説明

ドラムユニット及び画像形成装置

【課題】感光体ドラムの表面に塗布される滑材を保持する滑材板金の強度を確保した状態で滑材板金を小型化できるようにすると共に滑材の容量を増加できるようにする。
【解決手段】感光体ドラム1Y上に滑材41Bを塗布する塗布部47Bは、滑材41Bを保持する滑材板金42Bと、この滑材板金42Bに保持された滑材41Bを掻き取って感光体ドラム1Y上に滑材41Bを塗布するブラシ40とを有し、滑材板金42Bが、滑材41Bを保持する保持面48に凹部49を有して略M字形状に形成されている。滑材板金42Bを略M字形状に形成することで滑材板金42Bの断面積が増えるので、滑材板金42Bは滑材板金42Aと同じ縦弾性係数を保ちつつ、滑材板金42Aの滑材保持面Sよりも高さD1だけ低くすることができる。これにより、板金強度を確保した状態で滑材容量を容量Q2だけ増加させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜像を形成する像担持体上に滑材を塗布し、この滑材が塗布された像担持体上の残存トナーを除去するクリーニング部を備えたドラムユニット及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、像担持体である感光体ドラムに現像されたトナーが中間転写体などに転写された後、感光体ドラムに残存したトナーをクリーニング部により除去するものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
図8は、従来例に係るクリーニング部8Yaの構成例を示す断面図である。図8に示すクリーニング部8Yaは、感光体ドラム1Yに残存したトナーを除去する。例えば、クリーニング部8Yaは、塗布部47A及びブレード43を備えている。塗布部47Aは感光体ドラム1Y上に滑材41Aを塗布するものであって、ブラシ40、滑材41A及び滑材板金42Aを備えている。ブラシ40は滑材板金42Aに保持された滑材41Aを掻き取って感光体ドラム1Y上に滑材41Aを塗布する。例えば、ブラシ40は、感光体ドラム1Yに当接するように配置され、矢印R2の方向に駆動回転する。この矢印R2の回転方向は、感光体ドラム1Yが回転する矢印R1の方向と反対方向である。
【0004】
ブラシ40の下方には滑材41Aが設置されている。滑材41Aは、滑材板金42Aに取り付けられている。例えば、滑材41Aは、両面テープにより滑材板金42Aの上面に接着されている。
【0005】
滑材41Aはステアリン酸などを含む潤滑剤であり、この滑材41Aが感光体ドラム1Yに塗布されることでブレード43と感光体ドラム1Yとの摩擦係数を低下させる。これにより、ブレード43は、感光体ドラム1Yなどの表面に残存したトナーを効率よく除去することができる。
【0006】
滑材41Aが固定された滑材板金42Aは、ケーシング53に対して上下動自在に取り付けられている。例えば、滑材板金42Aに固定された滑材41Aは、圧縮バネにより上方に付勢されている。
【0007】
図8に示すように、滑材41A及び滑材板金42Aは溝部46に嵌め込まれ、圧縮バネ44によりブラシ40に向けて付勢されている。これにより、滑材41Aがブラシ40に当接するので、ブラシ40の回転と共に滑材41Aがブラシ40により掻き出されて感光体ドラム1Yに滑材41Aが塗布される。
【0008】
ブレード43は感光体ドラム1Yに圧接され、塗布部47Aにより滑材41Aが塗布された感光体ドラム1Yと摺接することにより感光体ドラム1Y上の残存トナーを除去する。
【0009】
続いて、図9を参照して塗布部47Aの機能例について説明する。図9Aに示す塗布部47Aの滑材41Aは未使用状態である。この滑材41Aは、滑材板金42Aに固定されて圧縮バネ44,44により付勢されてブラシ40に当接されている。
【0010】
図9Bに示す滑材41Aは使用されてからある程度経過した状態である。この滑材41Aは、ブラシ40の矢印R2の方向への回転により、ブラシ40により掻き出されて磨り減っている。滑材41Aは圧縮バネ44,44により付勢されているので、磨耗と共に圧縮バネ44,44の使用長が変化してブラシ40側に上昇する。これにより、滑材41Aは、常にブラシ40に当接して該ブラシ40により掻き出される。ブラシ40により掻き出された滑材41Aは、感光体ドラム1Yに塗布される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−96948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、図8に示すドラムユニット10Yaは、感光体ドラム1Yの周囲に帯電部、露光部、現像部、一次転写部、クリーニング部8Yaなどの多様な機構から構成される。このため、クリーニング部8Yaに設けられた塗布部47Aを構成する部品のスペースは限られることが多く、広いスペースを確保することが難しい。従って、塗布部47Aの滑材41Aの容量を確保することが困難になる。
