トロイダルコイル
【課題】周回ワイヤの間の間隔を均一にして外観上の見栄えを向上させるとともに放熱特性を向上する。
【解決手段】トロイダルコイル10は、閉磁路を形成するリングコア13と、周方向に沿ってリングコア13に螺旋状に巻回されたワイヤ14とを備える。リングコア13の外周に突起16が周方向に所定の間隔kを空けて連続して複数形成され、突起16間の隙間に螺旋状に巻回するワイヤ14を順次通過させる。リングコア13の外周に形成される突起16の個数を螺旋状に巻回されたワイヤ14の巻回数に一致させ、ワイヤ14の断面は幅が厚さよりも大きな長方形を成し、突起16間の所定の隙間が厚さより大きく幅よりも小さい。リングコア13が、トロイダルコア13aと、トロイダルコア13aを収容する円環状の樹脂ケース13b,13cとを備え、樹脂ケースの外周に突起16が形成される。
【解決手段】トロイダルコイル10は、閉磁路を形成するリングコア13と、周方向に沿ってリングコア13に螺旋状に巻回されたワイヤ14とを備える。リングコア13の外周に突起16が周方向に所定の間隔kを空けて連続して複数形成され、突起16間の隙間に螺旋状に巻回するワイヤ14を順次通過させる。リングコア13の外周に形成される突起16の個数を螺旋状に巻回されたワイヤ14の巻回数に一致させ、ワイヤ14の断面は幅が厚さよりも大きな長方形を成し、突起16間の所定の隙間が厚さより大きく幅よりも小さい。リングコア13が、トロイダルコア13aと、トロイダルコア13aを収容する円環状の樹脂ケース13b,13cとを備え、樹脂ケースの外周に突起16が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リングコアと、そのリングコアの周方向に螺旋状に巻回させたワイヤとを備えるトロイダルコイルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ノイズフィルター等に用いられるリング状のトロイダルコイルは、リングコアの内径と鎖交するシャトルリングにワイヤを一定量貯線し、巻終わり端をリングコアに固定して、シャトルリングをリングコアの周りを周回させながら巻線を施していた。しかし、この巻線方法では、ワイヤが細くて柔らかい場合はともかく、電流容量の大きい太く硬いワイヤは、巻線に大きなトルクが必要となるため、シャトルリングを小さい内径のリングコアの中央孔を通して周回させ、ワイヤをリングコアに巻き付けることが困難になり、電流容量の大きいトロイダルコイルの小型化には限界があった。
【0003】
この点を解消するために、図15に示すように、所定の巻芯を用いた巻線機でワイヤ4を螺旋状に巻回して真直ぐなソレノイドコイル2に予め形成しておき、そのソレノイドコイル2の一端の略1ターン2aを、フェライト又は鉄芯等のリングコア3に絡め、実線矢印で示すように巻き方向に回転させながら巻き移してなるトロイダルコイルの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この製造方法では、予め巻線機で巻線するため、比較的太いワイヤ4であっても容易にソレノイドコイル2を形成でき、その後にそのソレノイドコイル2をリングコア3に回転させながら巻き移してトロイダルコイル1を形成するので、内径の小さいリングコア3であっても、容易にトロイダルコイル1が製造できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−100643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ソレノイドコイル2をリングコア3に巻き移すことにより得られた上記従来のトロイダルコイル1では、巻き移す前の真直ぐなソレノイドコイル2は、巻き移された後にリングコア3に沿って湾曲することになる。このため、そのソレノイドコイル2を形成する複数の単位周回ワイヤ4a間のピッチPは、そのソレノイドコイル2が真直ぐの場合に一定であったとしても、巻き移されるとリングコア3の内周側においてそのピッチは縮まり、リングコア3の外周側にあってはそのピッチを維持しようとする傾向にある。よって、巻き移された後の複数の連続する単位周回ワイヤ4aにおける周方向の位置関係は、内周側のピッチ又は外周側のピッチの何れに近づくかによって異なり、リングコア3に巻き移された後の単位周回ワイヤ4a間の間隔がばらつく不具合があった。
【0006】
具体的に、ソレノイドコイル2をリングコア3に巻き移すことにより得られた上記従来のトロイダルコイル1では、図16に示すように、リングコア3に巻き移されてそのリングコア3に巻回されたワイヤ4の中央部分の単位周回ワイヤ4a間の間隔が拡大する一方で両端部における単位周回ワイヤ4a間の間隔が狭まってしまったり、逆に、図17に示すように、その中央部分の単位周回ワイヤ4a間の間隔が狭まる一方で両端部における単位周回ワイヤ4a間の間隔が拡大するような場合もあり、隣接する単位周回ワイヤ4a間の間隔がリングコア3の周方向において不均一になる不具合があった。このように、リングコア3の周方向における単位周回ワイヤ間の間隔が不均一になると、トロイダルコイル1の外観上の見栄えを悪化させるとともに、単位周回ワイヤ4a間の間隔が狭まる位置において、そのワイヤ4からの放熱が隣接するワイヤからの放熱により妨げられてその放熱特性が悪化する不具合があった。
【0007】
本発明の目的は、螺旋状を成すワイヤが形成する単位周回ワイヤ間の間隔を均一にして、外観上の見栄えを向上させるとともに、そのワイヤからの放熱特性を向上し得るトロイダルコイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のトロイダルコイルは、閉磁路を形成するリングコアと、周方向に沿ってリングコアに螺旋状に巻回されたワイヤとを備える。
【0009】
その特徴ある点は、リングコアの外周に突起が周方向に所定の間隔を空けて連続的に複数形成され、突起間の隙間に螺旋状に巻回するワイヤを順次通過させたところにある。
【0010】
この場合、リングコアの外周に形成される突起の個数を螺旋状に巻回されたワイヤの巻回数に一致させることが好ましい。また、ワイヤは幅が厚さよりも大きな断面において長方形を成し、突起間の隙間が厚さより大きく幅よりも小さいことが好ましい。
【0011】
そして、リングコアが、円環状の閉磁路を形成するように巻回された磁性鋼帯又はリング状の焼結体からなるトロイダルコアと、トロイダルコアを収容する円環状の樹脂ケースとを備える場合、その樹脂ケースの外周に突起を形成することが好ましい。この樹脂ケースは、収容するトロイダルコアの磁路を横断する断面形状における外形が円を描くように形成されることが好ましく、巻回されたワイヤの内径は、トロイダルコアの磁路を横断する樹脂ケースの断面の外径よりも大きく、かつ外径と突起の高さの和よりも小さく形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のトロイダルコイルでは、リングコアの外周に所定の間隔を空けて連続して形成された複数の突起間の隙間に螺旋状に巻回するワイヤを順次通過させるので、螺旋状を成すワイヤにより形成される単位周回ワイヤとそれに隣接する単位周回ワイヤとの間の間隔を、リングコアの外周において突起間における所定の間隔に一致させることができる。これにより螺旋状を成すワイヤにより連続的に形成される複数の単位周回ワイヤ間の間隔は略均一になり、そのワイヤを有するトロイダルコイルの外観上の見栄えを向上させることができる。
