説明

ドラム式表示装置

【課題】1つのモータにより複数のドラムを同期回転させ各ドラムを個別に停止させる。
【解決手段】同軸に中心軸を有しつつ並置された複数のドラム体20を同期回転せしめそれぞれ独立して所定角度位置で停止させる遊技機のドラム式表示装置1である。長手方向に沿って所定間隔で位置する複数のドラム20を相対回転自在に保持し駆動手段2により自回転する軸3と、複数のドラム20のそれぞれに組をなして与えられ、ドラム20の片側面に片主面を対向させ中心軸を軸3に固定されて共動する円板10と、ドラム20を所定角度位置で回転停止させる手段30を含み、対向するドラム20の片側面及び円板10の片主面には、軸3を中心とする同一円周上に磁石及び磁石吸引体の一方ずつが与えられて複数のドラム20を同期回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機のドラム式表示装置に関し、特に、同軸に中心軸を有しつつ並置された複数のドラム体を回転せしめるとともにそれぞれ独立して所定角度位置で停止させてその外周面に与えられた図柄を表示させる遊技機のドラム式表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
円筒の外周面に沿って複数の図柄を順に与えたドラム体をその回転中心軸を同軸になるようにして複数並置しこれらを一斉に回転させる。その上で、遊技者の操作又は所定の時間経過後にドラム体を個別に停止させていき、所定の方向に向けて図柄の組合せを表示させる。このような遊技機のドラム式表示装置は、表示された図柄の組合せによって遊技における「当たり」又は「はずれ」などを遊技者に報知する。
【0003】
一般的に、ドラム式表示装置は、各ドラム体毎にモータを含む駆動部をそれぞれ与えて独立してドラム体を回転及び停止できるようにしている。また、複数のドラム体を同期して回転できるようにその回転にステッピングモータを用いたり、各種のギア機構を組み入れたりすることなども行われている。
【0004】
例えば、特許文献1では、モータによる駆動力をギア機構ではなく、磁力によって回転ドラム体に伝達するようにしたスロット機のドラム式表示装置が開示されている。詳細には、環状マグネット体を外周面に有するローラ部材とマグネットシートを外周面に与えた回転ドラム体とを互いの外周面同士を対向させて近接配置する。マグネットシートは、周方向の所定長さ毎にN極とS極の磁性を反転させるようにして磁極を与えられている。また、環状マグネット体は、小さな永久磁石を周方向の所定長さ毎にN極とS極の磁性が反転するように交互に磁極を環状に配置して与えられている。ローラ部材をモータで回転させると、環状マグネット体の周囲で磁場が連続的に変化する。この変化する磁場によりマグネットシートの磁極毎に吸引力及び斥力を作用させ、マグネットシート及び環状マグネットの磁極同士の近接と離間を繰り返しながら回転ドラムが回転するのである。モータによる駆動力の回転ドラム体への伝達をギア機構ではなく磁力によることで、回転ドラムの交換時にギア機構を分解及び組み立てる手間の掛かる工程が不要となって、作業性に優れるとも述べている。
【0005】
ところで、ドラム式表示装置が一般に組み込まれるセンター表示装置の近傍には、例えば、可動役物などを設置することなども広く行われ、これらの収容スペースを確保する上で、ドラム式表示装置をよりコンパクトにすることも要求される。これに対して、回転ドラム毎に与えられていたモータを含む駆動部を1つのモータで駆動できるようにして大きさをコンパクトにしたドラム式表示装置も開発されている。
【0006】
例えば、特許文献2では、1つのモータで複数の回転ドラムを回転駆動させるコンパクトなドラム式表示装置が開示されている。詳細には、表示装置は、モータを動力源として回転する回転軸体と、これに遊嵌されて摩擦力でトルクを伝達される複数の回転ドラムと、を含む。各回転ドラムは回転軸との摩擦力でトルクを伝達され、複数のドラムを1つのモータで回転させ得る。一方、回転ドラムの停止時には、各回転ドラムに固定されたラチェット歯車にドラム停止用の爪状ストッパを移動させて噛み合わせることにより回転軸体と回転ドラムとの間の摩擦力に抗して各回転ドラムの回転を個別に停止できるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−147844号公報
