説明

ドーナツの製造法

【課題】本発明の目的は、ドーナツ生地にコンニャク粉を配合し油中加熱フライする事で、口中で咀嚼音を呈し、ドーナツの組織、食感が良好で、口中での咀嚼音、風味等の品質に優れたドーナツを提供する事を目的とする。
【解決手段】本発明は、小麦粉、澱粉性原料、大豆蛋白、乳製品、卵類、糖類、ココアパウダー及び水、クリーム類を主要原料とする生地に、コンニャク粉を加えてドーナツ生地を作り、油中加熱フライしたドーナツは口中で咀嚼音を呈するドーナツの製造法であって、コンニャク粉が対粉配合に対し、1.5〜4.5重量%、であるのが好ましい。また、この出来たドーナツはコンニャク粉の配合量、粒度を調整することにより、口中で咀嚼音の呈し今までに無い面白いドーナツを解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口中で咀嚼音を呈するドーナツの製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドーナツ生地を使った食品の製造は、ドーナツの配合面や製法、ドーナツの形状、食感、風味等色々駆使するために労力を要するものである。最近消費者嗜好の多様化により、ドーナツの形状や食感の異なった製品が増加している。しかしドーナツを食べた時に口中で咀嚼音を呈するドーナツはあまり見かけないのが現状である。
【0003】
特許文献1では膨化食品について開示されている。ここでは粒あられ様・かみなりおこしの粒のような好ましいクリスピーな食感を付与することが出来る食品を提供する。また中華あん等の液状調味料やお湯をかけた後もカリカリとした食感を維持することが出来る膨化食品を提供することを目的を表現されている。
特許文献2では穀類加工食品用食感改良剤及び該食感改良剤を含む穀類加工食品について開示されている。ここでは麺やパン等の、比較的水分含量が高く、良好な保水性を要求される穀物加工食品には、弾力があるにもかかわらず、しっとりとしたソフト感を付与する。またクッキーやスナック菓子等油中加熱や焼成等により調製される。比較的水分含有が低い穀物加工品にはサクサクした軽い食感を付与する。これらの様な食感を付与できる穀物加工食品用食感改良剤及び該食品改良剤を含む穀類加工食品に関して表現されている。

【特許文献1】特開2004−34号公報
【特許文献2】特開2004−187526号公報
【0004】
しかしながら、特許文献1では、水分の低い系の膨化食品については、食感的にクリスピーと表現されている。また特許文献2では、ドーナツの外側はサクサクした軽い食感であり、ドーナツの内部はしっとりしたソフトな食感と弾力性があると書かれているが水分含有の多いドーナツでは経時的に保管された場合これらの食感は失われる可能性がある。特許文献1、2は食感的な表現は見られるが、口中での咀嚼音については言及されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドーナツで形状や食感の異なるものは多く見られるが、食べた時の口中での咀嚼音が出る製品はあまり見られないのが現状である。
本発明は、ドーナツ生地にコンニャク粉であるコン二ャク精粉又はコンニャク抽出物を配合することで、口中で咀嚼音を呈するドーナツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は鋭意研究を行い、ドーナツ生地等の挙動と咀嚼音を検討した結果、ドーナツ生地にコンニャク粉であるコンニャク精粉又はコンニャク抽出物を配合し油中加熱フライして食べたときに口中でプチプチと鳴る食感に注目し、咀嚼音の出るドーナツの製造法が得られた。即ち本発明の第1はドーナツ生地に、コンニャク粉であるコンニャク精粉又はコンニャク抽出物を加えて口中で咀嚼音の出るドーナツ生地の製造法である。第2は上記第1の生地においてコンニャク精粉又はコンニャク抽出物が対粉1.5〜4.5重量%含有するのが好ましい。第3は上記第1の生地において更に、コンニャク精粉又はコンニャク抽出物の粉末の度合いは10〜120メッシュである。好ましくは30〜70メッシュである。
【発明の効果】
【0007】
ドーナツ生地にコンニャク粉であるコンニャク精粉又はコンニャク抽出物をドーナツ生地に配合する事で、プチプチと口中で咀嚼音の呈するドーナツを提供する事が可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のドーナツ生地配合は、小麦粉、澱粉性原料、大豆たんぱく、卵類、糖類、乳製品、ココアパウダー等及び水、クリーム類を主原料とする生地にコンニャク精粉又はコンニャク抽出物を加えてドーナツ生地を作り、油中加熱フライする。ドーナツ生地として小麦粉、澱粉性原料、卵類、糖類、乳製品、ココアパウダー及び水を主要原料とする生地自体は一般的であり、ここにコンニャク粉であるコンニャク精粉又はコンニャク抽出物を加え、常法に従って各原料を加配する。ドーナツ生地はケーキドーナツ又はイーストドーナツにも適用されるものである。
