ドーム型監視カメラ装置
【課題】ドームカバーに起因する光路長の変化によるフォーカスのずれを低減することのできるドーム型監視カメラ装置を提供する。
【解決手段】ドーム型監視カメラ装置1は、監視カメラ3と、監視カメラ3を覆うドームカバー5と、ドームカバー5が装着されたときに、ドームカバー5による光路長の変化を補正するように監視カメラ3のフォーカスをカバー装着状態で調整する調整手段としてのカメラ制御部25とを備えている。カメラ制御部25は、監視カメラ3の光路長を増減するドームカバー仕様を表す光路長影響カバーパラメータに応じて監視カメラ3のフォーカスをカバー装着状態で調整する。
【解決手段】ドーム型監視カメラ装置1は、監視カメラ3と、監視カメラ3を覆うドームカバー5と、ドームカバー5が装着されたときに、ドームカバー5による光路長の変化を補正するように監視カメラ3のフォーカスをカバー装着状態で調整する調整手段としてのカメラ制御部25とを備えている。カメラ制御部25は、監視カメラ3の光路長を増減するドームカバー仕様を表す光路長影響カバーパラメータに応じて監視カメラ3のフォーカスをカバー装着状態で調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォーカス精度を向上できるドーム型監視カメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドーム型監視カメラ装置は、監視カメラをドームカバー内に収容した構成を有しており、監視カメラがドームカバーを通して監視対象を撮影する(例えば特許文献1)。
【0003】
従来の監視カメラ装置は、バックフォーカス調整、ズーム調整およびフォーカス調整の機構を備えている。カメラ設置時は、ドームカバーが外されて、各種調整機構が操作されて、バックフォーカス調整、ズーム調整およびフォーカス調整が行われる。バックフォーカス調整では撮像素子が動かされ、フォーカス調整ではレンズが動かされる。バックフォーカス調整もフォーカス調整の一種である。これらの調整が完了した後、調整機構が固定され、ドームカバーが被せられ、設置作業が完了する。
【0004】
ドームカバーには複数の種類があり、ドームカバーの種類によって材質、厚さ、透過率といった仕様が異なる。例えば、カバー内の監視カメラを外から見えにくくするために、透過率の低いスモークタイプのカバーが用いられる。また、バンダルプルーフの観点からは、厚さの大きいタイプのカバーが有用である。
【特許文献1】特開2004−356669号公報(図1、2等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のドーム型監視カメラ装置は、設置作業の最後にドームカバーが被せられたときに、ドームカバーの有無およびドームカバー仕様に応じて光路長が変化し、フォーカス位置が微小に変わり、そのためにフォーカスがずれてしまうという問題があった。光路長を変化させるドームカバー仕様は、例えば材質、厚さまたは透過率である。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ドームカバーに起因する光路長の変化によるフォーカスのずれを低減できるドーム型監視カメラ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明ドーム型監視カメラ装置は、監視カメラと、前記監視カメラを覆うドームカバーと、前記ドームカバーが装着されたときに、前記ドームカバーによる光路長の変化を補正するように前記監視カメラのフォーカスをカバー装着状態で調整する調整手段とを備えている。
【0008】
この構成により、ドームカバーによる光路長の変化を補正するように監視カメラのフォーカスをカバー装着状態で調整するので、ドームカバーに起因する光路長の変化によるフォーカスのずれを低減することができる。
【0009】
本発明のドーム型監視カメラ装置において、前記調整手段は、前記監視カメラの光路長を増減するドームカバー仕様を表す光路長影響カバーパラメータに応じて前記監視カメラのフォーカスをカバー装着状態で調整する。
【0010】
この構成により、監視カメラの光路長を増減するドームカバー仕様を表す光路長影響カバーパラメータに応じて監視カメラのフォーカスをカバー装着状態で調整するので、ドームカバー仕様に起因する光路長の変化によるフォーカスのずれを低減することができる。
【0011】
本発明のドーム型監視カメラ装置において、前記光路長影響カバーパラメータは、前記ドームカバーの材質を含む。この構成により、ドームカバーの材質の相違に応じた光路長の変化によるフォーカスのずれを低減できる。
【0012】
また、本発明のドーム型監視カメラ装置において、前記光路長影響カバーパラメータは、前記ドームカバーの厚さを含む。この構成により、ドームカバーの厚さの相違に応じた光路長の変化によるフォーカスのずれを低減できる。
【0013】
また、本発明のドーム型監視カメラ装置において、前記光路長影響カバーパラメータは、前記ドームカバーの透過率を含む。この構成により、ドームカバーの透過率の相違に応じた光路長の変化によるフォーカスのずれを低減できる。
【0014】
また、本発明のドーム型監視カメラ装置は、前記光路長影響カバーパラメータを検出する検出手段を含み、前記調整手段は、前記検出手段により検出される前記光路長影響パラメータに応じて前記監視カメラの撮像素子の位置を変更することによってバックフォーカスを調整する手段である。この構成により、光路長影響カバーパラメータに応じて好適にフォーカス調整を行うことができる。
【0015】
また、本発明のドーム型監視カメラ装置において、前記調整手段は、さらに、前記監視カメラの絞り値に応じて前記バックフォーカスを調整する。この構成により、照度変化に伴う絞り値の変化による光路長の変化を吸収して、さらにフォーカスのずれを低減できる。
【0016】
また、本発明のドーム型監視カメラ装置において、前記調整手段は、さらに、前記監視カメラの撮影画像の色温度に応じて前記バックフォーカスを調整する。この構成により、色温度の変化による光路長の変化を吸収して、さらにフォーカスのずれを低減できる。
【0017】
また、本発明のドーム型監視カメラ装置において、前記ドームカバーは、前記光路長影響カバーパラメータに応じたパラメータ対応形状部分を有し、前記調整手段は、前記パラメータ対応形状部分の形状に応じて前記監視カメラの撮像素子の位置を機械的に変更することによってバックフォーカスを調整する手段である。この構成により、光路長影響カバーパラメータに応じて好適にフォーカス調整を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、ドームカバーによる光路長の変化を補正するように監視カメラのフォーカスをカバー装着状態で調整する構成を設けたので、ドームカバーに起因する光路長の変化によるフォーカスのずれを低減できるという効果を有するドーム型監視カメラ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係るドーム型監視カメラ装置について、図面を用いて説明する。
【0020】
本発明の実施の形態に係るドーム型監視カメラ装置を図1および図2に示す。まず、図2の断面模式図を参照すると、ドーム型監視カメラ装置1は、カメラ本体としての監視カメラ3と、監視カメラ3を覆うドームカバー5とを備えている。
【0021】
監視カメラ3においては、レンズ7がベース9に、パン方向およびチルト方向に手動で回動可能に備えられている。レンズ7はバリフォーカルレンズであり、フォーカスリング11とズームリング13を有している。フォーカスリング11およびズームリング13は、ドームカバー5の装着前の状態でフォーカス調整とズーム調整を手動で行う手段である。また、ドームカバー5は、透明または半透明の半球状のカバーであり、ドームカバー5を通して監視カメラ3により監視映像が撮影される。
【0022】
図1は、ドーム型監視カメラ装置1の機能ブロック図である。図1において、ドームカバー5以外の構成は概ね監視カメラ3に備えられている。図1に示すように、ドーム型監視カメラ装置1は、画像信号を生成するCCD21と、画像信号を処理するカメラ回路23と、カメラ全体を制御するマイクロコンピュータであるカメラ制御部25とを有する。
【0023】