【0013】
また、単位周回ワイヤの間の間隔はリングコアの外周においてその突起の周方向の幅を超えるものとなるので、単位周回ワイヤ間の間隔が著しく狭まるようなことは回避される。これにより、単位周回ワイヤから放散される熱量が隣接する単位周回ワイヤから放散される熱により妨げられるようなことはなく、突起を有せずに隣接する単位周回ワイヤが接近することのある従来のトロイダルコイルに比較して、そのワイヤからの放熱特性を向上することができる。
【0014】
更に、リングコアの外周に形成される突起の個数が螺旋状に巻回されたワイヤの巻回数に略一致するようなものであれば、得られたトロイダルコイルにおける単位周回ワイヤは、その中心から等角度において放射状をなし、その外観上の見栄えを更に向上させるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明実施形態のトロイダルコイルを示す平面図である。
【図2】図1のトロイダルコイルを矢視B方向から観た拡大図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】そのトロイダルコイルに用いられるリングコアの平面図である。
【図5】そのリングコアの分解斜視図である。
【図6】そのリングコアにソレノイドコイルを巻き移してトロイダルコイルを得る状態を示す平面図である。
【図7】真直ぐに繰出されるワイヤを湾曲させてリングコアに巻回する状態を示す図8のE−E線断面図である。
【図8】真直ぐに繰出されるワイヤを湾曲させてリングコアに巻回する状態を示す平面図である。
【図9】その湾曲されたワイヤがリングコアの半分以上に巻回された状態を示す図8に対応する平面図である。
【図10】単一のリングコアに一対のワイヤが対象位置に巻回されたトロイダルコイルの平面図である。
【図11】単一のリングコアに3本のワイヤが周方向に並んで別々に巻回されたトロイダルコイルの平面図である。
【図12】突起が面により囲まれた立体から成るトロイダルコイルを示す図1に対応する平面図である。
【図13】そのトロイダルコイルを矢視C方向から観た拡大図である。
【図14】図12のD−D線断面図である。
【図15】従来のリングコアにソレノイドコイルを巻き移して従来のトロイダルコイルを得る状態を示す平面図である。
【図16】中央部分の単位周回ワイヤ間の間隔が拡大する一方で両端部における単位周回ワイヤ間の間隔が狭まった従来のトロイダルコイルを示す平面図である。
【図17】中央部分の単位周回ワイヤ間の間隔が狭まる一方で両端部における単位周回ワイヤ間の間隔が拡大した従来のトロイダルコイルを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1〜図3に本発明におけるトロイダルコイル10を示す。このトロイダルコイル10は、リングコア13にワイヤ14を螺旋状に巻回させたものである。図5に示すように、この実施の形態におけるリングコア13は、巻回されたパーマロイやアモルファス等の磁性鋼帯やフェライトの焼結体等からなり円環状の閉磁路を形成するリング状のトロイダルコア13aと、そのトロイダルコア13aを収容するドーナツ状の樹脂ケース13b,13cからなるものを示す。図5における樹脂ケース13b,13cは、トロイダルコア13aの厚さ方向の中央を通過する平面において分断可能に構成されたものであり、そのそれぞれにトロイダルコア13aが落とし込まれる凹溝13dが周方向に延びて形成される(片側のみ示す。)。また、樹脂ケース13b,13cには互いを同軸に重合させるための嵌合リブ13e及びその嵌合リブ13eが落とし込まれる嵌合凹部13f(図3)がその外周及び内周にそれぞれ周方向に延びて形成される。そして、図3に示すように、その樹脂ケース13b,13cは、収容されたトロイダルコア13aの閉磁路を横断する断面形状において、その外形が円を描くように形成されたものが用いられる。
【0018】
一方、そのリングコア13に巻回されるワイヤ14は、巻芯を用いることなく折曲げられるとその形状を維持できるようないわゆる太線が用いられる。この実施の形態では、表面に絶縁皮膜が形成され、幅w(図3)が厚さt(図2)よりも大きく、断面において長方形を成すいわゆる平角線からなるワイヤ14が用いられる。そして、図1にはそのワイヤ14がリングコア13の全周に亘って巻回されたトロイダルコイル10を示す。このように、断面の幅wが厚さtよりも大きな長方形を成すワイヤ14を用いれば、トロイダルコイル10におけるワイヤ14の占積率を高めること、及びワイヤ14からの放熱性を高めることが期待できる。けれども、このワイヤ14は断面が矩形を成すいわゆる角線に限らず、トロイダルコイル10等の仕様等に応じて、断面円形のいわゆる丸線を用いても良い。
【0019】
本発明の特徴ある構成は、リングコア13の外周に突起16が周方向に所定の間隔kを空けて連続的に複数形成されたところにある。この実施の形態におけるリングコア13はトロイダルコア13aを収容する樹脂ケース13b,13cを備えるので、トロイダルコア13aを収容する円環状の樹脂ケース13b,13cの外周に突起16が形成される。図1〜図5には、半球状を成す突起16が形成されたものを示し、樹脂ケース13b,13cは、トロイダルコア13aの厚さ方向の中央を通過する平面において分断可能のものであるため、図3に示すように、樹脂ケース13b,13cが互いに重合した状態でその突起16が半球を成すように、樹脂ケース13b,13cの双方にその突起16が分割された分割突起片16a,16bが形成される。
【0020】
また、本発明の特徴ある別の構成は、その突起16間の隙間m(図2)に螺旋状に巻回するワイヤ14を順次通過させたところにある。この実施の形態では、図1に示すように、リングコア13の外周に形成される突起16の個数は、このリングコア13に螺旋状に巻回されるワイヤ14の巻回数と同じ数だけ形成される。そして、複数の突起16はリングコア13の全周に等間隔に均等に設けられる。即ち、リングコア13の全周である360度を突起16の数で除した値で示される角度を持って、リングコア13の中心から放射状に複数の突起16がその角度毎に形成される。そして、リングコア13に巻回されるワイヤ14を突起16間の隙間mに順次通過させることにより、そのワイヤ14はリングコア13の全周に亘って巻回される。
【0021】
図2に示すように、ワイヤ14は、厚さt方向ではなく、幅w(図3)方向に湾曲させ、その厚さt方向を突起16間の隙間mに挿通させることによりリングコア13に螺旋状に巻回される。この実施の形態におけるワイヤ14は、幅w(図3)が厚さtよりも大きな断面において長方形を成すいわゆる平角線であり、そのワイヤ14が通過する突起16間の隙間mは、ワイヤ14の厚さtより大きくそのワイヤ14の幅wよりも小さく形成される。これにより、この突起16とそれに隣接する別の突起16との間の隙間mには、ワイヤ14の厚さt方向において挿通可能なものとなるけれども、ワイヤ14の幅w方向においてはその挿通が不能なものとなる。これにより、ワイヤ14を厚さt方向に湾曲させてリングコア13に巻回することを防止することができる。このように、ワイヤ14を幅w方向に湾曲させて巻回すると、巻回されたワイヤ14は幅w側の面が隣接するワイヤ14に対向することになり、その巻回数を増加させるとともに、より大きな電流を通電することにより、より大きな磁界を生じさせることが可能となる。そして、突起16間の隙間mがワイヤの厚さtの倍未満であれば、その隙間mに単一のワイヤ14のみが通過可能になり、単一の隙間mに複数のワイヤ14が通過することを防止することもできる。
