説明

トレイ治具

【課題】多数個のワークの方向を一度に変更することができ、ワークの製造ラインのコスト低減、生産性の向上を図ることができるトレイ治具を提供する。
【解決手段】主面12に1以上の第1開口14を有する第1トレイ16と、主面18に1以上の第2開口20を有する第2トレイ22とを有し、第1トレイ16の主面12と第2トレイ22の主面18とを向かい合わせて重ねることで、第1トレイ16から第2トレイ22にワーク30を移載するトレイ治具10であって、第2トレイ22の第2開口20は、第2トレイ22に形成された第2凹部32の開口であり、第2凹部32の底部32bのうち、第1トレイ16と第2トレイ22とを重ね合わせた際に第1開口14と対向する部分にワーク載置面34が形成され、ワーク載置面34は、第2凹部32の底部32bよりも低い位置に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイ上に並べられた複数の直方体のワークの向きを簡便に変えることができるトレイ治具に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークの向きを90°変える方法として、例えば特許文献1及び2に開示された方法がある。
【0003】
特許文献1に開示された方法は、搬送コンベアで、空の包装箱を開口上向き姿勢で搬送し、その下流側において包装箱を前倒姿勢に反転させながら落下させて90°反転させるようにしている。
【0004】
特許文献2に開示された方法は、例えば1列に並んだ複数の電子部品を実装ヘッドで吸着して、これら電子部品の方向を変更するようにしている。実装ヘッドは、1列に並んだ複数の電子部品の個数と同数の吸着装置を有し、各吸着装置は、電子部品を吸着する吸着ノズルと、吸着ノズルを保持し、且つ、吸着ノズルを回転させるノズル回転装置と、吸着ノズルを軸方向に上下動させるノズル昇降装置とを有する。
【0005】
【特許文献1】特許第3088942号公報
【特許文献2】特開2002−353694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すような従来の方法では、1個ずつシリーズにワークの向きを変えるようにしているため、多数のワークの方向を変える場合、時間がかかり、コストアップにつながるという問題がある。
【0007】
特許文献2に示すような従来の方法では、ワーク1個に対して1つの吸着ノズルを用意する必要があり、しかも、吸着ノズル間にある程度の間隔を置かなければならないことから、装置自体が大型化してしまい、また、装置のメンテナンスにかかる費用も考慮しなければならず、この場合もコストアップにつながるという問題がある。
【0008】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、簡単な構成で多数個のワークの方向を一度に変更することができ、ワークの製造ラインのコスト低減、生産性の向上を図ることができるトレイ治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るトレイ治具は、主面に1以上の第1開口を有する第1トレイと、主面に1以上の第2開口を有する第2トレイとを有し、前記第1トレイの主面と前記第2トレイの主面とを向かい合わせて重ねることで、前記第1トレイから前記第2トレイにワークを移載するトレイ治具であって、
前記第2トレイの前記第2開口は、前記第2トレイに形成された凹部の開口であり、
前記凹部の底部のうち、前記第1トレイと前記第2トレイとを重ね合わせた際に前記第1開口と対向する部分にワーク載置面が形成され、
前記ワーク載置面は、前記凹部の底部よりも低い位置に形成されていることを特徴とする。
【0010】
以下のようにして、ワークの方向を変えることができる。
【0011】
(1) 第1トレイの第1開口内にそれぞれワークを配置する。
【0012】
(2) 第1トレイの主面に第2トレイの主面を重ね合わせるようにして、第2トレイを被せる。
【0013】
(3) 重ね合わされた第1トレイ及び第2トレイの天地を逆転する。すなわち、180°反転させて、第2トレイの上に第1トレイが位置するようにする。このとき、ワークは第2トレイのワーク載置面に載置されることになる。
