説明

ドラフトチャンバー

【課題】 簡易な構成で、室内に設置され科学機材を用いることをできるドラフトチャンバーを提供しようとする。
【解決手段】
従来のドラフトチャンバーにかわって、側部に外側から科学機器にアクセスするための主開口部を設けられた作業空間と下方に向いた上部開口部を持ち前記主開口部より上方に位置する上部空間と上方に向いた下部開口部を持ち前記主開口部より下方に位置する下部空間とを形成する主構造体と、前記主開口部を閉止および開放でき互いの間に隙間空間を形成する二重扉と、室内の雰囲気を前記作業空間に案内する第一案内機材と、前記作業空間の中から気体を排気する第一排気機材と、前記下部空間の中から気体を排気する第二排気機材と、を備えるものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内に設置され科学機材を用いるためのドラフトチャンバーに係る。特に、内部に流れる気体の流路の構成に特徴のあるドラフトチャンバーに関する。
【背景技術】
【0002】
科学機材を用いるのに室内に設置されたドラフトチャンバーを用いる。
例えば、半導体の製造設備や検査設備において、クリーンルーム内に設置されるドラフトチャンバーが用いられる。
半導体用の基板を化学処理させるために、処理容器をドラフトチャンバー内に設置して、処理容器により基板を化学処理する。
化学処理する際に、処理容器からかならずしも人体に無害でないガス等がもれることがある。
一般的に、ドラフトチャンバーの内部の気圧を室内の気圧よりも低くして、さらに、気体の流れをドラフトチャンバーの内部につくる。そのため、室内の雰囲気が、ドラフトチャンバーの内部に流れ込む。
化学処理等を、高度なクリン度を保った雰囲気中で行いたい場合がある。
その様な場合、クリーンベンチとしての機能をもったドラフトチャンバーをクリーンルーム内に設置して用いる。この様な目的でもちいられるドラフトチャンバーをクリーンドラフトチャンバーとも呼称する。
【0003】
クリーンルーム内の雰囲気は、ドラフトチャンバーの天井に設けられたフィルタを通過して、ドラフトチャンバーの内部に流れる。
しかし、クリーンルーム内の雰囲気が、ドラフトチャンバーに存在する隙間からもドラフトチャンバー内へ進入する。特に、ドラフトチャンバーに室内の雰囲気に連通する扉のついた開口部が設けられている場合、扉をあけると、室内の雰囲気がドラフトチャンバー内へ侵入する。
化学処理に要求されるクリーン度がクリーンルーム内のクリーン度よりも高い場合には、この様なドラフトチャンバーでは要求させるクリーン度を維持できなかった。
仮に、ドラフトチャンバーの内部の圧力を室内の圧力よりも高くすると、ドラフトチャンバー内のクリーン度を高く維持することが容易になるが、ドラフトチャンバー内の雰囲気が室内に漏れてしまうという不具合が想定される。
【0004】
例えば、半導体や液晶の製造設備や検査設備において、基板処理装置が使用される。
基板処理装置は、基板を検査するために前処理をする装置である。例えば、基板は、半導体ウエハー、液晶基板等の基板である。半導体ウエハーは、シリコン、ガリウム、炭化ケイ素等のウエハーである。
基板処理査装置は、基板のコンタミネーションを防止するために、簡易で確実な機構が要求される。
また、一部の基板処理装置が、半導体ウエハーの表面に形成された酸化膜や窒化膜等の薄膜の中の、超微量金属元素(例えば、ナトリウム、カリウム、鉄等)の不純物の量を正確に測定する前処理に用いられる。この基板処理装置では、基板を正確に位置決めすることが、不純物の量を正確に測定するために重要である。
【0005】
半導体ウエハーの表面の不純物を正確に測定する目的とその方法を簡単に説明する。
半導体ウエハーの表面に形成された酸化膜や窒化膜等の薄膜中に、不純物が含まれていいると、その不純物の量が微量であっても、半導体素子の電気的特性に大きな影響を与える。
従って、半導体素子の製造設備において、ウエハー表面から不純物の混入をできる限り抑制することが要請されている。
そのために、半導体ウエハーの表面に存在する不純物の量を正確に測定することが行われている。
最近、ウエハー表面に存在する不純物の量を測定するのに用いられていた二次イオン質量分析法やオージェ分光分析法や中性子放射化分析法に代わって、ふっ化物溶液を持ちいて、不純物の量を測定する。例えば、ふっ化物溶液はHF(ふっ化水素)水溶液である。
シリコンウエハーの表面の酸化膜をHF(ふっ化水素)水溶液で溶解する処理をおこなった後で、そのHF(ふっ化水素)水溶液を捕集して、HF(ふっ化水素)水溶液中の不純物を分析することが行われる。捕集したHF(ふっ化水素)水溶液の量が少なくすると、不純物の濃度が高くなり、測定精度が向上するという特徴を有する。
【0006】
基板の酸化膜をHF(ふっ化水素)水溶液で溶解する薄膜溶解法は、種々提唱されており、その代表的なものとして、気相分解法(VPD)と液滴分解法(DADD)がある。
気相分解法(VPD)では、HF(ふっ化水素)水溶液の蒸気に基板を曝し、基板の酸化層を溶解する。
液滴分解法(DADD)では、基板の表面にHF(ふっ化水素)水溶液を滴下し、液滴により基板の酸化膜を溶解する。
その後で、基板の表面にHF(ふっ化水素)水溶液またはHF・HО混合水の液滴を滴下し、その液滴を基板の表面に付着したまま移動する。液滴に酸化膜の中の不純物が捕集される。その液滴中の不純物の量を計測することにより、基板表面の不純物の量を検査する。
【0007】
クリーンルームに据え付けられたドラフトチャンバーの内部で、上記の気相分解法(VPD)や液滴分解法(DADD)を用いて、基板を処理する際には、ドラフトチャンバーの内部の気体をクリーンルームへ洩らさず、クリーンルーム内のクリーン度の低い雰囲気を直接にドラフトチャンバーへ入れないようにすることを要請される。
【0008】
【特許文献1】特開平02−272359号
【特許文献2】特開平02−028533号
【特許文献3】特開平08−233709号
【特許文献4】特開平02−229428号
【特許文献5】特開2001−205110号
【特許文献6】特開2007−038050号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、簡易な構成で、室内に設置され科学機材を用いることをできるドラフトチャンバーを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る室内に設置され科学機材を用いるためのドラフトチャンバーを、科学機器を収納可能な空間であって側部に外側から科学機器にアクセスするための開口である主開口部を設けられた作業空間と下方に向いた開口部である上部開口部を持ち前記主開口部より上方に位置する上部空間と上方に向いた開口部である下部開口部を持ち前記主開口部より下方に位置する下部空間とを形成する主構造体と、前記主開口部を閉止および開放でき互いの間に隙間空間を形成する二重扉と、室内の雰囲気を前記作業空間に案内する第一案内機材と、前記作業空間の中から気体を排気する第一排気機材と、前記下部空間の中から気体を排気する第二排気機材と、を備え、前記二重扉が前記主開口部を閉止した際に、前記上部開口部が前記隙間空間の上部に連通し、前記下部開口部が前記隙間空間の下部に連通する、ものとした。
【0011】
上記本発明の構成により、主構造体が、科学機器を収納可能な空間であって側部に外側から科学機器にアクセスするための主開口部を設けられた作業空間と下方に向いた上部開口部を持ち前記主開口部より上方に位置する上部空間と上方に向いた下部開口部を持ち前記主開口部より下方に位置する下部空間とを形成する。二重扉が、前記主開口部を閉止および開放でき、互いの間に隙間空間を形成する。第一案内機材が、室内の雰囲気を前記作業空間に案内する。第一排気機材が、前記作業空間の中から気体を排気する。第二排気機材が、前期下部空間の中から気体を排気する。前記二重扉が前記主開口部を閉止した際に、前記上部開口部が前記隙間空間の上部に連通し、前記下部開口部が前記隙間空間の下部に連通する。
その結果、前記二重扉が前記主開口部を閉止すると、室内の雰囲気が前記作業空間に入り、その後排気される。また、前記隙間空間の気体が下部空間を経由して排気される。
前記二重扉が前記主開口部を開放すると、主開口部を通して科学機器にアクセスできる。
【0012】
以下に、本発明の実施形態に係る複数のドラフトチャンバーを説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0013】
さらに、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーは、前記二重扉が前記主開口部の上部の領域である上部領域を閉止および開放でき上下方向へ移動自在になった上部二重扉と前記主開口部の残りの下部の領域である下部領域を閉止および開放でき上下方向に移動自在になった下部二重扉とを有する。
