説明

トルクコンバータ

【課題】トルクコンバータとステータシャフトとの良好な組み付け性を確保しつつロックアップクラッチの冷却性能を向上させることができるトルクコンバータを提供する。
【解決手段】エンジンの出力軸に連結されたケース内に、ポンプ、タービン及びその内側にワンウェイクラッチが配設されたステータによって形成されるトーラスと、ロックアップクラッチと、を備え、ポンプからの流体がステータシャフトF2とタービンシャフトF1との間から導入され、ロックアップクラッチが配設される空間部及びトーラスを通じて、ポンプスリーブ23とステータシャフトF2との間から排出されるトルクコンバータに、インナレース52とステータシャフトF2のスプライン嵌合部P2のエンジン側に、インナレース52の内周面とステータシャフトF2の外周面との間をシールするシール部材80が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載される自動変速機のトルクコンバータ、特にロックアップクラッチを備えたトルクコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
自動変速機に組み込まれて、エンジン出力を変速機構に伝達するトルクコンバータは、
エンジンの出力軸に連結されたケース内に、該ケースと一体的に回転するポンプと、該ポンプに対向配置され、該ポンプにより流体を介して駆動されるタービンと、ポンプとタービンとの対向部の内側に配置されるステータとを備えている。
【0003】
このステータは、その内側に配設されたワンウェイクラッチを介して変速機ケースに支持され、速度比、すなわちポンプ回転数に対するタービン回転数の割合が小さい領域で固定されてタービンからポンプに還流する流体の反力を受けることにより、トルク増大作用を行う。
【0004】
トルクコンバータの中心線上には、タービンに連結されて変速機構側に延びるタービシャフトが配置され、その外側に、変速機ケースから延びてワンウェイクラッチのインナレースと嵌合されるステータシャフトが配置され、さらにその外側に、トルクコンバータのケースから変速機構側に延びて流体供給源としてのオイルポンプを駆動するポンプスリーブが配置されている。
【0005】
また、トルクコンバータにおいては、ステータによるトルク増大作用を利用する発進時等やポンプとタービンの相対回転を許容する必要がある変速時等を除く運転状態におけるエンジンの燃費性能を向上させるため、ポンプとタービンとを直結するロックアップクラッチが備えられることがあり、このロックアップクラッチとして、複数の摩擦板と油圧室に所定の作動圧が供給されたときにこれらの摩擦板を締結するピストンを備えた多板式のロックアップクラッチが用いられることがある。
【0006】
このようなロックアップクラッチを備えたトルクコンバータにおいては、オイルポンプから、ステータシャフトとタービンシャフトとの間を通じて流体が導入され、この流体が、ポンプとタービンとステータとでなるトーラスに供給されると共にロックアップクラッチが配設される空間部に供給され、トルクコンバータ内に充満される。
【0007】
この流体は、トーラスにおいてトルクを伝達すると共に、ロックアップクラッチのスリップ制御時に生じる発熱を冷却する機能を果たしている。トルクコンバータ内において、トルクを伝達したりロックアップクラッチを冷却したりして高温となった流体は、ポンプスリーブとステータシャフトとの間から排出される。
【0008】
しかしながら、ステータシャフトとタービンシャフトとの間から導入した流体の一部が、トーラス及びロックアップクラッチが配設される空間部を循環することなく、ワンウェイクラッチのインナレースとステータシャフトとのスプライン嵌合部を通って、ポンプスリーブとステータシャフトとの間に遺漏し、ロックアップクラッチを十分に冷却することができない畏れがある。
【0009】
これに対し、ロックアップクラッチの冷却性能を向上させるものとして、例えば特許文献1に開示されるものが知られている。このトルクコンバータ201は、図6に示すように、タービンが、P11で示す位置において自動変速機のタービンシャフトF11と連結されている。具体的には、タービンに結合されたタービンハブ211がタービンシャフトF11にスプライン嵌合によって連結されている。
【0010】
また、トルクコンバータ201では、ワンウェイクラッチ220のインナレース221が、P12で示す位置においてステータシャフトF12とスプライン嵌合されると共に、ステータシャフトF12とのスプライン嵌合部P12よりも反エンジン側であるP13で示す位置においてステータシャフトF12と密嵌されている。
【0011】
そして、トルクコンバータ201では、ステータシャフトF12とタービンシャフトF11との間から導入した流体が、矢印A11で示すように、ステータシャフトF12に設けられた流体通路231、インナレース221に設けられた流体通路232、タービンハブ211に設けられた流体通路233を通じて、ロックアップクラッチが配設される空間部240に供給され、該空間部240からポンプとタービンとステータとでなるトーラスに供給され、矢印A12で示すように、該トーラスからケース215に結合されたポンプスリーブ216とステータシャフトF12の間を通じて排出されるようになっている。
【0012】