【0014】
(4) 第1トレイを上方に向けて取り外す。このとき、ワークはワーク載置面上で立った形となる。そして、第2トレイに振動を与えることで、ワークは簡単に意図する方向、すなわち、凹部の底部に向かって倒れ、ワークの方向が変えられることになる。
【0015】
従って、第1トレイ及び第2トレイに多数の開口を設けることで、多数個のワークの方向を一度に変更することができ、ワークの製造ラインのコスト低減、生産性の向上を図ることができる。
【0016】
そして、本発明において、前記ワークの前記ワーク載置面と対向する面の幅方向の長さをW、前記ワーク載置面の前記幅方向の長さをwとしたとき、
W<w<2W
を満足することが好ましい。W≧wだとワークがワーク載置面に入らない。w≧2Wだと、ワークが傾いたときに、意図しない方向にワークが倒れたり、意図した方向に倒れたとしても、倒れた後のワークの位置のばらつきが大きくなる。
【0017】
また、本発明において、前記凹部のうち、前記ワーク載置面の外端を決める内壁面の高さをd1、前記ワークの高さをHとしたとき、
H/5<d1<2H
を満足することが好ましい。1/5H≧d1だと、ワークが意図しない方向に倒れる場合があり、採用できない。d1≧2Hだと、次工程でワークを取り出しにくいという問題がある。すなわち、次工程でワークを取り出す方法として、トレイ反転による方法、真空吸着による方法等が考えられる。d1≧2Hだと、トレイ反転の場合、第2トレイから別のトレイに、トレイ反転でワークを移載する場合に、ワークが反転してしまったり、90°回転したりする場合がある。真空吸着による方法では、ワークを真空吸着した後、水平方向に移動する前に、垂直方向に移動しなければならない距離が大きくなり、ワークの取り出し、移動にかかる時間が長くなるという問題がある。
【0018】
また、本発明において、前記第1開口の周縁部にテーパ部が形成され、前記幅方向に関する前記テーパ部の傾斜角は、対向する前記テーパ部を延長した中心の中心角が1°以上、45°以下となるように設定されていてもよい。この場合、第1トレイの第1開口内にそれぞれワークを入れる際に、容易に入れることができ、時間短縮を有効に図ることができる。
【0019】
また、本発明において、前記第2開口の周縁部のうち、前記ワーク載置面の外端を決める内壁面と対向する周縁部にテーパ部が形成されていてもよい。この場合、第2開口の前記一方向に沿った開口幅を狭くしても、ワークのコーナー部分が第2開口の周縁部に衝突することがなくなり、スムーズに、且つ、ワークにダメージを与えることなく、ワークを第2開口内に落下させることができる。
【0020】
また、本発明において、前記第1トレイの前記第1開口は、前記第1トレイに形成された凹部又は貫通孔の開口であってもよい。特に、貫通孔とした場合は、以下のような手順でワークの方向を変えることが可能となり、工数を減らすことができる。
【0021】
(1) 第2トレイの主面に第1トレイの主面を重ね合わせるようにして、第1トレイを被せる。
【0022】
(2) 第1トレイの貫通孔にそれぞれワークを挿入する。このとき、ワークは第2凹部のワーク載置面に載置されることになる。
【0023】
(3) 第1トレイを上方に向けて取り外す。そして、第2トレイに振動を与えることで、ワークは簡単に意図する方向、すなわち、第2凹部の底部に向かって倒れ、ワークの方向が変えられることになる。
【0024】
また、本発明において、前記ワーク載置面に開口を有するエア吹出用孔と、前記凹部の底部に開口を有するエア吸引用孔とを有するようにしてもよい。エア吹出用孔を通じてエアを吹き出させ、エア吸引用孔を通じてエアを吸引することで、ワークの回転が促進され、ワークは簡単に意図する方向、すなわち、第2凹部の底部に向かって倒れ、ワークの方向が変えられることになる。この場合、ワークの回転を強制的に行うことができるため、容易にワークの方向を変えることができる。
【0025】
また、本発明において、前記ワーク載置面に突起を有するようにしてもよい。この場合、ワークの角部が欠ける等の不都合を回避することができる。
【0026】
