説明

ドットプリンタ及びドットプリンタのプリントヘッド並びにドットプリンタのプリントワイヤ修復方法

【課題】先端に磨耗が生じたプリントワイヤを個別に修復してプリントヘッドの交換頻度を減らすことを可能にしたドットプリンタ及びドットプリンタのプリントヘッド並びにドットプリンタのプリントワイヤ修復方法を提供する。
【解決手段】プリントワイヤ1を滑動させるプリントワイヤ駆動部3及びプリントワイヤ1の先端位置を調整するプリントワイヤ調整部6を備えるプリントヘッドBと、各プリントワイヤ1の先端1aを研磨してプリントワイヤ1の先端1aを修復するためのヘッドクリーニング部とを備えてドットプリンタを構成する。また、プリントワイヤ駆動部3は、プリントワイヤ1と、プリントワイヤ1が接合されて起伏自在に設けられたアーマチェア8と、アーマチェア8を起伏させるためのソレノイド部7とを備えて構成する。プリントワイヤ調整部6は、アーマチェア8の位置を調整してプリントワイヤ1の先端1aの位置を調整するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドットプリンタ及びドットプリンタのプリントヘッド並びにドットプリンタのプリントワイヤ修復方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドットプリンタ(ドットインパクト式のプリンタ)は、複数のワイヤ(プリントワイヤ、ピン)を搭載したヘッド(プリントヘッド)と、ヘッドに対向して設けられたプラテンとを備えて構成されている。また、ヘッドは、複数のワイヤと、ソレノイド(ソレノイド部)と、ソレノイドを保持するヨークと、各ワイヤが繋げられ、マグネットによってヨークに吸引されて起伏自在に設けられた複数のアーマチェアと、複数のアーマチェアをマグネットによる吸引方向と逆方向に付勢するように設けられたリターンスプリングと、各ワイヤの中間部側を滑動自在に支持するワイヤガイドと、ヘッドの端部側に設けられて各ワイヤの先端部側を滑動自在に支持するメインガイドとを備えて構成されている。
【0003】
このドットプリンタでは、プリンタ制御部から制御信号(ヘッド移動信号及びプリントデータ信号)が出力されると、ヘッドが左右方向に移動するとともにヘッドのソレノイドに電流が流れ、アーマチェアが電磁力を受けて倒れる(伏せる)とともにワイヤが滑動してワイヤの先端がメインガイドから外側に押し出される(ヘッドの端から外側に飛び出す)。そして、ヘッドとプラテンの間に配設されたインクリボンを介して記録用紙をワイヤの先端が叩いて記録用紙に印刻が施される(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−2216545号公報
【特許文献2】特開昭63−290777号公報
【特許文献3】実開昭61−122841号公報
【特許文献4】実開昭62−150146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のドットプリンタにおいては、ワイヤ1が滑動しインクリボンを介して記録用紙を叩くため、図5(a)及び図5(b)に示すように、使用とともに徐々にワイヤ1の先端1aが磨耗する。このとき、例えば、文字を記録用紙に印刻する場合には、ワイヤ1毎の使用頻度が平均化され、複数のワイヤ1の磨耗が概ね同程度で進行するが、罫線を印刻するような場合には、一部のワイヤ1の使用頻度が高くなり、ワイヤ1毎の磨耗の程度にばらつきが生じる。
【0006】
そして、複数のワイヤ1を1本1本交換したり、先端1aの位置を調整することができないため、複数のワイヤ1のうち1本でも先端1aが磨耗して寿命に達した場合には、他のワイヤ1の先端1aに大きな磨耗が生じていないにもかかわらず、全体としてのプリント品質を確保できないためにヘッド一式を交換することが必要になる。このため、1本でもワイヤ1が磨耗して寿命に達する度にヘッドを交換することになり、ヘッドの交換頻度が高く、ユーザ(プリンタ取扱者)の費用負担が大きくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、先端に磨耗が生じたプリントワイヤを個別に修復してプリントヘッドの交換頻度を減らすことを可能にしたドットプリンタ及びドットプリンタのプリントヘッド並びにドットプリンタのプリントワイヤ修復方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0009】
