説明

トレイ装置

【課題】ユーザが引き出しやすいトレイ装置を提供すること。
【解決手段】トレイ装置50は、画像形成装置本体40にロックされた状態で収納され、画像形成のための用紙を収納する。このようなトレイ装置50は、前面パネル53に取り付けられ、ユーザ操作によりトレイ装置50の引き出し方向に変位する取手55と、トレイ装置50を画像形成装置本体40にロックするロックレバー67と、ロックレバー67と連結された状態で取手55の中央後方に取り付けられ、取手55の変位に応じてロックレバー67を変位させる連動部材63と、取手55の左右両側と連結された状態で該取手55の後方に配置され、該取手55と共に変位して連動部材63を回転させる規制部材65と、を備え、取手55の変位に応じて連動部材63が回転すると、ロックレバー67はロックを解除するように変位する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置で用いられる用紙が積載されるトレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なトレイ装置は、通常時には画像形成装置の本体内に収納され、必要に応じて画像形成装置の本体から引き出し可能に構成される。また、トレイ装置は、通常時に本体から飛び出ないようにロック機構を備えている場合がある。
【0003】
以下、ロック機構を備えたトレイ装置の一例として、下記特許文献1に記載のものを説明する。特許文献1において、トレイ装置は、シートケースと呼ばれている。このシートケースが所定の収納位置にあるとき、該シートケースに取り付けられた係合アームと、画像形成装置の本体に設けられる突起とが互いに係合し、これによって、該シートケースが収納位置にロックされる。また、シートケースに対する取手部材のスライド方向と本体に対するシートケースのスライド方向とは互いに一致しており、係合アームと突起との係合状態は、ユーザがシートケースを本体から引き出す向きと同じ向きに取手部材を引っ張ることにより、その取手部材がシートケースに対してスライドすることによってロック状態が解除される。その後、ユーザが取手部材を更に引っ張ることで、シートケースが本体から引き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−225146号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記取手部材はシートケースの横方向略中央に配置され、係合アーム及び突起は、シートケースに向かって取手部材に対し右側にのみ配置される。したがって、取手部材の右端に指を掛けて引き出そうとした場合、ユーザが加えた力は良好に係合アームに伝わる。しかしながら、逆に、取手部材の左端に指を掛けて引き出そうとした場合、取手部材の左端のスライド量はその右端のスライド量よりも多くなるため、ユーザが加えた力が係合アームに伝わりにくく、係合アームの回転量が相対的に少なくなる。このように、従来のシートケースでは、ユーザが取手部材を握る場所により、係合アームの回転量に偏りが生じてしまう場合がある。この偏りにより、ユーザがシートケースを引き出しにくくなるという問題点があった。
【0006】
それゆえに、本発明の目的は、ユーザが引き出しやすいトレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態であるトレイ装置は、画像形成装置本体にロックされた状態で収納され、画像形成のための用紙を収納する。トレイ装置は、前面パネルと、前記前面パネルに取り付けられ、ユーザ操作により前記トレイ装置の引き出し方向に変位する取手と、前記トレイ装置を前記画像形成装置本体にロックするロックレバーと、
前記ロックレバーと連結された状態で前記取手の中央後方に取り付けられ、前記取手の変位に応じて前記ロックレバーを変位させる連動部材と、前記取手の左右両側と連結された状態で該取手の後方に配置され、該取手と共に変位して前記連動部材を回転させる規制部材と、を備えている。ここで、前記取手の変位に応じて前記連動部材が回転すると、前記ロックレバーは前記ロックを解除するように変位する。
【0008】
