説明

ナイセリア属のタンパク質のハイブリッド発現

【課題】タンパク質の異種発現のための代替的かつ改善されたアプローチを提供すること。
【解決手段】これらのアプローチは、典型的に発現レベル、精製の容易さ、発現の細胞内局在、および/または発現タンパク質の免疫学的特性に影響する。本発明は、2つの利点を提供する。第1に、それ自体では不安定またはほとんど発現され得ないタンパク質は、その問題を克服する適切なハイブリッドパートナーを付加することによって支援され得る。第2に商業生産が簡素化される(2つの別個に有用なタンパク質を生成するために、たった1つの発現および精製しか使用される必要がない)。したがって、本発明は、2つ以上の本発明のタンパク質の同時異種発現のための方法を提供し、この方法において、その2つ以上の本発明のタンパク質は融合される(すなわち、それらは、単一ポリペプチド鎖として翻訳される)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に引用される全ての文献は、その全体において参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、タンパク質発現の分野に存在する。特に、Neisseria(例えば、N.gonorrhoeae、または好ましくはN.meningitidis)由来のタンパク質の異種発現に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
特許文献1〜4は、Neisseria gonorrhoeaeおよびNeisseria meningitidis由来のタンパク質を開示する。これらのタンパク質は、N末端GST融合物またはC末端Hisタグ融合物のいずれかとして、E.coli中で発現される(すなわち、異種発現)ように、典型的に記載されるが、他の発現系(ネイティブのNeisseriaでの発現を含む)もまた開示される。
これらのタンパク質の異種発現のための代替的かつ改善されたアプローチを提供することが本発明の目的である。これらのアプローチは、典型的に発現レベル、精製の容易さ、発現の細胞内局在、および/または発現タンパク質の免疫学的特性に影響する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第99/24578号
【特許文献2】国際公開第99/36544号
【特許文献3】国際公開第99/57280号
【特許文献4】国際公開第00/22430号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の開示)
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1) 本発明の2以上のタンパク質の非相同的発現を同時に起こすための方法であって、ここで(a)本発明の2以上のタンパク質が融合される、方法。
(項目2) 項目1に記載の方法であって、前記2以上のタンパク質は、(a)919および287;(b)953および287;(c)287およびORF46.1;(d)ORF1およびORF46.1;(e)919およびORF46.1;(f)ORF46.1、287および919;(g)919および519;ならびに(h)ORF97および225である、方法。
(項目3) 287が、タンパク質(a)、(b)または(c)のC−末端にある、項目2に記載の方法。
(項目4) 前記発現が、E.coli宿主においてである、項目1〜3のいずれかに記載の方法。
(項目5) 項目1〜4のいずれかに記載の方法によって発現される、タンパク質。
(項目6) 式NH−A−B−COOHのハイブリッドタンパク質であって、AおよびBが、異なるナイセリア属のタンパク質である、ハイブリッドタンパク質。
(項目7) AおよびBが、orf1、orf4、orf25、orf40、orf46、orf83、233、287、2921、564、687、741、907、919、953、961および983からそれぞれ選択される、項目6に記載のタンパク質。
(項目8) AおよびBが、ORF46.1、287、741、919、953、961および983からそれぞれ選択される、項目7に記載のタンパク質。
(項目9) 前記ORF46.1、287、741、919、953、961および983の少なくとも1つが、本質的に全長形態において使用される、項目8に記載のタンパク質。
(項目10) 前記ORF46.1、287、741、919、953、961および983の少なくとも1つが、欠失を有する、項目8または項目9に記載のタンパク質。
(項目11) Aおよび/またはBが、ポリ−グリシン欠失(‘ΔG’)を有する、項目10に記載のタンパク質。
