説明

ドロップレシピ作成方法およびデータベース作成方法

【課題】ドロップレシピを簡単に作成すること。
【解決手段】半導体集積回路の設計データに基づいてテスト用のドロップレシピを複数作成するテストドロップレシピ作成工程と、前記テスト用のドロップレシピを用いて被処理基板に塗布された硬化性樹脂材料に前記半導体集積回路のパターンが形成されたテンプレートが押印されることにより形成された前記硬化性樹脂材料のパターンの欠陥検査結果に基づいて、前記複数のテスト用のドロップレシピから前記被処理基板上の押印位置毎に最も欠陥数が少ないドロップレシピを選択する選択工程と、前記選択された押印位置毎のドロップレシピを前記半導体集積回路を構成する機能回路ブロック毎に収集してドロップレシピ作成支援データベースを生成するデータベース化工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ドロップレシピ作成方法およびデータベース作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の製造技術としてナノインプリント・リソグラフィ技術(以下、単にナノインプリンティング)が知られている。ナノインプリンティングは、半導体集積回路のパターンが形成されたテンプレートを半導体ウェハに塗布されたレジストにプレスすることによって当該テンプレートに形成されているパターンをレジストに転写する技術である。レジスト材料の塗布量の制御は、ウェハへのレジスト材料の塗布量分布を定義したドロップレシピに基づいて行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−320098号公報
【特許文献2】特開2007−296783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一つの実施形態は、ドロップレシピを簡単に作成するためのドロップレシピ作成方法および当該方法で用いるドロップレシピ作成支援データベースを作成するデータベース作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの実施形態によれば、半導体集積回路の設計データに基づいてテスト用のドロップレシピを複数作成するテストドロップレシピ作成工程と、前記テスト用のドロップレシピを用いて被処理基板に塗布された硬化性樹脂材料に前記半導体集積回路のパターンが形成されたテンプレートが押印されることにより形成された前記硬化性樹脂材料のパターンの欠陥検査結果に基づいて、前記複数のテスト用のドロップレシピから前記被処理基板上の押印位置毎に最も欠陥数が少ないドロップレシピを選択する選択工程と、前記選択された押印位置毎のドロップレシピを前記半導体集積回路を構成する機能回路ブロック毎に収集してドロップレシピ作成支援データベースを生成するデータベース化工程と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1−1】図1−1は、ナノインプリンティングによる転写工程を説明する図である。
【図1−2】図1−2は、ナノインプリンティングによる転写工程を説明する図である。
【図1−3】図1−3は、ナノインプリンティングによる転写工程を説明する図である。
【図2】図2は、一枚のウェハ100の俯瞰した図である。
【図3】図3は、インプリント位置Zにインプリントされるパターンを説明する図である。
【図4】図4は、GDSデータのデータ構造の一例を説明する図である。
【図5】図5は、データベース作成装置の構成を説明する図である。
【図6】図6は、ドロップレシピ作成支援データベースのデータ構成の一例を説明する図である。
【図7】図7は、吐出量補正データに記述される線幅と吐出量との対応関係の一例を示す図である。
【図8】図8は、データベース作成方法を説明するフローチャートである。
【図9】図9は、ドロップレシピ作成装置の構成を説明する図である。
【図10】図10は、ドロップレシピ作成方法を説明するフローチャートである。
【図11】図11は、レジスト材料が特定の方向に流れ出すテンプレートパターンの一例を示す図である。
【図12】図12は、ドロップレシピ作成支援データベースを構成するIP毎のドロップレシピの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかるインプリント方法およびインプリント装置を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
