説明

トルク検出機構付き自動ねじ締め機

【課題】多軸ねじ締めに最適なトルク検出機構付き自動ねじ締め機を提供する。
【解決手段】本発明のトルク検出機構付き自動ねじ締め機1は、駆動源2の駆動に伴って回転する入力軸5と、この入力軸5に一体に回転可能に取付けられる入力歯車6と、この入力歯車6に噛合する出力歯車10と、この出力歯車10を一体に回転可能に保持するとともに、前記入力軸5のオフセット位置に配置されて当該入力軸5の回転駆動に伴って回転する出力軸9と、前記入力軸5を回転自在に支持するとともに、入力歯車6を介して作用する出力軸9の回転抵抗に応じて歪む起歪体4と、この起歪体の歪みを検出する歪み検出手段2a,12b,12c,12dとを備える。この構成により、オフセット機構とトルク検出機構を両立させることができる。そのため、特に出力軸9の周囲の構成が小型化され、作業スペースに制限がある場合においても多軸ねじ締めを実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多軸ねじ締めに最適なトルク検出機構付き自動ねじ締め機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トルク検出機構付き自動ねじ締め機としては、特許文献1に示すものがある。このトルク検出機構付き自動ねじ締め機は、駆動源の駆動に伴って回転する入力軸と、先端にドライバビットを備える入力軸とを有しており、これら入力軸と入力軸とはオフセット配置されている。また、入力軸と出力軸には、それぞれに入力歯車と出力歯車が一体に回転可能に取付けられており、これら歯車の間には中間歯車が噛合してある。さらに、出力軸の外周にはトルク検出機構が装着されており、当該出力軸に作用する回転抵抗を検出するように構成されている。上記トルク検出機構付き自動ねじ締め機においては、入力軸と出力軸がオフセット配置されている。そのため、出力軸だけを作業スペースに配置することができるので、当該作業スペースに制限がある場合のねじ締めにおいて、有利である。加えて、トルク検出機構を備えているので、トルク管理によるねじ締めも実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−108963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、複数の自動ねじ締め機を並べて同時にねじ締めを行う、所謂多軸ねじ締めにおいては、複数の出力軸を狭い範囲にまとめて、ねじ締め作業が行われる。しかしながら、上記トルク検出機構付き自動ねじ締め機においては、トルク検出機構が出力軸の外周に装着されるている。そのため、作業スペースに制限がある場合においては、当該トルク検出機構が邪魔になり、複数の出力軸を一箇所にまとめることできず、多軸ねじ締めを実現することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のトルク検出機構付き自動ねじ締め機は、上記課題に鑑みて創成されたものであり、駆動源の駆動に伴って回転する入力軸と、前記入力軸に一体に回転可能に取付けられる入力歯車と、前記入力軸のオフセット位置に配置されるとともに、入力軸の回転駆動に伴って回転する出力軸と、前記出力軸に一体に回転可能に取付けられるとともに、前記入力歯車に噛合する出力歯車と、前記出力軸の先端に取付けられて、ねじ部品に係合可能なねじ締め工具と、前記入力軸を回転自在に支持するとともに、入力歯車を介して作用する出力軸の回転抵抗に応じて歪む起歪体と、この起歪体の歪みを検出する歪み検出手段とを
備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明のトルク検出機構付き自動ねじ締め機は、駆動源の駆動に伴って回転する入力軸と、前記入力軸に一体に回転可能に取付けられる入力歯車と、前記入力軸のオフセット位置に配置されるとともに、入力軸の回転駆動に伴って回転する出力軸と、前記出力軸に一体に回転可能に取付けられる出力歯車と、前記入力歯車と出力歯車の間に介在して、入力歯車の回転駆動を出力歯車に伝達する一または複数の中間歯車と、前記中間歯車を少なくとも1つを回転自在に支持するとともに、出力歯車を介して作用する出力軸の回転抵抗に応じて歪む起歪体と、前記起歪体の歪みを検出する歪み検出手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のトルク検出機構付き自動ねじ締め機においては、入力軸と出力軸がオフセット配置されており、さらに入力軸を起歪体で回転自在に支持するように構成されている。そして、出力軸の回転抵抗に応じて歪む起歪体の歪みを歪み検出手段で検出して締付けトルクを検出するように構成されている。つまり、オフセット機構を利用してトルク検出機構が構成されている。そのため、別個にトルク検出機構を備え付ける必要が無くなるので、部品点数が少なくなり、コストを低減することができる。さらに、出力軸に周囲にトルク検出機構が備え付けられていないので、複数の出力軸を狭い範囲に一箇所にまとめることが可能となり、トルク管理による多軸ねじ締めを実現することができる。