(項目12) Aおよび/またはBが、ΔG−287、ΔGTbp2、ΔG741、またはΔG983である、項目11に記載のタンパク質。
(項目13) Aおよび/またはBが、短縮型タンパク質である、項目10に記載のタンパク質。
(項目14) Aおよび/またはBが、Δ1−287、Δ2−287、Δ3−287、またはΔ4−287である、項目13に記載のタンパク質。
(項目15) Aおよび/またはBのドメインが、欠失される、項目10に記載のタンパク質。
(項目16) Aおよび/またはBが、287B、287C、287BC、ORF461−433、ORF46433−608、ORF46、または961cである、項目15に記載のタンパク質。
(項目17) Aおよび/またはBが、(a)919および287;(b)953および287;(c)287およびORF46.1;(d)ORF1およびORF46.1;(e)919およびORF46.1;(f)ORF46.1および919;(g)919および519;または(h)ORF97および225である、項目6に記載のタンパク質。
(項目18) 前記タンパク質が、ΔG287−919、ΔG287−953、ΔG287−961、ΔG983−ORF46.1、ΔG983−741、ΔG983−961、ΔG983−961C、ΔG741−961、ΔG741−961C、ΔG741−983、ΔG741−ORF46.1、ORF46.1−741、ORF46.1−961、ORF46.1−961C、961−ORF46.1、961−741、961−983、961C−ORF46.1、961C−741、961C−983、961CL−ORF46.1、961CL−741または961CL−983である、項目17に記載のタンパク質。
(項目19) AまたはBが、287である、項目8に記載のタンパク質。
(項目20) Bが、287である、項目19に記載のタンパク質。
(項目21) Aが、ΔG−287である、項目19に記載のタンパク質。
(項目22) Bが、ORF46、919、953または961である、項目21に記載のタンパク質。
(項目23) 287が、株2996または株394/98由来である、項目19〜22のいずれか1項に記載のタンパク質。
(項目24) Aが、961である、項目8に記載のタンパク質。
(項目25) AおよびBが、同じ株由来である、項目6〜24のいずれか1項に記載のタンパク質。
(項目26) AおよびBが、直接的に結合する、項目6〜24のいずれか1項に記載のタンパク質。
(項目27) AおよびBが、リンカーペプチドを介して結合する、項目6〜24のいずれか1項に記載のタンパク質。
(項目28) 前記リンカーペプチドが、ポリ−グリシンリンカーであり、ただし、Bが、ΔGタンパク質でない、項目27に記載のタンパク質。
本発明にしたがって、2つ以上(例えば、3,4,5,6、またはそれ以上)の本発明のタンパク質が、単一のハイブリッドタンパク質として発現される。非ナイセリア属融合パートナー(例えば、GSTまたはポリHis)が使用されないことが好ましい。
【0006】
これは、2つの利点を提供する。第1に、それ自体では不安定またはほとんど発現され得ないタンパク質は、その問題を克服する適切なハイブリッドパートナーを付加することによって支援され得る。第2に商業生産が簡素化される(2つの別個に有用なタンパク質を生成するために、たった1つの発現および精製しか使用される必要がない)。
【0007】
したがって、本発明は、2つ以上の本発明のタンパク質の同時異種発現のための方法を提供し、この方法において、その2つ以上の本発明のタンパク質は融合される(すなわち、それらは、単一ポリペプチド鎖として翻訳される)。
【0008】
この方法は、典型的に以下の工程を含む:本発明の第1のタンパク質をコードする第1の核酸を得る工程;本発明の第2のタンパク質をコードする第2の核酸を得る工程;その第1の核酸と第2の核酸とを連結する工程。生じた核酸は、発現ベクターに挿入され得るか、または既に発現ベクターの一部であり得る。
【0009】
ちょうど2つのタンパク質が連結される場合、そのハイブリッドタンパク質は、単に式NH−A−B−COOHによって示され得る。AおよびBは、それぞれ任意のナイセリア属タンパク質から、そして特に配列番号1〜4326によって示されるものから選択され得る。この方法は、タンパク質orf1、orf4、orf25、orf40、Orf46/46.1、orf83、233、287、292L、564、687、741、907、919、953、961、および983の発現によく適している。
【0010】
式NH−A−B−COOHの以下の表における「X」によって示される42個のハイブリッドが好ましい:
【0011】
【表1】

