説明

トリポード型等速ジョイント

【課題】誘起スラスト力の影響を小さくすることが可能なトリポード型等速ジョイントを提供する。
【解決手段】トリポード型等速ジョイント1は、放射状に形成された3つのトリポード軸部2bを有するトリポード部材2と、トリポード軸部2bに揺動可能に支持されたローラユニット3と、ローラユニット3を転動可能に保持する3つの案内溝40が形成された外輪4とを備え、外輪4は、ローラユニット3の凸曲面32aに対向する案内溝40の側面41,42に、凸曲面32aの円弧半径よりも大きな円弧半径を有してトルクの伝達を行う断面円弧状の凹曲面411,412,421,422と、凹曲面411,412,421,422の円弧の延長線よりも凸曲面32aに向かって突出する第1〜第4の突出部41a,41b,42a,42bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリポード型等速ジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射状に配置された3つのトリポード軸を有するトリポード部材と、トリポード軸のそれぞれに揺動可能に支持された3つのローラユニットと、これらのローラユニットを転動可能に保持する3つの案内溝が形成された外側継手部材とを備えたトリポード型等速ジョイントが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−138368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のトリポード型等速ジョイントでは、トルクの伝達方向に応じてローラユニットが外側継手部材の案内溝の一方の側面に押圧されながら転動する。そして、ローラユニットが外側継手部材の径方向に対して傾くと、ローラユニットの外周面が案内溝の他方の側面にも接触する場合がある。この接触に伴う摩擦抵抗により、ローラユニットに対してその転動方向とは逆方向に作用するスラスト力が誘起される。この誘起スラスト力は、トリポード型等速ジョイントの回転に伴って変動するので、振動や騒音の発生要因となる場合がある。
【0005】
特許文献1に記載のトリポード型等速ジョイントでは、ローラユニットの外周面と内周面との横断面形状を共通の中心を有する凸円弧状とし、かつトリポード軸を楕円柱形状とすることで、誘起スラスト力の低減を図っているが、ローラユニットとトリポード軸との接触面積が小さくなることから、必要とされる耐荷重を確保しながらトリポード型等速ジョイントを小型化することに制約があった。
【0006】
そこで、本発明は、誘起スラスト力の影響を小さくすることが可能なトリポード型等速ジョイントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明は、上記目的を達成するために、放射状に形成された3つのトリポード軸部を有するトリポード部材と、前記トリポード軸部に揺動可能に支持された環状の内ローラ、及び前記内ローラに対して同軸上で相対回転可能で、外周面に断面円弧状の凸曲面が形成された外ローラを有するローラユニットと、前記外ローラを転動可能に保持する3つの案内溝が形成された外輪とを備え、前記外輪は、前記外ローラの前記凸曲面に対向する前記案内溝の側面に、前記外ローラの凸曲面の円弧半径よりも大きな円弧半径を有して前記外ローラとの接触によりトルクの伝達を行う断面円弧状の凹曲面と、前記凹曲面の円弧の延長線よりも前記外ローラの前記凸曲面に向かって突出する突出部とが形成された、トリポード型等速ジョイントを提供する。
【0008】
本構成によれば、案内溝の両側面のうち、外ローラとのトルク伝達を行わない非負荷側の側面において、外ローラと突出部とが接触する。
【0009】
[2]また、前記突出部は、前記案内溝の側面の前記凹曲面よりも外方の領域及び内方の領域に形成するとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、誘起スラスト力の影響を小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係るトリポード型等速ジョイントの断面図。
【図2】本発明の実施の形態に係るローラユニットと外輪との接触部分を拡大して示す拡大図。
【図3】本発明の実施の形態に係る外輪とトリポード部材とがジョイント角を有して回転している状態を示す断面図。