【特許文献2】特開昭55−035637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、遊技機のドラム式表示装置では、回転ドラムの基準位置を互いに揃え若しくは相対的角度に維持したまま、例えば、所定の図柄を一直線状に並ぶように揃えた上でこれを維持したまま、少なくとも所定時間だけ同一回転速度で回転することが必要である(同期回転)。
【0009】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは1つのモータにより複数のドラムを同期回転させるとともに各ドラムを個別に停止させることができるドラム式表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるドラム式表示装置は、同軸に中心軸を有しつつ並置された複数のドラム体を同期回転せしめるとともにそれぞれ独立して所定角度位置で停止させてその外周面に与えられた図柄を表示させる遊技機のドラム式表示装置であって、長手方向に沿って所定間隔で位置する複数の前記ドラム体を相対回転自在に保持しつつ駆動手段により自回転する軸体と、複数の前記ドラム体のそれぞれに組をなして与えられ、前記ドラム体の片側面に片主面を対向させ中心軸を前記軸体に固定されて共動する円板体と、前記ドラム体を所定角度位置で回転停止させる停止手段と、を含み、対向する前記ドラム体の前記片側面及び前記円板体の前記片主面には、前記軸体を中心とする同一円周上に磁石及び磁石吸引体の一方ずつが与えられて複数の前記ドラム体を同期回転せしめ得ることを特徴とする。
【0011】
かかる発明によれば、自回転する1つの軸体の周囲で回転する複数の円板体とこれと組をなすドラム体との間で磁力による吸引を得た上で、これを維持したまま回転トルクが伝達され、複数のドラム体を同期回転できる。また、磁力に抗してドラム体の回転を停止させても他のドラム体の回転に影響を与えない。つまり、1つのモータにより複数のドラム体を同期回転させるとともに各ドラム体を個別に停止させることができるのである。
【0012】
上記した発明において、前記磁石及び/又は前記磁石吸引体は前記同一円周を所定数に均等分割した位置毎に複数与えられていることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、複数の磁石のうちの1つと、複数の磁石吸引体のうちの1つと、が回転開始時に選択的に対応関係、すなわち磁力による吸引関係を得てこれを保持したまま各ドラム体が回転するのである。故に、複数のドラム体が同期回転せしめられるのである。
【0013】
上記した発明において、前記磁石吸引体も磁石からなることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、軸体の回転を円板体を介してドラム体により強く与えることができて、例えば、ドラム体を高速に回転させたときであっても安定してこれを回転させることができるのである。
【0014】
上記した発明において、前記停止手段は、前記ドラム体の前記外周面の側縁部に設けられた複数の凹部と、前記ドラム体の前記外周面の前記側縁部に向けて移動可能な係止片と、を含み、前記係止片が前記凹部に侵入することで前記ドラム体を回転停止させることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、ドラム体の図柄に接触せずこれを汚損させることなく、ドラム体を個別に所定の角度位置で確実に停止させることができるのである。
【0015】
上記した発明において、前記凹部は、前記図柄の数及び位置に対応して、前記円周面に沿った所定間隔で複数設けられることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、ドラム体の回転停止位置(角度)は間欠的に与えられた凹部の位置によって規定され、図柄の表示位置が正確に確定されるのである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明によるドラム式表示装置の斜視図である。
【図2】本発明によるドラム式表示装置の上面図である。
【図3】本発明によるドラム式表示装置の要部の分解斜視図である。