【0022】
このようなトロイダルコイル10の製造にあっては、図6に示すように、従来と同様に、所定の巻芯を用いた巻線機でワイヤ14を螺旋状に巻回して真直ぐなソレノイドコイル15に予め形成しておき、そのソレノイドコイル15の一端の略1ターン15aをリングコア13に絡め、その後そのソレノイドコイル15を実線矢印で示すように巻き方向に回転させながら巻き移することにより、本発明のトロイダルコイル10を製造することが挙げられる。この場合、予め形成するソレノイドコイル15の略1ターンを構成する単位周回ワイヤ14a間のピッチPを突起16と突起16の所定の間隔kに一致させておくことが好ましい。この単位周回ワイヤ14a間のピッチPと突起16間の所定の間隔kを一致させれば、ソレノイドコイル15を形成する螺旋状のワイヤ14はリングコア13の外周側にあってそのピッチPを維持しようとすることから、ソレノイドコイル15を巻き移す際に突起16と突起16の間の隙間m(図2)にそのワイヤ14が順次通過することになる。このようにソレノイドコイル15を巻き移すだけで、その突起16の間の隙間mにワイヤ14が順次通過するので、その隙間mにワイヤ14を通過させる作業を別に設けることを必要とせずに、その巻き移し作業が比較的容易になる。
【0023】
一方、ソレノイドコイル15をリングコア13に巻き移すには、図6のE部に示すように、そのソレノイドコイル15を一旦拡径させた状態でリングコア13に巻き移すため、この拡径がワイヤ14の弾性限度を超えるようになると、その拡径によりソレノイドコイル15が変形してリングコア13への巻き移しが困難になる。即ち、比較的大型のリングコア13を用いる場合には、そこに巻き移す際の拡径によりソレノイドコイル15に変形を生じさせるおそれがある。このため、変形を生じさせるほどソレノイドコイル15を拡径させるおそれがある比較的大型のリングコア13を用いる場合には、図7及び図8に示すように、真直ぐに繰出されるワイヤ14を順次湾曲させて、その湾曲により周回するワイヤ14をリングコア13に巻回させるような製造装置20を用いることが好ましい(特願2010−197214)。
【0024】
図7及び図8に示すトロイダルコイルの製造装置20は、ワイヤ14を繰出すワイヤ送り装置21を備える。このワイヤ送り装置21は、図示しない供給源から延びるワイヤ14が挿通された真直ぐなノズル22と、そのノズル22に隣接してワイヤ14を挟持し回転することによりワイヤ14を繰出すワイヤ送りローラ23,24を備える。ノズル22は断面矩形の平角線からなるワイヤ14が挿通可能な真直ぐな角筒状のものを示す。ワイヤ送りローラ23,24は、ノズル22に挿通されたワイヤ14をそのノズル22の近傍において挟むものである。そして、送りローラ23,24を回転させることにより、その送りローラ23,24により挟まれたワイヤ14をその長手方向に順次繰出すことができるよう構成される。
【0025】
また、図7及び図8に示すトロイダルコイルの製造装置20は、ワイヤ送り装置21により繰出されたワイヤ14に接触してそのワイヤ14を湾曲させる湾曲部材26を備える。この実施の形態では、この湾曲部材26は、ノズル22から繰出されるワイヤ14の前方であってリングコア13の近傍に設けられ、ワイヤ送り装置21により繰出されてリングコア13に達するワイヤ14に接触するように構成される。この湾曲部材26には、ノズル22から繰出されたワイヤ14に接触してそのワイヤ14をリングコア13の断面形状に沿うように湾曲させる湾曲面26a(図7)が形成され、その湾曲面26aにより湾曲したワイヤ14がリングコア13に巻回されるように配置される。
【0026】
このような装置20を用いたトロイダルコイル10の製造では、送りローラ23,24を回転させてそれらに挟まれたワイヤ14を順次繰出す。これによりワイヤ14は真直ぐに連続的に繰出され、繰出されたワイヤ14は湾曲部材26の湾曲面26aに接触してその湾曲面26aに沿って湾曲する。このように順次湾曲するワイヤ14はそのリングコア13に巻回される。ここで、リングコア13の外周には突起16が周方向に所定の間隔kを空けて連続的に複数形成されているので、湾曲部材26により湾曲して最初の突起16間の隙間mに通過したワイヤ14を更に1回巻回された状態でその次の隙間mに通過させることにより、そのワイヤ14を螺旋状にすることができる。このように湾曲部材26により湾曲したワイヤ14を螺旋状とすることにより、その螺旋状のワイヤ14はリングコア13の外周側にあってそのピッチPが所定の間隔kと一致するものとなる。
【0027】
ここで、図3に示すように、リングコア13を形成する樹脂ケース13b,13cが、収容するトロイダルコア13aの磁路を横断する断面形状における外形が円を描くようなものである場合には、そのワイヤ14をその断面の円を描く外径に沿って螺旋状に巻回させることができる。そして、図8に示すように、突起16間の隙間mに螺旋状に巻回するそのワイヤ14を順次通過させると、図9に示すように、その螺旋状に巻回するワイヤ14はリングコア13に沿って周方向に順次巻回されることになる。このため、この製造装置20では、ワイヤ14の繰出しを継続するだけで、順次形成される螺旋状のワイヤ14を突起16と突起16の間の隙間m(図7)に順次通過させることが可能になる。そして、図1に示すようにリングコア13の全周に所定の回数巻回された状態でワイヤ14の繰出しは停止される。これにより、リングコア13にその周方向にワイヤ14が巻回された図1に示すトロイダルコイル10を得る。
【0028】
このようにして得られた本発明のトロイダルコイル10では、リングコア13の外周に形成された複数の突起16間の隙間mに螺旋状に巻回するワイヤ14を順次通過させるので、螺旋状を成すワイヤ14における単位周回ワイヤ14aとそれに隣接する単位周回ワイヤ14aの間のリングコア13の外周における間隔は突起16とそれに隣接する突起16の所定の間隔kに略等しくなり、リングコア13の外周における単位周回ワイヤ14aの間の間隔を全てにおいて略均一にすることができる。よって、本発明のトロイダルコイル10では、螺旋状に巻回されたワイヤ14のそれぞれにおける単位周回ワイヤ14aは、リングコア13の中心から等角度に設けられた放射状をなし、その外観上の見栄えを向上させるものとなる。
【0029】