本発明のドットプリンタは、プリントヘッドに設けられた複数のプリントワイヤがそれぞれ滑動し、前記プリントワイヤの先端がインクリボンを介して記録用紙を叩いて前記記録用紙に印刻するドットプリンタであって、前記プリントワイヤを滑動させるプリントワイヤ駆動部及び前記プリントワイヤの先端位置を調整するプリントワイヤ調整部を備える前記プリントヘッドと、各プリントワイヤの先端を研磨して前記プリントワイヤの先端を修復するためのヘッドクリーニング部とを備えており、前記プリントワイヤ駆動部が、前記プリントワイヤと、前記プリントワイヤが接合されて起伏自在に設けられたアーマチェアと、前記アーマチェアを起伏させるためのソレノイド部とを備えて構成され、前記プリントワイヤ調整部が、前記アーマチェアの位置を調整して前記プリントワイヤの先端の位置を調整するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のドットプリンタにおいて、前記プリントワイヤ駆動部は、前記アーマチェアと前記ソレノイド部がベース部材で繋げられ、前記プリントワイヤ調整部は、前記ソレノイド部に螺合して繋がるシャフトと前記シャフトを軸線周りに回転させる回転手段とを備えており、前記回転手段によって前記シャフトを回転させることにより、前記ソレノイド部の位置を調整するとともに前記ベース部材を介して前記アーマチェアの位置を調整して、前記プリントワイヤの先端の位置を調整するように構成されていることが望ましい。
【0011】
本発明のドットプリンタのプリントヘッドは、複数のプリントワイヤがそれぞれ滑動し、前記プリントワイヤの先端がインクリボンを介して記録用紙を叩いて前記記録用紙に印刻するドットプリンタのプリントヘッドであって、前記プリントワイヤを滑動させるプリントワイヤ駆動部と前記プリントワイヤの先端位置を調整するプリントワイヤ調整部とを備えており、前記プリントワイヤ駆動部が、前記プリントワイヤと、前記プリントワイヤが接合されて起伏自在に設けられたアーマチェアと、前記アーマチェアを起伏させるためのソレノイド部とを備えて構成され、前記プリントワイヤ調整部が、前記アーマチェアの位置を調整して前記プリントワイヤの先端の位置を調整するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のドットプリンタのプリントヘッドにおいて、前記プリントワイヤ駆動部は、前記アーマチェアと前記ソレノイド部がベース部材で繋げられており、前記プリントワイヤ調整部は、前記ソレノイド部に螺合して繋がるシャフトと前記シャフトを軸線周りに回転させる回転手段とを備えており、前記回転手段によって前記シャフトを回転させることにより、前記ソレノイド部の位置を調整するとともに前記ベース部材を介して前記アーマチェアの位置を調整して、前記プリントワイヤの先端の位置を調整するように構成されていることが望ましい。
【0013】
本発明のドットプリンタのプリントワイヤ修復方法は、プリントヘッドに設けられた複数のプリントワイヤがそれぞれ滑動し、前記プリントワイヤの先端がインクリボンを介して記録用紙を叩いて前記記録用紙に印刻するドットプリンタの磨耗した前記プリントワイヤの先端を修復する方法であって、前記ドットプリンタが請求項1または請求項2に記載のドットプリンタであり、前記プリントワイヤ調整部によって、先端が磨耗した前記プリントワイヤを前記プリントヘッドの端から外側に所要量突出させ、前記ヘッドクリーニング部によって、磨耗した前記プリントワイヤの先端を研磨して先端を修復することを特徴とする。
【0014】
