説明

ドライバICの配線構造および液滴吐出装置

【課題】ノズルの高密度化に伴う出力配線数の増大に容易に対応することができるとともに、フラットケーブルを引き回す際の作業性を高めることができ、さらに、製造コストを十分に低減することができる、ドライバICの配線構造および液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】第1ドライバIC100Aおよび第2ドライバIC100Bは、アクチュエータユニット48の表面電極が設けられた領域Tを挟むようにして配置されており、同じ「共通入力信号」が入力される第1共通入力信号端子120cと第2共通入力信号端子132cとが第1ドライバIC100Aおよび第2ドライバIC100Bのそれぞれの外部に配設された共通化配線114を含む電気径路を介して電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータユニットの複数の駆動部に2つのドライバICから駆動信号を付与するためのドライバICの配線構造およびそれを用いた液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の「液滴吐出装置」の一例として、「インクジェットプリンタ」が周知である。特許文献1に開示された「インクジェットプリンタ」は、液滴を吐出する複数のノズルと各ノズルのそれぞれに個別に連通された複数の圧力室とを有する流路ユニットと、各圧力室に対応する複数の駆動部と当該駆動部に対応する複数の表面電極とを有するアクチュエータユニットと、複数の表面電極のそれぞれに電気的に接続された複数の出力配線と当該出力配線を介して駆動部へ駆動信号を出力する1つのドライバICとを有するフレキシブル配線基板(COF)とを備えている。フレキシブル配線基板は、その入力側端部がアクチュエータユニットと接続されている領域から片側に引き出されており、その片側にドライバICが実装されている。当該入力側端部には、ドライバICへ制御信号を与えるための別のフラットケーブル(FPC、FFC等)が接続されている。
【0003】
このような「フレキシブル配線基板の入力側端部を片側へ引き出す構成」は、フレキシブル配線基板における複数の出力配線を各表面電極位置からドライバICの実装されている側へ引き出す構成となるため、プリンタの高速化と小型化に伴い、ドライバIC側へ向かうほど複数の出力配線が高密度かつ狭ピッチで配設されることになり、製造上にも限界があり、さらなる出力配線数の増大に対応することが困難であった。また、フレキシブル配線基板またはフラットケーブルとして、ベース材の上下の面に出力配線層を設けたいわゆる「両面プリント基板」を用いることによって、出力配線数の増加に対応することも考えられるが、この場合には、いわゆる「片面プリント基板」と比べて高コストであり、製造コストが高くなるため、「片面プリント基板」を用いて多数の出力配線を配設することが要求されていた。そこで、近年では、複数の出力配線を「一群の出力配線」と「他の一群の出力配線」とに2分し、これらを異なる2つの方向へ引き出すとともに、異なる2つのドライバICに接続するようにした「ドライバICの配線構造」が開発されている(特許文献2)。
【0004】
この従来技術によれば、フレキシブル配線基板における出力配線の配設密度を低くしてピッチを広くすることができるため、多数の出力配線を余裕を持って配設することが可能であり、ノズルの高密度化に伴うノズル数の増大にも対応することができる。しかし、2つのドライバICのそれぞれに制御信号を付与するために、フレキシブル配線基板に対して2つのフラットケーブルを接続しなければならず、製造コストが高くなるとともに、2つのフラットケーブルを接続する工程や組立工程も増え、生産性が悪いといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2008−18555号公報
【特許文献2】特開2005−324453号公報
【特許文献3】特開2006−062211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術(特許文献1、2)の問題を解決する手段として、特許文献3には、2つのドライバICの入力端子のそれぞれに入力配線を1対1で電気的に接続するとともに、全ての入力配線の入力側端部をフレキシブル配線基板の一方端部にまとめて配置するようにした「ドライバICの配線構造」が開示されている。
【0007】
この従来技術によれば、フレキシブル配線基板の一方端部に1枚のフラットケーブルを接続するだけでよいので、特許文献2のような2つのフラットケーブルを用いる場合に比べて製造コストや作業工程を低減することができるとともに、フラットケーブルを容易に引き回すことができる。しかし、2つのドライバICへの入力配線を1つのフラットケーブルの一方の入力側端部にまとめて配置しているため、入力側端部では入力配線の数が2つのフラットケーブルを用いる場合の2倍になり、フラットケーブルの幅がかなり広くなり、フラットケーブルを接続するコネクタ等も大きくなっていた。そのため、製造コストを十分に低減することができず、また、小型化の要請にも応えることができなかった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ノズルの高密度化に伴う出力配線数の増大に容易に対応することができるとともに、フラットケーブル(FPC、FFC)を引き回す際の作業性を高めることができ、さらに、製造コストを十分に低減することができる、ドライバICの配線構造および液滴吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るドライバICの配線構造は、ノズルから吐出される液体に吐出圧を付与するための複数の駆動部を有するエネルギー発生ユニットを動作させるためのドライバICの配線構造であって、複数の前記駆動部に対応する複数の電極に対して1対1で電気的に接続され、複数の前記駆動部に駆動信号を付与する複数の出力配線と、複数の前記出力配線のうち一群の出力配線のそれぞれに電気的に接続される複数の第1出力端子と、入力信号を入力する複数の第1入力端子と、前記第1入力端子から入力された入力信号に基づいて駆動信号を生成するとともに、当該駆動信号を前記第1出力端子のそれぞれから出力する第1駆動信号生成部とを有する第1ドライバICと、複数の前記出力配線のうち他の一群の出力配線のそれぞれに電気的に接続される複数の第2出力端子と、入力信号を入力する複数の第2入力端子と、前記第2入力端子から入力された入力信号に基づいて駆動信号を生成するとともに、当該駆動信号を前記第2出力端子のそれぞれから出力する第2駆動信号生成部とを有する第2ドライバICとを備え、前記第1ドライバICおよび前記第2ドライバICは、前記エネルギー発生ユニットの前記電極が設けられた領域を挟むようにして配置されており、前記第1入力端子の少なくとも1つは、前記第1ドライバICおよび前記第2ドライバICのそれぞれで共通に用いられる共通入力信号が入力される第1共通入力信号端子であり、前記第2入力端子の少なくとも1つは、前記第1ドライバICおよび前記第2ドライバICのそれぞれで共通に用いられる共通入力信号が入力される第2共通入力信号端子であり、同じ共通入力信号が入力される前記第1共通入力信号端子と前記第2共通入力信号端子とが前記第1ドライバICおよび前記第2ドライバICのそれぞれの外部に配設された共通化配線を含む電気径路を介して電気的に接続されている。
【0010】
この構成では、第1共通入力信号端子と第2共通入力信号端子とが共通化配線を含む電気径路を介して電気的に接続されているので、第1共通入力信号端子または第2共通入力信号端子のいずれか一方にだけ共通入力信号を入力すればよく、たとえば、「ドライバICの配線構造」をフレキシブル配線基板に組み込む場合には、フレキシブル配線基板における入力配線の総数を減らすことができる。したがって、全ての入力配線を1つのフラットケーブル(FPC、FFC)の対応する配線に1対1で電気的に接続する場合でも、当該フラットケーブルの幅が広くなり過ぎるのを防止することができ、製造コストを大幅に低減することができる。
