トンネル掘削機におけるリングガータ
【課題】 組立て、分解が容易で再使用が可能なトンネル掘削機におけるリングガータを提供する。
【解決手段】 トンネル掘削機のスキンプレート１における前後胴部1a、1b間を接続した中折れ部２の内側に配設されているリングガータ３であって、複数片のリングガータ片3A〜3Cに分割されてあり、隣接する分割リングガータ片同士は、その対向端部にフランジ６、６を機軸方向に突設していてこれらのフランジ６、６をボルト・ナット７により固着することによって解体可能に連結してあり、さらに、リングガータ３の外周面から外方に向かって突出した突出端部3b' を一体に設けて、リングガータ３の外周面を上記中折れ部２の内周面に内嵌させた状態でこの突出端部3b' を中折れ部２と後胴部1bの前端部内周面に固着している複数個のストッパ部材５間に引き出し可能に介在、支持させている。
【解決手段】 トンネル掘削機のスキンプレート１における前後胴部1a、1b間を接続した中折れ部２の内側に配設されているリングガータ３であって、複数片のリングガータ片3A〜3Cに分割されてあり、隣接する分割リングガータ片同士は、その対向端部にフランジ６、６を機軸方向に突設していてこれらのフランジ６、６をボルト・ナット７により固着することによって解体可能に連結してあり、さらに、リングガータ３の外周面から外方に向かって突出した突出端部3b' を一体に設けて、リングガータ３の外周面を上記中折れ部２の内周面に内嵌させた状態でこの突出端部3b' を中折れ部２と後胴部1bの前端部内周面に固着している複数個のストッパ部材５間に引き出し可能に介在、支持させている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、トンネル掘削機の推進ジャッキを支持するリングガータの改良に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来から、トンネル掘削機によってトンネルを掘進するには、スキンプレートの後部内に配設したエレクタ装置によって掘削壁面に組み立てたセグメント覆工の前端面に推進ジャッキの推進力の反力を受止させながら該推進ジャッキを伸長させると共にカッタヘッドを回転させることによって行われている。推進ジャッキはスキンプレートの内周面に沿って周方向に所定間隔毎に複数本、配設されているが、その配設構造としては従来から、例えば、特許文献１に記載したように、周方向に所定間隔毎に上記推進ジャッキを挿通状態で支持する支持孔を設けてなるリングガータを使用し、このリングガータの外周面を、スキンプレートの前後胴部間を接続している中折れ部の内周面に溶接等によって固着した構造としている。
【特許文献１】特開２００１−３２９７９８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかしながら、上記リングガータは、分解不能な周枠形状に形成されているため、スキンプレートにおける中折れ部の内周面に内嵌させて固着する作業が極めて困難であるばかりでなく、装着した後においては再使用可能に分解することができないといった問題点がある。
【０００４】
また、近年、地中にトンネルを掘削したのち、トンネル内を通じて後方に撤去、回収して再利用可能にしたトンネル掘削機が開発されている。このトンネル掘削機はスキンプレートの前端部内周面に外径が該スキンプレートの内径よりも小径の固定筒体を支持させる一方、筒状内胴体の前面側に拡縮可能なカッタヘッドを回転自在に配設すると共に後面側に該カッタヘッドの駆動モータを装着することによって掘削機主体部を形成し、この掘削機主体部の上記筒状内胴体を上記固定筒体に抜き取り可能に挿嵌、連結してなる構造を有し、トンネルの掘削後、カッタヘッドを固定筒体の内径よりも小径となるように縮小させると共に固定筒体と筒状内胴体との連結を解いたのち、該筒状内胴体を後方に牽引することによってカッタヘッドと共に固定筒体から抜き取り、トンネル内を通じて発進立坑側に回収、撤去させるように構成している。
【０００５】
このように構成したトンネル掘削機におけるスキンプレートの後部内に上記リングガータを配設した場合、上述したように、固定筒体から離脱させた掘削機主体部をトンネル内を通じて後方に搬送しようとしても、リングガータが邪魔になって回収することができない。そのため、リングガータを溶断することによって解体するか、或いは、リングガータの中央孔を通して上記掘削機主体部を通過させなければならず、掘削機主体部の撤去作業が煩雑化するといった問題点があった。本発明はこのような問題点を全面的に解消することができるエレクタ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記目的を達成するために本発明のトンネル掘削機におけるリングガータは、請求項１に記載したように、トンネル掘削機のスキンプレートの内周面に装着され、且つ、周方向に所定間隔毎に推進ジャッキを挿通状態で支持する支持孔を穿設しているリングガータであって、数片のリングガータ片に分割されてあり、隣接する分割リングガータ片の分割面を着脱自在に連結してなる構造を有している。
【０００７】
このように構成したリングガータにおいて、請求項２に係る発明のリングガータは、前後に一定の小間隔を存して対設した前後円環板の内端面間と外端面間とをそれぞれ内外リング部材によって一体に連結してなる断面中空矩形状の周枠形状に形成されていると共に、後側円環板の外周端部を外側リング部材から外径方向に突出させて突出端部に形成してあり、その外側リング部材の外周面をスキンプレートの前後胴部間に亘って設けられその後端部外周面が後胴部の前端内周面に固着されている短筒状の中折れ部に離脱可能に内嵌させ、且つ上記突出端部をこの中折れ部の後端面と後胴部の内周面に固着しているストッパ部材との間に抜き取り可能に挿入、挟持させていることを特徴とする。
【０００８】
さらに、請求項３に係る発明は、上記各分割リングガータの両端に前後方向に向けてフランジを突設してあり、隣接する分割リングガータ片のフランジ同士を接合状態にしてボルト・ナットにより連結していることを特徴とする。
【発明の効果】
【０００９】