【0008】
また、入力歯車と出力歯車との間に中間歯車を介在させて、この中間歯車を起歪体で回転自在に支持してもトルク検出機構を構成することができる。この構成においては、歯車の部品点数は増加するものの、中間歯車は入力歯車および出力歯車の双方に押圧されるので、起歪体に作用する曲げモーメントが大きくなる。そのため、小さな回転抵抗であっても、起歪体を十分に歪ませることができるので、特に低トルクの検出精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態のトルク検出機構付き自動ねじ締め機の正面視断面図である。
【図2】第1の実施形態のトルク検出機構付き自動ねじ締め機の平面視拡大断面図である。
【図3】第2の実施形態のトルク検出機構付き自動ねじ締め機の正面視断面図である。
【図4】第2の実施形態のトルク検出機構付き自動ねじ締め機の平面視拡大断面図である。
【図5】第3の実施形態のトルク検出機構付き自動ねじ締め機の正面視断面図である。
【図6】第3の実施形態のトルク検出機構付き自動ねじ締め機の側面視断面図である。
【図7】第3の実施形態のトルク検出機構付き自動ねじ締め機の平面視拡大断面図であり、(a)は入力歯車と第1中間歯車との噛合状態を示す図であり、(b)は第2中間歯車と出力歯車との噛合状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下、図1および図2に基づいて本発明の第1の実施形態を説明する。
【0011】
図1および図2において、1はトルク検出機構付き自動ねじ締め機である。このトルク検出機構付き自動ねじ締め機1は、駆動源の一例であるモータ2を有しており、当該モータ2はハウジング3に取付けられている。このハウジング3の内部には起歪体4が収納されており、この起歪体4にはロバーバル型の空洞穴4aが穿設されている。また、この起歪体4aの一端には固定端4bが一体成形されており、当該ハウジング3にねじSで固定されている。さらに、この起歪体4は、その固定端4bを除き、前記ハウジング3の内面に対して所定の隙間を設けて収納されており、詳細を後述する出力軸9の回転抵抗に応じて歪むとき、当該ハウジング3の内面に接触しないように構成されている。
【0012】
また、前記起歪体4にはその他端を切り欠いて切欠部4cが形成さており、この切欠部4cには入力歯車6が配置されている。一方、前記モータ2の駆動軸2aには、前記起歪体4にベアリング11a,11bを介して回転自在に支持される入力軸5が連結されており、この入力軸5に前記入力歯車6が一体に回転可能に取付けられている。さらに、この入力軸5においては、その先端がハウジング3の内面まで延びている。そこで、詳細を後述する出力軸9の回転抵抗により起歪体4が歪むとき、当該入力軸5がハウジング3に接触しないよう、当該ハウジング3には当該入力軸5の径よりも大径の有底穴3aが穿設されている。
【0013】
また、前記ハウジング3の内部には、前記入力歯車6と噛合する位置に出力歯車10が配置されており、ベアリング11c,11dを介してハウジング3に回転自在に支持された出力軸9に一体に回転可能に取付けられている。この出力軸9は、前記入力軸5のオフセット位置に配置されており、前記モータ2の回転に伴い回転するように構成されている。また、この出力軸9の先端にはねじ部品の頭部に係合可能なねじ締め工具13が一体に回転可能に取付けられており、モータ2の回転駆動をねじ部品に伝達するように構成されている。ここで、前記入力歯車6および出力歯車10は、歯車の一例である平歯車あるいは、はすば歯車であり、これらを歯数の異なるものに変更することで、出力軸9に出力される回転駆動は、入力軸5の回転駆動に対して増速あるいは減速を自在に設定することが可能である。なお、トルク検出機構付き自動ねじ締め機1においては、入力歯車6および出力歯車10の歯数は同一であり、増減速しないように構成されている。