したがって、ハイブリッドとして発現される好ましいタンパク質は、ORF46.1、287、741、919、953、961および983である。これらは、基本的に全長の形において使用され得るか、またはポリグリシン欠損(ΔG)形態が使用され得る(例えば、ΔG−287、ΔGTbp2、ΔG741、ΔG983など)か、または短縮型が使用され得る(例えば、Δ1〜287、Δ2〜287などか、またはドメイン欠損バージョンが使用され得る(例えば、287B、287C、287BC、ORF461〜433、ORF46433〜608、ORF46、961cなど)。
【0012】
特に好ましいものは、以下である:(a)919および287を含むハイブリッドタンパク質;(b)953および287を含むハイブリッドタンパク質;(c)287およびORF46.1を含むハイブリッドタンパク質;(d)ORF1およびORF46.1を含むハイブリッドタンパク質;(e)919およびORF46.1を含むハイブリッドタンパク質;(f)ORF46.1および919を含むハイブリッドタンパク質;(g)ORF46.1、287および919を含むハイブリッドタンパク質;(h)919および519を含むハイブリッドタンパク質;および(i)ORF97および225を含むハイブリッドタンパク質。
【0013】
さらなる実施形態が、図面において示され、そして以下を含む:
【0014】
【表2】

287が使用される場合それは、ハイブリッドのC末端にあるのが好ましい;これがN末端で使用される場合、287ΔG形態の使用が好ましい(例えば、ORF46.1、919、953、または961とのハイブリッドのN末端として)。
【0015】
287が使用される場合、これは、2996株または394/98株由来であることが好ましい。
【0016】
961が使用される場合、これは、N末端にあることが好ましい。961のドメイン形態が使用され得る。
【0017】
ORF46、287、919、および953の多型形態のアライメントが、WO00/66741において開示される。これらの多型のいずれもが本発明に従って使用され得る。
【0018】
好ましくは、本発明に従うハイブリッドタンパク質における構成タンパク質(AおよびB)は、同じ株由来である。
【0019】
このハイブリッドにおける融合されたタンパク質は、直接連結され得るか、またはリンカーペプチド(例えば、ポリグリシンリンカー(すなわち、Gn(ここでn=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上である)))またはクローングを容易にする短いペプチド配列を介して連結され得る。ポリグリシンリンカーのC末端にΔGタンパク質を結合しないことが明らかに好ましい。
【0020】
この融合タンパク質は、ネイティブのリーダーペプチドを欠き得るか、またはN末端融合パートナーのリーダーペプチド配列を含み得る。
【0021】
(宿主)
異種宿主を利用することが好ましい。その異種宿主は、原核生物であってもまたは真核生物であってもよい。その異種宿主は、適切なE.coliであるが、他の好ましい宿主としては、Bacillus subtilis、Vibrio cholerae、Salmonella typhi、Salmonella typhimurium、Neisseria meningitidis、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria lactamica、Neisseria cinerea、Mycobacteria(例えば、M.tuberculosis)、酵母などが挙げられる。
【0022】
(ベクター、宿主など)
上記の方法と同様に、本発明は、以下を提供する:(a)これらの方法に有用な核酸およびベクター、(b)上記ベクターを含む宿主細胞、(c)上記方法によって発現されたタンパク質または発現可能なタンパク質、(d)これらのタンパク質を含む組成物であり、例えばワクチン、または診断試薬または免疫原性の組成物として適切であり得る組成物、(e)医薬(例えば、ワクチン)または診断試薬としての使用のためのこれらの組成物(f)以下の(1)〜(3)の製造においてのこれらの組成物の使用:(1)ナイセリア属細菌に起因する感染の処置または予防のための医薬、(2)ナイセリア属細菌の存在の検出またはナイセリア属細菌に対して惹起される抗体の存在の検出のための診断試薬、および/または(3)ナイセリア属細菌に対する抗体を惹起し得る試薬、および(g)患者の処置方法であって、これらの組成物の治療的有効量を患者に投与する工程を含む方法。
【0023】
(配列)
本発明はまた、以下の実施例に示されるいずれかの配列を有するタンパク質または核酸を提供する。本発明はまた、これらに対する配列同一性を有するタンパク質および核酸も提供する。上記のように、「配列同一性」の程度は、好ましくは50%より大きい(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはそれ以上)。
【0024】
(本明細書の用語)
WO99/24578、WO99/36544、およびWO99/57280に開示される2166個のタンパク質配列は、本明細書において以下の配列番号により言及される:
【0025】
【表3】

