説明

トンネルの建設方法

山又は丘(12)の斜面(10)のハーフトンネルの区域を建設する方法を提供し、掘削されるハーフトンネルの上端部の上方で前記区域(16)に沿ってロックブロック(18)を形成する段階と、前記ロックブロックを横切ってロックエレメントを挿入し、前記山に伸ばす段階と、前記ロックブロックの向こう且つ下方の前記山の部分に穴を掘り、前記ハーフトンネルの屋根部分と底部分を画定する段階と、前記ハーフトンネルの全区域が形成されるまで前記掘削処理を繰り返す段階とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの建設に関し、特に、典型的には丘陵の斜面や山腹の土にハーフトンネルを建設又は広げる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
山又は丘の斜面に沿って道路を造ったり又は広げたりする場合には、とりわけ、森林を含む環境に引き起こされる損害に関して、重大な問題があり、当業者に周知で理解されるように、不安定性及び地すべりを引き起こすことがある。その問題を克服するために、ハーフトンネルの建造が開発されているが、ここまでは、少なくとも、そのようなハーフトンネルの屋根を支持する必要性の実質面から、最善の解決策が提供されていない。図1に示されているように、標準のトンネル2が建設される時、矢印F,Fで示される2つの対向する圧縮力がトンネルの屋根に発生し、この力は釣り合っている。したがって、トンネルが掘削される地盤のタイプにより、強化する土壌くぎ6を地盤に挿入することが要求されることがある。そのようなくぎ6が使用される時、図示のようにそれらはアーチ形のトンネルの屋根に関して放射状に地盤に挿入される。そのため、ハーフトンネルはその屋根で中央の対向する力を有していないから、トンネル建設の上述した方法は適用できない。使用される明らかな解決策はトンネルの基礎、例えば道路と屋根の間に延びる圧縮材又は柱の形式で屋根の自由端を支持することである。そのような支持柱の不利益は直ちに明らかである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのため、従来技術のハーフトンネル建設の不利益を克服すると共に、トンネルの開放側に支持柱を有しないハーフトンネルの建設方法を提供することを本発明の主要な目的とする。
【0004】
屋根の上方の地盤に挿入されるロックエレメントにより屋根が確実に支持されるハーフトンネルの建設方法を提供することを本発明のさらなる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、山又は丘の斜面にハーフトンネルの区域を建設する方法を提供し、a)掘削されるハーフトンネルの上端部の上方で前記区域に沿ってロックブロックを形成する段階と、b)前記ロックブロックを横切ってロックエレメントを挿入し、前記山に伸ばす段階と、c)前記ロックブロックの向こう且つ下方の前記山の部分を掘削し、前記ハーフトンネルの屋根部分と底部分を画定する段階と、d)前記ハーフトンネルの全区域が形成されるまで段階c)を繰り返す段階とを備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明はより十分に理解されるように以下の例示する図面を参照しつつ好適な実施例に関連させて説明されるだろう。
【0007】
詳細に図面を参照すると、詳細な説明は本発明の好適な実施例の例示のためだけに示され、本発明の原理及び概念の説明を最も有用且つ容易に理解されるものと信じられているものを提供するために示される。この点に関しては、本発明の基本的な理解のために必要とされるものより詳細に本発明の構造の詳細を示すためになされるものではなく、図面と共に詳細な説明は本発明の幾つかの方法が実際にどのように具現化されるのかを当業者に明確にさせるためにある。
【0008】
本発明による山又は丘の斜面にトンネルの区域を建設する方法は、建設段階に関連させて説明される。第1段階は図2に示されており、丘又は山12の斜面10を示している。平地14、例えば建設されるトンネル区域の道路からの高さhを決定した後、例えば、L形状の凹所が形成され、ロックブロック18が凹所16の基部20に配置される。ロックブロック18はプリズム体が都合良く、例えば、組み立て式鉄筋コンクリートスラブである。代わりに、そのような鉄筋コンクリートロックブロックが自然位で配置されてもよい。ロックエレメント22は、典型的には特別丈夫な土壌くぎ又は圧縮応力を与えられたアンカーであり、その後、ロックブロック18により丘又は山12の斜面に打ち込み又は穴をあけられる。ロックエレメント22は支持するために掘り起こされるトンネルの幅の上方に十分延びるように計画された実際の長さを有している。また、図面に見られるように、ロックエレメントはロックブロック18の平面に関して斜面10の通常の角度より僅かに小さい角度から90°より僅かに大きい角度までの異なる角度で扇形に広がっている。これらのロックエレメント22は釣り合いを保つために掘削されるハーフトンネルを釣り合わせるために必要な要求圧縮力を供給し、図1に示されているように、標準トンネルが建設されている時、この圧縮力は通常「対向するハーフトンネル」により供給される。
【0009】
ハーフトンネルが形成される丘又は山12の斜面10の地盤は破砕された又は風雨にさらされた石、代わりの土等のような不安定な材料から構成されており、硬化薬品又は土壌強化材料の注入、又はさらに別の手段のような公知の技術により、格子状パターンのアンカー又は土壌くぎを打ち込むことにより、地盤を最初に安定させることが推奨される。
