説明

トンネル覆工用コンクリート製セグメント

【課題】 製造や輸送、トンネル内への搬入作業や相互の連結作業において取り扱いやすく、また、トンネルの掘削直径を小さくでき、掘削残土の低減、工期短縮、建設コストの低減を可能とするコンクリート製セグメントを提供する。
【解決手段】 トンネル覆工用コンクリート製セグメントに人工軽量骨材を含有させる。上記人工軽量骨材は粗骨材として、又は粗骨材及び細骨材として含有させることができ、その含有量はコンクリート1mあたり350〜750Lであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド工法等によりトンネルを形成する際に使用され、多数を連結することによりトンネル壁体を構築するトンネル覆工用コンクリート製セグメントに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のトンネル工法は、シールドマシンによって地盤を掘削しながら、その後方で、円弧板状のセグメントを順次据え付けて円筒状のトンネル壁体を構築していく、いわゆるシールド工法が一般的になってきている。ここで使用されるセグメントは、一般に鋼製セグメント(特許文献1参照)とコンクリート製セグメント(特許文献2参照)とに大別される。
【特許文献1】特開2001−173392号公報
【特許文献2】特開平10−68295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記鋼製セグメントは、引張力に強いという特徴があるが、圧縮力には弱く、曲げ応力が発生した場合には、圧縮部分において座屈による変形や耐力の低下が生じる可能性がある。そのため、セグメントに大きな土圧が作用した場合には変形や耐力低下が生じやすく、永久的な構造物としてはその耐荷能力において信頼性に欠けるという問題点がある。
【0004】
一方、コンクリート製セグメントは、圧縮部分における座屈による変形や耐力の低下等が生じるおそれはないが、強度を確保するために内部に鉄筋を多数配筋する必要があり、また、大断面シールドトンネルの覆工に用いられるセグメントの厚さは通常70cm程度と相当に厚くなる。そのため、セグメントがかなりの重量となり、セグメントの輸送、搬入、連結等の作業において取り扱いにくく作業性が悪いという問題点がある。
【0005】
さらに、コンクリート製セグメントはセグメントの厚さが厚いため、所定のトンネル内径を確保するためにシールドトンネルの掘削直径を大きくしなければならず、工期の長期化、大量の掘削残土の発生等の問題点がある。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、製造や輸送、トンネル内への搬入作業や相互の連結作業において取り扱いやすく、トンネルの掘削直径を小さくでき、したがって掘削残土の低減、工期の短縮、建設コストの低減を可能とするコンクリート製セグメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、人工軽量骨材が含まれることを特徴とするトンネル覆工用コンクリート製セグメントを提供する(請求項1)。
【0008】
上記発明(請求項1)によれば、人工軽量骨材を含むことによって、コンクリート製セグメントの軽量化を図ることができ、トンネル内への搬入作業や相互の連結作業において取り扱いやすいコンクリート製セグメントを得ることができる。また、セグメント自体の軽量化を図ることでセグメントの自重による曲げモーメントを従来のコンクリート製セグメントより低減することができるとともに、従来のコンクリート製セグメントと同等の圧縮強度を有し、かつ静弾性係数の小さいセグメントを得ることができるため、セグメントを薄型に設計しても、トンネル覆工に用いた場合に地盤反力に耐え得る強度を確保することができる。さらにセグメントを薄型に設計し得るため、トンネルの掘削直径を小さくでき、掘削残土の低減、工期の短縮、建設コストの低減が可能となる。さらにまた、セグメントを薄型にすることで、よりセグメントの軽量化を図ることができる。
【0009】
上記発明(請求項1)においては、前記人工軽量骨材が粗骨材として含まれることが好ましい(請求項2)。ただし、さらに人工軽量骨材以外の骨材が粗骨材として含まれていてもよい。
【0010】
上記発明(請求項2)によれば、粗骨材として人工軽量骨材を含むことにより、静弾性係数が小さく、かつ従来のコンクリート製セグメントと同等の圧縮強度を有するコンクリート製セグメントを得ることができる。