【図4】本発明によるドラム式表示装置の要部の(a)側面図、及び、(b)正断面図である。
【図5】ドラム式表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】ドラム式表示装置の要部の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による1つの実施例であるドラム式表示装置について図1乃至図4を用いて説明する。
【0018】
図1及び図2に示すように、表示装置1は、モータ2と、モータ2により回転するシャフト3と、シャフト3に固定される3つのディスク10と、ディスク10とそれぞれ組をなしてシャフト3に沿って並置された3つのドラム20と、各ドラム20の後方に配置された3つの停止装置30とを主構成部分として含む。
【0019】
モータ2は、減速機を介するなどして図示しない軸受け等に支持されるシャフト3に接続され、シャフト3に回転軸Rを中心とした回転を与えることができる。モータ2は図示しないモータ駆動基板に駆動電力を供給されるように接続され、図示しない制御装置からモータ駆動基板に向けて送信されるモータ始動信号などの信号に基づいて駆動される。モータ2は、モータ駆動基板によって正逆両方向の駆動を可能に制御される。
【0020】
略円板形状のディスク10は、それぞれの主面を互いに対向させるように所定の間隔を開けてシャフト3に計3つ固定されている。ディスク10はシャフト3の回転により回転軸Rを中心として回転可能である。つまり、各ディスク10はシャフト3が回転することで共動する。図3及び図4に示すように、ディスク10には、組をなすドラム20側の主面において回転軸Rを中心とする円C1上に、後述する図柄の数と同数である3つの磁石吸引部材11が均等な間隔で配置され、植設されている。また、磁石吸引部材11は、3つのディスク10が共動する際に他のディスク10に配置された磁石吸引部材11同士で回転角度を揃えるよう配置されている。つまり、各ディスク10は、均等配置された磁石吸引部材11の向きを合わせてシャフト3に固定されている。磁石吸引部材11としては鉄などの強磁性体からなるビスを使用できる。
【0021】
各ドラム20は、略円柱形状のドラム端部21を各ディスク10側に有し、ドラム端部21からその外周面を連続させるようにディスク10と反対側に延びる略円筒形のドラム主要部22を有する。ドラム端部21は、その中心に貫通孔8を有し、貫通孔8に貫挿されたシャフト3により相対回転自在に軸支されている。これにより、シャフト3からドラム20に回転トルクはほとんど伝達されない。ドラム主要部22は中空であり、その内部に図示しないバックライトを有する。ドラム主要部22は中空なので、その全面において内部の光を透過させ得る。これにより、例えば、ドラム主要部22の正面側の全面、すなわち正面に表示される図柄の全体を明るく表示させることができる。
【0022】
各ドラム端部21のディスク10側の端面には、後述する図柄の数と同数である3つの溝部23がそれぞれ等間隔で与えられる。溝部23は、それぞれ、ドラム主要部22の外周面に与えられる後述する図柄と所定の位置関係を有し、ドラム端部21の外周面から回転軸Rに向けて半径のおよそ半分の長さまで延びている。また、各ドラム端部21のディスク10側の端面には、さらに、略円柱形状の磁石24が植設される。磁石24は、ディスク10に植設された磁石吸引部材11の配置される円C1と対向し、円C1と略同一径の円C2上の1カ所に配置されており、ディスク10を回転させたときに磁石吸引部材11のうちの1つと互いに磁力により吸引し合い、ドラム20をディスク10の回転に追従させて回転させることができる。また、特に図3を参照すると、磁石24は後述する「7」図柄の上端部近傍に位置する溝部23と回転軸Rを挟んで回転角度を略反対側とする位置に配置されている。このように、磁石24は各ドラム20に配置されている所定の図柄と所定の位置関係を有する定められた位置に配置されている。
【0023】