また、本発明の他の態様であるトレイ装置は、画像形成装置本体にロックされた状態で収納され、ユーザ操作により該本体から引き出される。トレイ装置は、前面パネルと、前記前面パネルに取り付けられ、ユーザ操作により前記トレイ装置の引き出し方向に変位する取手と、前記トレイ装置を前記画像形成装置の本体にロックするロックレバーと、前記ロックレバーと連結された状態で、前記取手中央に対し左右後方に取り付けられ、前記取手の変位に応じて前記ロックレバーを変位させる少なくとも2つの連動部材と、前記取手の左右両側と連結された状態で該取手の後方に配置され、該取手と共に変位して前記連動部材を回転させる規制部材と、を備えている。ここで、前記取手の変位に応じて前記連動部材が回転すると、前記ロックレバーは前記ロックを解除するように変位する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の各形態によれば、ユーザが引き出しやすいトレイ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置の構成を示す模式図である。
【図2】第1実施形態のトレイ装置の概略的な構成を示す斜視図である。
【図3】ロック機構の構成を示す正面図である。
【図4A】ロック機構の構成を示す上面図である。
【図4B】トレイ装置の収納時におけるロック孔を示す上面図である。
【図5】ロック機構の構成を示す右側面図である。
【図6】ロック機構の構成を示す左側面図である。
【図7】前面パネル背面側を示す斜視図である。
【図8】前面パネル背面に取り付けられる連動部材を示す斜視図である。
【図9】規制部材と取手を連結する連結部材を示す斜視図である。
【図10】第2支持部材を示す斜視図である。
【図11】第2実施形態に係るトレイ装置が備えるロック機構の構成を示す上面図である。
【図12】第3実施形態に係るトレイ装置が備えるロック機構の構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態に係るトレイ装置について、添付図面を参照して説明する。
【0012】
<<画像形成装置の概略構成>>
まず、各トレイ装置を適用可能な画像形成装置について説明する。図1において、画像形成装置は、例えば、タンデム方式の電子写真法を用いたカラープリンタであり、大略的に、Y,M,C,Kの各色のトナー画像を形成するためのプロセスユニット10(10Y,10M,10C,10K)と、中間転写ユニット20と、記録用紙を収容した例えば2段の給紙ユニット30と、定着ユニット35と、を本体40に備えている。
【0013】
各プロセスユニット10は、それぞれ、感光体ドラム11、帯電チャージャ12、露光装置13、現像器14、感光体ドラム11のクリーニング装置15などを配置したもので、露光装置13から照射される光によってそれぞれの感光体ドラム11上に描画される静電潜像を現像器14で現像して各色のトナー画像を形成する。
【0014】
中間転写ユニット20は、矢印Z方向に無端状に回転駆動される中間転写ベルト21を備え、各感光体ドラム11と対向する1次転写ローラ22から付与される電界にて、各感光体ドラム11上に形成されたトナー画像を中間転写ベルト21上に1次転写して合成する。なお、このような電子写真法による画像形成プロセスは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0015】
本体40の下部には、例えば2段構成の給紙ユニット30が配設される。給紙ユニット30は、後述のトレイ装置50を内部に収納し、トレイ装置50内に積載された用紙を1枚ずつ取り出す。取り出された各用紙は、給紙ユニット30に備わる給紙ローラ31と捌きローラ32とのニップ部から、タイミングローラ対33を介して前記中間転写ベルト21と2次転写ローラ25とのニップ部に搬送され、ここでトナー画像(合成カラー画像)が2次転写される。その後、用紙は定着ユニット35に搬送されてトナーの加熱定着を施され、排紙ローラ対38から装置本体の上面に配置されたトレイ部5に排出される。
【0016】
さらに、本体40の側部には両面プリント用の搬送ユニット39が設置されている。第1面に画像を形成された用紙は、第2面にも画像を形成する場合、排紙ローラ対38から矢印Bで示すようにいったん外部に送り出され、その後、排紙ローラ対38を逆転させることで逆方向に搬送(スイッチバック)され、用紙搬送ユニット39を経由してタイミングローラ対33まで戻される。
【0017】
<<第1実施形態>>
