トロカール挿入装置
【課題】半径方向に膨張可能な拡張アセンブリの軸方向管腔中および患者の腹腔中への、膨張アセンブリの挿入の制御を容易にしかつ増強する膨張アセンブリ挿入装置を提供する。
【解決手段】経皮貫入を形成しそして拡大するための装置100は、細長拡張部材であって、半径方向に膨張可能な部材を備え、この半径方向に膨張可能な部材50は、ハンドルを備えた近位端と、遠位端と、第1断面積を備えた軸方向管腔とを備える、細長拡張部材;管状部材を備える、細長膨張部材;を備える。この装置はさらに、前進装置を備え、この前進装置は、この拡張部材10のハンドルと係合するための第1係合特徴を備える、第1アームと;この膨張部材のハンドルと係合するための第2係合特徴を備える、第2アームと;操作部材と;を備える。この第1アームと第2アームとは、この操作部材を操作するとこの第1係合特徴とこの第2係合特徴とが共に接近するように連結されている。
【解決手段】経皮貫入を形成しそして拡大するための装置100は、細長拡張部材であって、半径方向に膨張可能な部材を備え、この半径方向に膨張可能な部材50は、ハンドルを備えた近位端と、遠位端と、第1断面積を備えた軸方向管腔とを備える、細長拡張部材;管状部材を備える、細長膨張部材;を備える。この装置はさらに、前進装置を備え、この前進装置は、この拡張部材10のハンドルと係合するための第1係合特徴を備える、第1アームと;この膨張部材のハンドルと係合するための第2係合特徴を備える、第2アームと;操作部材と;を備える。この第1アームと第2アームとは、この操作部材を操作するとこの第1係合特徴とこの第2係合特徴とが共に接近するように連結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、2003年9月19日に出願した米国仮特許出願番号60/504,506の利益およびこの米国仮特許出願に対する優先権を主張する。この米国仮特許出願の開示全体が、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(1.技術分野)
本開示は、手術器具を患者の体腔中に挿入するのを容易にするための外科装置に関し、より詳細には、半径方向に膨張可能な拡張アセンブリを通して患者の体腔中に膨張アセンブリ(すなわち、トロカール)を挿入するのを容易にするように適合された外科装置に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
(2.関連技術の背景)
最少侵襲性外科手順が、身体全体にわたって実施され、その手順は一般的には、小さい直径の管(代表的には5〜12mm)(通常は、カニューレと呼ばれる)を使用して内部の外科部位へ経皮的に接近することに依存する。その小さい直径の管は、患者の皮膚を通しての接近を提供し、望ましい外科部位に近接して解放している。そのようなあるカニューレを通して、観察スコープが導入される。外科医は、適切に配置された別のカニューレを通して導入された器具を使用しつつ、その観察スコープに連結されたビデオモニターにて外科部位を見ながら、手術する。従って、外科医は、その外科部位に近接する患者の皮膚、組織などを通るほんの5mm〜12mmの穿刺を必要とする、広汎な種類の外科手順を実施可能である。
【0004】
特定の最少侵襲性外科手順は、しばしば、その手術部位である身体領域を観察するために使用される観察スコープの型に基づいて命名される。例えば、腹腔鏡手順は、その手術部位を観察するために腹腔鏡を使用し、小さな切開を通して腹の内部において実施される。そのような腹腔鏡手順は、代表的には、気体(例えば、二酸化炭素)が、腹腔中に導入される必要がある。このことは、トロカールを腹の中に挿入するために腹腔が十分に膨張される、気腹術を確立する。
【0005】
気腹術は、特殊な通気針(ベレス針と呼ばれる)の使用を介して確立される。この針は、その針が腹腔内に入るとすぐにその鋭利な先端の上を進む、バネを装填した閉塞具を備える。この針は、筋膜および腹膜を通して挿入される。一般に、外科医は、この針が筋膜を通りその後腹膜を通って挿入された時を認識することによって、この針の適切な配置を決定するために、触覚に頼る。気腹術を確立した後、腹膜鏡手術における次の工程は、トロカール、閉塞具またはトロカール/閉塞具アセンブリを腹腔に挿入する工程を包含する。
【0006】
好ましくは、腹腔鏡手順において使用されるカニューレは、腹腔からの通気ガスの漏出を阻害するために容易に密封可能ではなければならず、特に、トロカールの外周と腹壁との間の領域からの漏出を阻害するように設計されるべきである。
【0007】
腹腔から逸脱する通気ガスの量を減少するために、半径方向に膨張可能なアクセスシステムが、このカニューレ表面の周囲の密封を改善するために開発されている。そのような機能を実施するためのシステムは、Tyco Healthcare,Ltd.の一部門であるUnited States Surgicalから、商標VERSAPORTTMの下で市販されている。膨張可能なアクセスシステムの特定の局面は、同一人に譲渡された米国特許第5,431,676号;同第5,814,058号;同第5,827,319号;同第6,080,174号;同第6,245,052号;および同第6,325,812号に記載されており、これらの米国特許の内容全体は、本明細書中に参考として明示的に援用される。
【0008】
これらの米国特許に開示されるように、その膨張可能なアクセスシステムは、弾性層により覆われた半径方向に膨張可能な編み組(braid)から代表的には構成される、スリーブ本体を備えるスリーブを備える。その編み組は、最初は、約2mmの内径および約3.5mmの外径を有する。使用時に、その膨張可能なアクセスシステムの中を外科器具(すなわち、トロカール、カニューレ、閉塞具など)が通ると、そのスリーブが、代表的には、最終直径5mm、10mmまたは12mmへと半径方向に膨張する。しかし、そのスリーブは、特定の外科器具を収容するために、必要な任意の直径へと膨張され得る。その膨張可能なアクセスシステムは、そのスリーブの近位端に固定されたハンドルをさらに備える。そのハンドルは、外科器具をそのハンドルを通してスリーブ本体へと導入するために、そのハンドル中に形成された通路を備える。
【0009】
その膨張可能な密封装置の使用方法は、その膨張可能なアクセスシステムの半径方向に膨張可能なスリーブ本体を通して気腹針を挿入し、それにより針/スリーブアセンブリを形成する工程を包含する。その針/スリーブアセンブリは、その後、スリーブ本体の遠位端から突出するその気腹針の鋭利な遠位端を、体腔の体組織に係合させ、そしてその針/スリーブアセンブリがその体組織層を越えて伸長してその体組織中に切開を形成するまで、体腔中にその針/スリーブアセンブリを前進させることによって、患者の腹を通して導入される。その後、その気腹針は、そのスリーブ本体から取り出される。その後、そのハンドル中の開口部よりも小さくかつそのスリーブの管腔よりも大きい直径を有するカニューレが、そのハンドル中の開口部を通して患者の腹の中へと導入される。結果として、トロカールによるそのスリーブの半径方向の膨張に起因して、その切開もまた、その後、半径方向に膨張される。腹腔鏡手順において使用されるカニューレは、トロカール、観察スコープまたは他の外科器具を中に通すのを可能にすると同時に腹腔からの通気ガスの逸脱を阻害するために、その近位端にバルブを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、半径方向に膨張可能な拡張アセンブリの軸方向管腔中および患者の腹腔中への、膨張アセンブリの挿入の制御を容易にしかつ増強する膨張アセンブリ挿入装置についての必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(要旨)
経皮貫入を形成しそして拡大するための装置が、開示される。本開示の1つの局面によると、この装置は、
細長拡張部材であって、この細長拡張部材は、半径方向に膨張可能な部材を備え、この半径方向に膨張可能な部材は、ハンドルを備えた近位端と、遠位端と、第1断面積を備えた軸方向管腔とを備える、細長拡張部材;
細長膨張部材であって、この細長膨張部材は、管状部材を備え、この管状部材は、遠位端と、ハンドルを備えた近位端と、この第1断面積よりも大きい第2断面積を備えた軸方向管腔とを備える、細長膨張部材;
を備える。この細長膨張部材の遠位端は、この拡張部材の軸方向管腔を通してのこの管状部材の挿入を容易にするための構成である。この装置は、前進装置をさらに備え、この前進装置は、
この拡張部材のハンドルと係合するための第1係合特徴を備える、第1アームと;
この膨張部材のハンドルと係合するための第2係合特徴を備える、第2アームと;
操作部材と;
を備える。この第1アームと第2アームとは、この操作部材を操作するとこの第1係合特徴とこの第2係合特徴とが共に接近するように連結されている。
【0012】
上記半径方向に膨張可能な部材は、編み組みされた(braided)スリーブを備えることが、想定される。上記半径方向に膨張可能な部材は、分離可能な(splittable)シースを備えることが、さらに想定される。
【0013】
望ましくは、上記操作部材は、上記第2アームに連結されている。上記第2アームは、上記第1アームを受容するための通路を備え得る。上記操作部材は、上記第2アームに旋回可能に連結され得、かつこの操作部材は、上記第1アームと係合する旋回リンクを備え、この操作部材を押すと、このリンクがこの第1アームを近位方向に移動するようになっており得る。
【0014】
望ましくは、上記第1アームは、上記拡張部材の長手方向軸および上記膨張部材の長手方向軸と平行に延びる。上記第1アームおよび上記第2アームが、相互係合するつめ車の歯(inter−engaging rachet teeth)を備え得ることが、企図される。上記第1アームと第2アームとが、この第1アームに向けて上記操作部材を押すと上記第1係合特徴と上記第2係合特徴とが共に接近するように、旋回可能に連結され得ることが、さらに企図される。
【0015】
本開示の別の局面によると、半径方向に膨張可能な拡張アセンブリを通して患者の体腔中に膨張アセンブリを遠位に挿入するのを容易にするための装置が、提供される。この装置は、
ハンドル;および
このハンドルに作動可能に連結されたトリガー
を備える。このトリガーは、このハンドルから一定距離間隔が空いている第1位置と、このハンドルに近接している第2位置との間で旋回可能である。この装置はさらに、近位端と遠位端とを備えるスピン部材を備える。このスピン部材は、このハンドル内にスライド可能に受容されており、このスピン部材は、この開口位置からこの閉鎖位置へとこのトリガーを操作する際に、このハンドルに対して軸方向に移動可能である。
【0016】
この装置はさらに、このハンドル、このトリガー、およびこのスピン部材と作動可能に係合している作動機構を備える。この作動機構は、このスピン部材と解放可能に係合可能であり、かつこの作動機構は、このスピン部材と係合している場合には、このトリガーを閉鎖位置へと移動するとこのハンドルに対してこのスピン部材を軸方向に移動する。この装置はさらに、この膨張アセンブリを適所に保持するためにこのハンドルに作動可能に連結されている、膨張アセンブリ保持構造;ならびに
この拡張アセンブリをこの膨張アセンブリと整列した状態に維持するためにこのスピン部材の遠位端に備えられた、ヨーク;
を備える。
【0017】
望ましくは、上記トリガーを上記ハンドルに向けて操作すると、上記ヨークが上記膨張アセンブリ保持構造に向けて漸進的に接近する。
【0018】
上記ヨークは、遠位Uリンク(clevis)および近位Uリンクを規定することが、想定される。従って、上記拡張アセンブリのハンドルの対向する側面から延びるタブが、上記遠位Uリンクと上記近位Uリンクとの間で位置決め可能である。上記膨張アセンブリ保持構造は、上記膨張アセンブリのハンドルとスナップ留め(snap−fit)様式で作動可能に係合するように構成された、少なくとも1つのC字型カフを備えることが、さらに想定される。