この配列番号の番号付けに加えて、WO99/24578、WO99/36544、およびWO99/57280において使用される命名規則もまた使用される(例えば、WO99/24578およびWO99/36544において使用されるような「ORF4」、「ORF40」、「ORF40−1」など;WO99/57280において使用されるような「m919」、「g919」、および「a919」など)。
【0026】
Tettelinら(Science(2000)287:1809〜1815)に由来する2160個のタンパク質NMB0001〜NMB2160は、配列番号2167〜4326として本明細書にて呼ばれる(WO00/66791もまた参照)。
【0027】
本明細書で使用される用語「本発明のタンパク質」は、以下を含むタンパク質をいう:
(a)配列番号1〜4326の配列の1つ;または
(b)配列番号1〜4326の1つに対して配列同一性を有する配列;または
(c)配列番号1〜4326の1つのフラグメント。
【0028】
(b)において言及される「配列同一性」の程度は、好ましくは50%より大きい(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはそれ以上)。これは、変異体および対立遺伝子改変体(例えば、WO00/66741を参照のこと)を含む。同一性は、好ましくは、パラメーター(gap open penalty=12,およびgap extention penalty=1)でのを用いるaffine gap検索を使用して、MPSRCHプログラム(Oxford Molecular)において実行されるようなSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムによって決定される。代表的には、2つのタンパク質の間の50%以上の同一性は、機能的等価物であることの指標であると考えられる。
【0029】
(c)において言及される「フラグメント」は、配列番号1〜4326の1つからの少なくともn個の連続したアミノ酸を含むべきであり、そして特定の配列に依存して、nは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100またはそれ以上)である。好ましくは、このフラグメントは、配列番号1〜4326の1つからのエピトープを含む。好ましいフラグメントは、WO00/71574およびWO01/04316に開示されるフラグメントである。
【0030】
本発明の好ましいタンパク質は、N.meningitidis血清型Bにおいて見出される。
【0031】
本発明に従う使用に好ましいタンパク質は、血清型B N.meningitidisの2996株または394/98株(ニュージーランド株)のタンパク質である。他のように言及のない限り、本明細書において言及されるタンパク質は、N.meningitidis 2996株由来である。しかし、本発明が一般的に、株により限定されないことが理解される。特定のタンパク質(例えば、「287」、「919」など)についての言及は、任意の株由来のそのタンパク質を含むと受け取られ得る。
「核酸」に対する言及が、DNAおよびRNAを含むこと、そしておよびこれらのアナログ(例えば、改変された骨格を含むもの)、およびペプチド核酸(PNA)なども含むことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図2】図2は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図3】図3は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図4】図4は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図5】図5は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図6】図6は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図7】図7は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図8】図8は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図9】図9は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図10】図10は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図11】図11は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図12】図12は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図13】図13は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図14】図14は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図15】図15は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図16】図16は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図17】図17は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図18】図18は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図19】図19は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図20】図20は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図21】図21は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図22】図22は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図23】図23は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図24】図24は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図25】図25は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【図26】図26は、本発明に従うハイブリッドタンパク質を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(本発明の実施様式)
【実施例】
【0034】
(実施例1 ORF46のハイブリッド)
N.meningitidis(血清型B、2996株)由来の完全なORF46タンパク質は、以下の配列を有する:
【表4】