次に、図2〜図10を参照して、第1実施形態に係るトレイ装置50について説明する。トレイ装置50は、例えば画像形成時のような通常時には本体40の内部に収納されているが、用紙補充時等には、ユーザの操作により、図2等に示す引出方向yに沿って引き出し可能に構成される。図2には、トレイ装置50が引き出された状態が示される。以下の説明では、通常時におけるトレイ装置50の位置を収納位置と称する。また、略水平面内であって引出方向yと垂直な方向を横方向xと称する。ここで、横方向xについては、用紙の供給方向を正方向とする。また、方向y,xの双方に対し垂直な方向を縦方向zと称する。
【0018】
図2〜図10に示すように、トレイ装置50は、用紙収納部51と、前面パネル53と、取手55と、ロック機構収納部57と、ロック機構59と、を備える。用紙収納部51は、大略的には、上方が開口する箱状の形を有する。用紙収納部51の底面上には、記録用紙が積載される。前面パネル53は、用紙収納部51の前面側(つまり、装置本体40の前面側)に取り付けられる。取手55は、前面パネル53の所定位置に取り付けられる。この取手55に指を掛けて、ユーザは、本体40に向かって手前側(つまり、図2の引出方向y)に引くことにより、トレイ装置50を装置本体40から引き出す。ここで、以下の説明の便宜のため、横方向xに沿う取手55の略中央を通過する断面を、図3等に示すように縦中心面Vと称する。
【0019】
ロック機構収納部57は、ロック機構59を収納可能な箱状の形を有し、例えば、用紙収納部51の底面及び右側面と、前面パネル53の背面とに沿って配設される。なお、ロック機構収納部57は、図2、図5及び図6には実線で示されるが、図4Aでは、内部に備わるロック機構59を明確に示す観点から、ロック機構収納部57は点線で示される。
【0020】
ロック機構59は、一点鎖線で描かれた枠内(図4A等を参照)に示されている。ロック機構59は、第1支持部材61と、連動部材63と、規制部材65と、ロックレバー67と、第2支持部材69と、ロックピン71と、コイルばね73とを、ロック機構収納部57の内部に備えている。また、ロック機構59は、図4Bに示すように、装置本体40側に形成されたロック孔75を備えている。
【0021】
第1支持部材61は、図4A等に示されるように、前面パネル53の背面側で取手55の背後に固設される。第1支持部材61の横方向xに沿う略中央に連動部材63が取り付けられる。また、第1支持部材61には、図7等に示すように上面視で半円形状の凹部611が形成される。凹部611は、縦中心面Vに対し対称な形状を有しており、後述する第2円柱部材82が填まり込むことが可能な径を有する。
【0022】
また、図8等に示すように、第1〜第3円柱部材81〜83が略三角形形状の2つの平板で両持ち支持された構造を連動部材63は有する。ここで、第1円柱部材81及び第3円柱部材83間の距離d2は、第1円柱部材81及び第2円柱部材82間の距離d1よりも大きいことが好ましい。
【0023】
第1円柱部材81は、自身の中心軸が縦方向zに沿うようにかつ中心軸回りに回転可能なように第1支持部材61に取り付けられる。これにより、連動部材63は、第1円柱部材81を中心として回転する。本実施形態では、第1円柱部材81のより詳細な取付位置は、縦中心面Vから本体40に向かって右側にオフセットした位置である。また、第2円柱部材82は、連動部材63の回転により第1支持部材61に形成された凹部611に填まり込むように構成される。
【0024】
規制部材65は、図7等に示すように、横方向xに長い長方形状の平板である。また、図9に示すように、規制部材65の左右端には1つずつ連結部材651a、651bが取り付けられる。連結部材651a、651bは、第1支持部材61の両側に1つずつ形成された貫通孔を通って、取手55の両端と連結される。ここで、連結棒651a、651bの長さは、対応する貫通孔の長さより所定量だけ大きい。この構成により、取手55は前面パネル53に対し変位可能になる。また、図7等に示すように、第1支持部材61と規制部材65の間には空間が形成される。かかる空間を第2円柱部材82が通過するが、第3円柱部材83が通過しないように、連動部材63は取り付けられる。従って、連動部材63の回転量は、規制部材65と第1支持部材61により規制される。
【0025】