また、本発明のドットプリンタのプリントワイヤ修復方法においては、全ての前記プリントワイヤを使用して罫線を前記記録用紙に印刻するテスト印刷を実行し、該テスト印刷に別途印刻された各プリントワイヤの番号と該番号に対応した位置の前記罫線の欠損の有無を見比べて、磨耗した前記プリントワイヤを特定することが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のドットプリンタ及びドットプリンタのプリントヘッド並びにドットプリンタのプリントワイヤ修復方法によれば、複数のプリントワイヤの先端をそれぞれ個別に修復することができる。このため、従来のように1本でもプリントワイヤが磨耗して寿命に達する度にプリントヘッドを交換することを不要にでき、プリントヘッドを長寿命化することが可能になる。これにより、従来と比較し、プリントヘッドの交換頻度を低くすることができ、ユーザの費用負担を軽減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るドットプリンタを示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るプリントヘッドを示す側断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るプリントワイヤの修復方法(修復動作)を示すフロー図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るプリントワイヤの修復方法において、テスト印刷を実行して得られる記録用紙の印刻内容(記載内容)の一例を示す図である。
【図5】新品のプリントワイヤの先端と磨耗したプリントワイヤの先端を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第一実施形態]
以下、図1から図4を参照し、本発明の一実施形態に係るドットプリンタ及びドットプリンタのプリントヘッド並びドットプリンタのプリントワイヤ修復方法について説明する。
【0018】
本実施形態のドットプリンタAは、図1に示すように、ヘッド(プリントヘッド)Bと、ヘッドクリーニング部2とを備えて構成されている。また、プリンタ制御部、操作パネル部、駆動部、インクリボンなどを備えて構成されている。なお、プリンタ制御部、操作パネル部、駆動部、インクリボン等は、従来周知のドットプリンタと同様の構成要素であるため、その説明を省略する。
【0019】
本実施形態のヘッドBは、図2に示すように、複数のプリントワイヤ駆動部3と、ワイヤガイド4と、メインガイド5と、ワイヤ(プリントワイヤ)1の先端1aの位置を1本ずつ調整する複数のプリントワイヤ調整部6とを備えて構成されている。なお、図2では、複数あるプリントワイヤ駆動部3及びプリントワイヤ調整部6のうち、1組のプリントワイヤ駆動部3とプリントワイヤ調整部6の構成のみを示している。
【0020】
プリントワイヤ駆動部3は、1組で1ドットに対応(1組で1本のワイヤ1に対応)しており、ワイヤ1と、ソレノイド部7と、ソレノイド部7を保持するヨークと、ワイヤ1が接合され、マグネットによってヨークに吸引された状態で起伏自在に設けられたアーマチェア8と、マグネットによる吸引方向と逆方向にアーマチェア8を付勢するように設けられたリターンスプリング9とを備えている。また、アーマチェア8とソレノイド部7はベース部材10によって繋げられている。
【0021】
ワイヤガイド4は、複数のワイヤ1を1組のワイヤガイド4で対応し、これら複数のワイヤ1の中間部側を滑動可能に支持するものであり、各ワイヤ1をヘッドBの中央に位置するように案内する機構を備えて構成されている。
【0022】
メインガイド5は、複数のワイヤ1を1個のメインガイド5で対応し、複数のワイヤ1の先端1a側を滑動可能に支持するものであり、ヘッドBの端部側に設けられ、各ワイヤ1が分散配列されるように保持する機構を備えて構成されている。
【0023】