上記実施形態の構成により、前記二重扉が上下方向へ移動自在になった前記上部二重扉と前記下部二重扉とで構成され、前記上部二重扉が前記上部領域を閉止および開放でき、前記下部二重扉が前記下部領域を閉止および開放できる。
その結果、前記上部二重扉と前記下部二重扉とを上下移動させて、主開口部を閉止でき、主開口部の必要な領域のみを開放して、科学機器にアクセスできる。
【0014】
さらに、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーは、前記二重扉が前記主開口部の上部の領域である上部領域を閉止および開放でき上下方向へ移動自在になった上部二重扉と前記主開口部の残りの下部の領域である下部領域を閉止および開放でき上下方向に移動自在になった下部二重扉とを有し、前記上部二重扉が前記上部領域を開放した際に前記上部二重扉の少なくとも一部が前記上部空間に収納され、前記下部二重扉が前記下部領域を開放した際に前記下部二重扉の少なくとも一部が前記下部空間に収納される。
上記実施形態の構成により、前記二重扉が上下方向へ移動自在になった前記上部二重扉と前記下部二重扉とで構成され、前記上部二重扉が前記上部領域を閉止および開放でき、
前記下部二重扉が前記下部領域を閉止および開放できる。前記上部二重扉が前記上部領域を開放した際に前記上部二重扉の少なくとも一部が前記上部空間に収納され、前記下部二重扉が前記下部領域を開放した際に前記下部二重扉の少なくとも一部が前記下部空間に収納される。
その結果、前記上部二重扉と前記下部二重扉とを上下移動させて、主開口部を閉止でき、主開口部の必要な領域のみを開放して、科学機器にアクセスできる。また、前記上部二重扉と前記下部二重扉とが、前記上部空間と前記下部空間に収納されるので、ドラフトチャンバーをコンパクトにできる。
【0015】
さらに、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーは、前記二重扉が前記主開口部の上部の領域である上部領域を閉止および開放でき上下方向へ移動自在になった上部二重扉と前記主開口部の残りの下部の領域である下部領域を閉止および開放でき上下方向に移動自在になった下部二重扉とを有し、前記上部二重扉が前記上部領域を閉止した際に前記上部開口部の縁に接触して気密を保持する上部シール部を有し、前記下部二重扉が前記下部領域を閉止した際に前記下部開口部の縁に接触して気密を保持する下部シール部を有する。
上記実施形態の構成により前記二重扉が上下方向へ移動自在になった前記上部二重扉と前記下部二重扉とで構成され、上部二重扉が前記上部領域を閉止および開放でき、下部二重扉が前記下部領域を閉止および開放できる。前記上部二重扉が前記上部領域を閉止した際に、上部シール部が前記上部開口部の縁に接触して気密を保持する。前記下部二重扉が前記下部領域を閉止した際に、下部シール部が前記下部開口部の縁に接触して気密を保持する。
その結果、二重扉が開口部を閉止した際に、隙間空間を流れる気体が上部開口部または下部開口部の縁から漏れるのを抑止できる。
【0016】
さらに、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーは、前記二重扉が前記主開口部の上部の領域である上部領域を閉止および開放でき上下方向へ移動自在になった上部二重扉と前記主開口部の残りの下部の領域である下部領域を閉止および開放でき上下方向に移動自在になった下部二重扉とを有し、前記主構造体が前記上部開口部の縁に沿って位置し水平方向に突起し上側を階段状形状にした部分である上部突起部を有し、前記上部二重扉が上側の辺に沿って位置し水平方向に突起し下側を階段状形状にした部分である上部シール部を有し、前記上部二重扉が前記上部領域を閉止した際に前記上部突起部の前記階段状形状と前記上部シール部の階段状形状とが嵌まり合う。
上記実施形態の構成により、前記二重扉が上下方向へ移動自在になった前記上部二重扉と前記下部二重扉とで構成され、上部二重扉が前記上部領域を閉止および開放でき、下部二重扉が前記下部領域を閉止および開放できる。前記主構造体の上部突起部が、前記上部開口部の縁に沿って位置し水平方向に突起し上側を階段状形状にした部分である。前記上部二重扉の上部シール部が上側の辺に沿って位置し水平方向に突起し下側を階段状形状にした部分である。前記上部二重扉が前記上部領域を閉止した際に前記上部突起部の前記階段状形状と前記上部シール部の階段状形状とが嵌まり合う。
その結果、前記上部二重扉が前記上部領域を閉止した際に、隙間空間を流れる気体が上部開口部の縁から漏れるのを抑止できる。
【0017】
さらに、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーは、前記二重扉が前記主開口部の上部の領域である上部領域を閉止および開放でき上下方向へ移動自在になった上部二重扉と前記主開口部の残りの下部の領域である下部領域を閉止および開放でき上下方向に移動自在になった下部二重扉とを有し、前記主構造体が前記下部開口部の縁に沿って位置し水平方向に突起し下側を階段状形状にした部分である下部突起部を有し、前記下部二重扉が下側の辺に沿って位置し水平方向に突起し上側を階段状形状にした部分である下部シール部を有し、前記下部二重扉が前記下部領域を閉止した際に前記下部突起部の前記階段状形状と前記下部シール部の前記階段状形状とが嵌まり合う。
上記実施形態の構成により、前記二重扉が上下方向へ移動自在になった前記上部二重扉と前記下部二重扉とで構成され、上部二重扉が前記上部領域を閉止および開放でき、下部二重扉が前記下部領域を閉止および開放できる。前記主構造体の下部突起部が前記下部開口部の縁に沿って位置し水平方向に突起し下側を階段状形状にした部分である。前記下部二重扉の下部シール部が下側の辺に沿って位置し水平方向に突起し上側を階段状形状にした部分である。前記下部二重扉が前記下部領域を閉止した際に前記下部突起部の前記階段状形状と前記下部シール部の前記階段状形状とが嵌まり合う。
その結果、前記下部二重扉が前記下部領域を閉止した際に、隙間空間を流れる気体が下部開口部の縁から漏れるのを抑止できる。
【0018】
さらに、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーは、前記主構造体が前記作業空間の下側に位置し科学機器を据え付けるための作業面と該作業面に連なり該作業面より下方に凹んだ窪みとを形成する作業床部材を有し、前記第一排気機材が前記窪みの中の気体を排気する。
上記実施形態の構成により、作業空間の下側が作業面と窪みとで形成され、前記作業面に連なり下方に凹んだ窪みの中から気体を排気する。
その結果、作業空間の中の気体が、作業面へ下がって窪みに入り、前記第一排気機材により排気される。
【0019】
さらに、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーは、前記主構造体が前記作業空間の下側に位置し科学機器を据え付けるための作業面と該作業面に連なり該作業面より下方に凹んだ窪みとを形成する作業床部材を有し、前記作業面が前記主開口部の最も低い箇所よりも低い位置にあり、前記第一排気機材が前記窪みの中の気体を排気する。
上記実施形態の構成により、作業空間の下側が前記主開口部より低い位置にある作業面と窪みとで形成され、前記作業面に連なり下方に凹んだ窪みの中から気体を排気する。
その結果、作業空間の中の気体が、作業面へ下がって窪みに入り、隙間空間から作業空間へ漏れた気体が作業面へ下がって窪みに入り、前記第一排気機材により排気される。
【0020】
さらに、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーは、前記主構造体が前記作業空間の下側に位置し科学機器を据え付けるための作業面と該作業面に連なり該作業面より下方に凹んだ窪みとを形成する作業床部材と該作業面から立ち上がり前記窪みを囲う仕切り板とを有し、前記第一排気機材が前記窪みの中の気体を排気する。
上記実施形態の構成により、作業空間の下側が前記開口部より低い位置にある作業面と窪みとで形成され、作業面から立ち上がる前記仕切り板が窪みを囲い、窪みから気体が前記第一排気機材により排気される。
その結果、作業空間の中の気体が、作業面へ下がって窪みに入り、前記第一排気機材により排気され、作業面に流された液体が、窪みに入らない。
【0021】
さらに、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーは、室内の雰囲気を前記上部空間に案内する第二案内機材を備える。
上記実施形態の構成により、室内の雰囲気を前記上部空間に案内する。
その結果、室内の雰囲気が、前記上部空間を経由して前記隙間空間に入り、その後下部空間を経由して排気される。