CCD21は撮像素子の一例であり、レンズ7の光軸上に備えられており、レンズ7により形成される像を電気的な画像信号に変換する。カメラ回路23は、画像信号を処理して映像信号をモニターに向けて出力する。また、カメラ回路23は、画像信号から光量と色温度推定値を算出して、これらのデータをカメラ制御部25に出力する。色温度の演算はカメラ制御部25で行われてもよい。
【0024】
ドーム型監視カメラ装置1は、さらに、バックフォーカスモータ27、フィルタ部29、フィルタ切替モータ31を有している。
【0025】
バックフォーカスモータ27は、カメラ制御部25に制御され、CCD21を光軸に沿って移動してバックフォーカスを調整する。バックフォーカスは、レンズ7(より詳細には、レンズ7を構成するレンズ群のうちの最終のレンズ)から焦点までの距離である。
【0026】
フィルタ部29は、カラー撮影用のフィルタと白黒/IR撮影用のフィルタであり、これらフィルタはフィルタ切替モータ31によって切り替えられる。フィルタ切替モータ31もカメラ制御部25により制御される。カメラ制御部25は、フィルタ切替モータ31を制御してフィルタを切り替えると同時に、バックフォーカスモータ27を制御してバックフォーカスを調整するように構成されている。
【0027】
ドーム型監視カメラ装置1は、さらに、絞り部33および絞り調整モータ35を有している。絞り部33および絞り調整モータ35は、レンズ機能の一部であり、図示のようにレンズ7と共に設けられ、レンズ7と共にレンズユニットを構成する。絞り部33はレンズ7の鏡筒に設けられたアイリスで構成されている。絞り調整モータ35はカメラ制御部25に制御されて、絞り部33を駆動して絞りを調整する。カメラ制御部25は、カメラ回路23から入力される光量に基づいて絞りを決定し、絞り調整モータ35を制御する。
【0028】
ドーム型監視カメラ装置1は、さらに、本実施の形態の特徴的な構成として、カバーパラメータ検出部37を備えている。カバーパラメータ検出部37は、ドームカバー5が装着されたこと(ドームカバー5の有無)を検出し、さらに、ドームカバー5の光路長影響カバーパラメータ(以下、カバーパラメータという)を検出する。カバーパラメータは、監視カメラ3の光路長を増減するドームカバー仕様を表すパラメータである。本実施の形態の場合、カバーパラメータは、ドームカバー5の材質である。
【0029】
カメラ制御部25は、本発明の調整手段として機能し、ドームカバー5が装着されてカバーパラメータがカバーパラメータ検出部37により検出されたときに、検出されたカバーパラメータに応じてフォーカスを調整し、これにより、カバーパラメータに応じた光路差の補正を行う。本実施の形態では、カメラ制御部25は、カバーパラメータに応じてバックフォーカスモータ27を制御してバックフォーカスを調整し、これによりフォーカス調整を行うように構成されている。
【0030】
カメラ制御部25は、さらに、絞り値に応じてもバックフォーカスモータ27を制御してバックフォーカスを調整する。前述したように、カメラ制御部25は、カメラ回路23から入力される光量に基づいて絞りを決定し、絞り調整モータ35を制御する。このとき、カメラ制御部25は、絞り調整モータ35を制御するだけでなく、絞り値に応じてバックフォーカスモータ27を制御するように構成されている。
【0031】
さらに、カメラ制御部25は、撮影画像の色温度に応じてもバックフォーカスモータ27を制御してバックフォーカス調整を行うように構成されている。色温度は前述したようにカメラ回路23から供給される。
【0032】
カメラ制御部25は、上述のようにバックフォーカスを調整することによって監視カメラ3のフォーカス調整を行うことができる。バックフォーカス調整機構は、元々は、フィルタ切替に伴う調整機構として設けられている。本実施の形態では、このバックフォーカス調整機構が活用されて、カバー装着時にカバーパラメータに応じてフォーカスが調整され、また、絞り値および色温度に応じてもフォーカスが調整される。
【0033】
図3は、カバーパラメータ検出部37の構成例を示している。図3では、ドームカバー5が、カバーパラメータに応じて異なる形状の突起41を有している。突起41は導電膜で覆われている。監視カメラ3には、適当な間隔で端子43が配列されている。端子43は例えば監視カメラ3のベース9に設けられており、カメラ制御部25に接続されている。ドームカバー5が監視カメラ3に取り付けられると、突起41が端子43に接触し、接触を示す信号がカメラ制御部25に入力され、これによりドームカバー5の装着が検出される。そして、カメラ制御部25は、端子43からの信号を基に、カバーパラメータを特定する。突起41と接触した端子43の位置と数から、カバーパラメータが特定される。
【0034】
図4は、カバーパラメータに応じて光路長が変化する様子の一例を示している。図4では、カバーパラメータがカバー材質であり、カバー材質は、カバー材質は、アクリル、合成石英(ガラス)、シクロオレフィンポリマー(例えばZeonex(登録商標))、ポリカーボネイトの4種である。その他の条件としては、CCD21のサイズが1/3インチであり、レンズ7はバリフォーカルレンズであり、ドーム半径は45mmである。
【0035】
図4において、光路長の変化量は、カバー無し状態における光路長と、各材質のカバーを装着したときの光路長との差分である。具体的には、アクリル、合成石英、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネイトの変化量は、それぞれ、38.3μm、39.7μm、40.2μm、43.2μmである。
【0036】
カメラ制御部25は、図4の変化量をバックフォーカス補正量として記憶している。そして、カメラ制御部25は、検出されたカバー材質に対応する補正量だけバックフォーカスを補正する。
【0037】
図5は、絞り値に応じて光路長が変化する様子の一例を示しており、他の条件は図4の例と概ね同様である。図5は、絞り値F2.8、F5.8、F11.2の場合の光路長を示している。図5において、光路長の変化量は、絞り値F2.8を基準としたときの各絞り値の光路長であり、すなわち、各絞り値と基準絞り値F2.8の光路長の差分である。具体的には、絞り値F2.8、F5.6、F11.2の変化量は、それぞれ、0μm、12.9μm、18.4μmであり、図示のように、絞り値が大きいほど、光路長が長くなり、変化量も大きくなる。
【0038】
カメラ制御部25は、図5の変化量をバックフォーカス補正量として記憶している。そして、カメラ制御部25は、絞り値に対応する補正量だけバックフォーカスを補正する。より詳細には、絞り値がF2.8の場合には、補正量が0であり、カメラ制御部25はバックフォーカスを補正しない。絞り値がF5.8、F11.2の場合は、カメラ制御部25は、絞り値に応じた補正量だけバックフォーカスを補正する。
【0039】
図6は、色温度に応じて光路長が変化する様子の一例を示しており、他の条件は図4の例と概ね同様である。図6は、色温度400〜600nm、600〜800nm、800〜1000nmの場合の光路長を示している。図6において、光路長の変化量は、色温度400〜600nmを基準としたときの各色温度の光路長であり、すなわち、各色温度と基準色温度400〜600nmの光路長の差分である。具体的には、色温度400〜600nm、600〜800nm、800〜1000nmの変化量は、それぞれ、0μm、50.9μm、95.2μmであり、図示のように、色温度の数値が大きいほど、光路長が長くなり、変化量も大きくなる。
【0040】
カメラ制御部25は、図6の変化量をバックフォーカス補正量として記憶している。そして、カメラ制御部25は、色温度に対応する補正量だけバックフォーカスを補正する。より詳細には、色温度が400〜600nmの場合には、補正量が0であり、カメラ制御部25はバックフォーカスを補正しない。色温度が600〜800nm、800〜1000nmの場合は、カメラ制御部25は、色温度に応じた補正量だけバックフォーカスを補正する。
【0041】
以上に本実施の形態に係るドーム型監視カメラ装置1の構成について説明した。次に、ドーム型監視カメラ装置1の動作について説明する。ドーム型監視カメラ装置1を設置するときは、まず、ドームカバー5を外した状態で、監視カメラ3のベース部9が天井等の設置場所に固定される。そして、レンズ7が手動でパン方向およびチルト方向に回動されて、監視撮影方向へ向けられる。さらに、フォーカスリング11とズームリング13が手動で回動されて、フォーカス調整とズーム調整が行われる。これらの調整が完了した後、調整機構が固定され、ドームカバー5が監視カメラ3に被せられる。
【0042】