本発明のトンネル掘削機におけるリングガータによれば、リングガータを数片のリングガータ片に分割して、隣接する分割リングガータ片の分割面を着脱自在に連結しているので、狭い作業空間部であってもこれらの分割リングガータ片を順次、連結することによって容易にリングガータを組み立てることができ、又、トンネルの掘削終了後においては、隣接する分割リングガータ片同士の連結部を解くことによって、複数片の分割リングガータ部に簡単に解体することができ、作業空間が狭い小口径のトンネル掘削機であっても、これらの分割リングガータを容易にトンネル内を通じて発進立坑側に搬出することができる。
【００１０】
従って、このリングガータを撤去、回収可能なトンネル掘削機における後部内に配設しても、上述したように、該リングガータは複数の分割リングガータ片に解体可能であるから、作業空間の狭い小口径のトンネル掘削機であっても、このリングガータを後方に解体、撤去することによって、カッタヘッドと該カッタヘッドの駆動モータを備えている筒状内胴体からなる掘削機主体部の発進立坑側への撤去、回収作業が円滑且つ能率よく行うことができる。
【００１１】
また、上記リングガータは、請求項２に記載したように、前後に一定の小間隔を存して対設した前後円環板の内端面間と外端面間とをそれぞれ内外リング部材によって一体に連結してなる断面中空矩形状の周枠形状に形成されていると共に、後側円環板の外周端部を外側リング部材から外径方向に突出させて突出端部に形成してあり、その外側リング部材の外周面をスキンプレートの前後胴部間に亘って設けられその後端部外周面が後胴部の前端内周面に固着されている短筒状の中折れ部に離脱可能に内嵌させ、且つ上記突出端部をこの中折れ部の後端面と後胴部の内周面に固着しているストッパ部材との間に抜き取り可能に挿入、挟持させているので、各分割リングガータ片を、その突出端部を中折れ部とストッパ部材との間に順次、挿入することによって容易に且つ正確にリングガータの組立てを行うことができると共にリングガータに作用する中折れジャッキ等の推進反力をストッパ部材によって強固に受止させることができ、中折れジャッキや推進ジャッキ等の作動を正確に行わせることができる。
【００１２】
その上、リングガータの解体時には分割リングガータ片同士の連結を解いたのち、各分割リングガータ片をスキンプレートの中心方向に向かって引き寄せることにより、その突出端部が中折れ部とストッパ部材との間の隙間から引き抜かれて簡単にスキンプレートから解体、分離させることができ、リングガータの解体作業が能率よく行うことができる。
【００１３】
また、分割リングガータ片同士の連結は、請求項３に記載したように、各分割リングガータ片の両端に前後方向に向けてフランジを突設し、隣接する分割リングガータ片のフランジ同士を接合状態にしてボルト・ナットにより連結した構造としているので、その連結作業が容易に且つ強固に行うことができると共に精度のよいリングガータを組み立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
次に本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図１はトンネルＴを掘削しながらその掘削壁面にセグメントＳの組み込みによるトンネル覆工体を形成し、一定長のトンネルの掘削後、回収が可能に構成したトンネル掘削機の簡略縦断側面図であって、円筒形状のスキンプレート１は、中折れ部２によって互いに対向端部を屈折自在に連結した前胴部1aと後胴部1bとに分割されている。中折れ部２は、後胴部1bの前端部内周面に後部外周面を一体に固着させてなる一定長さを有する短筒体2aと、後胴部1bから前方に突出した該短筒体2aの外周面に装着したシール材2bとからなり、このシール材2bを介して前胴部1aの後端部内周面に屈折自在に接合させていると共に、短筒体2aの後部内周面に、複数本の中折れジャッキ33と推進ジャッキ34とを支持しているリングガータ３の外周面を内嵌させて支持している。
【００１５】
リングガータ３は、内外径方向の幅が一定幅を有する垂直な円環板3a、3bを前後方向に小間隔を存して対向させた状態でそのこれらの円環板3a、3bの内端面間と外端面間とをリング部材3c、3dによって一体に連結して断面中空矩形状の周枠形状に形成してなり、上記外周側のリング部材3cの前部を前側円環板3aから前方に突出させていると共に後側の円環板3bの外周端部を外側リング部材3cの後端から外径方向に突出させてあり、この突出端部3b' を上記中折れ部２の短筒体2aの後端面と、この後端面から後方に該突出端部3b' の厚みに相当する間隔を存して後胴部1bの前端部内周面に周方向に所定間隔毎に固着した複数個のストッパ部材５との間の隙間に抜き取り可能に挿入、挟持させていると共に、外周側リング部材3cの外周面を中折れ部２の上記短筒体2aの後部内周面に固着することなく離脱可能に内嵌、支持させている。
【００１６】
なお、このストッパ部材５の内径方向の突出長（突出高さ）は、セグメントＳの内面に達しない高さに形成されていて、後述する掘削機主体部27の回収の邪魔にならないようにしている。また、リングガータ３の円環板3a、3bには、図３に示すように、推進ジャッキ34の胴体部を挿嵌、支持する支持孔４が周方向に一定間隔毎に前後方向に貫通させた状態で穿設されている。
【００１７】
さらに、リングガータ３は、互いに分割面を接合させた状態で分解可能に連結している複数片の分割リングガータ片3A、3B、3Cに分割されてあり、各分割リングガータ片3A、3B、3Cの両端に前方に向かってフランジ６、６を突設し、隣接する分割リングガータ片のフランジ６、６同士をボルト・ナット７により着脱自在に連結することによって、リングガータ３を形成している。なお、これらの分割リングガータ片3A〜3Cのうち、一枚の分割リングガータ3Aはリングガータ３の組立、解体が容易に行えるようにするためのキーピース形状に形成されている。即ち、この分割リングガータ片3Aは、外周側が幅狭く、内周側が幅広くなるようにその両側端面の分割面X1、X1を互いに外周側から内周側に向かって徐々に離間する方向に傾斜した傾斜端面に形成している。従って、この分割リングガータ片3Aの両端部に連結する分割リングガータ片3B、3Bの対向端面も上記傾斜端面に全面的に接合する傾斜端面に形成されてあり、これらの傾斜端面に前方に向かって突出させた状態で上記フランジ６、６の基端を固着させている。