ロックレバー67は、横方向に長尺な棒状の形状を有する。ロックレバー67の一方端には、図7等に示すように、第3円柱部材83に引っかかる第1フック68が取り付けられる。また、ロックレバー67の他方端には、図4A等に示すように、ロックピン71が取り付けられ、さらに、ロックレバー67の途中には、後述のコイルばね73を引っ掛けるための第2フック70が設けられている。以上のロックレバー67は、第2支持部材69によって、横方向xに実質的に平行に支持される。
【0026】
第2支持部材69は、図10等に示すように前面パネル53の背面に固定される。第2支持部材69にはロックレバー67を挿通可能な貫通孔が形成される。また、第2支持部材69には、コイルばね73を引っ掛けるために、第2フック70と横方向xに並ぶ第3フック72が設けられている。このようなコイルばね73により、ロックレバー67(特にロックピン71)は、横方向x(より具体的には、ロック孔75の方向)に付勢される。
【0027】
ロックピン71は、図5等に示すように、用紙収納部51の右側面に形成された貫通孔52に挿通される。ここで、図4Bを参照する。図4Bには、トレイ装置50の収納位置における装置本体40の一部とロック機構59とが示されている。この収納位置でロックピン71に対向する位置にロック孔75が形成される。
【0028】
本トレイ装置50において、収納位置ではロックピン71とロック孔75とが互いに対向する位置にある。また、コイルばね73でロックピン71は付勢されている。したがって、ロックピン71がロック孔75に填まり込み、これによって、トレイ装置50は本体40から飛び出ないようにロックされる。
【0029】
それに対し、ユーザは、トレイ装置50を収納状態から引き出す際、取手55を握って引出方向yに引っ張る。これにより、図4Bに示すように、取手55が引出方向yに変位して、規制部材65が第2円柱部材82を同方向yに押すことになる。その結果、連動部材63の第3円柱部材83は、第1円柱部材81を中心に反時計回りに回動する。第1円柱部材81の回動により、ロックレバー67は、横方向xと逆向きに引っ張られ、その結果、ロックピン71はロック孔75から抜けてロックが解除される。ユーザがトレイ装置50をさらに引っ張り続けると、トレイ装置50は、例えば図2に示すように本体40の外に引き出される。
【0030】
本トレイ装置50によれば、連動部材63が取手55の略中央に対向する位置に配置される。したがって、取手55の右端に指を掛けて引き出そうとした場合でも、左端に指を掛けて引き出そうとした場合でも、実質的に差の無い力が規制部材65から連動部材63へと伝達される。つまり、いずれの場合でも、ロックレバー67の変位量は実質上同じにすることが可能となる。このように、本実施形態によれば、取手55の握り位置によるロックレバー67の変位量のバラツキを最低限に抑え、引き出し時の操作感の違いを低減することができる。これにより、従来よりも引き出し易く、操作性の良好なトレイ装置50を提供することが可能となる。
【0031】
ここで、本実施形態では、より好ましい構成として、第2円柱部材82の移動軌跡が上面視で縦中心面Vと実質的に接するか交差するよう構成される。そのため、取手55の右端に指を掛けて引き出そうとした場合でも、左端に指を掛けて引き出そうとした場合でも、連動部材63にはほぼ均等の力が加わるようにすることができる。これによって、ロックレバー67の変位量をより均等化することが可能となる。
【0032】
特に、給紙ユニット30(図1参照)において、用紙は、給紙ローラ31及び捌きローラ32(図1参照)側に寄せて積載されるため、その重心位置は装置本体40の片側(例えば右側)に偏る。そのため、握り位置の相違による引き出し時の操作感の違いを低減するためには、ロックレバー67の変位量のバラツキを最小限に抑えることは非常に重要である。
【0033】
また、握り位置によりロックレバー67の変位量に大きなバラツキが生じると、最小の変位量であってもロックを解除できるように、ロック機構59を設計する必要が生じる。しかし、本トレイ装置50ではかかるバラツキを最小化できるため、ロックピン71の突出量を最小化できる。したがって、ロック機構59の占有面積を小さくすることができ、トレイ装置50内のスペースを有効利用できるようになる。さらに、ロックピン71の突出量の最小化により、トレイ装置50が収納位置に来た時に、ロックピン71がロック孔75に填まり込む際の衝突音の音量や衝撃の大きさも抑えることが可能となる。これにより、例えば給紙ユニット30が多段構成の場合に、他のトレイ装置50からの用紙に画像形成に悪影響を及ぼさないようにすることができる。