【0022】
さらに、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーは、室内の雰囲気を前記上部空間に案内する第二案内機材を備え、前記第二案内機材または前記第二排気機材が、前記二重扉が前記主開口部を閉止した際に前記隙間空間の圧力を前記作業空間の圧力よりも低く維持する様に設定される。
上記実施形態の構成により、室内の雰囲気を前記上部空間に案内する。前記二重扉が前記主開口部を閉止した際に前記隙間空間の圧力を前記作業空間の圧力よりも低く維持する。
その結果、室内の雰囲気が、前記上部空間を経由して前記隙間空間に入り、また作業空間の気体の一部が前記隙間空間に入り、その後下部空間を経由して排気される。
【0023】
さらに、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーは、前記第一案内機材が室内の雰囲気を前記作業空間の上方から内部へ送気する送風装置を有し、前記送風装置の送気する圧力又は風量が前記作業空間の圧力に応じて調整可能である。
上記実施形態の構成により、送風装置が、室内の雰囲気を前記作業空間の上方から内部へ送気する。前記送風装置の送気する圧力又は風量が前記作業空間の圧力に応じて調整可能である。
その結果、室内の雰囲気が加圧されて上方から作業空間へおくられ、送風装置の送気する圧力又は雨量を調整して、作業空間の圧力を調整できる。
【0024】
さらに、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーは、前記第一案内機材が室内の雰囲気を前記作業空間の上方から内部へ送気する送風装置を有し、前記送風装置の送気する圧力又は風量が前記作業空間の圧力と室内の圧力との差圧をゼロまたは所定の指令値にする様に制御される。
上記実施形態の構成により、送風装置が、室内の雰囲気を前記作業空間の上方から内部へ送気する。前記送風装置の送気する圧力又は風量が制御され、前記作業空間の圧力と室内の圧力との差圧をゼロまたは所定の指令値にする。
その結果、室内の雰囲気が加圧されて上方から作業空間へおくられ、送風装置の送気する圧力又は雨量を調整して、室内の雰囲気と作業空間との差圧を所望の値に調整できる。
【0025】
さらに、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーは、前記第一案内機材が室内の雰囲気を前記作業空間の上方から内部へ送気する送風装置を有し、前記二重扉が前記主開口部を開放した際に前記送風装置の送気する圧力又は風量がゼロまたは一定値に固定される様に制御される。
上記実施形態の構成により、送風装置が室内の雰囲気を前記作業空間の上方から内部へ送気する。前記二重扉が前記主開口部を開放した際に前記送風装置の送気する圧力又は風量が一定値に固定される様に制御される。
その結果、室内の雰囲気が加圧されて上方から作業空間へおくられ、開口部が開放された際に、室内の雰囲気が作業空間に入ったり、作業空間の気体が室内に出るのを可能な限り抑制できる、
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明に係るドラフトチャンバーは、その構成により、以下の効果を有する。
作業空間の側部に主開口部を設け、主開口部より上方に前記上部空間を置き、前記上部開口部を下に向けて、主開口部より下方に前記下部空間を置き、前記下部開口部を上に向け、二重扉が主開口部を閉止および開放でき、二重扉が主開口部を閉止した際に、二重扉の間の隙間空間が前記上部空間と前記下部空間とに連通する様にし、室内の雰囲気を前記作業空間に案内し、前記作業空間の中から気体を排気し、前記下部空間の中から気体を排気する様にしたので、前記二重扉が前記主開口部を閉止すると、室内の雰囲気が前記作業空間に入り、その後排気される。また、前記隙間空間の気体が、下部空間を経由して排気される。前記二重扉が前記主開口部を開放すると、主開口部を通して科学機器にアクセスできる。
また、二重扉が上下方向に移動自在に案内される上部二重扉と下部二重扉とで構成され、前記上部二重扉が前記上部領域を閉止および開放でき、前記下部二重扉が前記下部領域を閉止および開放できる様にしたので、前記上部二重扉と前記下部二重扉とを個別に上下移動させて、主開口部を閉止でき、主開口部の必要な領域のみを開放して、科学機器にアクセスできる。
また、二重扉が上下方向に移動自在に案内される上部二重扉と下部二重扉とで構成され、前記上部二重扉が前記上部領域を閉止および開放でき、前記下部二重扉が前記下部領域を閉止および開放でき、前記上部二重扉の一部が上部空間に収納でき、前記下部二重扉の一部が前記下部空間に収納できる様にしたので、前記上部二重扉と前記下部二重扉とを上下移動させて、主開口部を閉止でき、主開口部の必要な領域のみを開放して、科学機器にアクセスできる。また、ドラフトチャンバーをコンパクトにできる。
また、二重扉が上下方向に移動自在に案内される上部二重扉と下部二重扉とで構成され、前記上部二重扉が前記上部領域を閉止および開放でき、前記下部二重扉が前記下部領域を閉止および開放でき、前記上部二重扉が前記上部領域を閉止する際に上部開口部の縁との間を気密に保持し、前記下部二重扉が前記下部領域を閉止する際に下部開口部の縁との間を気密に保持する様にしたので、二重扉が開口部を閉止した際に、隙間空間を流れる気体が上部開口部の縁または下部開口部の縁から漏れるのを抑制できる。
また、二重扉が上下方向に移動自在に案内される上部二重扉と下部二重扉とで構成され、前記上部二重扉が前記上部領域を閉止および開放でき、前記下部二重扉が前記下部領域を閉止および開放でき、前記上部開口部の縁に上側を階段状形状にして水平に突起した上部突起部を設け、前記上部二重扉に下側を階段状形状にして水平に突起した上部シール部を設け、前記上部二重扉が前記上部領域を閉止した際に前記上部突起部と前記上部シール部とが嵌まり合う様にしたので、前記上部二重扉が前記上部領域を閉止した際に、隙間空間を流れる気体が上部開口部の縁から漏れるのを抑制できる。
また、二重扉が上下方向に移動自在に案内される上部二重扉と下部二重扉とで構成され、前記上部二重扉が前記上部領域を閉止および開放でき、前記下部二重扉が前記下部領域を閉止および開放でき、前記下部開口部の縁に下側を階段状形状にして水平に突起した下部突起部を設け、前記下部二重扉に上側を階段状形状にして水平に突起した下部シール部を設け、前記下部二重扉が前記下部領域を閉止した際に前記下部突起部と前記下部シール部とが嵌まり合う様にしたので、前記下部二重扉が前記下部領域を閉止した際に、隙間空間を流れる気体が下部開口部の縁から漏れるのを抑制できる。
また、作業空間の下側が作業面と窪みとで形成され、前記作業面に連なり下方に凹んだ窪みの中から気体を排気する様にしたので、作業空間の中の気体が、作業面へ下がって窪みに入り、前記第一排気機材により排気される。
また、作業空間の下側が前記開口部より低い位置にある作業面と窪みとで形成され、前記作業面に連なり下方に凹んだ窪みの中から気体を排気する様にしたので、作業空間の中の気体が、作業面へ下がって窪みに入り、隙間空間から作業空間へ漏れた気体が作業面へ下がって窪みに入り、前記第一排気機材により排気される。
また、作業空間の下側が前記開口部より低い位置にある作業面と窪みとで形成され、作業面から立ち上がる仕切り板が窪みを囲い、窪みから気体を前記第一排気機材により排気される様にしたので、作業空間の中の気体が、作業面へ下がって窪みに入り、前記第一排気機材を経由して排気され、作業面に流された液体が、窪みに入らない。
また、室内の雰囲気を前記上部空間に案内する様にしたので、室内の雰囲気が、前記上部空間を経由して前記隙間空間に入り、その後下部空間を経由して排気される。
また、室内の雰囲気を前記上部空間に案内する様にし、前記第二案内機材または前記第二排気機材を設定し、前記二重扉が前記主開口部を閉止した際に前記隙間空間の圧力を前記作業空間の圧力よりも低く維持するので、室内の雰囲気が、前記上部空間を経由して前記隙間空間に入り、その後下部空間を経由して排気される。また、隙間空間から作業空間への気体の洩れを抑制できる。
また、送風装置が室内の雰囲気を前記作業空間の上方から内部へ送気し、前記送風装置の送気する圧力又は風量が前記作業空間の圧力に応じて調整可能である様にしたので、室内の雰囲気が加圧されて上方から作業空間へおくられ、送風装置の送気する圧力又は風量を調整して、作業空間の圧力を調整できる。
また、送風装置が室内の雰囲気を前記作業空間の上方から内部へ送気し、前記送風装置の送気する圧力又は風量が前記作業空間の圧力と室内の圧力との差圧をゼロまたは所定の指令値にする様に制御したので、室内の雰囲気が加圧されて上方から作業空間へおくられ、送風装置の送気する圧力又は風量を調整して、室内の雰囲気と作業空間との差圧を所望の値に調整できる。