【0019】
上記作動機構は、
上記スピン部材上に作動可能に支持された駆動レバー;
連結部材であって、この連結部材は、上記トリガーに旋回可能に連結された第1端と、上記ハンドル内にスライド可能に受容されかつこの駆動レバーに旋回可能に連結された第2端とを備える、連結部材;ならびに
この駆動レバーとこのハンドルの内側表面との間に配置された圧縮バネ
を備え得る。この圧縮バネは、望ましくは、上記スピン部材に対して直交する方向へとこの駆動レバーを付勢する。従って、このトリガーをこのハンドルに向けて作動すると、この駆動レバーが旋回してこのスピン部材に対して結合する。
【0020】
上記作動機構は、
上記スピン部材上に作動可能に支持されたブレーキレバーであって、このブレーキレバーの第1端は、上記ハンドル中に形成された凹部内に旋回可能に位置決めされている、ブレーキレバー;ならびに
このブレーキレバーとこのハンドル中に形成された表面との間に配置されたバネ部材であって、このバネ部材は、このブレーキレバーの自由端を遠位方向に付勢する、バネ部材;
をさらに備え得る。
【0021】
上記スピン部材の近位端は、上記ハンドルの近位端から延び得ることが、想定される。
【0022】
この装置は、上記ヨークと作動可能に連結可能な細長拡張アセンブリを備え得る。この細長拡張アセンブリは、ハンドルと、半径方向に膨張可能な管状シースとを備え得、この半径方向に膨張可能な管状シースは、このハンドルに連結された近位端と、遠位端とを備え、そしてこの半径方向に膨張可能な管状シースは、第1断面積を備える軸方向管腔を規定する。この装置は、上記少なくとも1つのカフに作動可能に連結可能である細長膨張アセンブリをさらに備え得る。この膨張アセンブリは、遠位端と、ハンドルを備えた近位端と、上記細長拡張アセンブリの第1断面積よりも大きい第2断面積を備えた軸方向管腔とを備える管状要素をさらに備え得る。
【0023】
本開示の別の局面によると、標的手術部位への接近を提供するためのキットが、提供される。このキットは、
半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ;
気腹針アセンブリ;
スタイレット;
膨張アセンブリ;
閉塞具;
経皮貫入を形成し拡大するための膨張アセンブリ挿入装置;ならびに
この半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ、この気腹針アセンブリ、このスタイレット、この膨張アセンブリ、この閉塞具、およびこの膨張アセンブリ挿入装置を収容するための、パッケージ、
を備える。
【0024】
このキットは、使用に関する指示および使用上の注意のうちの少なくとも1つを含む、パッケージ挿入物、をさらに備え得る。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
経皮貫入を形成しそして拡大するための装置であって、該装置は、
細長拡張部材であって、該細長拡張部材は、半径方向に膨張可能な部材を備え、該半径方向に膨張可能な部材は、ハンドルを備えた近位端と、遠位端と、第1断面積を備えた軸方向管腔とを備える、細長拡張部材;
細長膨張部材であって、該細長膨張部材は、管状部材を備え、該管状部材は、遠位端と、ハンドルを備えた近位端と、該第1断面積よりも大きい第2断面積を備えた軸方向管腔とを備え、該細長膨張部材の遠位端は、該拡張部材の軸方向管腔を通しての該管状部材の挿入を容易にするための構成である、細長膨張部材;
前進装置であって、該前進装置は、
該拡張部材のハンドルと係合するための第1係合特徴を備える、第1アームと;
該膨張部材のハンドルと係合するための第2係合特徴を備える、第2アームと;
操作部材と;
を備え、該第1アームと第2アームとは、該操作部材を操作すると該第1係合特徴と該第2係合特徴とが共に接近するように連結されている、前進装置;
を備える、装置。
(項目2)
項目1に記載の装置であって、前記半径方向に膨張可能な部材が、編み組みされたスリーブを備える、装置。
(項目3)
項目2に記載の装置であって、前記半径方向に膨張可能な部材が、分離可能なシースを備える、装置。
(項目4)
項目1に記載の装置であって、前記操作部材が、前記第2アームに連結されている、装置。
(項目5)
項目4に記載の装置であって、前記第2アームが、前記第1アームを受容するための通路を備える、装置。
(項目6)
項目5に記載の装置であって、前記操作部材が、前記第2アームに旋回可能に連結されており、かつ該操作部材は、前記第1アームと係合する旋回リンクを備え、該操作部材を押すと、該リンクが該第1アームを近位方向に移動するようになっている、装置。
(項目7)
項目6に記載の装置であって、前記第1アームが、前記拡張部材の長手方向軸および前記膨張部材の長手方向軸と平行に延びる、装置。
(項目8)
項目6に記載の装置であって、前記第1アームおよび前記第2アームが、相互係合するつめ車の歯を備える、装置。
(項目9)
項目4に記載の装置であって、前記第1アームと第2アームとが、該第1アームに向けて前記操作部材を押すと前記第1係合特徴と前記第2係合特徴とが共に接近するように、旋回可能に連結されている、装置。
(項目10)
半径方向に膨張可能な拡張アセンブリを通して患者の体腔中に膨張アセンブリを遠位に挿入するのを容易にするための装置であって、該装置は、
ハンドル;
該ハンドルに作動可能に連結されたトリガーであって、該トリガーは、該ハンドルから一定距離間隔が空いている第1位置と、該ハンドルに近接している第2位置との間で旋回可能である、トリガー;
近位端と遠位端とを備えるスピン部材であって、該スピン部材は、該ハンドル内にスライド可能に受容されており、該スピン部材は、該開口位置から該閉鎖位置へと該トリガーを操作する際に、該ハンドルに対して軸方向に移動可能である、スピン部材;
該ハンドル、該トリガー、および該スピン部材と作動可能に係合している作動機構であって、該作動機構は、該スピン部材と解放可能に係合可能であり、かつ該作動機構は、該スピン部材と係合している場合には、該トリガーを該閉鎖位置へと移動すると該ハンドルに対して該スピン部材を軸方向に移動する、作動機構;
該膨張アセンブリを適所に保持するために該ハンドルに作動可能に連結されている、保持構造;ならびに
該拡張アセンブリを該膨張アセンブリと整列した状態に維持するために該スピン部材の遠位端に備えられた、ヨーク;
を備える、装置。
(項目11)
項目10に記載の装置であって、前記トリガーを前記ハンドルに向けて操作すると、前記ヨークが前記保持構造に向けて漸進的に接近する、装置。
(項目12)
項目11に記載の装置であって、前記ヨークが、遠位Uリンクおよび近位Uリンクを規定し、前記拡張アセンブリのハンドルの対向する側面から延びるタブが、該遠位Uリンクと該近位Uリンクとの間で位置決め可能である、装置。
(項目13)
項目12に記載の装置であって、前記保持構造が、前記膨張アセンブリのハンドルとスナップ留め様式で作動可能に係合するように構成された、少なくとも1つのC字型カフを備える、装置。
(項目14)
項目13に記載の装置であって、前記作動機構が、
前記スピン部材上に作動可能に支持された駆動レバー;
連結部材であって、該連結部材は、前記トリガーに旋回可能に連結された第1端と、前記ハンドル内にスライド可能に受容されかつ該駆動レバーに旋回可能に連結された第2端とを備える、連結部材;ならびに
該駆動レバーと該ハンドルの内側表面との間に配置された圧縮バネであって、該圧縮バネは、前記スピン部材に対して直交する方向へと該駆動レバーを付勢する、圧縮バネ;
を備え
該トリガーを該ハンドルに向けて作動すると、該駆動レバーが旋回して該スピン部材に対して結合する、装置。
(項目15)
項目14に記載の装置であって、前記作動機構が、
前記スピン部材上に作動可能に支持されたブレーキレバーであって、該ブレーキレバーの第1端は、前記ハンドル中に形成された凹部内に旋回可能に位置決めされている、ブレーキレバー;ならびに
該ブレーキレバーと該ハンドル中に形成された表面との間に配置されたバネ部材であって、該バネ部材は、該ブレーキレバーの自由端を遠位方向に付勢する、バネ部材;
をさらに備える、装置。
(項目16)
項目15に記載の装置であって、前記スピン部材の近位端が、前記ハンドルの近位端から延びる、装置。
(項目17)
項目16に記載の装置であって、
前記ヨークと作動可能に連結可能な細長拡張アセンブリであって、該細長拡張アセンブリは、ハンドルと、半径方向に膨張可能な管状シースとを備え、該半径方向に膨張可能な管状シースは、該ハンドルに連結された近位端と、遠位端とを備え、そして該半径方向に膨張可能な管状シースは、第1断面積を備える軸方向管腔を規定する管状要素を備える、細長拡張アセンブリ;
をさらに備える、装置。
(項目18)
項目17に記載の装置であって、
前記少なくとも1つのカフに作動可能に連結可能である細長膨張アセンブリであって、該膨張アセンブリは、遠位端と、ハンドルを備えた近位端と、前記細長拡張アセンブリの第1断面積よりも大きい第2断面積を備えた軸方向管腔とを備える、管状要素を備える、細長膨張アセンブリ、
をさらに備える、装置。
(項目19)
標的手術部位への接近を提供するためのキットであって、
半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ;
気腹針アセンブリ;
スタイレット;
膨張アセンブリ;
閉塞具;
経皮貫入を形成し拡大するための膨張アセンブリ挿入装置;ならびに
該半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ、該気腹針アセンブリ、該スタイレット、該膨張アセンブリ、該閉塞具、および該膨張アセンブリ挿入装置を収容するための、パッケージ、
を備える、キット。
(項目20)
項目19に記載のキットであって、
使用に関する指示および使用上の注意のうちの少なくとも1つを含む、パッケージ挿入物、
をさらに備える、キット。
【0025】
開示されるトロカール挿入装置の他の特徴および利点は、好ましい実施形態が添付の図面とともに示されている以下の説明から明らかである。
【発明の効果】
【0026】
半径方向に膨張可能な拡張アセンブリの軸方向管腔中および患者の腹腔中への、膨張アセンブリの挿入の制御を容易にしかつ増強する膨張アセンブリ挿入装置が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
添付の図面は、本明細書の一部に組み込まれ、かつ本明細書の一部を構成する。添付の図面は、本開示の実施形態を示し、上記に示された実施形態の詳細な説明とともに、本開示の原理を説明するために役立つ。
【図1】図1は、患者における穿刺開口部を密封するための、半径方向に膨張可能な拡張アセンブリの側方正面図である。
【図2】図2は、管状針本体から取り外されたスタイレットとともに示された、上記拡張アセンブリの気腹針要素の側方正面図である。
【図3】図3は、細長膨張アセンブリのカニューレアセンブリの部分的に分離した側方正面図である。
【図4】図4は、図3の細長膨張アセンブリとともに使用するための閉塞具要素の側方正面図である。
【図5】図5は、本開示に従う膨張アセンブリ挿入装置の斜視図であり、この装置は、作動可能に取り付けられた、膨張アセンブリおよび拡張アセンブリを備える。
【図6】図6は、上記膨張アセンブリ挿入装置の固定ハンドルおよびトリガーの、その長手方向軸に沿った側方断面正面図であり、例示的作動機構を示す。
【図7】図7は、図1の拡張アセンブリおよび図2の膨張アセンブリと組み合わせた、この拡張アセンブリ中へのこの膨張アセンブリの挿入を容易にするための膨張アセンブリ挿入装置の使用を示す。
【図8】図8は、図1の拡張アセンブリおよび図2の膨張アセンブリと組み合わせた、この拡張アセンブリ中へのこの膨張アセンブリの挿入を容易にするための膨張アセンブリ挿入装置の使用を示す。