まず、ナノインプリンティングによる一般的な転写工程について説明する。図1−1〜図1−3は、ナノインプリンティングによる転写工程を説明する図である。なお、ここでは一例として、紫外線照射によりレジスト(光硬化性樹脂材料)を硬化させる光ナノインプリントについて説明するが、本実施形態は加熱によりレジスト(熱硬化性樹脂材料)を硬化させる熱ナノインプリンティングにも適用できる。
【0009】
転写工程では、まず、図1−1に示すように、加工対象のウェハ100(被処理基板の一例)にレジスト材料101(硬化性樹脂材料の一例)が塗布される。インプリント装置には、ウェハ100に対して平行に2次元的に駆動されるレジスト材料101を吐出するノズルを有し、レジスト材料の塗布量分布を定義したドロップレシピに基づいてレジスト材料101の塗布量を局所的に変化させることができるタイプのものがある。ドロップレシピは、デザインパターン(あるいはレジストパターンやテンプレートパターンでもよい)の設計データに基づいて作成される。ドロップレシピは、レジストパターンの密度が高い部分には塗布量を多くし、レジストパターンの密度が低い部分には塗布量を少なくするように定義される。ドロップレシピにおける塗布量分布は、例えばノズルから吐出される一滴のレジスト材料の量(吐出量)と個々の液滴毎の吐出位置とで定義される。図1−1では、このようなタイプのインプリント装置により、テンプレート102の凹部に対応する位置にレジスト材料101の液滴が滴下されている。
【0010】
続いて、レジスト材料101が塗布されたウェハ100にテンプレート102がプレスされる。すると、レジスト材料101は毛細管現象によりテンプレート102に形成されているテンプレートパターンの凹部に入り込む。レジスト材料101がテンプレートパターンに充分に入り込んだ後、図1−2に示すようにテンプレート102の上方から紫外線が照射される。テンプレート102は、石英などの紫外線(UV光)を透過する材質で構成されており、テンプレート102の上方から照射されたUV光はテンプレート102を透過してレジスト材料101に照射される。レジスト材料101はUV光照射により硬化する。
【0011】
レジスト材料101の硬化後、テンプレート102が離型され、図1−3に示すように、ウェハ100上に硬化したレジスト材料101によるレジストパターンが形成される。
【0012】
ウェハ100上に形成されたレジスト材料101は、その後の工程にて、化学機械研磨により研磨される。化学機械研磨が行われる際、ウェハ100内の最も外側に形成されたレジストパターンにはウェハ100の中央部に形成されたレジストパターンと異なる力がかかるため、ウェハ100に形成されたレジストパターンをうまく平坦化できない。したがって、ウェハ100全体が均一なパターンに覆われていることが理想である。
【0013】
図2は、一枚のウェハ100の俯瞰した図である。図2に示す矩形は夫々1回のインプリントでレジストパターンが形成される領域(以降、1ショット領域という)である。図示するように、ウェハ100は、インプリント位置をずらして複数回インプリントされることによってほぼ全面にレジストパターンが形成される。また、インプリント位置Zのように最も外側の1ショット領域のさらに外側のウェハ100の縁からはみ出てしまうために1ショット分のインプリントができない位置にもインプリントが行われる。
【0014】
ここで、ウェハ100の最も外側の部分と中央部とで同一のドロップレシピを用いてインプリントを行うと、ウェハ100の最も外側にインプリントした際にレジスト材料がウェハ100の外縁からはみ出してしまう。はみ出したレジスト材料は後々の工程における汚染原因(パーティクル)を発生させる。したがって、ウェハ100内の最も外側の部分のインプリント位置にインプリントする場合には、ウェハ100の中央部のドロップレシピと異なるものを用いる必要がある。
【0015】
図2の例では、インプリント位置Aは、1ショット領域の4辺が他の1ショット領域に接することになる位置であるが、複数あるインプリント位置Aに同一のドロップレシピを用いてもレジスト材料のはみ出しなどの問題は生じない。すなわち、インプリント位置Aには同一のレジストレシピを使用してインプリントを行うことができる。しかしながら、最も外側に位置するインプリント位置B、インプリント位置C、およびインプリント位置Zでは、インプリント位置Aに用いられるドロップレシピと同一のドロップレシピを用いることはできない。また、最も外側に位置するインプリント位置においても、1辺あるいは2辺が他の1ショット領域に接するインプリント位置Bと3辺が他の1ショット領域に接するインプリント位置Cと1ショット分の完全なレジストパターンをインプリントできないインプリント位置Zとでは同一のドロップレシピを用いることができない。したがって、インプリント位置A、B、C、Zでは夫々異なるドロップレシピが用意される。