ドームカバー5が取り付けられると、カバー装着とカバーパラメータがカバーパラメータ検出部37に検出される。カメラ制御部25は、カバーパラメータに応じてバックフォーカスモータ27を制御し、バックフォーカスを調整する。本実施の形態では、カバーパラメータは上述のようにカバー材質である。カメラ制御部25は、図4を用いて説明したように、バックフォーカスモータ27を制御し、カバー材質に対応する補正量だけCCD21を光軸方向に移動させて、バックフォーカスを調整する。このようにして、ドームカバー5を装着した状態で、カバーパラメータに応じてフォーカス調整を行える。
【0043】
ドームカバー5が取り付けられてカメラ設置作業が完了すると、監視カメラ3の監視撮影動作が開始する。CCD21は、レンズ7により形成される像を電気的な画像信号に変換し、カメラ回路23に出力する。カメラ回路23は、画像信号を処理して映像信号をモニターに向けて出力する。また、カメラ回路23は、画像信号から光量と色温度を算出して、これらのデータをカメラ制御部25に出力する。
【0044】
カメラ制御部25は、カメラ回路23から入力される光量に基づいて絞りを決定し、絞り調整モータ35を制御する。このとき、カメラ制御部25は、絞り調整モータ35を制御するだけでなく、絞り値に応じてバックフォーカスモータ27を制御する。カメラ制御部25は、図5を用いて説明したように、バックフォーカスモータ27を制御し、絞り値に対応する補正量だけCCD21を光軸方向に移動させて、バックフォーカスを調整する。
【0045】
さらに、カメラ制御部25は、カメラ回路23から入力される色温度に応じてもバックフォーカスモータ27を制御する。カメラ制御部25は、図6を用いて説明したように、バックフォーカスモータ27を制御し、色温度に対応する補正量だけCCD21を光軸方向に移動させて、バックフォーカスを調整する。
【0046】
以上に、本実施の形態に係るドーム型監視カメラ装置1の動作を説明した。次に、図7を参照し、本実施の形態の利点について説明する。
【0047】
図7は、フォーカス合せ位置に応じたフォーカス合焦度の例を示している。横軸がフォーカス合せ位置であり、縦軸がフォーカス合焦度である。フォーカス合焦度が大きいほど、画像がシャープである。ここでは、フォーカス合焦度が最大になるフォーカス合せ位置を含む約20μm(±10μm)の範囲をフォーカス合焦範囲とする。
【0048】
さて、本実施の形態では、レンズ7がバリフォーカルレンズであり、フォーカス調整が、ドームカバー5の装着前に、フォーカスリング11を使用して手動で行われる。これにより、図7の例に示されるように、カバー装着前の初期設定位置はフォーカス合焦範囲に入っている。しかし、ドームカバー5を取り付けると、カバーパラメータに応じて光路長が変化し、その結果、フォーカス合せ位置がフォーカス合焦範囲から外れてしまい、ボケが生じる可能性がある。本実施の形態では、上記のような現象を考慮し、ドームカバー5が装着されたときに光路長の変化を吸収するようにバックフォーカスを調整するので、焦点が合わなくなるのを防ぐことができる。
【0049】
次に、上記の実施の形態の各種応用例および変形例について説明する。
【0050】
まず、上記の実施の形態では、カバーパラメータがカバー材質であった。しかし、カバーパラメータは、カバー材質以外でもよい。その他のカバーパラメータは、例えば、下記に説明されるカバー厚さまたはカバー透過率である。
【0051】
図8は、カバーパラメータがカバー厚さである場合の、カバーパラメータに応じて光路長が変化する様子の一例を示しており、他の条件は図4の例と概ね同様である。また、図8の例ではカバー材質がシクロオレフィンポリマーである。図8において、光路長の変化量は、カバー厚さが0mmのとき(カバー無し状態)の光路長と、各カバー厚さにおける光路長との差分である。図示のように、ドームカバー5が厚いほど、光路長が長くなり、変化量も大きくなる。
【0052】
カバーパラメータがカバー厚さの場合、ドームカバー5はカバー厚さに応じて異なる突起41を有しており、この突起41を利用してカバーパラメータ検出部37によりカバー厚さが検出される(図2参照)。カメラ制御部25は、図8の変化量をバックフォーカス補正量として記憶している。そして、カメラ制御部25は、カバー装着とカバー厚さが検出されると、検出されたカバー厚さに対応する補正量だけバックフォーカスを補正する。
【0053】
図9は、カバーパラメータがカバー透過率である場合の、カバーパラメータに応じて光路長が変化する様子の一例を示しており、他の条件は図4の例と概ね同様である。カバー透過率1は、透明なカバーの値であり、カバー透過率1/4、1/16は、スモークタイプ等の半透明のカバーの値である。図8において、光路長の変化量は、カバー透過率1を基準としたときの各カバー透過率の光路長であり、すなわち、各カバー透過率と基準透過率1の光路長の差分である。具体的には、カバー透過率1、1/4、1/16の光路変化量は、それぞれ、0μm、12.9μm、18.4μmであり、図示のように、カバー透過率が低いほど、光路長が長くなり、変化量も大きくなる。
【0054】
カバーパラメータがカバー透過率の場合、ドームカバー5はカバー透過率に応じて異なる突起41を有しており、この突起41を利用してカバーパラメータ検出部37によりカバー透過率が検出される(図2参照)。カメラ制御部25は、図9の変化量をバックフォーカス補正量として記憶している。そして、カメラ制御部25は、カバー装着とカバー透過率が検出されると、検出されたカバー透過率に対応する補正量だけバックフォーカスを補正する。
【0055】
なお、カバーパラメータとして、複数のパラメータが検出されてもよい。例えば、上記の3つのカバーパラメータのうちの2つ以上が検出される。そして、複数のパラメータの各々に応じてバックフォーカスが調整されてよい。これにより、さらにフォーカス調整の精度を向上することができる。
【0056】
次に、バックフォーカス調整機構の変形例について説明する。上述の実施の形態では、マイクロコンピュータであるカメラ制御部25の制御下でバックフォーカスモータ27が駆動されて、バックフォーカスが電気的に調整された。下記の変形例では、ドームカバーがカバーパラメータに応じたパラメータ対応形状部分を有しており、パラメータ対応形状部分に応じて撮像素子の位置が光軸方向に変更する機械的な機構が監視カメラ3に設けられて、バックフォーカスが機械的に調整される。パラメータ対応形状部分は上述の実施の形態と同じようなカバー突起でよい。
【0057】
図10および図11は、上述した機械的な調整機構を示している。ここでは、図10および図11における下方を「前方」といい、上方を「後方」という。後方向は、ドーム天頂からドーム中心を通りカメラ設置面へ向かう方向である。また、図10および図11における水平方向、すなわち、前後方向と垂直な方向を「横方向」という。
【0058】
図示のように、CCD21の背面側には第1従動片51が固定されている。第1従動片51は、第1カム53の傾斜面と接しており、かつ、第1カム53に向けて後方に付勢されている。付勢部材は図示されていないが、例えばバネ等の弾性部材である。第1カム53は横方向にスライド可能に設けられている。
【0059】
第1カム53は監視カメラ3のチルト軸上に配置されている。第1カム53にはワイヤ55の一端が接続されている。ワイヤ55は、第1カム53からチルト軸に沿って延び、それから曲がり、さらに、監視カメラ3をチルト回動可能に支持する支持部材に沿って後方に向かって延びている。
【0060】
ワイヤ55の先端は、第2従動片57に取り付けられている。第2従動片57は、後方へ向けて付勢されており、第2カム59の傾斜面に接している。第2従動片57の付勢部材も図示されていないが、例えばバネ等の弾性部材である。第2カム59は横方向にスライド可能に設けられている。
【0061】
ドームカバー5は、図示のように端面に突起61を有している。突起61は、パラメータ対応形状部分に相当しており、突起61の位置が、カバーパラメータに応じて異なっている。
【0062】
ドームカバー5を監視カメラ3に取り付けるとき、ドームカバー5がドーム中心軸を中心に手動で回動されて、監視カメラ3の取付位置に配置され、固定される。取付過程の回動動作で、突起61が第2カム59を押し、第2カム59が横方向にスライドし、第2カム59の斜面と第2従動片57の接触位置が変わり、第2従動片57が後方に移動する。これにより、ワイヤ55が引っ張られ、第1カム53がチルト軸方向にスライドする。そして、第1カム53の斜面と第1従動片51の接触位置が変わり、第1従動片59が後方に移動し、第1従動片59と共にCCD21も後方に移動する。