このようにして、トルクコンバータ201では、インナレース221とステータシャフトF12とをスプライン嵌合すると共に密嵌してステータシャフトF12とタービンシャフトF11との間から導入した流体をロックアップクラッチが配設される空間部240に供給することで、ロックアップクラッチの冷却性能を向上するようにしている。なお、トルクコンバータ201では、ロックアップクラッチの作動を制御する流体は、矢印A11及びA12で示す流体通路とは別に、矢印A13で示すように、タービンシャフトF11の軸方向に延びる流体通路241を通じて供給されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−175338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、前記特許文献1に記載されるように、インナレースとステータシャフトとのスプライン嵌合部の反エンジン側に密嵌部を設けて、インナレースとステータシャフトとの間を通じてポンプスリーブとステータシャフトとの間に流体が漏れ出ることを抑制するようにした場合においても、実際には、トルクコンバータ内に収納されているインナレースと変速機ケースから延びるステータシャフトの組み付け性を考慮すると、密嵌部においてインナレースとステータシャフトとの間にクリアランスを設けることが必要となる。
【0015】
密嵌部においてインナレースとステータシャフトとの間にクリアランスが設けられると、前述したように、流体がインナレースとステータシャフトとの間を通じてポンプスリーブとステータシャフトの間に漏れ出て、ロックアップクラッチを十分に冷却することができないこととなる。
【0016】
本発明は、前記技術的課題に鑑みてなされたものであり、トルクコンバータとステータシャフトとの良好な組み付け性を確保しつつ、ロックアップクラッチの冷却性能を向上させることができるトルクコンバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このため、本願の請求項1に係る発明は、エンジンの出力軸に連結されたケース内に、該ケースと一体回転するポンプ、そのエンジン側に対向配置されたタービン、及び該ポンプと該タービンとの対向部の内側に配設されるとともにその内側にワンウェイクラッチが配設されたステータによって形成されるトーラスと、前記タービンのエンジン側に配設され、前記タービンと該ケースとを直結するロックアップクラッチと、を備え、前記タービンに変速機構側に延びるタービンシャフトが連結され、該タービンシャフトの外側に、自動変速機の変速機ケースから延びて前記ワンウェイクラッチのインナレースとスプライン嵌合されるステータシャフトが配置され、該ステータシャフトの外側に、前記ケースから変速機構側に延びてオイルポンプを駆動するポンプスリーブが配置され、前記オイルポンプからの流体が前記ステータシャフトと前記タービンシャフトとの間から導入され、前記ロックアップクラッチが配設される前記タービンと前記ケースとの間の空間部及び前記トーラスを通じて、前記ポンプスリーブと前記ステータシャフトとの間から排出される流体通路が形成されたトルクコンバータであって、前記インナレースと前記ステータシャフトのスプライン嵌合部のエンジン側に、該インナレースの内周面とステータシャフトの外周面との間をシールするシール部材をさらに備えている、ことを特徴としたものである。
【0018】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記シール部材は、前記ワンウェイクラッチと軸方向にオーバーラップして配設されている、ことを特徴としたものである。
【0019】
更に、本願の請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記シール部材は、前記ステータシャフトの外周面に接するリップ部を備え、該リップ部は、エンジン側から反エンジン側への流体の遺漏を阻止する方向に設けられている、ことを特徴としたものである。
【0020】
また更に、本願の請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3の何れか1項に係る発明において、前記ステータシャフトの先端部に、前記トルクコンバータを該ステータシャフトに組み付ける際に、該先端部を前記シール部材内に案内する案内部が備えられている、ことを特徴としたものである。
【0021】
また更に、本願の請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4の何れか1項に係る発明において、前記シール部材に、該シール部材のエンジン側と反エンジン側とを連通するオリフィスが設けられている、ことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0022】
本願の請求項1に係る発明によれば、流体がステータシャフトとタービンシャフトとの間から導入され、ロックアップクラッチが配設されるタービンとケースとの間の空間部及びトーラスを通じて、ポンプスリーブとステータシャフトとの間から排出される流体通路が形成されたトルクコンバータにおいて、インナレースとステータシャフトのスプライン嵌合部のエンジン側に、該インナレースの内周面とステータシャフトの外周面との間をシールするシール部材をさらに備えている。
【0023】