【図4】本発明の実施の形態に係る外ローラと第4の突起との接触箇所及びその周辺部を拡大して示す断面図。
【図5】本発明の実施の形態に係る外輪とトリポード部材とがジョイント角を有して回転している状態を示す断面図。
【図6】本発明の実施の形態に係る外ローラと第3の突起との接触箇所及びその周辺部を拡大して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本実施の形態に係るトリポード型等速ジョイントのジョイント角がゼロの場合における径方向断面図である。このトリポード型等速ジョイント1は、トリポード部材2と、ローラユニット3と、外輪4とを備えている。また、図示は一部省略しているが、トリポード部材2は等間隔に放射状に延びる3つのトリポード軸部2bを有し、外輪にも周方向に等間隔に3つの案内溝40が形成されている。
【0013】
トリポード部材2は、外輪4の内部に収容されている。このトリポード部材2は、環状のボス部2aと、ボス部2aの外周面からそれぞれボス部2aの径方向外方に延びるように設けられた3つのトリポード軸部2bとを備える。
【0014】
ボス部2aの中心部には貫通孔2dが形成され、この貫通孔2dの内周面にはトリポード部材2の軸方向に延びるスプラインが形成されている。貫通孔2dには、例えば車両のドライブシャフト等の駆動力伝達軸(図示せず)が挿入され、スプライン嵌合により相対回転不能に連結される。
【0015】
それぞれのトリポード軸部2bは、ボス部2aの周方向に等間隔(120°間隔)に形成されている。そして、それぞれのトリポード軸部2bの外周面2cは、球面状に形成されている。
【0016】
ローラユニット3は、全体として環状からなる。このローラユニット3は、内ローラ31と、外ローラ32と、複数のニードル33と、一対のスナップリング34、34とを備えて構成される。
【0017】
内ローラ31は、筒状であり、その内周面がトリポード軸部2bの外周面2cに対向している。この内ローラ31は、トリポード軸部2bに対して揺動可能、かつトリポード軸部2bの軸方向に摺動可能となるように、トリポード軸部2bに支持されている。
【0018】
外ローラ32は、筒状であり、その外周面における軸方向中央部には、円弧状の凸曲面32aが形成されている。また、外ローラ32の内周面は、内ローラ31の外周面に対向するように配置されている。そして、外ローラ32の内周面には一対の環状溝が形成され、この環状溝に一対のスナップリング34,34が装着されている。
【0019】
複数のニードル33は、円柱状であり、内ローラ31の外周面と外ローラ32の内周面との間を転動するように、内ローラ31と外ローラ32との間に挟まれて配置されている。この複数のニードル33により、外ローラ32は、内ローラ31に対して同軸状で相対回転可能である。
【0020】
一対のスナップリング34,34の内径は、内ローラ31の外径よりも小さく形成されている。そして、一対のスナップリング34,34は、内ローラ31及び複数のニードル33の軸方向移動を規制している。
【0021】
外輪4は、軸方向一端に開口を有する有底筒状であり、底部には例えば車両のディファレンシャルギヤ(図示せず)が連結されている。この外輪4の内周面には、外輪4の中心軸方向に延びる3つの案内溝40が周方向に等間隔で形成されている。
【0022】
案内溝40は、外輪4の周方向に対向する第1の側面41と第2の側面42との間にローラユニット3を保持するように形成されている。第1の側面41と第2の側面42との間の最大距離は、ローラユニット3の外ローラ32の最大外径よりも大きく形成されており、外輪4が矢印A方向に回転して第1の側面41と外ローラ32とが接触した場合には、第2の側面42と外ローラ32との間に所定の隙間が形成され得るように構成されている。
【0023】
第1の側面41の外輪4の径方向の両端部には、突出部としての第1の突起41aと第2の突起41bが形成されている。同様に、第2の側面42の外輪4の径方向の両端部にも、突出部としての第3の突起42aと第4の突起42bが形成されている。第1の側面41,第1の突起41a,及び第2の突起41bと、第2の側面42,第3の突起42a,及び第4の突起42bとは、外輪4の中心軸Oaを含み第1及び第2の側面41,42の中間点を含む平面Paに対して対称な形状に形成されている。
【0024】
図2は、図1におけるローラユニット3の外ローラ32と外輪4の第1の側面41との接触部分を拡大して示す拡大図である。