【0016】
図3は、インプリント位置Zにインプリントされるパターンを説明する図である。近年、一定の機能をもつ回路ブロック(機能回路ブロック)を予め設計しておき、その回路ブロックの設計データを適宜組み合わせることで半導体集積回路全体にかかる設計データの作成を高速化する設計手法がある。この予め設計された回路ブロックは半導体IP(以降、単にIP)と呼ばれ、それ自体取引の対象となる。図3に示す1ショットにより形成されるチップ103は、セルa、テスト回路a、テスト回路b、周辺回路a〜eのIPが組み合わされて構成されている。そして、図3に示すインプリント位置Zのうちの紙面右側のインプリント位置Zは、チップ103のうちの周辺回路a、周辺回路dおよび周辺回路eがインプリントされる。
【0017】
図4は、設計データの一例としてのGDSデータのデータ構造の一例を説明する図である。GDSデータ41は、複数レイヤを有しており、絶縁酸化膜層、金属層など半導体集積回路を構成する異なる層の設計データを異なるレイヤで保持することができるようになっている。さらに、GDSデータは、テキストが記述されるレイヤを備えており、そのレイヤにおいてIP毎に名称、配置位置および配置方向(以降、名称、配置位置および配置方向を属性情報と総称する)が定義される。図4の例によれば、レイヤ41−1に回路ブロック1および回路ブロック2の2つのIPにかかる属性情報が定義されている。
【0018】
属性情報が定義されるレイヤにおいては、IPをさらに小さい回路ブロックに分割できるときは、属性情報が定義されるレイヤには当該小さい回路ブロックにかかる属性情報がさらに定義される。例えば大きい回路ブロックが当該大きい回路ブロックよりも小さい同一の回路ブロックを複数備えるような場合は、当該小さい回路ブロックの属性情報が定義される。回路ブロックの属性情報同士は階層構造を用いて互いに関連付けられる。図4の例によれば、レイヤ41−1は、回路ブロック1の属性情報の下位の階層に回路ブロック11、回路ブロック12および回路ブロック13の属性が定義され、回路ブロック12の属性情報の下位の階層にさらに4つの回路ブロック121の属性情報が定義されている。
【0019】
最も小さい回路ブロックに関しては、パターンの形状を定義した設計データが定義される。当該設計データは同じGDSデータの別レイヤに保持される。図4の例によれば、回路ブロック121の3層の設計データがレイヤ41−2、レイヤ41−3、レイヤ41−4に保持されていることを示している。なお、図示していないが、回路ブロック11、回路ブロック13も最も小さい回路ブロックに該当するため、このGDSデータにはこれらのブロックにかかる設計データも保持される。
【0020】
GDSデータは以上のように構成されているため、1個のテンプレートにかかるパターンの全貌は、最小の構成要素にかかる全ての設計データをレイヤ41−1に定義されている属性情報に基づいて配置することによって把握される。つまり、ドロップレシピを作成するためには設計データを記述したレイヤを含む全レイヤを読み込む必要があるため、ドロップレシピを1つ作成するのに膨大な時間を必要とする。また、半導体集積回路を製造するにあたってインプリント位置毎に最適なドロップレシピを求めるためには、テスト用のドロップレシピを複数種類作成して実際にインプリントを行い、当該テスト用のドロップレシピから欠陥数等の観点から最も成績のよいドロップレシピをインプリント位置毎に選択する作業が必要であり、実際の製造に用いるドロップレシピを決定するまでに要する時間がテスト用のドロップレシピの数に応じて増大するという問題があった。
【0021】
本発明の実施の形態では、ドロップレシピを作成する作業を簡単化するために、IP毎にインプリント位置毎の最適なドロップレシピを求めておいて、当該求めたドロップレシピをデータベース化しておく。そして、新規の半導体集積回路を製造する際、当該新規の半導体集積回路を構成するIP毎にドロップレシピを前記作成しておいたデータベースから取り出してレイヤ41−1に定義されている属性情報に基づいて組み合わせることによって当該新規の半導体集積回路にかかるインプリント位置毎のドロップレシピを作成できるようにした。