これにより、インナレースとステータシャフトと密嵌して組み付ける場合に比べてインナレースとステータシャフトとの間のクリアランスを大きくすることができるので、インナレースとステータシャフトとを比較的容易に組み付けることができ、トルクコンバータとステータシャフトとの良好な組み付け性を確保することができる。また、ステータシャフトとタービンシャフトとの間から導入された流体が、インナレースとステータシャフトとの間を通じてポンプスリーブとステータシャフトの間に漏れ出ることを抑制することができるので、ロックアップクラッチが配設されるタービンとケースとの間の空間部に流体を確実に供給することができ、ロックアップクラッチの冷却性能を向上させることができる。したがって、トルクコンバータとステータシャフトとの良好な組み付け性を確保しつつ、ロックアップクラッチの冷却性能を向上させることができる。
【0024】
また、本願の請求項2に係る発明によれば、シール部材は、ワンウェイクラッチと軸方向にオーバーラップして配設されていることにより、シール部材とワンウェイクラッチとが軸方向にオーバーラップさせない場合に比べて、トルクコンバータの軸方向寸法が短縮され、トルクコンバータを軸方向にコンパクトに構成することができる。
【0025】
更に、本願の請求項3に係る発明によれば、シール部材は、ステータシャフトの外周面に接するリップ部を備え、該リップ部は、エンジン側から反エンジン側への流体の遺漏を阻止する方向に設けられていることにより、トルクコンバータをステータシャフトに組み付ける際に生じ得るインナレースの中心軸とステータシャフトの中心軸との偏心を吸収することができ、インナレースとステータシャフトとの間において良好なシール性能を確保することができ、前記効果をより有効に得ることができる。
【0026】
また更に、本願の請求項4に係る発明によれば、ステータシャフトの先端部に、トルクコンバータをステータシャフトに組み付ける際に、該先端部をシール部材内に案内する案内部が備えられていることにより、トルクコンバータをステータシャフトに比較的容易に組み付けることができ、トルクコンバータとステータシャフトとの組み付け性をさらに向上させることができる。
【0027】
また更に、本願の請求項5に係る発明によれば、シール部材に、該シール部材のエンジン側と反エンジン側とを連通するオリフィスが設けられていることにより、シール部材のエンジン側から反エンジン側へオイルを僅かに流すことができるので、ロックアップクラッチが配設される空間部にオイルを確実に供給しつつ、シール部材のエンジン側においてオイルや異物や滞留することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るトルクコンバータの断面図である。
【図2】図1の要部を示す要部拡大図である。
【図3】トルクコンバータへの流体の流れを説明するための説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るトルクコンバータの要部を示す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るトルクコンバータの要部を示す断面図である。
【図6】従来のトルクコンバータを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るトルクコンバータの断面図であり、図2は、図1の要部を示す要部拡大図である。図1に示すように、このトルクコンバータ1は、その外殻を形成するケース10を有し、該ケース10は、そのエンジン側の面を構成するフロントカバー11の外周部に固設された複数のスタッドボルト12と該ボルト12に螺合されるナットAとにより、エンジンのクランクシャフトBの端部にクランクボルトCを用いて取り付けられたドライブプレートDの外周部に取り付けられ、これにより、トルクコンバータ1の全体がクランクシャフトBに連結されて、エンジンにより駆動されるようになっている。なお、以下の説明では、便宜上、エンジン側(図の右側)を前方、反エンジン側(図の左側)を後方とする。
【0030】
トルクコンバータ1は、主たる構成要素として、ポンプ20、タービン30、ステータ40、ワンウェイクラッチ50、及びロックアップクラッチ60を有し、これらがケース10内に収納されていると共に、ケース10内には流体としてのオイルが充満されるようになっている。
【0031】
ポンプ20は、ケース10の反エンジン側の面を構成するポンプシェル21と、該シェル21の外周部に設けられた後方へ膨出する湾曲部21aの内部に周方向に所定間隔を隔てて配設された多数のブレード22とで構成されている。そして、ケース10と一体的に回転することにより、ケース10内に充満されているオイルをブレード22と湾曲部21aの内面とで案内して、該オイルに軸心回りに旋回しながら後方から前方へ向う流れaを発生させるようになっている。
【0032】
また、ポンプ20には、具体的にはポンプシェル21の内周端部には変速機構側に延びるポンプスリーブ23が結合されており、該ポンプスリーブ23の先端がトルクコンバータ1の後方に配設されたギヤ式オイルポンプEのインナギヤE’に係合されることにより、クランクシャフトBの回転によってケース10及びポンプスリーブ23を介して、オイルポンプEが駆動されるようになっている。
【0033】