【0011】
また、上記発明(請求項1)においては、前記人工軽量骨材が粗骨材及び細骨材として含まれることが好ましい(請求項3)。ただし、さらに人工軽量骨材以外の骨材が粗骨材及び/又は細骨材として含まれていてもよい。
【0012】
上記発明(請求項3)によれば、粗骨材及び細骨材として人工軽量骨材を含むことにより、従来のコンクリート製セグメントと同等の圧縮強度を維持しつつ、さらに静弾性係数の小さいコンクリート製セグメントを得ることができる。
【0013】
上記発明(請求項1〜3)においては、前記人工軽量骨材の含有量が、コンクリート1mあたり350〜750Lであることが好ましい(請求項4)。このように、人工軽量骨材の含有量をコンクリート1mあたり350〜750Lとすることで、静弾性係数の小さいセグメントを得ることができる。
【0014】
上記発明(請求項1〜4)においては、前記人工軽量骨材を含有する原料を、水結合材比30〜40%の条件下で混練し、硬化させてなることが好ましい(請求項5)。このように、水結合材比30〜40%の条件下で混練し、硬化させることにより、圧縮強度の高いセグメントを得ることができる。
ここで、本明細書において「水結合材比」とは、混練したフレッシュコンクリートに含まれる水と結合材との質量比のことをいう。また、「結合材」とは、水と反応しコンクリ−トの強度発現に寄与する粉体のことをいい、例えば、セメントの他、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム等の混和材が挙げられる。
【0015】
また、本発明のトンネル覆工用コンクリートセグメントは、静弾性係数が15〜24kN/mmであることを特徴とする(請求項6)。このように、セグメントの静弾性係数が15〜24kN/mmであることにより、トンネル覆工に用いた場合に、地盤反力に対してセグメントが変形し、この変形を元に戻そうとする力と地盤反力とが釣り合い、セグメントにかかる力を小さくすることができるため、セグメントを薄型に設計することができる。したがって、トンネル掘削直径を小さくすることができ、掘削残土の低減、工期の短縮化を図ることができる。
【0016】
さらに、本発明は、少なくともセメントと人工軽量骨材と水とを含有する原料を、水結合材比30〜40%の条件下で混練し、硬化させることを特徴とするトンネル覆工用コンクリート製セグメントの製造方法を提供する(請求項7)。
【発明の効果】
【0017】
本発明のトンネル覆工用コンクリート製セグメントによれば、セグメントが軽量であるため、セグメントの現場への運搬等の作業における作業性が著しく向上し、また、本発明のトンネル覆工用コンクリート製セグメントは十分な圧縮強度を有し、かつ静弾性係数が小さいことにより、セグメントを薄型に設計することが可能であるため、従来よりもトンネルの掘削直径を小さくすることができ、掘削残土を少なくすることができる。したがって、工期の長期化を防止し、建設コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係るトンネル覆工用コンクリート製セグメントは、少なくともセメントと人工軽量骨材とを含有する原料を使用して製造される。
【0019】
上記セメントの種類としては、特に限定されるものではなく、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメント等を使用することができる。
【0020】
上記人工軽量骨材は、コンクリート製セグメントに粗骨材として含まれてもよいし、粗骨材及び細骨材として含まれてもよい。人工軽量骨材は、骨材の内部が空隙構造となっており、荷重がかかると空隙部が変形しやすいため、人工軽量骨材が含まれるコンクリート製セグメントは、従来のコンクリート製セグメントに比して静弾性係数が小さくなる。したがって、撓みやすく(変形しやすく)復元力の大きいコンクリート製セグメントを得ることができる。人工軽量骨材を粗骨材として含有することにより、従来のコンクリート製セグメントと同等の圧縮強度を維持でき、かつ静弾性係数の小さいコンクリート製セグメントを得ることができ、また、人工軽量骨材を粗骨材及び細骨材として含有することにより、さらに静弾性係数の小さいコンクリート製セグメントを得ることができる。
【0021】
