説明

ドレスガード連結構造

【課題】 連結部材同士の連結時の妄動を解消して確実かつ迅速な連結を可能にし、連結部材同士相互が妄りに離脱することのない強固な構造のドレスガード連結構造を提供する。
【解決手段】 車輪の左右に振分け配設される左右のカバー体17、18のいずれか一方から延設された雄状連結部材2を他方から延設された雌状連結部材1にて抜止め可能に受け入れて連結するドレスガード連結構造において、少なくとも前記雌状連結部材1における連結部5、6の側面に指確保部8を形成したので、雌状連結部材1における連結部5、6の側面を手指にて強固に確保できるので、連結の際に雄状連結部材2から加わる連結時の大きな力を受け止めて互いの連結部材1、2が妄動することがなく、左右のカバー体17、18の連結作業を確実かつ迅速に行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泥除け等に装着されて車輪の左右に振分け配設される左右のカバー体を連結するドレスガード連結構造であって、前記カバー体のいずれか一方から延設された雄状連結部材を他方から延設された雌状連結部材にて抜止め可能に受け入れて連結される自転車等の二輪車のドレスガード連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自転車等の二輪車にあって、走行中に、車輪からの泥水の跳ねによる着衣等の汚れを防止したり、車輪にスカート等の着衣が巻き込まれるのを防止するために、泥除け等に装着されて車輪の左右に振分け配設される左右のカバー体を垂設するものが多用され、そして、左右のカバー体を連結する様々な連結構造が提案されている(例えば下記特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平2−20155号公報(公報実用新案登録請求の範囲参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示された自転車用巻込み防止カバーについて、図6を用いて説明する。図6(A)に示すように、図示省略の後車輪の両側を覆う左右一対の合成樹脂製のカバー体112、113の一方の連結係合片131と、他方の連結係合片133とを、図6(B)に示すような鋸歯状の係止部によって互いに抜止めされるようにして連結される。一方の連結係合片131は板状でその両側縁部には鋸歯部132が形成され、他方の連結係合片133には、前記連結係合片131を挿通可能な挿通孔134、135を有する先端挿通部136と基端挿通部137とが互いに間隔を置いて設けられ、これら挿通部136、137間に先端側から挿通孔134、135に挿通した連結係合片131を抜止めするように、前記鋸歯部132を幅方向両側から係合する一対の係止部138が設けられている。このようにして連結係合片131は引抜き方向には抜止めされるが、前記先端挿通部136の上面に、連結係合片131の両側縁部の鋸歯部132間の幅寸法より小さい幅の抜取り用切欠き部139を設けることにより、連結係合片131をねじって斜めにすることで抜取り用切欠き部139から取り外して、前記鋸歯部132を係止部138から容易に離脱させることができる。
【0005】
しかしながら、前記従来のものでは、一方の連結係合片131における両側縁部の鋸歯部132を、他方の連結係合片133における一対の係止部138間に押し込む際にある程度の係合力を要するため、その連結部において連結係合片133を手指にて確実に確保する必要があり、連結係合片133におけるストレートな側縁を親指と人指し指にて摘んで把持する等していた。該従来例のものでは連結部よりもカバー体113側に傾斜側縁部が形成されているが、この傾斜部を手指にて把持した場合には、傾斜部が連結部とかけ離れた位置にあることによって、連結係合時に連結係合片133が妄動し易く、確実で迅速に連結することが困難であり、取付作業性に劣るものであった。しかも、抜取り用切欠き部139が形成された先端挿通部136の裾野部は、挿通孔134が形成されていて痩せているために倒れ変形し易く、連結係合片133の浮上り挙動によってその鋸歯部132が、抜取り用切欠き部139から上方へ離脱する虞れがあった。
【0006】