タービン30は、外周部にポンプシェル21の湾曲部21aと反対側に湾曲する湾曲部31aを有するタービンシェル31と、該シェル31の湾曲部31aの内部に周方向に所定間隔を隔てて配設された多数のブレード32と、該シェル31の内周端部に結合されたタービンハブ33とで構成されており、ポンプ20の前方に対向配置されて、ケース10内に回転自在に収納されている。
【0034】
そして、タービンシェル31のブレード32が配設された湾曲部31aと、ポンプシェル21のブレード22が配設された湾曲部21aとが対向配置されていることにより、ポンプ20の回転によって生じた流れaがタービンシェル31の湾曲部31a内に導入されて、該湾曲部31aの内面とブレード32とによって内方へ向う流れbが形成され、この流れbがブレード32を押圧することにより、タービン30が周方向に力を受け、ポンプ20と同方向に駆動されるようになっている。そして、この駆動力は、P1で示す位置においてタービン30に連結された自動変速機の変速機構側に延びるタービンシャフトF1により、変速機構へ伝達されるようになっている。なお、タービン30は、タービンハブ33の内周端部がタービンシャフトF1にスプライン嵌合されることにより該タービンシャフトF1に連結されている。
【0035】
ステータ40は、ポンプ20とタービン30との対向部の内側に配設されており、内輪部41と外輪部42との間に放射方向に延びる多数のブレード43を周方向に所定間隔を隔てて設けて全体を一体化した構成とされ、ブレード43が、ポンプ20におけるブレード22の内周側の端部とタービン30におけるブレード32の内周側の端部との間に位置するように配置されていることにより、タービン30を駆動した流体の流れbがタービン30側から導入されて、各ブレード43の間を通過する流れcが形成されるようになっている。
【0036】
そして、この流れcがポンプシェル21の湾曲部21aに内周側から導入されて流れaとなることにより、ポンプ20、タービン30及びステータ40の各ブレード22、32、43の間を通過して循環する流れが形成され、トルクコンバータ1の全体として、この循環路が形成されるドーナツ状の空間、即ちトーラスTが形成されるようになっている。
【0037】
ワンウェイクラッチ50は、ステータ40を支持して該ステータ40によるトルク増大作用を実現させるもので、ステータ40の内側に配設されている。このワンウェイクラッチ50は、アウタレース51と、インナレース52と、両レース51、52の間に介設された複数のスプラグ53とを有し、アウタレース51の外周面にステータ40の内輪部41の内周面が圧入でスプライン嵌合されていると共に、インナレース52は、内周面が自動変速機の変速機ケースGから延びるステータシャフトF2にスプライン嵌合されることによりステータシャフトF2に組み付けられるようになっている。
【0038】
なお、アウタレース51は、その前方に位置するタービンハブ33との間、及び後方に位置するポンプシェル21の内周部との間にそれぞれ配設されたスラストベアリング54,55により軸方向の位置が規制されており、これにより、ステータ40がポンプ20及びタービン30に対して軸方向に位置決めされている。
【0039】
そして、ステータ40は、流れcにより、ブレード43の一方の面に押圧力が作用して一方向の回転力を受けたときに、ワンウェイクラッチ50が空転することにより自由に回転し、また、ブレード43の他方の面に押圧力が作用して多方向の回転力を受けたときには、ワンウェイクラッチ50がロックすることにより固定される。このとき、トルク増大作用が発生し、エンジンからポンプ20に入力されたトルクが増大されて、タービン30からタービンシャフトF1に出力される。
【0040】
本実施形態に係るトルクコンバータ1では、図2に示すように、ワンウェイクラッチ50のインナレース52は、その内周面が、ステータシャフトF2とのスプライン嵌合部P2よりもエンジン側において内径が大きく形成されると共に、ステータシャフトF2は、その先端部に、インナレース52とのスプライン嵌合部P2よりもエンジン側に延びる円筒状の延長部F2aが形成されている。
【0041】
そして、インナレース52とステータシャフトF2とのスプライン嵌合部P2よりもエンジン側において、インナレース52の内周面とステータシャフトF2の外周面、具体的には延長部F2aの外周面の間に、リング状に形成されたシール部材80が圧入によって取り付けられている。
【0042】
このシール部材80は、インナレース52の内周面とステータシャフトF2の外周面との間をシールするものであり、断面略矩形状に形成され、インナレース52の内周面に接する本体部81と、該本体部81から内側に延びてステータシャフトF2の外周面に接するリップ部82とを備えている。
【0043】
リップ部82は、その基端部82aからその先端部82bに向かうにつれて前方に傾斜してフロントカバー11側に位置するように設けられ、エンジン側から反エンジン側への流体の遺漏を阻止する方向に設けられている。なお、シール部材80は、ゴムなどの弾性材料を用いて成形され、本体部81には芯金83が一体的に形成されている。
【0044】
本実施形態では、インナレース52の内周面とステータシャフトF2の外周面との間をシールするシール部材80が、インナレース52とステータシャフトF2とがスプライン嵌合される部位P2よりもフロントカバー11側で、図2に示すように、ワンウェイクラッチ50と軸方向にオーバーラップするように配設されている。
【0045】