【0063】
ここで、上述したように、突起61の位置が、カバーパラメータに応じて異なっている。したがって、カバーパラメータに応じて第2カム59のスライド量が変わり、第2従動片57の移動量が変わり、第1カム53のスライド量が変わり、第1従動片51の移動量が変わり、CCD21の光軸に沿った移動量も変わる。こうして、カバーパラメータに応じたバックフォーカスの調整を、カバー装着状態でカバー外から手で触れることになく行うことができる。
【0064】
以上に本発明の実施の形態に係るドーム型監視カメラ装置1について説明した。上述したように、本実施の形態によれば、ドームカバー5の装着による光路長の変化を補正するように監視カメラ3のフォーカスをカバー装着状態で調整するので、ドームカバー5に起因する光路長の変化によるフォーカスのずれを低減することができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、監視カメラ3の光路長を増減するドームカバー仕様を表す光路長影響カバーパラメータに応じて監視カメラ3のフォーカスをカバー装着状態で調整するので、ドームカバー仕様に起因する光路長の変化によるフォーカスのずれを低減することができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、図4を参照して説明したように、光路長影響カバーパラメータとして、例えばドームカバー5の材質が用いられ、これにより、ドームカバー5の材質の相違に応じた光路長の変化によるフォーカスのずれを低減できる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、図8を参照して説明したように、光路長影響カバーパラメータとして、ドームカバー5の厚さが用いられてよく、これにより、ドームカバー5の厚さの相違に応じた光路長の変化によるフォーカスのずれを低減できる。例えば、バンダルプルーフの観点で厚さの大きいカバーが使用されるときにも、フォーカスを好適に合わせることができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、図9を参照して説明したように、光路長影響カバーパラメータとして、ドームカバー5の透過率が用いられてよく、これにより、ドームカバー5の透過率の相違に応じた光路長の変化によるフォーカスのずれを低減できる。カバー内の監視カメラを外から見えにくくするためにスモークタイプのカバーが用いられるときにも、フォーカスを好適に合わせることができる。
【0069】
また、本実施の形態のドーム型監視カメラ装置1は、光路長影響カバーパラメータを検出する検出手段を含み、調整手段が、検出手段により検出される光路長影響パラメータに応じて監視カメラの撮像素子の位置を変更することによってバックフォーカスを調整し、これにより、光路長影響カバーパラメータに応じて好適にフォーカス調整を行うことができる。検出手段および調整手段は、上記の例では、図1におけるカバーパラメータ検出部37およびカメラ制御部25である。
【0070】
また、本実施の形態は、さらに、監視カメラ3の絞り値に応じてバックフォーカスを調整しており、これにより、照度変化に伴う絞り値の変化による光路長の変化を吸収して、さらにフォーカスのずれを低減できる。
【0071】
また、本実施の形態は、さらに、監視カメラ3の撮影画像の色温度に応じてバックフォーカスを調整しており、これにより、色温度の変化による光路長の変化を吸収して、さらにフォーカスのずれを低減できる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、図10および図11を参照して説明したように、ドームカバー5は、光路長影響カバーパラメータに応じたパラメータ対応形状部分を有してよく、調整手段は、パラメータ対応形状部分の形状に応じて監視カメラ3の撮像素子の位置を機械的に変更することによってバックフォーカスを調整する手段であってよい。このような機械的な構成によっても、光路長影響カバーパラメータに応じて好適にフォーカス調整を行うことができる。
【0073】
なお、上記の実施の形態は、撮像素子を移動してバックフォーカスが調整され、これにより、フォーカス調整が行われた。しかし、本発明の範囲内で、レンズを移動することによってフォーカス調整が行われてもよい。
【0074】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明した。しかし、本発明は上述の実施の形態に限定されず、当業者が本発明の範囲内で上述の実施の形態を変形可能なことはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように、本発明にかかるドーム型監視カメラ装置は、ドームカバーによる光路長の変化を補正するように監視カメラのフォーカスをカバー装着状態で調整する構成を設けたので、ドームカバーに起因する光路長の変化によるフォーカスのずれを低減できるという効果を有し、監視カメラ装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態におけるドーム型監視カメラ装置のブロック図
【図2】ドーム型監視カメラ装置の模式的な断面図
【図3】カバーパラメータ検出部の例を示す図
【図4】カバーパラメータの一つであるカバー材質に応じた光路長の変化を示す図
【図5】絞り値に応じた光路長の変化を示す図
【図6】色温度に応じた光路長の変化を示す図
【図7】フォーカス合せ位置とフォーカス合焦度の関係を示す図
【図8】カバーパラメータの一つであるカバー厚さに応じた光路長の変化を示す図
【図9】カバーパラメータの一つであるカバー透過率に応じた光路長の変化を示す図
【図10】カバーパラメータに応じてバックフォーカスを調整する機械的調整機構を示す図
【図11】カバーパラメータに応じてバックフォーカスを調整する機械的調整機構を示す図
【符号の説明】
【0077】
1 ドーム型監視カメラ装置
3 監視カメラ
5 ドームカバー
7 レンズ
21 CCD
23 カメラ回路
25 カメラ制御部
27 バックフォーカスモータ
29 フィルタ
31 フィルタ切替モータ
33 絞り部
35 絞り調整モータ
37 カバーパラメータ検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォーカス精度を向上できるドーム型監視カメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドーム型監視カメラ装置は、監視カメラをドームカバー内に収容した構成を有しており、監視カメラがドームカバーを通して監視対象を撮影する(例えば特許文献1)。
【0003】
従来の監視カメラ装置は、バックフォーカス調整、ズーム調整およびフォーカス調整の機構を備えている。カメラ設置時は、ドームカバーが外されて、各種調整機構が操作されて、バックフォーカス調整、ズーム調整およびフォーカス調整が行われる。バックフォーカス調整では撮像素子が動かされ、フォーカス調整ではレンズが動かされる。バックフォーカス調整もフォーカス調整の一種である。これらの調整が完了した後、調整機構が固定され、ドームカバーが被せられ、設置作業が完了する。
【0004】
ドームカバーには複数の種類があり、ドームカバーの種類によって材質、厚さ、透過率といった仕様が異なる。例えば、カバー内の監視カメラを外から見えにくくするために、透過率の低いスモークタイプのカバーが用いられる。また、バンダルプルーフの観点からは、厚さの大きいタイプのカバーが有用である。
【特許文献1】特開2004−356669号公報(図1、2等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のドーム型監視カメラ装置は、設置作業の最後にドームカバーが被せられたときに、ドームカバーの有無およびドームカバー仕様に応じて光路長が変化し、フォーカス位置が微小に変わり、そのためにフォーカスがずれてしまうという問題があった。光路長を変化させるドームカバー仕様は、例えば材質、厚さまたは透過率である。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ドームカバーに起因する光路長の変化によるフォーカスのずれを低減できるドーム型監視カメラ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明ドーム型監視カメラ装置は、監視カメラと、前記監視カメラを覆うドームカバーと、前記ドームカバーが装着されたときに、前記ドームカバーによる光路長の変化を補正するように前記監視カメラのフォーカスをカバー装着状態で調整する調整手段とを備えている。