【0025】
外ローラ32の凸曲面32aは、その円弧中心点Oを中心としてrの円弧半径を有する断面円弧状に形成されている。また、第1の側面41は、断面円弧状の凹曲面411と、同じく断面円弧状の凹曲面412とを有している。凹曲面411と凹曲面412との境界線を含み前述の平面Paに直交する平面を平面Pbとすると、凹曲面411は平面Pbよりも外輪4の外側に位置し、凹曲面412は平面Pbよりも外輪4の内側に位置している。また、外ローラ32が平面Pbと平行である場合には、凸曲面32aの円弧中心点Oは、平面Pb上に位置する。
【0026】
凹曲面411は、平面Pbよりも外輪4の内側に位置する円弧中心点Oを中心として、凸曲面32aの円弧半径rよりも大きい円弧半径rを有する断面円弧状の曲面である。また、凹曲面412は、平面Pbよりも外輪4の外側に位置する円弧中心点Oを中心として、凹曲面411の円弧半径rと同等の円弧半径rを有する断面円弧状の曲面である。
【0027】
外ローラ32の凸曲面32aは、凹曲面411と接点Sで接触すると共に、凹曲面412と接点Sで接触する。つまり、外ローラ32の凸曲面32aと第1の側面41とは、2点でアンギュラコンタクトする。
【0028】
第1の突起41aは、凹曲面411の円弧中心点Oを中心とする円弧半径rの円弧(図2中に一点鎖線で示す)よりも外ローラ32の凸曲面32aに向かって突出している。この円弧の延長線は、凹曲面411の延長線に相当する。
【0029】
また、第2の突起41bは、凹曲面412の円弧中心点Oを中心とする円弧半径rの円弧(図2中に一点鎖線で示す)よりも外ローラ32の凸曲面32aに向かって突出している。この円弧の延長線は、凹曲面412の延長線に相当する。
【0030】
外ローラ32の凸曲面32aが第1の側面41と接点S及びSで接触するとき、第1の突起41a及び第2の突起41bは凸曲面32aと接触しないように構成されている。また、第2の側面42の第3の突起42a及び第4の突起42bも、第1の突起41a及び第2の突起41bと同様の形状に形成されている。
【0031】
図3は、外輪4とトリポード部材2とがジョイント角を有して回転している状態を示す断面図である。
【0032】
トリポード部材2は、外輪4とジョイント角を有して回転する際、回転位相に応じて外輪4に対してトリポード軸部2bの軸方向に進退移動する。図3は、トリポード軸部2bが外輪4の内側に向かって移動しているときの状態を示している。
【0033】
ローラユニット3の内ローラ31は、外輪4からトリポード部材2にトルクが伝達される際に、トリポード軸部2bから反力Fを受ける。そして、トリポード軸部2bが外輪4の内側に移動することにより、内ローラ31には、トリポード軸部2bの外周面2cとの摩擦係数をμとすると、μFの摩擦力が発生する。この摩擦力μFは、外ローラ32の凸曲面32aの円弧中心点Oを中心として、ローラユニットを矢印B方向に回転させるように作用する。
【0034】
また、内ローラ31に反力Fが作用する位置と外ローラ32の凸曲面32aの円弧中心点Oとの間には、平面Paに沿った方向のオフセットDが生じる。この反力FとオフセットDによっても、円弧中心点Oを中心としてローラユニットを矢印B方向に回転させる力が発生する。
【0035】
このように、反力F及びオフセットDによって作用する力と摩擦力μFとによって、ローラユニット3を円弧中心点Oを中心として回転させるモーメントMが発生する。このモーメントMによってローラユニット3が矢印B方向に傾くと、外輪4からのトルク伝達が行われない第2の側面42側において、外ローラ32が第4の突起42bに接触する。
【0036】
図4は、外ローラ32の凸曲面32aと第4の突起42bとの接触箇所及びその周辺部を拡大して示す断面図である。
【0037】
外ローラ32の凸曲面32aと第4の突起42bとは、接点S31で接触している。第4の突起42bは、前述の第2の突起41bと同様、第1の側面41の凹曲面412と対称に形成された凹曲面422の延長線(図4に一点鎖線Eで示す)よりも凸曲面32aに向かって突出して形成されている。
【0038】
また、仮に第4の突起42bが形成されておらず、第2の側面42の端部まで同一の円弧で形成されていた場合には、外ローラ32の凸曲面32aは、図4に一点鎖線321aで示す位置まで傾き、凹曲面422と接点S32で接触する。図3及び図4では、凸曲面32aの接点S31における法線を直線L、接点S32における法線を直線Lとして示す。