また、送風装置が室内の雰囲気を前記作業空間の上方から内部へ送気し、前記二重扉が前記主開口部を開放した際に前記送風装置の送気する圧力又は風量がゼロまたは一定値に固定される様に制御したので、室内の雰囲気が加圧されて上方から作業空間へおくられ、開口部が開放された際に、室内の雰囲気と作業空間の気体の混ざるのを抑制できる、
従って、簡易な構造で測定精度をより向上させることのできるドラフトチャンバーを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーの正面図である。図2は、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーのA−A断面図である。図3は、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーのA−A断面図である。図4は、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーのB−B断面図である。図5は、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーのB−B断面図である。図6は、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーのC−C断面図である。図7は、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーのD−D断面図である。図8は、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーのE−E断面図である。図9は、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーのF−F断面図である。図10は、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーのG−G断面図である。図11は、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーの部分断面図である。図12は、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーの部分断面図である。
ドラフトチャンバー100は、室内に設置され科学機材を用いるためのものであって、主構造体10と二重扉20と二重扉吊り機材30と第一案内機材40と第一排気機材50と第二案内機材60と第二排気機材70と排液機材80とで構成される。
室内は、クリーンルーム内であってもよい。
科学機器5は、化学反応をともなう科学操作をするための機器であってもよい。
【0029】
主構造体10は、第一案内空間Jと作業空間Hと第二案内空間Rと上部空間Q1と下部空間Q2とを形成する構造体である。
作業空間Hは、科学機器を収納可能な空間であって主開口部Wを設けられた空間である。
主開口部Wは、側部に設けられた外側から科学機器にアクセスするための開口部である。
上部空間Q1は、下方に向いた開口部である上部開口部O1を持ち主開口部Wより上方に位置する空間である。
例えば、上部空間Q1は、主開口部Wの上方に位置する。
下部空間Q2は、上方に向いた開口部である下部開口部O2を持ち主開口部Wより下方に位置する空間である。
例えば、下部空間Q2は、主開口部Wの下方に位置する。
さらに、主構造体10は、前方下部空間Q3を形成してもよい。
例えば、前方下部空間Q2は、下部空間Q2に前方に位置する。
以下では、説明の便宜のために、主開口部Wのある側を前側とし、主開口部に向かって左手側を左側とし、主開口部に向かって右手側を右側として説明する。
【0030】
第一案内空間Jは、室内の雰囲気を作業空間Hの上部に案内するための空間である。
室内の雰囲気と第一案内空間Jとは、後述する送風装置32を介して連通される。
第一案内空間Jと作業空間Hとは、後述するフィルタ31を介して連通される。
【0031】
第二案内空間Rは、室内の雰囲気を上部空間Q1に案内するための空間である。
室内の雰囲気と第二案内空間Rとは、後述する第二後方案内穴62を介して連通される。
第二案内空間Rと上部空間Q1とは、後述する第二前方案内穴61を介して連通される。
第二前方案内穴61と第二後方案内穴62とは、後述する吊りケーブル35を前後方向へ案内する穴も兼ねている。
【0032】
第一案内空間Jと第二案内空間Rとは、作業空間Hの上方に配置されてもよい。
2個の第二案内空間Rが第一案内空間Jの両側へ各々に配置されてもよい。
【0033】
主構造体10は、作業床部材11と左右一対の側壁部材12と奥壁部材13と天井部材14と前壁部材15と仕切り板16と二重扉案内部材17と上部突起部18uと下部突起部18dと外周部材19とで構成される。
作業床部材11は、作業空間Hの下側に位置する。
側壁部材12は、作業空間Hの左側と右側とに位置する。
奥壁部材13は、作業空間Hの奥側に位置する。
天井部材14は、作業空間Hの天側に位置する。
前壁部材15は、作業空間Hの前側の主開口部Wを除く箇所に位置する。
作業床部材11と左右一対の側壁部材12と奥壁部材13と天井部材14と前壁部材15とが一体となり、略6面体の立体形状を持ち前側に主開口部Wを備えた作業空間Hを形成する。
【0034】
作業床部材11が、作業空間Hの下側に位置する作業面Sと窪みKとを形成する。
作業面Sは、科学機器を据え付けるための面である。
窪みKは、作業面Sに連なり、作業面Sより下方に凹んだ部分である。例えば、窪みKは略六面体の空間である。
仕切り板16は、作業面Sから立ち上がり窪みKを囲う部材である。
作業面Sが主開口部Wの最も低い箇所よりも低い位置にあってもよい。
【0035】
二重扉案内部材17は、二重扉20の前後方向の移動を拘束し、上下方向に移動自在に案内する部材である。
二重扉案内部材17は、長手方向を上下方向に揃えた2個の板材を面を平行にして前後に並べたものである。2個の板材の隙間の寸法は、後述する扉部材の前後の面に滑動部材を固定した全体厚みよりも僅かに広い。後述する滑動部材24が、二重扉案内部材17の側面を滑る。
2個の二重扉案内部材17が、主開口部Wの左側に前後方向に並べて設けられる。
2個の二重扉案内部材17が、主開口部Wの右側に前後方向に並べて設けられる。
前方に位置する左右一対の二重扉案内部材17が、後述する前方上部扉21fと前方下部扉22fを上下方向に移動自在に案内する。
後方に位置する左右一対の二重扉案内部材17が、後述する後方上部扉21bと後方下部扉22bを上下方向に移動自在に案内する。
【0036】
上部突起部18uは、上部開口部O1の縁に沿って位置し水平方向に突起し上側を階段状形状にした部分である。
後述する上部二重扉21が後述する上部領域W1を閉止した際に、上部突起部18uの階段状形状と後述する上部シール部26uの階段状形状とが嵌まり合う。
図11、図12は、上部突起部18uが、水平に突起し、上側が2段の階段状形状を持ち、上部開口部O1の後方の縁に沿って固定されるのを示している。
階段状形状は、上から下に移るに従って幅寸法が2段階に増加し、上部開口部O1の縁から1段目に立ち上がる部分を傾斜面に形成し、1段目から2段目に立ち上がる部分を傾斜面に形成している。
【0037】
下部突起部18dは、下部開口部Q2の縁に沿って位置し、水平方向に突起し下部を階段状形状にした部分である。
後述する下部二重扉22が後述する下部領域W2を閉止した際に、下部突起部18dの階段状形状と後述する下部シール部26dの階段状形状とが嵌まり合う。
図11、12は、1つの下部突起部18dが、下部空間Q2の奥側の縁に設けられ、他の下部突起部18dが、前方下部空間Q3の奥側の縁に設けられるのを示している。下部突起部18dが、水平に突起し、下側が2段の階段状形状を持ち、下部開口部O2の後方の縁に沿って固定されるのを示している。
階段状形状は、下から上に移るに従って幅寸法が2段階に増加し、下部縁開口部O2の縁から1段目に立ち上がる部分を傾斜面に形成し、1段目から2段目に立ち上がる部分を傾斜面に形成している。
【0038】
外周部材19は、主構造体10の外周面を形成する板材であり、前部部材19aと上部部材19bと左右一対の側部部材19cと裏部部材19dとで構成される。
前部部材19aが、主構造体10の前部を主開口部Wを除いて覆う。
上部部材19bが、主構造体10の上部を覆う。
側部部材19cが、主構造体10の左右の側部を覆う。
裏部部材19dが、主構造体10の裏部を覆う。
【0039】
二重扉20は、主開口部Wを閉止および開放でき、互いの間に隙間空間Pを形成するものである。
二重扉20が主開口部Wを閉止した際に、上部開口部O1が隙間空間Pの上部に連通し、下部開口部O2が隙間空間Pの下部に連通する。
二重扉20は、上部二重扉21と下部二重扉22とで構成されてもよい。