【0008】
この構成により、ドームカバーによる光路長の変化を補正するように監視カメラのフォーカスをカバー装着状態で調整するので、ドームカバーに起因する光路長の変化によるフォーカスのずれを低減することができる。
【0009】
本発明のドーム型監視カメラ装置において、前記調整手段は、前記監視カメラの光路長を増減するドームカバー仕様を表す光路長影響カバーパラメータに応じて前記監視カメラのフォーカスをカバー装着状態で調整する。
【0010】
この構成により、監視カメラの光路長を増減するドームカバー仕様を表す光路長影響カバーパラメータに応じて監視カメラのフォーカスをカバー装着状態で調整するので、ドームカバー仕様に起因する光路長の変化によるフォーカスのずれを低減することができる。
【0011】
本発明のドーム型監視カメラ装置において、前記光路長影響カバーパラメータは、前記ドームカバーの材質を含む。この構成により、ドームカバーの材質の相違に応じた光路長の変化によるフォーカスのずれを低減できる。
【0012】
また、本発明のドーム型監視カメラ装置において、前記光路長影響カバーパラメータは、前記ドームカバーの厚さを含む。この構成により、ドームカバーの厚さの相違に応じた光路長の変化によるフォーカスのずれを低減できる。
【0013】
また、本発明のドーム型監視カメラ装置において、前記光路長影響カバーパラメータは、前記ドームカバーの透過率を含む。この構成により、ドームカバーの透過率の相違に応じた光路長の変化によるフォーカスのずれを低減できる。
【0014】
また、本発明のドーム型監視カメラ装置は、前記光路長影響カバーパラメータを検出する検出手段を含み、前記調整手段は、前記検出手段により検出される前記光路長影響パラメータに応じて前記監視カメラの撮像素子の位置を変更することによってバックフォーカスを調整する手段である。この構成により、光路長影響カバーパラメータに応じて好適にフォーカス調整を行うことができる。
【0015】
また、本発明のドーム型監視カメラ装置において、前記調整手段は、さらに、前記監視カメラの絞り値に応じて前記バックフォーカスを調整する。この構成により、照度変化に伴う絞り値の変化による光路長の変化を吸収して、さらにフォーカスのずれを低減できる。
【0016】
また、本発明のドーム型監視カメラ装置において、前記調整手段は、さらに、前記監視カメラの撮影画像の色温度に応じて前記バックフォーカスを調整する。この構成により、色温度の変化による光路長の変化を吸収して、さらにフォーカスのずれを低減できる。
【0017】
また、本発明のドーム型監視カメラ装置において、前記ドームカバーは、前記光路長影響カバーパラメータに応じたパラメータ対応形状部分を有し、前記調整手段は、前記パラメータ対応形状部分の形状に応じて前記監視カメラの撮像素子の位置を機械的に変更することによってバックフォーカスを調整する手段である。この構成により、光路長影響カバーパラメータに応じて好適にフォーカス調整を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、ドームカバーによる光路長の変化を補正するように監視カメラのフォーカスをカバー装着状態で調整する構成を設けたので、ドームカバーに起因する光路長の変化によるフォーカスのずれを低減できるという効果を有するドーム型監視カメラ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係るドーム型監視カメラ装置について、図面を用いて説明する。
【0020】
本発明の実施の形態に係るドーム型監視カメラ装置を図1および図2に示す。まず、図2の断面模式図を参照すると、ドーム型監視カメラ装置1は、カメラ本体としての監視カメラ3と、監視カメラ3を覆うドームカバー5とを備えている。
【0021】
監視カメラ3においては、レンズ7がベース9に、パン方向およびチルト方向に手動で回動可能に備えられている。レンズ7はバリフォーカルレンズであり、フォーカスリング11とズームリング13を有している。フォーカスリング11およびズームリング13は、ドームカバー5の装着前の状態でフォーカス調整とズーム調整を手動で行う手段である。また、ドームカバー5は、透明または半透明の半球状のカバーであり、ドームカバー5を通して監視カメラ3により監視映像が撮影される。
【0022】
図1は、ドーム型監視カメラ装置1の機能ブロック図である。図1において、ドームカバー5以外の構成は概ね監視カメラ3に備えられている。図1に示すように、ドーム型監視カメラ装置1は、画像信号を生成するCCD21と、画像信号を処理するカメラ回路23と、カメラ全体を制御するマイクロコンピュータであるカメラ制御部25とを有する。
【0023】
CCD21は撮像素子の一例であり、レンズ7の光軸上に備えられており、レンズ7により形成される像を電気的な画像信号に変換する。カメラ回路23は、画像信号を処理して映像信号をモニターに向けて出力する。また、カメラ回路23は、画像信号から光量と色温度推定値を算出して、これらのデータをカメラ制御部25に出力する。色温度の演算はカメラ制御部25で行われてもよい。
【0024】
ドーム型監視カメラ装置1は、さらに、バックフォーカスモータ27、フィルタ部29、フィルタ切替モータ31を有している。
【0025】
バックフォーカスモータ27は、カメラ制御部25に制御され、CCD21を光軸に沿って移動してバックフォーカスを調整する。バックフォーカスは、レンズ7(より詳細には、レンズ7を構成するレンズ群のうちの最終のレンズ)から焦点までの距離である。
【0026】
フィルタ部29は、カラー撮影用のフィルタと白黒/IR撮影用のフィルタであり、これらフィルタはフィルタ切替モータ31によって切り替えられる。フィルタ切替モータ31もカメラ制御部25により制御される。カメラ制御部25は、フィルタ切替モータ31を制御してフィルタを切り替えると同時に、バックフォーカスモータ27を制御してバックフォーカスを調整するように構成されている。
【0027】
ドーム型監視カメラ装置1は、さらに、絞り部33および絞り調整モータ35を有している。絞り部33および絞り調整モータ35は、レンズ機能の一部であり、図示のようにレンズ7と共に設けられ、レンズ7と共にレンズユニットを構成する。絞り部33はレンズ7の鏡筒に設けられたアイリスで構成されている。絞り調整モータ35はカメラ制御部25に制御されて、絞り部33を駆動して絞りを調整する。カメラ制御部25は、カメラ回路23から入力される光量に基づいて絞りを決定し、絞り調整モータ35を制御する。
【0028】
ドーム型監視カメラ装置1は、さらに、本実施の形態の特徴的な構成として、カバーパラメータ検出部37を備えている。カバーパラメータ検出部37は、ドームカバー5が装着されたこと(ドームカバー5の有無)を検出し、さらに、ドームカバー5の光路長影響カバーパラメータ(以下、カバーパラメータという)を検出する。カバーパラメータは、監視カメラ3の光路長を増減するドームカバー仕様を表すパラメータである。本実施の形態の場合、カバーパラメータは、ドームカバー5の材質である。
【0029】
カメラ制御部25は、本発明の調整手段として機能し、ドームカバー5が装着されてカバーパラメータがカバーパラメータ検出部37により検出されたときに、検出されたカバーパラメータに応じてフォーカスを調整し、これにより、カバーパラメータに応じた光路差の補正を行う。本実施の形態では、カメラ制御部25は、カバーパラメータに応じてバックフォーカスモータ27を制御してバックフォーカスを調整し、これによりフォーカス調整を行うように構成されている。
【0030】
カメラ制御部25は、さらに、絞り値に応じてもバックフォーカスモータ27を制御してバックフォーカスを調整する。前述したように、カメラ制御部25は、カメラ回路23から入力される光量に基づいて絞りを決定し、絞り調整モータ35を制御する。このとき、カメラ制御部25は、絞り調整モータ35を制御するだけでなく、絞り値に応じてバックフォーカスモータ27を制御するように構成されている。
【0031】