ドラム主要部22の外周面には、「3」及び「7」のアラビア数字と「星」を示す記号の3つの図柄を印刷された図柄シートが、その図柄を溝部23と上記した所定の位置関係とするように与えられている。すなわち、ドラム端部21の外周面に開口した各溝部23に対して、各図柄はその上端部近傍を近接させるように位置し、ドラム主要部22の外周面に均等に配置されている。この位置関係によって、後述するストッパ34を溝部23に侵入させたときに、かかる溝部23に隣接する図柄の1つ下の図柄が表示装置1の正面に位置するのである。
【0024】
再び、図1及び図2を参照すると、各停止装置30は、組をなす各ドラム20の後方に配置されており、ドラム主要部22の外周面に対向して立設された停止装置本体31と、停止装置本体31の下部側方から突き出たストッパ軸体32と、ストッパ軸体32に接続されて上方に延びる棒状のストッパ支持部33と、ストッパ支持部33の上方端部から略水平に前方に延びるストッパ34を含む。
【0025】
停止装置本体31はストッパ軸体32を回転させるための図示しないソレノイド(アクチュエータ)を内部に有する。かかるソレノイドは図示しないストッパ動作基板を介して制御装置に接続されており、制御装置から出力されるストッパ侵入信号に基づいてストッパ動作基板から供給される電力により動作させることができる。また、かかるソレノイドは復帰用のスプリングを備えており、制御装置から出力されるストッパ抜去信号に基づいて原点に復帰できる。ストッパ支持部33及びストッパ34はドラム端部21の後方に位置している。停止装置30は、ソレノイドによるストッパ軸体32の回転によりストッパ34をドラム端部21の溝部23に侵入させ、また、抜き去ることができる。ストッパ34は、ドラム20の回転によって移動する溝部23へ滑らかに侵入し得るように、その先端部に先端側に凸となる曲面を有している。また、この曲面の形状は、ドラム20の回転方向に対して略対称であり、ドラム20が逆方向に回転する場合であっても同様に溝部23へ滑らかに侵入し得る。
【0026】
次に、表示装置1の動作について図5に沿って図1、図2及び図6を参照しつつその詳細を説明する。
【0027】
図5に図1及び図2を併せて参照すると、モータ始動ステップS1では、遊技球の特定入賞口への入賞などを契機として制御装置から送信されるモータ始動信号に基づいてモータ2が駆動する。これにより、シャフト3が自回転しシャフト3に固定された3つのディスク10をその回転角度を揃えて回転させる。ここで、各ドラム端部21の磁石24がその磁力によって、それぞれ最初に対向した磁石吸引部材11と互いに吸引し合う吸引関係を得る。このとき、図6(a)に示すように、ストッパ34は溝部23に侵入しておらず、相対回転自在である。そのため、かかる吸引関係を保持したまま磁石吸引部材11の動きに磁石24を追従させ、各ドラム20は各ディスク10に回転トルクを伝達されるとともに、その回転に追従して回転する。また、上記したように、各ディスク10はシャフト3に固定されていて共動するため、各ドラム20は回転周期をディスク10に同期させて回転する。なお、磁石吸引部材11と磁石24との位置関係によっては始動時にディスク10の回転を開始してから上記した吸引関係を得るまでに、タイムラグを生じ得る。本実施例では、3つの磁石吸引部材11を円C1の円周上に均等に配置させているので、かかるタイムラグの最大値を小さくし得て、これにより各ドラム20の始動をスムーズにし得る。
【0028】
上記したように、各ディスク10は、磁石吸引部材11の向きを合わせるようにしてシャフト3に固定されている。また、磁石24は各ドラム20に配置されている図柄と所定の位置関係を有する定められた位置に配置されている。すなわち、ドラム20の回転中において、磁石24は3つある磁石吸引部材11のうちの1つと互いに吸引し合い対向した位置関係を保つので、かかる磁石吸引部材11は図柄の1つと所定の位置関係を保つことになる。図柄の数と磁石吸引部材11の数が同数で、それぞれが回転方向に均等な角度で配置されているから、3つのドラム20は、互いの相対的角度を維持したまま、つまり、隣り合うドラム20上の図柄同士の上端と下端とを互いに揃えたまま、回転周期を同期させて回転する。例えば、図1に示すように「7」「3」「星」の組合せを揃えたまま回転するのである。これにより、3つのドラム20の回転周期が同期していることを遊技者にわかりやすく示すことができる。また、磁石吸引部材11は溝部23とも図柄と同様に所定の位置関係を保つことになるため、各ドラム20の始動タイミングを同期させることもできる。