【0039】
図3に示すように、直線Lが平面Paとなす角θは、直線Lが平面Paとなす角θよりも小さい。また、円弧中心点Oと直線Lの距離Lは、円弧中心点Oと直線L2の距離Lよりも長い。
【0040】
距離L及び距離Lは、モーメントMによって外ローラ32が第2の側面42側に押し付けられる際のモーメントアームの長さに相当する。従って、外ローラ32が凹曲面422と接点S32で接触する場合よりも、第4の突起42bと接点S31で接触する場合の方がモーメントアームが長くなり、このモーメントアームの長さの差に応じてモーメントMによる荷重が小さくなり、外ローラ32と第2の側面42との間に発生する摩擦力が小さくなる。よって、外ローラ32が案内溝40を転動する際の誘起スラスト力が小さくなる。
【0041】
図5は、外輪4とトリポード部材2とがジョイント角を有して回転している状態を示す断面図であり、トリポード軸部2bが外輪4の外側に向かって移動しているときの状態を示す。
【0042】
ローラユニット3の内ローラ31は、外輪4からトリポード部材2にトルクが伝達されるとトリポード軸部2bから反力Fを受ける。トリポード軸部2bが外輪4の外側に移動することにより、内ローラ31には、μFの摩擦力が発生する。この摩擦力μFは、外ローラ32の凸曲面32aの円弧中心点Oを中心として、ローラユニットを矢印C方向に回転させるように作用する。
【0043】
また、内ローラ31に反力Fが作用する位置と外ローラ32の凸曲面32aの円弧中心点Oとの間には、平面Paに沿った方向のオフセットDが生じる。この反力FとオフセットDによっても、円弧中心点Oを中心としてローラユニットを矢印C方向に回転させる力が発生する。
【0044】
このように、反力F及びオフセットDによって作用する力と摩擦力μFとによって、ローラユニット3を円弧中心点Oを中心として回転させるモーメントMが発生する。このモーメントMによってローラユニット3が矢印C方向に傾くと、外輪4からのトルク伝達が行われない第2の側面42側において、外ローラ32が第3の突起42aに接触する。
【0045】
図6は、外ローラ32の凸曲面32aと第3の突起42aとの接触箇所及びその周辺部を拡大して示す断面図である。
【0046】
外ローラ32の凸曲面32aと第3の突起42aとは、接点S41で接触している。第3の突起42aは、前述の第1の突起41aと同様、第1の側面41の凹曲面411と対称に形成された凹曲面421の延長線(図4に一点鎖線Eで示す)よりも凸曲面32aに向かって突出して形成されている。
【0047】
また、仮に第3の突起42aが形成されておらず、第2の側面42の端部まで同一の円弧で形成されていた場合には、外ローラ32の凸曲面32aは、図4に一点鎖線322aで示す位置まで傾き、凹曲面422と接点S42で接触する。図5及び図6では、凸曲面32aの接点S41における法線を直線L、接点S42における法線を直線Lとして示す。
【0048】
図5に示すように、直線Lが平面Paとなす角θは、直線Lが平面Paとなす角θよりも小さい。また、円弧中心点Oと直線Lの距離Lは、円弧中心点Oと直線Lの距離Lよりも長い。
【0049】
距離L及び距離Lは、モーメントMによって外ローラ32が第2の側面42側に押し付けられる際のモーメントアームの長さに相当する。従って、外ローラ32が凹曲面421と接点S42で接触する場合よりも、第3の突起42aと接点S41で接触する場合の方がモーメントアームが長くなり、このモーメントアームの長さの差に応じてモーメントMによる荷重が小さくなり、外ローラ32と第2の側面42との間に発生する摩擦力が小さくなる。よって、外ローラ32が案内溝40を転動する際の誘起スラスト力が小さくなる。
【0050】
[実施の形態の効果]
以上説明した実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
【0051】
(1)モーメントM,Mにより外ローラ32が第2の側面42に押し付けられる際の荷重のモーメントアームの長さが、第3の突起42a及び第4の突起42bがない場合に比較して長くなるので、ローラユニット3が案内溝40を転動する際の誘起スラスト力の影響が小さくなり、振動や騒音を抑制することができる。
【0052】
(2)第3の突起42a及び第4の突起42bによってローラユニット3の傾きが抑制されるので、ローラユニット3が案内溝40を転動する際のローラユニットの姿勢が安定する。