具体的には、ミキサーボウル等容器に小麦粉、澱粉性原料、大豆たんぱく、糖類、乳製品、塩、ベーキングパウダー、ココアパウダー等にコンニャク粉であるコンニャク精粉又はコンニャク抽出物を配合しケンウッドミキサーに設置して低速で30秒混ぜて、そこに卵類、クリーム類、水を加えて低速30秒、中速1分良く混合してから、絞り袋に生地を入れて12−13gに絞りだす。次いで油中加熱フライヤーで185〜190℃、4〜6分で油中フライする。
ドーナツ生地製造装置としては、手鍋、ドーナツフライヤー、ドーナツマシン等バッチ方法でも連続式の何れも採用出来る。
油中加熱フライ温度が低いとフライ時間が長くなり、油ぽくなるので、通常180℃以上好ましくは185〜190℃で油中加熱フライする。190℃を超えると焦げて見栄えの悪いものになる。
【0009】
本発明のコンニャク粉はコンニャク精粉又はコンニャク抽出物が挙げられ、粉末状、粒状といった任意の形態をとることが出来るが、好ましくは、粉末状のものである。またコンニャク精粉は色調が濃く、特有の穀物臭風味を有するので、コンニャク抽出物の方が好ましい。
【0010】
本発明のコンニャク粉であるコンニャク精粉又はコンニャク抽出物は、対粉で1.5〜4.5重量%、好ましくは2〜4重量%、更に2.5〜3.5重量%が好ましい。但しここで言う対粉とは小麦粉や化工澱粉といったの澱粉性原料粉であり、ココアパウダーといった植物性の粉砕原料を場合はそれらも合わせて100重量%に対しての各原材料の重量%で表現する。
【0011】
本発明のコンニャク粉であるコンニャク精粉又はコンニャク抽出物の粒径は10〜120メッシュである。好ましくは30〜70メッシュである。
【0012】
小麦粉としては薄力粉、中力粉、強力粉が例示出来、これらの単独または2種以上を混合使用する事が出来る。食感的には強力粉が望ましい。
【0013】
大豆たん白としては濃縮大豆たん白、脱脂大豆粉、豆乳粉末、脱脂豆乳粉末、分離大豆たん白等が例示出来、粉末状分離大豆たん白が好ましい。粉末状分離大豆たん白は、その加熱凝固性(ゲル形成性)、保水性の性質を有している。大豆たん白が少ないと、吸油が多くなり、更に表面が崩れやすく、厚くなる傾向である。大豆たん白質量としては、対粉に対して2〜5重量%、好ましくは2〜4重量%、更に2.5〜3.5重量%が好ましい。
【0014】
澱粉性原料としては、一般のドーナツにおいて使用されている小麦粉等穀粉類や小麦澱粉、コーンスターチ、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉及びこれらを加工した化工澱粉を用いることが出来る。
また澱粉性原料の使用量については、量が少ないとドーナツがケーキドーナツ的な食感になりソフト感が少なくなる。一方多すぎると食感にネタツキが生じ喉通りも悪くなるため、澱粉の使用量として対粉配合で20〜40重量%、好ましくは30〜38重量%、更に33〜37重量%が好ましい。
【0015】
糖類としては限定されたものではないが、単糖、オリゴ糖、デキストリン、これらの異性化、分解、転移、重合等による加工品等が挙げられる。具体的に上白糖、蔗糖、粉糖、グラニュー糖、双目糖、蜂蜜、ぶどう糖、果糖、黒糖、麦芽糖、乳糖、シクロデキストリン、還元澱粉糖化物、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、酵素糖化水飴、酸糖化水飴、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、異性化液糖、各種オリゴ糖、トレハロース、ラフィノース、ラクチュロース等が挙げられる。これらの糖類は単独で又は2種以上を組み合せて使用出来る。油中加熱フライしてのドーナツの焼色、味、甘みの点からグラニュー糖が好ましい。糖類が少ないと、ドーナツのボリュームが無く、硬くなり、形状もいびつになる。糖類が多いと、甘くなり、色調も濃くなり更に生地が伸び過ぎ、ドーナツの保型性が無くなる。糖類量としては、対粉に対して20〜40重量%、好ましくは30〜38重量%、更に33〜37重量%が好ましい。
【0016】