【0013】
滑材41Aの耐久性がドラムユニット10Yaの交換サイクルに影響を与える。滑材41Aの耐久性は、滑材41Aの大きさ(容量)に大きく依存している。滑材41Aの容量を増やすことができれば、ドラムユニット10Yaの交換サイクルを長くすることができる。
【0014】
滑材41Aは少なくとも、トナーが感光体ドラム1Yに現像される幅以上は塗布する必要があり一定の長さが必要である。スペースを確保して滑材41Aの容量を増やすために滑材板金42Aの板厚を薄く形成すると、板金強度が弱くなり滑材板金42Aがねじれて滑材41Aの塗布不良(塗布ムラ)が生じる問題がある。
【0015】
そこで、本発明はこのような従来例に係る問題を解決したものであって、滑材を保持する滑材板金の強度を確保した状態で滑材の容量を増加できるようにしたドラムユニット及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するために、本発明に係る請求項1に記載のドラムユニットは、潜像を形成する像担持体上に滑材を塗布する塗布部と、前記塗布部により滑材が塗布された像担持体と摺接することにより像担持体上の残存トナーを除去するブレードとを備え、前記塗布部は、前記滑材を保持する滑材板金と、前記滑材板金に保持された滑材を掻き取って前記像担持体上に滑材を塗布するブラシとを有し、前記滑材板金は、前記滑材を保持する保持面に凹部を有するものである。
【0017】
また、上述した課題を解決するために、本発明に係る請求項4に記載の画像形成装置は、像担持体に画像を形成する画像形成部と、前記像担持体に形成された画像を転写する転写部と、転写後に像担持体上に滑材を塗布する塗布部と、前記塗布部により滑材が塗布された像担持体と摺接することにより像担持体上の残存トナーを除去するブレードとを備え、前記塗布部は、前記滑材を保持する滑材板金と、前記滑材板金に保持された滑材を掻き取って前記像担持体上に滑材を塗布するブラシとを有し、前記滑材板金は、前記滑材を保持する保持面に凹部を有するものである。
【0018】
請求項1,4に記載の発明によれば、板金強度を確保した状態で滑材容量を増加させることができる。
【0019】
請求項2に係るドラムユニットは、請求項1において、前記滑材板金の凹部は略V字形状に形成され、前記滑材板金が略M字形状に形成されている。また、請求項3に係るドラムユニットは、請求項1において、前記滑材板金の凹部は略半円形状に形成されている。このように、請求項2,3に係る滑材板金の凹部は略V字形状や略半円形状に形成されているので、滑材保持面が平面形状の滑材板金に比べて滑材板金の断面積が増え、板金強度を確保した状態で滑材容量を増加させることができる。
【0020】
上述した課題を解決するために、本発明に係る請求項5に記載のドラムユニットは、潜像を形成する像担持体上に滑材を塗布する塗布部と、前記塗布部により滑材が塗布された像担持体と摺接することにより像担持体上の残存トナーを除去するブレードとを備え、前記塗布部は、前記滑材を保持する滑材板金と、前記滑材板金に保持された滑材を掻き取って前記像担持体上に滑材を塗布するブラシとを有し、前記滑材板金は、前記滑材を保持する保持面から滑材の側面に沿って延設された第1の突出片を有するものである。
【0021】
また、上述した課題を解決するために、本発明に係る請求項8に記載の画像形成装置は、像担持体に画像を形成する画像形成部と、前記像担持体に形成された画像を転写する転写部と、転写後に像担持体上に滑材を塗布する塗布部と、前記塗布部により滑材が塗布された像担持体と摺接することにより像担持体上の残存トナーを除去するブレードとを備え、前記塗布部は、前記滑材を保持する滑材板金と、前記滑材板金に保持された滑材を掻き取って前記像担持体上に滑材を塗布するブラシとを有し、前記滑材板金は、前記滑材を保持する保持面から滑材の側面に沿って延設された第1の突出片を有するものである。請求項5,8に記載の発明によれば、板金強度を確保した状態で滑材容量を増加させることができる。
【0022】
