説明

ドリルねじの構造

【課題】本発明は、屑が巻きつくのを防ぐことができ、ねじ込み速度が向上するドリルねじの構造を提供する。
【解決手段】ねじ頭と、ねじ頭に設けられた棒体とによって構成する。前記棒体の周縁面には螺旋状の歯部が環状に設けられ、前記棒体末端は円柱状のドリル刃部を形成し、前記ドリル刃部は外に向かって錐状面を形成し、前記ドリル刃部には二つの屑排出溝が設けられ、前記屑排出溝と前記錐状面の連結箇所にはそれぞれ外切削刃が形成される。前記錐状面と外切削刃の境界付近には、逆V字型を呈する刃口が形成され、前記刃口の両側には、内切削刃がそれぞれ形成され、前記刃口は、外切削刃と二つの先端点を形成し、前記二つの先端点は、外切削刃と内切削刃とを同時に備えている。前記先端点は夾角を形成し、前記夾角の角度は15度から135度の間であり、二つの先端点の距離はドリル刃部外径の25%より大きくない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドリルねじの構造に関し、特に屑が巻きつくのを防ぐことができ、ねじ込み速度が向上するドリルねじの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図1を参照する。一般的な従来のドリルねじ1は、ねじ頭11と、ねじ頭11に設けられた棒体12とによってなる。その内、棒体12の周縁面121には、螺旋状の歯部122が環状に設けられ、棒体12の末端はドリル刃部123を形成する。ドリル刃部123は外に向かって錐状面124を形成し、ドリル刃部123には二つの屑排出溝125が設けられ、屑排出溝125と、錐状面124及び棒体12の周縁面121の連結箇所には、それぞれ切削刃126が形成される。
【0003】
従来のドリルねじ1で螺合作業を行う時、まず切削刃126によって削って孔を開け、それにより、ドリルねじ1をねじ込むことができるようになる。その時の削る過程で生じる屑は、屑排出溝125によって、ドリル刃部123の末端から上へと移動して外に排出される。以上により、螺合と位置固定効果が達成される。しかしながら、従来のドリルねじ1で鉄板に穴を開けるときには、それにより生じる屑は、細長い形状を呈して歯部122に巻き付き、その削られた屑が素早く被加工部材外に排出できず、ねじ込む速度が不安定になり、それにより、ドリルねじ1のねじ込みが邪魔され、ドリルねじ1をねじ込むのにかかる時間が長くなり、さらには、ネジが折れてしまうことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、屑が巻きつくのを防ぐことができ、ねじ込み速度が向上するドリルねじの構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるドリルねじの構造は、ねじ頭と、ねじ頭に設けられた棒体とによって構成する。前記棒体の周縁面には、螺旋状の歯部が環状に設けられ、前記棒体末端は円柱状のドリル刃部を形成し、前記ドリル刃部は外に向かって錐状面を形成し、前記ドリル刃部には二つの屑排出溝が設けられ、前記屑排出溝と前記錐状面の連結箇所には、それぞれ、外切削刃が形成される。前記錐状面と外切削刃の境界付近には、逆V字型を呈する刃口が形成され、前記刃口の両側には、内切削刃がそれぞれ形成され、前記逆V字型を呈する刃口は、外切削刃と二つの先端点を形成し、前記二つの先端点は、外切削刃と内切削刃とを同時に備えている。前記先端点は夾角を形成する。外切削刃と内切削刃を同時に備える二つの先端点により、生じる屑を効果的に切断することができ、歯部に屑がまきつくのを防ぎ、ねじ込む速度を高めることができる。また、前記夾角の角度は15度から135度の間であり、二つの先端点の距離は、ドリル刃部外径の25%より大きくない。それにより、ドリルネジで削って孔を開ける時に、優れた切削効果と安定性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】従来のドリルねじを示した斜視図である。
【図2】本発明のドリルねじを示した斜視図である。
【図3】本発明のドリルねじを示した平面図である。
【図4】本発明ドリルねじの動作を示した説明図である。
【図5】本発明ドリルねじの動作を示した説明図である。