また、本発明において、少なくとも前記ワーク載置面の内端を決める段差の角部が面取りされていてもよい。この場合も、ワークの一部が欠ける等の不都合を回避することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明に係るトレイ治具によれば、簡単な構成で多数個のワークの方向を一度に変更することができ、ワークの製造ラインのコスト低減、生産性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係るトレイ治具の実施の形態例を図1〜図13を参照しながら説明する。
【0029】
本実施の形態に係るトレイ治具10は、図1に示すように、主面12に1以上の第1開口14を有する第1トレイ16と、主面18に1以上の第2開口20を有する第2トレイ22とを有する。第1トレイ16には、位置決め用孔24が2つ以上形成され、第2トレイ22には、位置決め用孔24と対応する箇所に位置決め用のピン又は突起26が形成されている。もちろん、第1トレイ16に2つ以上の位置決め用のピン又は突起26を形成し、第2トレイ22に2つ以上の位置決め用孔24を形成するようにしてもよい。
【0030】
第1トレイ16の第1開口14は、図2A及び図2Bに示すように、第1トレイ16に形成された第1凹部28の開口であって、該第1凹部28には、ほぼ直方体あるいは立方体の形状又は各種柱状を有するワーク30が挿入されている。第1凹部28は、ワーク30が収容される凹部本体28aと第1開口14の周縁部に形成されたテーパ部28bとを有する。
【0031】
また、図3Aに示すように、第1開口14を上面から見て、2つの中心線に沿った方向(X方向及びY方向)のうち、幅方向(X方向)に沿った凹部本体28aの開口幅D1は、ワーク30の幅方向の長さWより大きく設定されている。図3Aでは、ワーク30のY方向の長さがX方向(幅方向)よりも大きく設定されているが、その他、図示しないが、Y方向の長さとX方向の長さがほぼ同じでもよいし、Y方向の長さがX方向の長さより小さくてもよい。
【0032】
第2トレイ22の第2開口20は、例えば図2Aに示すように、第2トレイ22に形成された第2凹部32の開口である。図3Bに示すように、第2開口20を上面から見て、2つの中心線に沿った方向(X方向及びY方向)のうち、幅方向(X方向)に沿った開口幅D2は、ワーク30の高さH(図2A参照)より大きく設定されている。第2凹部32の深さh(第2トレイ22の主面18の位置から第2凹部32の底部32bまでの距離)はワーク30の幅方向の長さWよりも大きく設定されている。
【0033】
また、第2凹部32にはワーク載置面34が形成されている。このワーク載置面34は、第2凹部32の底部32bよりも低い位置に形成されており、例えば図2Aに示すように、第1トレイ16の主面12と第2トレイ22の主面18とを向かい合わせて重ねて、第1トレイ16の位置決め用孔24(図1参照)と第2トレイ22の位置決め用のピン又は突起26(図1参照)を一致させたとき(すなわち、第1トレイ16と第2トレイ22とを重ね合わせたとき)、第1凹部28の凹部本体28aと互いに対向するような位置関係となっている。
【0034】
ここで、トレイ治具10の使い方について説明する。
【0035】
(1) 第1トレイ16の第1凹部28内にそれぞれワーク30を挿入する。
【0036】
(2) 第1トレイ16の主面12と第2トレイ22の主面18とを重ね合わせるようにして、第2トレイ22を被せる。ここで、「第1トレイ16の主面12と第2トレイ22の主面18とを重ね合わせる」とは、図2Aに示すように、第1トレイ16の主面12と第2トレイ22の主面18との間に隙間が生じる場合や、図2Bに示すように、第1トレイ16の主面12と第2トレイ22の主面18とが接する場合を含む。
【0037】
(3) 重ね合わされた第1トレイ16及び第2トレイ22の天地を逆転する。
【0038】
すなわち、180°反転させて、図2Aや図2Bに示すように、第2トレイ22の上に第1トレイ16が位置するようにする。このとき、第1トレイ16の第1凹部28に挿入されていたワーク30が第2トレイ22のワーク載置面34に落下することになる。
【0039】
(4) 図2Cに示すように、第1トレイ16を上方に向けて取り外す。
【0040】
