説明

ドリル

【課題】切屑の排出を促進するとともに、切屑と開口端加工刃との接触を防止して切削加工を良好に行うことが可能なドリルを提供する。
【解決手段】ドリル本体には、ドリル本体先端側から後端側に向かうにしたがいドリル回転方向T後方側に向けてねじれる第1切屑排出溝20と、この第1切屑排出溝20の後端側に連なり、第1切屑排出溝20のドリル回転方向T前方側を向く壁面20Aからドリル回転方向T後方側に凹むとともに軸線Oに平行に延びる第2切屑排出溝30とが形成され、ドリル刃22は第1切屑排出溝20の先端に配設され、開口端加工刃32は、第2切屑排出溝30の先端に配設されるとともに、第1切屑排出溝20のドリル回転方向T前方側を向く壁面20Aよりも一段ドリル回転方向T後方側に後退した位置に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被切削材に対して加工穴を形成するとともに、この加工穴の開口端に面取り加工や座ぐり加工を施すドリルに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のドリルとしては、例えば特許文献1、2に開示されているように、軸線回りに回転されるドリル本体の先端にドリル刃が設けられるとともに、ドリル刃よりもドリル本体後端側に開口端加工刃が設けられたものが提案されている。
このようなドリルは、ドリル本体が軸線回りに回転されるとともに軸線方向の先端側に向かって送られることにより、ドリル刃が被切削材に対して加工穴を形成し、開口端加工刃が加工穴の開口端を切削することにより加工穴の開口端に面取り加工や座ぐり加工を施すものである。
【特許文献1】実開昭58−40311号公報
【特許文献2】特開2005−138258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に開示されているドリルにおいては、ドリル本体の先端から後端に向けて軸線に沿って延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く壁面のうちドリル本体の先端部分にドリル刃としての切削インサートが装着されている。また、この切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く壁面のうちドリル本体の後端部分には、ドリル回転方向後方側に凹んだ凹部が形成され、この凹部に前記開口端加工刃が設けられている。
このような構成とされたドリルにおいては、切屑排出溝が軸線に平行に延びるように形成されているので、ドリル刃による切削によって生成された切屑をドリル本体後端側へと案内することができず、切屑が加工穴の内部に残存してしまい、この切屑によって加工穴の内壁面を傷つけたり、切削抵抗が著しく増大してドリル本体が折損したりするおそれがあった。
【0004】
また、特許文献2に開示されているドリルにおいては、ドリル本体の先端から後端に向かうにしたがいドリル回転方向後方側に向けてねじれる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く壁面のうちドリル本体の後端部分に前記開口端加工刃が設けられている。
このような構成とされたドリルにおいては、切屑は切屑排出溝のねじれによってドリル本体後端側へと案内されることになるが、この切屑が開口端加工刃と接触することで開口端加工刃の欠損や早期摩耗が発生するおそれがあった。また、ねじれた切屑排出溝に開口端加工刃を配設しているので、開口端加工刃と切屑排出溝との間に段差が生じてしまい、この段差に切屑が係止され、開口端周辺を傷つけてしまうおそれがあった。
【0005】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、切屑の排出を促進するとともに、切屑と開口端加工刃との接触を防止して切削加工を良好に行うことが可能なドリルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために、本発明は、軸線回りに回転されるドリル本体の先端に、被切削材に対して加工穴を形成するドリル刃が設けられるとともに、該ドリル刃からドリル本体後端側に離間した位置に、前記加工穴の開口端を加工するための開口端加工刃が設けられたドリルであって、前記ドリル本体には、ドリル本体先端から後端に向かうにしたがいドリル回転方向後方側に向けてねじれる少なくとも1つの第1切屑排出溝と、この第1切屑排出溝の後端側に連なり、前記第1切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く壁面からドリル回転方向後方側に凹むとともに前記軸線に平行に延びる第2切屑排出溝とが形成されており、前記ドリル刃は、前記第1切屑排出溝の先端に配設され、前記開口端加工刃は、前記第2切屑排出溝に配設され、前記第1切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く壁面よりもドリル回転方向後方側に後退した位置に配置されていることを特徴としている。