そして、上記構成からなるプリントワイヤ駆動部3においては、プリンタ制御部から制御信号(ヘッド移動信号及びプリントデータ信号)が出力されると、ソレノイド部7に電流が流れ、このソレノイド部7が励磁することによりアーマチェア8がヘッドBの端部側に倒れる(伏せる)。このようにアーマチェア8が倒れると、このアーマチェア8に繋げられたワイヤ1の先端1a側がメインガイド5の端からプラテンに向けて飛び出し(ヘッドBの端から外側に突出し)、プラテンとヘッドBの間に配されたインクリボンを介して記録用紙上に1ドットを印刻する。また、プリンタ制御部からの制御信号によりソレノイド部7に流されていた電流が止まると、リターンスプリング9の付勢力によりアーマチェア8が起きて初期状態(初期位置)に復帰し、これとともにメインガイド5の端から飛び出したワイヤ1の先端1a側も初期状態(初期位置)に復帰する。
【0024】
一方、プリントワイヤ調整部6は、1組で1組のプリントワイヤ駆動部3に対応し、複数のワイヤ1の先端1aの位置を1本ずつ調整する機構であり、DCモータ(回転手段)11と、DCモータ11の駆動によって軸線O1周りに回転するシャフト12とを備えて構成されている。また、シャフト12は、外周に雄ネジの螺刻が施され、ソレノイド部7に螺合して設けられている。
【0025】
ヘッドクリーニング部2は、図1に示すように、磨耗したワイヤ1の先端1aを研磨して所要の形状に整形するためのものであり、ワイヤ1を形成する素材を研磨できる十分な硬さを持った材質で、その表面を例えばヤスリ状に加工した板状の部材2aを備えて構成されている。
【0026】
そして、上記構成からなる本実施形態のドットプリンタA(及びヘッドB)においては、図5(b)に示すようにワイヤ1の先端1aが磨耗し、メインガイド5の端からワイヤ1の先端1aが飛び出なくなって記録用紙上のプリント品質が確保できなくなったときに、手動、自動を問わずヘッドBを検査し、磨耗したワイヤ1を特定する。
【0027】
この磨耗したワイヤ1の先端1aを修復する際には、ボタン操作などによってプリンタ制御部から制御信号を出力させ、プリントワイヤ調整部6のDCモータ11を駆動させる。そして、DCモータ11の駆動によってシャフト12が所要の回転量で回転することにより、このシャフト12に螺合したソレノイド部7がメインガイド5側へ所要量移動する。ソレノイド部7のベース(ベース部材10)上に接合されているアーマチェア8と、リターンスプリング9と、アーマチェア8に接合されている磨耗したワイヤ1とからなるプリントワイヤ駆動部3が、ソレノイド部7がメインガイド5側へ所要量移動するとともにメインガイド5側に所要量移動させられて、ソレノイド部7との相対位置が保持される。すなわち、プリントワイヤ調整部6とプリントワイヤ駆動部3の接合部で回転運動が直線運動に変換され、プリントワイヤ駆動部3がメインガイド5側へ所定量移動する。これにより、磨耗したワイヤ1の先端1a側が、メインガイド5の端から所要量突出する(飛び出る)。
【0028】
ここで、本実施形態において、ソレノイド部7、アーマチェア8等をメインガイド5側へ移動させる所要量、ひいては磨耗したワイヤ1の先端1a側をメインガイド5の端から突出させる所要量は、例えば2mmに設定し、DCモータ11の駆動によって回転するシャフト12の回転量をこれに応じた回転量にする。なお、移動量(シャフト12の回転量)はヘッドBの種類により適宜設定すればよい。このため、プリントワイヤ駆動部3を移動させる前記所要量、ワイヤ1を突出させる所要量は、ヘッドBの種類に応じて予め設定される。
【0029】
また、このようにワイヤ1の先端1aを所要量突出させるとともに、プリンタ制御部からの制御信号を受けた駆動部の駆動によって、ヘッドBをヘッドクリーニング部2に対向する所定位置に移動させる。そして、ヘッドクリーニング部2の大きさに合わせた所要量で左右方向T1にヘッドBを往復動作させる(図2参照)。このようにヘッドBが左右方向T1に往復動作すると、磨耗したワイヤ1の先端1aがヘッドクリーニング部2のヤスリ状の板状部材2aに当接して研磨され、図5(a)に示すように新品同様の形状に整形される。