そして、本発明のトロイダルコイル10では、単位周回ワイヤ14aの間の間隔はその突起16の周方向の幅を超えるものとなるので、単位周回ワイヤ14aから放散される熱量が隣接する単位周回ワイヤ14aから放散される熱により妨げられるようなことはなく、突起を有せずに隣接する単位周回ワイヤが接近することのある従来のトロイダルコイルに比較して、そのワイヤ14からの放熱特性を向上することができる。また、図1に示すように、リングコア13の外周に形成される突起16の個数が螺旋状に巻回されたワイヤ14の巻回数に略一致するようなものであれば、全周に亘って単位周回ワイヤが均等な間隔で設けられるトロイダルコイル10を得ることができる。
【0030】
また、図7〜図9に示すように、繰出されたワイヤ14をリングコア13の断面外周に沿うように順次湾曲させ、それにより螺旋状に周回するワイヤ14をリングコア13に直接巻回するようにすれば、従来の方法におけるソレノイドコイル15をリングコア13に巻き移す際のソレノイドコイル15の変形を考慮する必要がない。このため、従来の方法では、ソレノイドコイル15に変形を生じさせるおそれがあるような比較的大型のリングコア13を用いる場合であっても、螺旋状を成すワイヤ14の内の単位周回ワイヤ14aとそれに隣接する単位周回ワイヤ14aの間の間隔が略均一なトロイダルコイル10を比較的容易に得ることができる。
【0031】
そして、図3に示すように、巻回されたワイヤ14の内径dが、トロイダルコア13aの磁路を横断する樹脂ケース13b,13cの断面の外径Dよりも大きく、かつその外径Dと突起16の高さhの和よりも小さく形成すれば、その巻回されたワイヤ14が突起16を超えてリングコア13の周方向に移動するようなことはない。よって、このようなトロイダルコイル10にあっては、巻回されたワイヤ14における複数の単位周回ワイヤ14aは、リングコア13の中心からその全周に渡って等角度において放射状をなす状態が維持され、ワイヤ14が突起16を超えることに起因する外観上の見栄えが後に悪化するような事態を回避することもできる。
【0032】
なお、上述した実施の形態では、単一のリングコア13の全周に亘って単一のワイヤ14を螺旋状に巻回させた図1に示すトロイダルコイルを用いて説明したが、図10に示すように、トロイダルコイル10は、単一のリングコア13に一対のワイヤ14をリングコア13の約半周毎に螺旋状に巻回させたものであっても良く、図11に示すように、単一のリングコア13に三つのワイヤ14を周方向に並ぶように巻回したものであっても良い。このようなトロイダルコイル10であっても、リングコア13の外周に形成された複数の突起間16の隙間mに螺旋状に巻回するワイヤ14を順次通過させることにより、リングコア13の外周における単位周回ワイヤ14a間の間隔を突起16と突起16の所定の間隔kに略等しくして略均一にすることができる。
【0033】
ここで、図10及び図11における符号17は、ワイヤ14間を仕切る仕切り部材17を示し、この仕切り部材17は樹脂ケース13b,13cに一体的に形成されたものを示す。けれども、この仕切り部材17は、樹脂ケース13b,13cと別に形成されてワイヤ14を巻回させる前に又は巻回させた後にその樹脂ケース13b,13cに装着するようなものであっても良い。このように、この仕切り部材17を樹脂ケース13b,13cと別に形成すれば、この仕切り部材17が装着されていないリングコア13にワイヤ14を巻回させることができ、その巻回作業を容易にすることが考えられる。
【0034】
また、上述した実施の形態では、半球状を成す突起16が樹脂ケース13b,13cの外周に形成されたトロイダルコイル10を説明したが、この突起16の形状は半球状のものに限定されずに、それらの突起16間の隙間mに螺旋状に巻回するワイヤ14を順次通過可能である限り、図12〜図14に示すように、突起16の形状は長方形又は正方形又は平行四辺形からなる面により囲まれた立体的なものであっても良い。図12〜図14には、半径方向から観察しうる面が平行四辺形から成る突起16を示す。このような面により囲まれた立体的な突起16であれば、螺旋状に巻回されるワイヤ14をその面において案内することも考えられ、ワイヤ14の巻回作業を更に容易にすることが考えられる。
【0035】
また、上述した実施の形態では、突起16が樹脂ケース13b,13cに一体的に形成されたトロイダルコイル10を説明したが、樹脂ケース13b,13cと別に形成された突起16を樹脂ケース13b,13cに後に取付けるようなものであっても良い。例えば、半球状等の頭部を有する小ネジを樹脂ケース13b,13cの外周にその周方向に所定の間隔を空けて連続的に複数設け、樹脂ケース13b,13cの外表面から突出するそれら小ネジの頭部を突起16とするようにしても良い。
【0036】
また、上述した実施の形態では、トロイダルコア13aの厚さ方向の中央を通過する平面において分断可能に構成されたる樹脂ケース13b,13cを用いて説明したが、この樹脂ケース13b,13cはトロイダルコア13aを収容可能である限り、その分断箇所はトロイダルコア13aの厚さ方向の中央に限らず、トロイダルコア13aの厚さ方向の端部を通過する平面において分断されるようなものであっても良い。
【0037】
更に、上述した実施の形態では、リングコア13がトロイダルコア13aと樹脂ケース13b,13cとを備える場合を説明したが、リングコア13は樹脂ケース13b,13cを備えるものに限定するものではない。図示しないが、例えば、リング状の焼結体からなるトロイダルコアを用いる場合であれば、そのトロイダルコアの外周に直接突起を形成し、その突起とともにトロイダルコアの全体を樹脂塗膜により被覆したようなリングコアであっても良い。
【符号の説明】
【0038】
10 トロイダルコイル
13 リングコア
13a トロイダルコア
13b,13c 樹脂ケース
14 ワイヤ
16 突起
k 突起の所定の間隔
m 突起間の隙間
t ワイヤの厚さ
w ワイヤの幅
d 巻回されたワイヤの内径
D 樹脂ケースの断面の外径
h 突起の高さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、リングコアと、そのリングコアの周方向に螺旋状に巻回させたワイヤとを備えるトロイダルコイルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ノイズフィルター等に用いられるリング状のトロイダルコイルは、リングコアの内径と鎖交するシャトルリングにワイヤを一定量貯線し、巻終わり端をリングコアに固定して、シャトルリングをリングコアの周りを周回させながら巻線を施していた。しかし、この巻線方法では、ワイヤが細くて柔らかい場合はともかく、電流容量の大きい太く硬いワイヤは、巻線に大きなトルクが必要となるため、シャトルリングを小さい内径のリングコアの中央孔を通して周回させ、ワイヤをリングコアに巻き付けることが困難になり、電流容量の大きいトロイダルコイルの小型化には限界があった。
【0003】