リーダーペプチドは下線が引かれている。
【0035】
他の株由来のORF46の配列が、WO00/66741に見出され得る。
【0036】
ORF46を、そのC末端およびN末端において、287、919およびORF1と、融合した。このハイブリッドタンパク質は、一般に不溶性であったが、(同種の2996株に対して)いくつか良好なELISAおよび殺菌成績を与えた:
【0037】
【表5】

比較のために、ORF46.1、287(GST融合物としてかまたはΔG287形態においてのいずれか)、および919の「三重」ハイブリッドを構築し、そして種々の株(同種の2996株を含む)に対して、この3つの抗原の単純混合物と対比して試験した。FCAをアジュバントとして用いた:
【0038】
【表6】

また、このハイブリッドは、等価であるかまたは優れた免疫学的活性を示す。
【0039】
2つのタンパク質(2996株)のハイブリッドを、種々の異種株に対して、個々のタンパク質と比較した。
【0040】
【表7】

また、このハイブリッドは、等価であるかまたは優れた免疫学的活性を示す。
【0041】
(実施例2 ΔG287のハイブリッド)
287における(Gly)配列の欠失は、タンパク質発現に対して劇的な影響を有することが見出された。GGGGGGまでのN末端アミノ酸を欠くこのタンパク質は、「ΔG287」と呼ばれる。MC58株において、この基本配列(下線部のリーダーペプチド)は:
【0042】
【表8】

である。Hisタグを有するかまたは有さないΔG287(それぞれ「ΔG287−His」および「ΔG287K」)は、「287−His」または「287タグなし」に比較して非常によいレベルで発現される。
【0043】
遺伝子変動性データに基づいて、多くのMenB株(特に2996株、MC58株、1000株、およびBZ232株)由来のΔG287−Hisの改変体をE.coliにおいて発現した。この結果もまた、良かった(つまり、これらのそれぞれが、高いELISA力価を与え、そしてまた8192より大きい血清殺菌力価を与えた。pET−24bから発現されたΔ287Kは、ELISAおよび血清殺菌アッセイにおいて優れた力価を与えた)。
【0044】
ポリGly配列の欠失もまた、Tbp2(NMB0460)、741(NMB1870)および983(NMB1969)に適用可能である。リーダーペプチドをコードする配列を含まず、そしてポリGlyを伴わず(すなわち、「ΔG形態」として)pETベクターにクローニングし、そしてE.coliにおいて発現させた場合、同じ効果が観察された(ポリグリシンストレッチの欠失を保有するクローンにおいて、発現は良好であり、そしてこのグリシンが発現タンパク質中に存在する場合は、発現は乏しいかまたは存在しなかった)。
【0045】
ΔG287を、919、953、961の上流に直接インフレーム融合し、(以下に配列を示す)、およびORF46.1の上流に直接インフレーム融合した。
【0046】
【表9】



【0047】
【表10】

このハイブリッドタンパク質に対して惹起された抗体の殺菌効力(同種株)を、919およびORF46.1に対する成分抗原(287−GSTを使用)の単純混合物に対し惹起された抗体と比較した:
【0048】
【表11】

異種MenB株および血清型Aおよび血清型Cに対しての殺菌活性についてのデータもまた得た:
【0049】
【表12】

従って、N末端でのΔG287とのハイブリッドタンパク質は、免疫学的に単純混合物より優れており、ΔG287−ORF46.1が特に効果的であり、異種株に対してさえも効果的である。ΔG287−ORF46.1は、pET−24bにおいて発現され得る
同じハイブリッドタンパク質を2996ではなくニュージーランド株394/98を用いて作製した:
【0050】
【表13】