【図9】図9は、図1の拡張アセンブリおよび図2の膨張アセンブリと組み合わせた、この拡張アセンブリ中へのこの膨張アセンブリの挿入を容易にするための膨張アセンブリ挿入装置の使用を示す。
【図10】図10は、図1の拡張アセンブリおよび図2の膨張アセンブリと組み合わせた、この拡張アセンブリ中へのこの膨張アセンブリの挿入を容易にするための膨張アセンブリ挿入装置の使用を示す。
【図11】図11は、パッケージ中に存在する、半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ、気腹針アセンブリ、カニューレアセンブリ、閉塞具、および挿入装置を備える、キットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
ここに開示される膨張アセンブリ挿入装置の好ましい実施形態が、ここに、図面を参照して詳細に記載される。図面において、同様の参照番号は、類似する要素または同一の要素を同定する。図面および以下の説明において、用語「近位」とは、従来通り、本開示の外科デバイスまたは器具の、術者に最も近い末端を指し、一方、用語「遠位」とは、そのデバイスまたは器具の、術者から最も遠い末端を指す。
ここで、図面を詳細に参照すると、図1において観察されるように、半径方向に膨張可能な拡張アセンブリは、一般に、参照番号10を用いて示される。半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ10は、管状シース12を備え、この管状シース12は、近位端14、遠位端16、およびその中を通って延びる軸方向管腔15を備える。軸方向管腔15は、長手方向軸「X」を規定し、さらに、その管腔の中を通って延びる第1断面積を規定する。近位端14は、近位方向にて半径方向外向きにテーパ状であり、そしてハンドル18に固定されている。ハンドル18は、その中を通って延びて管状シース12の管腔15に相互接続している、アパーチャ20を備える。管状シース12は、本明細書中で以後より詳細に記載される、シース12の半径方向膨張をもたらすために膨張アセンブリを受容可能である任意の材料から作製され得る。
【0029】
シース12は、好ましくは、同一人に譲渡された米国特許第5,431,676号に記載されるように、弾性膜により覆われた非弾性編み組(braid)を備える。この米国特許の全開示は、本明細書中に参考として援用される。適切な膨張可能なスリーブ10は、Tyco Healthcare,Ltd.の一部門であるUnited States Surgicalから、STEPTM導入器システムの一部として市販され得る。
【0030】
管状針32とスタイレット34とを備える気腹針アセンブリ30が、図2に示される。管状針32は、その近位端に、雄差し込みコネクタ38を備えるハブ36を備える。好ましくは、スタイレット34は、雄差し込み取付け具42を備える近位コネクタ40中にバネ装填されている。雄差し込み取付け具42は、ハブ36の雌差し込み取付け具(示さず)に、受容可能に結合されている。通気バルブ44が、スタイレット34の近位端に連結されており、入口46が、その遠位端に形成される。入口46は、バルブ44を通しての通気ガスの導入が、スタイレット34を通して放出されるのを可能にする。使用時に、スタイレット34は、ハブ36に取り付けられた差し込み取付け具42とともに針32内に取り付けられる。その後、スタイレット34の遠位端が針32の遠位端48から伸び、その結果、針アセンブリ30が、以下により詳細に記載されるように、組織と係合した時に、スタイレット34が針32の中に引き込まれる。
【0031】
ここで、図3を参照すると、膨張アセンブリ50が示され、そして記載される。膨張アセンブリ50は、膨張部材52(すなわち、カニューレ管)および近位ハブ54を備える。膨張部材52は、その近位端にネジ付きコネクタ56を備え、このネジ付きコネクタは、近位ハブ54の遠位端において、取付け具58に取り外し可能に固定され得る。好ましくは、膨張部材52は、管状シース12の第1断面積よりも大きい第2断面積を規定する。
【0032】
図4を参照すると、テーパ状遠位端74を有するシャフト72とハンドル76とを有する、閉塞具70が、示されそして記載される。以下により詳細に記載されるように、閉塞具70は、半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ10の中への膨張アセンブリ50の挿入を容易にするために、カニューレアセンブリ50の中心管腔内に配置されることが、意図される。
【0033】
ここで図5を見ると、本開示に従う膨張アセンブリ挿入装置は、作動可能に取り付けられた膨張アセンブリ50および拡張アセンブリ10を備えており、参照番号100として一般に示される。挿入装置100は、近位に延びる固定ハンドル102、旋回ピン118にて固定ハンドル104に旋回可能に結合されたトリガー104、および遠位に延びるスピン部材106を備える。スピン部材106は、長手方向軸「X」を規定する、遠位端108および近位端110を有する。スピン部材106の近位端110は、固定ハンドル102の遠位端において形成されたアパーチャ102を通って、固定ハンドル102内にスライド可能に受容される。スピン部材106についてほぼ矩形の断面が示されているが、スピン部材106は、円形、楕円形、正方形、または他の多角形の断面を有し得ることが、企図される。
【0034】
スピン部材106の遠位端108は、作動可能に結合されたヨークまたは係合特徴112を備える。ヨーク112は、一対のレッグ(leg)116、117を有する、U字型Uリンク(clevis)114を規定する。好ましくは、Uリンク114は、遠位の一対のレッグ116a、117aと、近位の一対のレッグ116b、117bとを備える。レッグ116、117は、スピン部材106の長手方向「X」軸と実質的に平行である軸を規定する。使用時に、ヨーク112のU字型Uリンク114は、その中に、拡張アセンブリ10のハンドル18を受容する。詳細には、ハンドル18は、一対の正反対に対向するタブ18a、18bを備え、ここで、タブ18aまたは18bのいずれかは、遠位レッグ116aと近位レッグ18bとの間に位置し、一方、タブ18aまたは18bのうちのもう一方は、遠位レッグ117aと近位レッグ117bとの間に位置する。
【0035】
図6において最も良く観察されるように、固定ハンドル102は、挿入装置100の機械的操作のために作動機構を備える。この作動機構は、旋回点122にてトリガー104に旋回可能に結合された第1端120aと、固定ハンドル102内にスライド可能に受容されかつ駆動レバー130に旋回可能に結合された第2端120bとを有する、連結部材120を備える。
【0036】
駆動レバー130は、駆動レバー130中に形成されたアパーチャまたは開口部132を通る、スピン部材106上に位置付け、および/または懸架される。駆動レバー130と、固定ハンドル102の内部表面との間に配置された圧縮バネ134は、遠位方向に駆動レバー130を推進し、スピン部材106に対して直交するように保持する。バネ134の力は、トリガー104を、連結部材120を介して、固定ハンドル102のバッキング(backing)部材126に対して推進し、それにより、待機状態を提供する。この待機状態において、駆動レバー130は、作動時に矢印「P」により示されるスピン部材106の運動方向と実質的に垂直に位置する。旋回ピン118の周囲でのトリガー104の運動は、以下により詳細に記載されるように、スピン部材106がバネ134の付勢(bias)に対して移動することを引き起こす。
【0037】
この作動機構は、スピン部材106が通る開口部138を有する、ブレーキングレバー136をさらに備える。ブレーキングレバー136の一端140は、固定ハンドル102中に形成された凹部142中に旋回可能に位置決めされ、その結果、ブレーキングレバー136は、凹部142の表面によって、およびブレーキングレバー136中の開口部138の縁がスピン部材106の表面と係合した場合にスピン部材106とのブレーキングレバー136の結合によって規定される、拘束内で旋回し得る。少なくとも1つの圧縮バネ144が、固定ハンドル102中の壁146とブレーキングレバー136との間に配置される。バネ144は、ブレーキングレバー136の自由端を、駆動レバー130から遠位へと、効果的に付勢する。付勢されたブレーキングレバー136の位置は、ブレーキングレバー136の開口部138とスピン部材106の表面との間の、結合および/またはコック(cock)の干渉により制限される。図6において示される実施形態において、ブレーキングレバー136は、固定ハンドル102の方向に延び、その結果、その遠位端148は、ユーザの親指によって適切に掴まれ得る。
【0038】
図6において示される待機位置において、駆動レバー130は、スピン部材106の長手方向「X」軸と実質的に垂直であり、一方、スピン部材106と係合するブレーキングレバー136の一部は、スピン部材106の長手方向「X」に対してわずかな角度横向きであることが、留意されるべきである。この状態において、矢印「P」により示される方向にて、ヨーク112(図5)に対して力が付与された場合、スピン部材106は、固定ハンドル102を通って自由に移動する。ブレーキングレバー136は、矢印「P」により示される方向にて、ヨーク112に対して力が付与された場合には、バネ144の付勢に対して自由に旋回するので、ブレーキングレバー136は、スピン部材106およびヨーク112の運動に対して何ら障害を示さず、従って、固定ハンドル102を通って継続的に前進され得る。
【0039】
しかし、図6において示されるような待機位置において、矢印「P」により示される方向とは反対の方向にてヨーク112に力が付与された場合、ブレーキングレバー136中の開口部138の縁がスピン部材106の表面に結合し、そして、固定ハンドル102から離れるように移動するヨーク112を引き込むことは、可能ではない。ブレーキングレバー136を矢印「P」の方向に指で押すことによって、バネ144の圧縮は、スピン部材106およびヨーク112の引き込みが、固定ハンドル102から離れて伸びるようにすることが可能である。バネ144の圧縮は、ブレーキングレバー136の遠位端148を、スピン部材106の意図される運動方向と垂直にし、従って、スピン部材106は、ブレーキングレバー136中の開口部138を通るいずれかの方向で自由にスライドする。
【0040】
膨張アセンブリ挿入装置100の好ましい使用方法は、トリガー104を(固定ハンドル102に向かって)握り込んで、スピン部材106およびヨーク112を、固定ハンドル102を通して漸進的に前進させることである。トリガー104を握り込むと、旋回ピン118の周囲で旋回が生じ、連結部材120の第2端120bもまた、実質的に矢印「P」の方向に移動する。これは、駆動レバー130がその第1端131の周囲で旋回することを引き起こし、その結果、駆動レバー130は、もはや、スピン部材106の意図される運動方向「P」と垂直ではない。駆動レバー130の旋回は、バネ134を圧縮し、そしてまた、駆動レバー130中に形成されたアパーチャ132の端縁が、スピン部材106の表面に結合することを引き起こす。駆動レバー130は、スピン部材106の意図される運動方向「P」ともはや垂直ではないので、結合が生じる。トリガー104のさらなる運動は、駆動レバー130が矢印「P」の方向に平行移動することを引き起こす。この運動は、バネ134をさらに圧縮し、その過程において、駆動レバー130とスピン部材106との間の結合およびコック(cock)の干渉によって、固定ハンドル102を介してスピン部材106およびその結合したヨーク112を前進させる。トリガー104の1回の握り込みによるヨーク112の最大前進距離は、バネ134が完全に圧縮された場合またはトリガー104が固定ハンドル102の表面を打つ場合まで、制限される。