【0011】
前記第1共通入力信号端子から前記第1駆動信号生成部へ至る第1駆動電気径路と、前記第1共通入力信号端子から前記共通化配線へ至る第1共通化電気径路とが前記第1ドライバICの内部において分岐されており、前記第1共通入力信号端子から入力された前記共通入力信号が、前記第1駆動電気径路を経て前記第1駆動信号生成部へ与えられるとともに、前記第1共通化電気径路および前記共通化配線を経て前記第2ドライバICの前記第2駆動信号生成部へ与えられる構成であってもよい。
【0012】
この構成では、第1駆動電気径路と第1共通化電気径路とが第1ドライバICの内部において分岐されているので、第1ドライバICの外部に分岐のための分岐配線を別途設ける必要がなく、当該分岐配線を設ける手間を省くことができるとともに配線構造を小型化することができる。
【0013】
前記第1ドライバICと前記第2ドライバICとは同一構造に構成されていてもよい。
【0014】
この構成では、駆動信号を出力する2つのドライバICを同一構造に構成しているので、製造コストを低減することができるとともに、ドライバIC間における特性のばらつきを少なくすることができる。
【0015】
前記第1ドライバICは、前記第1駆動信号生成部に電力を供給する電源電圧経路を有しており、前記第1駆動電気径路および前記第1共通化電気径路のうちの少なくとも1つは、前記電源電圧経路に対して立体的に交差して配設されている構成であってもよい。
【0016】
この構成では、第1駆動電気径路および第1共通化電気径路のうちの少なくとも1つは、電源電圧経路に対して立体的に交差して配設されているため、配線設計の自由が電源電圧経路によって損なわれるのを防止することができる。
【0017】
前記第1共通入力信号端子および前記第2共通入力信号端子のそれぞれに入力される前記共通入力信号は、前記エネルギー発生ユニットの駆動態様を指定する波形信号を含むものであってもよい。
【0018】
エネルギー発生ユニットの駆動態様を指定する波形信号は、低電圧系の信号であるため、これを2つのドライバICで共通に用いても、2つのドライバICの動作特性に大きなばらつきを生じさせる心配はない。
【0019】
前記第1ドライバICだけで使用される入力信号を付与する第1入力配線と、前記第2ドライバICだけで使用される入力信号を付与する第2入力配線と、前記第1ドライバICおよび前記第2ドライバICの両方で共通に使用される共通入力信号を付与する共通入力配線のそれぞれの入力側端部が同一直線上に並べて配置されており、これらの入力側端部のそれぞれに他の配線が電気的に接続される構成であってもよい。
【0020】
この構成では、第1入力配線、第2入力配線および共通入力配線のそれぞれの入力側端部が同一直線上に並べて配置されており、これらの入力側端部のそれぞれに他の配線が接続されるので、他の配線を容易に接続することができる。
【0021】
前記第1ドライバICは、前記第2ドライバICだけで使用される入力信号が入力される第2入力信号端子と、当該入力信号を出力する中継出力端子と、前記第2入力信号端子と前記中継出力端子とを電気的に接続する中継電気経路とを有しており、前記中継出力端子と前記第2ドライバICの前記第2入力端子の1つとを電気的に接続する中継配線が前記共通化配線に沿って配設されている構成であってもよい。
【0022】
この構成では、第2ドライバICだけで使用される入力信号を、第1ドライバICの第1入力端子から、第1ドライバICの内部の中継電気経路および中継配線を通して第2ドライバICへ与えることができるので、当該入力信号のための電気径路をコンパクトに配設することができる。
【0023】
前記エネルギー発生ユニットは、圧電プレートと、前記圧電プレートの一方面に設けられた個別電極と、前記圧電プレートの他方面に設けられた定電位電極とを有するアクチュエータユニットであり、前記定電位電極に電圧を付与するアクチュエータ用の電源配線と、前記第1駆動信号生成部および前記第2駆動信号生成部に電圧を付与するドライバIC用の電源配線とがソルダポイントにおいて電気的に接続されている構成であってもよい。
【0024】
この構成では、アクチュエータ用の電源配線とドライバIC用の電源配線とがソルダポイントにおいて電気的に接続されているので、これらの両方に対して1つの電源配線から電圧を付与することが可能であり、2つの電源配線を用いる場合に比べて電源配線の配設スペースを小さくすることができる。
【0025】
上記課題を解決するために、本発明に係る液滴吐出装置は、液滴を吐出する複数のノズルと前記ノズルのそれぞれに個別に連通された複数の圧力室とを有する流路ユニットと、前記圧力室のそれぞれに個別に対応する複数の駆動部と前記駆動部のそれぞれに対応する複数の電極とを有し、前記電極に印加された駆動信号に基づいて前記駆動部を選択的に駆動することによって当該駆動部に対応する前記圧力室内の液体に吐出圧を付与するエネルギー発生ユニットと、上記いずれかのドライバICの配線構造が組み込まれたフレキシブル配線基板とを備える。
【0026】
この構成は、上記いずれかのドライバICの配線構造を用いた液滴吐出装置に関するものである。
【0027】
複数の前記ノズルは、吐出する液体の種類ごとにノズル列を成すように配置されており、複数の前記電極は、前記ノズル列と同じ方向へ並んで電極列を成すように配置されており、前記第1ドライバICおよび前記第2ドライバICは、前記エネルギー発生ユニットの電極が設けられた領域を挟むように前記電極列が延びる方向へ互いに間隔を隔てて配置されており、前記ドライバICの配線構造の共通化配線は、隣接する2つの前記電極列間の領域に対向する位置に配置されている構成であってもよい。
【0028】
この構成では、隣接する2つの電極列間の領域に対向する位置に電極列と平行に延びる帯状領域を確保することが可能であり、当該帯状領域を利用して共通化配線をコンパクトに配設することができる。
【0029】
前記第1ドライバICおよび前記第2ドライバICは、前記電極列に対して直交する方向へ長く延びるように配置されており、前記第1ドライバICの長手方向端縁には、前記第2ドライバICで用いられる入力信号を出力する少なくとも1つの中継出力端子が設けられており、前記第1ドライバICにおける前記中継出力端子が設けられた側と同じ側に位置する前記第2ドライバICの長手方向端縁には、前記中継出力端子から出力された入力信号を入力する少なくとも1つの入力端子が設けられている、請求項9または10に記載の液滴吐出装置。
【0030】
この構成では、中継出力端子から出力された入力信号を第2ドライバICへ与えるための電気経路を、従来では使用していなかった空スペースを利用してコンパクトに配設することができる。
【0031】
前記複数のノズルは、吐出する液体の種類ごとに前記ノズル列を成すように配置されており、異なる種類の液体を吐出する2つのノズル列間に位置する帯状領域の少なくとも1つは、同じ種類の液体を吐出する2つのノズル列間に位置する帯状領域よりも幅広の幅広帯状領域となっており、前記幅広帯状領域に対応する位置に前記共通化配線が配設されている構成であってもよい。
【0032】