【0010】
計画されたハーフトンネルの上方の地面がロックブロック18及びロックエレメント22により一旦固められると、矢印Eにより示されるように頂部から底部へのハーフトンネルの掘削は図3に示されているように開始可能である。屋根部分24が形成される時、地盤のタイプにより、ロックエレメント22の方向を横切る土壌くぎ26が付加されてもよく、ハーフトンネルの上方の強化格子を形成する。ショットクリート28は土壌くぎ26の挿入の前又は後に屋根に塗られてもよい。図4に見られるように、この掘削処理及びその後のハーフトンネルの屋根を覆いながら土壌くぎの挿入は全体のハーフトンネルが掘削され、形成されるまで繰り返される。その後、ショットクリート28は適当な外装材により覆われ、ハーフトンネルの屋根により大きな強度を与えることができる。
【0011】
図5を参照すると、山12の斜面10に形成された拡張道路30を構成するハーフトンネルが見られる。岩石の落下の危険や土が滑り落ちる可能性がある場合、庇状の突出物32がロックブロック18の前部に取り付けられ、突出物32は異なる形状をしていてもよい。それは落下する岩石が道路30を越えて斜面10の他の部分34へ移動し続けるよう誘導するように構成され、及び又は滑って落下する土や岩石を保有可能な樋として構成されてもよい。
【0012】
本発明は上記した詳細な実施例に限定されるものではなく、本発明はその精神又は本質的特性から逸脱することなく他の特定の形式で具体化されてもよいことは当業者にとって明らかであろう。そのため、本発明はすべての点において例示としてであり制限的でないと考えられ、本発明の範囲は上述した説明よりむしろ添付した請求項により示され、そのため、請求項と同等の意味及び範囲内にあるすべての変形がそこに包含されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(従来例)標準のトンネル建設の概略図である。
【図2】本発明によるハーフトンネル建設方法の第1段階の概略断面図である。
【図3】本発明によるハーフトンネルの建設方法の第2段階の概略断面図である。
【図4】本発明によるハーフトンネルの建設方法の第3段階の概略断面図である。
【図5】本発明によるハーフトンネルの建設方法の第4段階の概略断面図であり、岩石の落下保護をさらに有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
山又は丘の斜面にハーフトンネルの区域を建設する方法であって、
a)掘削されるハーフトンネルの上端部の上方で前記区域に沿ってロックブロックを形成する段階と、
b)前記ロックブロックを横切ってロックエレメントを挿入し、前記山に伸ばす段階と、
c)前記ロックブロックの向こう且つ下方の前記山の部分を掘削し、前記ハーフトンネルの屋根部分と底部分を画定する段階と、
d)前記ハーフトンネルの全区域が形成されるまで段階c)を繰り返す段階と、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項2】
掘削される前記ハーフトンネルの上端部の上方の斜面に凹所を形成する段階をさらに備えている請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ハーフトンネルの屋根に実質的に垂直な方向に延びる前記屋根部分に土壌くぎを挿入することをさらに備えている請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記段階c)の後に前記屋根部分にショットクリートを塗る段階をさらに備えている請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記段階d)の後に前記ハーフトンネルの全区域の屋根にショットクリートを塗る段階をさらに備えている請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記段階a)の前又は後に、硬化可能薬品又は土壌強化材料を注入し、又は格子状パターンのアンカー又は土壌くぎを打ち込む段階をさらに備えている請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ハーフトンネルの屋根に外装材をつける段階をさらに備えている請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ロックブロックの露出面に突出部を取り付け、落下する土と岩石を保護することをさらに備えている請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−503294(P2009−503294A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523536(P2008−523536)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【国際出願番号】PCT/IL2006/000867
【国際公開番号】WO2007/013074
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(508026250)
【出願人】(508026261)
【Fターム(参考)】