なお、上記粗骨材として、人工軽量骨材以外の骨材、例えば、各種砕石等がさらに含有されていてもよいし、上記細骨材として、人工軽量骨材以外の骨材、例えば、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂又はこれらの混合物等がさらに含有されていてもよい。このように人工軽量骨材以外の骨材を含有する場合には、コンクリート製セグメントの静弾性係数は大きくなるが、圧縮強度をさらに高くすることができる。
【0022】
人工軽量骨材としては、構造用軽量骨材として用いられる膨張頁岩を主成分とする太平洋アサノライト(商品名,太平洋マテリアル社製)や、メサライト(商品名,日本メサライト工業社製)等を用いることが好ましい。
【0023】
上記人工軽量骨材を粗骨材として含有する場合には、その含有量は、コンクリート1mあたり350〜450Lであることが好ましい。粗骨材としての人工軽量骨材の含有量が350L/m未満であると、所望の静弾性係数を得ることができないおそれがあり、450L/mを超えると、セグメントを構成するコンクリートのワーカビリティーが悪くなるおそれがある。
【0024】
また、人工軽量骨材を粗骨材及び細骨材として含有する場合には、粗骨材としての人工軽量骨材の含有量と細骨材としての人工軽量骨材の含有量との合計量は、コンクリート1mあたり350〜750Lであることが好ましい。上記合計量が350L/m未満であると、所望の静弾性係数を得ることができないおそれがあり、750L/mを超えると、セグメントを構成するコンクリートのワーカビリティーが悪くなるおそれがある。
【0025】
なお、本実施形態に係るコンクリート製セグメントは、上記セメント及び人工軽量骨材の他に、必要に応じて高性能減水剤、高性能AE減水剤、AE剤、減水剤、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム等の各種混和材料を含有することができる。
【0026】
本実施形態に係るトンネル覆工用コンクリート製セグメントを製造するには、まず、少なくともセメントと人工軽量骨材とを含む原料に水と所望により混和材料とを混入し、混練する。混練する際の水結合材比は、30〜40%であることが好ましく、特に30〜37.5%であることが好ましい。水結合材比が30%未満であると、静弾性係数の小さいコンクリート製セグメントを得るのが困難となるおそれがあり、水結合材比が40%を超えると、所望の強度を有するコンクリート製セグメントを得るのが困難となるおそれがある。次に、当該混練物を型枠に流し込み、常法により養生することで硬化させることができる。
【0027】
本実施形態に係るトンネル覆工用コンクリート製セグメントは、その静弾性係数が15〜24kN/mmであることが好ましく、特に18〜20kN/mmであることが好ましい。静弾性係数が15kN/mm未満であると、コンクリート製セグメントとしての強度が十分に得られなくなるおそれがあり、地盤反力により耐力が低下するおそれがある。また、静弾性係数が24kN/mmを超えると、コンクリート製セグメントが撓みにくく(変形しにくく)なるため、コンクリート製セグメントが地盤を押す力が弱くなるおそれがある。この結果、セグメントに働く力が大きくなり、地盤反力に耐え得るためにセグメントを厚くして強度を高くする必要があるため、工期の短縮化、掘削残土量の低減等を図ることができないおそれがある。
【0028】
また、本実施形態に係るコンクリート製セグメントは、主にシールドトンネルの一次覆工に用いられるものであるため、その圧縮強度は、「トンネル標準示方書(シールド工法編)・同解説,土木学会トンネル工学委員会編」に規定されている42N/mm以上であることが好ましく、特に48N/mmであることが好ましい。
【0029】
本実施形態に係るトンネル覆工用コンクリート製セグメントを使用できるトンネルの形状は特に限定されるものではないが、断面非円形(例えば、矩形、略楕円形、馬蹄形等)のトンネルに使用するのが好ましい。断面非円形のトンネルの方が、断面真円形のトンネルよりも曲げモーメントが発生しやすく、本発明の効果をより顕著に発揮し得る。
【0030】
次に、本実施形態に係るトンネル覆工用コンクリート製セグメントの作用について、図面に基づいて説明する。
【0031】
図1及び図2は、コンクリート製セグメントについて、非線形2重3リング解析プログラム(日本シビックコンサルタント社製,製品名:SHIL2)を使用して、シールドトンネルの断面力の解析をした解析結果を示す図であり、図1は、本実施形態に係るコンクリート製セグメント(静弾性係数:20kN/mm,セグメントの厚さ:55.0cm,セグメントの単位容積質量:2.1t/m)についての断面力の解析結果を、図2は、従来のコンクリート製セグメント(静弾性係数:39kN/mm,セグメントの厚さ:70.0cm,セグメントの単位容積質量:2.6t/m)についての断面力の解析結果を示す図である。また、図3は、本実施形態に係るコンクリート製セグメントの作用を示した概念図である。