【0014】
また、前記起歪体4には歪み検出手段の一例である歪みゲージ12a,12b,12c,12dが、長手方向に延びる側面にそれぞれ二枚ずつ貼り付けられている貼り付けられており、起歪体4の捻れに応じた電気信号を、ハウジング3に取付けられた歪みゲージアンプ14に送信するように構成されている。そして、この歪みゲージアンプ14により、当該電気信号から締付けトルクが判定される。このように、入力軸5、入力歯車6、出力軸9、出力歯車10、起歪体4、および歪みゲージ12a,12b,12c,12dによりトルク検出機構が構成される。加えて、入力軸5、入力歯車6、出力軸9および入力歯車10によりオフセット機構が構成され、モータ2の回転駆動をねじ締め工具13に伝達する。
【0015】
次に、第1の実施形態のトルク検出機構付きねじ締め機1による作用を図2に基づいて説明する。まず、モータ2の駆動に伴って入力軸5がトルクT1で回転すると、入力歯車6もこれと一体になって回転する。続いて、この入力歯車6の回転を受けて、出力歯車10は出力軸9と一体に回転する。そして、ねじ部品に係合しているねじ締め工具13に回転駆動が伝達され、ねじ締めが行われる。
【0016】
ここで、ワークにねじ部品をねじ込む段階においては、ねじ締め工具13には、トルクT1と同じ大きさの回転抵抗T2が作用する。そして、当該回転抵抗T2は出力軸9を介して出力歯車10から入力歯車6へ伝達される。これにより、入力歯車6は当該出力歯車10に押圧され、当該入力歯車6の歯面には押圧力Fが作用する。ここで、起歪体4には、当該押圧力Fのうち、起歪体4の側面に直交する方向の成分F1が曲げモーメントとして作用し、当該起歪体4は固定端4bを支点として歪む。この起歪体4の歪みを歪みゲージ12a,12b,12c,12dで検出することにより、締付けトルクを検出することができる。
【0017】
前述した第1の実施形態のトルク検出機構付き自動ねじ締め機1においては、入力軸5、入力歯車6、出力歯車10および出力軸9はオフセット機構を構成する。加えて、当該入力軸5を起歪体4に回転自在に支持して、この起歪体4の歪みを歪みゲージ12a,12b,12c,12dで検出することにより、トルク検出機構が構成されている。つまり、オフセット機構とトルク検出機構とを両立することがきる。そのため、出力軸9の周囲に別個にトルク検出機構を備え付ける必要が無くなる。このような構成により、作業スペースに制限がある場合においても、複数の出力軸9を狭い範囲に一箇所にまとめることが可能となり、トルク管理による多軸ねじ締めを実現することができる。
【0018】
(第2の実施形態)
以下、図3および図4に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。ここで、第2の実施形態のトルク検出機構付き自動ねじ締め機21は、前述した第1の実施形態のトルク検出機構付き自動ねじ締め機1において、入力歯車26と出力歯車30の間に中間歯車28を介在させてこれらに噛合させ、さらに当該中間歯車28を起歪体24に回転自在に支持したものである。
【0019】
図3および図4において、21はトルク検出機構付き自動ねじ締め機である。このトルク検出機構付き自動ねじ締め機21は、駆動源の一例であるモータ22を有しており、当該モータ22はハウジング23に取付けられている。このハウジング23の内部には起歪体24が収納されており、この起歪体24にはロバーバル型の空洞穴24aが穿設されている。また、この起歪体24aの一端には固定端24bが一体成形されており、当該ハウジング23にねじSで固定されている。さらに、この起歪体24は、その固定端24bを除き、前記ハウジング23の内面に対して所定の隙間を設けて収納されており、詳細を後述する出力軸29の回転抵抗に応じて歪むとき、当該ハウジング23の内面に接触しないように構成されている。
【0020】
また、前記トルク検出機構付き自動ねじ締め機21は、モータ22の駆動軸22aに連結される入力軸25を有しており、この入力軸25はハウジング23にベアリング31a,31bを介して回転自在に支持されている。また、この入力軸25には入力歯車26が一体に回転可能に取付けられており、前記起歪体24の空洞穴24aの内部に配置されている。
【0021】
