説明

トンネル防災設備

【課題】 トンネル防災設備において、複数台の中継盤について、中継盤のソフトウェア、データベースを、変更、修正するためにダウンロードする場合、または確認のためのアップロードを行う場合、防災受信盤の設置場所と中継盤の設置場所とが離れていても、その作業に長時間を要することがないようにする。

【解決手段】 防災受信盤は、着脱される記憶媒体からソフトウェアを読み込む読込手段と、上記読込手段が読み込んだソフトウェアを、指定された中継盤または全ての中継盤に、一括して送信するダウンロード手段であって、ソフトウェアの送出先に、監視制御動作の停止信号を出力した後に、上記ソフトウェアを送信するダウンロード手段とを有し、中継盤は、上記防災受信盤からソフトウェアを受信した後に、そのソフトウェアに基づいて、監視制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル防災設備に関する。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来のトンネル防災設備300を示すブロック図である。
【0003】
従来のトンネル防災設備300において、中継盤C1、C2、……、Cnのソフトウェア、データベースを、変更、修正する必要が生じると、中継盤C1、C2、……、Cnが設置されている現地へ、作業者が出向き、新たなソフトウェア、データベースをダウンロードする。
【0004】
また、中継盤のソフトウェアバージョン、データベース内容を確認する場合、上記と同様に、現地へ作業員が出向く必要がある。
【0005】
従来例として、防災受信盤の主制御部に、監視処理部、障害調査部を設けているものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。しかし、この従来例には、ダウンロードやアップロード処理部が設けられてはいない。
【特許文献1】特開2002−246962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トンネル防災設備において、複数台、設置されている中継盤C1、C2、……、Cnのうちで、変更、修正が必要な中継盤が1箇所であれば問題にならないが、トンネル防災設備における複数台の中継盤C1、C2、……、Cnについて、中継盤のソフトウェア、データベースを、変更、修正するためにダウンロードする場合、または中継盤のソフトウェアバージョンデータベース内容を確認するためにアップロードを行う場合、防災受信盤R3の設置場所と中継盤C1、C2、……、Cnのそれぞれの設置場所とが離れているので、その作業に長時間を要するという問題がある。
【0007】
また、一般に、中継盤のソフトウェアやデータベースのデータ量が、膨大であるので、従来の防災受信盤R3と中継盤C1、C2、……、Cnとの間の伝送速度では、数時間を要するという問題がある。
【0008】
本発明は、トンネル防災設備において、複数台の中継盤について、中継盤のソフトウェア、データベースを、変更、修正するためにダウンロードする場合、または中継盤のソフトウェアバージョンデータベース内容を確認するためにアップロードを行う場合、防災受信盤の設置場所と中継盤の設置場所とが離れていても、その作業に長時間を要することがないトンネル防災設備を提供することを目的とするものである。
【0009】
また、本発明は、中継盤のソフトウェアやデータベースのデータ量が、膨大であっても、防災受信盤と中継盤間との伝送に、数時間を要することがないトンネル防災設備を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、トンネル内の各部に配置されている複数の端末機器と、上記各端末機器を監視制御する複数の中継盤と、上記各中継盤を監視制御する防災受信盤とを具備するトンネル防災設備において、上記防災受信盤は、着脱される記憶媒体からソフトウェアを読み込む読込手段と、上記読込手段が読み込んだソフトウェアを、指定された上記中継盤または全ての上記中継盤に、一括して送信するダウンロード手段であって、ソフトウェアの送出先に、監視制御動作の停止信号を出力した後に、上記ソフトウェアを送信するダウンロード手段とを有し、上記中継盤は、上記防災受信盤からソフトウェアを受信した後に、そのソフトウェアに基づいて、監視制御を実行する中継盤であることを特徴とするトンネル防災設備である。
【0011】
また、本発明は、トンネル内の各部に配置されている複数の端末機器と、上記各端末機器を監視制御する複数の中継盤と、上記各中継盤を監視制御する防災受信盤とを具備するトンネル防災設備において、上記防災受信盤は、実行するソフトウェアのバージョンを指定されている中継盤または全ての中継盤から受信するアップロード手段と、上記アップロード手段によって収集されたバージョン情報を表示または出力する表示・出力手段とを有することを特徴とするトンネル防災設備である。
【0012】