このように、シール部材80が、ワンウェイクラッチ50と軸方向にオーバーラップして配設されていることにより、シール部材80とワンウェイクラッチ50とが軸方向にオーバーラップさせない場合に比べて、トルクコンバータ1の軸方向寸法が短縮され、トルクコンバータ1を軸方向にコンパクトに構成することができる。
【0046】
また、インナレース52と組み付けられるステータシャフトF2は、その先端部の外周面が先細り状に形成されており、その先端部に、トルクコンバータ1をステータシャフトF2に組み付ける際に、該先端部をシール部材80内に案内する案内部F2bが設けられている。具体的には、ステータシャフトF2の延長部F2aの先端部に案内部F2bが設けられている。
【0047】
ロックアップクラッチ60は、同心状に配置されたクラッチハブ61及びクラッチドラム62と、該ハブ61とドラム62との間に配設され、これらに交互に係合された複数の摩擦板63と、クラッチハブ61に一体的に設けられたピストンシリンダ64に摺動自在に収納されたピストン65とを有し、クラッチハブ61及びピストンシリンダ64が、フロントカバー11の内面に溶接により固着されている。
【0048】
そして、ピストンシリンダ64内におけるピストン65の背部が油圧室66とされ、該油圧室66に、タービンシャフトF1に設けられたオイル通路66aから、フロントカバー11とその内面に固着されたプレート部材67との間に設けられたオイル通路66bや、ピストンシリンダ64に設けられたオイル通路66c等を通って所定の作動圧でオイルが導入されたときに、ピストン65により複数の摩擦板63がリテーナ68側に押し付けられ、ロックアップクラッチ60が締結されるようになっている。なお、複数の摩擦板63には、その内方側から外方側に延びる複数の溝部(不図示)が形成されており、ロックアップクラッチ60の締結時においても該溝部にオイルが流れるようになっている。
【0049】
また、トルクコンバータ1では、ロックアップクラッチ60にロックアップダンパ70が備えられており、ロックアップダンパ70は、スプリング保持プレート71と、該スプリング保持プレート71の所定の円周上に周方向に向けて配設され、一端が該スプリング保持プレート71に設けられたスプリング受け部71aに受け止められた複数のダンパスプリング72と、タービンシェル31の外周部の外面に固着されて前方へ突出し、ダンパスプリング72の他端を受けるスプリング受け部材73とを有している。
【0050】
そして、スプリング保持プレート71の内周部がロックアップクラッチ60のクラッチドラム62に結合され、ロックアップクラッチ60が締結されたときには、フロントカバー11の回転、即ちクランクシャフトBの回転がロックアップクラッチ60を介してロックアップダンパ70のスプリング保持プレート71に入力され、ダンパスプリング72を圧縮しながら、スプリング受け部材73からタービン30に伝達されるようになっている。
【0051】
なお、スプリング受け部材73には、タービンシェル31に固着された基部73aの内周端部から前方へ突出するストッパ部73bが設けられており、該ストッパ部73bがスプリング保持プレート71に設けられた周方向に長い長穴71bに突入されていることにより、スプリング受け部材73とスプリング保持プレート71の相対回転が所定量に規制され、ダンパスプリング72の過度な圧縮が阻止されるようになっている。
【0052】
ここで、このトルクコンバータ1の作用を説明すると、先ず、発進時や変速時等のロックアップクラッチ60の非締結時には、エンジンのクランクシャフトBと一体的に回転するポンプ20により、トーラスT内で循環するオイルを介してタービン30が駆動され、タービンシャフトF1を介して変速機構に動力が伝達されることになる。その場合に、ステータ40のトルク増大作用が得られる速度比においては、エンジンの出力トルクが増大されて変速機構へ出力される。
【0053】
また、発進時や変速時等以外の運転状態において、タービンシャフトF1に設けられたオイル通路66aからフロントカバー11とその内面に固着されたプレート部材67との間に設けられたオイル通路66bやピストンシリンダ64に設けられたオイル通路66c等を介してロックアップクラッチ60の油圧室66に所定の作動圧を供給すれば、ロックアップクラッチ60が締結されて、ケース10のフロントカバー11とタービン30とがロックアップダンパ70を介して連結されることになり、エンジン出力トルクは、クランクシャフトBからケース10、ロックアップクラッチ60及びロックアップダンパ70を介して直接タービン30に伝達されることになる。この場合、動力はオイルを介することなく変速機構へ伝達されることにより、ロックアップクラッチ60の非締結時よりトルク伝達効率が向上し、エンジンの燃費性能が向上する。
【0054】
そして、ロックアップクラッチ60を締結する際には、ロックアップクラッチ60の締結時のショックを抑制するため、油圧室66に供給するオイル圧を制御してロックアップクラッチ60を一旦スリップ状態とし、その後、完全に締結することが行われており、ロックアップクラッチ60の複数の摩擦板63が接触し始めてトルクの伝達が開始されたときに、ロックアップダンパ70のダンパスプリング72が圧縮されることによりトルク伝達開始時のショックが吸収され、これにより、ロックアップクラッチ60が円滑に締結されることになる。
【0055】