請求項6に係るドラムユニットは、請求項5において、前記滑材板金は、略L字形状に形成されているものである。請求項7に係るドラムユニットは、請求項5において、前記滑材板金は、前記第1の突出片と反対方向に延設された第2の突出片を有するものである。
【0023】
このように、請求項6に係る滑材板金はL字形状に形成され、請求項7に係る滑材板金は第2の突出片を有しているので、矩形形状の滑材板金に比べて板金強度を確保した状態で滑材容量を増加させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るドラムユニット及び画像形成装置によれば、像担持体上に滑材を塗布する塗布部は、滑材を保持する滑材板金と、この滑材板金に保持された滑材を掻き取って像担持体上に滑材を塗布するブラシとを有し、滑材板金が、滑材を保持する保持面に凹部を有するものである。また、滑材板金は、滑材を保持する保持面から滑材の側面に沿って延設された第1の突出片を有するものである。
【0025】
この構成によって、板金強度を確保した状態で滑材容量を増加させることができる。これにより、滑材の耐久性、ドラムユニットの耐久性を向上できる。さらに、滑材を滑材板金に固定する固定面積が増加するので、滑材と滑材板金の接着強度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る画像形成装置100の構成例を示す概略図である。
【図2】クリーニング部8Ybの構成例を示す断面図である。
【図3】塗布部47Bの構成例を示す斜視図である。
【図4】Aは塗布部47Bの構成例を示す側面図であり、Bは図4Aに示す破線円内の拡大図である。
【図5】Aは塗布部47Cの構成例を示す側面図であり、Bは図5Aに示す破線円内の拡大図である。
【図6】A及びBは、従来例に係る滑材41Aの容量と本発明に係る滑材41B,41Cの容量との比較例を示す図である。
【図7】A及びBは、従来例に係る滑材41Aの容量と本発明に係る滑材41D,41Eの容量との比較例を示す図である。
【図8】従来例に係るクリーニング部8Yaの構成例を示す断面図である。
【図9】従来例に係る塗布部47Aの機能例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
続いて、図面を参照しながら本発明に係るドラムユニット及び画像形成装置を実施するための形態について説明する。本発明の要旨は、像担持体上に滑材を塗布する塗布部が、滑材を保持する滑材板金と、この滑材板金に保持された滑材を掻き取って像担持体上に滑材を塗布するブラシとを有し、滑材板金が、滑材を保持する保持面に凹部を有するものである。また、滑材板金は、滑材を保持する保持面から滑材の側面に沿って延設された突出片を有するものである。この構成によって、板金強度を確保した状態で滑材容量を増加させることができる。
【0028】
図1は、本発明に係る画像形成装置100の構成例を示す概略図である。図1に示す画像形成装置100は、画像形成部GH、画像読取装置YS等で構成されている。画像形成部GHは、タンデム型カラー画像形成部と称されるもので、複数組のドラムユニット10Yb,10Mb,10Cb,10Kbや中間転写体6、2次転写部7A等で構成されている。
【0029】
画像形成部GHの上部には、自動原稿送り装置501と走査露光装置502からなる画像読取装置YSが設置されている。自動原稿送り装置501の原稿台上に載置された用紙Pは搬送部により搬送され、走査露光装置502の光学系により原稿の片面または両面の画像が走査露光され、ラインイメージセンサCCDに読み込まれる。
【0030】
ラインイメージセンサCCDにより光電変換された画像信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が行われた後、露光部3Y、3M、3C、3Kに送られる。
【0031】
イエロー(Y)色の画像を形成するドラムユニット10Ybは、感光体ドラム1Yの周囲に帯電部2Y、露光部3Y、現像部4Y、一次転写部7Y及びクリーニング部8Ybを有する。クリーニング部8Ybは、感光体ドラム1Yに残存したトナーを除去する。例えば、クリーニング部8Ybは、図2に示す塗布部47B及びブレード43を備えている。塗布部47Bは感光体ドラム1Y上に滑材41Bを塗布するものであって、ブラシ40及び滑材41Bを備えている。ブラシ40は滑材板金42Bに保持された滑材41Bを掻き取って感光体ドラム1Y上に滑材41Bを塗布する。
【0032】