この構成では、幅広帯状領域に対応する位置に多数の共通化配線をコンパクトに配設することができる。たとえば、カラーのインクジェットプリンタを停止した状態では、「黒色」に対応するノズル列と「他の色」に対応するノズル列との間にノズルキャップの仕切板が配置されるため、これらのノズル列間に位置する帯状領域は、他のノズル列間に位置する帯状領域よりも幅広の「幅広帯状領域」となっており、この「幅広帯状領域」に対応する位置に多数の共通化配線をコンパクトに配設することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、以上に説明したように構成され、フレキシブル配線基板における一群の出力配線と他の一群の出力配線とを異なる方向へ引き出すようにしているので、ノズルの高密度化に伴う出力配線数の増大に容易に対応することができる。また、フラットケーブル(FPC、FFC)の数を1つにすることができるので、フラットケーブルを引き回す際の作業性を高めることができる。さらに、入力配線の総数を減らすことによって、フラットケーブルの配線の総数を減らすことができるので、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1実施形態に係るインクジェットプリンタの構成を示す平面図
【図2】第1実施形態に係るインクジェットプリンタで使用されるインク吐出ヘッドの構成を示す平面図
【図3】第1実施形態に係るインクジェットプリンタで使用されるインク吐出ヘッドの一部の構成を示す分解斜視図
【図4】第1実施形態に係るインクジェットプリンタで使用されるインク吐出ヘッドの一部の構成を示す主走査方向Xの部分断面図
【図5】第1実施形態に係るインクジェットプリンタで使用されるインク吐出ヘッドの一部の構成を示す副走査方向Yの部分断面図
【図6】第1実施形態に係るインクジェットプリンタで使用されるフレキシブル配線基板(COF)の構成を示す底面図
【図7】第1実施形態に係るインクジェットプリンタで使用されるフレキシブル配線基板(COF)を含む電気回路の全体構成を示す回路図
【図8】第1実施形態に係るインクジェットプリンタで使用されるドライバICの配線構造を示す回路図
【図9】第1実施形態に係るインクジェットプリンタで使用されるドライバICの配線構造を示す断面図
【図10】第1実施形態に係るインクジェットプリンタで使用されるドライバICの配線構造の要部を示す部分拡大図
【図11】第1実施形態に係るインクジェットプリンタで使用されるドライバICの配線構造におけるソルダポイントを示す部分拡大図
【図12】フレキシブル配線基板(COF)における入力端子数の低減効果を示す表
【図13】第2実施形態に係るインクジェットプリンタで使用されるドライバICの配線構造を示す回路図
【図14】第3実施形態に係るインクジェットプリンタで使用されるドライバICの配線構造を示す回路図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明の好ましい実施形態に係る「液滴吐出装置」について図面を参照しながら説明する。本発明の好ましい実施形態に係る「ドライバICの配線構造」については、「液滴吐出装置」の一部に使用されていることから、「液滴吐出装置」の説明の中で言及する。
【0036】
なお、以下の各実施形態では、本発明を「エネルギー発生ユニット」としての「アクチュエータユニット」を用いてインク(液体)を吐出させる方式の「インクジェットプリンタ」に適用しているが、本発明は、「発熱体で加熱したときの圧力」を用いてインク(液体)を吐出させる方式の「インクジェットプリンタ」や、カラーフィルタ製造装置において着色液(液体)を吐出させる「着色液吐出装置」や、電気配線装置において導電液(液体)を吐出させる「導電液吐出装置」のような他の「液滴吐出装置」にも適用可能である。本発明をインクジェットプリンタ以外の「液滴吐出装置」に適用する場合には、以下の説明における「インク」を「液体」に読み替えるとともに、「インクの色」を「液体の種類」に読み替えるものとする。また、以下の説明で用いる「下」とは、インクを吐出する方向を意味し、「上」とは、その反対の方向を意味するものとする。
【0037】
(第1実施形態)
[液滴吐出装置の全体構成]
図1は、第1実施形態に係る「液滴吐出装置」としてのインクジェットプリンタ10の構成を示す平面図である。インクジェットプリンタ10は、図1に示すように、用紙Pに対してインクを吐出することによって、用紙Pの表面に画像を形成するものであり、インクを吐出するインク吐出ヘッド12と、インク吐出ヘッド12にインクを供給するインク供給部14と、インク吐出ヘッド12を往復移動させる走査部16と、インク吐出ヘッド12の走査領域Sへ用紙Pを搬送する用紙搬送部18と、画像形成のための各種の制御を実行する制御部20とを備えている。本実施形態では、特に、インク吐出ヘッド12の構成に特徴があることから、以下には、先ず、インク供給部14、走査部16、用紙搬送部18および制御部20の構成について簡単に説明し、その後、インク吐出ヘッド12の構成について詳細に説明する。
【0038】
[インク供給部の構成]
インク供給部14は、図1に示すように、ブラック(BK)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)およびシアン(C)の4色のインクを収容する4つのインクタンク22a〜22dと、インク吐出ヘッド12に供給される上記4色のインクを個別に収容する4つのダンパ室(図示省略)を有するダンパ装置24と、インクタンク22a〜22dのそれぞれとダンパ装置24の各ダンパ室とを1対1で連通する4つのインクチューブ26a〜26dとを有しており、ダンパ装置24がインク吐出ヘッド12の上方における後述するキャリッジ28内に配置されており、インクタンク22a〜22dのそれぞれがインク吐出ヘッド12よりも下方の所定位置に配置されている。インク吐出ヘッド12へインクを供給する際には、インクタンク22a〜22d内のインクがインクチューブ26a〜26dを介してダンパ装置24の対応するダンパ室へ供給され、当該ダンパ室からインク吐出ヘッド12の対応するインク流路N1〜N4(図3)へ供給される。
【0039】
[走査部の構成]
走査部16は、図1に示すように、インク吐出ヘッド12およびダンパ装置24を保持するキャリッジ28と、キャリッジ28を案内する2つの長尺板状のガイドレール30a,30bと、一方のガイドレール30aの長手方向一方端部に設けられた主動プーリ32aと、当該レール30aの長手方向他方端部に設けられた従動プーリ32bと、主動プーリ32aと従動プーリ32bとの間に掛け渡された環状の駆動ベルト34と、主動プーリ32aに回転力を付与する駆動モータ36とを有しており、駆動ベルト34に対してキャリッジ28が固定されている。駆動モータ36によって手動プーリ32aを回転させると、主動プーリ32aの回転に伴って駆動ベルト34が回転され、駆動ベルト34に固定されたキャリッジ28がレール30a,30bに沿って直線状に往復移動される。
【0040】
なお、以下の説明においては、キャリッジ28が移動される方向を「主走査方向X」といい、「主走査方向X」に対して直交する方向を「副走査方向Y」ということにする。
【0041】
[用紙搬送部の構成]
用紙搬送部18は、用紙Pを副走査方向Yへ搬送する用紙搬送路Rと、用紙搬送路Rにおける走査領域Sよりも上流側に配置された上流側搬送ローラ38aと、用紙搬送路Rにおける走査領域Sよりも下流側に配置された下流側搬送ローラ38bと、これらの搬送ローラ38a,38bを所定のタイミングで回転駆動する駆動モータ(図示省略)とを有している。駆動モータで搬送ローラ38a,38bを回転させることによって、用紙Pを走査領域Sへ搬送すると、当該用紙Pの上面がキャリッジ28に搭載されたインク吐出ヘッド12の下面に対向するようになり、当該用紙Pの上面に対する画像形成が可能になる。
【0042】
[制御部の構成]