【0007】
この構成のドリルによれば、ドリル本体の先端側に、ドリル本体後端側に向かうにしたがいドリル回転方向後方側に向けてねじれる第1切屑排出溝が設けられ、この第1切屑排出溝の先端にドリル刃が配設されているので、ドリル刃によって生成した切屑はドリル本体の回転に伴ってドリル回転方向後方側へと移動し第1切屑排出溝に案内されてドリル本体後端側へと排出される。よって、切屑が加工穴の内部に残存することがなく、切削加工を良好に行うことが可能となる。
【0008】
また、第1切屑排出溝の後端側に、前記第1切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く壁面からドリル回転方向後方側に凹むとともに前記軸線に平行に延びる第2切屑排出溝が形成され、開口端加工刃が第2切屑排出溝に配設されて前記第1切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く壁面よりもドリル回転方向後方側に後退した位置に配置されているので、ドリル刃によって生成した切屑と開口端加工刃との接触が抑制され、開口端加工刃の欠損や早期摩耗を防止できる。
また、第2切屑排出溝が軸線に平行に延びるように形成されているので、開口端加工刃と第2切屑排出溝との間の段差を少なくするように開口端加工刃を配設することが容易となる。よって、切屑が係止されることがなくなり開口端周辺の損傷を防止できる。
【0009】
ここで、前記開口端加工刃のすくい面と前記第2切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く壁面とを、面一に配置してもよい。
この場合、開口端加工刃と第2切屑排出溝との間の段差がなくなるので、切屑が第2切屑排出溝の上を擦過しても切屑が係止されることがなく、この切屑によるトラブルを未然に防止することができる。
【0010】
また、前記第1切屑排出溝の少なくとも一部に、一段凹んだ副溝を形成してもよい。
この場合、第1切屑排出溝の大きさがさらに大きくなり、切屑をスムーズに排出することが可能となる。
【0011】
また、前記第1切屑排出溝の前記軸線に対するねじれ角αを、5°≦α≦20°の範囲内に設定することが好ましい。
この場合、ねじれ角αを5°以上とすることで、第1切屑排出溝に沿って切屑を確実にドリル本体後端側へと排出することができる。また、ねじれ角αを20°以下とすることで、ドリル本体が切り欠かれる部分が少なくなりドリル本体の剛性を確保することができる。なお、第1切屑排出溝のねじれ角αを、ドリル本体先端側から後端側にかけて変化させてもよい。
【0012】
また、前記ドリル本体の芯厚Wを、ドリル外径Dに対して0.2×D≦W≦0.4×Dの範囲内に設定することが好ましい。
この場合、芯厚Wをドリル外径Dに対して0.2×D以上とすることで、ドリル本体の剛性を確保することができる。また、芯厚Wを0.4×D以下とすることで、第1切屑排出溝の大きさを確保でき、切屑の排出を促進することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、切屑の排出を促進するとともに、切屑と開口端加工刃との接触を防止して切削加工を良好に行うことが可能なドリルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態であるドリルについて添付した図面を参照にして説明する。図1から図6に、本発明の実施形態であるドリルを示す。
このドリルは、図1から図4に示すように、軸線O回りに回転される概略多段円柱状をなすドリル本体10を備えている。
【0015】
ドリル本体10の後端部分(図1において上側)には、工作機械の主軸端等に装着するための装着軸部11が設けられている。この装着軸部11には、切欠面11Aが形成されており、この切欠面11Aによってドリル本体10と主軸端との周方向の位置合わせが行われる。
装着軸部11のドリル本体10先端側には、大きく径方向外方に張り出した鍔部12と、この鍔部12の先端に連設されてドリル本体10先端側に向かうにしたがい漸次径が小さくなるテーパ部13と、テーパ部13の先端に連設されて軸線Oに沿って延びる円柱状をなす開口端加工部14と、開口端加工部14の先端に連設されて概略円柱状をなす穴加工部15とが設けられている。
