することにより、下記式のグリーン−メタリックの粉末が9.3g得られた。収率:71%。
【0044】
【化11】

【0045】
例6
2,5−ジクロロ−3,6−ビス(1−エチル−2−オキソ−1,3−ジヒドロベンズイミダゾール−5−イル)アミノ−1,4−ベンゾキノン(参考例1aで得られるような)13.2g、クロラニル1g、および2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸ナトリウム1gを、2,4−ジクロロトルエン125ml中に懸濁する。次いで、混合物を加熱する。80〜100℃の間でメタンスルホン酸4mlを添加する。約135〜140℃でトルエンスルホニルクロリド6.7gを加える。その後、反応混合物を4時間145℃まで加熱し、100℃まで冷却し、濾過により集める。フィルターケークを熱2,4−ジクロロトルエン150mlで洗浄し、次いで、沸騰水中に懸濁し、濾過により集め、塩化物がなくなるまで水で洗浄する。80℃で乾燥することにより、下記式のグリーン−メタリックの粉末が12.7g得られた。収率:97%。
【0046】
【化12】

【0047】
例7(ワンポット反応)
5−アミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−オン75.4gおよび無水炭酸水素ナトリウム19.7gを、1,2−ジクロロベンゼン1L中に懸濁し、混合物を82℃まで加熱する。2時間の期間にわたって、クロラニル27gを加える。混合物を5時間加熱する。2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸ナトリウム24.8gを加えた後、温度を130℃まで上昇させ、メタンスルホン酸32mlを加える。その後、温度を140℃まで上昇させ、ベンゼンスルホニルクロリド36mlを加える。次いで、反応混合物を160℃で3時間加熱し、100℃まで冷却し、濾過により集める。フィルターケークを熱1,2−ジクロロベンゼン500mlで洗浄し、次いで、沸騰水中に懸濁し、濾過により集め、塩化物がなくなるまで水で洗浄する。80℃で乾燥することにより、下記式のグリーンメタリックの粉末が80.9g得られた。収率:77.3%。
【0048】
【化13】

【0049】
例8
2,5−ジクロロ−3,6−ビス(1−メチル−2−オキソ−1,3−ジヒドロベンズイミダゾール−5−イル)アミノ−1,4−ベンゾキノン(例1aと同様に得られるような)12.5g、およびクロラニル1.25gを、1,2−ジクロロベンゼン125ml中に懸濁する。次いで、混合物を加熱する。80〜100℃の間で、メタンスルホン酸4mlを加える。約135〜140℃でベンゼンスルホニルクロリド4.5mlを加える。次いで、混合物を145℃まで4時間加熱し、100℃まで冷却し、濾過により集める。フィルターケークを熱1,2−ジクロロベンゼン150mlで洗浄し、次いで、沸騰水中に懸濁し、濾過により集め、塩化物がなくなるまで水で洗浄する。80℃で乾燥することにより、下記式のグリーンメタリックの粉末が10.6g得られた。収率:85.6%
【0050】
【化14】

【0051】
例9
2,5−ジクロロ−3,6−ビス(1−メチル−2−オキソ−1,3−ジヒドロベンズイミダゾール−5−イル)アミノ−1,4−ベンゾキノン(例1aと同様に得られるような)125g、およびクロラニル10gおよび2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸ナトリウム31gを、1,2−ジクロロベンゼン1250ml中に懸濁する。次いで、混合物を加熱する。80〜100℃の間で、メタンスルホン酸40mlを加える。約135〜140℃でベンゼンスルホニルクロリド45mlを加える。次いで、混合物を160℃まで4時間加熱し、100℃まで冷却し、濾過により集める。フィルターケークを熱1,2−ジクロロベンゼン1.5Lで洗浄し、次いで、沸騰水中に懸濁し、濾過により集め、塩化物がなくなるまで水で洗浄する。80℃で乾燥することにより、下記式のグリーンメタリックの粉末が119.8g得られた。収率:96.6%。
【0052】
【化15】

【0053】
例10
2,5−ジクロロ−3,6−ビス(1−メチル−2−オキソ−1,3−ジヒドロベンズイミダゾール−5−イル)アミノ−1,4−ベンゾキノン(例1aと同様に得られるような)12.5g、およびクロラニル1.25gおよび2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸ナトリウム1gを、4−メチルアニソール125ml中に懸濁する。次いで、混合物を加熱する。80〜100℃の間で、メタンスルホン酸4mlを加える。約135〜140℃でベンゼンスルホニルクロリド4.5mlおよびベンゼンスルホニルクロリド4.5mlを加える。次いで、混合物を140℃まで4時間加熱し、100℃まで冷却し、濾過により集める。フィルターケークを熱4−メチルアニソール150mlで洗浄し、次いで、沸騰水中に懸濁し、濾過により集め、塩化物がなくなるまで水で洗浄する。80℃で乾燥することにより、下記式のグリーンメタリックの粉末が10.5g得られた。収率:85.1%。
【0054】
【化16】