制御部20は、走査部16の駆動モータ36、用紙搬送部18の駆動モータ(図示省略)およびインク吐出ヘッド12のアクチュエータユニット48等の駆動部品を制御するものであり、図7に示すように、フラットケーブル106、キャリッジ基板104およびフラットケーブル102を介してフレキシブル配線基板(COF)50に電気的に接続されている。制御部20は、制御回路40と、高圧電源回路42と、低圧電源回路44とを有している。これらのうち、制御回路40は、各種の演算処理を実行する中央演算装置(CPU)と、各種のプログラムまたはデータを記憶する記憶装置(RAM、ROM)とを有しており、制御回路40から出力される各種の制御信号に基づいて各駆動部品が制御される。高圧電源回路42は、インク吐出ヘッド12に対して高圧の電源電圧を付与するものであり、低圧電源回路44は、インク吐出ヘッド12に対して低圧の電源電圧を付与するものであるが、これらについてはインク吐出ヘッド12の説明の中で言及する。
【0043】
[インク吐出ヘッドの構成]
図2は、インク吐出ヘッド12の構成を示す平面図であり、図3は、インク吐出ヘッド12の一部の構成を示す分解斜視図であり、図4は、インク吐出ヘッド12の内部の構成を示す主走査方向Xの部分断面図であり、図5は、インク吐出ヘッド12の内部の構成を示す副走査方向Yの部分断面図である。インク吐出ヘッド12は、インクタンク22a〜22d(図1)から供給されたインクを制御部20(図7)から付与された制御信号に基づいて複数のノズル66(図4)から用紙Pの上面へ向けて選択的に吐出するものであり、図2および図3に示すように、流路ユニット46と、アクチュエータユニット48と、フレキシブル配線基板(COF)50とを備えている。
【0044】
<流路ユニットの構成>
流路ユニット46は、図4および図5に示すように、圧力室プレート52、アパーチャプレート54、接続流路プレート56、マニホールドプレート58およびノズルプレート60の5枚のプレートを積層することによって構成された積層体であり、これらのプレート52〜60には、エッチングまたはレーザー加工等によって「凹部」または「貫通孔」が形成されている。そして、流路ユニット46の内部には、これらの「凹部」または「貫通孔」が互いに連通されることによって、インクを色ごとに溜める複数(本実施形態では4つ)のマニホールド62と、マニホールド62のそれぞれへインクを供給する4つのインク供給口64と、マニホールド62内のインクを外部へ吐出する複数のノズル66と、複数のノズル66のそれぞれに連通する複数の圧力室68と、マニホールド62と圧力室68とを連通するアパーチャ70とが構成されている。つまり、流路ユニット46の内部には、4つのインク供給口64のそれぞれから1つのマニホールド62、複数のアパーチャ70および複数の圧力室68を経て複数のノズル66へ至る4つのインク流路N1〜N4(図3)がインクの色ごとに構成されている。そして、インク供給口64のそれぞれには、インクに含まれる塵埃や気泡を除去するためのフィルタ65(図3)が取り付けられている。
【0045】
流路ユニット46の下面(ノズル面)の全体を見たとき、インク流路N1〜N4のそれぞれを構成する複数のノズル66は、図3に示すように、吐出するインクの色ごとに副走査方向Yへ延びるノズル列72を成すように1列または複数列(本実施形態では2列)に配置されており、全てのノズル列72は、主走査方向Xへ並んで互いに平行に配置されている。これにより、隣接する2つのノズル列72間には、副走査方向Yへ延びる「帯状領域」が構成されており、異なる色のインクを吐出する2つのノズル列72間に位置する帯状領域Q1のうち少なくとも1つ(本実施形態では全て)は、同じ色のインクを吐出する2つのノズル列72間に位置する帯状領域Q2よりも幅広の「幅広帯状領域」となっている。本実施形態では、ブラックインクを吐出するインク流路N1のノズル列72と他の色のインク(マゼンダインク)を吐出するインク流路N2のノズル列72との間に位置する帯状領域Q1にノズルキャップの仕切板(図示省略)を配置するために、当該帯状領域Q1が最も幅の広い「幅広帯状領域」となっている。
【0046】
<アクチュエータユニットの構成>
アクチュエータユニット48は、図4および図5に示すように、流路ユニット46における圧力室68の内部上面68aを構成するとともに、複数の圧力室68内のインクに吐出圧を選択的に付与するものであり、ボトム層74と中間層76とトップ層78とを積層することによって構成されている。ボトム層74、中間層76およびトップ層78のそれぞれは、厚さ20μm程度の強誘電性の材料(PZT等)からなる圧電プレートであり、トップ層78の上面(一方面)には、圧力室68のそれぞれに対応する複数の個別電極80と、個別電極80のそれぞれに電気的に導通する複数の表面電極(電極)82とが形成されており、中間層76の上面には、個別電極80に対応する複数の第1定電位電極84が形成されており、ボトム層74の上面には、第2定電位電極86が形成されている。個別電極80は、トップ層78の上面における圧力室68と対向する位置に配置されており、複数の表面電極82は、圧力室68と対向する位置から外れた位置に副走査方向Yへ延びる複数の電極列88(図3)を成すように配置されている。各電極列88は、ノズル66に対して1対1の関係で対応しており、2つのノズル列72間の間隔が広くなっている領域、すなわち「幅広帯状領域」に対応する領域では、図3に示すように、2つの電極列88間の間隔も広くなっている。第1定電位電極84は、副走査方向Yへ延びる電極列を成すように配置されており、アクチュエータユニット48に含まれる全ての第1定電位電極84には、共通の第1定電位(たとえば28V)が付与される。第1定電位電極84の副走査方向Yの長さは、図5に示すように、個別電極80の副走査方向Yの長さよりも短く設計されている。したがって、個別電極80における副走査方向Yの中央部では、個別電極80、第1定電位電極84および第2定電位電極86が積層方向に重複しており、個別電極80と第1定電位電極84との間に「駆動部」としての第1活性部90が構成されている。第2定電位電極86は、副走査方向Yに並ぶ複数の圧力室68に対向するように、副走査方向Yへ延びる帯状に形成されており、アクチュエータユニット48に含まれる全ての第2定電位電極86には、共通の第2定電位(たとえば0V)が付与される。個別電極80における副走査方向Yの両端部では、図5に示すように、個別電極80と第2定電位電極86とが第1定電位電極84を挟むことなく積層方向に重複しており、当該両端部における個別電極80と第2定電位電極86との間に「駆動部」としての第2活性部92が構成されている。つまり、中間層76とトップ層78とが連続して積層された部分が圧電層として機能している。なお、ボトム層74は、いわゆる「振動板」として機能するため、このボトム層74は、必ずしも圧電材料から圧電プレートである必要はない。
<フレキシブル配線基板の全体構成>
図6は、フレキシブル配線基板50の構成を示す底面図(下面図)であり、図7は、フレキシブル配線基板50を含む電気回路の全体構成を示す回路図である。フレキシブル配線基板50は、図6に示すように、可撓性の合成樹脂材料(ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等)からなるベース材96の下面側に、2つのドライバIC100A,100Bを含むドライバICの配線構造98(図8)を構成するとともに、ベース材96の下面に配設された各種配線をソルダレジストなどの絶縁材(図示省略)で被覆したものであり、いわゆる「COF(チップ・オン・フィルム)」と称されるものである。そして、フレキシブル配線基板50には、図7に示すように、1つのフラットケーブル(FPC)102が電気的に接続されており、このフラットケーブル(FPC)102がキャリッジ基板104およびフラットケーブル(FFC)106を介して制御部20に電気的に接続されている。フレキシブル配線基板50は、いわゆる「片面プリント基板」である。
【0047】