上部二重扉21は、主開口部Wの上部の領域である上部領域W1を閉止および開放でき上下方向へ移動自在になったものである。
下部二重扉22は、主開口部Wの下部の領域である下部領域W2を閉止および開放でき上下方向へ移動自在になったものである。
【0040】
上部二重扉21が上部領域W1を開放した際に、上部二重扉21の少なくとも一部が上部空間Q1に収納されてもよい。
下部二重扉22が下部領域W2を開放した際に、下部二重扉22の少なくとも一部が下部空間Q2に収納されてもよい。
【0041】
上部二重扉21は、前方上部扉21fと後方上部扉21bとで構成される。
前方上部扉21fは、上部領域W1の前方に配される扉である。後方上部扉21bは、上部領域W1の後方に配される扉である。前方上部扉21fと後方上部扉21bとが、上部領域W1を閉止及び開放できる。
前方上部扉21fが上部領域W1を開放した際に、前方上部扉21fの上部が上部空間Q1に収納されてもよい。
後方上部扉21bが上部領域W1を開放した際に、後方上部扉21bの上部が上部空間Q1に収納されてもよい。
図12は、上部二重扉21が上部領域W1を開放し、前方上部扉21fの上部と後方上部扉21bの上部とが上部空間Q1に収納された状態を示している。
【0042】
前方上部扉21fは、扉本体23と4個の滑動部材24と4個の支持部材25と2個のの中間シール部27と上部ストッパ29とで構成される。
扉本体23は、上部領域W1より大きな面をもった略四辺形の板材である。扉本体23は、透明の素材でできていてもよい。
滑動部材24は、摩擦係数の小さな素材でできた長手部材であり、扉本体23の左右の縁に沿って前面と裏面とに固定される。滑動部材24は二重扉案内部材17の面を滑って、扉本体23が上下方向に移動できる。
支持部材25は、扉本体23を吊りケーブル35で支持するための部材である。4個の支持部材25が、扉本体23の左右の縁の上部と下部とに固定される。吊りケーブル35の一端が支持部材25に連結される。
中間シール部27は、前方上部扉21fの下縁と前方下部扉22fの上縁との隙間をシールするための長手部材である。2個の中間シール部27が、前方上部扉21fの下縁から一部を下方に突き出す様に前方上部扉21fに固定される。
上部ストッパ29は、前方上部扉21fが上部領域W1を閉止した際に、主構造体と扉本体との隙間をシールする長手部材であり、扉本体23の上縁に沿って表側に固定される。
【0043】
後方上部扉21bは、扉本体23と4個の滑動部材24と4個の支持部材25と中間シール部27と上部シール部26uとで構成される。
扉本体23と滑動部材24と支持部材25と中間シール部27は、前方上部扉21fのものと同じなので、説明を省略する。
上部シール部26uは、上部二重扉21が上部領域W1を閉止した際に上部開口部O1の縁に接触して気密を保持する部分である。
上部シール部26uは、後方上部扉21bの上側の辺に沿って位置し、水平方向に突起し下側を階段状形状にした部分である。
例えば、上部シール部26uは、上部二重扉21が上部領域W1を閉止したときに上部開口部O1の縁に対面する上側の辺に沿って位置し、水平方向に突起し下側を階段状にした部分であってもよい。
例えば、上部シール部26uは、下側が2段の階段状になった長手部材でできており、扉本体23の上の辺に沿って裏面に固定される。
図11、12は、上部シール部26uが下側に2段の階段状形状を持ち、扉本体23の上の縁に沿って裏側に固定されるのを示している。
階段状形状は、下から上に移るに従って幅寸法が2段階に増加し、扉本体23の面から1段目に立ち上がる部分を傾斜面に形成し、1段目から2段目に立ち上がる部分を傾斜面に形成している。
図11は、上部二重扉21が上部領域W1を閉止しており、後方上部扉21bに固定された上部シール部26uの階段状形状と上部開口部O1の裏側の縁に設けられた上部突起部18uの階段状形状とが嵌め合っているのを示している。
図12は、上部二重扉21は上部領域W1を開放しており、後方上部扉21bに固定された上部シール部26uの階段状形状と上部開口部O1の裏側の縁に設けられた上部突起部18uの階段状形状とが離れ、上部シール部26uと上部空間Q1の壁面との間に隙間があるのを示している。
【0044】
下部二重扉22は、前方下部扉22fと後方下部扉22bとで構成される。
前方下部扉22fは、下部領域W2の前方に配される扉である。後方下部扉22bは、下部領域W2の後方に配される扉である。前方下部扉22fと後方下部扉22bとが、下部領域W2を閉止及び開放できる。
前方下部扉22fが下部領域W2を開放した際に、前方下部扉22fの少なくとも下部が下部空間Q2に収納されてもよい。
後方下部扉22bが下部領域W2を開放した際に、後方下部扉22bの少なくとも下部が下部空間Q2に収納されてもよい。
または、後方下部扉22bが下部領域W2を開放した際に、後方下部扉22bの少なくとも下部が前方下部空間Q3に収納されてもよい。
図12は、前方下部扉22fの下部が下部空間Q2に収納され、後方下部扉22bの下部が前方下部空間Q3に収納されてているのを示している。
【0045】
前方下部扉22fは、扉本体23と4個の滑動部材24と4個の支持部材25と下部シール部26dと取っ手28で構成される。
扉本体23と滑動部材24と支持部材25とは、前方上部扉21fのものと同じなので、説明を省略する。
下部シール部26dは、下部二重扉22が下部領域W2を閉止した際に下部開口部O2の縁に接触して気密を保持する部分である。
下部シール部26dは、下部開口部O2の下側の辺に沿って位置し、水平方向に突起し上側を階段状形状にした部分である。
例えば、下部シール部26dは、前方下部扉22fが下部領域W2を閉止したときに下部開口部O2の縁に対面する下側の辺に沿って位置し、水平方向に突起し上側を階段状にした部分であってもよい。
例えば、上部シール部26uは、上側が2段の階段状形状になった長手部材でできており、扉本体23の下の辺に沿って裏面に固定される。
図11は、下部シール部26dが上側が2段の階段状の形状を持ち、扉本体23の下の縁に沿って裏側に固定されるのを示している。
階段状形状は、上から下に移るに従って幅寸法が2段階に増加し、扉本体23の面から1段目に立ち上がる部分を傾斜面に形成し、1段目から2段目に立ち上がる部分を傾斜面に形成している。
図11は、下部二重扉22が下部領域W2を閉止し、前方下部扉22fの下部シール部26dの階段状形状と下部突起部18bの階段状形状が嵌め合っているのを示している。
図12は、下部二重扉22が下部領域W2を開放し、前方下部扉22fの下部シール部26dの階段状形状と下部突起部18bの階段状形状が離れ、下部シール部26dと下部空間Q2の壁部が離れているのをを示している。
取っ手28は、作業員が前方下部扉22fを上下方向に移動させるために手でつかめる部材であり、前方下部扉22fの上部に固定される。
【0046】
後方下部扉22dは、扉本体23と4個の滑動部材24と4個の支持部材25と下部シール部26dと取っ手28で構成される。
扉本体23と4個の滑動部材24と4個の支持部材25と下部シール部26dと取っ手28は、前方下部扉22dのものと同じなので、説明を省略する。
【0047】
二重扉吊り機材30は、二重扉20を上下方向に移動自在に吊る機材である。
二重扉吊り機材30は、左右一対の前方上部扉シーブ31fと左右一対の後方上部扉シーブ31bと左右一対の前方下部扉シーブ32fと左右一対の後方下部扉シーブ32bと左右一対のウエイト側前方上部扉シーブ33fと左右一対のウエイト側後方上部扉シーブ33bと左右一対のウエイト側前方下部扉シーブ34fと左右一対のウエイト側後方下部扉シーブ34bと8本の吊りケーブル35と8個のカウンタウエイト38で構成される。
【0048】
左右一対の前方上部扉シーブ31fは、前方上部扉21fの支持部材25の上方に回転自在に設けらる。
左右一対の後方上部扉シーブ31bは、後方上部扉21bの支持部材25の上方に回転自在に設けられる。
左右一対の前方下部扉シーブ32fは、前方下部扉22fの支持部材25の上方に回転自在に設けられる。
左右一対の後方下部扉シーブ32bは、後方下部扉22bの支持部材25の上方に回転自在に設けられる。
図9は、前方上部扉シーブ31fと後方上部扉シーブ31bと前方下部扉シーブ32fと後方下部扉シーブ32bとが、後述する第二前方案内穴61の近傍に設けられるのを示している。
図10は、前方上部扉シーブ31fと前方下部扉シーブ32fとが、同軸に回転自在になったシーブであり、後方上部扉シーブ31bと後方下部扉シーブ32bとが、同軸に回転自在になったシーブであるのを示している。
また、後方上部扉シーブ31bと後方下部扉シーブ32bとが、2本の吊りケーブル35を掛け渡される溝を設けられている。
【0049】