そこで本発明は、前記従来の巻込み防止カバー(ドレスカバー)における連結構造の諸課題を解決して、連結部材同士の連結時の妄動を解消して、確実かつ迅速に連結することを可能にするとともに、連結部材同士相互が妄りに離脱することのない強固な構造の、ドレスガード連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため本発明は、泥除け等に装着されて車輪の左右に振分け配設される左右のカバー体を連結するドレスガード連結構造であって、前記カバー体のいずれか一方から延設された雄状連結部材を他方から延設された雌状連結部材にて抜止め可能に受け入れて連結するドレスガード連結構造において、少なくとも前記雌状連結部材における連結部の側面に指確保部を形成したことを特徴とする。また本発明は、前記雌状連結部材における連結部の側面における指確保部が、前記雄状連結部材側に向かって幅が漸増する傾斜面または円弧面もしくは湾曲面であることを特徴とする。また本発明は、前記指確保部の形成により構成される幅広部に、導入規制部の裾野部を配設したことを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、泥除け等に装着されて車輪の左右に振分け配設される左右のカバー体を連結するドレスガード連結構造であって、前記カバー体のいずれか一方から延設された雄状連結部材を他方から延設された雌状連結部材にて抜止め可能に受け入れて連結するドレスガード連結構造において、少なくとも前記雌状連結部材における連結部の側面に指確保部を形成したことにより、雌状連結部材における連結部の側面を手指にて強固に確保できるので、連結の際に雄状連結部材から加わる連結時の大きな力を受け止めて互いの連結部材が妄動することがないので、左右のカバー体の連結作業を確実かつ迅速に行うことができる。
【0009】
また、前記雌状連結部材における連結部の側面における指確保部が、前記雄状連結部材側に向かって幅が漸増する傾斜面または円弧面もしくは湾曲面である場合は、手指先端の形状に適合する指確保部が形成されて、より適正で強固に雌状連結部材の側面を把持することが可能となる。さらに、前記指確保部の形成により構成される幅広部に、導入規制部の裾野部を配設した場合は、幅広部が指確保部の形成と相俟って形成され、該幅広部に設置する雌状連結部材における導入規制部の裾野部の幅を大きく採れるので、抜取り溝部を上部に形成した導入規制部が倒れ変形しにくいので、雄状連結部材が妄りに雌状連結部材の導入規制部から離脱する虞れがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のドレスガード連結構造の1つの実施例を示す連結前の要部斜視図および手指による連結時の平面図である。
【図2】本発明のドレスガード連結構造が採用された左右のカバー体の展開図である。
【図3】本発明のドレスガード連結構造が採用された左右のカバー体の組立側面図である。
【図4】同、雌状連結部材の平面、縦断面、側面、底面の各図である。
【図5】同、連結前の雌雄連結部材の平面図および連結後の雌雄連結部材の平面図である。
【図6】従来例である自転車用巻込み防止カバーの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のドレスガード連結構造の実施例を説明する。本発明のドレスガード連結構造は図1に示すように、泥除け等に装着されて車輪の左右に振分け配設される左右のカバー体を連結するドレスガード連結構造であって、前記カバー体のいずれか一方から延設された雄状連結部材2を他方から延設された雌状連結部材1にて抜止め可能に受け入れて連結されるドレスガード連結構造において、前記雌状連結部材1における連結部(5、6)の側面に指確保部8、8を形成したことを特徴とする。
【実施例1】
【0012】
図2、図3は図示省略の車輪の左右に振分け配設される左右のカバー体を示すもので、図2は本発明のドレスガード連結構造が採用された左右のカバー体の展開図、図3は本発明のドレスガード連結構造が採用された左右のカバー体の組立側面図である。図2に示すように、右枠体19内に網状体や透明樹脂からなる右カバー本体20を配設した右カバー体17と、左枠体22内に網状体や透明樹脂からなる左カバー本体23を配設した左カバー体18とを、車輪の左右に振分けて装着するに際し、図3の組立側面図にて理解されるように、下部にて連結体16にて左右のカバー体17、18を連結する(予め連結体16を左右のカバー体17、18と一体成形してもよい)とともに、上部側を雌雄の連結部材1、2によって連結する。
【0013】
ここで、カバー体17、18内に形成された凹部21、24はホーク等に取り付けられるサークル錠のための開口部を示す。各カバー体17、18における枠体19、22の泥除けの円弧状端縁部に沿って添設される部分には、適宜の複数位置に挟持クリップ15、15・・・が形成ないし取着され(図3のサークル錠開口部にその断面形状が示されている)、これらのクリップ15によって泥除けの円弧状に沿ってその端縁部を挟持する形態にて装着される。下部にて、連結体16が泥除けの表面側を横断して左右のカバー体17、19間に渡設され、上部にて、後述する雌雄の連結部材1、2を泥除けの表面側を横断して左右のカバー体17、19間に渡設されて連結される。