ドライバICの配線構造98は、制御回路40(図7)からフレキシブル配線基板50へ入力された「制御信号」と低圧電源回路44からフレキシブル配線基板50へ入力された「低圧系電源電圧」とを第1ドライバIC100Aと第2ドライバIC100Bとに振り分けるとともに、高圧電源回路42からフレキシブル配線基板50へ入力された「高圧系電源電圧」をアクチュエータユニット48と第1ドライバIC100Aと第2ドライバIC100Bとに振り分け、さらに、第1ドライバIC100Aおよび第2ドライバIC100Bのそれぞれで生成された「駆動信号」をアクチュエータユニット48の複数の表面電極82に振り分けるものである。
【0048】
図8および図12に示すように、制御回路40から出力される「制御信号」は、具体的には、アクチュエータユニット48の駆動態様を指定する6つの波形信号FIRE1〜FIRE6と、第1ドライバIC100Aから出力される「駆動信号」の波形をチャンネルごとに指示する4つの指示信号SIN0A〜SIN3Aと、第2ドライバIC100Bから出力される「駆動信号」の波形をチャンネルごとに指示する4つの指示信号SIN0B〜SIN3Bと、第1ドライバIC100Aの温度を検出する温度検出信号VTEMPAと、第2ドライバIC100Bの温度を検出する温度検出信号VTEMPBと、クロック信号CLKである。高圧電源回路42から出力される「高圧系電源電圧」は、具体的には、第1定電位電極84に付与される2つの第1定電位電圧VCOM(28V)と、第2定電位電極86に付与される2つの第2定電位電圧COM(0V)と、第1ドライバIC100Aおよび第2ドライバIC100Bのそれぞれに付与される2つの高圧系駆動電圧VDD2(28V)と、第1ドライバIC100Aおよび第2ドライバIC100Bのそれぞれに付与される2つの高圧系接地電圧VSS2(0V)である。そして、低圧電源回路44から出力される「低圧系電源電圧」は、具体的には、第1ドライバIC100Aおよび第2ドライバIC100Bのそれぞれに付与される2つの低圧系駆動電圧VDD1(3.3V)と、第1ドライバIC100Aおよび第2ドライバIC100Bのそれぞれに付与される2つの低圧系接地電圧VSS1(0V)である。
【0049】
従来(特許文献3)では、図12に示すように、2つのドライバICのそれぞれに対して、制御信号(FIRE1〜FIRE6、VTEMP、SIN0〜SIN3、CLK)、高圧系電源電圧(VDD2、VSS2)および低圧系電源電圧(VDD1、VSS1)が別々に付与されており、また、アクチュエータユニットに付与される高圧系電源電圧(VCOM、COM)についても、2つのドライバICのそれぞれに対して別々に付与されていたので、フレキシブル配線基板(COF)の入力側端部では、その入力端子の数が合計44pin必要となり、フレキシブル配線基板(COF)の入力側端部の幅およびフラットケーブル(FPC、FFC)の幅が広くなり過ぎてしまう。この点、本実施形態では、以下のようなドライバICの配線構造98を用いているので、フレキシブル配線基板(COF)50の入力端子108(図8)の数を合計27pinにまで減らすことが可能であり、フレキシブル配線基板(COF)およびフラットケーブル(FPC、FFC)の幅を狭くすることができる。
【0050】
なお、以下の説明では、第1ドライバIC100Aおよび第2ドライバIC100Bに入力される「制御信号(FIRE1〜FIRE6、VTEMPA、VTEMPB、SIN0A〜SIN3A、SIN0B〜SIN3B、CLK)」と「低圧系電源電圧(VDD1、VSS1)」とを合わせて「入力信号」といい、これらの「入力信号」のうち、第1ドライバIC100Aだけで使用される信号(VTEMPA、SIN0A〜SIN3A)を「第1入力信号」といい、第2ドライバIC100Bだけで使用される信号(VTEMPB、SIN0B〜SIN3B)を「第2入力信号」といい、2つのドライバIC100A,100Bで共通に使用される信号(FIRE1〜FIRE6、VDD1、VSS1、CLK)を「共通入力信号」という。
【0051】
<ドライバICの配線構造の構成>
図8は、ドライバICの配線構造98を示す回路図であり、図9は、ドライバICの配線構造98を示す断面図であり、図10は、ドライバICの配線構造98の要部を示す部分拡大図である。ドライバICの配線構造98は、図8に示すように、複数の出力配線110と、第1ドライバIC100Aと、第2ドライバIC100Bと、複数の入力配線112a〜112cと、複数の共通化配線114と、複数の中継配線116と、複数の電源配線118a〜118fとを有している。
【0052】
複数の出力配線110は、図8に示すように、各ドライバIC100A、100Bと、インク吐出ヘッド12を構成するアクチュエータユニット48の複数の表面電極82とを接続する配線であり、複数の表面電極82に1対1で電気的に接続され、複数の表面電極82のそれぞれに対応する複数の活性部90,92に「駆動信号」を付与する配線である。複数の出力配線110のうち、一群の出力配線110は、複数の表面電極82が形成された領域Tから主走査方向Xの一方側へ引き出されており、他の一群の出力配線110は、複数の表面電極82が形成された領域Tから主走査方向Xの他方側へ引き出されており、各出力配線110の出力側端部には、図6に示すように、表面電極82に電気的に接続される接続ランド110aが形成されている。
【0053】
第1ドライバIC100Aは、図8に示すように、副走査方向Yへ延びる平面視略長方形に設計されており、図10に示すように、第1ドライバIC100Aの下面における幅方向(主走査方向X)一方端縁には、「第1入力信号」を入力する第1入力信号端子120aと、「第2入力信号」を入力する第2入力信号端子120bと、「共通入力信号」を入力する第1共通入力信号端子120cとが長手方向(副走査方向Y)へ並んで配置されている。「第1入力信号端子120a」、「第2入力信号端子120b」および「第1共通入力信号端子120c」のそれぞれは、第1ドライバIC100Aに「入力信号」を入力する機能を有する点において「第1入力端子」である。
【0054】
また、第1ドライバIC100Aの下面における幅方向他方端縁には、「駆動信号」を出力する複数の出力端子122が長手方向へ並んで配置されており、幅方向中央部には、「電源電圧」を入力する複数の電源端子124が長手方向へ並んで配置されている。そして、第1ドライバIC100Aの下面における長手方向一方端縁には、第2入力信号端子120bおよび第1共通入力信号端子120cから入力された「第2入力信号」および「共通入力信号」をそのまま出力する複数の中継出力端子126が幅方向へ並んで配置されている。
【0055】
そして、第1ドライバIC100Aの内部には、図8に示すように、「駆動信号」を生成する第1駆動信号生成部128と、第1入力信号端子120aまたは第1共通入力信号端子120cから第1駆動信号生成部128へ至る第1駆動電気経路130aと、第1共通入力信号端子120cから中継出力端子126(すなわち、共通化配線114)へ至る第1共通化電気経路130bと、第2入力信号端子120bから中継出力端子126へ至る中継電気経路130cと、電源端子124から第1駆動信号生成部128へ至る電源電圧経路130d(図9)とが構成されており、第1共通入力信号端子120cから第1駆動信号生成部128へ至る第1駆動電気径路130aと、第1共通入力信号端子120cから共通化配線114へ至る第1共通化電気径路130bとが第1ドライバIC100Aの内部において分岐されている。また、第1駆動電気経路130a、第1共通化電気経路130bまたは中継電気経路130cのうち少なくとも1つが、図9に示すように、電源電圧経路130dに対して立体的に交差して配設されている。したがって、ドライバIC用の電源電圧(VDD2、VSS2)を供給する電源配線118c,118dが第1ドライバIC100Aの長手方向全長に亘って配設されている場合でも、第1駆動電気経路130a、第1共通化電気経路130bまたは中継電気経路130cのうち少なくとも1つを、電源電圧経路130dを飛び越えるようにして配設することが可能であり、電源電圧経路130dが他の電気経路130a〜130cを配設する際の妨げになるのを防止することができる。第1駆動電気経路130a、第1共通化電気経路130bまたは中継電気経路130cを立体的に配設する方法としては、たとえば、第1ドライバIC100Aの上層部にこれらの電気経路130a〜130cに対応するパターンを形成するとともに、上層部と下層部との間にスルーホールを形成し、当該スルーホールに充填された導電性材料を介して上層部のパターンと下層部の端子120a〜120c,122,126とを電気的に接続する方法を用いることができる。