さらに、カメラ制御部25は、撮影画像の色温度に応じてもバックフォーカスモータ27を制御してバックフォーカス調整を行うように構成されている。色温度は前述したようにカメラ回路23から供給される。
【0032】
カメラ制御部25は、上述のようにバックフォーカスを調整することによって監視カメラ3のフォーカス調整を行うことができる。バックフォーカス調整機構は、元々は、フィルタ切替に伴う調整機構として設けられている。本実施の形態では、このバックフォーカス調整機構が活用されて、カバー装着時にカバーパラメータに応じてフォーカスが調整され、また、絞り値および色温度に応じてもフォーカスが調整される。
【0033】
図3は、カバーパラメータ検出部37の構成例を示している。図3では、ドームカバー5が、カバーパラメータに応じて異なる形状の突起41を有している。突起41は導電膜で覆われている。監視カメラ3には、適当な間隔で端子43が配列されている。端子43は例えば監視カメラ3のベース9に設けられており、カメラ制御部25に接続されている。ドームカバー5が監視カメラ3に取り付けられると、突起41が端子43に接触し、接触を示す信号がカメラ制御部25に入力され、これによりドームカバー5の装着が検出される。そして、カメラ制御部25は、端子43からの信号を基に、カバーパラメータを特定する。突起41と接触した端子43の位置と数から、カバーパラメータが特定される。
【0034】
図4は、カバーパラメータに応じて光路長が変化する様子の一例を示している。図4では、カバーパラメータがカバー材質であり、カバー材質は、カバー材質は、アクリル、合成石英(ガラス)、シクロオレフィンポリマー(例えばZeonex(登録商標))、ポリカーボネイトの4種である。その他の条件としては、CCD21のサイズが1/3インチであり、レンズ7はバリフォーカルレンズであり、ドーム半径は45mmである。
【0035】
図4において、光路長の変化量は、カバー無し状態における光路長と、各材質のカバーを装着したときの光路長との差分である。具体的には、アクリル、合成石英、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネイトの変化量は、それぞれ、38.3μm、39.7μm、40.2μm、43.2μmである。
【0036】
カメラ制御部25は、図4の変化量をバックフォーカス補正量として記憶している。そして、カメラ制御部25は、検出されたカバー材質に対応する補正量だけバックフォーカスを補正する。
【0037】
図5は、絞り値に応じて光路長が変化する様子の一例を示しており、他の条件は図4の例と概ね同様である。図5は、絞り値F2.8、F5.8、F11.2の場合の光路長を示している。図5において、光路長の変化量は、絞り値F2.8を基準としたときの各絞り値の光路長であり、すなわち、各絞り値と基準絞り値F2.8の光路長の差分である。具体的には、絞り値F2.8、F5.6、F11.2の変化量は、それぞれ、0μm、12.9μm、18.4μmであり、図示のように、絞り値が大きいほど、光路長が長くなり、変化量も大きくなる。
【0038】
カメラ制御部25は、図5の変化量をバックフォーカス補正量として記憶している。そして、カメラ制御部25は、絞り値に対応する補正量だけバックフォーカスを補正する。より詳細には、絞り値がF2.8の場合には、補正量が0であり、カメラ制御部25はバックフォーカスを補正しない。絞り値がF5.8、F11.2の場合は、カメラ制御部25は、絞り値に応じた補正量だけバックフォーカスを補正する。
【0039】
図6は、色温度に応じて光路長が変化する様子の一例を示しており、他の条件は図4の例と概ね同様である。図6は、色温度400〜600nm、600〜800nm、800〜1000nmの場合の光路長を示している。図6において、光路長の変化量は、色温度400〜600nmを基準としたときの各色温度の光路長であり、すなわち、各色温度と基準色温度400〜600nmの光路長の差分である。具体的には、色温度400〜600nm、600〜800nm、800〜1000nmの変化量は、それぞれ、0μm、50.9μm、95.2μmであり、図示のように、色温度の数値が大きいほど、光路長が長くなり、変化量も大きくなる。
【0040】
カメラ制御部25は、図6の変化量をバックフォーカス補正量として記憶している。そして、カメラ制御部25は、色温度に対応する補正量だけバックフォーカスを補正する。より詳細には、色温度が400〜600nmの場合には、補正量が0であり、カメラ制御部25はバックフォーカスを補正しない。色温度が600〜800nm、800〜1000nmの場合は、カメラ制御部25は、色温度に応じた補正量だけバックフォーカスを補正する。
【0041】
以上に本実施の形態に係るドーム型監視カメラ装置1の構成について説明した。次に、ドーム型監視カメラ装置1の動作について説明する。ドーム型監視カメラ装置1を設置するときは、まず、ドームカバー5を外した状態で、監視カメラ3のベース部9が天井等の設置場所に固定される。そして、レンズ7が手動でパン方向およびチルト方向に回動されて、監視撮影方向へ向けられる。さらに、フォーカスリング11とズームリング13が手動で回動されて、フォーカス調整とズーム調整が行われる。これらの調整が完了した後、調整機構が固定され、ドームカバー5が監視カメラ3に被せられる。
【0042】
ドームカバー5が取り付けられると、カバー装着とカバーパラメータがカバーパラメータ検出部37に検出される。カメラ制御部25は、カバーパラメータに応じてバックフォーカスモータ27を制御し、バックフォーカスを調整する。本実施の形態では、カバーパラメータは上述のようにカバー材質である。カメラ制御部25は、図4を用いて説明したように、バックフォーカスモータ27を制御し、カバー材質に対応する補正量だけCCD21を光軸方向に移動させて、バックフォーカスを調整する。このようにして、ドームカバー5を装着した状態で、カバーパラメータに応じてフォーカス調整を行える。
【0043】
ドームカバー5が取り付けられてカメラ設置作業が完了すると、監視カメラ3の監視撮影動作が開始する。CCD21は、レンズ7により形成される像を電気的な画像信号に変換し、カメラ回路23に出力する。カメラ回路23は、画像信号を処理して映像信号をモニターに向けて出力する。また、カメラ回路23は、画像信号から光量と色温度を算出して、これらのデータをカメラ制御部25に出力する。
【0044】
カメラ制御部25は、カメラ回路23から入力される光量に基づいて絞りを決定し、絞り調整モータ35を制御する。このとき、カメラ制御部25は、絞り調整モータ35を制御するだけでなく、絞り値に応じてバックフォーカスモータ27を制御する。カメラ制御部25は、図5を用いて説明したように、バックフォーカスモータ27を制御し、絞り値に対応する補正量だけCCD21を光軸方向に移動させて、バックフォーカスを調整する。
【0045】
さらに、カメラ制御部25は、カメラ回路23から入力される色温度に応じてもバックフォーカスモータ27を制御する。カメラ制御部25は、図6を用いて説明したように、バックフォーカスモータ27を制御し、色温度に対応する補正量だけCCD21を光軸方向に移動させて、バックフォーカスを調整する。
【0046】
以上に、本実施の形態に係るドーム型監視カメラ装置1の動作を説明した。次に、図7を参照し、本実施の形態の利点について説明する。
【0047】
図7は、フォーカス合せ位置に応じたフォーカス合焦度の例を示している。横軸がフォーカス合せ位置であり、縦軸がフォーカス合焦度である。フォーカス合焦度が大きいほど、画像がシャープである。ここでは、フォーカス合焦度が最大になるフォーカス合せ位置を含む約20μm(±10μm)の範囲をフォーカス合焦範囲とする。
【0048】
さて、本実施の形態では、レンズ7がバリフォーカルレンズであり、フォーカス調整が、ドームカバー5の装着前に、フォーカスリング11を使用して手動で行われる。これにより、図7の例に示されるように、カバー装着前の初期設定位置はフォーカス合焦範囲に入っている。しかし、ドームカバー5を取り付けると、カバーパラメータに応じて光路長が変化し、その結果、フォーカス合せ位置がフォーカス合焦範囲から外れてしまい、ボケが生じる可能性がある。本実施の形態では、上記のような現象を考慮し、ドームカバー5が装着されたときに光路長の変化を吸収するようにバックフォーカスを調整するので、焦点が合わなくなるのを防ぐことができる。
【0049】
次に、上記の実施の形態の各種応用例および変形例について説明する。
【0050】