(実施例3 ΔG983のハイブリッド)
タンパク質983は、以下の配列を有する:
【0051】
【表14】

従って、ΔG983は、以下の基本配列を有する:
【0052】
【表15】

ΔG983は、そのC末端でのORF46.1、741、961、または961cを伴うハイブリッドとして発現された:
【0053】
【表16】






(実施例4−ΔG741のハイブリッド)
タンパク質741は以下の配列を有する:
【0054】
【表17】

従って、ΔG741は、以下の塩基配列を有する:
【0055】
【表18】

ΔG741を、タンパク質961、961c、983およびORF46.1の上流にインフレームで直接融合した。
【0056】
【表19】





(実施例5−287のハイブリッド)
C末端Hisタグを有するか、またはそのリーダーペプチドを有さないがC末端Hisタグを有する全長としての287の発現は、かなり低い発現レベルを示す。より良い発現は、N末端GST融合物を用いて達成される。N末端融合物のパートナーとしてGSTを用いる代替として、287を、タンパク質919(「919−287」)、タンパク質953(「953−287」)およびタンパク質ORF46.1(「ORF46.1−287」)のC末端に配置した。いずれ場合においても、リーダーペプチドを除去し、そしてハイブリッドは直接的なインフレーム融合物であった。
【0057】
953−287ハイブリッドを生成するために、この2つのタンパク質のリーダーペプチドを、各配列のリーダーから下流への順方向プライマーを設計することによって除外し;終止コドン配列を、953逆方向プライマーにおいて除いたが、287逆方向プライマーにおいて含有された。953遺伝子について、増幅のために使用した5’および3’プライマーは、NdeIおよびBamHI制限部位をそれぞれ含み、一方、287遺伝子の増幅について、5’および3’のプライマーは、BamHIおよびXhoI制限部位をそれぞれ含んだ。このように、NdeI−BamHI(第一の遺伝子をクローン化するために)および引き続いてBamHI−XhoI(第二の遺伝子をクローン化するために)を使用して、pET21+における2つの遺伝子の連続方向クローニングを達成し得た。
【0058】
919−287ハイブリッドを、287の成熟部分をコードする配列を、pET21b+における919−Hisクローンの3’末端のXhoI部位にクローニングすることによって得た。287遺伝子の増幅のために使用するプライマーを、そのPCRフラグメントの5’側にSalI制限部位および3’側にXhoI部位を導入するために設計した。SalIおよびXhoI制限酵素によって生じた付着末端は適合性を有するため、SalI−XhoIを用いて消化した287PCR産物を、XhoIを用いて切断したpET21b−919クローン中に挿入し得た。
【0059】
ORF46.1−287ハイブリッドを同様に得た。
【0060】
ハイブリッドタンパク質に対して惹起した抗体の殺菌性効力(同種株)を、その成分抗原の単純な混合物に対して惹起した抗体と比較した:
【0061】
【表20】

異種MenB株ならびに血清型AおよびCに対する殺菌性活性に関するデータもまた、919−287および953−287について得た:
【0062】
【表21】

ORF46.1および919のハイブリッドもまた構築した。最良の結果(4倍高い力価)を、N末端側で919を用いて達成した。
【0063】
ハイブリッド919−519His、ORF97−225Hisおよび225−ORF97Hisもまた試験した。これらは、中程度のELISA力価および殺菌性抗体応答を示した。
【0064】
2つのタンパク質AおよびBのハイブリッドは、NH−A−B−COOHまたはNH−B−A−COOHのいずれかであるので、N末端側に287を有する「逆」ハイブリッドもまたΔG287を使用して作製した。同種株2996を含むAパネルの株を使用した。FCA株をアジュバントとして使用した:
【0065】
【表22】

より良い殺菌性力価は、一般に、N末端側で287を用いて確認される。
【0066】
タンパク質961に融合した場合、[NH−ΔG287−961−COOH−上記の配列]、得られるタンパク質は、不溶性であり、そして精製のために変性および再生されなければならない。再生後、約50%のタンパク質が、不溶性のまま見出された。可溶性および不溶性タンパク質を比較し、そしてさらに良い殺菌性力価を、可溶性タンパク質(アジュバントとしてFCA)を用いて得た:
【0067】
【表23】