【0041】
トリガー104が旋回ピン118の周囲で完全に旋回した後、トリガー104の解放は、バネ134に起因してトリガー104が待機状態まで戻り、駆動レバー130を垂直位置へと推進しそして連結部材120をトリガー104中へと押すことを引き起こす。
【0042】
図5に戻ると、固定ハンドル102は、その遠位端に固定された、少なくとも1つ(好ましくは一対)の弾力的なC字型カフ124をさらに備える。カフ124は、レッグ116、117によって規定されるUリンク114の軸に実質的に整列した、長手方向軸を規定する。使用時に、カフ124は、その中にカニューレアセンブリ50の近位ハブ54をスナップ留め(snap−fit)型係合により受容するような構成である。
【0043】
さらに、固定ハンドル102は、上記のようなバッキング部材126を備える。バッキング部材126は、好ましくは、固定ハンドル102から、カフ124の長手方向軸を越えて横に延びる。従って、操作時に、好ましくは、膨張アセンブリ50が膨張アセンブリ挿入装置100に取り付けられた場合に、バッキング部材126は、膨張アセンブリ50の近位端表面に対する止め(stop)として作用する。
【0044】
Uリンク114をカフ124に向けて漸進的に近接させるためのトリガー104を備える挿入装置100が、本明細書中で示されそして記載されてきたが、同じ機能を達成するために任意の操作部材が使用され得ることが、想定され、かつこのことは本開示の範囲内にある。例えば、その操作部材は、Uリンク114をカフ124に向かって前進させるために、つめ車(ratchet)機構、ネジ(screw)駆動、空気式(pneumatic)駆動などを備え得る。
【0045】
ここで、図7〜10を参照すると、膨張アセンブリ挿入装置100の好ましい操作方法が、記載される。まず、図7において観察されるように、気腹針アセンブリ30が挿入されている半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ10が、針アセンブリ30の鋭利な遠位端48を患者の腹「A」の組織へと係合すること、そして拡張アセンブリ10の管状シース12が腹「A」の組織を通って伸びるまで、スリーブ/針の組合せを前進させることによって、患者の腹「A」(または他の身体位置)を通して導入される。
【0046】
その後、針アセンブリ30が取り除かれ、そして閉塞具70が中に配置された膨張アセンブリ50が、膨張アセンブリ挿入装置100の補助によって拡張アセンブリ10の管状シース12を通って導入され、そにより、管状シース12が半径方向に膨張する(図9参照)。詳細には、挿入装置100のヨーク112は、好ましくは、上記のような拡張アセンブリ10のハンドル18上に、まずひっかけられる(hooked)。次に、閉塞具70を備える膨張アセンブリ50が、膨張アセンブリ50の近位ハブ54を上記のようなカフ124に結合することによって、挿入装置100中に装填される。最後に、挿入装置100は、上記のようにトリガー104を繰返し握って、膨張アセンブリ50および閉塞具70を、拡張アセンブリ10を通して漸進的に前進させることによって、作動される。膨張アセンブリ50および閉塞具70が管状シース12を通って遠位に移動される場合、拡張アセンブリ10は、第1断面積から第2断面積へと半径方向に膨張される。
【0047】
最後に、図10において示されるように、閉塞具70が膨張部材52から取り外され、腹壁「A」を通るアクセスチャネルが残る。このアクセスチャネルは、このアクセスチャネルを通って他の種々の外科器具を導入するためのものである。
【0048】
挿入装置100の人間工学的特徴は、実質的に長手方向を向いた固定ハンドル102およびトリガー104である。換言すると、固定ハンドル102は、好ましくは、スピン部材106の長手方向軸と整列し、一方、トリガー104は、好ましくは、スピン部材106の長手方向軸と実質的に整列した閉鎖位置へと旋回可能である。従って、挿入装置100の長手方向軸は、外科医の前腕の長手方向軸に対して実質的に直行する方向を向いている。従って、外科医による挿入力の付与は、好ましくは、外科医が固定ハンドル102およびトリガー104を握ること、および外科医がその肘の周囲に前腕を旋回させることによって生じ、その結果、手が、挿入装置100の長手方向軸と実質的に同一線形順序に並んでいる(co−linear)方向で移動する。
【0049】
ここで、図11に移ると、システム構成要素の種々の組合せを含む例示的パッケージまたは「キット」が、示される。このようなキットは、本開示のアクセスシステムを再構築するために必要な構成要素の在庫維持を容易にするための特に簡便な方法である。当然、完全なシステムがキット状態で販売され得ること、ならびに個別の構成要素各々が独立してキットの状態で販売され得ることが、認識される。多くの場合、1つのパッケージ中に構成要素対または複数の単一構成要素部品を一緒に組み合わせることが、特にその構成要素がたがいに適合する大きさである場合には、望ましい。これらのキットは、従来のパッケージ要素(代表的には、袋(pouch)、包装材料(envelope)、トレー(tray)、箱、発泡体挿入物(foam insert)、および外科器具の滅菌包装または非滅菌包装のために一般的に使用される型の他の容器)を備える。このパッケージはまた、代表的には、使用に関する指示、使用上の注意(warning)などを備えた書面の指示シートである、「パッケージ挿入物P」を備える。
【0050】
図11において観察されるように、標的外科部位へのアクセスを提供するための例示的キット200は、代表的には非滅菌のパッケージ202を備える。なぜなら、再利用可能な構成要素が、後に滅菌され得、それは、以下の品目のうちの少なくとも1つであり得るからである:半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ10;気腹針アセンブリ30;スタイレット34;膨張アセンブリ50;および閉塞具70.キット200は、膨張アセンブリ挿入装置100をさらに備える。
【0051】
上記の開示は、明確さまたは理解のために、例示および例によって、いくらか詳細に記載されてきたが、特定の変化および改変が添付の特許請求の範囲内で実施され得ることが、明らかである。
【0052】
(摘要)
経皮貫入を形成しそして拡大するための装置が、開示される。この装置は、
細長拡張部材であって、この細長拡張部材は、第1断面積を備えた半径方向に膨張可能な部材と;第1断面積よりも大きい第2断面積を有する管状要素を備える、細長膨張部材と;を備える。この装置は、前進装置をさらに備え、この前進装置は、
この拡張部材のハンドルと係合するための第1係合特徴を備える、第1アームと;
この膨張部材のハンドルと係合するための第2係合特徴を備える、第2アームと;
操作部材と;
を備える。この第1アームと第2アームとは、この操作部材を操作するとこの第1係合特徴とこの第2係合特徴とが共に接近するように連結されている。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、2003年9月19日に出願した米国仮特許出願番号60/504,506の利益およびこの米国仮特許出願に対する優先権を主張する。この米国仮特許出願の開示全体が、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(1.技術分野)
本開示は、手術器具を患者の体腔中に挿入するのを容易にするための外科装置に関し、より詳細には、半径方向に膨張可能な拡張アセンブリを通して患者の体腔中に膨張アセンブリ(すなわち、トロカール)を挿入するのを容易にするように適合された外科装置に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
(2.関連技術の背景)
最少侵襲性外科手順が、身体全体にわたって実施され、その手順は一般的には、小さい直径の管(代表的には5〜12mm)(通常は、カニューレと呼ばれる)を使用して内部の外科部位へ経皮的に接近することに依存する。その小さい直径の管は、患者の皮膚を通しての接近を提供し、望ましい外科部位に近接して解放している。そのようなあるカニューレを通して、観察スコープが導入される。外科医は、適切に配置された別のカニューレを通して導入された器具を使用しつつ、その観察スコープに連結されたビデオモニターにて外科部位を見ながら、手術する。従って、外科医は、その外科部位に近接する患者の皮膚、組織などを通るほんの5mm〜12mmの穿刺を必要とする、広汎な種類の外科手順を実施可能である。
【0004】
特定の最少侵襲性外科手順は、しばしば、その手術部位である身体領域を観察するために使用される観察スコープの型に基づいて命名される。例えば、腹腔鏡手順は、その手術部位を観察するために腹腔鏡を使用し、小さな切開を通して腹の内部において実施される。そのような腹腔鏡手順は、代表的には、気体(例えば、二酸化炭素)が、腹腔中に導入される必要がある。このことは、トロカールを腹の中に挿入するために腹腔が十分に膨張される、気腹術を確立する。
【0005】
気腹術は、特殊な通気針(ベレス針と呼ばれる)の使用を介して確立される。この針は、その針が腹腔内に入るとすぐにその鋭利な先端の上を進む、バネを装填した閉塞具を備える。この針は、筋膜および腹膜を通して挿入される。一般に、外科医は、この針が筋膜を通りその後腹膜を通って挿入された時を認識することによって、この針の適切な配置を決定するために、触覚に頼る。気腹術を確立した後、腹膜鏡手術における次の工程は、トロカール、閉塞具またはトロカール/閉塞具アセンブリを腹腔に挿入する工程を包含する。
【0006】
好ましくは、腹腔鏡手順において使用されるカニューレは、腹腔からの通気ガスの漏出を阻害するために容易に密封可能ではなければならず、特に、トロカールの外周と腹壁との間の領域からの漏出を阻害するように設計されるべきである。
【0007】
腹腔から逸脱する通気ガスの量を減少するために、半径方向に膨張可能なアクセスシステムが、このカニューレ表面の周囲の密封を改善するために開発されている。そのような機能を実施するためのシステムは、Tyco Healthcare,Ltd.の一部門であるUnited States Surgicalから、商標VERSAPORTTMの下で市販されている。膨張可能なアクセスシステムの特定の局面は、同一人に譲渡された米国特許第5,431,676号;同第5,814,058号;同第5,827,319号;同第6,080,174号;同第6,245,052号;および同第6,325,812号に記載されており、これらの米国特許の内容全体は、本明細書中に参考として明示的に援用される。
【0008】
これらの米国特許に開示されるように、その膨張可能なアクセスシステムは、弾性層により覆われた半径方向に膨張可能な編み組(braid)から代表的には構成される、スリーブ本体を備えるスリーブを備える。その編み組は、最初は、約2mmの内径および約3.5mmの外径を有する。使用時に、その膨張可能なアクセスシステムの中を外科器具(すなわち、トロカール、カニューレ、閉塞具など)が通ると、そのスリーブが、代表的には、最終直径5mm、10mmまたは12mmへと半径方向に膨張する。しかし、そのスリーブは、特定の外科器具を収容するために、必要な任意の直径へと膨張され得る。その膨張可能なアクセスシステムは、そのスリーブの近位端に固定されたハンドルをさらに備える。そのハンドルは、外科器具をそのハンドルを通してスリーブ本体へと導入するために、そのハンドル中に形成された通路を備える。
【0009】