【0053】
(3)第1の側面41の側でトルクの伝達を行う凹曲面411,412、及び第2の側面42の側でトルクの伝達を行う凹曲面421,422よりも外輪4の外方の領域及び内方の領域に第1〜第4の突起41a,41b,42a,42bを設けたので、ローラユニット3が何れの方向に傾いても誘起スラスト力の影響を小さくできる。
【0054】
なお、上記の実施の形態では外輪4が矢印A方向(図1参照)に回転し、外輪4からトリポード部材2にトルクが伝達される場合について説明したが、外輪4の回転方向が逆転し、もしくはトルクの伝達方向がトリポード部材2から外輪4に変化して、ローラユニット3の外ローラ32が外輪4の第2の側面42に押し付けられる場合にも、第1の側面41の第1及び第2の突起41a,41bと第2の側面42の第3及び第4の突起42a,42bとは対称な形状に形成されているため、同様の作用及び効果がある。
【0055】
以上、本発明のトリポード型等速ジョイントを上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
【0056】
(1)上記の実施の形態では、第1〜第4の突起41a,41b,42a,42bが、凹曲面411,412,421,422に連続した曲面になるように構成したが、これに限らず、第1〜第4の突起41a,41b,42a,42bを凹曲面411,412,421,422の延長線から不連続に、例えば断面円柱状に突出するように構成してもよい。また、第1〜第4の突起41a,41b,42a,42bを第1の側面41及び第2の側面42の端部に近づくにつれて徐々に曲率が大きくなるようにして形成してもよい。つまり、第1〜第4の突起41a,41b,42a,42bは、第1の側面41及び第2の側面42のうちローラユニット3の外ローラ32と接触してトルク伝達を行う領域の曲面の延長線よりも外ローラ32の凸曲面32aに向かって突出していればよい。
【0057】
(2)上記実施の形態では、1つの案内溝40について4つの第1〜第4の突起41a,41b,42a,42bを設けたが、これに限らず、例えば第1及び第2の側面41,42の内方にあたる第2の突起41b及び第4の突起42bのみを設けるようにしてもよい。あるいは、第1及び第2の側面41,42の外方にあたる第1の突起41a及び第3の突起42aのみを設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…トリポード型等速ジョイント、2…トリポード部材、2a…ボス部、2b…トリポード軸、2b…トリポード軸部、2c…外周面、2d…貫通孔、3…ローラユニット、4…外輪、31…内ローラ、32…外ローラ、32a…凸曲面、33…ニードル、34…スナップリング、40…案内溝、41…第1の側面、41a…第1の突起、41b…第2の突起、42…第2の側面、42a…第3の突起、42b…第4の突起、411,412 ,421,422…凹曲面、D,D…オフセット、F,F…反力、M,M…モーメント、O,O,O…円弧中心点、Oa…中心軸、Pa,Pb…平面、r,r,r…円弧半径、S,S,S31,S32,S41,S42…接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射状に形成された3つのトリポード軸部を有するトリポード部材と、
前記トリポード軸部に揺動可能に支持された環状の内ローラ、及び前記内ローラに対して同軸上で相対回転可能で、外周面に断面円弧状の凸曲面が形成された外ローラを有するローラユニットと、
前記外ローラを転動可能に保持する3つの案内溝が形成された外輪とを備え、
前記外輪は、前記外ローラの前記凸曲面に対向する前記案内溝の側面に、前記外ローラの凸曲面の円弧半径よりも大きな円弧半径を有して前記外ローラとの接触によりトルクの伝達を行う断面円弧状の凹曲面と、前記凹曲面の円弧の延長線よりも前記外ローラの前記凸曲面に向かって突出する突出部とが形成された、トリポード型等速ジョイント。
【請求項2】
前記突出部は、前記案内溝の側面の前記凹曲面よりも外方の領域及び内方の領域に形成された請求項1に記載のトリポード型等速ジョイント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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