【００１８】
リングガータ３の上周部内面、即ち、内側のリング部材3dの上周部には、後述するエレクタ装置の旋回リング８の駆動モータ９を支持した支持台10を取り外し可能に装着していると共に、前側円環板3aの前面複数箇所（図においては４方）に前胴部1aの後部内周面に沿って周方向に所定間隔毎に配設されている上記中折れジャッキ33の後端部を取り外し可能に支持したブラケット41を突設してあり、これらの中折れジャッキ33の前端は前胴部1aの内周面に着脱自在に取付けたブラケット42によって支持されている。そして、中折れジャッキ33を伸縮させることによって後胴部1bに対して前胴部1aを所定方向に屈折させるように構成している。
【００１９】
このように構成したリングガータ３背面側にセグメントＳを組み立てるエレクタ装置が配設されている。このエレクタ装置は、後胴部1bの前端部内周面の複数箇所、例えば、図４に示すように周方向に90度の間隔を存した上下左右の四箇所に支持ローラ11を取り外し可能に固定し、これらの支持ローラ11によって上記旋回リング８の外周面を回転自在に支持させていると共に、この旋回リング８の内周面に設けている内歯車12に駆動モータ９の回転軸9aに固着した小歯車13を噛合させて該駆動モータ９により旋回リング８を旋回動させ、旋回リング８の後面外周部に装着しているエレクタヘッド14によって吊支されたセグメントＳを掘削壁面のセグメント組み込み位置に移動させてセグメントＳの組み立てを行うように構成している。また、エレクタヘッド４に対して直径方向に対向する旋回リング３の後面外周部にはカウンタウエイト15を装着している。
【００２０】
また、旋回リング８は半円弧状に湾曲した分割リングピース8A、8Bに２等分されていて、これらの分割リングピース8A、8Bの分割面を接合して着脱可能に結合させることにより旋回リング８を構成している。詳しくは、これらの分割リングピース8A、8Bの両端部後面に、互いに接合するフランジ16、16を後方に向かって突設してあり、対向する分割リングピース8A、8Bのフランジ部16、16間をボルト・ナット17によって固着することにより、分解可能な旋回リング８を構成している。
【００２１】
また、分割リングピース8A、8Bの前面側において、これらの分割リングピース8A、8Bの対向端部間を図５に示すように連結板18によって連結している。即ち、連結板18は長方形状に形成されていてその両側部数カ所をボルト19により分割リングピース3A、3Bの対向端部に固着している。そして、これらのボルト19を取り外すことによって分割リングピース8A、8B同士の連結を解くように構成している。
【００２２】
一方、上記スキンプレート１の前端部内周面には、中央部に上記セグメントＳによるトンネル覆工体の内径よりも小径の円形孔21を設けている円環板形状のリング体20の外周端面を溶接等により一体に固着していると共に、この円形孔21に環状中間部材22を介して筒状内胴体23を前後方向に摺動自在に支持させている。なお、円形孔21はリング体20の内周面に上記筒状内胴体23の前部の前後方向の長さに等しい長さを有する短筒部21a を一体に設けてこの短筒部21a の内周面によって形成されてあり、該内周面の前端部に装着しているシール材24を介して筒状内胴体23の前部を支持している。また、上記中間部材22はその前端部を筒状内胴体23の前面外周部にボルトによって着脱自在に固定されている。
【００２３】
筒状内胴体23は、その中心部に前方に向かって突出したカッタヘッド25の回転中心軸を回転自在に支持していると共に後面側に該カッタヘッド25の回転駆動モータ26を装着している。そして、このカッタヘッド25と回転駆動モータ26を備えた筒状内胴体23によって掘削機主体部27を構成している。なお、カッタヘッド25は前面に複数本の掘削ビットを突設しているスポークタイプであって、公知の手段によりその外径がスキンプレート１の外径に等しい径から上記リング体20の円形孔21よりも小径となる径まで拡縮可能に構成している。また、このカッタヘッド25の背面とリング体20の前面間の間隔は、筒状内胴体23の前部を中間部材22を介して支持しているリング体20の円形孔21の前後方向の長さ、即ち、短筒部21a の長さよりも広くしている。
【００２４】
掘削機主体部27の筒状内胴体23は、その後部外周面の少なくとも２方部を円形外周面から内方に向かって段状に屈折、形成して機軸方向に平坦な係止面30と垂直な係止面31とを形成してあり、この係止面30と対向したスキンプレート１の内周面側に固定部材32をボルトによって取り外し可能に固定して、該固定部材32の平坦な頂面と前面とを上記係止面30、31にそれぞれ当接、受止させている。さらに、上記カッタヘッド25の後面とリング体20及び筒状内胴体23の前面間の空間部によって形成しているチャンバー28内の土砂を排出するための送泥管29a と排泥管29b とからなる還流泥水による土砂排出手段29とを備えている。
【００２５】
このように構成したトンネル掘削機は、発進立坑（図示せず）内に設置されて該発進立坑から所定方向にトンネルＴを掘削していく。トンネルＴの掘進は、カッタヘッド25をスキンプレート１の外径に等しい外径にまで拡径させたのち、駆動モータ26により該カッタヘッド25を回転させると共に推進ジャッキ34をセグメントＳによるトンネル覆工体の前端面に反力を受止させた状態で伸長させることにより行われる。詳しくは、推進ジャッキ34を伸長させると、その推進力がリングガータ３からこのリングガータ３を固定している中折れ部２に伝達され、さらに、中折れ部２から中折れジャッキ33、前胴部1a、固定部材32に伝達されてこの固定部材32の前端面で掘削機主体部27の筒状内胴体23の垂直な係止面31を押圧し、カッタヘッド25を軸支している該筒状内胴体23をスキンプレート１と一体に前進させながらトンネルＴを掘進していくものである。
【００２６】
この際、カッタヘッド25の回転によって筒状内胴体23が一体に回転しようとするが、該筒状内胴体23の後部に形成している平坦な係止面30が固定部材32の頂面に接合状態で係止されているので、この固定部材32に該カッタヘッド25の回転反力が強固に受止されて筒状内胴体23は共回りする虞れはない。その上、カッタヘッド25の推進反力も、筒状内胴体23の垂直な係止面31を押圧している固定部材32の前端面によって確実に受止することができる。