【0014】
図1(A)に示すように、前記カバー体17、19のいずれか一方から延設された雄状連結部材2を他方から延設された雌状連結部材1にて抜止め可能に受け入れて連結する。雄状連結部材2は平板状の、例えばポリプロピレンやポリカーボネート等にて代表される樹脂で形成された左右のカバー体17、19から延設されて一体成形されるとよい。雄状連結部材2の先端側には、挿入し易いように先端が円弧状に形成された先端舌片部12と、その後部の両側縁部に抜止め部としての鋸歯部13が形成される。
【0015】
一方、雌状連結部材1についても、基本的には平板状の、例えばポリプロピレンやポリカーボネート等にて代表される樹脂で形成された左右のカバー体17、19から延設されて一体成形されるとよい。雌状連結部材1の平板状部26(カバー体17、19のいずれかから延設された帯部材3と略面一)には、前記雄状連結部材2側に導入規制部7が、カバー体側にガイド部材4が起立・設置される。これら導入規制部7とガイド部材4との間には、前記平板状の雄状連結部材2の両側縁部における鋸歯部13、13の連結位置に対応してそれらの両側に抜止め部5、5が配設される。これらの導入規制部7、抜止め部5およびガイド部材4を通じて、図4(B)に示すように、雄状連結部材2の厚さ分だけの受入れ部10が形成される。
【0016】
これらの導入規制部7、抜止め部5およびガイド部材4は、平板状の本体部26から所定の厚みを以って起立・形成される。抜止め部5の平板状部26からの高さは雄状連結部材2の厚みとほぼ等しい。そして、前記導入規制部7およびガイド部材4における雄状連結部材2を受け入れる通孔としての受入れ部(10)の高さは、雄状連結部材2の厚みよりやや大きく設定されている。導入規制部7の上部の規制片27は、雄状連結部材2を導入して受け入れて連結した後に、鋸歯部13の後方の雄状連結部材2の本体部が雌状連結部材1の平板状の本体部26から上方へ浮き上がるのが規制される。前記規制片27、27の間には平面視で雄状連結部材2側に開いた傾斜面となる抜取り溝部9が形成される。雄状連結部材2の雌状連結部材1からの離脱は、雄状連結部材2を導入規制部7の位置にてねじることで、抜取り溝部9から雄状連結部材2を容易に抜き取ることができる。抜取り溝部9が平面視で雄状連結部材2側に開いた傾斜面を構成しているため、規制片27によって確実に離脱が抑制されるものでありながら、ねじったときの雄状連結部材2の抜取りが容易となる。
【0017】
前記雌状連結部材1における連結部(5、6)の側面に前記雄状連結部材1からの力に対向する指確保部8、8が形成される。該指確保部8は、雌状連結部材1における本体部となる平板状部26から所定の厚み(高さ)で壁面が形成されるところの、連結部を構成する抜止め5から導入規制部7にかけての両側に形成される。好適には、図1(B)に示されるように、指の先端の形状に適合する、雄状連結部材2側に向けて幅が漸増する傾斜面あるいは円弧面もしくは湾曲面に形成されるが、雄状連結部材2から作用される連結時の力に対抗できるならば、例えば階段状等に形成することを妨げない。挿入方向に向かって雄状連結部材2から作用する力に対し、雌状連結部材1を把持する指の引っ掛かりとして作用すればよい。
【0018】
そして、前記指確保部8の形成により構成されることとなる雌状連結部材1における幅広部11に、雄状連結部材2を導入する導入規制部7の裾野部14を配設する。かくして、幅広部11が指確保部8の形成と相俟って形成されるので、指確保部8から幅広部8に渡り導入規制部7の裾野部14の幅を大きく採れるので、抜取り溝部9を上部に形成した導入規制部7が強固で倒れ変形しにくいので、雄状連結部材2が妄りに雌状連結部材1の導入規制部7から離脱する虞れがなくなる。図1(B)は、連結部5、6の間近の側方の指確保部8にて手指25にて把持した状態を明瞭に示している。
【0019】
図4は雌状連結部材の平面、縦断面、側面、底面の各図である。図4(A)は雌状連結部材1の平面図で、その左右には導入規制部7のA−A断面図と、ガイド部材4のB−B断面図が記載されている。これらの導入規制部7およびガイド部材4には、雄状連結部材2の厚みよりやや大きく設定されている通孔としての受入れ部10が形成されていることが理解される。図4(B)の縦断面にても受入れ部10が導入規制部7からガイド部材4にかけて延びていることが理解される。その途中には抜止め部5における爪部6が位置している。
【0020】