【0030】
このとき、ヘッドBは、ワイヤ1の先端1aをヤスリ状の板状部材2aに当接させた状態で例えば5往復してワイヤ1の先端1aを研磨し、新品同様の形状に整形する。なお、ヘッドBの移動量(所要量)、往復回数は、ヘッドBの種類(ワイヤ1の材質、形状等)や、ヘッドクリーニング部2の材質、表面形状(研磨能力)などに応じて適宜設定すればよい。
【0031】
一方、ヘッドBの磨耗を手動で検出する場合には、例えば、図3に示すように、プリンタ取扱者がプリントかすれなどのプリント不具合を認識した段階(ステップ1)で、まず、ドットプリンタAの操作パネルを操作してテスト印刷を実行する(ステップ2)。
【0032】
次に、テスト印刷で印刷した記録用紙の記載を見て、磨耗したワイヤ1の番号を確認する。具体的に、図4に示すように、テスト印刷では、全てのワイヤ1を使用して罫線13を記録用紙に印刷(印刻)させ、これとともに記録用紙上にワイヤ1の番号を印刷させる。そして、テスト印刷を実行して得た記録用紙に記載された各ワイヤ1の番号とこの番号に対応した位置の罫線13の欠損の有無を見比べて、磨耗したワイヤ1を特定する(ステップ3)。
【0033】
次に、図3に示すように、インクリボンを取り外し(ステップ4)、操作パネルを操作してヘッドBをヘッドクリーニング部2に移動させる(ステップ5)。そして、DCモータ11を駆動させて、テスト印刷で磨耗を確認したワイヤ1の先端1aをヘッドBの端から所要量突出させるとともに、ワイヤ1の先端1aをヘッドクリーニング部2で研磨させる(ステップ6)。これにより、磨耗したワイヤ1の先端1aが新品同様の形状に整形される。そして、インクリボンを取り付け(ステップ7)、最後に操作パネルによりテスト印刷を実行し(ステップ8)、記録用紙の記載を見て正常に印刷されていることを確認する。
【0034】
したがって、本実施形態のドットプリンタA及びドットプリンタのプリントヘッドB並びにドットプリンタのプリントワイヤ修復方法においては、ドットプリンタAがヘッドBとヘッドクリーニング部2を備え、また、ヘッドBがプリントワイヤ駆動部3とワイヤ1の先端1aの位置を1本ずつ調整するプリントワイヤ調整部6を備えて構成されているため、磨耗したワイヤ1の先端1aを個別に整形(修復)することが可能になる。
【0035】
さらに、このとき、プリンタ取扱者がプリントかすれなどのプリント不具合を認識した段階でテスト印刷を実行し、ワイヤ1の番号とそれに対応した罫線13を印刷した記録用紙の記載を見て、この罫線13の欠損の有無でワイヤ1の状態を確認することができ、容易に磨耗したワイヤ1を特定することが可能になる。
【0036】
これにより、本実施形態のドットプリンタA及びドットプリンタのプリントヘッドB並びにドットプリンタのプリントワイヤ修復方法によれば、複数のワイヤ1の先端1aをそれぞれ個別に修復することができ、従来のように1本でもワイヤ1が磨耗して寿命に達する度にヘッドBを交換する必要がなく、ヘッドBを長寿命化することが可能になる。よって、ヘッドBの交換頻度を減らし、ユーザの費用負担を軽減することが可能になる。
【0037】
以上、本発明に係るドットプリンタ及びドットプリンタのプリントヘッド並びにドットプリンタのプリントワイヤ修復方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 ワイヤ(プリントワイヤ)
1a 先端
2 ヘッドクリーニング部
2a やすり状の板状部材
3 プリントワイヤ駆動部
4 ワイヤガイド
5 メインガイド
6 プリントワイヤ調整部
7 ソレノイド部
8 アーマチェア
9 リターンスプリング
10 ベース(ベース部材)
11 DCモータ(回転手段)
12 シャフト
13 罫線
A ドットプリンタ
B ヘッド(プリントヘッド)
O1 シャフトの軸線
T1 左右方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントヘッドに設けられた複数のプリントワイヤがそれぞれ滑動し、前記プリントワイヤの先端がインクリボンを介して記録用紙を叩いて前記記録用紙に印刻するドットプリンタであって、