【0022】
図5は、このようなデータベース(ドロップレシピ作成支援データベース)を作成するためのデータベース作成装置の構成を説明する図である。図示するように、データベース作成装置200は、CPU1、RAM(Random Access Memory)2、ROM(Read Only Memory)3、外部記憶装置4、入力部5、および出力部6を備えている。CPU1、RAM2、ROM3、外部記憶装置4、入力部5、および出力部6はバスラインを介して夫々接続されている。
【0023】
CPU1は、ドロップレシピ作成支援データベース45を作成するためのコンピュータプログラムであるデータベース作成プログラム21を実行する。入力部5は、マウスやキーボードを備えて構成され、ユーザからのデータベース作成装置200にかかる操作が入力される。入力部5へ入力された操作情報は、CPU1へ送られる。
【0024】
外部記憶装置4は、例えばハードディスクドライブなどにより構成され、CPU1のデータの入出力装置として用いられる。具体的には、外部記憶装置4には、製造対象の半導体集積回路のGDSデータ41が予め格納される。また、外部記憶装置4には、CPU1が吐出量および吐出位置を夫々変化させて作成したテスト用の複数のドロップレシピ(テストドロップレシピ群42)が格納される。
【0025】
当該テストドロップレシピ群42は、ユーザによりレジストパターンの試作に使用される。ユーザは、試作の後、試作されたレジストパターンにかかる欠陥検査結果(欠陥検査結果群43)およびCD(Critical Dimension)の測定値(CD測定値群44)を外部記憶装置4に入力する。テストドロップレシピ毎の欠陥検査結果およびCD測定値は、インプリント位置毎に入力される。
【0026】
CPU1は、欠陥検査結果群43およびCD測定値群44を参照して、テストドロップレシピ群42から最も成績のよいドロップレシピをインプリント位置毎に夫々一つ選択して外部記憶装置4にドロップレシピ作成支援データベース45を生成する。
【0027】
図6は、ドロップレシピ作成支援データベース45のデータ構成の一例を説明する図である。図示するように、ドロップレシピ作成支援データベース45は、インプリント位置毎にIP毎のドロップレシピを保持している。夫々のドロップレシピは、IP毎に固有の名称およびインプリント位置に固有の名称をデータ内部あるいはファイル名に組み込まれているなどにより、夫々のドロップレシピは、IPおよびインプリント位置に対応づけられている。
【0028】
テンプレート製造時のプロセスばらつきなどに起因して、納品される個々のテンプレートは線幅のばらつきが生じている。第1の実施形態では、IP毎のドロップレシピに使用したテンプレートの代表線幅を対応づけておく。テンプレートの製造業者は、通常、製造したテンプレートに対して検査を行い、テンプレートに検査結果を成績表として添付して納品する。テンプレートの代表線幅は、テンプレートの納品時に添付されている成績表から取得することもできる。
【0029】
CPU1は、テストドロップレシピ群42、欠陥検査結果群43、およびCD測定値群44から、テンプレートパターンの線幅と、当該線幅から意図した線幅のレジストパターンが得られる吐出量と、の対応関係を求め、求めた対応関係を吐出量補正データ46として外部記憶装置4に出力する。図7は、吐出量補正データ46に記述される線幅と吐出量との対応関係の一例を示す図である。図示するように、当該対応関係は、線幅が大きくなるに従って吐出量が小さくなることを示している。
【0030】
ユーザは、1つのテンプレートにかかるドロップレシピを作成して、当該作成したドロップレシピの吐出量を吐出量補正データ46に基づいて調整(補正)することで、同じ設計データにかかる個々のテンプレートの線幅のばらつきに起因する仕上がり形状のばらつきを小さく抑えることができるようになる。
【0031】
出力部6は、液晶モニタなどの表示装置であり、CPU1からの指示に基づいて、操作画面などオペレータに対する出力情報を表示する。
【0032】
なお、データベース作成装置200で実行されるデータベース作成プログラム21を、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供または配布するように構成しても良い。また、データベース作成プログラム21をインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、ROM3や外部記憶装置4等に予め組み込んでデータベース作成装置200に提供するように構成してもよい。また、データベース作成プログラム21を、CD−ROMなどの記録媒体に記録して提供または配布するように構成してもよい。