【0016】
穴加工部15には、ドリル本体10の先端から後端に向かうにしたがいドリル回転方向T後方側に向けてねじれる一対の第1切屑排出溝20、20が形成されている。これら一対の第1切屑排出溝20、20は、図2に示すように、軸線Oを中心として180°回転対称に配設されている。なお、図3に示すように、第1切屑排出溝20と軸線Oとがなす角度、いわゆるねじれ角αは、5°≦α≦20°の範囲内に設定され、より具体的にはα=10°とされている。
この第1切屑排出溝20の先端のドリル回転方向T前方側を向く壁面20Aには、ドリル刃22となる切刃27を備えた切削インサート25を取り付けるための第1取付座21、21がそれぞれ設けられている。
【0017】
ここで、本実施形態では、一方の第1切屑排出溝20に設けられた第1取付座21はドリル本体10径方向外方に位置させられ、他方の第1切屑排出溝20に設けられた第1取付座21はドリル本体10径方向内方に位置させられている。また、第1切屑排出溝20のドリル回転方向T前方側を向く壁面20Aの第1取付座21よりもドリル本体10後端側には、ドリル回転方向T後方側に向けて一段凹んだ副溝23が設けられている。さらに、図5に示すように、第1切屑排出溝20のドリル回転方向T後方側を向く壁面にも、ドリル回転方向T前方側に向けて一段凹んだ副溝23が設けられている。なお、穴加工部15の軸線Oに直交する断面において図5に示すように、ドリルの芯厚Wは、ドリル外径Dに対して0.2×D≦W≦0.4×Dの範囲内に設定され、より具体的にはW=0.3×Dとされている。
【0018】
これら一対の第1切屑排出溝20、20のドリル本体10後端側には、軸線Oに対して平行に延びる第2切屑排出溝30、30がそれぞれ連設されている。この第2切屑排出溝30は、穴加工部15の後端部分からテーパ部13の後端部分にまで延びるように形成され、テーパ部13の後端でドリル本体10径方向外方に切り上げられている。これら一対の第2切屑排出溝30、30も、図2に示すように、軸線Oを中心として180°回転対称に配設されている。
【0019】
この第2切屑排出溝30のドリル回転方向T前方側を向く壁面30Aは、図3及び図4に示すように、第1切屑排出溝20のドリル回転方向T前方側を向く壁面20Aよりもドリル回転方向T後方側に後退させられている。
第2切屑排出溝30のドリル回転方向T前方側を向く壁面30Aのうち開口端加工部14の先端に位置する部分に、加工穴の開口端に座ぐり加工を施すための座ぐり刃32とされる切削インサート35が取り付けられる第2取付座31が設けられている。
【0020】
この第2取付座31は、第2切屑排出溝30のドリル回転方向T前方側を向く壁面30Aからさらに一段ドリル回転方向T後方側に向けて凹むようにして、開口端加工部14の先端側及び径方向外方に向けて開口するように設けられている。なお、この第2取付座31と第1取付座21とは、軸線O先端側から見てドリル本体10の周方向において異なる位置にそれぞれ配置されている。
本実施形態においては、第2切屑排出溝30のドリル回転方向T前方側を向く壁面30Aに沿った方向から見て図6に示すように、第2取付座31は、第1切屑排出溝20のドリル回転方向T前方側を向く壁面20Aの延長線Lよりもドリル本体10先端側に位置させられている。
【0021】
また、このドリル本体10には、軸線Oに沿って延びるクーラント孔16と、このクーラント孔16に連通され第1取付座21及び第2取付座31にそれぞれ開口させられた複数のクーラント吐出孔17とが形成されている。
【0022】
第1取付座21に取り付けられる切削インサート25は、概略平行四辺形平板状をなしており、一の平行四辺形面がすくい面26とされ、このすくい面26の辺稜部に切刃27が設けられている。この切削インサート25が第1取付座21、21にそれぞれ取り付けられ、ドリル本体10先端側から突出された切刃27、27同士は、軸線Oを中心とした回転軌跡において軸線Oからドリル本体10の外周端にまで連続するように配置される。
【0023】
また、第2取付座31に取り付けられる切削インサート35は、概略正方形平板状(もしくは平行四辺形平板状)をなしており、一の正方形面(平行四辺形面)がすくい面36とされ、このすくい面36の辺稜部に切刃37が設けられている。この切削インサート35の一つの角部が穴加工部15よりもドリル本体10径方向外方に位置するように配置されている。また、この切削インサート35の厚さは第2取付座31の第2切屑排出溝30のドリル回転方向T前方側を向く壁面30Aからの凹み量と同一とされ、切削インサート35を取り付けた状態ですくい面36と第2切屑排出溝30のドリル回転方向T前方側を向く壁面30Aとが面一に配置されるように構成されている。