マゼンタ(M)色の画像を形成するドラムユニット10Mbは、感光体ドラム1Mの周囲に帯電部2M、露光部3M、現像部4M、一次転写部7M及びクリーニング部8Mbを有する。シアン(C)色の画像を形成するドラムユニット10Cbは、感光体ドラム1Cの周囲に帯電部2C、露光部3C、現像部4C、一次転写部7C及びクリーニング部8Cbを有する。黒(Bk)色の画像を形成するドラムユニット10Kbは、感光体ドラム1Kの周囲に帯電部2K、露光部3K、現像部4K、一次転写部7K及びクリーニング部8Kbを有する。そして、帯電部2Yと露光部3Y、帯電部2Mと露光部3M、帯電部2Cと露光部3C及び帯電部2Kと露光部3Kは、潜像形成部を構成する。
【0033】
なお、現像部4Y、4M、4C、4Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)のトナーとキャリアからなる2成分現像剤を収容している。
【0034】
中間転写体6は、複数のローラにより巻き回され、回動可能に支持されている。定着装置9は、定着ローラ91及び加圧ローラ92を有し、定着ローラ91と加圧ローラ92との間に形成されたニップ部で用紙P上のトナー像を加熱及び加圧して定着する。
【0035】
送りローラ27は、トナー像が定着された用紙Pを切替ゲート31に向けて送り出す。切替ゲート31は、通常の排紙を行う通常排紙経路28と、両面印刷や反転排紙を行う反転経路29の分岐点に方向切替自在に配置されている。切替ゲート31は、用紙Pの進行方向を通常排紙経路28又は反転経路29に変更する。切替ゲート31により反転経路29に排出された用紙は、反転ローラ50により反転排紙経路34又は両面経路35に搬送される。
【0036】
続いて、画像形成装置100の動作例について説明する。ドラムユニット10Yb、10Mb、10Cb、10Kbにより形成された各色のトナー像は、回動する中間転写体6上に一次転写部7Y、7M、7C、7Kにより逐次転写され、中間転写体6上に各色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
【0037】
クリーニング部8Yb,8Mb,8Cb,8Kbは、一次転写部7Y、7M、7C、7Kにより転写後、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに残存したトナーを除去する。例えば、図2に示すクリーニング部8Ybのブラシ40は滑材板金42Bに保持された滑材41Bを掻き取って感光体ドラム1Y上に滑材41Bを塗布する。ブレード43は、ブラシ40により滑材41Bが塗布された感光体ドラム1Yと摺接することにより感光体ドラム1Y上の残存トナーを除去する。
【0038】
給紙トレイ21内に収容された用紙Pは、給紙部20の給紙ローラ22により1枚毎に分離され、給紙ローラ23を経て、停止状態にあるレジストローラ24へ給紙される。用紙Pはレジストローラ24で一旦停止する。用紙Pの先端部と中間転写体6上のトナー像との位置が一致するタイミングで、レジストローラ24が回転を開始する。これにより2次転写部7Aに用紙Pが給紙され、この用紙P上にカラートナー像が転写される(2次転写)。カラートナー像が転写された用紙Pは定着装置9において加熱および加圧され、用紙P上にカラートナー像が定着される。その後、送りローラ27は、用紙Pを切替ゲート31に向けて送り出す。切替ゲート31は、用紙Pの進行方向を通常排紙経路28又は反転経路29に変更する。通常排紙経路28に送出された用紙Pは、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。また、反転経路29に送出された用紙Pは、反転ローラ50により反転されて反転排紙経路34又は両面経路35に搬送される。
【0039】
一方、2次転写部7Aにより用紙Pにカラートナー像を転写した後、用紙Pを曲率分離した中間転写体6は、中間転写体クリーニング部8Aにより残存トナーが除去される。なお、以上はカラー画像を形成する画像形成装置100であったが、モノクロ画像を形成する画像形成装置であってもよい。
【0040】
続いて、図2を参照してクリーニング部8Ybの構成例について説明する。図2に示すクリーニング部8Ybは、感光体ドラム1Yに残存したトナーを除去する。例えば、クリーニング部8Ybは、塗布部47B及びブレード43を備えている。塗布部47Bはブラシ40及び滑材41Bを備え、感光体ドラム1Y上に滑材41Bをブラシ40により塗布する。この例で、ブラシ40は滑材板金42Bに保持された滑材41Bを掻き取って感光体ドラム1Y上に滑材41Bを塗布する。例えば、ブラシ40は、感光体ドラム1Yの軸方向に延びるロール状に形成され、感光体ドラム1Yに当接するように配置されている。ブラシ40は矢印R2の方向に駆動回転する。この矢印R2の回転方向は、感光体ドラム1Yが回転する矢印R1の方向と反対方向である。ブラシ40の素材は、摩耗に強くて強度が高い樹脂や、永久歪が小さく毛倒れし難い樹脂が好ましい。