【0056】
このような第1ドライバIC100Aは、その長手方向中央部を挟んだ両側において線対象となるように構成されており、第1ドライバIC100Aの長手方向他方端縁にも、中継出力端子126と同じ構成の端子(図示省略)が設けられており、また、第1駆動電気経路130a、第1共通化電気経路130bおよび中継電気経路130cと同じ構成の電気径路(図示省略)が設けられている。
【0057】
第2ドライバIC100Bは、第1ドライバIC100Aとの間における特性のばらつきを小さく抑えるために、第1ドライバIC100Aと同一構造に構成されている。第2ドライバIC100Bの長手方向一方端縁には、図8に示すように、複数の第2入力信号端子132bおよび複数の第2共通入力信号端子132cが幅方向へ並べて配置されており、複数の中継配線116の出力側端部が複数の第2入力信号端子132bに1対1で電気的に接続されており、複数の共通化配線114の出力側端部が複数の第2共通入力信号端子132cに1対1で電気的に接続されている。
【0058】
第1ドライバIC100Aおよび第2ドライバIC100Bは、複数の出力端子122が形成された側の幅方向端縁どうしが対向するようにして、アクチュエータユニット48の複数の表面電極82が形成された領域Tを挟むように配設されており、第1ドライバIC100Aの複数の出力端子122が一群の出力配線110と電気的に接続されており、第2ドライバIC100Bの複数の出力端子122が他の一群の出力配線110と電気的に接続されている。
【0059】
複数の入力配線112a〜112cは、具体的には、「第1入力信号」が流れる第1入力配線112aと、「第2入力信号」が流れる第2入力配線112bと、「共通入力信号」が流れる共通入力配線112cであり、第1入力配線112aの出力側端部が第1ドライバIC100Aの第1入力信号端子120aに電気的に接続されており、第2入力配線112bの出力側端部が第1ドライバIC100Aの第2入力信号端子120bに電気的に接続されており、共通入力配線112cの出力側端部が第1ドライバIC100Aの第1共通入力信号端子120cに電気的に接続されている。そして、第1入力配線112a、第2入力配線112bおよび共通入力配線112cのそれぞれの入力側端部が、同一直線上に並んで配置されており、これらの入力側端部には、フラットケーブル(FPC)102に設けられた複数の配線がベース材96の一方端縁に配設された複数の入力端子108(図8)を介して電気的に接続されている。
【0060】
複数の共通化配線114は、共通入力信号を出力する第1ドライバIC100Aの複数の中継出力端子126と共通入力信号を入力する第2ドライバIC100Bの複数の第2共通入力信号端子132cとを1対1で電気的に接続する配線である。本実施形態では、共通化配線114の入力側端部が接続される複数の中継出力端子126と共通化配線114の出力側端部が接続される複数の第2共通入力信号端子132cとが第1ドライバIC100Aおよび第2ドライバIC100Bのそれぞれの長手方向における同じ側の端部に配設されている。したがって、複数の中継出力端子126と複数の第2共通入力信号端子132cとを短距離で接続することが可能であり、製造コストを低減できるとともに、小型化を図ることができる。
【0061】
また、複数の共通化配線114のうち低圧系接地電圧VSS1(0V)を共通化するものは、複数の表面電極82が形成された領域Tに最も近接して配設されているので、領域Tに存在する出力配線110と他の共通化配線114との間でクロストーク(電気的ノイズ)が発生するのを防止することができる。
【0062】
複数の中継配線116は、第2入力信号を出力する第1ドライバIC100Aの複数の中継出力端子126と第2入力信号を入力する第2ドライバIC100Bの複数の第2入力信号端子132bとを1対1で電気的に接続する配線である。第2入力信号は、第2ドライバIC100Bの第2駆動信号生成部134に付与されるものであるが、第2入力信号端子132bに電気的に接続された中継電気経路135cの出力側端部は端子136に接続されているに過ぎないので、このままでは、第2入力信号を第2駆動信号生成部134に付与することはできない。そこで、本実施形態では、当該端子136と入力端子138とを第2ドライバIC100Bの外部の配線140で電気的に接続することによって、第2入力信号を第2駆動信号生成部134に付与するようにしている。「第2入力信号端子132b」、「第2共通入力信号端子132c」および「入力端子138」のそれぞれは、第2ドライバIC100Bに「入力信号」を入力する機能を有する点において「第2入力端子」である。
【0063】
複数の電源配線118a〜118f(図8)は、具体的には、アクチュエータユニット48の第1定電位電極84(図5)に第1定電位電圧VCOM(28V)を与えるための2つの第1定電位配線118aと、アクチュエータユニット48の第2定電位電極86(図5)に2つの第2定電位電圧COM(0V)を与えるための2つの第2定電位配線118bと、第1ドライバIC100Aに高圧系駆動電圧VDD2(28V)を与えるためのループ状の第1駆動電圧配線118cと、第1ドライバIC100Aに高圧系接地電圧VSS2(0V)を与えるためのループ状の第1接地電圧配線118dと、第2ドライバIC100Bに高圧系駆動電圧VDD2(28V)を与えるためのループ状の第2駆動電圧配線118eと、第2ドライバIC100Bに高圧系接地電圧VSS2(0V)を与えるためのループ状の第2接地電圧配線118fとで構成されており、第2駆動電圧配線118eおよび第2接地電圧配線118fは、ベース材96の下面において第1駆動電圧配線118cおよび第1接地電圧配線118dから分岐されている。
【0064】
複数の電源配線118a〜118fのうち高圧系接地電圧VSS2(0V)用の第2接地電圧配線118fは、第1定電位電圧VCOM(28V)用の第1定電位配線118aおよび高圧系駆動電圧VDD2(28V)用の第2駆動電圧配線118eよりも中継配線116に近接して配設されているので、第1定電位配線118aまたは第2駆動電圧配線118eと中継配線116との間でクロストーク(電気的ノイズ)が発生するのを防止することができる。
【0065】
2つの第1定電位配線118aと2つの第2定電位配線118bとは、アクチュエータユニット48を挟んで副走査方向Yの両側にそれぞれ配設されており、これにより、アクチュエータユニット48の内部における電圧のバランスが図られている。また、ループ状の第1駆動電圧配線118cとループ状の第1接地電圧配線118dとは、第1駆動信号生成部128の下方においてその長手方向の全長に亘って配設されており、ループ状の第2駆動電圧配線118eとループ状の第2接地電圧配線118fとは、第2駆動信号生成部134の下方においてその長手方向の全長に亘って配設されており、これにより、第1ドライバIC100Aおよび第2ドライバIC100Bの内部における電圧のバランスが図られ、吐出特性に電気的影響が起こらないようになっている。そして、第1定電位配線118a、第2定電位配線118b、第1駆動電圧配線118cおよび第1接地電圧配線118dのそれぞれの入力側端部が、ベース材96の一方端縁に直線状に並んで配設された複数の入力端子108のそれぞれに1対1で電気的に接続されている。