この点を解消するために、図15に示すように、所定の巻芯を用いた巻線機でワイヤ4を螺旋状に巻回して真直ぐなソレノイドコイル2に予め形成しておき、そのソレノイドコイル2の一端の略1ターン2aを、フェライト又は鉄芯等のリングコア3に絡め、実線矢印で示すように巻き方向に回転させながら巻き移してなるトロイダルコイルの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この製造方法では、予め巻線機で巻線するため、比較的太いワイヤ4であっても容易にソレノイドコイル2を形成でき、その後にそのソレノイドコイル2をリングコア3に回転させながら巻き移してトロイダルコイル1を形成するので、内径の小さいリングコア3であっても、容易にトロイダルコイル1が製造できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−100643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ソレノイドコイル2をリングコア3に巻き移すことにより得られた上記従来のトロイダルコイル1では、巻き移す前の真直ぐなソレノイドコイル2は、巻き移された後にリングコア3に沿って湾曲することになる。このため、そのソレノイドコイル2を形成する複数の単位周回ワイヤ4a間のピッチPは、そのソレノイドコイル2が真直ぐの場合に一定であったとしても、巻き移されるとリングコア3の内周側においてそのピッチは縮まり、リングコア3の外周側にあってはそのピッチを維持しようとする傾向にある。よって、巻き移された後の複数の連続する単位周回ワイヤ4aにおける周方向の位置関係は、内周側のピッチ又は外周側のピッチの何れに近づくかによって異なり、リングコア3に巻き移された後の単位周回ワイヤ4a間の間隔がばらつく不具合があった。
【0006】
具体的に、ソレノイドコイル2をリングコア3に巻き移すことにより得られた上記従来のトロイダルコイル1では、図16に示すように、リングコア3に巻き移されてそのリングコア3に巻回されたワイヤ4の中央部分の単位周回ワイヤ4a間の間隔が拡大する一方で両端部における単位周回ワイヤ4a間の間隔が狭まってしまったり、逆に、図17に示すように、その中央部分の単位周回ワイヤ4a間の間隔が狭まる一方で両端部における単位周回ワイヤ4a間の間隔が拡大するような場合もあり、隣接する単位周回ワイヤ4a間の間隔がリングコア3の周方向において不均一になる不具合があった。このように、リングコア3の周方向における単位周回ワイヤ間の間隔が不均一になると、トロイダルコイル1の外観上の見栄えを悪化させるとともに、単位周回ワイヤ4a間の間隔が狭まる位置において、そのワイヤ4からの放熱が隣接するワイヤからの放熱により妨げられてその放熱特性が悪化する不具合があった。
【0007】
本発明の目的は、螺旋状を成すワイヤが形成する単位周回ワイヤ間の間隔を均一にして、外観上の見栄えを向上させるとともに、そのワイヤからの放熱特性を向上し得るトロイダルコイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のトロイダルコイルは、閉磁路を形成するリングコアと、周方向に沿ってリングコアに螺旋状に巻回されたワイヤとを備える。
【0009】
その特徴ある点は、リングコアの外周に突起が周方向に所定の間隔を空けて連続的に複数形成され、突起間の隙間に螺旋状に巻回するワイヤを順次通過させたところにある。
【0010】
この場合、リングコアの外周に形成される突起の個数を螺旋状に巻回されたワイヤの巻回数に一致させることが好ましい。また、ワイヤは幅が厚さよりも大きな断面において長方形を成し、突起間の隙間が厚さより大きく幅よりも小さいことが好ましい。
【0011】
そして、リングコアが、円環状の閉磁路を形成するように巻回された磁性鋼帯又はリング状の焼結体からなるトロイダルコアと、トロイダルコアを収容する円環状の樹脂ケースとを備える場合、その樹脂ケースの外周に突起を形成することが好ましい。この樹脂ケースは、収容するトロイダルコアの磁路を横断する断面形状における外形が円を描くように形成されることが好ましく、巻回されたワイヤの内径は、トロイダルコアの磁路を横断する樹脂ケースの断面の外径よりも大きく、かつ外径と突起の高さの和よりも小さく形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のトロイダルコイルでは、リングコアの外周に所定の間隔を空けて連続して形成された複数の突起間の隙間に螺旋状に巻回するワイヤを順次通過させるので、螺旋状を成すワイヤにより形成される単位周回ワイヤとそれに隣接する単位周回ワイヤとの間の間隔を、リングコアの外周において突起間における所定の間隔に一致させることができる。これにより螺旋状を成すワイヤにより連続的に形成される複数の単位周回ワイヤ間の間隔は略均一になり、そのワイヤを有するトロイダルコイルの外観上の見栄えを向上させることができる。
【0013】
また、単位周回ワイヤの間の間隔はリングコアの外周においてその突起の周方向の幅を超えるものとなるので、単位周回ワイヤ間の間隔が著しく狭まるようなことは回避される。これにより、単位周回ワイヤから放散される熱量が隣接する単位周回ワイヤから放散される熱により妨げられるようなことはなく、突起を有せずに隣接する単位周回ワイヤが接近することのある従来のトロイダルコイルに比較して、そのワイヤからの放熱特性を向上することができる。
【0014】
更に、リングコアの外周に形成される突起の個数が螺旋状に巻回されたワイヤの巻回数に略一致するようなものであれば、得られたトロイダルコイルにおける単位周回ワイヤは、その中心から等角度において放射状をなし、その外観上の見栄えを更に向上させるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明実施形態のトロイダルコイルを示す平面図である。
【図2】図1のトロイダルコイルを矢視B方向から観た拡大図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】そのトロイダルコイルに用いられるリングコアの平面図である。
【図5】そのリングコアの分解斜視図である。
【図6】そのリングコアにソレノイドコイルを巻き移してトロイダルコイルを得る状態を示す平面図である。
【図7】真直ぐに繰出されるワイヤを湾曲させてリングコアに巻回する状態を示す図8のE−E線断面図である。
【図8】真直ぐに繰出されるワイヤを湾曲させてリングコアに巻回する状態を示す平面図である。
【図9】その湾曲されたワイヤがリングコアの半分以上に巻回された状態を示す図8に対応する平面図である。
【図10】単一のリングコアに一対のワイヤが対象位置に巻回されたトロイダルコイルの平面図である。
【図11】単一のリングコアに3本のワイヤが周方向に並んで別々に巻回されたトロイダルコイルの平面図である。
【図12】突起が面により囲まれた立体から成るトロイダルコイルを示す図1に対応する平面図である。
【図13】そのトロイダルコイルを矢視C方向から観た拡大図である。
【図14】図12のD−D線断面図である。
【図15】従来のリングコアにソレノイドコイルを巻き移して従来のトロイダルコイルを得る状態を示す平面図である。
【図16】中央部分の単位周回ワイヤ間の間隔が拡大する一方で両端部における単位周回ワイヤ間の間隔が狭まった従来のトロイダルコイルを示す平面図である。