左右一対のウエイト側前方上部扉シーブ33fは、前方上部扉シーブ31fの後方に回転自在に設けられる。
左右一対のウエイト側後方上部扉シーブ33bは、前方上部扉シーブ31fの後方に回転自在に設けられる。
左右一対のウエイト側前方下部扉シーブ34fは、前方下部扉シーブ32fの後方に回転自在に設けられる。
左右一対のウエイト側後方下部扉シーブ34bは、前方下部扉シーブ32fの後方に回転自在に設けられる。
図9は、ウエイト側前方上部扉シーブ33fとウエイト側前方下部扉シーブ34fとが、同軸に回転自在になり後述する第二後方案内穴62の近傍に設けられるのを示している。さらに、ウエイト側後方上部扉シーブ33bとウエイト側後方下部扉シーブ34bとが、同軸に回転自在になり後述する第二後方案内穴62の近傍に設けられるのを示している。
【0050】
吊りケーブル35は、二重扉を吊るケーブルである。
吊りケーブル35は、一端を二重扉に固定された支持部材に連結され、後述する第二前方案内穴61を貫通し、後述する第二案内空間Rを通過し、後述する第二後方案内穴62を貫通し、他端を後述するカウンタウエートに連結される。
図9は、吊りケーブルの付設の様子を示している。
左右一対の吊りケーブル35が、一端を前方上部扉21fの支持部材25に連結され、前方上部扉シーブ31fとウエイト側前方上部扉シーブ33fとに巻きかけられ、他端をカウンタウエイト38に連結される。
左右一対の吊りケーブル35が、一端を後方上部扉21bの支持部材25に連結され、後方上部扉シーブ31bとウエイト側後方上部扉シーブ33bとに巻きかけられ、他端をカウンタウエイト38に連結される。
左右一対の吊りケーブル35が、一端を前方下部扉22fの支持部材25に連結され、前方下部扉シーブ32bとウエイト側前方下部扉シーブ34fとに巻きかけられ、他端をカウンタウエイト38に連結される。
左右一対の吊りケーブル35が、一端を後方下部扉22bの支持部材25に連結され、後方下部扉シーブ32bとウエイト側後方下部扉シーブ34bとに巻きかけられ、他端をカウンタウエイト38に連結される。
【0051】
カウンタウエイト38は、二重窓の上下移動を容易にするために、二重窓20の重量を相殺するためのウエイトである。
【0052】
第一案内機材40は、室内の雰囲気を作業空間Hに案内する機材である。
第一案内機材40は、フィルタ41と送風装置42と第一案内空間Jとで構成される。フィルタ41と送風装置42とが、第一案内空間Jの中に格納されてもよい。
フィルタ41は、通過する気体を清浄化する。
送風装置42は、室内の雰囲気を作業空間の上方から内部へ送気する装置である。
送風装置42が作動すると、室内の雰囲気を第一案内空間Jに送り込み、第一案内空間Jの圧力を上げる。
送風装置42は、送気する圧力又は風量を制御できてもよい。
第一案内空間Jと作業空間Hとに生じた差圧が、第一案内空間Jの気体をフィルタ41を通して作業空間Hへ送る。
送風装置の送気する圧力又は風量が作業空間の圧力に応じて調整可能であってもいよい。
また、送風装置42の送気する圧力又は風量が作業空間の圧力と室内の圧力との差圧をゼロまたは所定の指令値にする様に制御されてもよい。指令値はゼロも含む。
また、二重扉が主開口部を開放した際に送風装置42の送気する圧力又は風量がゼロまたは一定値に固定される様に制御されてもよい。
【0053】
第一排気機材50は、作業空間Hの中から気体を排気する機材である。
第一排気機材50は、作業空間Hの下部から中の気体を排気する。
第一排気機材50は、第一排気ダンパ51と第一排気配管52とで構成される。
第一排気配管52は、作業空間Hと外部の負圧発生機器(図示せず)とを連通する。
第一排気ダンパ51が、第一排気配管52の途中に設けられる。第一排気ダンパ51は、弁の開度を調整可能である。
第一排気機材50は、窪みKの中の気体を排気してもよい。
図8は、窪みKが略6面体の空間であり、第一排気機材50が、窪みKの中の気体をの側面から排気する。
【0054】
第二案内機材60は、室内の雰囲気を上部空間Q1に案内する機材である。
例えば、第二案内機材60は、第二前方案内穴61と第二後方案内穴62と第二案内空間Rとで構成される。
第二前方案内穴61は、第二案内空間Rを上部空間Q1に連通するために主構造体10に設けられた穴である。
第二後方案内穴62は、室内の雰囲気を第二案内空間Rに連通するために主構造体10に設けられた穴である。
【0055】
第二排気機材70は、下部空間Q2の中から気体を排気する機材である。
第二排気機器70は、第二排気ダンパ71と第二排気ダクト72と第二排気配管73とで構成されてもよい。
第二排気ダクト72は、下部空間Q2に開口を連通させるダクトである。
第二排気配管73は、第二排気ダクトを外部の負圧発生機器(図示せず)を連通する配管である。
第二排気ダンパ71は、第二排気配管に設けられる。第二排気ダンパ71は、弁の開度を調整可能である。
第二案内機材60または第二排気機材70が、二重扉20が主開口部Wを閉止した際に隙間空間Pの圧力を作業空間Hの圧力よりも低く維持する様に設定されてもよい。
また、第二案内機材60または第二排気機材70が、二重扉20が主開口部Wを閉止した際に隙間空間Pの圧力を室内の圧力よりも低く維持する様に設定されてもよい。
第二案内機材60または第二排気機材70を設定するには、第二排気ダンパの開度を調整して行われ、または、第二前方案内穴61と第二後方案内穴62の大きさを調整して行われる。
【0056】
排液機材80は、作業面Sに流れる液体を排液するための機材である。
排液機材80は、排液弁81と排液配管82とで構成されてもよい。
排水配管82は、一端を作業床部材11に設けられた排液穴に連通され、他端を外部の排水溝(図示せず)に連通される。
【0057】
以下に、本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーの作用を説明する。
室内がクリンルームであり、二重扉20が主開口部Wを閉止した際に送風装置42の送気する圧力又は風量が作業空間Hの圧力を室内の圧力との差圧をゼロとする様に制御され、重扉20が主開口部Wを開放した際に送風装置42の送気する圧力又は風量がゼロまたは一定値に固定される様に制御される様に、設定されている場合を例に、説明する。
第一案内機材40が、クリンルームの気体を作業空間Hに上方から流し、第一排気機材50が窪みKから気体を排気し、第二案内機材60が室内の雰囲気を上部空間Q1に案内し、第二排気機材70が下部空間D2から気体を排気する場合を例にして、説明する。
【0058】
最初に、二重扉が主開口部Wを閉止している状態を説明する。
ドラフトチャンバー100をクリンルームに納める。
科学機材5が、作業面Sに搭載される。
二重扉20が、主開口部Wを閉じる。
下部二重扉22の上片が上部二重扉21の中間シール部27に嵌まり込む。
上部突起部18uの階段状形状と上部シール部26uの階段状形状とが嵌まりあう。上部突起部18uの一段目の面が上部シール部26uの二段目の面に当接する。上部突起部18uの二段目の面が上部シール部26uの一段目の面に当接する。
下部縁突起18dと下部シール部26dとは嵌まり合う。下部突起部18dの一段目の面が下部シール部26dの二段目の面に当接する。下部突起部18dの二段目の面が下部シール部26dの一段目の面に当接する。
従って、上部二重扉21が上部領域W1を閉止し、下部二重扉22が下部領域W2を閉止する。
【0059】
クリンルームの雰囲気が、第一案内機材40により、作業空間Hに上方から流れ込む。
フィルタ41が、作業空間へ流れ込む気体の清浄度を向上させる。
作業空間Hの気体が、第一排気機材50により、窪みKから吸い出される。
クリーン度の高い気体が、作業空間Hを上から下へ流れ、窪みKへ流れ込む。
【0060】
クリーンルームの雰囲気が、第二後方案内穴62を通過して第二案内空間Rへ流れ込む。気体が、第二案内空間Rから第二前方案内穴61を通過して上部空間Q1へ流れ込む。気体が、上部空間Q1から隙間空間Pを通過して下部空間Q2へ入る。気体が下部空間Q2から第二排気ダクト72を通過して第二排気配管73に導かれて外部の負圧発生機器へ吸い出される。
第二排気ダンパ71の開度を調整すると、隙間空間Pを流れる気体の速度または風量を調整できる。
【0061】
送風装置42の送気する圧力又は風量が作業空間Hの圧力と室内の圧力との差圧をゼロまたは所定の指令値にする様に制御される。
また、隙間空間Pの圧力を作業空間Pの圧力よりも低く維持する。
僅かの量の雰囲気が、室内から二重扉20と主開口部Wとの隙間を通過して隙間空間Pに流れ込む。
さらに、僅かの量の気体が、作業空間Hから二重扉20と主開口部Wとの隙間を通過して隙間空間Pに流れ込む。
その様にするので、クリンルームの雰囲気が直接に作業空間Hへ進入することを抑制できる。また、作業空間Hの気体がクリンルームの雰囲気へ混じるのを抑制できる。