前記プリントワイヤを滑動させるプリントワイヤ駆動部及び前記プリントワイヤの先端位置を調整するプリントワイヤ調整部を備える前記プリントヘッドと、各プリントワイヤの先端を研磨して前記プリントワイヤの先端を修復するためのヘッドクリーニング部とを備えており、
前記プリントワイヤ駆動部が、前記プリントワイヤと、前記プリントワイヤが接合されて起伏自在に設けられたアーマチェアと、前記アーマチェアを起伏させるためのソレノイド部とを備えて構成され、
前記プリントワイヤ調整部が、前記アーマチェアの位置を調整して前記プリントワイヤの先端の位置を調整するように構成されていることを特徴とするドットプリンタ。
【請求項2】
請求項1記載のドットプリンタにおいて、
前記プリントワイヤ駆動部は、前記アーマチェアと前記ソレノイド部がベース部材で繋げられ、
前記プリントワイヤ調整部は、前記ソレノイド部に螺合して繋がるシャフトと前記シャフトを軸線周りに回転させる回転手段とを備えており、
前記回転手段によって前記シャフトを回転させることにより、前記ソレノイド部の位置を調整するとともに前記ベース部材を介して前記アーマチェアの位置を調整して、前記プリントワイヤの先端の位置を調整するように構成されていることを特徴とするドットプリンタ。
【請求項3】
複数のプリントワイヤがそれぞれ滑動し、前記プリントワイヤの先端がインクリボンを介して記録用紙を叩いて前記記録用紙に印刻するドットプリンタのプリントヘッドであって、
前記プリントワイヤを滑動させるプリントワイヤ駆動部と前記プリントワイヤの先端位置を調整するプリントワイヤ調整部とを備えており、
前記プリントワイヤ駆動部が、前記プリントワイヤと、前記プリントワイヤが接合されて起伏自在に設けられたアーマチェアと、前記アーマチェアを起伏させるためのソレノイド部とを備えて構成され、
前記プリントワイヤ調整部が、前記アーマチェアの位置を調整して前記プリントワイヤの先端の位置を調整するように構成されていることを特徴とするドットプリンタのプリントヘッド。
【請求項4】
請求項3記載のドットプリンタのプリントヘッドにおいて、
前記プリントワイヤ駆動部は、前記アーマチェアと前記ソレノイド部がベース部材で繋げられており、
前記プリントワイヤ調整部は、前記ソレノイド部に螺合して繋がるシャフトと前記シャフトを軸線周りに回転させる回転手段とを備えており、
前記回転手段によって前記シャフトを回転させることにより、前記ソレノイド部の位置を調整するとともに前記ベース部材を介して前記アーマチェアの位置を調整して、前記プリントワイヤの先端の位置を調整するように構成されていることを特徴とするドットプリンタのプリントヘッド。
【請求項5】
プリントヘッドに設けられた複数のプリントワイヤがそれぞれ滑動し、前記プリントワイヤの先端がインクリボンを介して記録用紙を叩いて前記記録用紙に印刻するドットプリンタの磨耗した前記プリントワイヤの先端を修復する方法であって、
前記ドットプリンタが請求項1または請求項2に記載のドットプリンタであり、
前記プリントワイヤ調整部によって、先端が磨耗した前記プリントワイヤを前記プリントヘッドの端から外側に所要量突出させ、
前記ヘッドクリーニング部によって、磨耗した前記プリントワイヤの先端を研磨して先端を修復することを特徴とするドットプリンタのプリントワイヤ修復方法。
【請求項6】
請求項5記載のドットプリンタのプリントワイヤ修復方法において、
全ての前記プリントワイヤを使用して罫線を前記記録用紙に印刻するテスト印刷を実行し、該テスト印刷に別途印刻された各プリントワイヤの番号と該番号に対応した位置の前記罫線の欠損の有無を見比べて、磨耗した前記プリントワイヤを特定することを特徴とするドットプリンタのプリントワイヤ修復方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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