さらに、前記起歪体24にはその他端を切り欠いて前記空洞穴24aと連通する切欠部24cが形成さており、この切欠部24cには、前記入力歯車26と噛合する中間歯車28が配置されている。この中間歯車8は、図3に示すように、前記起歪体24に支持された中間軸27にベアリング31c,31dを介して回転自在に支持されており、前記入力軸25の回転駆動に伴い回転するように構成されている。また、この中間軸27においては、その両端が起歪体24の切欠部24cから突出してハウジング23まで延びている。そこで、詳細を後述する出力軸29の回転抵抗により起歪体が24が歪むとき、当該中間軸27がハウジング23に接触しないよう、当該ハウジング23には当該中間軸27の径よりも大径の有底穴23a,23bが穿設されている。なお、第2の実施形態においては、中間軸27が起歪体24にベアリング31c,31dを介して回転自在に保持されるとともに、当該中間軸27に中間歯車28が一体に回転可能に取付けられる構成でもよい。
【0022】
その上、前記ハウジング23の内部には、前記中間歯車28と噛合する位置に出力歯車30が配置されており、ベアリング31e,31fを介してハウジング23に回転自在に支持された出力軸29に一体に回転可能に取付けられている。この出力軸29は、前記入力軸25のオフセット位置に配置されており、前記モータ22の回転に伴い回転するように構成されている。また、この出力軸29の先端にはねじ部品の頭部に係合可能なねじ締め工具33が一体に回転可能に取付けられており、モータ22の回転駆動をねじ部品に伝達するように構成されている。ここで、前記入力歯車26、中間歯車28、および出力歯車30は、歯車の一例である平歯車あるいは、はすば歯車であり、これらを歯数の異なるものに変更することで、出力軸29に出力される回転駆動は、入力軸25の回転駆動に対して増速あるいは減速を自在に設定することが可能である。なお、トルク検出機構付き自動ねじ締め機21においては、入力歯車26および出力歯車30の歯数は同一であり、増減速しないように構成されている。
【0023】
前記起歪体24には歪み検出手段の一例である歪みゲージ32a,32b,32c,32dが、長手方向に延びる側面にそれぞれ二枚ずつ貼り付けられている貼り付けられており、起歪体24の捻れに応じた電気信号を、ハウジング23に取付けられた歪みゲージアンプ34に送信するように構成されている。そして、この歪みゲージアンプ34により、当該電気信号から締付けトルクが判定される。このように、入力軸25、入力歯車26、中間軸27、中間歯車28、出力軸29、出力歯車30、起歪体24、および歪みゲージ32a,32b,32c,32dによりトルク検出機構が構成されるとともに、入力軸25、入力歯車26、中間軸27、中間歯車28、出力軸29よび出力歯車30によりオフセット機構が構成され、モータ22の回転駆動をねじ締め工具33に伝達する。
【0024】
次に、第2の実施形態のトルク検出機構付きねじ締め機1による作用を図4に基づいて説明する。まず、モータ22の駆動に伴って入力軸25がトルクT1で回転すると、入力歯車26もこれと一体になって回転する。続いて、この入力歯車26の回転を受けて、中間歯車28は中間軸27と一体に回転する。さらに、この中間歯車28の回転を受けて、出力歯車30も出力軸29と一体に回転する。そして、ねじ部品に係合しているねじ締め工具33に回転駆動が伝達され、ねじ締めが行われる。
【0025】
ここで、ワークにねじ部品をねじ込む段階においては、ねじ締め工具33には、トルクT1と同じ大きさの回転抵抗T2が作用する。そして、当該回転抵抗T2は出力軸29を介して出力歯車30から中間歯車28へ伝達される。これにより、中間歯車28は出力歯車30に押圧されて、当該中間歯車28の歯面には押圧力F1が作用する。さらに、中間歯車28は、トルクT1で回転する入力歯車26にも噛合しているので、当該入力歯車26にも押圧されて、当該中間歯車28の歯面には押圧力F2が作用する。そのため、中間歯車28を保持する中間軸27にはこれら押圧力の合力F1+F2が作用する。そして、この合力F1+F2が起歪体24に曲げモーメントとして作用し、当該起歪体24は固定端24bを支点として歪む。この起歪体24の歪みを歪みゲージ32a,32b,32c,32dで検出することにより、締付けトルクを検出することができる。
【0026】
前述した第2の実施形態のトルク検出機構付き自動ねじ締め機21においては、第1のトルク検出機構付き自動ねじ締め機1と比較して、歯車の部品点数は増加する。しかしながら、中間歯車28は入力歯車26および出力歯車30の双方に押圧さるので、起歪体24に作用する曲モーメントは大きくなる。そのため、小さな回転抵抗であっても、起歪体24を十分に歪ませることができるので、特に低トルクの検出精度が向上する。