卵類としては限定されたものではないが、全卵、加糖全卵、酵素処理全卵、卵黄、加糖卵黄、酵素処理卵黄等が挙げられる。卵類の一部を乾燥品で用いることも妨げないが、この明細書においては、特に断ない場合は非乾燥の状態で用いたことを示す。
【0017】
乳製品としては、脱脂粉乳を使用し、風味と焼色のために配合する。
【0018】
クリーム類は植物性クリーム、乳製品配合のコンパウンドクリーム、生クリームのいずれを使用しても良い。
【実施例】
【0019】
以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は、いずれも重量基準を意味する。
本願発明の方法で得たドーナツ生地を油中加熱フライし以下の基準で、ドーナツ組織の状態(組織、食感)、咀嚼音(口中でプチプチと音がする)、風味を評価した。
(組織、食感)
◎:組織、食感非常に良好。
○:組織、食感良好。
△:組織、食感バラつきが見られる。
X:組織悪く、食感硬い。
(咀嚼音)
◎:口中で咀嚼音が強い。
○:口中で咀嚼音がする。
△:口中でやや咀嚼音が弱い。
X:口中で咀嚼音がしない。
(風味)
◎:非常に良好。
○:良好。
△:幾分悪い。
X:悪い、コンニャク特有の穀物臭がする。
【0020】
実施例1
強力粉65部、化工澱粉(松谷化学工業株式会社製、商品名:フードスターチMM3、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、ワキシーコーンスターチ配合)35部を篩にかけ粉体を準備しておく。表1に示した配合により、コンニャク抽出物(清水化学株式会社製、商品名プロポールА)を2部、グラニュー糖35部、粉末状大豆蛋白(不二製油製、商品名プロリーナ250、蛋白質90%ドライ換算)3部、食塩1部、脱脂粉乳2部及びベーキングパウダー2部をケンウッドミキサー(愛工舎製作所製)のボウルに加え、低速で30秒混ぜて、そこに全卵30部、コンパウンドクリーム(不二製油製、商品名トッピング200N、乳脂肪2%)30部及び水50部を低速で30秒、中速で1分混ぜてドーナツ生地を調製した。次いで絞り袋に生地を入れて12〜13gを絞り出した。予め油中加熱していたフライヤーで、油調温度185〜190℃で、5分で油中加熱フライした。これらの結果を表1に纏めた。ドーナツの組織、食感は良好であり、咀嚼音は口中でプチプチと音が鳴り、風味は良好なドーナツが出来た。
【0021】
実施例2
表1に示した配合に従って、実施例1と同様な方法により実施例2のドーナツ(粉末コンニャク抽出物を対粉配合で3重量%)を得た。実施例1と同様に評価しこれらを表1に纏めた。
実施例3
表1に示した配合に従って、実施例1と同様な方法により実施例3のドーナツ(粉末コンニャク抽出物を対粉配合で4重量%)を得た。実施例1と同様に評価しこれらを表1に纏めた。
実施例4
表1に示した配合に従って、実施例2と同様な方法で、ココアパウダーを配合し実施例4のドーナツ(粉末コンニャク抽出物を対粉配合で3重量%)を得た。実施例1と同様に評価しこれらを表1に纏めた。
【0022】
比較例1
表1に示した配合に従って、実施例1と同様な方法により比較例1のドーナツ(粉末コンニャク抽出物なし。)を得た。実施例1と同様に評価しこれらを表1に纏めた。
比較例2
表1に示した配合に従って、実施例1と同様な方法により比較例2のドーナツ(粉末コンニャク抽出物を対粉配合で1重量%)を得た。実施例1と同様の評価しこれらを表1に纏めた。
比較例3
表1に示した配合に従って、実施例1と同様な方法により比較例2のドーナツ(粉末コンニャク抽出物を対粉配合で5重量%)を得た。実施例1と同様の評価しこれらを表1に纏めた。
【0023】
表1から(実施例1〜4、比較例1〜3)コン二ャク抽出物の効果についての評価は、咀嚼音については、対粉配合で1重量%では口中での咀嚼音が弱く、5重量%では多いため食感自体硬くなり、咀嚼音が出ない。口中で咀嚼音が出たのは実施例1〜4であり、口中で咀嚼音の呈するドーナツが出来た。
【0024】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、ドーナツ生地にコンニャク粉を配合し油中加熱フライする事により口中で咀嚼音を呈するドーナツの製造法に関するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンニャク粉を配合することを特徴とするドーナツの製造法。
【請求項2】
コンニャク粉を対粉1.5重量%〜4.5重量%使用する、請求項1記載のドーナツの製造法。
【請求項3】
コンニャク粉の粒径が10〜120メッシュである請求項1又は請求項2記載のドーナツの製造法。