説明

トレーラー

【課題】 動力車との連結の有無を問わず、トレーラーそれ自体がメインフレームに対して荷台全体を後傾・後動可能な昇降機能を持つところのトレーラーを提供すること。
【解決手段】 トレーラー本体1後端に荷台保持部6後端を軸支して起伏動可能に備え、荷台保持部6に荷台11を前後方向にスライド可能に備えると共に、荷台保持部6に配設した荷台スライド駆動用シリンダ8の駆動軸9先端を荷台11底部に連結し、荷台11前部に荷台上下駆動用シリンダ14を配設し、このシリンダ14の駆動軸15下端の作動子16をトレーラー本体1のガイドレール4に沿い上下方向への動きを規制された状態で前後方向に移動可能に備えてある。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は動力車に牽引されるトレーラーに関し、ブルドーザー等の重機の運搬に適していて且つ動力車と連結した状態で積み降ろし容易なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のトレーラーでは、積み降ろし作業を容易にするため、荷台の前部左右における可動脚を、シリンダで上下動可能にすると共に、他のシリンダで前後方向に振子動可能に備えてある態様のもの(特公昭56-54254号公報参照)と、荷台後端に歩み板をシリンダで起伏動可能に備えた態様のもの(実公昭57-15065号公報参照)がある。
【0003】
前者のものでは、積み降ろしに際して、可動脚を地面に降ろしてトレーラー前部を上げて動力車との連結状態を解いた後、可動脚を引き上げて荷台を前傾させるようにしてあるもので、荷台全体が前傾するため、比較的安全に積み降ろしすことができる。しかし、荷台を積み降ろし態勢に整えるには、先ず動力車との連結を解かなければならず、その作業と手間がかかる問題があった。
【0004】
一方、後者のものでは、歩み板を揺動させて地面に降ろすことにより、動力車と連結した状態でも積み降ろしできる。ところが、歩み板を降ろした時、水平状の荷台面に対して歩み板が後傾することにより、例えばブルドーザー等が荷台側から歩み板側へ或いは反対に歩み板側から荷台側へそれぞれ移動する際に前後方向に揺れ動き、この揺れ動きを最小限に抑えるため慎重な作業を要求される。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
解決しようとする課題は、動力車との連結の有無を問わず、トレーラーそれ自体がメインフレームに対して荷台全体を後傾・後動可能な昇降機能を持つところのトレーラーを提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案は前記した課題を達成するため、トレーラー本体後端に荷台保持部後端を軸支して起伏動可能に備え、この荷台保持部に荷台を前後方向にスライド可能に備えると共に、荷台保持部に配設した荷台スライド駆動用シリンダの駆動軸先端を荷台底部に連結し、荷台前部に荷台上下駆動用シリンダを配設し、この荷台上下駆動用シリンダの駆動軸下端の作動子を前記トレーラー本体のガイドレールに沿い上下方向への動きを規制された状態で前後方向に移動可能に備えてあることを特徴とする。
また本考案では、荷台上下駆動用シリンダが荷台前部左右に配設されていて、この荷台上下駆動用シリンダの駆動軸下端の作動子がトレーラー本体の左右側方に配設したガイドレールに沿い夫々上下方向への動きを規制された状態で前後方向に移動可能に備えてあることを特徴とする。
【0007】
【実施例】
図1乃至図7には本考案のトレーラーの実施の1形態を例示しており、トレーラー本体1は前部に動力車(図示せず)との連結部2を備える一方、後部のメインフレーム3後端には荷台保持部6後端を軸19で軸支して起伏動可能に備えてある。
この荷台保持部6には左右側面にそれぞれガイドローラー7を等間隔状に配設してあり、この左右の各ガイドローラー7には同ローラーと対応するように内側に向けて開口している断面略コ形状の左右のガイドレール12を備えた荷台11を前後方向にスライド可能に備えると共に、荷台保持部6に配設した荷台スライド駆動用シリンダ8の駆動軸9先端を荷台11底部に垂設されているブラケット13に連結し、同シリンダ8の駆動力を受けて荷台11が後動および復動可能にしてある。
【0008】
そして、荷台11前部左右にはそれぞれ荷台上下駆動用シリンダ14を立設し、この左右の荷台上下駆動用シリンダ14からメインフレーム3外側面脇に垂下している駆動軸15下端にはローラー16を軸支して配設してある。このローラー16は左右のメインフレーム3の前部外側面における外側に向けて開口状の断面略コ形状ガイドレール4に沿い上下方向への動きを規制された状態で前後方向に転動可能に備えてあり、荷台上下駆動用シリンダ14の駆動力を受けて荷台11が後傾および復動可能にしてある。
【0009】
また、左右の駆動軸15下端には継ぎ軸20を架設してあり、この継ぎ軸20は左右のメインフレーム3とガイドレール4における前後方向の長孔5を貫通していて、ローラー16の前後方向への移動を妨げないようにしてある。
【0010】
これにより、トレーラー本体1そのものに同本体に対して荷台11を後傾・後動可能な昇降要素を配備できて、動力車との連結の有無を問わず、荷台11を後傾・後動させて荷台11全体が後傾状態を呈した積み降ろし態勢を整えることができる。
そして、トレーラー本体1に対して荷台11を荷台スライド駆動用シリンダ8および荷台上下駆動用シリンダ14によって、後動、後傾、後動・後傾のいずれかに作動させることができ、積み降ろし場所に応じた適正な対応が可能であると共に、後動・後傾を同時に並行して行えるので迅速に作業できる。