【００２７】
そして、トンネル掘削機によって一定長のトンネルが掘削される毎にエレクタ装置によって後胴部1bの後部内でセグメントＳをリング状に組み込み、掘進に従って後方に送り出すことによりトンネル覆工体を施工していく。セグメントＳはトンネル覆工体の内底面上に敷設しているレール上を走行する台車（図示せず）によって搬入され、該セグメントＳをエレクタヘッド14に吊支されたのち、駆動モータ９によって旋回リング８を旋回動させることによってセグメントＳを組み立てるものである。一方、カッタヘッド25によって掘削された土砂はチャンバー28内に取り込まれ、送泥管29a を通じてこのチャンバー28内に供給、充満させている泥水と共に排泥管29b を通じて後方に排出される。
【００２８】
次に、このシールド掘削機によって所定長のトンネルＴを掘削したのち、掘削機主体部27等を発進立坑側に撤去、回収するには、まず、上記エレクタ装置とリングガータ３、土砂掘削手段29を順次、解体撤去する。エレクタ装置の解体は、旋回リング８の後面に装着しているエレクタヘッド14とカウンタウエイト15とを取り外して回収したのち、旋回リング８を構成している分割リングピース8A、8Bのフランジ16、16間を連結しているボルト・ナット17を取り外すと共に分割リングピース8A、8Bの対向端部の前面間を連結している連結板18もボルト19を除去することによって取り外す。そうすると、分割リングピース8A、8Bが半割り状に分離するので、これらの分割リングピース8A、8Bを台車等に載せて発進立坑側に回収、撤去する。なお、旋回リング８は分割リングピース8A、8Bに二分割した構造としているが、互いに、連結、解体可能にした３枚以上の分割リングピースによって構成しておいてもよい。
【００２９】
この旋回リング３の解体後、全ての支持ローラ11を取り外して回収すると共に、リングガータ３に支持させている駆動モータ９を支持台10から外して回収、撤去する。しかるのち、リングガータ３に対する中折れジャッキ33の後端部をブラケット41から外すと共に、全ての推進ジャッキ34をリングガータ３に設けている支持孔４から抜き取って回収する。次いで、リングガータ３を構成している各隣接する分割リングガータ片3A〜3Cのフランジ６、６間を連結しているボルト・ナット７を順次取り外すことによって、リングガータ３を複数枚の分割リングガータ片3A〜3Cに解体し、台車等に載置して発進立坑側に回収、撤去する。
【００３０】
この際、まず、両側分割端面が外周側から内周側に向かって互いに離間した傾斜分割面X1、X1に形成している分割リングガータ片3Aを内径方向に向かって引き出すことにより、その突出端部3b' を中折れ部２の短筒体2aの後端面とストッパ部材５との間の隙間から抜き取り、しかるのち、この分割リングガータ片3Aに隣接する分割リングガータ片3B、3Bを順次、その突出端部3b' を中折れ部２の短筒体2aの後端面とストッパ部材５との間の隙間から抜き取ることによって解体する。
【００３１】
そして、リングガータ３の解体、撤去後、土砂掘削手段29である送排泥管29a 、29b を撤去すると共に中折れジャッキ33も回収、撤去する。そうすると、掘削機主体部27の後方側には該掘削機主体部27が通過可能な広い空間部が形成される。このように、掘削機主体部27の回収に邪魔になる機器類等を解体、撤去したのち、掘削機主体部27のカッタヘッド25を縮径させてリング体20の円形孔21を通過可能にすると共に掘削機主体部27の筒状内胴体23を固定している固定部材32を撤去する。しかるのち、この掘削機主体部27を適宜な台車等により支持させた状態で後方に牽引して筒状内胴体23の前部をリング体20の円形孔21から後方に引き出すと共に、カッタヘッド25をこの円形孔21を通過させて機内側に取り込む。
【００３２】
こうして、機内に取り込んだ掘削機主体部27を発進立坑Ｂ側に搬出するには、該掘削機主体部27の筒状内胴体23の下周部に、トンネル覆工体の内底面上に敷設している上記レール上を転動する車輪を装着することによって行うことができ、また、レール上を走行する台車に載せて搬出することもできる。一方、掘削壁面を覆っている上記スキンプレート１はそのトンネル掘削機到達個所に残しておくが、このスキンプレート１の内周面側に装着しておいた中折れジャッキ33や推進ジャッキ34は上記掘削機主体部27と共に次のトンネル掘削工事に使用する。同様に、エレクタ装置やリングガータ３も新たなトンネル掘削機のスキンプレート１の後部内に組立てて再使用する。なお、本発明のリングガータは、回収、撤去を行わないトンネル掘削機においても適用することができるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【００３３】
【図１】トンネル掘削機の縦断側面図。
【図２】その一部切欠背面図。
【図３】リングガータの正面図。
【図４】旋回リングの簡略背面図。
【図５】その連結部分の正面図。
【符号の説明】
【００３４】
１ スキンプレート
２ 中折れ部
３ リングガータ
3A〜3C 分割リングガータ片
3a、3b 前後円環板
3b' 突出端部
５ ストッパ部材
６ フランジ
７ ボルト・ナット
８ 旋回リング
【技術分野】
【０００１】
本発明は、トンネル掘削機の推進ジャッキを支持するリングガータの改良に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来から、トンネル掘削機によってトンネルを掘進するには、スキンプレートの後部内に配設したエレクタ装置によって掘削壁面に組み立てたセグメント覆工の前端面に推進ジャッキの推進力の反力を受止させながら該推進ジャッキを伸長させると共にカッタヘッドを回転させることによって行われている。推進ジャッキはスキンプレートの内周面に沿って周方向に所定間隔毎に複数本、配設されているが、その配設構造としては従来から、例えば、特許文献１に記載したように、周方向に所定間隔毎に上記推進ジャッキを挿通状態で支持する支持孔を設けてなるリングガータを使用し、このリングガータの外周面を、スキンプレートの前後胴部間を接続している中折れ部の内周面に溶接等によって固着した構造としている。