このとき、ワーク30はワーク載置面34上で立った形となる。この場合、ワーク載置面34の外端を決める第2凹部32の第1内壁面32aの高さ(第1段差d1)はワーク載置面34の内端を決める第2段差d2よりも大きく設定されているため、第2トレイ22に振動を与えることで、ワーク30は簡単に意図する方向、すなわち、第2凹部32の底部32bに向かって倒れ、図2Cの例では、ワーク30の方向が90°変えられ、ワーク30の第2凹部32の第1内壁面32aに対向していた面30aが上方を向くことになる。なお、ワーク30を倒す方法としては、上述した第2トレイ22に振動を加える方法のほか、第2トレイ22に衝撃を加える方法、第2トレイ22を傾ける方法等がある。
【0041】
このように、トレイ治具10においては、第1トレイ16及び第2トレイ22に多数の第1開口14及び第2開口20を設けることで、多数個のワーク30の方向を一度に変更することができ、ワーク30の製造ラインのコスト低減、生産性の向上を図ることができる。
【0042】
ここで、本実施の形態に係るトレイ治具10の作製過程において案出された比較例に係るトレイ治具100の構成とその問題点について説明する。
【0043】
比較例に係るトレイ治具100は、図4Aに示すように、ワーク載置面34の位置が第2凹部32の底部32bと同じ位置にあり、第2凹部32の底部32b全体が1つの平坦面になっている。
【0044】
この場合、図4Bに示すように、第1トレイ16を取り去った後、第2トレイ22に振動が加わることで、ワーク30の方向が90°変えられて、ワーク30の第2凹部32の第1内壁面32aに対向していた面30a(例えば表側の面とする)が上方を向いたり、図4Cに示すように、面30a(表側の面)が下方を向いたりして、方向転換後のワーク30の表裏が場所によって異なるという不都合が生じる。
【0045】
一方、本実施の形態に係るトレイ治具10は、ワーク載置面34の位置が第2凹部32の底部32bよりも低い位置に存在し、第2凹部32の底部32bに段差(ワーク載置面34による段差)が形成された形となっているため、意図しない方向にワーク30が倒れることを防ぐことができ、一方向にワーク30を倒すことができる。これにより、第2トレイ22において、全てのワーク30の表側の面(第2凹部32の第1内壁面32aに対向していた面30a)が上方に向くこととなる。このように、方向転換後のワーク30の表裏が場所によって異なるということがなくなり、方向転換後のワーク30全ての表裏が揃うことになる。
【0046】
次に、トレイ治具10の好ましい態様について図5〜図13を参照しながら説明する。
【0047】
(A) 上述したように、第1開口14の周縁部にテーパ部28bを形成することが好ましい(図2A参照)。図5に示すように、幅方向(X方向)に関するテーパ部28bの傾斜角は、対向するテーパ部28bを延長した中心28cの中心角θが1°以上、45°以下となるように設定することが好ましい。これにより、第1トレイ16の第1開口14内にそれぞれワーク30を入れる際に、容易に入れることができ、挿入作業にかかる時間の短縮を有効に図ることができる。
【0048】
(B) ワーク30のワーク載置面34と対向する面(下面)の幅方向の長さをW、ワーク載置面34の幅方向の長さをwとしたとき、
W<w<2W
を満足することが好ましい。W≧wだとワーク30がワーク載置面34に入らない。w≧2Wだと、ワーク30が傾いたときに、意図しない方向にワーク30が倒れたり、意図した方向に倒れたとしても、倒れた後のワーク30の位置(ワーク30の下面と第1内壁面32a間の距離等)のばらつきが大きくなる。
【0049】
(C) 第2凹部32のうち、ワーク載置面34の外端を決める第1内壁面32aの高さをd1、ワーク30の高さをHとしたとき、
H/5<d1<2H
を満足することが好ましい。
【0050】
1/5H≧d1だと、ワーク30が意図しない方向に倒れる場合があり、採用できない。
【0051】