図5は連結前の雌雄連結部材の平面図および連結後の雌雄連結部材の平面図である。図5(A)に示すように、雌雄連結部材1、2を連結するには、雌状連結部材1に対して雄状連結部材2を矢印のように連結方向に移動させていく。その際、雌状連結部材1における連結部(5、6)の側面に形成された指確保部8、8を、図1(B)に示したように摘んで把持しておくことで、図5(B)に示すように、雌状連結部材1における両側縁に形成された鋸歯部13が雌状連結部材1における抜止め部5の爪部6を押し広げつつ進行する際の大きな作用力に耐えることができる。それによって、連結部(5、6)に間近の部分にて雌状連結部1を把持して確保しつつ互いの連結部材1、2を妄動させることがないので、左右のカバー体17、19の連結作業を確実かつ迅速に行うことができることとなる。
【0021】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、左右のカバー体の形状、形式(網状体、格子状体や透明樹脂からなる板状体、その他の板状体等が採用され得る)およびその泥除け等(ステーやホーク等への係着部を形成してもよい)への装着形態(挟持クリップによるワンタッチ係着等)、カバー体からの連結部材の延設形態(雌雄の連結部材がカバー体と一体成形の他、別体にて成形したものを溶着や接着あるいはホック止め等により接続してもよい。雌雄の連結部材の材質についても、ポリプロピレンやポリカーボネート等の樹脂等が採用される)、雌状連結部材における側面の指確保部の形状(雄状連結部材側に向かう幅が漸増する傾斜面または円弧面もしくは湾曲面を好適とするが、階段状あるいは段差状に幅が増加する形状等でもよい。また、指確保部の壁面として、雌状連結部材における側面の指への面圧を低くするために、抜止め部から導入規制部にかけてこれらの部材より高さの高い壁面を形成することもできる)、上部に形成される抜取り溝部の対向傾斜角(あまり広角度にすることは雄状連結部材が抜け易くなり、避けねばならない)を含む導入規制部の形状、形式およびその裾野部の配設形態(導入規制部の倒れ変形が抑制されるように、雄状連結部材の受入れ部を除いて指確保部の形成によって得られる幅一杯に裾野部が形成されるとよい)、また、導入規制部における抜取り溝部をガイド部材側のみに形成することもできる。(その際は、導入規制部には抜取り溝部を形成せずにガイド機能のみを持たせる)、雌雄の連結部材における連結部の形状(雄状連結部材における複数の鋸歯部と雌状連結部材における爪部とによる抜止め形態の他、雄状連結部材に1つの爪部を形成して雌状連結部材における抜止め部に複数の鋸歯部を形成することもできる)等については適宜選定できる。なお、雄状連結部材側にも両側縁に膨出部や湾曲凹部等の指保持部を設置することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、自転車等の二輪車における分割型のドレスガードの連結構造に関するが、ドレスガードのいずれの部分での連結構造であっても適用が可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 雌状連結部材
2 雄状連結部材
3 帯部材
4 ガイド部材
5 抜止め部(連結部)
6 爪部(連結部)
7 導入規制部
8 指確保部
9 抜取り溝部
11 幅広部
12 先端舌片部
13 鋸歯部
14 裾野部
25 指
26 平板状部
27 規制片


【特許請求の範囲】
【請求項1】
泥除け等に装着されて車輪の左右に振分け配設される左右のカバー体を連結するドレスガード連結構造であって、前記カバー体のいずれか一方から延設された雄状連結部材を他方から延設された雌状連結部材にて抜止め可能に受け入れて連結するドレスガード連結構造において、少なくとも前記雌状連結部材における連結部の側面に指確保部を形成したことを特徴とするドレスガード連結構造。
【請求項2】
前記雌状連結部材における連結部の側面における指確保部が、前記雄状連結部材側に向かって幅が漸増する傾斜面または円弧面もしくは湾曲面であることを特徴とする請求項1に記載のドレスガード連結構造。
【請求項3】
前記指確保部の形成により構成される幅広部に、導入規制部の裾野部を配設したことを特徴とする請求項1または2に記載のドレスガード連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−213173(P2011−213173A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81082(P2010−81082)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000112978)ブリヂストンサイクル株式会社 (78)
【Fターム(参考)】