【0029】
ストッパ侵入ステップS2では、図示しない制御装置からストッパ侵入信号が所定のタイミングで送信される。これに基づいてストッパ動作基板から電力の供給を受けてソレノイドが動作し、ストッパ軸体32を回転させてストッパ34をドラム端部21に向けて移動させる。この移動によって、ストッパ34は、一旦ドラム端部21の外周面に当接し、その後外周面を滑ってから、図6(b)に示すように、最初に到達した溝部23に侵入する。この侵入によって、ストッパ34と溝部23とが係合し、ドラム20の回転を停止させる。すると、磁石24と磁石吸引部材11との吸引関係が断ち切られる。この吸引関係を断ち切っても、すなわち3つのドラム20のうちの1つを磁力に抗して停止させても、ディスク10の回転は継続し、他のドラム20の回転に影響を与えない。つまり、ディスク10の回転を維持したままドラム20の回転を個別に停止させることができる。
【0030】
上記したように、溝部23は、ストッパ34を溝部23に侵入させたときに図柄の1つを正面に位置させるような位置関係を図柄に対して有している。ドラム20の回転停止位置は等間隔で与えられた溝部23の位置によって規定されるので、回転を停止されたドラム20の正面には、正確に位置を定められた図柄の1つが表示されるのである。溝部23の数を図柄の数と同数とし、それぞれ均等に配置してあるので、各ドラム20の各図柄の全ての表示位置を正面の所定の位置に確定し得る。
【0031】
このようにして、表示装置1は、3つの停止装置30によりそれぞれ組をなす3つのドラム20の回転を順次停止させて、3つの図柄の組合せをその正面に表示させる。ここで、正面に表示した図柄を検出する検知装置を設けるなどし、かかる検知の結果を制御装置に送信し、これに基づいて当たり判定などを行うことができる。また、別途行う大当たり判定の結果に応じた図柄の組合せの表示を行わせるために、回転中の図柄の位置を検知しつつ、これに合わせてストッパ侵入信号を与えることもできる。
【0032】
3つのドラム20全てを停止させた後、モータ停止ステップS3では、制御装置からのモータ停止信号に基づいてモータ駆動基板がモータ2の駆動を停止させる。これに伴いシャフト3の回転が停止し、シャフト3に固定された3つのディスク10の回転も停止する。
【0033】
ストッパ抜去ステップS4では、図示しない制御装置からのストッパ抜去信号に基づいてストッパ動作基板がソレノイドを原点に復帰させるように制御する。これに伴い、図6(c)に示すように、ストッパ軸体32は復帰する方向に回転しストッパ34を溝部23から抜去る。これにより、再びモータ始動ステップS1においてドラム20を回転させることができる。
【0034】
このように、モータ始動ステップS1からストッパ抜去ステップS4までを繰り返すことで、表示装置1は3つの図柄の組合せを繰り返し表示させることができる。
【0035】
なお、モータ2を回転させたまま、表示装置1に3つの図柄の組合せを繰り返し表示させることもできる。例えば、モータ始動ステップS1を1度経てから、ストッパ侵入ステップS2とストッパ抜去ステップS4を繰り返すのである。
【0036】
また、モータ2は正逆両方向に回転させることができるので、ドラム20を逆方向に回転させることもできる。この場合でも、停止装置30を上記と同様に動作させてストッパ34を溝部23に侵入させることでドラム20の回転を停止させることができる。これを利用して、いわゆる戻し演出を行い得る。例えば、ストッパ侵入ステップS2において、2つのドラム20を停止させた後に、モータ2を一旦停止させてから逆方向に回転させ、これに追従する残りの1つのドラム20を逆回転させるのである。3つのドラム20を逆回転させるような演出も行い得る。
【0037】
以上、本実施例によれば、1つのモータ2で3つのドラム20の周期を同期させて回転させるとともに各ドラム体を個別に停止させることができるドラム式の表示装置1を提供することができる。
【0038】
なお、ストッパ34の侵入するドラム端部21をドラム主要部22と分けて配置したので、ドラム主要部22は、その図柄シートの巻かれた外周面に接触する部材等を有さず、接触による図柄シートの汚染や損傷を防止できる。
【0039】