【図17】中央部分の単位周回ワイヤ間の間隔が狭まる一方で両端部における単位周回ワイヤ間の間隔が拡大した従来のトロイダルコイルを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1〜図3に本発明におけるトロイダルコイル10を示す。このトロイダルコイル10は、リングコア13にワイヤ14を螺旋状に巻回させたものである。図5に示すように、この実施の形態におけるリングコア13は、巻回されたパーマロイやアモルファス等の磁性鋼帯やフェライトの焼結体等からなり円環状の閉磁路を形成するリング状のトロイダルコア13aと、そのトロイダルコア13aを収容するドーナツ状の樹脂ケース13b,13cからなるものを示す。図5における樹脂ケース13b,13cは、トロイダルコア13aの厚さ方向の中央を通過する平面において分断可能に構成されたものであり、そのそれぞれにトロイダルコア13aが落とし込まれる凹溝13dが周方向に延びて形成される(片側のみ示す。)。また、樹脂ケース13b,13cには互いを同軸に重合させるための嵌合リブ13e及びその嵌合リブ13eが落とし込まれる嵌合凹部13f(図3)がその外周及び内周にそれぞれ周方向に延びて形成される。そして、図3に示すように、その樹脂ケース13b,13cは、収容されたトロイダルコア13aの閉磁路を横断する断面形状において、その外形が円を描くように形成されたものが用いられる。
【0018】
一方、そのリングコア13に巻回されるワイヤ14は、巻芯を用いることなく折曲げられるとその形状を維持できるようないわゆる太線が用いられる。この実施の形態では、表面に絶縁皮膜が形成され、幅w(図3)が厚さt(図2)よりも大きく、断面において長方形を成すいわゆる平角線からなるワイヤ14が用いられる。そして、図1にはそのワイヤ14がリングコア13の全周に亘って巻回されたトロイダルコイル10を示す。このように、断面の幅wが厚さtよりも大きな長方形を成すワイヤ14を用いれば、トロイダルコイル10におけるワイヤ14の占積率を高めること、及びワイヤ14からの放熱性を高めることが期待できる。けれども、このワイヤ14は断面が矩形を成すいわゆる角線に限らず、トロイダルコイル10等の仕様等に応じて、断面円形のいわゆる丸線を用いても良い。
【0019】
本発明の特徴ある構成は、リングコア13の外周に突起16が周方向に所定の間隔kを空けて連続的に複数形成されたところにある。この実施の形態におけるリングコア13はトロイダルコア13aを収容する樹脂ケース13b,13cを備えるので、トロイダルコア13aを収容する円環状の樹脂ケース13b,13cの外周に突起16が形成される。図1〜図5には、半球状を成す突起16が形成されたものを示し、樹脂ケース13b,13cは、トロイダルコア13aの厚さ方向の中央を通過する平面において分断可能のものであるため、図3に示すように、樹脂ケース13b,13cが互いに重合した状態でその突起16が半球を成すように、樹脂ケース13b,13cの双方にその突起16が分割された分割突起片16a,16bが形成される。
【0020】
また、本発明の特徴ある別の構成は、その突起16間の隙間m(図2)に螺旋状に巻回するワイヤ14を順次通過させたところにある。この実施の形態では、図1に示すように、リングコア13の外周に形成される突起16の個数は、このリングコア13に螺旋状に巻回されるワイヤ14の巻回数と同じ数だけ形成される。そして、複数の突起16はリングコア13の全周に等間隔に均等に設けられる。即ち、リングコア13の全周である360度を突起16の数で除した値で示される角度を持って、リングコア13の中心から放射状に複数の突起16がその角度毎に形成される。そして、リングコア13に巻回されるワイヤ14を突起16間の隙間mに順次通過させることにより、そのワイヤ14はリングコア13の全周に亘って巻回される。
【0021】
図2に示すように、ワイヤ14は、厚さt方向ではなく、幅w(図3)方向に湾曲させ、その厚さt方向を突起16間の隙間mに挿通させることによりリングコア13に螺旋状に巻回される。この実施の形態におけるワイヤ14は、幅w(図3)が厚さtよりも大きな断面において長方形を成すいわゆる平角線であり、そのワイヤ14が通過する突起16間の隙間mは、ワイヤ14の厚さtより大きくそのワイヤ14の幅wよりも小さく形成される。これにより、この突起16とそれに隣接する別の突起16との間の隙間mには、ワイヤ14の厚さt方向において挿通可能なものとなるけれども、ワイヤ14の幅w方向においてはその挿通が不能なものとなる。これにより、ワイヤ14を厚さt方向に湾曲させてリングコア13に巻回することを防止することができる。このように、ワイヤ14を幅w方向に湾曲させて巻回すると、巻回されたワイヤ14は幅w側の面が隣接するワイヤ14に対向することになり、その巻回数を増加させるとともに、より大きな電流を通電することにより、より大きな磁界を生じさせることが可能となる。そして、突起16間の隙間mがワイヤの厚さtの倍未満であれば、その隙間mに単一のワイヤ14のみが通過可能になり、単一の隙間mに複数のワイヤ14が通過することを防止することもできる。
【0022】
このようなトロイダルコイル10の製造にあっては、図6に示すように、従来と同様に、所定の巻芯を用いた巻線機でワイヤ14を螺旋状に巻回して真直ぐなソレノイドコイル15に予め形成しておき、そのソレノイドコイル15の一端の略1ターン15aをリングコア13に絡め、その後そのソレノイドコイル15を実線矢印で示すように巻き方向に回転させながら巻き移することにより、本発明のトロイダルコイル10を製造することが挙げられる。この場合、予め形成するソレノイドコイル15の略1ターンを構成する単位周回ワイヤ14a間のピッチPを突起16と突起16の所定の間隔kに一致させておくことが好ましい。この単位周回ワイヤ14a間のピッチPと突起16間の所定の間隔kを一致させれば、ソレノイドコイル15を形成する螺旋状のワイヤ14はリングコア13の外周側にあってそのピッチPを維持しようとすることから、ソレノイドコイル15を巻き移す際に突起16と突起16の間の隙間m(図2)にそのワイヤ14が順次通過することになる。このようにソレノイドコイル15を巻き移すだけで、その突起16の間の隙間mにワイヤ14が順次通過するので、その隙間mにワイヤ14を通過させる作業を別に設けることを必要とせずに、その巻き移し作業が比較的容易になる。
【0023】
一方、ソレノイドコイル15をリングコア13に巻き移すには、図6のE部に示すように、そのソレノイドコイル15を一旦拡径させた状態でリングコア13に巻き移すため、この拡径がワイヤ14の弾性限度を超えるようになると、その拡径によりソレノイドコイル15が変形してリングコア13への巻き移しが困難になる。即ち、比較的大型のリングコア13を用いる場合には、そこに巻き移す際の拡径によりソレノイドコイル15に変形を生じさせるおそれがある。このため、変形を生じさせるほどソレノイドコイル15を拡径させるおそれがある比較的大型のリングコア13を用いる場合には、図7及び図8に示すように、真直ぐに繰出されるワイヤ14を順次湾曲させて、その湾曲により周回するワイヤ14をリングコア13に巻回させるような製造装置20を用いることが好ましい(特願2010−197214)。
【0024】