【0066】
第1定電位配線118aの電位と第1駆動電圧配線118cの電位とは同電位であり、第2定電位配線118bの電位と第1接地電圧配線118dの電位とは同電位であることから、図11に示すように、フラットケーブル(FPC)102においては、第1定電位配線118aおよび第1駆動電圧配線118cのそれぞれに対応する2つの電圧配線142aおよび142cがソルダポイント144で短絡されており、これにより、「アクチュエータ用の電源配線」である第1定電位配線118aと「ドライバIC用の電源配線」である第1駆動電圧配線118cとが電気的に接続されている。また、第2定電位配線118bおよび第1接地電圧配線118dのそれぞれに対応する2つの電圧配線142bおよび142dがソルダポイント146で短絡されており、これにより、「アクチュエータ用の電源配線」である第2定電位配線118bと「ドライバIC用の電源配線」である第1接地電圧配線118dとが電気的に接続されている。そして、電圧配線142aまたは142cのいずれか一方(本実施形態では電圧配線142a)については、ソルダポイント144よりも入力側の部分が省略されており、電圧配線142aおよび142cの共通化による製造コストの低減が図られている。
【0067】
ソルダポイント144および146は、図11に示すように、電気的に分断された配線をハンダ等の導電性材料からなる短絡材148で短絡させる短絡点であり、ソルダポイント144が分断された状態において、個別電極80と第1定電位電極84との間に電圧を付与することによって第1活性部90が分極され、ソルダポイント146が分断された状態において、個別電極80と第2定電位電極86との間に電圧を付与することによって第2活性部92が分極される。そして、分極処理後には、ソルダポイント144および146のそれぞれが短絡材148で短絡され、第1定電位電極84および第2定電位電極86に対して所定電位の電圧が付与される。分極処理時にソルダポイント144および146を電気的に分断するのは、分極処理時に付与される分極電圧(たとえば33V)によって第1ドライバIC100Aおよび第2ドライバIC100Bが破壊されるのを防止するためである。なお、ソルダポイント144および146を設ける位置は、フラットケーブル(FPC)102上に限定されるものではなく、フレキシブル配線基板(COF)50上であってもよいし、キャリッジ基板104上であってもよいが、ノイズの発生を防止する観点からは、第1ドライバIC100Aおよび第2ドライバIC100Bにできるだけ近接した位置であることが望ましい。
【0068】
[液滴吐出装置の動作]
インクジェットプリンタ10(図1)を用いて用紙Pの表面に画像を印刷する際には、第1ドライバIC100Aおよび第2ドライバIC100Bのそれぞれで生成された駆動信号を複数の個別電極80に対して選択的に印加する。すると、駆動信号が印加された個別電極80に対応する第1活性部90(図5)に電界が作用し、当該第1活性部90が厚さ方向(すなわち分極方向)に対して直交する方向に収縮され、中間層76およびトップ層78の全体が下側へ凸となるように変形される。このとき、ボトム層74の下面は圧力室68の内部上面68aを構成しているので、当該下面は圧力室68の内側へ出っ張るように変形され、これにより圧力室68の容積が縮小される。したがって、圧力室68の内部に存在するインクには、駆動信号に応じたタイミングで圧力が付与され、当該圧力によって加圧されたインクがノズル孔66(図4)から用紙Pの表面へ吐出される。ノズル孔66からインクが吐出されると、インク流路N1〜N4内には負圧が生じるため、インクチューブ26a〜26d内のインクがフィルタ65およびインク供給口64を通してインク流路N1〜N4内へ引き込まれる。
【0069】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態に係るインクジェットプリンタで使用されるドライバICの配線構造150を示す回路図である。このドライバICの配線構造150では、「第2入力信号」および「共通化信号」をそのまま出力する複数の中継出力端子126が、第1ドライバIC152Aの幅方向端縁に複数の出力端子122と共に一列に並べて配置されており、第2ドライバIC152Bにおいては、第1ドライバIC152Aの中継出力端子126と構成上対応する端子(第2入力端子)132が、幅方向端縁に複数の出力端子122と共に一列に並べて配置されている。そして、第1ドライバIC152Aの中継出力端子126と第2ドライバIC152Bの端子(第2入力端子)132とを電気的に接続する共通化配線114および中継配線116が、上記帯状領域Q1(図3)のうちの「幅広帯状領域」に対応する位置において、2つの表面電極列88間の領域に対向して配置されている。したがって、第2実施形態によれば、共通化配線114および中継配線116を配設するスペースを複数の表面電極82が形成された領域Tの外側に確保する必要がなく、これらを極めてコンパクトに配設することができる。
【0070】
(第3実施形態)
図14は、第3実施形態に係るインクジェットプリンタで使用されるドライバICの配線構造160を示す回路図である。第1実施形態におけるドライバICの配線構造98(図8)では、上述したように、第1ドライバIC100Aおよび第2ドライバIC100Bのそれぞれが、それらの長手方向中央部を挟んだ両側において線対象に構成されているが、第3実施形態におけるドライバICの配線構造160(図14)では、第1ドライバIC162Aおよび第2ドライバIC162Bのそれぞれが、それらの長手方向中央部を挟んだ両側において非対象に構成されており、複数の中継出力端子126は長手方向一方端縁にだけ設けられている。したがって、第3実施形態によれば、実際に使用されない電極または電気径路等を設ける必要がないため、第1ドライバIC162Aおよび第2ドライバIC162Bをより小型化することが可能である。
【0071】
なお、以上の実施形態において、アクチュエータユニット48は、1つの個別電極80に対して2つの定電位電極84,86を設けたものであるが、「アクチュエータユニット」の構成は、これに限定されるものではなく、たとえば、1つの個別電極に対して1つの定電位電極を設けたものであってもよい。また、「流路ユニット」の構成につていても、適宜変更が可能であり、たとえば、流路ユニットとアクチュエータユニットとを分離するインク分離層を有するものが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0072】
N1〜N4… インク流路
P… 用紙
Q1,Q2… 帯状領域
R… 用紙搬送路
S… 走査領域
T… 複数の表面電極が形成された領域
10… インクジェットプリンタ(液滴吐出装置)
12… インク吐出ヘッド
20… 制御部
28… キャリッジ
46… 流路ユニット
48… アクチュエータユニット
50… フレキシブル配線基板(COF)
66… ノズル
68… 圧力室
72… ノズル列
80… 個別電極
84… 第1定電位電極
86… 第2定電位電極
88… 表面電極列
90… 第1活性部(駆動部)
92… 第2活性部(駆動部)
98… ドライバICの配線構造
100A… 第1ドライバIC
100B… 第2ドライバIC
110… 出力配線
110a… 接続ランド
112a… 第1入力配線
112b… 第2入力配線
112c… 共通入力配線
114… 共通化配線
116… 中継配線
118a… 第1定電位配線(電源配線)
118b… 第2定電位配線(電源配線)
118c… 第1駆動電圧配線(電源配線)
118d… 第1接地電圧配線(電源配線)
118e… 第2駆動電圧配線(電源配線)