【0027】
(第3の実施形態)
以下、図5ないし図7に基づいて本発明の第3の実施形態を説明する。ここで、第3の実施形態のトルク検出機構付き自動ねじ締め機41は、前述した第2の実施形態のトルク検出機構付き自動ねじ締め機21の起歪体24を縦に配置して、これに伴い各種構成部品の配置を変更したものである。
【0028】
図5および図6において、41はトルク検出機構付き自動ねじ締め機である。このトルク検出機構付き自動ねじ締め機41は、駆動源の一例であるモータ42を有しており、当該モータ42はハウジング43に取付けられている。また、このトルク検出機構付き自動ねじ締め機41は、ロバーバル型の空洞穴44aが穿設された起歪体44を有している。この起歪体44はその一端に固定端44bが一体成形されており、この固定端44bが前記ハウジング43に固定されている。
【0029】
また、前記トルク検出機構付き自動ねじ締め機41は、モータ42の駆動軸42aに連結される入力軸45を有しており、この入力軸45はハウジング43にベアリング51a,51bを介して回転自在に支持されている。また、この入力軸45には入力歯車46が取付けられており、当該入力軸45と一体に回転するように構成されている。
【0030】
さらに、前記起歪体44の上方であって前記入力歯車46と噛合する位置には第1中間歯車48aが配置されており、一方当該起歪体44の下方には第2中間歯車48bが配置されている。これら第1中間歯車48aおよび第2中間歯車48bは、起歪体44にベアリング51c,51dを介して回転自在に支持された中間軸47に取付けられており、当該中間軸47と一体になって回転するように構成されている。
【0031】
その上、前記第2中間歯車48bと噛合する位置には、出力歯車50が配置されている。この出力歯車50は、ハウジング43にベアリング51e,51fを介して回転自在に支持された出力軸49に取付けられており、当該出力軸49と一体に回転するように構成されている。また、この出力軸49の先端にはねじ部品の頭部に係合可能なねじ締め工具53が一体に回転可能に取付けられており、モータ42の回転駆動をねじ部品に伝達するように構成されている。
【0032】
前記起歪体44には歪み検出手段の一例である歪みゲージ42a,42b,42c,42dが、長手方向に延びる側面にそれぞれ二枚ずつ貼り付けられている貼り付けられており、起歪体44の捻れに応じた電気信号を、ハウジング43に取付けられた歪みゲージアンプ(図示せず)に送信するように構成されている。そして、この歪みゲージアンプにより、当該電気信号から締付けトルクが判定される。このように、入力軸45、入力歯車46、中間軸47、第1中間歯車48a、第2中間歯車48b、出力軸49、出力歯車50、起歪体44、および歪みゲージ52a,52b,52c,52dによりトルク検出機構が構成されるとともに、入力軸45、入力歯車46、中間軸47、第1中間歯車48a、第2中間歯車48b,出力軸49よび出力歯車50によりオフセット機構が構成され、モータ42の回転駆動をねじ締め工具53に伝達する。
【0033】
次に、第3の実施形態のトルク検出機構付きねじ締め機41による作用を図7に基づいて説明する。まず、モータ42の駆動に伴って入力軸45がトルクT1で回転すると、入力歯車46もこれと一体になって回転する。続いて、この入力歯車46の回転を受けて、第1中間歯車48aおよび第2中間歯車48bは中間軸47と一体に回転する。さらに、この第2中間歯車48bの回転を受けて、出力歯車50も出力軸49と一体に回転する。そして、ねじ部品に係合しているねじ締め工具53に回転駆動が伝達され、ねじ締めが行われる。
【0034】
ここで、ワークにねじ部品をねじ込む段階においては、ねじ締め工具53には、トルクT1と同じ大きさの回転抵抗T2が作用する。そして、当該回転抵抗T2は出力歯車50から第2中間歯車48bへ伝達される。これにより、図7(a)に示すように、第2中間歯車48bは出力歯車50に押圧され、当該第2中間歯車48bの歯面には押圧力F1が作用する。一方、図7(b)に示すように、トルクT1で回転する入力歯車46に噛合する第1中間歯車48aは当該入力歯車46に押圧され、当該第1中間歯車48aの歯面には押圧力F2が作用する。そのため、第1中間歯車48aおよび第2中間歯車48bを支持する中間軸47には、これら第1中間歯車48aおよび第2中間歯車48bの双方からの押圧力の合力F1+F2が作用する。そのため、起歪体44には合力F1+F2が曲げモーメントとして作用し、当該起歪体44は固定端44bを支点として歪む。この起歪体44の歪みを歪みゲージ52a,52b,52c,52dで検出することにより、締付けトルクを検出することができる。