また、本発明は、中継盤へのプログラムやデータベースを圧縮し、防災受信盤から各中継盤に、一括してダウンロードするトンネル防災設備である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、トンネル防災設備において、防災受信盤が、中継盤のソフトウェアを、中継盤に、一括してダウンロードするので、複数台の中継盤について、中継盤のソフトウェアを、変更、修正するためにダウンロードする場合、防災受信盤の設置場所と中継盤の設置場所とが離れていても、その作業に長時間を要することがないという効果を奏する。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、トンネル防災設備において、防災受信盤が、中継盤のソフトウェアを、中継盤に、一括してアップロードするので、複数台の中継盤について、中継盤のソフトウェアを、確認のためにアップロードする場合、防災受信盤の設置場所と中継盤の設置場所とが離れていても、その作業に長時間を要することがないという効果を奏する。
【0015】
また、本発明によれば、トンネル防災設備において、防災受信盤が、中継盤へのソフトウェアを圧縮してからダウンロードを行うので、中継盤のソフトウェアのデータ量が、膨大であっても、防災受信盤と中継盤間との伝送に、数時間を要することがないという効果を奏する。
【0016】
なお、本発明によるソフトウェアには、各中継盤が実行する監視制御に関するプログラムと監視制御する端末機器のデータベースとを含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例である。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施例1であるトンネル防災設備100を示し、特に、防災受信盤R1の構成を示す図である。
【0019】
トンネル防災設備100は、システム全体を制御する防災受信盤R1と、図示しないトンネル内に設置される端末機器と上記防災受信盤R1の信号を中継する複数の中継盤C1、C2、……、Cnとを有し、防災受信盤R1と、複数の中継盤C1、C2、……、Cnとが、通信配線50で接続されている。後述の中継盤通信部20を介して、防災受信盤R1と中継盤C1、C2、……、Cnとが、通信を行う。
【0020】
防災受信盤R1は、主制御部10と、中継盤通信部20と、読込・書込装置30と、表示・操作部40とを有する。
【0021】
主制御部10は、アップロード処理部11と、ダウンロード処理部12と、圧縮処理部13とを有する。
【0022】
ここで、ソフトウェアは、各中継盤が実行する監視制御に関するプログラムと監視制御する端末機器のデータベースとの総称である。
【0023】
次に、実施例1の動作について説明する。
【0024】
図2は、実施例1におけるソフトウェアダウンロード・アップロードの動作を示すフローチャートである。
【0025】
まず、防災受信盤R1は、表示・操作部40への操作入力があると、ダウンロードであるか、アップロードであるかを判断し(S1)、ダウンロードであれば、主制御部10が読込・書込装置30に装着されている図示しない記憶媒体から、修正するソフトウェアを読み込む(S2)。このソフトウェアの読み込みを、この時点で実行しなくてもよく、防災受信盤R1の図示しない記憶部に、別途保存するようにしてもよい。
【0026】
続いて、ダウンロード処理部12が、元からあるソフトウェアと読み込んだソフトウェアとを対比し、全てのソフトウェアの中で、特にデータベースにおいて変更・修正された箇所を判定し、この判定結果に基づいて、ダウンロードするソフトウェアの箇所とダウンロード対象の中継盤とを決定する(S3)。圧縮処理部13で決定されたソフトウェアの箇所に圧縮をかける(S4)。
【0027】
続いて、主制御部10がダウンロード対象の全中継盤C1、C2、……、Cnに、システムリセットの命令を送り(S5)、受信した中継盤C1、C2、……、Cnは、システムリセットの処理を開始する(S6)。そして、システムリセットが完了した中継盤C1、C2、……、Cnは、システムリセットの完了を防災受信盤R1へ通知する(S7)。
【0028】
主制御部10は、ダウンロード対象の中継盤C1、C2、……、Cnからシステムリセット完了の通知があったか否かを確認し(S8)、全ての中継盤C1、C2、……、Cnからシステムリセット完了の通知があれば、ダウンロードを開始する(S9)。続いて、ダウンロードが完了した中継盤C1、C2、……、Cnは、防災受信盤R1へダウンロードの完了を通知する(S10)。主制御部10は、ダウンロード対象の中継盤C1、C2、……、Cnからダウンロード完了の通知があったか否かを確認し(S11)、全ての中継盤C1、C2、……、Cnからダウンロード完了の通知があれば、表示・操作部40への完了した旨の表示を行い(S12)、終了し、通常の監視動作に戻る。
【0029】
ダウンロード終了後に、中継盤C1、C2、……、Cnは、ダウンロードされた内容に基づいて、監視制御を実行する。
【0030】