d1≧2Hだと、次工程でワーク30を取り出しにくいという問題がある。すなわち、次工程でワーク30を取り出す方法として、トレイ反転による方法、真空吸着による方法等が考えられる。d1≧2Hだと、トレイ反転の場合、第2トレイ22から別のトレイに、トレイ反転でワーク30を移載する場合に、ワーク30が反転してしまったり、90°回転したりする場合がある。真空吸着による方法では、ワーク30を真空吸着した後、水平方向に移動する前に、垂直方向に移動しなければならない距離が大きくなり、ワーク30の取り出し、移動にかかる時間が長くなるという問題がある。
【0052】
(D) 第1凹部28の平面形状及びワーク載置面34の平面形状としては、中央部の幅が両端部の幅よりも小とされた「I」形状とすることが好ましい。一般に、凹部の平面形状が例えば「長方形」形状の場合、凹部のコーナー部に、ある程度のR形状ができる。この場合、ワーク30の角部が、第1トレイ16の第1凹部28のコーナー部分や、第2トレイ22の第2凹部32のコーナー部分に乗り上げて、第1凹部28や第2凹部32に収まらなかったり、第1トレイ16や第2トレイ22の壁面にあたってワーク30の角部が欠けたりするという不具合が発生するおそれがある。第1凹部28の平面形状及びワーク載置面34の平面形状を「I」形状とすることで、第1凹部28及び第2凹部32のコーナー部にR形状が無い状態にできるため、上述のような不具合を防止することができる。これは、以下に示す各種変形例においても同様である。
【0053】
次に、本実施の形態に係るトレイ治具10の変形例について図6A〜図13を参照しながら説明する。
【0054】
図6A〜図6Cに示す第1変形例に係るトレイ治具10aのように、第2開口20の周縁部のうち、ワーク載置面34の外端を決める第1内壁面32aと対向する周縁部にテーパ面36を形成するようにしてもよい。なお、図6A〜図6Cは、上述した実施の形態に係るトレイ治具10(図2A〜図2C)と対応させて図示してある。
【0055】
この場合、ワーク30が第2凹部32の底部32bに向かって倒れる際に、テーパ面36の傾斜に案内されてワーク30が第2凹部32の第1内壁面32aに向かって移動する形となるため、図6Cに示すように、本実施の形態の場合(図2C参照)よりも狭い範囲にワーク30を位置決めすることができる。すなわち、第2凹部32の底部32bを狭く設定することが可能となる。
【0056】
上述した本実施の形態では、第1トレイ16の第1開口14を、第1トレイ16に形成された第1凹部28の開口としたが、その他、図7Aに示す第2変形例に係るトレイ治具10bのように、第1トレイ16に形成された貫通孔38の開口としてもよい。
【0057】
この場合、以下のような手順でワーク30の方向を変えることが可能となり、工数を減らすことができる。
【0058】
(1) 図7Aに示すように、第2トレイ22の主面18に第1トレイ16の主面12を重ね合わせるようにして、第1トレイ16を被せる。
【0059】
(2) 第1トレイ16の貫通孔38にそれぞれワーク30を挿入する。このとき、ワーク30は第2凹部32のワーク載置面34に載置されることになる。
【0060】
(3) 図7Bに示すように、第1トレイ16を上方に向けて取り外す。そして、第2トレイ22に振動を与えることで、ワーク30は簡単に意図する方向、すなわち、第2凹部32の底部32bに向かって倒れ、図7Bの例では、ワーク30の方向が90°変えられ、ワーク30の第2凹部32の第1内壁面32aに対向していた面30aが上方を向くことになる。
【0061】
もちろん、図8に示す第3変形例に係るトレイ治具10cのように、第2トレイ22として、第1変形例に係るトレイ治具10a(図6A及び図6B参照)と同様のテーパ面36を有する第2凹部32が設けられた第2トレイを用いてもよい。
【0062】
第2変形例に係るトレイ治具10b及び第3変形例に係るトレイ治具10cにおいて、第1トレイ16の貫通孔38の上縁部にそれぞれテーパ面40を設けるようにしてもよい。この場合、例えば図9A〜図10Bに示すように、貫通孔38を上面から見た形状(貫通孔38の平面形状)をワーク載置面34を上面から見た形状(ワーク載置面34の平面形状)とほぼ同じにしてもよい。貫通孔38の平面形状及びワーク載置面34の平面形状として、上述した実施の形態と同様に、中央部の幅が両端部の幅よりも小とされた「I」形状とすることが好ましい。これにより、上述した効果に加えて、ワーク30を人間の手であるいはロボットの手で把持しながら貫通孔38を通してワーク載置面34に容易に載置させることができる。
