説明

ドアミラーベース構造

【課題】 ミラーベースの見栄えを向上させることができると共に、ウエザーストリップへの洗車用圧力噴射水の直撃を緩和することで、ウエザーストリップ補強のための処理が不要でコストダウンが可能になるドアミラーベース構造の提供。
【解決手段】 ドア1の窓ガラス部11における車両前端位置のドアミラー取付部12にドアミラー2のミラーベース21が固定され、該ミラーベース21の車両前端縁部21aと対向する車体側に所定の隙間W1を形成して連続するミラーベース21と略同色の車体側装飾ベース31が備えられたドアミラーベース構造であって、所定の隙間W1を形成して対向するミラーベース21の前端縁部21aから車体側装飾ベース31の後端縁部31aへ向かって突出するミラーベース21と略同色のフランジ部22が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両におけるドアミラーベース構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のドアミラーベース構造としては、例えば、ドアの窓ガラス部における車両前端位置のドアミラー取付部にドアミラーのミラーベースが固定され、ミラーベースの裏面にドアミラー取付部との間の隙間をシールするシールパッキンが設定されていて、このシールパッキンにはミラーベースの外周縁の外側まで回り込んだ構造としたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2004−98790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のようなシールパッキン構造では、以下に述べるような問題があった。
【0004】
即ち、ミラーベースが固定されるドアの窓ガラス部における車両先端縁部と車体との間に形成される隙間は、ドアの開閉の際に競り合わないように十分な幅を確保しておく必要があるため、この隙間から奧の車体パネルの汚れが見え、見栄えが悪くなると共に、該パッキン自体が外部から見えて見栄えが悪くなるという問題があった。
【0005】
また、ドアの車両前端縁部で、ミラーベースと車体側装飾ベースとの間の隙間の奧には、車内への水の進入を阻止するウエザーストリップが設けられているが、洗車の際の圧力噴射水が隙間からこのウエザーストリップに直撃することで弾性変形し、車内に水が進入する虞があるため、ウエザーストリップの中空部内に補強用のスペーサフランジを追加する等の処理を施す必要があり、このため、コストアップになるという問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような従来の問題点に着目して成されたもので、ミラーベースの見栄えを向上させることができると共に、ウエザーストリップへの洗車用圧力噴射水の直撃を緩和することで、ウエザーストリップ補強のための処理が不要でコストダウンが可能になるドアミラーベース構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本願請求項1に記載のドアミラーベース構造は、ドアの窓ガラス部の車両前端位置にミラーベースが固定され、該ミラーベースの車両前端縁部と対向する車体側に所定の隙間を形成して車体側装飾ベースが備えられたドアミラーベース構造であって、前記所定の隙間を形成して対向する前記ミラーベースの車両前端縁部と前記車体側装飾ベースの車両後端縁部の少なくともいずれか一方から他方へ向かって突出するフランジ部が形成されていることを特徴とする手段とした。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載のドアミラーベース構造では、上述のように、所定の隙間を形成して対向するミラーベースの車両前端縁部と車体側装飾ベースの車両後端縁部の少なくともいずれか一方から他方へ向かって突出するフランジ部が形成されている構成とすることにより、ミラーベースの車両前端縁部と車体側装飾ベースの車両後端縁部との間の隙間がフランジ部で狭められた状態となって、隙間奧の車体パネルが見えにくくなり、見栄えを向上させることができるようになる。
【0009】
また、フランジ部によりミラーベースの車両前端縁部と車体側装飾ベースの車両後端縁部との間の隙間が狭められることでウエザーストリップへの洗車用噴射水の直撃が緩和されるため、ウエザーストリップを補強する必要がなく、これにより、コストダウンが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
この実施例のドアミラーベース構造は、請求項1〜5に記載の発明に対応する。
【0012】
図1はこの実施例のドアミラーベース構造の要部を示す側面図、図2は図1のA−A線における拡大横断面図、図3は図2のB部拡大図、図4は実施例のドアミラーベース構造が適用された車両のドアを開いた状態を示す車両後方からの斜視図である。
【0013】