図7及び図8に示すトロイダルコイルの製造装置20は、ワイヤ14を繰出すワイヤ送り装置21を備える。このワイヤ送り装置21は、図示しない供給源から延びるワイヤ14が挿通された真直ぐなノズル22と、そのノズル22に隣接してワイヤ14を挟持し回転することによりワイヤ14を繰出すワイヤ送りローラ23,24を備える。ノズル22は断面矩形の平角線からなるワイヤ14が挿通可能な真直ぐな角筒状のものを示す。ワイヤ送りローラ23,24は、ノズル22に挿通されたワイヤ14をそのノズル22の近傍において挟むものである。そして、送りローラ23,24を回転させることにより、その送りローラ23,24により挟まれたワイヤ14をその長手方向に順次繰出すことができるよう構成される。
【0025】
また、図7及び図8に示すトロイダルコイルの製造装置20は、ワイヤ送り装置21により繰出されたワイヤ14に接触してそのワイヤ14を湾曲させる湾曲部材26を備える。この実施の形態では、この湾曲部材26は、ノズル22から繰出されるワイヤ14の前方であってリングコア13の近傍に設けられ、ワイヤ送り装置21により繰出されてリングコア13に達するワイヤ14に接触するように構成される。この湾曲部材26には、ノズル22から繰出されたワイヤ14に接触してそのワイヤ14をリングコア13の断面形状に沿うように湾曲させる湾曲面26a(図7)が形成され、その湾曲面26aにより湾曲したワイヤ14がリングコア13に巻回されるように配置される。
【0026】
このような装置20を用いたトロイダルコイル10の製造では、送りローラ23,24を回転させてそれらに挟まれたワイヤ14を順次繰出す。これによりワイヤ14は真直ぐに連続的に繰出され、繰出されたワイヤ14は湾曲部材26の湾曲面26aに接触してその湾曲面26aに沿って湾曲する。このように順次湾曲するワイヤ14はそのリングコア13に巻回される。ここで、リングコア13の外周には突起16が周方向に所定の間隔kを空けて連続的に複数形成されているので、湾曲部材26により湾曲して最初の突起16間の隙間mに通過したワイヤ14を更に1回巻回された状態でその次の隙間mに通過させることにより、そのワイヤ14を螺旋状にすることができる。このように湾曲部材26により湾曲したワイヤ14を螺旋状とすることにより、その螺旋状のワイヤ14はリングコア13の外周側にあってそのピッチPが所定の間隔kと一致するものとなる。
【0027】
ここで、図3に示すように、リングコア13を形成する樹脂ケース13b,13cが、収容するトロイダルコア13aの磁路を横断する断面形状における外形が円を描くようなものである場合には、そのワイヤ14をその断面の円を描く外径に沿って螺旋状に巻回させることができる。そして、図8に示すように、突起16間の隙間mに螺旋状に巻回するそのワイヤ14を順次通過させると、図9に示すように、その螺旋状に巻回するワイヤ14はリングコア13に沿って周方向に順次巻回されることになる。このため、この製造装置20では、ワイヤ14の繰出しを継続するだけで、順次形成される螺旋状のワイヤ14を突起16と突起16の間の隙間m(図7)に順次通過させることが可能になる。そして、図1に示すようにリングコア13の全周に所定の回数巻回された状態でワイヤ14の繰出しは停止される。これにより、リングコア13にその周方向にワイヤ14が巻回された図1に示すトロイダルコイル10を得る。
【0028】
このようにして得られた本発明のトロイダルコイル10では、リングコア13の外周に形成された複数の突起16間の隙間mに螺旋状に巻回するワイヤ14を順次通過させるので、螺旋状を成すワイヤ14における単位周回ワイヤ14aとそれに隣接する単位周回ワイヤ14aの間のリングコア13の外周における間隔は突起16とそれに隣接する突起16の所定の間隔kに略等しくなり、リングコア13の外周における単位周回ワイヤ14aの間の間隔を全てにおいて略均一にすることができる。よって、本発明のトロイダルコイル10では、螺旋状に巻回されたワイヤ14のそれぞれにおける単位周回ワイヤ14aは、リングコア13の中心から等角度に設けられた放射状をなし、その外観上の見栄えを向上させるものとなる。
【0029】
そして、本発明のトロイダルコイル10では、単位周回ワイヤ14aの間の間隔はその突起16の周方向の幅を超えるものとなるので、単位周回ワイヤ14aから放散される熱量が隣接する単位周回ワイヤ14aから放散される熱により妨げられるようなことはなく、突起を有せずに隣接する単位周回ワイヤが接近することのある従来のトロイダルコイルに比較して、そのワイヤ14からの放熱特性を向上することができる。また、図1に示すように、リングコア13の外周に形成される突起16の個数が螺旋状に巻回されたワイヤ14の巻回数に略一致するようなものであれば、全周に亘って単位周回ワイヤが均等な間隔で設けられるトロイダルコイル10を得ることができる。
【0030】
また、図7〜図9に示すように、繰出されたワイヤ14をリングコア13の断面外周に沿うように順次湾曲させ、それにより螺旋状に周回するワイヤ14をリングコア13に直接巻回するようにすれば、従来の方法におけるソレノイドコイル15をリングコア13に巻き移す際のソレノイドコイル15の変形を考慮する必要がない。このため、従来の方法では、ソレノイドコイル15に変形を生じさせるおそれがあるような比較的大型のリングコア13を用いる場合であっても、螺旋状を成すワイヤ14の内の単位周回ワイヤ14aとそれに隣接する単位周回ワイヤ14aの間の間隔が略均一なトロイダルコイル10を比較的容易に得ることができる。
【0031】
そして、図3に示すように、巻回されたワイヤ14の内径dが、トロイダルコア13aの磁路を横断する樹脂ケース13b,13cの断面の外径Dよりも大きく、かつその外径Dと突起16の高さhの和よりも小さく形成すれば、その巻回されたワイヤ14が突起16を超えてリングコア13の周方向に移動するようなことはない。よって、このようなトロイダルコイル10にあっては、巻回されたワイヤ14における複数の単位周回ワイヤ14aは、リングコア13の中心からその全周に渡って等角度において放射状をなす状態が維持され、ワイヤ14が突起16を超えることに起因する外観上の見栄えが後に悪化するような事態を回避することもできる。
【0032】
なお、上述した実施の形態では、単一のリングコア13の全周に亘って単一のワイヤ14を螺旋状に巻回させた図1に示すトロイダルコイルを用いて説明したが、図10に示すように、トロイダルコイル10は、単一のリングコア13に一対のワイヤ14をリングコア13の約半周毎に螺旋状に巻回させたものであっても良く、図11に示すように、単一のリングコア13に三つのワイヤ14を周方向に並ぶように巻回したものであっても良い。このようなトロイダルコイル10であっても、リングコア13の外周に形成された複数の突起間16の隙間mに螺旋状に巻回するワイヤ14を順次通過させることにより、リングコア13の外周における単位周回ワイヤ14a間の間隔を突起16と突起16の所定の間隔kに略等しくして略均一にすることができる。
【0033】
ここで、図10及び図11における符号17は、ワイヤ14間を仕切る仕切り部材17を示し、この仕切り部材17は樹脂ケース13b,13cに一体的に形成されたものを示す。けれども、この仕切り部材17は、樹脂ケース13b,13cと別に形成されてワイヤ14を巻回させる前に又は巻回させた後にその樹脂ケース13b,13cに装着するようなものであっても良い。このように、この仕切り部材17を樹脂ケース13b,13cと別に形成すれば、この仕切り部材17が装着されていないリングコア13にワイヤ14を巻回させることができ、その巻回作業を容易にすることが考えられる。