ロックアップクラッチ60がスリップ状態とされるスリップ制御時には、複数の摩擦板63において発熱量が増大することとなるが、トルクコンバータ1では、トーラスTに供給するオイルを、ロックアップクラッチ60が配設されるタービン30とケース10、具体的にはフロントカバー11との間の空間部77を通過させることで、ロックアップクラッチ60を冷却することができるようになっている。
【0056】
次に、トルクコンバータ1内でのオイルの流れについて説明する。
トルクコンバータ1では、前述したように、トーラスT内にオイルが供給されると共に、このオイルの流れとは別に、ロックアップクラッチ60の作動を制御するために、矢印A4で示すように、タービンシャフトF1に設けられたオイル通路66a等を介して油圧室66にオイルが供給されるようになっている。
【0057】
トーラスT内に供給されるオイルは、ステータシャフトF2とタービンシャフトF1との間からトルクコンバータ1に導入され、矢印A1で示すように、タービンハブ33に設けられたオイル通路33aを通じて、ロックアップクラッチ60が配設される空間部77に供給され、矢印A2で示すように、該空間部77からケース10に沿って流れ、ポンプシェル21とタービンシェル31との間に供給され、トーラスTに供給される。
【0058】
そして、トーラスTに供給されたオイルは、ポンプ20、タービン30及びステータ40の各ブレード22、32、43の間を通過して循環すると共に、その一部が、アウタレース51とポンプシェル21との間に配設されたスラストベアリング55を通じて、矢印A3で示すように、ケース10に結合されたポンプスリーブ23とステータシャフトF2の間から排出される。
【0059】
また、図3は、トルクコンバータへの流体の流れを説明するための説明図である。この図3に示すように、ステータシャフトF2とタービンシャフトF1との間からトルクコンバータ1へ導入されるオイルは、流体供給源としてのオイルポンプEによって吸い上げたオイルを、ステータシャフトF2とタービンシャフトF1との間とオイルポンプEとを接続するオイル通路A6を通じて供給するようになっており、該オイル通路A6においてオイルの流れ方向上流側に介設される第1の調圧バルブV1とその下流側に介設される第2の調圧バルブV2とによってそれぞれオイル圧が調整されるようになっている。
【0060】
一方、ロックアップクラッチ60の作動を制御するためにオイル通路66aに導入されるオイルは、オイルポンプEによって吸い上げたオイルを、オイル通路A6の第1の調圧バルブV1と第2の調圧バルブV2との間から分岐したオイル通路A7を通じて供給するようになっており、該オイル通路A7に介設されたソレノイドバルブV3によってオイル圧が調整されるようになっている。なお、ソレノイドバルブV3としては、例えばデューティソレノイドバルブが用いられる。
【0061】
トルクコンバータ1では、第1の調圧バルブV1によってオイル圧が第1の所定圧に設定され、第2の調圧バルブV2によってオイル圧が第1の所定圧より低い第2の所定圧に設定され、ソレノイドバルブV3によってオイル圧が第1の所定圧以下の任意のオイル圧に調整することができるようになっており、これにより、ロックアップクラッチ60の作動を制御することができるようになっている。また、トルクコンバータ1のポンプスリーブ23とステータシャフトF2との間から排出されたオイルは、変速機構85の潤滑へ供給されるようになっている。
【0062】
このようにして、トルクコンバータ1では、オイルポンプEからのオイルがステータシャフトF2とタービンシャフトF1との間からトルクコンバータ1に導入され、ロックアップクラッチ60が配設される空間部77及びトーラスTを通じて、ポンプスリーブ23とステータシャフトF2との間から排出される流体通路が形成され、オイルをロックアップクラッチ60が配設される空間部77を通過させることで、ロックアップクラッチ60を冷却することができるようになっている。
【0063】
また、トルクコンバータ1では、インナレース52とステータシャフトF2のスプライン嵌合部P2のエンジン側に、該インナレース52の内周面とステータシャフトF2の外周面との間をシールするシール部材80を備えている。これにより、ステータシャフトF2とタービンシャフトF1との間から導入されたオイルが、インナレース52とステータシャフトF2との間を通じてポンプスリーブ23とステータシャフトF2の間に漏れ出ることを抑制することができるので、ロックアップクラッチ60が配設されるタービン30とケース10との間の空間部77にオイルを確実に供給することができ、ロックアップクラッチ60の冷却性能を向上させることができる。
【0064】
さらに、インナレース52の内周面とステータシャフトF2の外周面との間をシールするシール部材80が設けられていることにより、インナレース52とステータシャフトF2とを密嵌して組み付ける場合に比べてインナレース52とステータシャフトF2との間のクリアランスを大きくすることができるので、インナレース52とステータシャフトF2とを比較的容易に組み付けることができ、トルクコンバータ1とステータシャフトF2との良好な組み付け性を確保することができる。
【0065】
また、シール部材80は、ステータシャフトF2の外周面に接するリップ部82を備え、該リップ部82は、エンジン側から反エンジン側への流体の遺漏を阻止する方向に設けられていることにより、トルクコンバータ1をステータシャフトF2に組み付ける際に生じ得るインナレース52の中心軸とステータシャフトF2の中心軸との偏心を吸収することができ、インナレース52とステータシャフトF2との間において良好なシール性能を確保することができる。