しかし、不溶性形態での力価は、ミョウバンアジュバントを代わりに用いることによって改善された:
【0068】
【表24】

961cをまた、ハイブリッドタンパク質において使用した(上記を参照のこと)。961およびそのドメイン改変体は、効率的な発現を指向するので、それらは、ハイブリッドタンパク質のN末端部分として理想的に適する。
【0069】
(実施例23−さらなるハイブリッド)
本発明のさらなるハイブリッドタンパク質を図面に示し、そしてそれらは以下に示す配列を有する。個々のタンパク質と比較した場合、これらは有益である:
【0070】
【表25】















本発明は、例示目的でのみ記載され、そして本発明の範囲および精神内にある限りは改変がなされ得ることが理解される。例えば、他の株由来のタンパク質の使用が想定される[例えば、ORF4、ORF40、ORF46、225、235、287、519、726、919および953の多型配列については、WO00/66741を参照のこと]。
【0071】
(実験の詳細)
(クローニングストラテジーおよびオリゴヌクレオチド設計)
目的の抗原をコードする遺伝子を、N.meningitidis B MC58のゲノム配列に基づいて設計されたオリゴヌクレオチドを使用する、PCRによって増幅した。他に示されない限り、2996株由来のゲノムDNAを、PCR反応におけるテンプレートとして常に使用し、そしてその増幅したフラグメントを、発現ベクターのpET21b+(Novagen)にクローン化して、C末端Hisタグ化産物としてタンパク質を発現させるか、またはpET−24b+(Novagen)にクローン化して、「非タグ化」形態(例えば、ΔG 287K)のタンパク質を発現させた。
【0072】
タンパク質を、融合パートナーを伴わずにそれ自体のリーダーペプチド(存在する場合)を伴って発現させる場合、オープンリーディングフレーム(ATGコドン〜終止コドン)の増幅を行った。
【0073】
タンパク質を「非タグ化」形態で発現させる場合、そのリーダーペプチドを、推定リーダー配列から下流の5’末端の増幅プライマーを設計することによって除外した。
【0074】
PCRに使用されたプライマーの融解温度は、プライマー全体のハイブリダイズするヌクレオチドの数および型に依存し、そして以下の式を使用して決定した:
m1=4(G+C)+2(A+T) (テールを除外)
m2=64.9+0.41(%GC)−600/N (プライマー全体)。
【0075】
選択したオリゴヌクレオチドの融解温度は、オリゴ全体について通常65〜70℃であり、そしてハイブリダイズ領域単独では50〜60℃であった。
【0076】
オリゴヌクレオチドを、Perkin Elmer 394 DNA/RNA合成機を用いて合成し、2.0mlのNHOH中でカラムから溶出し、そして56℃での5時間のインキュベートにより脱保護した。これらのオリゴを、0.3M 酢酸ナトリウムおよび2容量のエタノールの添加によって沈殿させた。このサンプルを遠心分離し、そしてそのペレットを水に再懸濁した。
【0077】
【表26】