【0041】
ブラシ40の下方には滑材41Bが設置されている。滑材41Bは、滑材板金42Bに取り付けられている。図3に示す滑材41Bは、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kと略同じ長さに形成されている。滑材板金42Bは、滑材41Bを保持する保持面48に凹部49を有している。滑材板金42Bの凹部49は略V字形状に形成され、滑材板金42Bが略M字形状に形成されている。滑材板金42Bは、板金を金型プレス加工することにより形成される。滑材41Bは、両面テープにより滑材板金42Bの保持面48に接着されて取り付けられている。
【0042】
滑材41Bはステアリン酸などを含む潤滑剤であり、ブレード43と感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kとの摩擦係数を低下させる。これにより、ブレード43は、感光体ドラム1Yなどの表面に残存したトナーを効率よく除去することができる。
【0043】
滑材41Bが固定された滑材板金42Bは、ケーシング53(図2参照)に対して上下動自在に取り付けられている。図4Aは塗布部47Bの構成例を示す側面図であり、図4Bは図4Aに示す破線円内の拡大図である。滑材板金42Bの両端には、ネジ52により樹脂台45,45が固定されている。この樹脂台45には、圧縮バネ44が装着されている。このように構成することで、滑材板金42Bに固定された滑材41Bは、圧縮バネ44,44により上方に付勢される。
【0044】
図2に示すように、塗布部47Bにおける滑材41B及び滑材板金42Bは、ドラムユニット10Ybのケーシング53に間隙を有して嵌め込まれている。この例で、ケーシング53には、滑材41B及び滑材板金42Bの外形を若干大きくした形状に形成された溝部46が設けられている。滑材41B及び滑材板金42Bは溝部46に嵌め込まれ、圧縮バネ44によりブラシ40に向けて付勢されている。これにより、滑材41Bがブラシ40に当接するので、ブラシ40の回転と共に滑材41Bがブラシ40により掻き出されて感光体ドラム1Yに滑材41Bが塗布される。
【0045】
ブレード43は弾性ゴムなどから形成され、感光体ドラム1Yに圧接されている。ブレード43は、塗布部47Bにより滑材41Bが塗布された感光体ドラム1Yと摺接することにより感光体ドラム1Y上の残存トナーを除去する。
【0046】
続いて、図5を参照して第2の塗布部47Cについて説明する。図5Aは第2の塗布部47Cの構成例を示す側面図であり、図5Bは図5Aに示す破線円内の拡大図である。この塗布部47Cの滑材板金42Cは、滑材41Cを保持する保持面48Cから滑材41Cの側面に沿って延設された第1の突出片51を有し、略L字形状に形成されている(図6B参照)。滑材板金42Cの両端には、樹脂台45C,45Cが嵌め込まれて固定されている。この例では、図4に示したネジ52を用いないで滑材板金42Cの両端が樹脂台45C,45Cの孔部に差し込まれて固定されている。樹脂台45Cには、圧縮バネ44Cが装着されている。このように構成することで、滑材板金42Cに固定された滑材41Cは、圧縮バネ44C,44Cにより上方に付勢される。
【0047】
続いて、従来例に係る滑材41Aの容量と本発明に係る滑材41B〜41Eの容量とを比較する。従来例に係る図6Aの塗布部47Aは、滑材41A及び滑材板金42Aから構成され、ブラシ40により掻き出されて使用される滑材41Aの容量は容量Q1である。この容量Q1は、図9Bに示すように、回転したブラシ40により滑材41Aが掻き出さて使用される量であり、容量Q1程度使用されると、滑材41Aを交換する必要がある。
【0048】
本発明に係る図6Aの塗布部47Bは、滑材41B及び滑材板金42Bから構成され、ブラシ40により掻き出されて使用される滑材41Bの容量は容量Q1と容量Q2を合計した容量である。この例で、滑材板金42Aは板金の両端を略直角に折り曲げて矩形形状に形成され、滑材板金42Bは略M字形状に形成されている。
【0049】