【0035】
前述した第3の実施形態のトルク検出機構付き自動ねじ締め機41においては、第1および第2のトルク検出機構付き自動ねじ締め機41と比較して、歯車の部品点数は増加する。しかしながら、第2の実施形態のトルク検出機構付き自動ねじ締め機41と同様に、中間軸47には第1中間歯車48aおよび第2中間歯車48bの双方からの押圧力の合力F1+F2が作用するので、起歪体44に作用する曲モーメントは大きくなる。そのため、小さな回転抵抗であっても、起歪体44を十分に歪ませることができるので、特に低トルクの検出精度が向上する。加えて、起歪体44を縦型に配置して、これに伴い第1中間歯車48a、第2中間歯車48bは起歪体44の上方および下方に配置されている。そのため、本体が全体的に縦長の構成となり、第2の実施形態のトルク検出機構付き自動ねじ締め機21よりも、さらに作業スペースが平面方向に狭い範囲において、多軸ねじ締めを実現することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 トルク検出機構付き自動ねじ締め機
2 モータ
2a 駆動軸
3 ハウジング
3a 有底穴
4 起歪体
4a 空洞穴
4b 固定端
4c 切欠部
5 入力軸
6 入力歯車
9 出力軸
10 出力歯車
11a,11b,11c,11d ベアリング
12a,12b,12c,12d 歪みゲージ
13 ねじ締め工具
14 歪みゲージアンプ

21 トルク検出機構付き自動ねじ締め機
22 モータ
22a 駆動軸
23 ハウジング
23a,23b 有底穴
24 起歪体
24a 空洞穴
24b 固定端
24c 切欠部
25 入力軸
26 入力歯車
27 中間軸
28 中間歯車
29 出力軸
30 出力歯車
31a,31b,31c,31d,31e,31f ベアリング
32a,32b,32c,32d 歪みゲージ
33 ねじ締め工具
34 歪みゲージアンプ

41 トルク検出機構付き自動ねじ締め機
42 モータ
42a 駆動軸
43 ハウジング
44 起歪体
44a 空洞穴
44b 固定端
45 入力軸
46 入力歯車
47 中間軸
48a 第1中間歯車
48b 第2中間歯車
49 出力軸
50 出力歯車
51a,51b,51c,51d,51e,51f ベアリング
52a,52b,52c,52d 歪みゲージ
53 ねじ締め工具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源の駆動に伴って回転する入力軸と、
この入力軸に一体に回転可能に取付けられる入力歯車と、
この入力歯車に噛合する出力歯車と、
この出力歯車を一体に回転可能に保持するとともに、前記入力軸のオフセット位置に配置されて当該入力軸の回転駆動に伴って回転する出力軸と、
この出力軸の先端に取付けられて、ねじ部品に係合可能なねじ締め工具と、
前記入力軸を回転自在に支持するとともに、入力歯車を介して作用する出力軸の回転抵抗に応じて歪む起歪体と、
この起歪体の歪みを検出する歪み検出手段とを
備えることを特徴とするトルク検出機構付き自動ねじ締め機。
【請求項2】
駆動源の駆動に伴って回転する入力軸と、
この入力軸に一体に回転可能に取付けられる入力歯車と、
前記入力軸のオフセット位置に配置されるとともに、入力軸の回転駆動に伴って回転する出力軸と、
この出力軸に一体に回転可能に取付けられる出力歯車と、
前記入力歯車と出力歯車の間に介在して、入力歯車の回転駆動を出力歯車に伝達する一または複数の中間歯車と、
この中間歯車を少なくとも1つを回転自在に支持するとともに、出力歯車を介して作用する出力軸の回転抵抗に応じて歪む起歪体と、
この起歪体の歪みを検出する歪み検出手段とを
備えることを特徴とするトルク検出機構付き自動ねじ締め機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−5592(P2011−5592A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151486(P2009−151486)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000227467)日東精工株式会社 (263)
【Fターム(参考)】