【特許文献１】特開２００１−３２９７９８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかしながら、上記リングガータは、分解不能な周枠形状に形成されているため、スキンプレートにおける中折れ部の内周面に内嵌させて固着する作業が極めて困難であるばかりでなく、装着した後においては再使用可能に分解することができないといった問題点がある。
【０００４】
また、近年、地中にトンネルを掘削したのち、トンネル内を通じて後方に撤去、回収して再利用可能にしたトンネル掘削機が開発されている。このトンネル掘削機はスキンプレートの前端部内周面に外径が該スキンプレートの内径よりも小径の固定筒体を支持させる一方、筒状内胴体の前面側に拡縮可能なカッタヘッドを回転自在に配設すると共に後面側に該カッタヘッドの駆動モータを装着することによって掘削機主体部を形成し、この掘削機主体部の上記筒状内胴体を上記固定筒体に抜き取り可能に挿嵌、連結してなる構造を有し、トンネルの掘削後、カッタヘッドを固定筒体の内径よりも小径となるように縮小させると共に固定筒体と筒状内胴体との連結を解いたのち、該筒状内胴体を後方に牽引することによってカッタヘッドと共に固定筒体から抜き取り、トンネル内を通じて発進立坑側に回収、撤去させるように構成している。
【０００５】
このように構成したトンネル掘削機におけるスキンプレートの後部内に上記リングガータを配設した場合、上述したように、固定筒体から離脱させた掘削機主体部をトンネル内を通じて後方に搬送しようとしても、リングガータが邪魔になって回収することができない。そのため、リングガータを溶断することによって解体するか、或いは、リングガータの中央孔を通して上記掘削機主体部を通過させなければならず、掘削機主体部の撤去作業が煩雑化するといった問題点があった。本発明はこのような問題点を全面的に解消することができるエレクタ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記目的を達成するために本発明のトンネル掘削機におけるリングガータは、請求項１に記載したように、トンネル掘削機のスキンプレートの内周面に装着され、且つ、周方向に所定間隔毎に推進ジャッキを挿通状態で支持する支持孔を穿設しているリングガータであって、数片のリングガータ片に分割されてあり、隣接する分割リングガータ片の分割面を着脱自在に連結してなる構造を有している。
【０００７】
このように構成したリングガータにおいて、請求項２に係る発明のリングガータは、前後に一定の小間隔を存して対設した前後円環板の内端面間と外端面間とをそれぞれ内外リング部材によって一体に連結してなる断面中空矩形状の周枠形状に形成されていると共に、後側円環板の外周端部を外側リング部材から外径方向に突出させて突出端部に形成してあり、その外側リング部材の外周面をスキンプレートの前後胴部間に亘って設けられその後端部外周面が後胴部の前端内周面に固着されている短筒状の中折れ部に離脱可能に内嵌させ、且つ上記突出端部をこの中折れ部の後端面と後胴部の内周面に固着しているストッパ部材との間に抜き取り可能に挿入、挟持させていることを特徴とする。
【０００８】
さらに、請求項３に係る発明は、上記各分割リングガータの両端に前後方向に向けてフランジを突設してあり、隣接する分割リングガータ片のフランジ同士を接合状態にしてボルト・ナットにより連結していることを特徴とする。
【発明の効果】
【０００９】
本発明のトンネル掘削機におけるリングガータによれば、リングガータを数片のリングガータ片に分割して、隣接する分割リングガータ片の分割面を着脱自在に連結しているので、狭い作業空間部であってもこれらの分割リングガータ片を順次、連結することによって容易にリングガータを組み立てることができ、又、トンネルの掘削終了後においては、隣接する分割リングガータ片同士の連結部を解くことによって、複数片の分割リングガータ部に簡単に解体することができ、作業空間が狭い小口径のトンネル掘削機であっても、これらの分割リングガータを容易にトンネル内を通じて発進立坑側に搬出することができる。
【００１０】
従って、このリングガータを撤去、回収可能なトンネル掘削機における後部内に配設しても、上述したように、該リングガータは複数の分割リングガータ片に解体可能であるから、作業空間の狭い小口径のトンネル掘削機であっても、このリングガータを後方に解体、撤去することによって、カッタヘッドと該カッタヘッドの駆動モータを備えている筒状内胴体からなる掘削機主体部の発進立坑側への撤去、回収作業が円滑且つ能率よく行うことができる。
【００１１】
また、上記リングガータは、請求項２に記載したように、前後に一定の小間隔を存して対設した前後円環板の内端面間と外端面間とをそれぞれ内外リング部材によって一体に連結してなる断面中空矩形状の周枠形状に形成されていると共に、後側円環板の外周端部を外側リング部材から外径方向に突出させて突出端部に形成してあり、その外側リング部材の外周面をスキンプレートの前後胴部間に亘って設けられその後端部外周面が後胴部の前端内周面に固着されている短筒状の中折れ部に離脱可能に内嵌させ、且つ上記突出端部をこの中折れ部の後端面と後胴部の内周面に固着しているストッパ部材との間に抜き取り可能に挿入、挟持させているので、各分割リングガータ片を、その突出端部を中折れ部とストッパ部材との間に順次、挿入することによって容易に且つ正確にリングガータの組立てを行うことができると共にリングガータに作用する中折れジャッキ等の推進反力をストッパ部材によって強固に受止させることができ、中折れジャッキや推進ジャッキ等の作動を正確に行わせることができる。
【００１２】
その上、リングガータの解体時には分割リングガータ片同士の連結を解いたのち、各分割リングガータ片をスキンプレートの中心方向に向かって引き寄せることにより、その突出端部が中折れ部とストッパ部材との間の隙間から引き抜かれて簡単にスキンプレートから解体、分離させることができ、リングガータの解体作業が能率よく行うことができる。
【００１３】
また、分割リングガータ片同士の連結は、請求項３に記載したように、各分割リングガータ片の両端に前後方向に向けてフランジを突設し、隣接する分割リングガータ片のフランジ同士を接合状態にしてボルト・ナットにより連結した構造としているので、その連結作業が容易に且つ強固に行うことができると共に精度のよいリングガータを組み立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