本実施例においては1つのドラム20に配置される図柄を3つとしたが、図柄の数を増やすこともできる。その場合、溝部23を図柄の数と同数にし、図柄の位置と所定の関係を有するように配置することで、図柄を表示装置1の正面の所定の位置において表示させることができる。
【0040】
また、磁石24と磁石吸引部材11の数について、少なくとも一方を図柄と同数にして均等に配置することで、同様に、各ドラム20の互いの相対的角度を維持したまま、すなわち図柄同士の上端と下端とを互いに揃えたまま、周期を同期させて回転させることができる。すなわち、上記と同様に磁石吸引部材11を図柄の数と同数にする以外に、磁石24を図柄の数と同数にしてもよいし、磁石吸引部材11及び磁石24の両者を図柄の数と同数にしてもよい。
【0041】
また、磁石と磁石吸引部材とは互いに吸引し合い吸引関係を保つことができればよいので、磁石をディスク10に配置し、磁石吸引部材をドラム端部21に配置してもよい。さらに、磁石吸引部材として磁石を使用し、磁石同士で吸引し合うようにすることもできる。両者を磁石とすることで、シャフト3の回転トルクをディスク10を介してドラム20にさらに強く伝達し得て、例えば、ドラム20の回転の速度を高めても、安定した回転を維持させることができる。このような、磁石吸引部材11と磁石24との組合せは、回転時にディスク10にドラム20を追従させやすく、かつ、停止装置30によるドラム20の停止によって吸引関係を断ち切りやすくするよう、ディスク10とドラム端部21との距離に応じて、適切な吸引力を得られる磁力となるような組合せを適宜選択し得る。
【0042】
以上、本発明による代表的実施例及びこれに基づく変形例を説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した請求項の範囲を逸脱することなく種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるだろう。
【符号の説明】
【0043】
1 表示装置
2 モータ
3 シャフト
10 ディスク
11 磁石吸引部材
20 ドラム
24 磁石
30 停止装置
34 ストッパ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸に中心軸を有しつつ並置された複数のドラム体を同期回転せしめるとともにそれぞれ独立して所定角度位置で停止させてその外周面に与えられた図柄を表示させる遊技機のドラム式表示装置であって、
長手方向に沿って所定間隔で位置する複数の前記ドラム体を相対回転自在に保持しつつ駆動手段により自回転する軸体と、
複数の前記ドラム体のそれぞれに組をなして与えられ、
前記ドラム体の片側面に片主面を対向させ中心軸を前記軸体に固定されて共動する円板体と、
前記ドラム体を所定角度位置で回転停止させる停止手段と、を含み、
対向する前記ドラム体の前記片側面及び前記円板体の前記片主面には、前記軸体を中心とする同一円周上に磁石及び磁石吸引体の一方ずつが与えられて複数の前記ドラム体を同期回転せしめ得ることを特徴とするドラム式表示装置。
【請求項2】
前記磁石及び/又は前記磁石吸引体は前記同一円周を所定数に均等分割した位置毎に複数与えられていることを特徴とする請求項1記載のドラム式表示装置。
【請求項3】
前記磁石吸引体も磁石からなることを特徴とする請求項1記載のドラム式表示装置。
【請求項4】
前記停止手段は、前記ドラム体の前記外周面の側縁部に設けられた複数の凹部と、前記ドラム体の前記外周面の前記側縁部に向けて移動可能な係止片と、を含み、前記係止片が前記凹部に侵入することで前記ドラム体を回転停止させることを特徴する請求項1乃至3のうち1つに記載のドラム式表示装置。
【請求項5】
前記凹部は、前記図柄の数及び位置に対応して、前記円周面に沿った所定間隔で複数設けられることを特徴する請求項4記載のドラム式表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−85627(P2013−85627A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227391(P2011−227391)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(595112915)株式会社ヤマダ (10)
【Fターム(参考)】