【0034】
また、用紙収納部51に積載される用紙と、給紙ユニット30に備わる給紙ローラ31と捌きローラ32とのニップ部との位置合わせを容易にするため、ロックピン71及びロック孔75は、ローラ31と捌きローラ32と同じ側にあることが好ましい。本実施形態では、これらは、装置本体40に向かって右側に配置されている。
【0035】
また、本実施形態では、用紙収納部51における用紙の積載位置と前面パネル53の背面との間にロック機構59が配置されている。ここで、ロックレバー67が横方向xと平行に変位するよう、ロック機構59は構成されることが好ましい。これにより、ロック機構59を小型化して、その占有面積を小さくできる。
【0036】
また、より少ない取手55の変位でロックピン71を大きく変位させるため、第3円柱部材83の回転半径の方が第2円柱部材82のそれよりも大きいことが好ましい。
【0037】
<<第2実施形態>>
次に、第2の実施形態について説明する。図11に示すように、第2の実施形態に係るトレイ装置90は、前述のトレイ装置50と比較すると、連動部材63a,63bが縦中心面Vに対し左右両側に設けられており、ロックレバー67aがそれぞれの連動部材63a,63bに引っかかる係る2つのフック68a,68bを備える点で相違する。それ以外にトレイ装置90には、トレイ装置50との相違点はないので、共通点の説明は省略する。
【0038】
本実施形態に係るトレイ装置によれば、取手の右寄りに指を掛けて引き出そうとした場合には、主として右側の連動部材63bにより、規制部材を押すことになる。逆に、左寄りに指を掛けた場合には、主として左側の連動部材63aが機能する。これによっても、ロックレバー67aの変位量の差をより抑えることが可能となり、より引き出し易く操作性の良好なトレイ装置90を提供することが可能となる。
【0039】
なお、連動部材の個数及びロックレバーのフックの個数は2つに限らず、3個以上であっても構わない。
【0040】
<<第3実施形態>>
次に、第3の実施形態について説明する。図12に示すように、第3の実施形態に係るトレイ装置100は、大略的には、前述のトレイ装置50と比較すると上面視で円弧状に形成された第1支持部材61aを備える点で相違する。それ以外にトレイ装置100にはトレイ装置50との相違点はないので、共通点の説明を省略する。
【0041】
第1支持部材61aをさらに具体的に説明する。第1支持部材61aの端部と規制部材65の端部との間の距離d3が、第1支持部材61aの中央部分と規制部材65の中央部分との間の距離d4よりも大きくなるよう、第1支持部材61aは構成される。
【0042】
上記構成により、規制部材65において取手55の両端部分との対向箇所の変位量は、該取手55の中央部分との対向箇所の変位量よりも大きくなる。より詳しく説明すると、ユーザが取手55の中央を引っ張ると、取手55自体の変位量は相対的に小さくなるが、取手は斜めに傾くことなく引き出される。この場合、取手55自体の変位量に基づき、規制部材65が第2円柱部材82を押し、ロックレバー67は変位する。
【0043】
上記に対し、取手55端部を引っ張ると、d3>d4と設定され、かつ取手55は斜めに傾いた状態で引き出されるため、取手55自体の変位量は相対的に大きくなる。しかし、本トレイ装置100によれば、取手55自体の変位量から取手55の傾き分が差し引かれた変位量に基づき、規制部材65が第2円柱部材82を押し、これに応じてロックレバーは変位する。このように、d3>d4と調整することにより、握り位置によるロックレバーの変位量差をより抑えることが可能となる。
【0044】
なお、以上の説明では、第1支持部材61aの上面視形状は円弧状として説明したが、これに限らず、第1支持部材61aは、上述のようにd3がd4よりも大きくなるような上面視形状を有していればよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係るトレイ装置は、ユーザが引き出しやすく構成されており、タンデム方式の電子写真プリンタ以外に、複写機、ファクシミリ、これらの複合機等に適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
40 画像形成装置の本体
31,32 給紙ローラ,捌きローラ(ニップ部)
50 トレイ装置
53 前面パネル
55 取手
61,61a 第1支持部材
63,63a,63b 連動部材