【0063】
また、図11に示す第4変形例に係るトレイ治具10dのように、ワーク載置面34の第1内壁面32a寄りの位置に開口を有する第1エア吹出用孔42aと、第1内壁面32aに開口を有する第2エア吹出用孔42bと、第2凹部32の底部32bに開口を有するエア吸引用孔44を設けるようにしてもよい。そして、第1トレイ16を上方に向けて取り外す際に、第1エア吹出用孔42a及び第2エア吹出用孔42bを通じてエアを吹き出させ、エア吸引用孔44を通じてエアを吸引することで、ワーク30の回転が促進され、ワーク30は簡単に意図する方向、すなわち、第2凹部32の底部32bに向かって倒れ、ワーク30の第2凹部32の第1内壁面32aに対向していた面30aが上方を向くことになる。この場合、ワーク30の回転を強制的に行うことができるため、容易にワーク30の方向を変えることができる。図11では、エア吹出用孔として第1エア吹出用孔42a及び第2エア吹出用孔42bを設けた例を示したが、第1エア吹出用孔42aだけもよい。もしくは第2エア吹出用孔42bだけもよい。
【0064】
また、図12に示す第5変形例に係るトレイ治具10eのように、ワーク載置面34に突起46を設けるようにしてもよい。突起46の位置及び高さは、ワーク30の下面がワーク載置面34に向かって落下する際あるいはワーク載置面34に載置される際に、ワーク30の角部がワーク載置面34に衝突する前あるいは接触する前にワーク30の下面が突起46に当たるように設定することが好ましい。これにより、ワーク30の角部が欠ける等の不都合を回避することができる。
【0065】
また、図13に示す第6変形例に係るトレイ治具10fのように、ワーク載置面34の内端を決める第2段差d2の角部が面取りされた面48であってもよい。面取りされた面48は、図13に示すように、平坦面(C面)でもよいし、図示しないがR面(湾曲面)でもよい。この場合も、ワーク30の一部が欠ける等の不都合を回避することができる。
【0066】
なお、本発明に係るトレイ治具は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施の形態に係るトレイ治具を示す斜視図である。
【図2】図2Aは本実施の形態に係るトレイ治具において、第1トレイの主面と第2トレイの主面とを重ね合わせた1つの例を示す断面図であり、図2Bは第1トレイの主面と第2トレイの主面とを重ね合わせた他の例を示す断面図であり、図2Cは第1トレイを上方に取り外した後、第2トレイに振動を加えて、ワークを回転させて第2トレイの第2凹部の底部に向けて倒す状態を示す断面図である。
【図3】図3Aは第1トレイの第1開口を上面から見て示す平面図であり、図3Bは第2トレイの第2開口を上面から見て示す平面図である。
【図4】図4Aは比較例に係るトレイ治具において、第1トレイの主面と第2トレイの主面とを重ね合わせた状態を示す断面図であり、図4Bはワークの表側の面が上方を向くように倒れる状態を示す断面図であり、図4Cはワークの表側の面が下方を向くように倒れる状態を示す断面図である。
【図5】第1トレイの第1開口の周縁部にテーパ部を形成した構成を示す断面図である。
【図6】図6Aは第1変形例に係るトレイ治具において、第1トレイの主面と第2トレイの主面とを重ね合わせた1つの例を示す断面図であり、図6Bは第1トレイの主面と第2トレイの主面とを重ね合わせた他の例を示す断面図であり、図6Cは第1トレイを上方に取り外した後、第2トレイに振動を加えて、ワークを回転させて第2トレイの第2凹部の底部に向けて倒す状態を示す断面図である。
【図7】図7Aは第2変形例に係るトレイ治具において、第1トレイの第1貫通孔にワークを挿入した状態を示す断面図であり、図7Bは第1トレイを上方に取り外した後、第2トレイに振動を加えて、ワークを回転させて第2トレイの第2凹部の底部に向けて倒す状態を示す断面図である。
【図8】第3変形例に係るトレイ治具において、第1トレイの主面と第2トレイの主面とを重ね合わせた状態を示す断面図である。
【図9】図9Aは第3変形例に係るトレイ治具における第1トレイの貫通孔を上面から見た形状を示す平面図であり、図9Bは第1トレイの断面図である。