【0033】
次に、データベース作成装置200を用いてドロップレシピ作成支援データベース45を作成するデータベース作成方法を説明する。
【0034】
図8は、データベース作成方法を説明するフローチャートである。図示するように、まず、CPU1は外部記憶装置4からGDSデータ41を取得する(ステップS1)。CPU1は、取得したGDSデータ41の全レイヤを解釈してテストドロップレシピ群42を生成する(ステップS2)。
【0035】
ユーザは、インプリント位置毎に当該テストドロップレシピ群42のうちの全てのインプリント位置についてテストドロップレシピ群42のうちの全てのテストドロップレシピを用いてレジストパターンを試作し(ステップS3)、試作したレジストパターンについてCD測定および欠陥検査を実行する(ステップS4)。ユーザは、得られた欠陥検査結果群43およびCD測定値群44を外部記憶装置4に格納する。
【0036】
CPU1は、外部記憶装置4に格納された欠陥検査結果群43およびCD測定値群44を取得し(ステップS5)、取得した欠陥検査結果群43およびCD測定値群44に基づいてテストドロップレシピ群のうちから最も成績のよいドロップレシピをインプリント位置毎に選抜する(ステップS6)。そして、CPU1は、選抜したドロップレシピをIP毎に分解する(ステップS7)。そして、CPU1は、分解して得られたIP毎のドロップレシピを予め定められた標準方向となるように反転もしくは回転またはその両方を行う(ステップS8)。これにより、回転すると同一のIPや鏡面対称のIPにかかるドロップレシピを一つのIPにかかるドロップレシピとして管理することができ、データベースをサイズダウンできる。
【0037】
そして、CPU1は、IP毎のドロップレシピにIPの名称、インプリント位置の名称、試作に使用したテンプレートの代表線幅を付してドロップレシピ作成支援データベース45を生成する(ステップS9)。さらに、CPU1は、吐出量補正データ46を生成する(ステップS10)。そしてデータベース作成方法が終了となる。
【0038】
このように、本発明の第1の実施形態によれば、設計データ(GDSデータ41)に基づいてテスト用のドロップレシピ(テストドロップレシピ群42)を複数作成し、作成したテスト用のドロップレシピを用いて試作されたレジストパターンの欠陥検査結果(欠陥検査結果群43)に基づいて、複数のテスト用のドロップレシピからインプリント位置毎に最も欠陥数が少ないドロップレシピを選択し、選択したドロップレシピをIP毎にデータベース化してドロップレシピ作成支援データベース45を生成するようにしたので、新規の半導体集積回路にかかるドロップレシピを作成する際、当該新規の半導体集積回路のGDSデータ41の属性情報に基づいて当該新規の半導体集積回路を構成するIP毎にドロップレシピを組み合わせることでレジストレシピを作成することができるので、全レイヤ分のGDSデータ41を読み出す必要がないので、簡単かつ高速に新規の半導体集積回路にかかるドロップレシピを作成することができる。また、ドロップレシピ作成支援データベース45は、インプリント位置毎にIP毎のドロップレシピを保持しているので、新規の半導体集積回路にかかるドロップレシピをインプリント位置毎に作成することができる。また、ドロップレシピ作成支援データベース45は、IP毎にドロップレシピを保持しているので、インプリント位置Zのように1ショット分のインプリントができないような場合、インプリントできる部分にかかる属性情報のみを用いてIP毎のドロップレシピを配置すればよいので、インプリント位置Zに使用するドロップレシピを簡単かつ高速に作成することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
図9は、ドロップレシピ作成支援データベース45を使用して新規の半導体集積回路にかかるテンプレートのドロップレシピを作成するドロップレシピ作成装置の構成を説明する図である。図示するように、ドロップレシピ作成装置300は、データベース作成装置200と同様のコンピュータ構成を備えており、外部記憶装置4に格納される内容およびCPU1が実行するプログラムが異なる。
【0040】