【0062】
次ぎに、二重扉20が主開口部Wを開放した状態を説明する。
二重扉20が、主開口部Wを開放する。
上部二重扉21はたは下部二重扉22が主開口部Wを開放したことを検知すると、送風装置の送気する圧力または風量の制御を停止し、一定の風量を送風する。
上部二重扉21を上方へ移動させ、下部二重扉22を下方へ移動させる。
作業員は、上部二重扉21と下部二重扉22との隙間から、科学機器を操作することができる。
洗浄液で作業面Sを洗浄すると、洗浄液は排液機材により排出される。洗浄液は、仕切り板16に遮られて、窪みKには入らない。
【0063】
第一排気ダンパ51と第二排気ダンパ71を最適に調整することで、クリンルームの雰囲気が作業空間Hに直接に侵入する量を最小にでき、作業空間Hの気体が直接にクリンルームへ漏れる量を最小にすることをできる。
【0064】
洗浄液で作業空間Hを洗浄すると、洗浄液は作業面Sに落ちて、排液機材80により外部へ排出される。
【0065】
上述の実施形態に係るクリードラフトを用いれば、以下の効果を発揮する。
作業空間Hの側部に主開口部Wを設け、主開口部Wの上方に上部空間Q1を置き、上部開口部O1を下に向けて、主開口部Wの下方に下部空間Q2を置き、下部開口部O2を上に向けて、二重扉20が主開口部Wを閉止および開放できる、さらに、二重扉20が主開口部Wを閉止した際に、二重扉20の間の隙間空間Pが上部空間Q1と下部空間Q2とに連通し、下部空間Q2の中から気体を排気する様にし、室内の雰囲気を作業空間Hに案内して、作業空間Hの中から気体を排気する様にしたので、二重扉20が主開口部Wを閉止すると、室内の雰囲気が作業空間に入り、その後排気される。また、上部空間Q1の気体が、隙間空間Pを通過して、下部空間Q2を経由して排気される。二重扉20が主開口部Wを開放すると、主開口部Wを通して科学機器5にアクセスできる。
また、二重扉20が上下方向に移動自在に案内される上部二重扉21と下部二重扉22とで構成され、上部二重扉21が上部領域W1を閉止および開放でき、下部二重扉22が下部領域W2を閉止および開放できる様にしたので、上部二重扉21と下部二重扉22とを個別に上下移動させて、主開口部Wを開閉でき、また、主開口部Wの必要な領域のみを開放して、科学機器5にアクセスできる。
また、上部二重扉20の一部が上部空間Q1に収納でき、下部二重扉22の一部が下部空間Q2に収納できる様にしたので、上部二重扉21と下部二重扉22とを個別に上下移動させて、主開口部Wを開閉でき、主開口部Wの必要な領域のみを開放して、科学機器5にアクセスできる。また、ドラフトチャンバー100をコンパクトにできる。
また、上部二重扉21が上部領域W1を閉止する際に上部開口部O1の縁との間を気密に保持し、下部二重扉22が下部領域W2を閉止する際に下部開口部O2の縁との間を気密に保持する様にしたので、二重扉20が主開口部Wを閉止した際に、隙間空間Pを流れる気体が上部開口部O1の縁または下部開口部O2の縁から漏れるのを抑制できる。
また、上部開口部O1の縁に上側を階段状形状にして水平に突起した上部突起部18uを設け、上部二重扉21に下側を階段状形状にして水平に突起した上部シール部26uを設け、上部二重扉21が上部領域W1を閉止した際に上部突起部18uと上部シール部26uとが嵌まり合う様にしたので、上部二重扉21が上部領域W1を閉止した際に、隙間空間Pを流れる気体が上部開口部O1の縁から漏れるのを抑制できる。
また、下部開口部O2の縁に下側を階段状形状にして水平に突起した下部突起部18dを設け、下部二重扉22に上側を階段状形状にして水平に突起した下部シール部26dを設け、下部二重扉22が下部領域W2を閉止した際に下部突起部18dと下部シール部26dとが嵌まり合う様にしたので、下部二重扉22が下部領域W2を閉止した際に、隙間空間Pを流れる気体が下部開口部O2の縁から漏れるのを抑制できる。
また、作業空間Hの下側が作業面Sと窪みKとで形成され、作業面Sに連なり下方に凹んだ窪みKの中から気体を排気する様にしたので、作業空間Hの中の気体が、作業面Sへ下がって窪みに入り、第一排気機材50により排気される。
また、作業空間Hの下側が主開口部Wより低い位置にある作業面Sと窪みKとで形成され、作業面Sに連なり下方に凹んだ窪みKの中から気体を排気する様にしたので、作業空間Hの中の気体が、作業面Sへ下がって窪みKに入り、隙間空間Pから作業空間Hへ漏れた気体が作業面Sへ下がって窪みに入り、第一排気機材50により排気される。
また、作業空間Hの下側が主開口部Wより低い位置にある作業面Sと窪みKとで形成され、作業面Sから立ち上がる仕切り板16が窪みKを囲い、窪みKから気体を第一排気機材50により排気される様にしたので、作業空間Hの中の気体が、作業面Sへ下がって窪みKに入り、第一排気機材50を経由して排気され、作業面Sに流された液体が、窪みKに入らない。
また、室内の雰囲気を上部空間Q1に案内する様にしたので、室内の雰囲気が、上部空間Q1を経由して隙間空間Pに入り、その後に下部空間Q2を経由して排気される。
また、室内の雰囲気を上部空間Q1に案内する様にし、第二案内機材60または第二排気機材70を設定し、二重扉20が主開口部Wを閉止した際に隙間空間Pの圧力を作業空間Hの圧力よりも低く維持するので、室内の雰囲気が、上部空間Q1を経由して隙間空間Pに入り、その後に下部空間Q2を経由して排気される。
また、室内の雰囲気を上部空間Q1に案内する様にし、第二案内機材60または第二排気機材70を設定し、二重扉20が主開口部Wを閉止した際に隙間空間Pの圧力を室内の圧力よりも低く維持するので、室内の雰囲気が、上部空間Q1を経由して隙間空間Pに入り、その後に下部空間Q2を経由して排気される。
また、室内の雰囲気を上部空間Q1に案内する様にし、第二案内機材60または第二排気機材70を設定し、二重扉20が主開口部Wを閉止した際に隙間空間Pの圧力を作業空間Hの圧力と室内の圧力よりも低く維持するので、室内の雰囲気が、上部空間Q1を経由して隙間空間Pに入り、その後に下部空間Q2を経由して排気される。
また、送風装置42が室内の雰囲気を作業空間Hの上方から内部へ送気し、送風装置42の送気する圧力又は風量が作業空間Hの圧力に応じて調整可能である様にしたので、室内の雰囲気が加圧されて上方から作業空間Hへおくられ、送風装置42の送気する圧力又は風量を調整して、室内の雰囲気と作業空間Hとの差圧を調整できる。
また、送風装置42が室内の雰囲気を作業空間Hの上方から内部へ送気し、
送風装置42の送気する圧力又は風量が作業空間Hの圧力と室内の圧力との差圧をゼロまたは所定の指令値にする様に制御したので、室内の雰囲気が加圧されて上方から作業空間Hへおくられ、送風装置42の送気する圧力又は風量を調整して、室内の雰囲気と作業空間Hとの差圧を所望の値に調整できる。
また、送風装置42が室内の雰囲気を作業空間Hの上方から内部へ送気し、二重扉20が主開口部Wを開放した際に送風装置42の送気する圧力又は風量がゼロまたは一定値に固定される様に制御したので、室内の雰囲気が加圧されて上方から作業空間Hへおくられ、主開口部Wが開放された際に、室内の雰囲気と作業空間Hの気体の混ざるのを抑制できる。
【0066】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーの正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーのA−A断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーのA−A断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーのB−B断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーのB−B断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーのC−C断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーのD−D断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーのE−E断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーのF−F断面図である。
【図10】本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーのG−G断面図である。
【図11】本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーの部分断面図である。
【図12】本発明の実施形態に係るドラフトチャンバーの部分断面図である。
【符号の説明】
【0068】
W 主開口部