この実施例のドアミラーベース構造が適用された車両は、車体カラーが白等の明色であって、ドア1の窓ガラス部11における車両前端位置のドアミラー取付部12に対し、ボルト12aでドアミラー2のミラーベース21が固定され、該ミラーベース21の車両前端縁部21aと対向する車体3側に所定の隙間W1を形成して連続するミラーベース21と略同色である黒色の車体側装飾ベース31が備えられた構造になっている。
【0014】
さらに詳述すると、上記ドア1は、図2に示すように、ヒンジ部13を中心として開閉されるもので、このヒンジ部13は上記ミラーベース21よりは車両前方で、ミラーベース21の外面よりは車幅方向において外側へオフセットされた位置に設けられている。
【0015】
また、図3にもその詳細を示すように、上記ミラーベース21と車体側装飾ベース31のとの間の隙間W1が内側へ行くにつれて車両前方側へ向うように、ミラーベース21の車両前端縁部21aと車体側装飾ベース31の車両後端縁部31aとが車幅方向において傾斜面に形成されている。
【0016】
図2に戻り、上記ミラーベース21の内側でドア1の先端縁部には、ドア1の外周面12と車体3の開口部内周面32との間の隙間W2をシールして車内への水の進入を阻止するウエザーストリップ4が取り付けられている。
【0017】
このウエザーストリップ4は、ドア1を閉じる際の反発力が強すぎず、かつ、シール性を確保するために中空状に形成されている。
【0018】
また、車体3の開口部内周面32から車両3の後方へ延設された開口縁部にも、ドア1との間をシールするシール部材5が取り付けられている。
【0019】
また、図3にその詳細を示すように、所定の隙間W1を形成して対向する車体側装飾ベース31の車両後端縁部31aと対向するミラーベース21の車両前端縁部21aで、車体側装飾ベース31の外表面から隙間W1の車内方向へオフセットさせた車内側端縁部には、車体側装飾ベース31の車両後端縁部31a方向へ向けてミラーベース21と同色のフランジ部22が突出形成されることにより、隙間W1から上記ウエザーストリップ4が見えない状態となっている。
【0020】
また、上記フランジ部22の先端面22aが車体側装飾ベース31の車両後端縁部31aの傾斜面方向に傾斜する傾斜面に形成されている。
【0021】
次に、実施例の作用・効果について説明する。
【0022】
この実施例のドアミラーベース構造では、上述のように、所定の隙間W1を形成して対向するミラーベース21の前端縁部21aから車体側装飾ベース31の後端縁部31aへ向かって突出するミラーベース21と略同色のフランジ部22が形成されることにより、ミラーベース21の車両前端縁部21aと車体側装飾ベース31の車両後端縁部31aとの間の隙間W1がフランジ部22で狭められた状態となって、隙間W1から奧の車体パネルが見えにくくなり、これにより、ミラーベース21と車体側装飾ベース31との間のデザインの一体性が維持され、見栄えを向上させることができるようになる。
【0023】
また、フランジ部22によりミラーベースの車両前端縁部と車体側装飾ベースの車両後端縁部との間の隙間が狭められることで、ウエザーストリップへの洗車用噴射水の直撃が緩和されるため、ウエザーストリップを補強する必要がなく、これにより、コストダウンが可能になる。
【0024】
また、フランジ部22はミラーベース21の外表面から隙間W1の内方へオフセットさせた位置に備えられることにより、隙間W1より車両後方側に位置するウエザーストリップ4がさらに見えにくくなるため、フランジ部22の先端面22aと車体側装飾ベース31の車両後端縁部31aとの間にドア1の開閉時に必要な所定の隙間W3を維持しつつ、洗車用噴射水の直撃をさらに緩和することができるようになる。
【0025】
また、フランジ部22がミラーベース21の車両前端縁部21a側に備えられることにより、隙間W1より車両後方側に位置するウエザーストリップ4がさらに見えにくくなるため、フランジ部22の先端面22aと車体側装飾ベース31の車両後端縁部31aとの間にドア1の開閉時に必要な所定の隙間W3を維持しつつ、洗車用噴射水の直撃をさらに緩和することができるようになる。
【0026】
また、隙間W1が内側へ行くにつれて車両前方側へ向うようにミラーベース21の車両前端縁部21aと車体側装飾ベース31の車両後端縁部31aとが車幅方向において傾斜面に形成されることにより、隙間W1より車両後方側に位置するウエザーストリップ4がさらに見えにくくなるため、フランジ部22の先端面22aと車体側装飾ベース31の車両後端縁部31aとの間にドア1の開閉時に必要な所定の隙間W3を維持しつつ、洗車用噴射水の直撃をさらに緩和することができるようになる。
【0027】
なお、このヒンジ部13は、図2に示すように、ミラーベース21よりは車両前方で、ミラーベース21の外面よりは車幅方向において外側へオフセットされた位置に設けられているため、ドア1を開く初期段階では、ミラーベース21が鎖線で示すように、ヒンジ部13を中心として車両後方側へ向けて回動する。従って、ドア1を開閉する際にミラーベース21の車両前端縁部21aと車体側装飾ベース31の車両後端縁部31aを傾斜させても、そのことによってフランジ部22の先端面22aと車体側装飾ベース31の車両後端縁部31aとが擦れ合う方向に悪化することはない。
【0028】