CPU1は、ドロップレシピ作成支援データベース45を用いてインプリント位置毎のドロップレシピ(ドロップレシピ群47)を作成するためのコンピュータプログラムであるドロップレシピ作成プログラム22を実行する。入力部5は、マウスやキーボードを備えて構成され、ユーザからのドロップレシピ作成装置300にかかる操作が入力される。入力部5へ入力された操作情報は、CPU1へ送られる。
【0041】
外部記憶装置4は、例えばハードディスクドライブなどにより構成され、CPU1のデータの入出力装置として用いられる。具体的には、外部記憶装置4には、新規に製造する半導体集積回路のGDSデータ41、ドロップレシピ作成支援データベース45、吐出量補正データ46が予め格納される。また、外部記憶装置4には、CPU1が作成したドロップレシピ群47が格納される。
【0042】
出力部6は、液晶モニタなどの表示装置であり、CPU1からの指示に基づいて、操作画面などオペレータに対する出力情報を表示する。
【0043】
なお、ドロップレシピ作成装置300で実行されるドロップレシピ作成プログラム22を、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供または配布するように構成しても良い。また、ドロップレシピ作成プログラム22をインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、ROM3や外部記憶装置4等に予め組み込んでドロップレシピ作成装置300に提供するように構成してもよい。また、ドロップレシピ作成プログラム22を、CD−ROMなどの記録媒体に記録して提供または配布するように構成してもよい。
【0044】
図10は、ドロップレシピ作成装置300を使用して実現するドロップレシピ作成方法を説明するフローチャートである。図示するように、CPU1は、まず、外部記憶装置4からGDSデータ41を取得する(ステップS21)。そして、CPU1は、GDSデータ41が含む属性情報が定義されているレイヤ41−1から製造対象の半導体集積回路を構成するIPの属性情報を抽出する(ステップS22)。
【0045】
そして、CPU1は、ウェハ100上のインプリント位置を1つ指定する(ステップS23)。そして、CPU1は、ドロップレシピ作成支援データベース45から、指定された位置における製造対象の半導体集積回路を構成するIPにかかるドロップレシピを抽出する(ステップS24)。具体的には、CPU1は、抽出した属性情報に含まれるIPの名称と指定されたインプリント位置を検索キーとしてドロップレシピ作成支援データベース45を検索し、ドロップレシピを抽出する。
【0046】
そして、CPU1は、抽出したドロップレシピを属性情報に記述されている配置位置および配置方向に従って配置し、指定されたインプリント位置における1ショットにかかるドロップレシピを完成させる(ステップS25)。
【0047】
そして、CPU1は、全てのインプリント位置を指定済みであるか否かを判定する(ステップS26)。未指定のインプリント位置がある場合(ステップS26、No)、ステップS23に移行してCPU1は未指定のインプリント位置のうちの1つを指定する。全てのインプリント位置が指定済みである場合(ステップS26、Yes)、CPU1は、製造にあたり使用されるテンプレートの代表線幅の入力を受け付ける(ステップS27)。代表線幅は、例えばユーザにより入力部5から入力される。CPU1は、入力された代表線幅を用いて吐出量補正データ46を検索して、当該代表線幅に対応する吐出量を算出する(ステップS28)。そして、CPU1は、インプリント位置毎のドロップレシピの吐出量を算出した吐出量で補正し(ステップS29)、インプリント位置毎のドロップレシピ(ドロップレシピ群47)が完成する。
【0048】
このように、本発明の第2の実施形態によれば、GDSデータ41から当該半導体集積回路を構成するIPの配置位置を抽出し、ドロップレシピ作成支援データベース45から、所望のインプリント位置にかかる前記半導体集積回路を構成するIPのドロップレシピを抽出し、抽出したドロップレシピを抽出した対応する配置位置に基づいて配置して、前記半導体集積回路のテンプレートにかかるドロップレシピを作成するように構成したので、ドロップレシピを作成する毎にGDSデータ41を構成する全レイヤを読み出す必要がないので、簡単かつ高速にドロップレシピを作成できるようになる。
【0049】
また、半導体集積回路のテンプレートの代表線幅に基づいて、前記テンプレートにかかるドロップレシピにおける硬化性樹脂材料の吐出量を補正するようにしたので、個々のテンプレート毎にドロップレシピを作成することなくインプリントを実行することができるようになる。