【0034】
また、上述した実施の形態では、半球状を成す突起16が樹脂ケース13b,13cの外周に形成されたトロイダルコイル10を説明したが、この突起16の形状は半球状のものに限定されずに、それらの突起16間の隙間mに螺旋状に巻回するワイヤ14を順次通過可能である限り、図12〜図14に示すように、突起16の形状は長方形又は正方形又は平行四辺形からなる面により囲まれた立体的なものであっても良い。図12〜図14には、半径方向から観察しうる面が平行四辺形から成る突起16を示す。このような面により囲まれた立体的な突起16であれば、螺旋状に巻回されるワイヤ14をその面において案内することも考えられ、ワイヤ14の巻回作業を更に容易にすることが考えられる。
【0035】
また、上述した実施の形態では、突起16が樹脂ケース13b,13cに一体的に形成されたトロイダルコイル10を説明したが、樹脂ケース13b,13cと別に形成された突起16を樹脂ケース13b,13cに後に取付けるようなものであっても良い。例えば、半球状等の頭部を有する小ネジを樹脂ケース13b,13cの外周にその周方向に所定の間隔を空けて連続的に複数設け、樹脂ケース13b,13cの外表面から突出するそれら小ネジの頭部を突起16とするようにしても良い。
【0036】
また、上述した実施の形態では、トロイダルコア13aの厚さ方向の中央を通過する平面において分断可能に構成されたる樹脂ケース13b,13cを用いて説明したが、この樹脂ケース13b,13cはトロイダルコア13aを収容可能である限り、その分断箇所はトロイダルコア13aの厚さ方向の中央に限らず、トロイダルコア13aの厚さ方向の端部を通過する平面において分断されるようなものであっても良い。
【0037】
更に、上述した実施の形態では、リングコア13がトロイダルコア13aと樹脂ケース13b,13cとを備える場合を説明したが、リングコア13は樹脂ケース13b,13cを備えるものに限定するものではない。図示しないが、例えば、リング状の焼結体からなるトロイダルコアを用いる場合であれば、そのトロイダルコアの外周に直接突起を形成し、その突起とともにトロイダルコアの全体を樹脂塗膜により被覆したようなリングコアであっても良い。
【符号の説明】
【0038】
10 トロイダルコイル
13 リングコア
13a トロイダルコア
13b,13c 樹脂ケース
14 ワイヤ
16 突起
k 突起の所定の間隔
m 突起間の隙間
t ワイヤの厚さ
w ワイヤの幅
d 巻回されたワイヤの内径
D 樹脂ケースの断面の外径
h 突起の高さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉磁路を形成するリングコア(13)と、周方向に沿って前記リングコア(13)に螺旋状に巻回されたワイヤ(14)とを備えたトロイダルコイルにおいて、
前記リングコア(13)の外周に突起(16)が周方向に所定の間隔(k)を空けて連続的に複数形成され、
前記突起(16)間の隙間(m)に螺旋状に巻回する前記ワイヤ(14)を順次通過させた
ことを特徴とするトロイダルコイル。
【請求項2】
リングコア(13)の外周に形成される突起(16)の個数を螺旋状に巻回されたワイヤ(14)の巻回数に一致させた請求項1記載のトロイダルコイル。
【請求項3】
ワイヤ(14)は幅(w)が厚さ(t)よりも大きな断面において長方形を成し、突起(16)間の隙間(m)が前記厚さ(t)より大きく前記幅(w)よりも小さい請求項1又は2記載のトロイダルコイル。
【請求項4】
リングコア(13)が、円環状の閉磁路を形成するように巻回された磁性鋼帯又はリング状の焼結体からなるトロイダルコア(13a)と、前記トロイダルコア(13a)を収容する円環状の樹脂ケース(13b,13c)とを備え、前記樹脂ケース(13b,13c)の外周に突起(16)が形成された請求項1ないし3いずれか1項に記載のトロイダルコイル。
【請求項5】
樹脂ケース(13b,13c)は、収容するトロイダルコア(13a)の磁路を横断する断面形状における外形が円を描くように形成された請求項4記載のトロイダルコイル。
【請求項6】
巻回されたワイヤ(14)の内径(d)が、トロイダルコア(13a)の磁路を横断する樹脂ケース(13b,13c)の断面の外径(D)よりも大きく、かつ前記外径(D)と突起(16)の高さ(h)の和よりも小さく形成された請求項5記載のトロイダルコイル。
【請求項1】
閉磁路を形成するリングコア(13)と、周方向に沿って前記リングコア(13)に螺旋状に巻回されたワイヤ(14)とを備えたトロイダルコイルにおいて、
前記リングコア(13)の外周に突起(16)が周方向に所定の間隔(k)を空けて連続的に複数形成され、
前記突起(16)間の隙間(m)に螺旋状に巻回する前記ワイヤ(14)を順次通過させた
ことを特徴とするトロイダルコイル。
【請求項2】
リングコア(13)の外周に形成される突起(16)の個数を螺旋状に巻回されたワイヤ(14)の巻回数に一致させた請求項1記載のトロイダルコイル。
【請求項3】
ワイヤ(14)は幅(w)が厚さ(t)よりも大きな断面において長方形を成し、突起(16)間の隙間(m)が前記厚さ(t)より大きく前記幅(w)よりも小さい請求項1又は2記載のトロイダルコイル。
【請求項4】
リングコア(13)が、円環状の閉磁路を形成するように巻回された磁性鋼帯又はリング状の焼結体からなるトロイダルコア(13a)と、前記トロイダルコア(13a)を収容する円環状の樹脂ケース(13b,13c)とを備え、前記樹脂ケース(13b,13c)の外周に突起(16)が形成された請求項1ないし3いずれか1項に記載のトロイダルコイル。
【請求項5】
樹脂ケース(13b,13c)は、収容するトロイダルコア(13a)の磁路を横断する断面形状における外形が円を描くように形成された請求項4記載のトロイダルコイル。
【請求項6】
巻回されたワイヤ(14)の内径(d)が、トロイダルコア(13a)の磁路を横断する樹脂ケース(13b,13c)の断面の外径(D)よりも大きく、かつ前記外径(D)と突起(16)の高さ(h)の和よりも小さく形成された請求項5記載のトロイダルコイル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図14】
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【図17】
【公開番号】特開2012−124396(P2012−124396A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275295(P2010−275295)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000227537)日特エンジニアリング株式会社 (106)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000227537)日特エンジニアリング株式会社 (106)
【Fターム(参考)】
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