その膨張可能な密封装置の使用方法は、その膨張可能なアクセスシステムの半径方向に膨張可能なスリーブ本体を通して気腹針を挿入し、それにより針/スリーブアセンブリを形成する工程を包含する。その針/スリーブアセンブリは、その後、スリーブ本体の遠位端から突出するその気腹針の鋭利な遠位端を、体腔の体組織に係合させ、そしてその針/スリーブアセンブリがその体組織層を越えて伸長してその体組織中に切開を形成するまで、体腔中にその針/スリーブアセンブリを前進させることによって、患者の腹を通して導入される。その後、その気腹針は、そのスリーブ本体から取り出される。その後、そのハンドル中の開口部よりも小さくかつそのスリーブの管腔よりも大きい直径を有するカニューレが、そのハンドル中の開口部を通して患者の腹の中へと導入される。結果として、トロカールによるそのスリーブの半径方向の膨張に起因して、その切開もまた、その後、半径方向に膨張される。腹腔鏡手順において使用されるカニューレは、トロカール、観察スコープまたは他の外科器具を中に通すのを可能にすると同時に腹腔からの通気ガスの逸脱を阻害するために、その近位端にバルブを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、半径方向に膨張可能な拡張アセンブリの軸方向管腔中および患者の腹腔中への、膨張アセンブリの挿入の制御を容易にしかつ増強する膨張アセンブリ挿入装置についての必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(要旨)
経皮貫入を形成しそして拡大するための装置が、開示される。本開示の1つの局面によると、この装置は、
細長拡張部材であって、この細長拡張部材は、半径方向に膨張可能な部材を備え、この半径方向に膨張可能な部材は、ハンドルを備えた近位端と、遠位端と、第1断面積を備えた軸方向管腔とを備える、細長拡張部材;
細長膨張部材であって、この細長膨張部材は、管状部材を備え、この管状部材は、遠位端と、ハンドルを備えた近位端と、この第1断面積よりも大きい第2断面積を備えた軸方向管腔とを備える、細長膨張部材;
を備える。この細長膨張部材の遠位端は、この拡張部材の軸方向管腔を通してのこの管状部材の挿入を容易にするための構成である。この装置は、前進装置をさらに備え、この前進装置は、
この拡張部材のハンドルと係合するための第1係合特徴を備える、第1アームと;
この膨張部材のハンドルと係合するための第2係合特徴を備える、第2アームと;
操作部材と;
を備える。この第1アームと第2アームとは、この操作部材を操作するとこの第1係合特徴とこの第2係合特徴とが共に接近するように連結されている。
【0012】
上記半径方向に膨張可能な部材は、編み組みされた(braided)スリーブを備えることが、想定される。上記半径方向に膨張可能な部材は、分離可能な(splittable)シースを備えることが、さらに想定される。
【0013】
望ましくは、上記操作部材は、上記第2アームに連結されている。上記第2アームは、上記第1アームを受容するための通路を備え得る。上記操作部材は、上記第2アームに旋回可能に連結され得、かつこの操作部材は、上記第1アームと係合する旋回リンクを備え、この操作部材を押すと、このリンクがこの第1アームを近位方向に移動するようになっており得る。
【0014】
望ましくは、上記第1アームは、上記拡張部材の長手方向軸および上記膨張部材の長手方向軸と平行に延びる。上記第1アームおよび上記第2アームが、相互係合するつめ車の歯(inter−engaging rachet teeth)を備え得ることが、企図される。上記第1アームと第2アームとが、この第1アームに向けて上記操作部材を押すと上記第1係合特徴と上記第2係合特徴とが共に接近するように、旋回可能に連結され得ることが、さらに企図される。
【0015】
本開示の別の局面によると、半径方向に膨張可能な拡張アセンブリを通して患者の体腔中に膨張アセンブリを遠位に挿入するのを容易にするための装置が、提供される。この装置は、
ハンドル;および
このハンドルに作動可能に連結されたトリガー
を備える。このトリガーは、このハンドルから一定距離間隔が空いている第1位置と、このハンドルに近接している第2位置との間で旋回可能である。この装置はさらに、近位端と遠位端とを備えるスピン部材を備える。このスピン部材は、このハンドル内にスライド可能に受容されており、このスピン部材は、この開口位置からこの閉鎖位置へとこのトリガーを操作する際に、このハンドルに対して軸方向に移動可能である。
【0016】
この装置はさらに、このハンドル、このトリガー、およびこのスピン部材と作動可能に係合している作動機構を備える。この作動機構は、このスピン部材と解放可能に係合可能であり、かつこの作動機構は、このスピン部材と係合している場合には、このトリガーを閉鎖位置へと移動するとこのハンドルに対してこのスピン部材を軸方向に移動する。この装置はさらに、この膨張アセンブリを適所に保持するためにこのハンドルに作動可能に連結されている、膨張アセンブリ保持構造;ならびに
この拡張アセンブリをこの膨張アセンブリと整列した状態に維持するためにこのスピン部材の遠位端に備えられた、ヨーク;
を備える。
【0017】
望ましくは、上記トリガーを上記ハンドルに向けて操作すると、上記ヨークが上記膨張アセンブリ保持構造に向けて漸進的に接近する。
【0018】
上記ヨークは、遠位Uリンク(clevis)および近位Uリンクを規定することが、想定される。従って、上記拡張アセンブリのハンドルの対向する側面から延びるタブが、上記遠位Uリンクと上記近位Uリンクとの間で位置決め可能である。上記膨張アセンブリ保持構造は、上記膨張アセンブリのハンドルとスナップ留め(snap−fit)様式で作動可能に係合するように構成された、少なくとも1つのC字型カフを備えることが、さらに想定される。
【0019】
上記作動機構は、
上記スピン部材上に作動可能に支持された駆動レバー;
連結部材であって、この連結部材は、上記トリガーに旋回可能に連結された第1端と、上記ハンドル内にスライド可能に受容されかつこの駆動レバーに旋回可能に連結された第2端とを備える、連結部材;ならびに
この駆動レバーとこのハンドルの内側表面との間に配置された圧縮バネ
を備え得る。この圧縮バネは、望ましくは、上記スピン部材に対して直交する方向へとこの駆動レバーを付勢する。従って、このトリガーをこのハンドルに向けて作動すると、この駆動レバーが旋回してこのスピン部材に対して結合する。
【0020】
上記作動機構は、
上記スピン部材上に作動可能に支持されたブレーキレバーであって、このブレーキレバーの第1端は、上記ハンドル中に形成された凹部内に旋回可能に位置決めされている、ブレーキレバー;ならびに
このブレーキレバーとこのハンドル中に形成された表面との間に配置されたバネ部材であって、このバネ部材は、このブレーキレバーの自由端を遠位方向に付勢する、バネ部材;
をさらに備え得る。
【0021】
上記スピン部材の近位端は、上記ハンドルの近位端から延び得ることが、想定される。
【0022】
この装置は、上記ヨークと作動可能に連結可能な細長拡張アセンブリを備え得る。この細長拡張アセンブリは、ハンドルと、半径方向に膨張可能な管状シースとを備え得、この半径方向に膨張可能な管状シースは、このハンドルに連結された近位端と、遠位端とを備え、そしてこの半径方向に膨張可能な管状シースは、第1断面積を備える軸方向管腔を規定する。この装置は、上記少なくとも1つのカフに作動可能に連結可能である細長膨張アセンブリをさらに備え得る。この膨張アセンブリは、遠位端と、ハンドルを備えた近位端と、上記細長拡張アセンブリの第1断面積よりも大きい第2断面積を備えた軸方向管腔とを備える管状要素をさらに備え得る。
【0023】
本開示の別の局面によると、標的手術部位への接近を提供するためのキットが、提供される。このキットは、
半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ;
気腹針アセンブリ;
スタイレット;
膨張アセンブリ;
閉塞具;
経皮貫入を形成し拡大するための膨張アセンブリ挿入装置;ならびに
この半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ、この気腹針アセンブリ、このスタイレット、この膨張アセンブリ、この閉塞具、およびこの膨張アセンブリ挿入装置を収容するための、パッケージ、
を備える。
【0024】
このキットは、使用に関する指示および使用上の注意のうちの少なくとも1つを含む、パッケージ挿入物、をさらに備え得る。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
経皮貫入を形成しそして拡大するための装置であって、該装置は、
細長拡張部材であって、該細長拡張部材は、半径方向に膨張可能な部材を備え、該半径方向に膨張可能な部材は、ハンドルを備えた近位端と、遠位端と、第1断面積を備えた軸方向管腔とを備える、細長拡張部材;
細長膨張部材であって、該細長膨張部材は、管状部材を備え、該管状部材は、遠位端と、ハンドルを備えた近位端と、該第1断面積よりも大きい第2断面積を備えた軸方向管腔とを備え、該細長膨張部材の遠位端は、該拡張部材の軸方向管腔を通しての該管状部材の挿入を容易にするための構成である、細長膨張部材;
前進装置であって、該前進装置は、
該拡張部材のハンドルと係合するための第1係合特徴を備える、第1アームと;
該膨張部材のハンドルと係合するための第2係合特徴を備える、第2アームと;
操作部材と;
を備え、該第1アームと第2アームとは、該操作部材を操作すると該第1係合特徴と該第2係合特徴とが共に接近するように連結されている、前進装置;
を備える、装置。
(項目2)
項目1に記載の装置であって、前記半径方向に膨張可能な部材が、編み組みされたスリーブを備える、装置。
(項目3)
項目2に記載の装置であって、前記半径方向に膨張可能な部材が、分離可能なシースを備える、装置。
(項目4)
項目1に記載の装置であって、前記操作部材が、前記第2アームに連結されている、装置。
(項目5)
項目4に記載の装置であって、前記第2アームが、前記第1アームを受容するための通路を備える、装置。
(項目6)
項目5に記載の装置であって、前記操作部材が、前記第2アームに旋回可能に連結されており、かつ該操作部材は、前記第1アームと係合する旋回リンクを備え、該操作部材を押すと、該リンクが該第1アームを近位方向に移動するようになっている、装置。
(項目7)
項目6に記載の装置であって、前記第1アームが、前記拡張部材の長手方向軸および前記膨張部材の長手方向軸と平行に延びる、装置。
(項目8)
項目6に記載の装置であって、前記第1アームおよび前記第2アームが、相互係合するつめ車の歯を備える、装置。
(項目9)
項目4に記載の装置であって、前記第1アームと第2アームとが、該第1アームに向けて前記操作部材を押すと前記第1係合特徴と前記第2係合特徴とが共に接近するように、旋回可能に連結されている、装置。
(項目10)
半径方向に膨張可能な拡張アセンブリを通して患者の体腔中に膨張アセンブリを遠位に挿入するのを容易にするための装置であって、該装置は、
ハンドル;
該ハンドルに作動可能に連結されたトリガーであって、該トリガーは、該ハンドルから一定距離間隔が空いている第1位置と、該ハンドルに近接している第2位置との間で旋回可能である、トリガー;
近位端と遠位端とを備えるスピン部材であって、該スピン部材は、該ハンドル内にスライド可能に受容されており、該スピン部材は、該開口位置から該閉鎖位置へと該トリガーを操作する際に、該ハンドルに対して軸方向に移動可能である、スピン部材;
該ハンドル、該トリガー、および該スピン部材と作動可能に係合している作動機構であって、該作動機構は、該スピン部材と解放可能に係合可能であり、かつ該作動機構は、該スピン部材と係合している場合には、該トリガーを該閉鎖位置へと移動すると該ハンドルに対して該スピン部材を軸方向に移動する、作動機構;
該膨張アセンブリを適所に保持するために該ハンドルに作動可能に連結されている、保持構造;ならびに
該拡張アセンブリを該膨張アセンブリと整列した状態に維持するために該スピン部材の遠位端に備えられた、ヨーク;
を備える、装置。
(項目11)
項目10に記載の装置であって、前記トリガーを前記ハンドルに向けて操作すると、前記ヨークが前記保持構造に向けて漸進的に接近する、装置。