【0050】
(第3の実施形態)
欠陥数に影響を与えるレジスト材料にかかる性質として、収縮率、弾性力、基材密着力、帯電性、耐溶剤性、フッ素含有率などがある。これらの性質は、どれか1つの性質を向上させると他の性質が劣化するという関係を有しているものがあり、全ての性質について最も望ましい組成とすることはできない。したがって、通常は、レジスト材料は1ショット中の欠陥数ができるだけ少なくなるように組成が調整された1種類のレジスト材料を用いてインプリントが行われる。
【0051】
ところで、近年、1つのテンプレート内で複数種類のレジスト材料を滴下する塗布装置が開発されつつある。そのような塗布装置を用いる場合、局所的に最適なレジスト材料を選択して塗布することが可能となる。そこで、第1の実施形態においてテストドロップレシピ群42を作成するとき(ステップS2)、夫々異なるレジスト材料を指定したレジストパターンを作成するようにするとよい。
【0052】
このように、ドロップレシピ作成支援データベース45を使用するレジスト材料を含めて最適化したドロップレシピで構成するようにすることで、レジスト材料を局所的に変化させたドロップレシピを簡単かつ高速に作成することができる。
【0053】
例えば、ラインアンドスペースを多く含むメモリセルのようなIPは、離型時に摩擦により帯電し、帯電した電荷によりラインが倒れて欠陥が生じやすい傾向がある。そこで、このようなIPに対しては他のIPより帯電しにくい組成のレジスト材料を使用することができる。
【0054】
(第4の実施形態)
前述のように、ドロップレシピはGDSデータに基づいて定められるが、ラインアンドパターンのように異方性のある複数のパターンが極度に偏向して配列されている場合、テンプレートの押印時にレジスト材料が特定の方向に流れ出して、意図したようにレジスト材料がテンプレート全面に行き渡らず、結果として欠陥の増加を引き起こす場合がある。
【0055】
例えば図11に示したテンプレートパターンは、レジスト材料が特定の方向に流れ出すテンプレートパターンの一例を示す図である。黒塗りの矩形は、形成されるレジストパターンを示している。当該テンプレートパターンは、夫々ラインアンドパターンを備えるIPa、IPb、IPc、IPdの4つのIPを含んでいる。ラインアンドパターンを押印した際、レジスト材料は、ラインに沿った方向に流れやすい。したがって、図11の斜線に示した領域にレジスト材料が流れ出してくる傾向がある。
【0056】
そこで、レジスト材料の特定方向への流出をせき止めるために、レジスト材料が流れ出しやすい方向に粘度が高いレジスト材料を配置するようにドロップレシピ作成支援データベースを構成するIP毎のドロップレシピを作成するようにするとよい。
【0057】
図12は、ドロップレシピ作成支援データベースを構成するIP毎のドロップレシピの一例を説明する図である。図示するように、各IP(IPa〜d)のドロップレシピにおいて、ラインの部分には欠陥数を低減する観点から選択されたレジスト材料101−1が塗布される。そして、ラインの終端部には、レジスト材料101−1よりも粘度が高いレジスト材料101−2がラインの並び方向に一列に塗布される。これにより、レジスト材料101−1がライン方向に流れ出しても、レジスト材料101−2により形成された柵により流れが阻害され、レジスト材料101−1の特定方向への流出を防止することができる。なお、本図ではレジスト材料101−2はラインの終端部にラインの並び方向に塗布されているが、IP毎のパターンを囲むように全部の辺に沿ってレジスト材料101−2を塗布するようにドロップレシピを作成してもよい。
【0058】
このように、本発明の第4の実施形態によれば、テスト用のドロップレシピは、半導体集積回路を構成するIP毎にインプリント時にレジスト材料の流出を阻害する位置に前記レジスト材料よりも粘度が高いレジスト材料を配置したものとすることにより、IP毎の特定方向へのレジスト材料の流出を防止することができるようになる。
【0059】
なお、第1〜第4の実施形態の説明では、ドロップレシピ作成支援データベース45はIP毎のドロップレシピで構成されるものとして説明したが、GDSデータ41に属性情報が定義されているどの階層の回路ブロックをドロップレシピ作成支援データベース45が保持するドロップレシピの単位としてもよい。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