【0024】
このように構成されたドリルは、装着軸部11が図示しない工作機械の主軸端に保持されて、軸線O回りに回転されるとともに軸線O方向に送りを与えられ、第1取付座21に取り付けられた切削インサート25の切刃27(ドリル刃22)によって被切削材に加工穴を形成するとともに、第2取付座31に取り付けられた切削インサート35の切刃37(座ぐり刃32)によって加工穴の開口端に加工穴よりも大径の座ぐり孔を形成する。この切削加工の際には、工作機械から供給されたクーラントが、クーラント孔16及びクーラント吐出孔17を介して第1取付座21及び第2取付座31に取り付けられた切削インサート25、35に向けて吐出される。
【0025】
本実施形態であるドリルによれば、ドリル本体10の先端側に位置する穴加工部15に、ドリル本体10後端側に向かうにしたがいドリル回転方向T後方側に向けてねじれる第1切屑排出溝20が形成され、第1切屑排出溝20の先端のドリル回転方向T前方側を向く壁面20Aに第1取付座21が設けられ、この第1取付座21にドリル刃22となる切刃27を備えた切削インサート25が取り付けられているので、第1取付座21に取り付けられた切削インサート25の切刃27(ドリル刃22)によって生成した切屑がドリル本体10の回転に伴ってドリル回転方向T後方側へと移動し第1切屑排出溝20に案内されてドリル本体10後端側へと排出される。このため、切屑が加工穴の内部に残存することがなく、切削加工を良好に行うことが可能となる。
【0026】
また、本実施形態では、一方の第1切屑排出溝20に設けられた第1取付座21と他方の第1取付座21に設けられた第1取付座21との径方向位置が互いにずらされており、これら第1取付座21に取り付けられた切削インサート25の切刃27のうちドリル本体10先端側から突出された切刃27同士が、軸線Oを中心とした回転軌跡において軸線Oからドリル本体10の外周端にまで連続するように配置されているので、これら2つの切削インサート25、25によって被切削材に穴明け加工を施すことができる。
【0027】
また、第1切屑排出溝20のドリル本体10後端側に、軸線Oに平行に延びるとともに第1切屑排出溝20のドリル回転方向T前方側を向く壁面20Aよりも一段ドリル回転方向T後方側に後退した第2切屑排出溝30が形成され、この第2切屑排出溝30のドリル回転方向T前方側を向く壁面30Aに第2取付座31が設けられ、この第2取付座31に座ぐり刃32となる切刃37を備えた切削インサート35が取り付けられているので、第1取付座21に取り付けられた切削インサート25の切刃27(ドリル刃22)によって生成した切屑が、第2取付座31に取り付けられた切削インサート35の切刃37(座ぐり刃32)上を擦過せずに加工穴から排出されることになる。
【0028】
さらに、本実施形態では、第2切屑排出溝30のドリル回転方向T前方側を向く壁面30Aに沿った方向から見て図6に示すように、第2取付座31は、前記第1切屑排出溝20のドリル回転方向T前方側を向く壁面20Aの延長線Lよりもドリル本体10先端側に位置させられているので、第1切屑排出溝20に案内された切屑が第2取付座31に取り付けられた切削インサート35と接触することをより確実に防止することができる。これにより、座ぐり刃32とされた切刃37の欠損や早期摩耗を防止でき、切削インサート35の寿命延長を図ることができる。
【0029】
また、第2切屑排出溝30が軸線Oに平行に延びるように形成されているので、第2取付座31に取り付けられた切削インサート35と第2切屑排出溝30との間の段差を少なくして、切屑が係止されることを防止できる。
特に、本実施形態では、第2取付座31の第2切屑排出溝30のドリル回転方向T前方側を向く壁面30Aからの凹み量と切削インサート35の厚さが同一に設定され、すくい面36と第2切屑排出溝30のドリル回転方向T前方側を向く壁面30Aとが面一に配置されるように構成されているので、切屑が第2切屑排出溝30の上を擦過しても切屑が係止されることがない。これにより、加工穴の開口端周辺の損傷を防止できる。
【0030】
また、本実施形態においては、第1切屑排出溝20のドリル回転方向T前方側を向く壁面20Aの第1取付座21よりもドリル本体10後端側にドリル回転方向T後方側に向けて一段凹んだ副溝23が設けられ、第1切屑排出溝20のドリル回転方向T後方側を向く壁面にも、ドリル回転方向T前方側に向けて一段凹んだ副溝23が設けられているので、第1切屑排出溝20の大きさが確保され、ドリル刃22によって生成された切屑を加工穴からスムーズに排出することが可能となる。
【0031】