【0066】
加えて、ステータシャフトF2の先端部には、トルクコンバータ1をステータシャフトF2に組み付ける際に、該先端部をシール部材80内に案内する案内部F2bが備えられていることにより、トルクコンバータ1をステータシャフトF2に比較的容易に組み付けることができ、トルクコンバータ1とステータシャフトF2との組み付け性をさらに向上させることができる。
【0067】
次に、本発明の第2の実施形態に係るトルクコンバータについて説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態に係るトルクコンバータの要部を示す断面図である。第2の実施形態に係るトルクコンバータ91は、第1の実施形態に係るトルクコンバータ1とシール部材の形状が異なるのみであるので、第1の実施形態と同様の構成を備えて同様の作用をなすものについては同一符号を付して説明を省略する。
【0068】
図4に示すように、第2の実施形態に係るトルクコンバータ91においても、インナレース52とステータシャフトF2とのスプライン嵌合部P2のエンジン側に、リング状に形成されたシール部材100が圧入によって取り付けられているが、該シール部材100は、リップ部を備えておらず、断面略矩形状の本体部101によって形成されている。
【0069】
シール部材100もまた、インナレース52の内周面とステータシャフトF2の外周面との間をシールするものであり、インナレース52の内周面とステータシャフトF2の外周面の間に配設される本体部101が、インナレース52の内周面に圧入により取り付けられている。なお、シール部材100もまた、ゴムなどの弾性材料を用いて成形され、本体部101には芯金103が一体的に形成されている。
【0070】
第2の実施形態に係るトルクコンバータ91においても、インナレース52とステータシャフトF2のスプライン嵌合部P2のエンジン側に、該インナレース52の内周面とステータシャフトF2の外周面との間をシールするシール部材100を備えていることにより、ステータシャフトF2とタービンシャフトF1との間から導入されたオイルが、インナレース52とステータシャフトF2との間を通じてポンプスリーブ23とステータシャフトF2の間に漏れ出ることを抑制することができるので、ロックアップクラッチ60が配設される空間部77にオイルを確実に供給することができ、ロックアップクラッチ60の冷却性能を向上させることができる。
【0071】
また、インナレース52の内周面とステータシャフトF2の外周面との間をシールするシール部材100が設けられていることにより、インナレース52とステータシャフトF2とを密嵌して組み付ける場合に比べてインナレース52とステータシャフトF2との間のクリアランスを大きくすることができるので、インナレース52とステータシャフトF2とを比較的容易に組み付けることができ、トルクコンバータ91とステータシャフトF2との良好な組み付け性を確保することができる。
【0072】
また次に、本発明の第3の実施形態に係るトルクコンバータについて説明する。
図5は、本発明の第3の実施形態に係るトルクコンバータの要部を示す断面図である。第3の実施形態に係るトルクコンバータ111は、第1の実施形態に係るトルクコンバータ1とシール部材が異なるのみであるので、第1の実施形態と同様の構成を備えて同様の作用をなすものについては同一符号を付して説明を省略する。
【0073】
図5に示すように、第3の実施形態に係るトルクコンバータ111においても、インナレース52とステータシャフトF2とのスプライン嵌合部P2のエンジン側にリング状に形成されたシール部材120が圧入によって取り付けられているが、シール部材120にはさらに、該シール部材120のエンジン側と反エンジン側とを連通するオリフィス81aが設けられている。
【0074】
シール部材120もまた、断面略矩形状に形成され、インナレース52の内周面に接する本体部81と、該本体部81から内側に延びてステータシャフトF2の外周面に接するリップ部82とを備えているが、シール部材120では、本体部81及び芯金83に、シール部材120のエンジン側と反エンジン側とを連通する連通孔であるオリフィス81aが設けられており、該オリフィス81aは、軸方向に開口するように形成されている。なお、オリフィス81aは、1つに限定するものでなく、複数のオリフィス81aをシール部材120の周方向に設けるようにしてもよい。
【0075】
第3の実施形態に係るトルクコンバータ111においても、インナレース52とステータシャフトF2のスプライン嵌合部P2のエンジン側に、該インナレース52の内周面とステータシャフトF2の外周面との間をシールするシール部材120を備えていることにより、ステータシャフトF2とタービンシャフトF1との間から導入されたオイルが、インナレース52とステータシャフトF2との間を通じてポンプスリーブ23とステータシャフトF2の間に漏れ出ることを抑制することができるので、ロックアップクラッチ60が配設される空間部77にオイルを確実に供給することができ、ロックアップクラッチ60の冷却性能を向上させることができる。
【0076】