W1 上部領域
W2 下部領域
J 第一案内空間
H 作業空間
K 窪み
P 隙間空間
Q1 上部空間
Q2 下部空間
Q3 前方下部空間
O1 上部開口部
O2 下部開口部
R 第二案内空間
S 作業面
5 科学機器
10 主構造体
11 作業床部材
12 側壁部材
13 奥壁部材
14 天井部材
15 前壁部材
16 仕切り板
17 二重扉案内機材
18u 上部突起部
18d 下部突起部
19 外周部材
19a 前部部材
19b 上部部材
19c 側部部材
19d 裏部部材
20 二重扉
21 上部二重扉
21f 前方上部扉
21b 後方上部扉
22 下部二重扉
22f 前方下部扉
22b 後方下部扉
23 扉本体
24 滑動部材
25 支持部材
26u 上部シール部
26d 下部シール部
27 中間シール部
28 取っ手
29 上部ストッパ
30 二重扉吊り機材
31f 前方上部扉シーブ
31b 後方上部扉シーブ
32f 前方下部扉シーブ
32b 後方下部扉シーブ
33f ウエイト側前方上部扉シーブ
33b ウエイト側後方上部扉シーブ
34f ウエイト側前方下部扉シーブ
34b ウエイト側後方下部扉シーブ
35 吊りケーブル
38 カウンタウエイト
40 第一案内機材
41 フィルタ
42 送風装置
50 第一排気機材
51 第一排気ダンパ
52 第一排気配管
60 第二案内機材
61 第二前方案内穴
62 第二後方案内穴
70 第二排気機材
71 第二排気ダンパ
72 第二排気ダクト
73 第二排気配管
80 排液機材
81 排液弁
82 排液配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に設置され科学機材を用いるためのドラフトチャンバーであって、
科学機器を収納可能な空間であって側部に外側から科学機器にアクセスするための開口部である主開口部を設けられた作業空間と下方に向いた開口部である上部開口部を持ち前記主開口部より上方に位置する上部空間と上方に向いた開口部である下部開口部を持ち前記主開口部より下方に位置する下部空間とを形成する主構造体と、
前記主開口部を閉止および開放でき互いの間に隙間空間を形成する二重扉と、
室内の雰囲気を前記作業空間に案内する第一案内機材と、
前記作業空間の中から気体を排気する第一排気機材と、
前記下部空間の中から気体を排気する第二排気機材と、
を備え、
前記二重扉が前記主開口部を閉止した際に、前記上部開口部が前記隙間空間の上部に連通し、前記下部開口部が前記隙間空間の下部に連通する、
ことを特徴とするドラフトチャンバー。
【請求項2】
前記二重扉が前記主開口部の上部の領域である上部領域を閉止および開放でき上下方向へ移動自在になった上部二重扉と前記主開口部の残りの下部の領域である下部領域を閉止および開放でき上下方向に移動自在になった下部二重扉とを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のドラフトチャンバー。
【請求項3】
前記二重扉が前記主開口部の上部の領域である上部領域を閉止および開放でき上下方向へ移動自在になった上部二重扉と前記主開口部の残りの下部の領域である下部領域を閉止および開放でき上下方向に移動自在になった下部二重扉とを有し、
前記上部二重扉が前記上部領域を開放した際に前記上部二重扉の少なくとも一部が前記上部空間に収納され、
前記下部二重扉が前記下部領域を開放した際に前記下部二重扉の少なくとも一部が前記下部空間に収納される、
ことを特徴とする請求項1に記載のドラフトチャンバー。
【請求項4】
前記二重扉が前記主開口部の上部の領域である上部領域を閉止および開放でき上下方向へ移動自在になった上部二重扉と前記主開口部の残りの下部の領域である下部領域を閉止および開放でき上下方向に移動自在になった下部二重扉とを有し、
前記上部二重扉が前記上部領域を閉止した際に前記上部開口部の縁に接触して気密を保持する上部シール部を有し、
前記下部二重扉が前記下部領域を閉止した際に前記下部開口部の縁に接触して気密を保持する下部シール部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のドラフトチャンバー。
【請求項5】
前記二重扉が前記主開口部の上部の領域である上部領域を閉止および開放でき上下方向へ移動自在になった上部二重扉と前記主開口部の残りの下部の領域である下部領域を閉止および開放でき上下方向に移動自在になった下部二重扉とを有し、
前記主構造体が前記上部開口部の縁に沿って位置し水平方向に突起し上側を階段状形状にした部分である上部突起部を有し、
前記上部二重扉が上側の辺に沿って位置し水平方向に突起し下側を階段状形状にした部分である上部シール部を有し、
前記上部二重扉が前記上部領域を閉止した際に前記上部突起部の前記階段状形状と前記上部シール部の階段状形状とが嵌まり合う、
ことを特徴とする請求項1に記載のドラフトチャンバー。
【請求項6】
前記二重扉が前記主開口部の上部の領域である上部領域を閉止および開放でき上下方向へ移動自在になった上部二重扉と前記主開口部の残りの下部の領域である下部領域を閉止および開放でき上下方向に移動自在になった下部二重扉とを有し、
前記主構造体が前記下部開口部の縁に沿って位置し水平方向に突起し下側を階段状形状にした部分である下部突起部を有し、
前記下部二重扉が下側の辺に沿って位置し水平方向に突起し上側を階段状形状にした部分である下部シール部を有し、
前記下部二重扉が前記下部領域を閉止した際に前記下部突起部の前記階段状形状と前記下部シール部の前記階段状形状とが嵌まり合う、
ことを特徴とする請求項1に記載のドラフトチャンバー。
【請求項7】
前記主構造体が前記作業空間の下側に位置し科学機器を据え付けるための作業面と該作業面に連なり該作業面より下方に凹んだ窪みとを形成する作業床部材を有し、
前記第一排気機材が前記窪みの中の気体を排気する、
ことを特徴とする請求項1に記載のドラフトチャンバー。
【請求項8】
前記主構造体が前記作業空間の下側に位置し科学機器を据え付けるための作業面と該作業面に連なり該作業面より下方に凹んだ窪みとを形成する作業床部材を有し、
前記作業面が前記主開口部の最も低い箇所よりも低い位置にあり、
前記第一排気機材が前記窪みの中の気体を排気する、
ことを特徴とする請求項1に記載のドラフトチャンバー。
【請求項9】
前記主構造体が前記作業空間の下側に位置し科学機器を据え付けるための作業面と該作業面に連なり該作業面より下方に凹んだ窪みとを形成する作業床部材と該作業面から立ち上がり前記窪みを囲む仕切り板とを有し、
前記第一排気機材が前記窪みの中の気体を排気する、
ことを特徴とする請求項1に記載のドラフトチャンバー。
【請求項10】
室内の雰囲気を前記上部空間に案内する第二案内機材を
備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のドラフトチャンバー。
【請求項11】
室内の雰囲気を前記上部空間に案内する第二案内機材を
備え、
前記第二案内機材または前記第二排気機材が、前記二重扉が前記主開口部を閉止した際に前記隙間空間の圧力を前記作業空間の圧力よりも低く維持する様に設定される、
ことを特徴とする請求項1に記載のドラフトチャンバー。
【請求項12】
前記第一案内機材が室内の雰囲気を前記作業空間の上方から内部へ送気する送風装置を有し、
前記送風装置の送気する圧力又は風量が前記作業空間の圧力に応じて調整可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載のドラフトチャンバー。
【請求項13】
前記第一案内機材が室内の雰囲気を前記作業空間の上方から内部へ送気する送風装置を有し、
前記送風装置の送気する圧力又は風量が前記作業空間の圧力と室内の圧力との差圧をゼロまたは所定の指令値にする様に制御される、
ことを特徴とする請求項1に記載のドラフトチャンバー。
【請求項14】
前記第一案内機材が室内の雰囲気を前記作業空間の上方から内部へ送気する送風装置を有し、
前記二重扉が前記主開口部を開放した際に前記送風装置の送気する圧力又は風量がゼロまたは一定値に固定される様に制御される、
ことを特徴とする請求項1に記載のドラフトチャンバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−229474(P2008−229474A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71908(P2007−71908)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 2006年12月6日〜8日 セミ・ジャパン主催の「セミコン・ジャパン 2006」に出品
【出願人】(304000412)有限会社NAS技研 (10)
【Fターム(参考)】