滑材板金42Bを略M字形状に形成することで滑材板金42Bの断面積が増えるので、滑材板金42Bは、滑材板金42Aと同じ縦弾性係数を保ちつつ、滑材板金42Aの滑材保持面Sよりも高さD1だけ低くすることができる。これにより、板金強度を確保した状態で滑材板金42Bのサイズを小型化することができるので滑材容量を容量Q2だけ増加させることができる。従って、滑材41Bの耐久性、ドラムユニット10Ybの耐久性を向上できる。さらに、滑材41Bを滑材板金42Bに固定する保持面48の面積が増加するので、滑材41Bと滑材板金42Bの接着強度を向上できる。また、滑材板金42Bは、V字形状に形成された凹部49を有しているので、この凹部49に滑材板金42Bが入り込んで滑材容量を増加できる。
【0050】
本発明に係る図6Bの塗布部47Cは、滑材41C及び滑材板金42Cから構成され、ブラシ40により掻き出されて使用される滑材41Cの容量は容量Q1と容量Q3を合計した容量である。この例で、滑材板金42Cは、滑材41Cを保持する保持面48Cから滑材41Cの側面に沿って延設された第1の突出片51を有し、略L字形状に形成されている。
【0051】
滑材板金42Cを略L字形状に形成することで、滑材板金42Cは、滑材板金42Aと同じ縦弾性係数を保ちつつ、滑材板金42Aの滑材保持面Sよりも高さD2だけ低くすることができる。これにより、板金強度を確保した状態で滑材板金42Cのサイズを小型化することができるので滑材容量を容量Q3だけ増加させることができる。
【0052】
また、図6Bに示す滑材板金42Cの第1の突出片51は、滑材41Cの一方の側面に沿って延設されている。この第1の突出片51を延設する一方の側面は、矢印R2の方向に回転するブラシ40が最初に滑材41Cに当接する側の側面Tと反対の側面を選択する。これは、滑材41Cが磨り減ってブラシ40の毛先が突出片に当接した場合に、毛先が毛倒れすることを防止するためである。
【0053】
本発明に係る図7Aの塗布部47Dは、滑材41D及び滑材板金42Dから構成され、ブラシ40により掻き出されて使用される滑材41Dの容量は容量Q1と容量Q4を合計した容量である。この例で、滑材板金42Dは、図6Bに示した第1の突出片51と同じ方向に延設された第1の突出片51aと、この第1の突出片51aと反対方向に延設された第2の突出片51bを有し、イス形状に形成されている。
【0054】
滑材板金42Dをイス形状に形成することで、滑材板金42Dは、滑材板金42Aと同じ縦弾性係数を保ちつつ、滑材板金42Aの滑材保持面Sよりも高さD3だけ低くすることができる。これにより、板金強度を確保した状態で滑材板金42Dのサイズを小型化することができるので滑材容量を容量Q4だけ増加させることができる。
【0055】
本発明に係る図7Bの塗布部47Eは、滑材41E及び滑材板金42Eから構成され、ブラシ40により掻き出されて使用される滑材41Eの容量は容量Q1と容量Q5を合計した容量である。この例で、滑材板金42Eの凹部49Eは、略半円形状に形成されている。
【0056】
滑材板金42Eが凹部49Eを有することで滑材板金42Eの断面積が増えるので、滑材板金42Eは、滑材板金42Aと同じ縦弾性係数を保ちつつ、滑材板金42Aの滑材保持面Sよりも高さD4だけ低くすることができる。これにより、板金強度を確保した状態で滑材板金42Eのサイズを小型化することができるので滑材容量を容量Q4だけ増加させることができる。さらに、滑材41Eを滑材板金42Eに固定する保持面の面積が増加するので、滑材41Eと滑材板金42Eの接着強度を向上できる。また、滑材板金42Eは、略半円形状に形成された凹部49Eを有しているので、この凹部49Eに滑材板金42Eが入り込んで滑材容量を増加できる。
【0057】
このように、本発明に係るドラムユニット10Ybを備えた画像形成装置100によれば、感光体ドラム1Y上に滑材41Bを塗布する塗布部47Bは、滑材41Bを保持する滑材板金42Bと、この滑材板金42Bに保持された滑材41Bを掻き取って感光体ドラム1Y上に滑材41Bを塗布するブラシ40とを有し、滑材板金42Bが、滑材41Bを保持する保持面48に凹部49を有するものである。また、滑材板金42Cは、滑材41Cを保持する保持面48Cから滑材41Cの側面に沿って延設された第1の突出片51を有するものである。
【0058】
この構成によって、板金強度を確保した状態で滑材板金42B,42Cのサイズを小型化することができるので滑材容量を増加させることができる。これにより、滑材41B,41Cの耐久性、ドラムユニット10Ybの耐久性を向上できる。さらに、滑材41Bなどを滑材板金42Bに固定する固定面積が増加するので、滑材41Bと滑材板金42Bの接着強度を向上できる。
【0059】