まず、上記の実施の形態では、カバーパラメータがカバー材質であった。しかし、カバーパラメータは、カバー材質以外でもよい。その他のカバーパラメータは、例えば、下記に説明されるカバー厚さまたはカバー透過率である。
【0051】
図8は、カバーパラメータがカバー厚さである場合の、カバーパラメータに応じて光路長が変化する様子の一例を示しており、他の条件は図4の例と概ね同様である。また、図8の例ではカバー材質がシクロオレフィンポリマーである。図8において、光路長の変化量は、カバー厚さが0mmのとき(カバー無し状態)の光路長と、各カバー厚さにおける光路長との差分である。図示のように、ドームカバー5が厚いほど、光路長が長くなり、変化量も大きくなる。
【0052】
カバーパラメータがカバー厚さの場合、ドームカバー5はカバー厚さに応じて異なる突起41を有しており、この突起41を利用してカバーパラメータ検出部37によりカバー厚さが検出される(図2参照)。カメラ制御部25は、図8の変化量をバックフォーカス補正量として記憶している。そして、カメラ制御部25は、カバー装着とカバー厚さが検出されると、検出されたカバー厚さに対応する補正量だけバックフォーカスを補正する。
【0053】
図9は、カバーパラメータがカバー透過率である場合の、カバーパラメータに応じて光路長が変化する様子の一例を示しており、他の条件は図4の例と概ね同様である。カバー透過率1は、透明なカバーの値であり、カバー透過率1/4、1/16は、スモークタイプ等の半透明のカバーの値である。図8において、光路長の変化量は、カバー透過率1を基準としたときの各カバー透過率の光路長であり、すなわち、各カバー透過率と基準透過率1の光路長の差分である。具体的には、カバー透過率1、1/4、1/16の光路変化量は、それぞれ、0μm、12.9μm、18.4μmであり、図示のように、カバー透過率が低いほど、光路長が長くなり、変化量も大きくなる。
【0054】
カバーパラメータがカバー透過率の場合、ドームカバー5はカバー透過率に応じて異なる突起41を有しており、この突起41を利用してカバーパラメータ検出部37によりカバー透過率が検出される(図2参照)。カメラ制御部25は、図9の変化量をバックフォーカス補正量として記憶している。そして、カメラ制御部25は、カバー装着とカバー透過率が検出されると、検出されたカバー透過率に対応する補正量だけバックフォーカスを補正する。
【0055】
なお、カバーパラメータとして、複数のパラメータが検出されてもよい。例えば、上記の3つのカバーパラメータのうちの2つ以上が検出される。そして、複数のパラメータの各々に応じてバックフォーカスが調整されてよい。これにより、さらにフォーカス調整の精度を向上することができる。
【0056】
次に、バックフォーカス調整機構の変形例について説明する。上述の実施の形態では、マイクロコンピュータであるカメラ制御部25の制御下でバックフォーカスモータ27が駆動されて、バックフォーカスが電気的に調整された。下記の変形例では、ドームカバーがカバーパラメータに応じたパラメータ対応形状部分を有しており、パラメータ対応形状部分に応じて撮像素子の位置が光軸方向に変更する機械的な機構が監視カメラ3に設けられて、バックフォーカスが機械的に調整される。パラメータ対応形状部分は上述の実施の形態と同じようなカバー突起でよい。
【0057】
図10および図11は、上述した機械的な調整機構を示している。ここでは、図10および図11における下方を「前方」といい、上方を「後方」という。後方向は、ドーム天頂からドーム中心を通りカメラ設置面へ向かう方向である。また、図10および図11における水平方向、すなわち、前後方向と垂直な方向を「横方向」という。
【0058】
図示のように、CCD21の背面側には第1従動片51が固定されている。第1従動片51は、第1カム53の傾斜面と接しており、かつ、第1カム53に向けて後方に付勢されている。付勢部材は図示されていないが、例えばバネ等の弾性部材である。第1カム53は横方向にスライド可能に設けられている。
【0059】
第1カム53は監視カメラ3のチルト軸上に配置されている。第1カム53にはワイヤ55の一端が接続されている。ワイヤ55は、第1カム53からチルト軸に沿って延び、それから曲がり、さらに、監視カメラ3をチルト回動可能に支持する支持部材に沿って後方に向かって延びている。
【0060】
ワイヤ55の先端は、第2従動片57に取り付けられている。第2従動片57は、後方へ向けて付勢されており、第2カム59の傾斜面に接している。第2従動片57の付勢部材も図示されていないが、例えばバネ等の弾性部材である。第2カム59は横方向にスライド可能に設けられている。
【0061】
ドームカバー5は、図示のように端面に突起61を有している。突起61は、パラメータ対応形状部分に相当しており、突起61の位置が、カバーパラメータに応じて異なっている。
【0062】
ドームカバー5を監視カメラ3に取り付けるとき、ドームカバー5がドーム中心軸を中心に手動で回動されて、監視カメラ3の取付位置に配置され、固定される。取付過程の回動動作で、突起61が第2カム59を押し、第2カム59が横方向にスライドし、第2カム59の斜面と第2従動片57の接触位置が変わり、第2従動片57が後方に移動する。これにより、ワイヤ55が引っ張られ、第1カム53がチルト軸方向にスライドする。そして、第1カム53の斜面と第1従動片51の接触位置が変わり、第1従動片59が後方に移動し、第1従動片59と共にCCD21も後方に移動する。
【0063】
ここで、上述したように、突起61の位置が、カバーパラメータに応じて異なっている。したがって、カバーパラメータに応じて第2カム59のスライド量が変わり、第2従動片57の移動量が変わり、第1カム53のスライド量が変わり、第1従動片51の移動量が変わり、CCD21の光軸に沿った移動量も変わる。こうして、カバーパラメータに応じたバックフォーカスの調整を、カバー装着状態でカバー外から手で触れることになく行うことができる。
【0064】
以上に本発明の実施の形態に係るドーム型監視カメラ装置1について説明した。上述したように、本実施の形態によれば、ドームカバー5の装着による光路長の変化を補正するように監視カメラ3のフォーカスをカバー装着状態で調整するので、ドームカバー5に起因する光路長の変化によるフォーカスのずれを低減することができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、監視カメラ3の光路長を増減するドームカバー仕様を表す光路長影響カバーパラメータに応じて監視カメラ3のフォーカスをカバー装着状態で調整するので、ドームカバー仕様に起因する光路長の変化によるフォーカスのずれを低減することができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、図4を参照して説明したように、光路長影響カバーパラメータとして、例えばドームカバー5の材質が用いられ、これにより、ドームカバー5の材質の相違に応じた光路長の変化によるフォーカスのずれを低減できる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、図8を参照して説明したように、光路長影響カバーパラメータとして、ドームカバー5の厚さが用いられてよく、これにより、ドームカバー5の厚さの相違に応じた光路長の変化によるフォーカスのずれを低減できる。例えば、バンダルプルーフの観点で厚さの大きいカバーが使用されるときにも、フォーカスを好適に合わせることができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、図9を参照して説明したように、光路長影響カバーパラメータとして、ドームカバー5の透過率が用いられてよく、これにより、ドームカバー5の透過率の相違に応じた光路長の変化によるフォーカスのずれを低減できる。カバー内の監視カメラを外から見えにくくするためにスモークタイプのカバーが用いられるときにも、フォーカスを好適に合わせることができる。
【0069】
また、本実施の形態のドーム型監視カメラ装置1は、光路長影響カバーパラメータを検出する検出手段を含み、調整手段が、検出手段により検出される光路長影響パラメータに応じて監視カメラの撮像素子の位置を変更することによってバックフォーカスを調整し、これにより、光路長影響カバーパラメータに応じて好適にフォーカス調整を行うことができる。検出手段および調整手段は、上記の例では、図1におけるカバーパラメータ検出部37およびカメラ制御部25である。