【0032】
なお、図1及び図2において、斜線部分は、コンクリート製セグメントに働く力の大きさを表しており、セグメントの外側の斜線はシールドトンネルの外向きに働く力を、セグメントの内側の斜線はシールドトンネルの内向きに働く力を示す。また、図中黒丸(●)はシールドトンネルの内向きに働く力の最大値を、白丸(○)はシールドトンネルの外向きに働く力の最大値を示す。さらに、図3において、実線は変形前のコンクリート製セグメントを、破線は変形後のコンクリート製セグメントを示す。
【0033】
シールドトンネルにおいて鉛直方向に働く力は、鉛直方向にかかる土圧とセグメントの自重により鉛直方向に働く力との合力となる。本実施形態に係るコンクリート製セグメントを用いたシールドトンネルにおいては、鉛直方向にかかる土圧は従来のコンクリート製セグメントを用いたシールドトンネルと同等であるが、セグメントの自重が従来のセグメントに比して軽量であるため、上記合力は、セグメントの重量が軽い分だけ、従来のセグメントに比して小さくなる(図1及び図2参照)。
【0034】
本実施形態に係るコンクリート製セグメントは静弾性係数が小さいため、上記のように、鉛直方向の土圧及びセグメントの自重によりセグメントの上部に鉛直方向の力が加わると、図3に示すように、セグメントの上部はトンネル内方向へ大きく撓む(変形する)。
【0035】
この結果、トンネル水平方向においては、トンネル側面部のセグメントがトンネルの外方へ撓み(変形し)、当該セグメントに水平方向へ地盤を押す力が働く。このとき反作用として、水平方向の地盤に撓んだ(変形した)セグメントを元に戻そうとする反力が地盤からセグメントに働き、セグメントが地盤を押す力と撓んだ(変形した)セグメントを元に戻そうとする地盤の反力とのバランスが取れた点までセグメントは撓む(変形する)ことになる。
【0036】
この地盤の反力(地盤反力)はセグメントの撓み量(変形量)に比例するため、セグメントの撓み量(変形量)が大きいと地盤の反力も大きくなる。本実施形態に係るコンクリート製セグメントは、撓み量(変形量)が大きいので、この地盤反力も大きくなる。この地盤反力により、トンネル水平方向においては、セグメントがトンネル外方向へ地盤を押す力が相殺され、セグメントに働くトンネル水平方向の力は小さくなる。
【0037】
また、水平方向の地盤反力の作用により、地盤からトンネル内方向への力がトンネル側面のセグメントにかかるため、トンネル上面のセグメント(図中上のセグメント)の撓み(変形)を元に戻そうとする力(図中上の矢印と反対の方向の力)が働き、この力が鉛直方向の土圧及び自重による鉛直方向下方へ働く力(図中上の矢印方向の力)と相殺され、セグメントに働く鉛直方向の力も小さくなる。
【0038】
したがって、本実施形態に係るコンクリート製セグメントによれば、トンネル鉛直方向及び水平方向ともにセグメントにかかる力が減少し、セグメントに要求される圧縮強度は低いもので足りる。この結果、本実施形態に係るコンクリート製セグメントは、セグメントの厚さを従来のコンクリート製セグメントに比して、約15cm程度薄くすることができ、さらにセグメントの軽量化を図ることができる。これにより、セグメントの輸送、搬入、連結等の作業における作業性を向上することができ、また、トンネルの掘削直径を小さくすることができるため、掘削残土の低減、工期の短縮、建設コストの低減を図ることができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0040】
〔実施例1〜19,比較例1〕
(1)試料の調製
普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製,密度;3.16g/cm)、人工軽量骨材(太平洋マテリアル社製,商品名:太平洋アサノライト・粗骨材,絶乾密度;1.29g/cm,24時間吸水率;9.32%,出荷時含水率;28.0%)、人工軽量骨材(太平洋マテリアル社製,商品名:太平洋アサノライト・細骨材,絶乾密度;1.69g/cm,24時間吸水率;9.53%,出荷時含水率;12.8%)及び砕砂(秩父郡皆野町産,表乾密度;2.63g/cm)を、表1に示す配合割合にて、55Lパン型強制練りミキサに投入し、30秒間空練りをした。その後、水を表1に示す配合割合にて投入し、120秒間混練した。なお、比較例については、上記原料中、人工軽量骨材の代わりに、粗骨材として砕石(茨城県岩瀬産,表乾密度;2.64g/cm)を、細骨材として陸砂(静岡県小笠産,表乾密度;2.60g/cm)を使用して試料の調製を行った。