なお、滑材板金42B〜42Eを本発明に係る実施の形態として説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。すなわち、本発明に係る滑材板金は凹部又は突出片を備えるものであって、複数個の凹部を備えたものや波形状に形成されたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、潜像を形成する像担持体上に滑材を塗布し、この滑材が塗布された像担持体上の残存トナーを除去するクリーニング部を備えたドラムユニットや画像形成装置に適用して極めて好適である。
【符号の説明】
【0061】
GH・・・画像形成部、1Y,1M,1C,1K・・・感光体ドラム(像担持体)、10Yb,10Mb,10Cb,10Kb・・・ドラムユニット、40・・・ブラシ、41B,41C,41D,41E・・・滑材、42B,42C,42D,42E・・・滑材板金、43・・・ブレード、47B,47C,47D,47E・・・塗布部、48,48C・・・保持面、49,49E・・・凹部、51,51a・・・第1の突出片、51b・・・第2の突出片、100・・・画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を形成する像担持体上に滑材を塗布する塗布部と、前記塗布部により滑材が塗布された像担持体と摺接することにより像担持体上の残存トナーを除去するブレードとを備え、
前記塗布部は、
前記滑材を保持する滑材板金と、
前記滑材板金に保持された滑材を掻き取って前記像担持体上に滑材を塗布するブラシとを有し、
前記滑材板金は、前記滑材を保持する保持面に凹部を有することを特徴とするドラムユニット。
【請求項2】
前記滑材板金の凹部は略V字形状に形成され、前記滑材板金が略M字形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のドラムユニット。
【請求項3】
前記滑材板金の凹部は、略半円形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のドラムユニット。
【請求項4】
像担持体に画像を形成する画像形成部と、前記像担持体に形成された画像を転写する転写部と、転写後に像担持体上に滑材を塗布する塗布部と、前記塗布部により滑材が塗布された像担持体と摺接することにより像担持体上の残存トナーを除去するブレードとを備え、
前記塗布部は、
前記滑材を保持する滑材板金と、
前記滑材板金に保持された滑材を掻き取って前記像担持体上に滑材を塗布するブラシとを有し、
前記滑材板金は、前記滑材を保持する保持面に凹部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
潜像を形成する像担持体上に滑材を塗布する塗布部と、前記塗布部により滑材が塗布された像担持体と摺接することにより像担持体上の残存トナーを除去するブレードとを備え、
前記塗布部は、
前記滑材を保持する滑材板金と、
前記滑材板金に保持された滑材を掻き取って前記像担持体上に滑材を塗布するブラシとを有し、
前記滑材板金は、前記滑材を保持する保持面から滑材の側面に沿って延設された第1の突出片を有することを特徴とするドラムユニット。
【請求項6】
前記滑材板金は、略L字形状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のドラムユニット。
【請求項7】
前記滑材板金は、前記第1の突出片と反対方向に延設された第2の突出片を有することを特徴とする請求項5に記載のドラムユニット。
【請求項8】
像担持体に画像を形成する画像形成部と、前記像担持体に形成された画像を転写する転写部と、転写後に像担持体上に滑材を塗布する塗布部と、前記塗布部により滑材が塗布された像担持体と摺接することにより像担持体上の残存トナーを除去するブレードとを備え、
前記塗布部は、
前記滑材を保持する滑材板金と、
前記滑材板金に保持された滑材を掻き取って前記像担持体上に滑材を塗布するブラシとを有し、
前記滑材板金は、前記滑材を保持する保持面から滑材の側面に沿って延設された第1の突出片を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−76012(P2011−76012A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230004(P2009−230004)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】