(項目12)
項目11に記載の装置であって、前記ヨークが、遠位Uリンクおよび近位Uリンクを規定し、前記拡張アセンブリのハンドルの対向する側面から延びるタブが、該遠位Uリンクと該近位Uリンクとの間で位置決め可能である、装置。
(項目13)
項目12に記載の装置であって、前記保持構造が、前記膨張アセンブリのハンドルとスナップ留め様式で作動可能に係合するように構成された、少なくとも1つのC字型カフを備える、装置。
(項目14)
項目13に記載の装置であって、前記作動機構が、
前記スピン部材上に作動可能に支持された駆動レバー;
連結部材であって、該連結部材は、前記トリガーに旋回可能に連結された第1端と、前記ハンドル内にスライド可能に受容されかつ該駆動レバーに旋回可能に連結された第2端とを備える、連結部材;ならびに
該駆動レバーと該ハンドルの内側表面との間に配置された圧縮バネであって、該圧縮バネは、前記スピン部材に対して直交する方向へと該駆動レバーを付勢する、圧縮バネ;
を備え
該トリガーを該ハンドルに向けて作動すると、該駆動レバーが旋回して該スピン部材に対して結合する、装置。
(項目15)
項目14に記載の装置であって、前記作動機構が、
前記スピン部材上に作動可能に支持されたブレーキレバーであって、該ブレーキレバーの第1端は、前記ハンドル中に形成された凹部内に旋回可能に位置決めされている、ブレーキレバー;ならびに
該ブレーキレバーと該ハンドル中に形成された表面との間に配置されたバネ部材であって、該バネ部材は、該ブレーキレバーの自由端を遠位方向に付勢する、バネ部材;
をさらに備える、装置。
(項目16)
項目15に記載の装置であって、前記スピン部材の近位端が、前記ハンドルの近位端から延びる、装置。
(項目17)
項目16に記載の装置であって、
前記ヨークと作動可能に連結可能な細長拡張アセンブリであって、該細長拡張アセンブリは、ハンドルと、半径方向に膨張可能な管状シースとを備え、該半径方向に膨張可能な管状シースは、該ハンドルに連結された近位端と、遠位端とを備え、そして該半径方向に膨張可能な管状シースは、第1断面積を備える軸方向管腔を規定する管状要素を備える、細長拡張アセンブリ;
をさらに備える、装置。
(項目18)
項目17に記載の装置であって、
前記少なくとも1つのカフに作動可能に連結可能である細長膨張アセンブリであって、該膨張アセンブリは、遠位端と、ハンドルを備えた近位端と、前記細長拡張アセンブリの第1断面積よりも大きい第2断面積を備えた軸方向管腔とを備える、管状要素を備える、細長膨張アセンブリ、
をさらに備える、装置。
(項目19)
標的手術部位への接近を提供するためのキットであって、
半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ;
気腹針アセンブリ;
スタイレット;
膨張アセンブリ;
閉塞具;
経皮貫入を形成し拡大するための膨張アセンブリ挿入装置;ならびに
該半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ、該気腹針アセンブリ、該スタイレット、該膨張アセンブリ、該閉塞具、および該膨張アセンブリ挿入装置を収容するための、パッケージ、
を備える、キット。
(項目20)
項目19に記載のキットであって、
使用に関する指示および使用上の注意のうちの少なくとも1つを含む、パッケージ挿入物、
をさらに備える、キット。
【0025】
開示されるトロカール挿入装置の他の特徴および利点は、好ましい実施形態が添付の図面とともに示されている以下の説明から明らかである。
【発明の効果】
【0026】
半径方向に膨張可能な拡張アセンブリの軸方向管腔中および患者の腹腔中への、膨張アセンブリの挿入の制御を容易にしかつ増強する膨張アセンブリ挿入装置が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
添付の図面は、本明細書の一部に組み込まれ、かつ本明細書の一部を構成する。添付の図面は、本開示の実施形態を示し、上記に示された実施形態の詳細な説明とともに、本開示の原理を説明するために役立つ。
【図1】図1は、患者における穿刺開口部を密封するための、半径方向に膨張可能な拡張アセンブリの側方正面図である。
【図2】図2は、管状針本体から取り外されたスタイレットとともに示された、上記拡張アセンブリの気腹針要素の側方正面図である。
【図3】図3は、細長膨張アセンブリのカニューレアセンブリの部分的に分離した側方正面図である。
【図4】図4は、図3の細長膨張アセンブリとともに使用するための閉塞具要素の側方正面図である。
【図5】図5は、本開示に従う膨張アセンブリ挿入装置の斜視図であり、この装置は、作動可能に取り付けられた、膨張アセンブリおよび拡張アセンブリを備える。
【図6】図6は、上記膨張アセンブリ挿入装置の固定ハンドルおよびトリガーの、その長手方向軸に沿った側方断面正面図であり、例示的作動機構を示す。
【図7】図7は、図1の拡張アセンブリおよび図2の膨張アセンブリと組み合わせた、この拡張アセンブリ中へのこの膨張アセンブリの挿入を容易にするための膨張アセンブリ挿入装置の使用を示す。
【図8】図8は、図1の拡張アセンブリおよび図2の膨張アセンブリと組み合わせた、この拡張アセンブリ中へのこの膨張アセンブリの挿入を容易にするための膨張アセンブリ挿入装置の使用を示す。
【図9】図9は、図1の拡張アセンブリおよび図2の膨張アセンブリと組み合わせた、この拡張アセンブリ中へのこの膨張アセンブリの挿入を容易にするための膨張アセンブリ挿入装置の使用を示す。
【図10】図10は、図1の拡張アセンブリおよび図2の膨張アセンブリと組み合わせた、この拡張アセンブリ中へのこの膨張アセンブリの挿入を容易にするための膨張アセンブリ挿入装置の使用を示す。
【図11】図11は、パッケージ中に存在する、半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ、気腹針アセンブリ、カニューレアセンブリ、閉塞具、および挿入装置を備える、キットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
ここに開示される膨張アセンブリ挿入装置の好ましい実施形態が、ここに、図面を参照して詳細に記載される。図面において、同様の参照番号は、類似する要素または同一の要素を同定する。図面および以下の説明において、用語「近位」とは、従来通り、本開示の外科デバイスまたは器具の、術者に最も近い末端を指し、一方、用語「遠位」とは、そのデバイスまたは器具の、術者から最も遠い末端を指す。
ここで、図面を詳細に参照すると、図1において観察されるように、半径方向に膨張可能な拡張アセンブリは、一般に、参照番号10を用いて示される。半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ10は、管状シース12を備え、この管状シース12は、近位端14、遠位端16、およびその中を通って延びる軸方向管腔15を備える。軸方向管腔15は、長手方向軸「X」を規定し、さらに、その管腔の中を通って延びる第1断面積を規定する。近位端14は、近位方向にて半径方向外向きにテーパ状であり、そしてハンドル18に固定されている。ハンドル18は、その中を通って延びて管状シース12の管腔15に相互接続している、アパーチャ20を備える。管状シース12は、本明細書中で以後より詳細に記載される、シース12の半径方向膨張をもたらすために膨張アセンブリを受容可能である任意の材料から作製され得る。
【0029】
シース12は、好ましくは、同一人に譲渡された米国特許第5,431,676号に記載されるように、弾性膜により覆われた非弾性編み組(braid)を備える。この米国特許の全開示は、本明細書中に参考として援用される。適切な膨張可能なスリーブ10は、Tyco Healthcare,Ltd.の一部門であるUnited States Surgicalから、STEPTM導入器システムの一部として市販され得る。
【0030】
管状針32とスタイレット34とを備える気腹針アセンブリ30が、図2に示される。管状針32は、その近位端に、雄差し込みコネクタ38を備えるハブ36を備える。好ましくは、スタイレット34は、雄差し込み取付け具42を備える近位コネクタ40中にバネ装填されている。雄差し込み取付け具42は、ハブ36の雌差し込み取付け具(示さず)に、受容可能に結合されている。通気バルブ44が、スタイレット34の近位端に連結されており、入口46が、その遠位端に形成される。入口46は、バルブ44を通しての通気ガスの導入が、スタイレット34を通して放出されるのを可能にする。使用時に、スタイレット34は、ハブ36に取り付けられた差し込み取付け具42とともに針32内に取り付けられる。その後、スタイレット34の遠位端が針32の遠位端48から伸び、その結果、針アセンブリ30が、以下により詳細に記載されるように、組織と係合した時に、スタイレット34が針32の中に引き込まれる。
【0031】
ここで、図3を参照すると、膨張アセンブリ50が示され、そして記載される。膨張アセンブリ50は、膨張部材52(すなわち、カニューレ管)および近位ハブ54を備える。膨張部材52は、その近位端にネジ付きコネクタ56を備え、このネジ付きコネクタは、近位ハブ54の遠位端において、取付け具58に取り外し可能に固定され得る。好ましくは、膨張部材52は、管状シース12の第1断面積よりも大きい第2断面積を規定する。
【0032】
図4を参照すると、テーパ状遠位端74を有するシャフト72とハンドル76とを有する、閉塞具70が、示されそして記載される。以下により詳細に記載されるように、閉塞具70は、半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ10の中への膨張アセンブリ50の挿入を容易にするために、カニューレアセンブリ50の中心管腔内に配置されることが、意図される。
【0033】
ここで図5を見ると、本開示に従う膨張アセンブリ挿入装置は、作動可能に取り付けられた膨張アセンブリ50および拡張アセンブリ10を備えており、参照番号100として一般に示される。挿入装置100は、近位に延びる固定ハンドル102、旋回ピン118にて固定ハンドル104に旋回可能に結合されたトリガー104、および遠位に延びるスピン部材106を備える。スピン部材106は、長手方向軸「X」を規定する、遠位端108および近位端110を有する。スピン部材106の近位端110は、固定ハンドル102の遠位端において形成されたアパーチャ102を通って、固定ハンドル102内にスライド可能に受容される。スピン部材106についてほぼ矩形の断面が示されているが、スピン部材106は、円形、楕円形、正方形、または他の多角形の断面を有し得ることが、企図される。
【0034】
スピン部材106の遠位端108は、作動可能に結合されたヨークまたは係合特徴112を備える。ヨーク112は、一対のレッグ(leg)116、117を有する、U字型Uリンク(clevis)114を規定する。好ましくは、Uリンク114は、遠位の一対のレッグ116a、117aと、近位の一対のレッグ116b、117bとを備える。レッグ116、117は、スピン部材106の長手方向「X」軸と実質的に平行である軸を規定する。使用時に、ヨーク112のU字型Uリンク114は、その中に、拡張アセンブリ10のハンドル18を受容する。詳細には、ハンドル18は、一対の正反対に対向するタブ18a、18bを備え、ここで、タブ18aまたは18bのいずれかは、遠位レッグ116aと近位レッグ18bとの間に位置し、一方、タブ18aまたは18bのうちのもう一方は、遠位レッグ117aと近位レッグ117bとの間に位置する。
【0035】
図6において最も良く観察されるように、固定ハンドル102は、挿入装置100の機械的操作のために作動機構を備える。この作動機構は、旋回点122にてトリガー104に旋回可能に結合された第1端120aと、固定ハンドル102内にスライド可能に受容されかつ駆動レバー130に旋回可能に結合された第2端120bとを有する、連結部材120を備える。