21 データベース作成プログラム、22 ドロップレシピ作成プログラム、41 GDSデータ、42 テストドロップレシピ群、43 欠陥検査結果群、44 CD測定値群、45 ドロップレシピ作成支援データベース、46 吐出量補正データ、47 ドロップレシピ群、100 ウェハ、101 レジスト材料、102 テンプレート、200 データベース作成装置、300 ドロップレシピ作成装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体集積回路の設計データに基づいてテスト用のドロップレシピを複数作成するテストドロップレシピ作成工程と、
前記テスト用のドロップレシピを用いて被処理基板に塗布された硬化性樹脂材料に前記半導体集積回路のパターンが形成されたテンプレートが押印されることにより形成された前記硬化性樹脂材料のパターンの欠陥検査結果に基づいて、前記複数のテスト用のドロップレシピから前記被処理基板上の押印位置毎に最も欠陥数が少ないドロップレシピを選択する選択工程と、
前記選択された押印位置毎のドロップレシピを前記半導体集積回路を構成する機能回路ブロック毎に収集してドロップレシピ作成支援データベースを生成するデータベース化工程と、
を備えることを特徴とするデータベース作成方法。
【請求項2】
前記データベース化工程は、
前記選択された押印位置毎のドロップレシピを機能回路ブロック毎に分解する分解工程と、
前記分解されたドロップレシピを反転/回転して基準方向にそろえる方向合わせ工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のデータベース作成方法。
【請求項3】
前記テスト用のドロップレシピにかかるレジストパターンのCD測定値に基づいてテンプレートパターンの線幅と所望のレジストパターンの線幅が得られるための硬化性樹脂材料の一滴当たりの吐出量とを対応づけた吐出量補正データを作成する吐出量補正データ作成工程をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のデータベース作成方法。
【請求項4】
前記テストドロップレシピ作成工程において生成されるテスト用のドロップレシピは、使用する硬化性樹脂材料の組成が夫々異なる、ことを特徴とする請求項1に記載のデータベース作成方法。
【請求項5】
前記テストドロップレシピ作成工程において生成されるテスト用のドロップレシピは、前記半導体集積回路を構成する機能回路ブロック毎に前記テンプレートの押印時に前記硬化性樹脂材料を流出を阻害する位置に前記硬化性樹脂材料よりも粘度が高い第二の硬化性樹脂材料を配置したドロップレシピである、
ことを特徴とする請求項1に記載のデータベース作成方法。
【請求項6】
半導体集積回路の設計データから当該半導体集積回路を構成する複数の機能回路ブロックの配置位置を抽出する機能回路ブロック情報抽出工程と、
機能回路ブロック毎のドロップレシピを押印位置毎に保持するドロップレシピ作成支援データベースから、所望の押印位置にかかる前記半導体集積回路を構成する複数の機能回路ブロックのドロップレシピを抽出するドロップレシピ抽出工程と、
前記抽出した複数のドロップレシピを前記抽出した対応する配置位置に基づいて配置して、前記半導体集積回路のテンプレートにかかるドロップレシピを作成するドロップレシピ配置工程と、
を備えることを特徴とするドロップレシピ作成方法。
【請求項7】
前記機能回路ブロック情報抽出工程において、前記複数の機能回路ブロックの配置位置とともに配置方向を抽出し、
前記ドロップレシピ配置工程において、前記抽出した複数の機能回路ブロックのドロップレシピを前記抽出した配置位置と配置方向とに基づいて配置する、
ことを特徴とする請求項6に記載のドロップレシピ作成方法。
【請求項8】
前記半導体集積回路のテンプレートの代表線幅に基づいて、前記テンプレートにかかるドロップレシピにおける硬化性樹脂材料の吐出量を補正する補正工程をさらに備える、
ことを特徴とする請求項6に記載のドロップレシピ作成方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−114157(P2012−114157A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260293(P2010−260293)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】