【図6】本発明のテストレポートの比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図2と図3に示すように、本発明のドリルねじ2は、ねじ頭21と、ねじ頭21に設けられる棒体22によって構成する。棒体22の周縁面221には、螺旋状の歯部222が環状に設けられ、棒体22の末端には円柱状のドリル刃部223が形成され、ドリル刃部223は外に向かって錐状面224を形成し、ドリル刃部223には二つの屑排出溝225が設けられ、屑排出溝225と錐状面224の連結箇所には、それぞれ外切削刃226が形成される。その内、錐状面224と外切削刃226の境界付近には、逆V字型を呈する刃口23が形成され、刃口23の両側には、それぞれ、内切削刃231が形成され、刃口23は、外切削刃226と二つの先端点232を形成し、二つの先端点232は、外切削刃226と内切削刃231を同時に備える。また、先端点232は、夾角θを有し、夾角θの好ましい角度は、15度から135度の間であり、その角度だと、先端点232の削る動作が行いやすくなる。また、二つの先端点232の間の好ましい距離Dは、ドリル刃部223の外径の25%より大きくなく、それにより、ドリル刃部223で削る時の安定性が向上する。
【0008】
本発明の実施を行う際は、図4と図5に示すように、ドリルねじ2を垂直にし、その刃口23の二つの先端点232を被加工部材3の表面に当接させ、続けて、被加工部材3に対して切削を行いねじ込む。この時、二つの先端点232によって、ドリルねじ2で孔を開ける時に、優れた位置固定効果を得ることができるとともに、刃口23とドリル刃部223によって自然にバランスがとれ、ドリルねじ2のねじ込む角度を自動的に調整することができる。ドリルねじ2の刃口23とドリル刃部223を被加工部材3に接触させて切削を行う時、被加工部材3にねじ込む過程で生じる長い棒状の屑は、二つの先端点232がそれぞれ備える内切削刃231と外切削刃226により適宜切断され、屑はスライス状となり、二つの屑排出溝225から排出されるため、屑が歯部222に巻きつくのを防ぐことができる。そして、ドリルねじ2を、被加工部材3に素早くねじ込むことができ、屑をスムーズに排出した邪魔するものがない状態でドリルねじ2を被加工部材3内に螺合させることができる。
【0009】
図6に示すように、本発明は、ドイツのテスト基準DIN7504でテストを行ったところ、確かに、ねじ込む速度を速める効果があった。
【0010】
本発明の効果は以下の通りである。ドリルねじ2の錐状面224と外切削刃226の境界付近に逆V字型を呈する刃口23が設けられ、刃口23の両側は、内切削刃231をそれぞれ形成し、刃口23は外切削刃226と二つの先端点232を形成し、二つの先端点232は、外切削刃226と内切削刃231を同時に備え、先端点232は夾角θを形成し、各先端点232の夾角θの角度は、15度から135度の間であり、それにより、先端点232の削る動作をしやすくなる。また、二つの先端点232の距離Dは、ドリル刃部223の外径の25%より大きくないため、ドリルねじ2で削る時に優れた安定性を得ることができる。また、ドリルねじ2で孔を開ける時に生じた屑は、二つの先端点232がそれぞれ備える内切削刃231と外切削刃226によって、適宜切断され、それにより屑は長く伸び続けて歯部222に巻きつくことがなく、しいては、歯部222が痛むのを避けることができるとともに、ネジが折れるのを防ぐことができる。また、それと同時に、刃口23の内切削刃231も被加工部材3を削る効果を備えるとともに、他辺の屑を切断し、すべての屑はスライス状になって屑排出溝225から排出される。それにより、ドリルねじ2の屑排出性能を高めることができるとともに、螺合の安定度とねじ込み速度を向上させる効果がある。
【0011】
1 ドリルねじ
11 ねじ頭
12 棒体
121 周縁面
122 歯部
123 ドリル刃部
124 錐状面
125 屑排出溝
126 切削刃
2 ドリルねじ
21 ねじ頭
22 棒体
221 周縁面
222 歯部
223 ドリル刃部
224 錐状面
225 屑排出溝
226 外切削刃
23 刃口
231 内切削刃
232 先端点
3 被加工部材
θ 夾角
D 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ頭と、ねじ頭に設けられた棒体とによって構成するドリルねじの構造であって、
前記棒体の周縁面には、螺旋状の歯部が環状に設けられ、前記棒体末端は円柱状のドリル刃部を形成し、前記ドリル刃部は外に向かって錐状面を形成し、前記ドリル刃部には二つの屑排出溝が設けられ、前記屑排出溝と前記錐状面の連結箇所には、それぞれ、外切削刃が形成され、
前記錐状面と外切削刃の境界付近には、逆V字型を呈する刃口が形成され、前記刃口の両側には、内切削刃がそれぞれ形成され、刃口は、外切削刃と二つの先端点を形成し、前記二つの先端点は、外切削刃と内切削刃とを同時に備えており、前記先端点は夾角を形成し、
前記夾角の角度は15度から135度の間であり、二つの先端点の距離は、ドリル刃部外径の25%より大きくないことを特徴とする、ドリルねじの構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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