次に本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図１はトンネルＴを掘削しながらその掘削壁面にセグメントＳの組み込みによるトンネル覆工体を形成し、一定長のトンネルの掘削後、回収が可能に構成したトンネル掘削機の簡略縦断側面図であって、円筒形状のスキンプレート１は、中折れ部２によって互いに対向端部を屈折自在に連結した前胴部1aと後胴部1bとに分割されている。中折れ部２は、後胴部1bの前端部内周面に後部外周面を一体に固着させてなる一定長さを有する短筒体2aと、後胴部1bから前方に突出した該短筒体2aの外周面に装着したシール材2bとからなり、このシール材2bを介して前胴部1aの後端部内周面に屈折自在に接合させていると共に、短筒体2aの後部内周面に、複数本の中折れジャッキ33と推進ジャッキ34とを支持しているリングガータ３の外周面を内嵌させて支持している。
【００１５】
リングガータ３は、内外径方向の幅が一定幅を有する垂直な円環板3a、3bを前後方向に小間隔を存して対向させた状態でそのこれらの円環板3a、3bの内端面間と外端面間とをリング部材3c、3dによって一体に連結して断面中空矩形状の周枠形状に形成してなり、上記外周側のリング部材3cの前部を前側円環板3aから前方に突出させていると共に後側の円環板3bの外周端部を外側リング部材3cの後端から外径方向に突出させてあり、この突出端部3b' を上記中折れ部２の短筒体2aの後端面と、この後端面から後方に該突出端部3b' の厚みに相当する間隔を存して後胴部1bの前端部内周面に周方向に所定間隔毎に固着した複数個のストッパ部材５との間の隙間に抜き取り可能に挿入、挟持させていると共に、外周側リング部材3cの外周面を中折れ部２の上記短筒体2aの後部内周面に固着することなく離脱可能に内嵌、支持させている。
【００１６】
なお、このストッパ部材５の内径方向の突出長（突出高さ）は、セグメントＳの内面に達しない高さに形成されていて、後述する掘削機主体部27の回収の邪魔にならないようにしている。また、リングガータ３の円環板3a、3bには、図３に示すように、推進ジャッキ34の胴体部を挿嵌、支持する支持孔４が周方向に一定間隔毎に前後方向に貫通させた状態で穿設されている。
【００１７】
さらに、リングガータ３は、互いに分割面を接合させた状態で分解可能に連結している複数片の分割リングガータ片3A、3B、3Cに分割されてあり、各分割リングガータ片3A、3B、3Cの両端に前方に向かってフランジ６、６を突設し、隣接する分割リングガータ片のフランジ６、６同士をボルト・ナット７により着脱自在に連結することによって、リングガータ３を形成している。なお、これらの分割リングガータ片3A〜3Cのうち、一枚の分割リングガータ3Aはリングガータ３の組立、解体が容易に行えるようにするためのキーピース形状に形成されている。即ち、この分割リングガータ片3Aは、外周側が幅狭く、内周側が幅広くなるようにその両側端面の分割面X1、X1を互いに外周側から内周側に向かって徐々に離間する方向に傾斜した傾斜端面に形成している。従って、この分割リングガータ片3Aの両端部に連結する分割リングガータ片3B、3Bの対向端面も上記傾斜端面に全面的に接合する傾斜端面に形成されてあり、これらの傾斜端面に前方に向かって突出させた状態で上記フランジ６、６の基端を固着させている。
【００１８】
リングガータ３の上周部内面、即ち、内側のリング部材3dの上周部には、後述するエレクタ装置の旋回リング８の駆動モータ９を支持した支持台10を取り外し可能に装着していると共に、前側円環板3aの前面複数箇所（図においては４方）に前胴部1aの後部内周面に沿って周方向に所定間隔毎に配設されている上記中折れジャッキ33の後端部を取り外し可能に支持したブラケット41を突設してあり、これらの中折れジャッキ33の前端は前胴部1aの内周面に着脱自在に取付けたブラケット42によって支持されている。そして、中折れジャッキ33を伸縮させることによって後胴部1bに対して前胴部1aを所定方向に屈折させるように構成している。
【００１９】
このように構成したリングガータ３背面側にセグメントＳを組み立てるエレクタ装置が配設されている。このエレクタ装置は、後胴部1bの前端部内周面の複数箇所、例えば、図４に示すように周方向に90度の間隔を存した上下左右の四箇所に支持ローラ11を取り外し可能に固定し、これらの支持ローラ11によって上記旋回リング８の外周面を回転自在に支持させていると共に、この旋回リング８の内周面に設けている内歯車12に駆動モータ９の回転軸9aに固着した小歯車13を噛合させて該駆動モータ９により旋回リング８を旋回動させ、旋回リング８の後面外周部に装着しているエレクタヘッド14によって吊支されたセグメントＳを掘削壁面のセグメント組み込み位置に移動させてセグメントＳの組み立てを行うように構成している。また、エレクタヘッド４に対して直径方向に対向する旋回リング３の後面外周部にはカウンタウエイト15を装着している。
【００２０】
また、旋回リング８は半円弧状に湾曲した分割リングピース8A、8Bに２等分されていて、これらの分割リングピース8A、8Bの分割面を接合して着脱可能に結合させることにより旋回リング８を構成している。詳しくは、これらの分割リングピース8A、8Bの両端部後面に、互いに接合するフランジ16、16を後方に向かって突設してあり、対向する分割リングピース8A、8Bのフランジ部16、16間をボルト・ナット17によって固着することにより、分解可能な旋回リング８を構成している。
【００２１】
また、分割リングピース8A、8Bの前面側において、これらの分割リングピース8A、8Bの対向端部間を図５に示すように連結板18によって連結している。即ち、連結板18は長方形状に形成されていてその両側部数カ所をボルト19により分割リングピース3A、3Bの対向端部に固着している。そして、これらのボルト19を取り外すことによって分割リングピース8A、8B同士の連結を解くように構成している。
【００２２】