また、インナレース52の内周面とステータシャフトF2の外周面との間をシールするシール部材120が設けられていることにより、インナレース52とステータシャフトF2とを密嵌して組み付ける場合に比べてインナレース52とステータシャフトF2との間のクリアランスを大きくすることができるので、インナレース52とステータシャフトF2とを比較的容易に組み付けることができ、トルクコンバータ111とステータシャフトF2との良好な組み付け性を確保することができる。
【0077】
さらに、シール部材120に、該シール部材120のエンジン側と反エンジン側とを連通するオリフィス81aが設けられていることにより、シール部材120のエンジン側から反エンジン側へオイルを僅かに流すことができるので、ロックアップクラッチ60が配設される空間部77にオイルを確実に供給しつつ、シール部材120のエンジン側においてオイルや異物や滞留することを抑制することができる。
【0078】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係るトルクコンバータ1、91、111では、インナレース52の内周面とステータシャフトF2の外周面との間をシールするシール部材80、100、120が、インナレース52とステータシャフトF2のスプライン嵌合部P2のエンジン側に設けられていることにより、トルクコンバータ1、91、111とステータシャフトF2との良好な組み付け性を確保しつつ、ロックアップクラッチ60の冷却性能を向上させることができる。
【0079】
また、本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、本発明によれば、トルクコンバータとステータシャフトとの良好な組み付け性を確保しつつロックアップクラッチの冷却性能を向上させることができるトルクコンバータが実現され、したがって、この種のトルクコンバータないし自動変速機、あるいはこれを搭載する車両の製造技術分野において、好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0081】
1、91、111 トルクコンバータ
10 ケース
20 ポンプ
23 ポンプスリーブ
30 タービン
40 ステータ
50 ワンウェイクラッチ
52 インナレース
60 ロックアップクラッチ
80、100、120 シール部材
81a オリフィス
82 リップ部
E オイルポンプ
F1 タービンシャフト
F2 ステータシャフト
F2b 案内部
T トーラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの出力軸に連結されたケース内に、該ケースと一体回転するポンプ、そのエンジン側に対向配置されたタービン、及び該ポンプと該タービンとの対向部の内側に配設されるとともにその内側にワンウェイクラッチが配設されたステータによって形成されるトーラスと、前記タービンのエンジン側に配設され、前記タービンと該ケースとを直結するロックアップクラッチと、を備え、前記タービンに変速機構側に延びるタービンシャフトが連結され、該タービンシャフトの外側に、自動変速機の変速機ケースから延びて前記ワンウェイクラッチのインナレースとスプライン嵌合されるステータシャフトが配置され、該ステータシャフトの外側に、前記ケースから変速機構側に延びてオイルポンプを駆動するポンプスリーブが配置され、前記オイルポンプからの流体が前記ステータシャフトと前記タービンシャフトとの間から導入され、前記ロックアップクラッチが配設される前記タービンと前記ケースとの間の空間部及び前記トーラスを通じて、前記ポンプスリーブと前記ステータシャフトとの間から排出される流体通路が形成されたトルクコンバータであって、
前記インナレースと前記ステータシャフトのスプライン嵌合部のエンジン側に、該インナレースの内周面とステータシャフトの外周面との間をシールするシール部材をさらに備えている、
ことを特徴とするトルクコンバータ。
【請求項2】
前記シール部材は、前記ワンウェイクラッチと軸方向にオーバーラップして配設されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のトルクコンバータ。
【請求項3】
前記シール部材は、前記ステータシャフトの外周面に接するリップ部を備え、
該リップ部は、エンジン側から反エンジン側への流体の遺漏を阻止する方向に設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトルクコンバータ。
【請求項4】
前記ステータシャフトの先端部に、前記トルクコンバータを該ステータシャフトに組み付ける際に、該先端部を前記シール部材内に案内する案内部が備えられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のトルクコンバータ。
【請求項5】
前記シール部材に、該シール部材のエンジン側と反エンジン側とを連通するオリフィスが設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のトルクコンバータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−72846(P2012−72846A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218590(P2010−218590)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)