さらに、荷台上下駆動用シリンダ14を荷台11前部左右に配設して、この荷台上下駆動用シリンダ14の駆動軸15下端のローラー16をトレーラー本体1の左右側方に配設したガイドレール4に沿い夫々上下方向への動きを規制された状態で前後方向に移動可能に備えてあるため、荷台11全面がその左右方向の水平度を保たれて、安定した積み荷姿勢で運搬できると共に、荷台11全体が後傾した積み降ろし時において、荷台11全面の左右方向の水平度が保ち続けられるので、積み荷が左右へ傾かない状態で安全に積み降ろしできる。
また、左右の駆動軸15下端には継ぎ軸20を架設してあるため、荷台11の後動、後傾、後動・後傾時における両駆動軸15下端の左右間隔を常に一定に保ち続けることができ、ガイドレール4とローラー16の良好な関係が継続されて、故障のない円滑な荷台11動作を得ることができる。
【0011】
図8および図9には本考案のトレーラーの実施の他の1形態を例示しており、構成は前記第1実施例のものと基本的に同じであるため、共通している構成の説明を省略して、相違する構成について説明する。
【0012】
荷台保持部6における左右側部を内側に向けて開口している断面略コ形状ガイドレール10で形成してあり、このガイドレール10で荷台11底部から垂下した垂れ部17のローラー18を前後方向に転動可能に案内して、荷台11が荷台スライド駆動用シリンダ8の駆動力を受けて後動および復動可能にしてある。
これにより、前記第1実施例のものと同様の効果がある。
【0013】
【考案の効果】
A.請求項1により、トレーラー本体後端に荷台保持部後端を軸支して起伏動可能に備え、この荷台保持部に荷台を前後方向にスライド可能に備えると共に、荷台保持部に配設した荷台スライド駆動用シリンダの駆動軸先端を荷台底部に連結し、荷台前部に荷台上下駆動用シリンダを配設し、この荷台上下駆動用シリンダの駆動軸下端の作動子を前記トレーラー本体のガイドレールに沿い上下方向への動きを規制された状態で前後方向に移動可能に備えてあるため、トレーラー本体そのものに同本体に対して荷台を後傾・後動可能な昇降要素を配備できて、動力車との連結の有無を問わず、荷台を後傾・後動させて荷台全体が後傾状態を呈した積み降ろし態勢を整えることができる。
B.同項により、トレーラー本体に対して荷台を荷台スライド駆動用シリンダおよび荷台上下駆動用シリンダによって、後動、後傾、後動・後傾のいずれかに作動させることができ、積み降ろし場所に応じた適正な対応が可能であると共に、後動・後傾を同時に並行して行えるので迅速に作業できる。
C.請求項2により、前記荷台上下駆動用シリンダを荷台前部左右に配設して、この荷台上下駆動用シリンダの駆動軸下端の作動子をトレーラー本体の左右側方に配設したガイドレールに沿い夫々上下方向への動きを規制された状態で前後方向に移動可能に備えてあるため、荷台全面がその左右方向の水平度を保たれて、安定した積み荷姿勢で運搬できると共に、荷台全体が後傾した積み降ろし時において、荷台全面の左右方向の水平度が保ち続けられるので、積み荷が左右へ傾かない状態で安全に積み降ろしできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案のトレーラーの実施の1形態を例示している側面図。
【図2】 平面図。
【図3】 図2のA−A部分拡大縦断面図。
【図4】 図2のB−B拡大縦断面図。
【図5】 図2のC−C拡大縦断面図。
【図6】 図2のD−D拡大縦断面図。
【図7】 荷台を後動・後傾した状態の側面図。
【図8】 本考案のトレーラーの実施の他の1形態を例示している部分拡大縦断面図。
【図9】 図8のE−E拡大縦断面図。
【符号の説明】
1 トレーラー本体
2 連結部
3 メインフレーム
4 メインフレームのガイドレール
5 メインフレームとガイドレールの長孔
6 荷台保持部
7 荷台保持部のガイドローラー
8 荷台保持部の荷台スライド駆動用シリンダ
9 荷台スライド駆動用シリンダの駆動軸
10 荷台保持部のガイドレール
11 荷台
12 荷台のガイドレール
13 荷台のブラケット
14 荷台の荷台上下駆動用シリンダ
15 荷台上下駆動用シリンダの駆動軸
16 ローラー(作動子)
17 荷台の垂れ部
18 垂れ部のローラー
19 軸
20 継ぎ軸

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 トレーラー本体後端に荷台保持部後端を軸支して起伏動可能に備え、この荷台保持部に荷台を前後方向にスライド可能に備えると共に、荷台保持部に配設した荷台スライド駆動用シリンダの駆動軸先端を荷台底部に連結し、荷台前部に荷台上下駆動用シリンダを配設し、この荷台上下駆動用シリンダの駆動軸下端の作動子を前記トレーラー本体のガイドレールに沿い上下方向への動きを規制された状態で前後方向に移動可能に備えてあることを特徴とするトレーラー。
【請求項2】 荷台上下駆動用シリンダが荷台前部左右に配設されていて、この荷台上下駆動用シリンダの駆動軸下端の作動子がトレーラー本体の左右側方に配設したガイドレールに沿い夫々上下方向への動きを規制された状態で前後方向に移動可能に備えてあることを特徴とする請求項1記載のトレーラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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