一方、上記スキンプレート１の前端部内周面には、中央部に上記セグメントＳによるトンネル覆工体の内径よりも小径の円形孔21を設けている円環板形状のリング体20の外周端面を溶接等により一体に固着していると共に、この円形孔21に環状中間部材22を介して筒状内胴体23を前後方向に摺動自在に支持させている。なお、円形孔21はリング体20の内周面に上記筒状内胴体23の前部の前後方向の長さに等しい長さを有する短筒部21a を一体に設けてこの短筒部21a の内周面によって形成されてあり、該内周面の前端部に装着しているシール材24を介して筒状内胴体23の前部を支持している。また、上記中間部材22はその前端部を筒状内胴体23の前面外周部にボルトによって着脱自在に固定されている。
【００２３】
筒状内胴体23は、その中心部に前方に向かって突出したカッタヘッド25の回転中心軸を回転自在に支持していると共に後面側に該カッタヘッド25の回転駆動モータ26を装着している。そして、このカッタヘッド25と回転駆動モータ26を備えた筒状内胴体23によって掘削機主体部27を構成している。なお、カッタヘッド25は前面に複数本の掘削ビットを突設しているスポークタイプであって、公知の手段によりその外径がスキンプレート１の外径に等しい径から上記リング体20の円形孔21よりも小径となる径まで拡縮可能に構成している。また、このカッタヘッド25の背面とリング体20の前面間の間隔は、筒状内胴体23の前部を中間部材22を介して支持しているリング体20の円形孔21の前後方向の長さ、即ち、短筒部21a の長さよりも広くしている。
【００２４】
掘削機主体部27の筒状内胴体23は、その後部外周面の少なくとも２方部を円形外周面から内方に向かって段状に屈折、形成して機軸方向に平坦な係止面30と垂直な係止面31とを形成してあり、この係止面30と対向したスキンプレート１の内周面側に固定部材32をボルトによって取り外し可能に固定して、該固定部材32の平坦な頂面と前面とを上記係止面30、31にそれぞれ当接、受止させている。さらに、上記カッタヘッド25の後面とリング体20及び筒状内胴体23の前面間の空間部によって形成しているチャンバー28内の土砂を排出するための送泥管29a と排泥管29b とからなる還流泥水による土砂排出手段29とを備えている。
【００２５】
このように構成したトンネル掘削機は、発進立坑（図示せず）内に設置されて該発進立坑から所定方向にトンネルＴを掘削していく。トンネルＴの掘進は、カッタヘッド25をスキンプレート１の外径に等しい外径にまで拡径させたのち、駆動モータ26により該カッタヘッド25を回転させると共に推進ジャッキ34をセグメントＳによるトンネル覆工体の前端面に反力を受止させた状態で伸長させることにより行われる。詳しくは、推進ジャッキ34を伸長させると、その推進力がリングガータ３からこのリングガータ３を固定している中折れ部２に伝達され、さらに、中折れ部２から中折れジャッキ33、前胴部1a、固定部材32に伝達されてこの固定部材32の前端面で掘削機主体部27の筒状内胴体23の垂直な係止面31を押圧し、カッタヘッド25を軸支している該筒状内胴体23をスキンプレート１と一体に前進させながらトンネルＴを掘進していくものである。
【００２６】
この際、カッタヘッド25の回転によって筒状内胴体23が一体に回転しようとするが、該筒状内胴体23の後部に形成している平坦な係止面30が固定部材32の頂面に接合状態で係止されているので、この固定部材32に該カッタヘッド25の回転反力が強固に受止されて筒状内胴体23は共回りする虞れはない。その上、カッタヘッド25の推進反力も、筒状内胴体23の垂直な係止面31を押圧している固定部材32の前端面によって確実に受止することができる。
【００２７】
そして、トンネル掘削機によって一定長のトンネルが掘削される毎にエレクタ装置によって後胴部1bの後部内でセグメントＳをリング状に組み込み、掘進に従って後方に送り出すことによりトンネル覆工体を施工していく。セグメントＳはトンネル覆工体の内底面上に敷設しているレール上を走行する台車（図示せず）によって搬入され、該セグメントＳをエレクタヘッド14に吊支されたのち、駆動モータ９によって旋回リング８を旋回動させることによってセグメントＳを組み立てるものである。一方、カッタヘッド25によって掘削された土砂はチャンバー28内に取り込まれ、送泥管29a を通じてこのチャンバー28内に供給、充満させている泥水と共に排泥管29b を通じて後方に排出される。
【００２８】
次に、このシールド掘削機によって所定長のトンネルＴを掘削したのち、掘削機主体部27等を発進立坑側に撤去、回収するには、まず、上記エレクタ装置とリングガータ３、土砂掘削手段29を順次、解体撤去する。エレクタ装置の解体は、旋回リング８の後面に装着しているエレクタヘッド14とカウンタウエイト15とを取り外して回収したのち、旋回リング８を構成している分割リングピース8A、8Bのフランジ16、16間を連結しているボルト・ナット17を取り外すと共に分割リングピース8A、8Bの対向端部の前面間を連結している連結板18もボルト19を除去することによって取り外す。そうすると、分割リングピース8A、8Bが半割り状に分離するので、これらの分割リングピース8A、8Bを台車等に載せて発進立坑側に回収、撤去する。なお、旋回リング８は分割リングピース8A、8Bに二分割した構造としているが、互いに、連結、解体可能にした３枚以上の分割リングピースによって構成しておいてもよい。
【００２９】
この旋回リング３の解体後、全ての支持ローラ11を取り外して回収すると共に、リングガータ３に支持させている駆動モータ９を支持台10から外して回収、撤去する。しかるのち、リングガータ３に対する中折れジャッキ33の後端部をブラケット41から外すと共に、全ての推進ジャッキ34をリングガータ３に設けている支持孔４から抜き取って回収する。次いで、リングガータ３を構成している各隣接する分割リングガータ片3A〜3Cのフランジ６、６間を連結しているボルト・ナット７を順次取り外すことによって、リングガータ３を複数枚の分割リングガータ片3A〜3Cに解体し、台車等に載置して発進立坑側に回収、撤去する。
【００３０】