【0036】
駆動レバー130は、駆動レバー130中に形成されたアパーチャまたは開口部132を通る、スピン部材106上に位置付け、および/または懸架される。駆動レバー130と、固定ハンドル102の内部表面との間に配置された圧縮バネ134は、遠位方向に駆動レバー130を推進し、スピン部材106に対して直交するように保持する。バネ134の力は、トリガー104を、連結部材120を介して、固定ハンドル102のバッキング(backing)部材126に対して推進し、それにより、待機状態を提供する。この待機状態において、駆動レバー130は、作動時に矢印「P」により示されるスピン部材106の運動方向と実質的に垂直に位置する。旋回ピン118の周囲でのトリガー104の運動は、以下により詳細に記載されるように、スピン部材106がバネ134の付勢(bias)に対して移動することを引き起こす。
【0037】
この作動機構は、スピン部材106が通る開口部138を有する、ブレーキングレバー136をさらに備える。ブレーキングレバー136の一端140は、固定ハンドル102中に形成された凹部142中に旋回可能に位置決めされ、その結果、ブレーキングレバー136は、凹部142の表面によって、およびブレーキングレバー136中の開口部138の縁がスピン部材106の表面と係合した場合にスピン部材106とのブレーキングレバー136の結合によって規定される、拘束内で旋回し得る。少なくとも1つの圧縮バネ144が、固定ハンドル102中の壁146とブレーキングレバー136との間に配置される。バネ144は、ブレーキングレバー136の自由端を、駆動レバー130から遠位へと、効果的に付勢する。付勢されたブレーキングレバー136の位置は、ブレーキングレバー136の開口部138とスピン部材106の表面との間の、結合および/またはコック(cock)の干渉により制限される。図6において示される実施形態において、ブレーキングレバー136は、固定ハンドル102の方向に延び、その結果、その遠位端148は、ユーザの親指によって適切に掴まれ得る。
【0038】
図6において示される待機位置において、駆動レバー130は、スピン部材106の長手方向「X」軸と実質的に垂直であり、一方、スピン部材106と係合するブレーキングレバー136の一部は、スピン部材106の長手方向「X」に対してわずかな角度横向きであることが、留意されるべきである。この状態において、矢印「P」により示される方向にて、ヨーク112(図5)に対して力が付与された場合、スピン部材106は、固定ハンドル102を通って自由に移動する。ブレーキングレバー136は、矢印「P」により示される方向にて、ヨーク112に対して力が付与された場合には、バネ144の付勢に対して自由に旋回するので、ブレーキングレバー136は、スピン部材106およびヨーク112の運動に対して何ら障害を示さず、従って、固定ハンドル102を通って継続的に前進され得る。
【0039】
しかし、図6において示されるような待機位置において、矢印「P」により示される方向とは反対の方向にてヨーク112に力が付与された場合、ブレーキングレバー136中の開口部138の縁がスピン部材106の表面に結合し、そして、固定ハンドル102から離れるように移動するヨーク112を引き込むことは、可能ではない。ブレーキングレバー136を矢印「P」の方向に指で押すことによって、バネ144の圧縮は、スピン部材106およびヨーク112の引き込みが、固定ハンドル102から離れて伸びるようにすることが可能である。バネ144の圧縮は、ブレーキングレバー136の遠位端148を、スピン部材106の意図される運動方向と垂直にし、従って、スピン部材106は、ブレーキングレバー136中の開口部138を通るいずれかの方向で自由にスライドする。
【0040】
膨張アセンブリ挿入装置100の好ましい使用方法は、トリガー104を(固定ハンドル102に向かって)握り込んで、スピン部材106およびヨーク112を、固定ハンドル102を通して漸進的に前進させることである。トリガー104を握り込むと、旋回ピン118の周囲で旋回が生じ、連結部材120の第2端120bもまた、実質的に矢印「P」の方向に移動する。これは、駆動レバー130がその第1端131の周囲で旋回することを引き起こし、その結果、駆動レバー130は、もはや、スピン部材106の意図される運動方向「P」と垂直ではない。駆動レバー130の旋回は、バネ134を圧縮し、そしてまた、駆動レバー130中に形成されたアパーチャ132の端縁が、スピン部材106の表面に結合することを引き起こす。駆動レバー130は、スピン部材106の意図される運動方向「P」ともはや垂直ではないので、結合が生じる。トリガー104のさらなる運動は、駆動レバー130が矢印「P」の方向に平行移動することを引き起こす。この運動は、バネ134をさらに圧縮し、その過程において、駆動レバー130とスピン部材106との間の結合およびコック(cock)の干渉によって、固定ハンドル102を介してスピン部材106およびその結合したヨーク112を前進させる。トリガー104の1回の握り込みによるヨーク112の最大前進距離は、バネ134が完全に圧縮された場合またはトリガー104が固定ハンドル102の表面を打つ場合まで、制限される。
【0041】
トリガー104が旋回ピン118の周囲で完全に旋回した後、トリガー104の解放は、バネ134に起因してトリガー104が待機状態まで戻り、駆動レバー130を垂直位置へと推進しそして連結部材120をトリガー104中へと押すことを引き起こす。
【0042】
図5に戻ると、固定ハンドル102は、その遠位端に固定された、少なくとも1つ(好ましくは一対)の弾力的なC字型カフ124をさらに備える。カフ124は、レッグ116、117によって規定されるUリンク114の軸に実質的に整列した、長手方向軸を規定する。使用時に、カフ124は、その中にカニューレアセンブリ50の近位ハブ54をスナップ留め(snap−fit)型係合により受容するような構成である。
【0043】
さらに、固定ハンドル102は、上記のようなバッキング部材126を備える。バッキング部材126は、好ましくは、固定ハンドル102から、カフ124の長手方向軸を越えて横に延びる。従って、操作時に、好ましくは、膨張アセンブリ50が膨張アセンブリ挿入装置100に取り付けられた場合に、バッキング部材126は、膨張アセンブリ50の近位端表面に対する止め(stop)として作用する。
【0044】
Uリンク114をカフ124に向けて漸進的に近接させるためのトリガー104を備える挿入装置100が、本明細書中で示されそして記載されてきたが、同じ機能を達成するために任意の操作部材が使用され得ることが、想定され、かつこのことは本開示の範囲内にある。例えば、その操作部材は、Uリンク114をカフ124に向かって前進させるために、つめ車(ratchet)機構、ネジ(screw)駆動、空気式(pneumatic)駆動などを備え得る。
【0045】
ここで、図7〜10を参照すると、膨張アセンブリ挿入装置100の好ましい操作方法が、記載される。まず、図7において観察されるように、気腹針アセンブリ30が挿入されている半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ10が、針アセンブリ30の鋭利な遠位端48を患者の腹「A」の組織へと係合すること、そして拡張アセンブリ10の管状シース12が腹「A」の組織を通って伸びるまで、スリーブ/針の組合せを前進させることによって、患者の腹「A」(または他の身体位置)を通して導入される。
【0046】
その後、針アセンブリ30が取り除かれ、そして閉塞具70が中に配置された膨張アセンブリ50が、膨張アセンブリ挿入装置100の補助によって拡張アセンブリ10の管状シース12を通って導入され、そにより、管状シース12が半径方向に膨張する(図9参照)。詳細には、挿入装置100のヨーク112は、好ましくは、上記のような拡張アセンブリ10のハンドル18上に、まずひっかけられる(hooked)。次に、閉塞具70を備える膨張アセンブリ50が、膨張アセンブリ50の近位ハブ54を上記のようなカフ124に結合することによって、挿入装置100中に装填される。最後に、挿入装置100は、上記のようにトリガー104を繰返し握って、膨張アセンブリ50および閉塞具70を、拡張アセンブリ10を通して漸進的に前進させることによって、作動される。膨張アセンブリ50および閉塞具70が管状シース12を通って遠位に移動される場合、拡張アセンブリ10は、第1断面積から第2断面積へと半径方向に膨張される。
【0047】
最後に、図10において示されるように、閉塞具70が膨張部材52から取り外され、腹壁「A」を通るアクセスチャネルが残る。このアクセスチャネルは、このアクセスチャネルを通って他の種々の外科器具を導入するためのものである。
【0048】
挿入装置100の人間工学的特徴は、実質的に長手方向を向いた固定ハンドル102およびトリガー104である。換言すると、固定ハンドル102は、好ましくは、スピン部材106の長手方向軸と整列し、一方、トリガー104は、好ましくは、スピン部材106の長手方向軸と実質的に整列した閉鎖位置へと旋回可能である。従って、挿入装置100の長手方向軸は、外科医の前腕の長手方向軸に対して実質的に直行する方向を向いている。従って、外科医による挿入力の付与は、好ましくは、外科医が固定ハンドル102およびトリガー104を握ること、および外科医がその肘の周囲に前腕を旋回させることによって生じ、その結果、手が、挿入装置100の長手方向軸と実質的に同一線形順序に並んでいる(co−linear)方向で移動する。
【0049】
ここで、図11に移ると、システム構成要素の種々の組合せを含む例示的パッケージまたは「キット」が、示される。このようなキットは、本開示のアクセスシステムを再構築するために必要な構成要素の在庫維持を容易にするための特に簡便な方法である。当然、完全なシステムがキット状態で販売され得ること、ならびに個別の構成要素各々が独立してキットの状態で販売され得ることが、認識される。多くの場合、1つのパッケージ中に構成要素対または複数の単一構成要素部品を一緒に組み合わせることが、特にその構成要素がたがいに適合する大きさである場合には、望ましい。これらのキットは、従来のパッケージ要素(代表的には、袋(pouch)、包装材料(envelope)、トレー(tray)、箱、発泡体挿入物(foam insert)、および外科器具の滅菌包装または非滅菌包装のために一般的に使用される型の他の容器)を備える。このパッケージはまた、代表的には、使用に関する指示、使用上の注意(warning)などを備えた書面の指示シートである、「パッケージ挿入物P」を備える。
【0050】
図11において観察されるように、標的外科部位へのアクセスを提供するための例示的キット200は、代表的には非滅菌のパッケージ202を備える。なぜなら、再利用可能な構成要素が、後に滅菌され得、それは、以下の品目のうちの少なくとも1つであり得るからである:半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ10;気腹針アセンブリ30;スタイレット34;膨張アセンブリ50;および閉塞具70.キット200は、膨張アセンブリ挿入装置100をさらに備える。
【0051】
上記の開示は、明確さまたは理解のために、例示および例によって、いくらか詳細に記載されてきたが、特定の変化および改変が添付の特許請求の範囲内で実施され得ることが、明らかである。
【0052】
(摘要)
経皮貫入を形成しそして拡大するための装置が、開示される。この装置は、
細長拡張部材であって、この細長拡張部材は、第1断面積を備えた半径方向に膨張可能な部材と;第1断面積よりも大きい第2断面積を有する管状要素を備える、細長膨張部材と;を備える。この装置は、前進装置をさらに備え、この前進装置は、