65 規制部材
67,67a ロックレバー
71 ロックピン
75 ロック孔
81,82,83 第1円柱部材,第2円柱部材,第3円柱部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体にロックされた状態で収納され、画像形成のための用紙を収納するトレイ装置であって、
前面パネルと、
前記前面パネルに取り付けられ、ユーザ操作により前記トレイ装置の引き出し方向に変位する取手と、
前記トレイ装置を前記画像形成装置本体にロックするロックレバーと、
前記ロックレバーと連結された状態で前記取手の中央後方に取り付けられ、前記取手の変位に応じて前記ロックレバーを変位させる連動部材と、
前記取手の左右両側と連結された状態で該取手の後方に配置され、該取手と共に変位して前記連動部材を回転させる規制部材と、を備え、
前記取手の変位に応じて前記連動部材が回転すると、前記ロックレバーは前記ロックを解除するように変位することを特徴とする、トレイ装置。
【請求項2】
画像形成装置本体にロックされた状態で収納され、ユーザ操作により該本体から引き出されるトレイ装置であって、
前面パネルと、
前記前面パネルに取り付けられ、ユーザ操作により前記トレイ装置の引き出し方向に変位する取手と、
前記トレイ装置を前記画像形成装置の本体にロックするロックレバーと、
前記ロックレバーと連結された状態で、前記取手中央に対し左右後方に取り付けられ、前記取手の変位に応じて前記ロックレバーを変位させる少なくとも2つの連動部材と、
前記取手の左右両側と連結された状態で該取手の後方に配置され、該取手と共に変位して前記連動部材を回転させる規制部材と、を備え、
前記取手の変位に応じて前記連動部材が回転すると、前記ロックレバーは前記ロックを解除するように変位することを特徴とする、トレイ装置。
【請求項3】
前記ロックレバーは、前記トレイ装置を前記画像形成装置本体にロックするためのロックピンを有し、
前記画像形成装置本体には、前記トレイ装置に収納された用紙を給紙するためのニップ手段と、前記ロックピンが填まり込むよう形成されたロック孔とが備わっており、
前記ロックピン、前記ロック孔及び前記ニップ手段は、前記画像形成装置本体に向かって互いに同じ側に配置されていること、
を特徴とする、請求項1又は2に記載のトレイ装置。
【請求項4】
前記ロックレバーは、棒状の形状を有し、前記トレイ装置に収納された用紙の一辺と略平行に配置されていること、
を特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のトレイ装置。
【請求項5】
前記連動部材は、2枚の平板にて第1〜第3円柱部材が両持ち支持された構造を有し、
前記第1円柱支持部材は、自身の軸回りに回転可能に、前記前面パネルの背面側に取り付けられ、
前記第2円柱部材は、前記取手の変位に応じて前記規制部材により押され、前記第1円柱部材を中心に回転し、さらに、
前記第3円柱部材は、前記第2円柱部材の回転に応じて、前記ロックレバーを変位させること、
を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のトレイ装置。
【請求項6】
前記第3円柱部材の回転半径は、前記第2円柱部材の回転半径よりも大きいこと、
を特徴とする、請求項5に記載のトレイ装置。
【請求項7】
前記規制部材において、前記取手の両端部分に対向する箇所の変位可能な量は、前記取手の中央部分と対向する箇所の変位可能な量よりも大きいこと、
を特徴とする請求項1、3〜6のいずれかに記載のトレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図4B】
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【図11】
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【図3】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−52944(P2013−52944A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190782(P2011−190782)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】