【0055】
例11
5−アミノ−1−メチル−1,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−オン130.4g、5−アミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−オン141.6gおよび無水炭酸水素ナトリウム134.4gを、1,2−ジクロロベンゼン2.5L中に懸濁し、混合物を82℃まで加熱する。2時間の期間にわたってクロラニル197.6gを加える。混合物を5時間加熱する。2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸ナトリウム50gを加えた後、温度を130℃まで上昇させ、メタンスルホン酸65mlを加える。その後、温度を140℃まで上昇させ、ベンゼンスルホニルクロリド72mlを加える。次いで、反応混合物を155℃で3時間加熱し、100℃まで冷却し、濾過により集める。フィルターケークを熱1,2−ジクロロベンゼン1500mlで洗浄し、次いで、沸騰水中に懸濁し、濾過により集め、塩化物がなくなるまで水で洗浄する。80℃で乾燥することにより、グリーンメタリックの粉末273gが下記式の混合物として得られた。収率:64.7%。
【0056】
【化17】

【0057】
(式中、
=R=エチル
=R=メチル
=メチル、R=エチル。)
【0058】
このようにして得られる顔料は、産業用プラスチックまたは塗料に使用される場合、分散性、色強度のような優れた顔料特性、優れた熱および光安定性を示す。
【0059】
自動車用内装品の非時効性(non−ageing)仕上げにおけるピグメントブルー80の使用
自動車用クラスト皮革 (crust leather)に、下記混合物、
ポリウレタンバインダーとポリアクリレートバインダーからなるバインダーの組合せを600g
フィラーとワックス分散物からなる添加剤の組合せを300g
ピグメントブルー80を100g
を用いた最下層コートを設ける。
【0060】
この混合物を、スルーフィードプロセス(through−feed process)中で、吹き付け染色(塗装量60g/m)することによって塗布し、乾燥し、50バール、90℃でホットプレスし、続いて6時間フライス加工(milling)する。
【0061】
この最下層上に、
ポリウレタンバインダーとポリアクリレートバインダーからなるバインダーの組合せを550g
フィラーとワックス分散物からなる添加剤の組合せを220g
ピグメントブルー80を100g
水を110g
イソシアネートをベースとする架橋剤を20g
からなるカラーコートを
吹き付け染色(塗料量25g/m)により塗布し、乾燥する。
【0062】
最後に、
つや消しされたポリウレタン分散液を450g
ポリウレタンバインダーとポリアクリレートバインダーからなるバインダーの組合せを140g
フィラーとワックス分散物からなる添加剤の組合せを220g
水を270g
シロキサンエマルジョンと洗浄分散液からなる添加剤の組合せを70g
イソシアネートをベースとする架橋剤を70g
からなる表面仕上げを、
吹き付け染色(塗料量20g/m)により2回塗布し、各塗布後に乾燥する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(I)、
【化1】

(式中、
Xは、ハロゲン原子であり、
Aと標示されている環は、1、2位;2、3位または3、4位と、8、9位;9、10位または10、11位において、環中に1個の窒素原子と1個の酸素原子を含むかあるいは環中に2個の窒素原子を含む5員または6員の複素環に、直線的にまたは角度をなして縮合している)
の化合物を製造する方法であり、
下記式(II)で表される3,6−ビスアリールアミノ−2,5−ジハロベンゾキノンを、有機スルホン酸の存在下で、非プロトン性極性有機溶媒中で酸化することを含む、上記方法。
【化2】

【請求項2】
上記式(I)の化合物が、式(Ia)、(IIa)、(IIIa)および(IIIb)を有する化合物である、請求項1に記載の方法。
【化3】

(式中、Xは、水素 またはハロゲンであり、R、R、RおよびRは、互いに独立して、水素、C1〜8アルキル基、置換されたまたは置換されていないフェニル基、ベンジル基、ベンズアニリド基またはナフチル基、置換されたまたは置換されていないC5〜6シクロアルキル基である。)
【請求項3】
前記非プロトン性極性有機溶媒が、エーテル類、エステル類、ケトン類、アミン類、ニトロメタン、クロロベンゼン類、クロロトルエン類 、またはそれらの混合物である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記非プロトン性極性溶媒が、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、2−クロロトルエン、3−クロロトルエン、4−クロロトルエン、2,4−ジクロロトルエン、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、およびニトロメタンからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記有機スルホン酸が、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸およびキシレンスルホン酸からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記有機スルホン酸が、前記式(II)の化合物に基づいて、10〜360モル%の量で使用される、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記酸化が120〜160℃の温度で行われる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記酸化が、ベンゼンスルホニルクロリド、トルエンスルホニルクロリドおよび/またはクロラニルを用いて行われる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−536897(P2010−536897A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522214(P2010−522214)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/006613
【国際公開番号】WO2009/027014
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】