また、フランジ部22の先端面22aが車体側装飾ベース31の車両後端縁部31aの傾斜面方向に傾斜する傾斜面に形成されることにより、隙間W1より車両後方側に位置するウエザーストリップ4がさらに見えにくくなるため、フランジ部22の先端面22aと車体側装飾ベース31の車両後端縁部31aとの間にドア1の開閉時に必要な所定の隙間W3を維持しつつ、洗車用噴射水の直撃をさらに緩和することができるようになる。
【0029】
なお、この場合も、上記と同様に、そのことによってフランジ部22の先端面22aと車体側装飾ベース31の車両後端縁部31aとが擦れ合う方向に悪化することはない。
【0030】
以上、本発明の実施例を図面に基づき説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【0031】
例えば、実施例では、フランジ部22がミラーベース21の外表面から隙間W1の内方へオフセットさせた位置に備えられている場合を示したが、その位置は任意である。
【0032】
また、実施例では、フランジ部22がミラーベース21の車両前端縁部21a側に備えたられている場合を示したが、車体側装飾ベース31の車両後端縁部31a側に備えるようにしてもよい。
【0033】
また、実施例では、隙間W1が内側へ行くにつれて車両前方側へ向うようにミラーベース21の車両前端縁部21aと車体側装飾ベース31の車両後端縁部31aとが車幅方向において傾斜面に形成されたが、車幅方向と平行状態にする等、任意である。
【0034】
また、実施例では、フランジ部22の先端面22aが車体側装飾ベース31の車両後端縁部31aの傾斜面方向に傾斜する傾斜面に形成されている場合を示したが、車幅方向と平行状態や、円弧状にする等、任意である。
【0035】
また、実施例では、ヒンジ部13がミラーベース21の外面よりは車幅方向において外側へオフセットされた位置に設けられている車両を例に採ったが、ヒンジ13の位置は任意である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例のドアミラーベース構造の要部を示す側面図である。
【図2】図1のA−A線における拡大横断面図である。
【図3】図2のB部拡大図である。
【図4】実施例のドアミラーベース構造が適用された車両のドアを開いた状態を示す車両後方からの斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
W1 隙間
W2 隙間
W3 隙間
1 ドア
11 窓ガラス部
12 ドアミラー取付部
12a ボルト
13 ヒンジ部
2 ドアミラー
21 ミラーベース
21a 車両前端縁部
22 フランジ部
22a フランジ部の先端面
3 車体
31 車体側装飾ベース
31a 車両後端縁部
32 開口部内周面
4 ウエザーストリップ
5 シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの窓ガラス部の車両前端位置にミラーベースが固定され、該ミラーベースの車両前端縁部と対向する車体側に所定の隙間を形成して車体側装飾ベースが備えられたドアミラーベース構造であって、
前記所定の隙間を形成して対向する前記ミラーベースの車両前端縁部と前記車体側装飾ベースの車両後端縁部の少なくともいずれか一方から他方へ向かって突出するフランジ部が形成されていることを特徴とするドアミラーベース構造。
【請求項2】
前記フランジ部は前記ミラーベースまたは前記車体側装飾ベースの外表面から前記隙間の内方へオフセットさせた位置に備えられていることを特徴とする請求項1に記載のドアミラーベース構造。
【請求項3】
前記隙間が内側へ行くにつれて車両前方側へ向うように前記ミラーベースの車両前端縁部と前記車体側装飾ベースの車両後端縁部とが車幅方向において傾斜面に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のドアミラーベース構造。
【請求項4】
前記フランジ部が前記ミラーベースの車両前端縁部側に備えられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のドアミラーベース構造。
【請求項5】
前記フランジ部の先端面が前記車体側装飾ベースの車両後端縁部の傾斜面方向に傾斜する傾斜面に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のドアミラーベース構造。
【請求項6】
前記フランジ部が前記ドアミラーベース及び前記装飾ベースとほぼ同色に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のドアミラーベース構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−245924(P2007−245924A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72181(P2006−72181)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】