【図10】図10Aは第3変形例に係るトレイ治具における第2トレイの第2凹部を上面から見た形状を示す平面図であり、図10Bは第2トレイの断面図である。
【図11】第4変形例に係るトレイ治具の第2トレイを示す断面図である。
【図12】第5変形例に係るトレイ治具の第2トレイを示す断面図である。
【図13】第6変形例に係るトレイ治具の第2トレイを示す断面図である。
【符号の説明】
【0068】
10、10a〜10f…トレイ治具 12、18…主面
14…第1開口 16…第1トレイ
20…第2開口 22…第2トレイ
28…第1凹部 28a…凹部本体
28b…テーパ部 30…ワーク
32…第2凹部 32a…第1内壁面
32b…底部 34…ワーク載置面
36、40…テーパ面 38…貫通孔
42a…第1エア吹出用孔 42b…第2エア吹出用孔
44…エア吸引用孔 46…突起
48…面取りされた面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面に1以上の第1開口を有する第1トレイと、主面に1以上の第2開口を有する第2トレイとを有し、前記第1トレイの主面と前記第2トレイの主面とを向かい合わせて重ねることで、前記第1トレイから前記第2トレイにワークを移載するトレイ治具であって、
前記第2トレイの前記第2開口は、前記第2トレイに形成された凹部の開口であり、
前記凹部の底部のうち、前記第1トレイと前記第2トレイとを重ね合わせた際に前記第1開口と対向する部分にワーク載置面が形成され、
前記ワーク載置面は、前記凹部の底部よりも低い位置に形成されていることを特徴とするトレイ治具。
【請求項2】
請求項1記載のトレイ治具において、
前記ワークの前記ワーク載置面と対向する面の幅方向の長さをW、前記ワーク載置面の前記幅方向の長さをwとしたとき、
W<w<2W
を満足することを特徴とするトレイ治具。
【請求項3】
請求項1又は2記載のトレイ治具において、
前記凹部のうち、前記ワーク載置面の外端を決める内壁面の高さをd1、前記ワークの高さをHとしたとき、
H/5<d1<2H
を満足することを特徴とするトレイ治具。
【請求項4】
請求項2又は3のいずれか1項に記載のトレイ治具において、
前記第1開口の周縁部にテーパ部が形成され、
前記幅方向に関する前記テーパ部の傾斜角は、対向する前記テーパ部を延長した中心の中心角が1°以上、45°以下となるように設定されていることを特徴とするトレイ治具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のトレイ治具において、
前記第2開口の周縁部のうち、前記ワーク載置面の外端を決める内壁面と対向する周縁部にテーパ部が形成されていることを特徴とするトレイ治具。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のトレイ治具において、
前記第1トレイの前記第1開口は、前記第1トレイに形成された凹部又は貫通孔の開口であることを特徴とするトレイ治具。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のトレイ治具において、
前記ワーク載置面に開口を有するエア吹出用孔と、前記凹部の底部に開口を有するエア吸引用孔とを有することを特徴とするトレイ治具。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のトレイ治具において、
前記ワーク載置面に突起を有することを特徴とするトレイ治具。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のトレイ治具において、
少なくとも前記ワーク載置面の内端を決める段差の角部が面取りされていることを特徴とするトレイ治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−91155(P2009−91155A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135266(P2008−135266)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】