さらに、第1切屑排出溝20の軸線Oに対するねじれ角αが、5°≦α≦20°の範囲内に設定され、より具体的にはα=10°とされているので、第1切屑排出溝20に沿って切屑を確実にドリル本体10後端側へと案内することができるとともに、ドリル本体10を切り欠く部分を少なくしてドリル本体10の剛性を確保することができる。
また、穴加工部15においてドリル本体10の芯厚Wが、ドリル外径Dに対して0.2×D≦W≦0.4×Dの範囲内に設定され、より具体的にはW=0.3×Dとされているので、ドリル本体10の剛性を確保するとともに、第1切屑排出溝20の大きさを確保して切屑の排出を促進することができる。
【0032】
以上、本発明の実施形態であるドリルについて説明したが、本発明はこの実施形態に限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、ドリル本体の後端側に座ぐり刃を設けたものとして説明したが、これに限定されることはなく、加工穴端部に面取り加工を施すための面取り刃が設けられたものであってもよい。
また、インサートの形状は、本実施形態に限定されることはなく、切削条件等を考慮して適宜選択することが好ましい。
さらに、一対の第1切屑排出溝の後端にそれぞれ座ぐり刃(開口端加工刃)を設けたものとして説明したが、これに限定されることはなく、一対の第1切屑排出溝のうちの一方の後端にのみ座ぐり刃(開口端加工刃)を設けたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態であるドリルの側面概略図である。
【図2】図1に示すドリルの先端面図である。
【図3】図2におけるX方向矢視図である。
【図4】図2におけるY方向矢視図である。
【図5】図1におけるV−V断面図である。
【図6】図5おけるZ方向矢視図である。
【符号の説明】
【0034】
10 ドリル本体
20 第1切屑排出溝
20A ドリル回転方向前方側を向く壁面
22 ドリル刃
23 副溝
30 第2切屑排出溝
30A ドリル回転方向前方側を向く壁面
32 座ぐり刃(開口端加工刃)
36 すくい面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに回転されるドリル本体の先端に、被切削材に対して加工穴を形成するドリル刃が設けられるとともに、該ドリル刃からドリル本体後端側に離間した位置に、前記加工穴の開口端を加工するための開口端加工刃が設けられたドリルであって、
前記ドリル本体には、ドリル本体先端から後端に向かうにしたがいドリル回転方向後方側に向けてねじれる少なくとも1つの第1切屑排出溝と、この第1切屑排出溝の後端側に連なり、前記第1切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く壁面からドリル回転方向後方側に凹むとともに前記軸線に平行に延びる第2切屑排出溝とが形成されており、
前記ドリル刃は、前記第1切屑排出溝の先端に配設され、
前記開口端加工刃は、前記第2切屑排出溝に配設され、前記第1切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く壁面よりもドリル回転方向後方側に後退した位置に配置されていることを特徴とするドリル。
【請求項2】
前記開口端加工刃のすくい面と前記第2切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く壁面とが、面一に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のドリル。
【請求項3】
前記第1切屑排出溝の少なくとも一部には、一段凹んだ副溝が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドリル。
【請求項4】
前記第1切屑排出溝の前記軸線に対するねじれ角αが、5°≦α≦20°の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のドリル。
【請求項5】
前記ドリル本体の芯厚Wは、ドリル外径Dに対して0.2×D≦W≦0.4×Dの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のドリル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−173727(P2008−173727A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10013(P2007−10013)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】