【0070】
また、本実施の形態は、さらに、監視カメラ3の絞り値に応じてバックフォーカスを調整しており、これにより、照度変化に伴う絞り値の変化による光路長の変化を吸収して、さらにフォーカスのずれを低減できる。
【0071】
また、本実施の形態は、さらに、監視カメラ3の撮影画像の色温度に応じてバックフォーカスを調整しており、これにより、色温度の変化による光路長の変化を吸収して、さらにフォーカスのずれを低減できる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、図10および図11を参照して説明したように、ドームカバー5は、光路長影響カバーパラメータに応じたパラメータ対応形状部分を有してよく、調整手段は、パラメータ対応形状部分の形状に応じて監視カメラ3の撮像素子の位置を機械的に変更することによってバックフォーカスを調整する手段であってよい。このような機械的な構成によっても、光路長影響カバーパラメータに応じて好適にフォーカス調整を行うことができる。
【0073】
なお、上記の実施の形態は、撮像素子を移動してバックフォーカスが調整され、これにより、フォーカス調整が行われた。しかし、本発明の範囲内で、レンズを移動することによってフォーカス調整が行われてもよい。
【0074】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明した。しかし、本発明は上述の実施の形態に限定されず、当業者が本発明の範囲内で上述の実施の形態を変形可能なことはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように、本発明にかかるドーム型監視カメラ装置は、ドームカバーによる光路長の変化を補正するように監視カメラのフォーカスをカバー装着状態で調整する構成を設けたので、ドームカバーに起因する光路長の変化によるフォーカスのずれを低減できるという効果を有し、監視カメラ装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態におけるドーム型監視カメラ装置のブロック図
【図2】ドーム型監視カメラ装置の模式的な断面図
【図3】カバーパラメータ検出部の例を示す図
【図4】カバーパラメータの一つであるカバー材質に応じた光路長の変化を示す図
【図5】絞り値に応じた光路長の変化を示す図
【図6】色温度に応じた光路長の変化を示す図
【図7】フォーカス合せ位置とフォーカス合焦度の関係を示す図
【図8】カバーパラメータの一つであるカバー厚さに応じた光路長の変化を示す図
【図9】カバーパラメータの一つであるカバー透過率に応じた光路長の変化を示す図
【図10】カバーパラメータに応じてバックフォーカスを調整する機械的調整機構を示す図
【図11】カバーパラメータに応じてバックフォーカスを調整する機械的調整機構を示す図
【符号の説明】
【0077】
1 ドーム型監視カメラ装置
3 監視カメラ
5 ドームカバー
7 レンズ
21 CCD
23 カメラ回路
25 カメラ制御部
27 バックフォーカスモータ
29 フィルタ
31 フィルタ切替モータ
33 絞り部
35 絞り調整モータ
37 カバーパラメータ検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視カメラと、
前記監視カメラを覆うドームカバーと、
前記ドームカバーが装着されたときに、前記ドームカバーによる光路長の変化を補正するように前記監視カメラのフォーカスをカバー装着状態で調整する調整手段と、
を備えたことを特徴とするドーム型監視カメラ装置。
【請求項2】
前記調整手段は、前記監視カメラの光路長を増減するドームカバー仕様を表す光路長影響カバーパラメータに応じて前記監視カメラのフォーカスをカバー装着状態で調整することを特徴とする請求項1に記載のドーム型監視カメラ装置。
【請求項3】
前記光路長影響カバーパラメータは、前記ドームカバーの材質を含むことを特徴とする請求項2に記載のドーム型監視カメラ装置。
【請求項4】
前記光路長影響カバーパラメータは、前記ドームカバーの厚さを含むことを特徴とする請求項2または3に記載のドーム型監視カメラ装置。
【請求項5】
前記光路長影響カバーパラメータは、前記ドームカバーの透過率を含むことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のドーム型監視カメラ装置。
【請求項6】
前記光路長影響カバーパラメータを検出する検出手段を含み、
前記調整手段は、前記検出手段により検出される前記光路長影響パラメータに応じて前記監視カメラの撮像素子の位置を変更することによってバックフォーカスを調整する手段であることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載のドーム型監視カメラ装置。
【請求項7】
前記調整手段は、さらに、前記監視カメラの絞り値に応じて前記バックフォーカスを調整することを特徴とする請求項6に記載のドーム型監視カメラ装置。
【請求項8】
前記調整手段は、さらに、前記監視カメラの撮影画像の色温度に応じて前記バックフォーカスを調整することを特徴とする請求項6または7に記載のドーム型監視カメラ装置。
【請求項9】
前記ドームカバーは、前記光路長影響カバーパラメータに応じたパラメータ対応形状部分を有し、
前記調整手段は、前記パラメータ対応形状部分の形状に応じて前記監視カメラの撮像素子の位置を機械的に変更することによってバックフォーカスを調整する手段であることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載のドーム型監視カメラ装置。
【請求項1】
監視カメラと、
前記監視カメラを覆うドームカバーと、
前記ドームカバーが装着されたときに、前記ドームカバーによる光路長の変化を補正するように前記監視カメラのフォーカスをカバー装着状態で調整する調整手段と、
を備えたことを特徴とするドーム型監視カメラ装置。
【請求項2】
前記調整手段は、前記監視カメラの光路長を増減するドームカバー仕様を表す光路長影響カバーパラメータに応じて前記監視カメラのフォーカスをカバー装着状態で調整することを特徴とする請求項1に記載のドーム型監視カメラ装置。
【請求項3】
前記光路長影響カバーパラメータは、前記ドームカバーの材質を含むことを特徴とする請求項2に記載のドーム型監視カメラ装置。
【請求項4】
前記光路長影響カバーパラメータは、前記ドームカバーの厚さを含むことを特徴とする請求項2または3に記載のドーム型監視カメラ装置。
【請求項5】
前記光路長影響カバーパラメータは、前記ドームカバーの透過率を含むことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のドーム型監視カメラ装置。
【請求項6】
前記光路長影響カバーパラメータを検出する検出手段を含み、
前記調整手段は、前記検出手段により検出される前記光路長影響パラメータに応じて前記監視カメラの撮像素子の位置を変更することによってバックフォーカスを調整する手段であることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載のドーム型監視カメラ装置。
【請求項7】
前記調整手段は、さらに、前記監視カメラの絞り値に応じて前記バックフォーカスを調整することを特徴とする請求項6に記載のドーム型監視カメラ装置。
【請求項8】
前記調整手段は、さらに、前記監視カメラの撮影画像の色温度に応じて前記バックフォーカスを調整することを特徴とする請求項6または7に記載のドーム型監視カメラ装置。
【請求項9】
前記ドームカバーは、前記光路長影響カバーパラメータに応じたパラメータ対応形状部分を有し、
前記調整手段は、前記パラメータ対応形状部分の形状に応じて前記監視カメラの撮像素子の位置を機械的に変更することによってバックフォーカスを調整する手段であることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載のドーム型監視カメラ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−17258(P2008−17258A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−187587(P2006−187587)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]