118f… 第2接地電圧配線(電源配線)
120a… 第1入力信号端子(第1入力端子)
120b… 第2入力信号端子(第1入力端子)
120c… 第1共通入力信号端子(第1入力端子)
122… 出力端子
124… 電源端子
126… 中継出力端子
128… 第1駆動信号生成部
130a… 第1駆動電気経路
130b… 第1共通化電気経路
130c… 中継電気経路
130d… 電源電圧経路
132… 端子(第2入力端子)
132b… 第2入力信号端子(第2入力端子)
132c… 第2共通入力信号端子(第2入力端子)
136… 端子
134… 第2駆動信号生成部
138… 端子(第2入力端子)
140… 配線
144,146… ソルダポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから吐出される液体に吐出圧を付与するための複数の駆動部を有するエネルギー発生ユニットを動作させるためのドライバICの配線構造であって、
複数の前記駆動部に対応する複数の電極に対して1対1で電気的に接続され、複数の前記駆動部に駆動信号を付与する複数の出力配線と、
複数の前記出力配線のうち一群の出力配線のそれぞれに電気的に接続される複数の第1出力端子と、入力信号を入力する複数の第1入力端子と、前記第1入力端子から入力された入力信号に基づいて駆動信号を生成するとともに、当該駆動信号を前記第1出力端子のそれぞれから出力する第1駆動信号生成部とを有する第1ドライバICと、
複数の前記出力配線のうち他の一群の出力配線のそれぞれに電気的に接続される複数の第2出力端子と、入力信号を入力する複数の第2入力端子と、前記第2入力端子から入力された入力信号に基づいて駆動信号を生成するとともに、当該駆動信号を前記第2出力端子のそれぞれから出力する第2駆動信号生成部とを有する第2ドライバICとを備え、
前記第1ドライバICおよび前記第2ドライバICは、前記エネルギー発生ユニットの前記電極が設けられた領域を挟むようにして配置されており、
前記第1入力端子の少なくとも1つは、前記第1ドライバICおよび前記第2ドライバICのそれぞれで共通に用いられる共通入力信号が入力される第1共通入力信号端子であり、
前記第2入力端子の少なくとも1つは、前記第1ドライバICおよび前記第2ドライバICのそれぞれで共通に用いられる共通入力信号が入力される第2共通入力信号端子であり、
同じ共通入力信号が入力される前記第1共通入力信号端子と前記第2共通入力信号端子とが前記第1ドライバICおよび前記第2ドライバICのそれぞれの外部に配設された共通化配線を含む電気径路を介して電気的に接続されている、ドライバICの配線構造。
【請求項2】
前記第1共通入力信号端子から前記第1駆動信号生成部へ至る第1駆動電気径路と、前記第1共通入力信号端子から前記共通化配線へ至る第1共通化電気径路とが前記第1ドライバICの内部において分岐されており、
前記第1共通入力信号端子から入力された前記共通入力信号が、前記第1駆動電気径路を経て前記第1駆動信号生成部へ与えられるとともに、前記第1共通化電気径路および前記共通化配線を経て前記第2ドライバICの前記第2駆動信号生成部へ与えられる、請求項1に記載のドライバICの配線構造。
【請求項3】
前記第1ドライバICと前記第2ドライバICとは同一構造に構成されている、請求項1または2に記載のドライバICの配線構造。
【請求項4】
前記第1ドライバICは、前記第1駆動信号生成部に電力を供給する電源電圧経路を有しており、
前記第1駆動電気径路および前記第1共通化電気径路のうちの少なくとも1つは、前記電源電圧経路に対して立体的に交差して配設されている、請求項2または3に記載のドライバICの配線構造。
【請求項5】
前記第1共通入力信号端子および前記第2共通入力信号端子のそれぞれに入力される前記共通入力信号は、前記エネルギー発生ユニットの駆動態様を指定する波形信号を含む、請求項1ないし4のいずれかに記載のドライバICの配線構造。
【請求項6】
前記第1ドライバICだけで使用される入力信号を付与する第1入力配線と、前記第2ドライバICだけで使用される入力信号を付与する第2入力配線と、前記第1ドライバICおよび前記第2ドライバICの両方で共通に使用される共通入力信号を付与する共通入力配線のそれぞれの入力側端部が同一直線上に並べて配置されており、これらの入力側端部のそれぞれに他の配線が電気的に接続される、請求項1ないし5のいずれかに記載のドライバICの配線構造。
【請求項7】
前記第1ドライバICは、前記第2ドライバICだけで使用される入力信号が入力される第2入力信号端子と、当該入力信号を出力する中継出力端子と、前記第2入力信号端子と前記中継出力端子とを電気的に接続する中継電気経路とを有しており、
前記中継出力端子と前記第2ドライバICの前記第2入力端子の1つとを電気的に接続する中継配線が前記共通化配線に沿って配設されている、請求項1ないし6のいずれかに記載のドライバICの配線構造。
【請求項8】
前記エネルギー発生ユニットは、圧電プレートと、前記圧電プレートの一方面に設けられた個別電極と、前記圧電プレートの他方面に設けられた定電位電極とを有するアクチュエータユニットであり、
前記定電位電極に電圧を付与するアクチュエータ用の電源配線と、前記第1駆動信号生成部および前記第2駆動信号生成部に電圧を付与するドライバIC用の電源配線とがソルダポイントにおいて電気的に接続されている、請求項1ないし7のいずれかに記載のドライバICの配線構造。
【請求項9】
液滴を吐出する複数のノズルと前記ノズルのそれぞれに個別に連通された複数の圧力室とを有する流路ユニットと、
前記圧力室のそれぞれに個別に対応する複数の駆動部と前記駆動部のそれぞれに対応する複数の電極とを有し、前記電極に印加された駆動信号に基づいて前記駆動部を選択的に駆動することによって当該駆動部に対応する前記圧力室内の液体に吐出圧を付与するエネルギー発生ユニットと、
請求項1ないし8のいずれかに記載したドライバICの配線構造が組み込まれたフレキシブル配線基板とを備える、液滴吐出装置。
【請求項10】
複数の前記ノズルは、吐出する液体の種類ごとにノズル列を成すように配置されており、
複数の前記電極は、前記ノズル列と同じ方向へ並んで電極列を成すように配置されており、
前記第1ドライバICおよび前記第2ドライバICは、前記エネルギー発生ユニットの電極が設けられた領域を挟むように前記電極列が延びる方向へ互いに間隔を隔てて配置されており、
前記ドライバICの配線構造の共通化配線は、隣接する2つの前記電極列間の領域に対向する位置に配置されている、請求項9に記載の液滴吐出装置。
【請求項11】
前記第1ドライバICおよび前記第2ドライバICは、前記電極列に対して直交する方向へ長く延びるように配置されており、
前記第1ドライバICの長手方向端縁には、前記第2ドライバICで用いられる入力信号を出力する少なくとも1つの中継出力端子が設けられており、
前記第1ドライバICにおける前記中継出力端子が設けられた側の長手方向端縁と同じ側に位置する前記第2ドライバICの長手方向端縁には、前記中継出力端子から出力された入力信号を入力する少なくとも1つの入力端子が設けられている、請求項9または10に記載の液滴吐出装置。
【請求項12】
前記複数のノズルは、吐出する液体の種類ごとに前記ノズル列を成すように配置されており、
異なる種類の液体を吐出する2つのノズル列間に位置する帯状領域の少なくとも1つは、同じ種類の液体を吐出する2つのノズル列間に位置する帯状領域よりも幅広の幅広帯状領域となっており、
前記幅広帯状領域に対応する位置に前記共通化配線が配設されている、請求項9ないし11のいずれかに記載の液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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