また、表示・操作部40への操作入力がアップロードであり(S1)、表示・操作部40への操作入力による中継盤の選択がなければ、アップロード処理部11が実行するソフトウェアのバージョンを、指定されるアップロード対象の中継盤C1、C2、……、Cnを、全ての中継盤に決定する(S21)。主制御部10が全てのアップロード対象の中継盤C1、C2、……、Cnにシステムリセットの命令を送り(S22)、受信した中継盤C1、C2、……、Cnは、システムリセットの処理を開始する(S23)。
【0031】
そして、システムリセットが完了した中継盤C1、C2、……、Cnは、主制御部10へシステムリセットが完了したことを、通知する(S24)。主制御部10は、アップロード対象の中継盤C1、C2、……、Cnからシステムリセットの通知があったか否かを確認し(S25)、全ての中継盤C1、C2、……、Cnからの通知があれば、全てのアップロード対象の中継盤C1、C2、……、Cnへアップロードを要求する(S26)。続いて、アップロードの要求を受けた中継盤C1、C2、……、Cnは、バージョン情報等を返送するアップロード処理を行い、主制御部10は、アップロード対象の中継盤C1、C2、……、Cnから、アップロードの応答があったか否かを確認し(S27)、全ての中継盤C1、C2、……、Cnからアップロードの応答があれば、そのデータを、図示しない記憶部に保存するとともに、表示・操作部40へ完了の旨を表示し(S28)、終了し、通常の監視動作に戻る。
【0032】
アップロード終了後に、中継盤C1、C2、……、Cnのソフトウェア内容やバージョン情報が、表示・操作部40に表示され、容易かつ短時間の作業で、確認することができる。
【0033】
上記実施例によれば、現地に設置されている中継盤C1、C2、……、Cnへ作業員が出向く必要がなく、中継盤C1、C2、……、Cnへの移動時間を短縮することができ、また、これによって、相対的な作業量が減り、中継盤C1、C2、……、Cnのソフトウェアの修正、変更が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例1であるトンネル防災設備100を示し、特に、防災受信盤R1の構成を示す図である。
【図2】実施例1におけるソフトウェアダウンロード・アップロードの動作を示すフローチャートである。
【図3】従来のトンネル防災設備300を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0035】
100…トンネル防災設備、
R1…防災受信盤、
10…主制御部、
11…アップロード処理部、
12…ダウンロード処理部、
13…圧縮処理部、
20…中継盤通信部、
30…読込・書込装置、
40…表示・操作部、
50…通信配線、
C1〜Cn…中継盤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内の各部に配置されている複数の端末機器と、上記各端末機器を監視制御する複数の中継盤と、上記各中継盤を監視制御する防災受信盤とを具備するトンネル防災設備において、
上記防災受信盤は、
着脱される記憶媒体からソフトウェアを読み込む読込手段と;
上記読込手段が読み込んだソフトウェアを、指定された上記中継盤または全ての上記中継盤に、一括して送信するダウンロード手段であって、ソフトウェアの送出先に、監視制御動作の停止信号を出力した後に、上記ソフトウェアを送信するダウンロード手段と;
を有し、
上記中継盤は、上記防災受信盤からソフトウェアを受信した後に、そのソフトウェアに基づいて、監視制御を実行する中継盤であることを特徴とするトンネル防災設備。
【請求項2】
トンネル内の各部に配置されている複数の端末機器と、上記各端末機器を監視制御する複数の中継盤と、上記各中継盤を監視制御する防災受信盤とを具備するトンネル防災設備において、
上記防災受信盤は、
実行するソフトウェアのバージョンを指定されている中継盤または全ての中継盤から受信するアップロード手段と;
上記アップロード手段によって収集されたバージョン情報を表示または出力する表示・出力手段と;
を有することを特徴とするトンネル防災設備。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
上記ソフトウェアは、各中継盤が実行する監視制御に関するプログラムと、監視制御する端末機器のデータベースとによって構成されているソフトウェアであることを特徴とするトンネル防災設備。
【請求項4】
請求項1または請求項3において、
上記ダウンロード手段は、上記ソフトウェアを圧縮する手段を有していることを特徴とするトンネル防災設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−146502(P2006−146502A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334780(P2004−334780)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】