【0041】
混練したフレッシュコンクリートについて、下記の方法で蒸気養生をした。フレッシュコンクリートを型に流し込み、20℃の温度条件下で3時間前置きした後、15℃/hrで60℃まで昇温した。その後、60℃のまま3時間保持し、自然に放冷して脱型した。脱型後、20℃で材齢14日になるまで水中養生をし、28日まで気中養生をした。
【0042】
(2)圧縮強度試験・静弾性係数測定試験
各試料(実施例1〜19,比較例1)について、圧縮強度及び静弾性係数についての試験を行った。圧縮強度試験については、JIS−A1108に準拠して行い、静弾性係数測定試験については、JIS−A1149に準拠して行った。
【0043】
実施例1〜19及び比較例1の試料における原料の配合割合、水結合材比、人工軽量骨材容積、単位容積質量、及び上記圧縮強度試験・静弾性係数測定試験の結果について、表1に示す。なお、表1中、細骨材・軽量及び粗骨材・軽量の単位質量は、絶乾状態におけるそれぞれの骨材の単位質量を表す。
【0044】
【表1】

【0045】
表1に示すように、本実施例に係るコンクリート製セグメントは、比較例に係るコンクリート製セグメントに比してコンクリート1mあたり300〜700kg程度の軽量化が図れた。また、本実施例に係るコンクリート製セグメントは、比較例に係る従来の普通コンクリート製セグメントと同等の圧縮強度を示した。さらに、本実施例に係るコンクリート製セグメントは、比較例に係る従来の普通コンクリート製セグメントに比して静弾性係数が小さかった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のトンネル覆工用コンクリート製セグメントは、道路用又は鉄道用のシールドトンネル等の大断面シールドトンネルの覆工に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態に係るコンクリート製セグメントの断面力を示した概念図である。
【図2】従来のコンクリート製セグメントの断面力を示した概念図である。
【図3】本実施形態に係るコンクリート製セグメントの作用を示した概念図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工軽量骨材が含まれることを特徴とするトンネル覆工用コンクリート製セグメント。
【請求項2】
前記人工軽量骨材が粗骨材として含まれることを特徴とする請求項1に記載のトンネル覆工用コンクリート製セグメント。
【請求項3】
前記人工軽量骨材が粗骨材及び細骨材として含まれることを特徴とする請求項1に記載のトンネル覆工用コンクリート製セグメント。
【請求項4】
前記人工軽量骨材の含有量が、コンクリート1mあたり350〜750Lであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトンネル覆工用コンクリート製セグメント。
【請求項5】
前記人工軽量骨材を含有する原料を、水結合材比30〜40%の条件下で混練し、硬化させてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のトンネル覆工用コンクリート製セグメント。
【請求項6】
静弾性係数が15〜24kN/mmであることを特徴とするトンネル覆工用コンクリート製セグメント。
【請求項7】
少なくともセメントと人工軽量骨材と水とを含有する原料を、水結合材比30〜40%の条件下で混練し、硬化させることを特徴とするトンネル覆工用コンクリート製セグメントの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−52526(P2006−52526A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232615(P2004−232615)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【出願人】(591197699)日本高圧コンクリート株式会社 (20)
【Fターム(参考)】