この拡張部材のハンドルと係合するための第1係合特徴を備える、第1アームと;
この膨張部材のハンドルと係合するための第2係合特徴を備える、第2アームと;
操作部材と;
を備える。この第1アームと第2アームとは、この操作部材を操作するとこの第1係合特徴とこの第2係合特徴とが共に接近するように連結されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径方向に膨張可能な拡張アセンブリを通して患者の体腔中に膨張アセンブリを遠位に挿入するのを容易にするための装置であって、該装置は、
ハンドル;
該ハンドルに作動可能に連結されたトリガーであって、該トリガーは、該ハンドルから一定距離間隔が空いている第1位置と、該ハンドルに近接している第2位置との間で旋回可能である、トリガー;
近位端と遠位端とを備えるスピン部材であって、該スピン部材は、該ハンドル内にスライド可能に受容されており、該スピン部材は、該開口位置から該閉鎖位置へと該トリガーを操作する際に、該ハンドルに対して軸方向に移動可能である、スピン部材;
該ハンドル、該トリガー、および該スピン部材と作動可能に係合している作動機構であって、該作動機構は、該スピン部材と解放可能に係合可能であり、かつ該作動機構は、該スピン部材と係合している場合には、該トリガーを該閉鎖位置へと移動すると該ハンドルに対して該スピン部材を軸方向に移動する、作動機構;
該膨張アセンブリを適所に保持するために該ハンドルに作動可能に連結されている、保持構造;ならびに
該拡張アセンブリを該膨張アセンブリと整列した状態に維持するために該スピン部材の遠位端に備えられた、ヨーク;
を備える、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記トリガーを前記ハンドルに向けて操作すると、前記ヨークが前記保持構造に向けて漸進的に接近する、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記ヨークが、遠位Uリンクおよび近位Uリンクを規定し、前記拡張アセンブリのハンドルの対向する側面から延びるタブが、該遠位Uリンクと該近位Uリンクとの間で位置決め可能である、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、前記保持構造が、前記膨張アセンブリのハンドルとスナップ留め様式で作動可能に係合するように構成された、少なくとも1つのC字型カフを備える、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、前記作動機構が、
前記スピン部材上に作動可能に支持された駆動レバー;
連結部材であって、該連結部材は、前記トリガーに旋回可能に連結された第1端と、前記ハンドル内にスライド可能に受容されかつ該駆動レバーに旋回可能に連結された第2端とを備える、連結部材;ならびに
該駆動レバーと該ハンドルの内側表面との間に配置された圧縮バネであって、該圧縮バネは、前記スピン部材に対して直交する方向へと該駆動レバーを付勢する、圧縮バネ;
を備え
該トリガーを該ハンドルに向けて作動すると、該駆動レバーが旋回して該スピン部材に対して結合する、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、前記作動機構が、
前記スピン部材上に作動可能に支持されたブレーキレバーであって、該ブレーキレバーの第1端は、前記ハンドル中に形成された凹部内に旋回可能に位置決めされている、ブレーキレバー;ならびに
該ブレーキレバーと該ハンドル中に形成された表面との間に配置されたバネ部材であって、該バネ部材は、該ブレーキレバーの自由端を遠位方向に付勢する、バネ部材;
をさらに備える、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記スピン部材の近位端が、前記ハンドルの近位端から延びる、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、
前記ヨークと作動可能に連結可能な細長拡張アセンブリであって、該細長拡張アセンブリは、ハンドルと、半径方向に膨張可能な管状シースとを備え、該半径方向に膨張可能な管状シースは、該ハンドルに連結された近位端と、遠位端とを備え、そして該半径方向に膨張可能な管状シースは、第1断面積を備える軸方向管腔を規定する管状要素を備える、細長拡張アセンブリ;
をさらに備える、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、
前記少なくとも1つのカフに作動可能に連結可能である細長膨張アセンブリであって、該膨張アセンブリは、遠位端と、ハンドルを備えた近位端と、前記細長拡張アセンブリの第1断面積よりも大きい第2断面積を備えた軸方向管腔とを備える、管状要素を備える、細長膨張アセンブリ、
をさらに備える、装置。
【請求項10】
標的手術部位への接近を提供するためのキットであって、
半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ;
気腹針アセンブリ;
スタイレット;
膨張アセンブリ;
閉塞具;
経皮貫入を形成し拡大するための膨張アセンブリ挿入装置;ならびに
該半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ、該気腹針アセンブリ、該スタイレット、該膨張アセンブリ、該閉塞具、および該膨張アセンブリ挿入装置を収容するための、パッケージ、
を備える、キット。
【請求項11】
請求項10に記載のキットであって、
使用に関する指示および使用上の注意のうちの少なくとも1つを含む、パッケージ挿入物、
をさらに備える、キット。
【請求項1】
半径方向に膨張可能な拡張アセンブリを通して患者の体腔中に膨張アセンブリを遠位に挿入するのを容易にするための装置であって、該装置は、
ハンドル;
該ハンドルに作動可能に連結されたトリガーであって、該トリガーは、該ハンドルから一定距離間隔が空いている第1位置と、該ハンドルに近接している第2位置との間で旋回可能である、トリガー;
近位端と遠位端とを備えるスピン部材であって、該スピン部材は、該ハンドル内にスライド可能に受容されており、該スピン部材は、該開口位置から該閉鎖位置へと該トリガーを操作する際に、該ハンドルに対して軸方向に移動可能である、スピン部材;
該ハンドル、該トリガー、および該スピン部材と作動可能に係合している作動機構であって、該作動機構は、該スピン部材と解放可能に係合可能であり、かつ該作動機構は、該スピン部材と係合している場合には、該トリガーを該閉鎖位置へと移動すると該ハンドルに対して該スピン部材を軸方向に移動する、作動機構;
該膨張アセンブリを適所に保持するために該ハンドルに作動可能に連結されている、保持構造;ならびに
該拡張アセンブリを該膨張アセンブリと整列した状態に維持するために該スピン部材の遠位端に備えられた、ヨーク;
を備える、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記トリガーを前記ハンドルに向けて操作すると、前記ヨークが前記保持構造に向けて漸進的に接近する、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記ヨークが、遠位Uリンクおよび近位Uリンクを規定し、前記拡張アセンブリのハンドルの対向する側面から延びるタブが、該遠位Uリンクと該近位Uリンクとの間で位置決め可能である、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、前記保持構造が、前記膨張アセンブリのハンドルとスナップ留め様式で作動可能に係合するように構成された、少なくとも1つのC字型カフを備える、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、前記作動機構が、
前記スピン部材上に作動可能に支持された駆動レバー;
連結部材であって、該連結部材は、前記トリガーに旋回可能に連結された第1端と、前記ハンドル内にスライド可能に受容されかつ該駆動レバーに旋回可能に連結された第2端とを備える、連結部材;ならびに
該駆動レバーと該ハンドルの内側表面との間に配置された圧縮バネであって、該圧縮バネは、前記スピン部材に対して直交する方向へと該駆動レバーを付勢する、圧縮バネ;
を備え
該トリガーを該ハンドルに向けて作動すると、該駆動レバーが旋回して該スピン部材に対して結合する、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、前記作動機構が、
前記スピン部材上に作動可能に支持されたブレーキレバーであって、該ブレーキレバーの第1端は、前記ハンドル中に形成された凹部内に旋回可能に位置決めされている、ブレーキレバー;ならびに
該ブレーキレバーと該ハンドル中に形成された表面との間に配置されたバネ部材であって、該バネ部材は、該ブレーキレバーの自由端を遠位方向に付勢する、バネ部材;
をさらに備える、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記スピン部材の近位端が、前記ハンドルの近位端から延びる、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、
前記ヨークと作動可能に連結可能な細長拡張アセンブリであって、該細長拡張アセンブリは、ハンドルと、半径方向に膨張可能な管状シースとを備え、該半径方向に膨張可能な管状シースは、該ハンドルに連結された近位端と、遠位端とを備え、そして該半径方向に膨張可能な管状シースは、第1断面積を備える軸方向管腔を規定する管状要素を備える、細長拡張アセンブリ;
をさらに備える、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、
前記少なくとも1つのカフに作動可能に連結可能である細長膨張アセンブリであって、該膨張アセンブリは、遠位端と、ハンドルを備えた近位端と、前記細長拡張アセンブリの第1断面積よりも大きい第2断面積を備えた軸方向管腔とを備える、管状要素を備える、細長膨張アセンブリ、
をさらに備える、装置。
【請求項10】
標的手術部位への接近を提供するためのキットであって、
半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ;
気腹針アセンブリ;
スタイレット;
膨張アセンブリ;
閉塞具;
経皮貫入を形成し拡大するための膨張アセンブリ挿入装置;ならびに
該半径方向に膨張可能な拡張アセンブリ、該気腹針アセンブリ、該スタイレット、該膨張アセンブリ、該閉塞具、および該膨張アセンブリ挿入装置を収容するための、パッケージ、
を備える、キット。
【請求項11】
請求項10に記載のキットであって、
使用に関する指示および使用上の注意のうちの少なくとも1つを含む、パッケージ挿入物、
をさらに備える、キット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−279709(P2010−279709A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160148(P2010−160148)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【分割の表示】特願2004−274252(P2004−274252)の分割
【原出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【分割の表示】特願2004−274252(P2004−274252)の分割
【原出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
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