この際、まず、両側分割端面が外周側から内周側に向かって互いに離間した傾斜分割面X1、X1に形成している分割リングガータ片3Aを内径方向に向かって引き出すことにより、その突出端部3b' を中折れ部２の短筒体2aの後端面とストッパ部材５との間の隙間から抜き取り、しかるのち、この分割リングガータ片3Aに隣接する分割リングガータ片3B、3Bを順次、その突出端部3b' を中折れ部２の短筒体2aの後端面とストッパ部材５との間の隙間から抜き取ることによって解体する。
【００３１】
そして、リングガータ３の解体、撤去後、土砂掘削手段29である送排泥管29a 、29b を撤去すると共に中折れジャッキ33も回収、撤去する。そうすると、掘削機主体部27の後方側には該掘削機主体部27が通過可能な広い空間部が形成される。このように、掘削機主体部27の回収に邪魔になる機器類等を解体、撤去したのち、掘削機主体部27のカッタヘッド25を縮径させてリング体20の円形孔21を通過可能にすると共に掘削機主体部27の筒状内胴体23を固定している固定部材32を撤去する。しかるのち、この掘削機主体部27を適宜な台車等により支持させた状態で後方に牽引して筒状内胴体23の前部をリング体20の円形孔21から後方に引き出すと共に、カッタヘッド25をこの円形孔21を通過させて機内側に取り込む。
【００３２】
こうして、機内に取り込んだ掘削機主体部27を発進立坑Ｂ側に搬出するには、該掘削機主体部27の筒状内胴体23の下周部に、トンネル覆工体の内底面上に敷設している上記レール上を転動する車輪を装着することによって行うことができ、また、レール上を走行する台車に載せて搬出することもできる。一方、掘削壁面を覆っている上記スキンプレート１はそのトンネル掘削機到達個所に残しておくが、このスキンプレート１の内周面側に装着しておいた中折れジャッキ33や推進ジャッキ34は上記掘削機主体部27と共に次のトンネル掘削工事に使用する。同様に、エレクタ装置やリングガータ３も新たなトンネル掘削機のスキンプレート１の後部内に組立てて再使用する。なお、本発明のリングガータは、回収、撤去を行わないトンネル掘削機においても適用することができるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【００３３】
【図１】トンネル掘削機の縦断側面図。
【図２】その一部切欠背面図。
【図３】リングガータの正面図。
【図４】旋回リングの簡略背面図。
【図５】その連結部分の正面図。
【符号の説明】
【００３４】
１ スキンプレート
２ 中折れ部
３ リングガータ
3A〜3C 分割リングガータ片
3a、3b 前後円環板
3b' 突出端部
５ ストッパ部材
６ フランジ
７ ボルト・ナット
８ 旋回リング
【特許請求の範囲】
【請求項１】
トンネル掘削機のスキンプレートの内周面に装着され、且つ、周方向に所定間隔毎に推進ジャッキを挿通状態で支持する支持孔を穿設しているリングガータであって、数片のリングガータ片に分割されてあり、隣接する分割リングガータ片の分割面を着脱自在に連結してなることを特徴とするトンネル掘削機におけるリングガータ。
【請求項２】
リングガータは前後に一定の小間隔を存して対設した前後円環板の内端面間と外端面間とをそれぞれ内外リング部材によって一体に連結してなる断面中空矩形状の周枠形状に形成されていると共に、後側円環板の外周端部を外側リング部材から外径方向に突出させて突出端部に形成してあり、その外側リング部材の外周面を、スキンプレートの前後胴部間に亘って設けられその後端部外周面が後胴部の前端内周面に固着されている短筒状の中折れ部に離脱可能に内嵌させ、且つ上記突出端部をこの中折れ部の後端面と後胴部の内周面に固着しているストッパ部材との間に抜き取り可能に挿入、挟持させていることを特徴とする請求項１に記載のトンネル掘削機におけるリングガータ。
【請求項３】
分割リングガータ片はその両端に前後方向に向けてフランジを突設してあり、隣接する分割リングガータ片のフランジ同士を接合状態にしてボルト・ナットにより連結していることを特徴とする請求項１に記載のトンネル掘削機におけるリングガータ。
【請求項１】
トンネル掘削機のスキンプレートの内周面に装着され、且つ、周方向に所定間隔毎に推進ジャッキを挿通状態で支持する支持孔を穿設しているリングガータであって、数片のリングガータ片に分割されてあり、隣接する分割リングガータ片の分割面を着脱自在に連結してなることを特徴とするトンネル掘削機におけるリングガータ。
【請求項２】
リングガータは前後に一定の小間隔を存して対設した前後円環板の内端面間と外端面間とをそれぞれ内外リング部材によって一体に連結してなる断面中空矩形状の周枠形状に形成されていると共に、後側円環板の外周端部を外側リング部材から外径方向に突出させて突出端部に形成してあり、その外側リング部材の外周面を、スキンプレートの前後胴部間に亘って設けられその後端部外周面が後胴部の前端内周面に固着されている短筒状の中折れ部に離脱可能に内嵌させ、且つ上記突出端部をこの中折れ部の後端面と後胴部の内周面に固着しているストッパ部材との間に抜き取り可能に挿入、挟持させていることを特徴とする請求項１に記載のトンネル掘削機におけるリングガータ。
【請求項３】
分割リングガータ片はその両端に前後方向に向けてフランジを突設してあり、隣接する分割リングガータ片のフランジ同士を接合状態にしてボルト・ナットにより連結していることを特徴とする請求項１に記載のトンネル掘削機におけるリングガータ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００６−２８９５１（Ｐ２００６−２８９５１Ａ）
【公開日】平成１８年２月２日（２００６．２．２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００４−２１１３６６（Ｐ２００４−２１１３６６）
【出願日】平成１６年７月２０日（２００４．７．２０）
【出願人】（０００１４０２９２）株式会社奥村組 (469)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年２月２日（２００６．２．２）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年７月２０日（２００４．７．２０）
【出願人】（０００１４０２９２）株式会社奥村組 (469)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]