このプライマーを、Hisタグに対する287の全てのC末端融合物のための逆方向プライマーとして使用した。
【0078】
§287−His逆方向プライマーと組み合わせて使用した順方向プライマー。
【0079】
NB−全PCR反応は、他に規定がない限り、2996株(例えば、NC58株)を使用した。
【0080】
その後ろに特有のNheI部位がないATGで開始する全ての構築物において、そのATGコドンは、クローニングのために使用されるNdeI部位の一部分である。5’末端のクローニング部位としてNheIを用いて作製した構築物(例えば、N末端に287を含む全ての構築物)は、抗原のコード配列に融合された2つのさらなるコドン(GCTAGC)を有する。
【0081】
(染色体のDNAテンプレートの調製)
N.meningitidis株 2996、MC58、394.98、1000およびBZ232(ならびに他の株)を、100mlのCG培地中に対数期まで増殖し、遠心分離によって収集し、そして5mlの緩衝液(20% w/vスクロース、50mM Tris−HCl、50mM EDTA、pH8)中に再懸濁した。氷上で10分間のインキュベーション後、この細菌を10mlの溶解溶液(50mMのNaCl、1% Na−Sarkosyl、50μg/ml プロテイナーゼK)を添加することによって溶解し、そしてこの懸濁液を、37℃で2時間インキュベートした。2回のフェノール抽出(pH8に平衡化した)および1回のCHCl/イソアミルアルコール(24:1)抽出を行った。DNAを、0.3Mの酢酸ナトリウムおよび2容量のエタノールの添加によって沈殿させ、そして遠心分離によって収集した。このペレットを、70%(v/v)エタノールで一回洗浄し、そして4.0mlのTE緩衝液(10mM Tris−HCl、1mM EDTA、pH8.0)中に再溶解した。DNA濃度を、OD260の読み取りによって測定した。
【0082】
(PCR増幅)
この標準PCRプロトコルは以下の通りであった:2996、MC581000もしくはBZ232株由来の200ngのゲノムDNA、または組換えクローンの10ngのプラスミドDNA調製物を、40μMの各オリゴヌクレオチドプライマー、400〜800μMのdNTP溶液、1×PCR緩衝液(1.5mM MgClを含む)、2.5ユニットのTaqI DNAポリメラーゼ(Perkin−Elmer AmpliTaQ、Boerhingher Mannhein ExpandTM Long Template)の存在下でテンプレートとして使用した。
【0083】
全混合物を95℃で予め3分間インキュベーションした後に、各サンプルを、二工程増幅に供した:最初の5サイクルを、プライマーの制限酵素のテールを除外したハイブリダイゼーション温度(Tm1)を使用して行った。これに続いて、全長オリゴについて算出されたハイブリダイゼーション温度(Tm2)によって30サイクルを行った。伸長時間(68℃または72℃で行う)は、増幅されるOrfの長さによって変化した。Orf1の場合において、伸長時間は、3分から開始して、各サイクル15秒で減少した。このサイクルは、72℃での10分間の伸長によって完了した。
【0084】
この増幅したDNAを、1%アガロースゲルに直接ロードした。正確なサイズのバンドに対応するDNAフラグメントを、Qiagen Gel Extraction Kitを使用して、製造業者のプロトコルに従ってゲルから精製した。
【0085】
(PCRフラグメントおよびクローニングベクターの消化)
増幅したフラグメントに対応する精製したDNAを、pET−21b+、pET−22b+またはpET−24b+へのクローニングに適切な制限酵素を用いて消化した。消化したフラグメントを、QIAquick PCR精製キットを(製造業者の指示に従って)使用して精製し、そして、HOまたは10mM Tris(pH8.5)のいずれかで溶出した。プラスミドベクターを適切なこれらの制限酵素を用いて消化し、1%アガロースゲルにロードし、そして消化したベクターに対応するバンドを、Qiagen QIAquick Gel Extraction Kitを用いて精製した。
【0086】
(クローニング)
予め消化および精製した、各遺伝子に対応するフラグメントを、pET21b+、pET22b+またはpET24b+中に連結した。3:1のモル比のフラグメント/ベクターを、T4 DNAリガーゼと共に、製造業者によって供給される連結緩衝液中で用いた。
【0087】
組換えプラスミドを、コンピテントなE.coli DH5またはHB101中に、連結反応溶液および細菌を氷上で40分間インキュベートし、次いで37℃にて3分間インキュベートすることによって、形質転換した。これに続いて、800μlのLBブロスを添加し、そして37℃にて20分間インキュベートした。細胞を、Eppendorfの微量遠心機において最大速度で遠心分離し、約200μlの上清に再懸濁し、そしてLBアンピシリン(100mg/ml)寒天上にプレートした。
【0088】
組換えクローンのスクリーニングを、無作為に選択したコロニーを、100μg/mlのアンピシリンを加えた4.0mlのLBブロスにおいて37℃で一晩増殖させて行った。細胞をペレットにし、そしてQiagen QIAprep Spin Miniprep Kitを製造業者の指示に従って使用して、プラスミドDNAを抽出した。約1μgの各々個々のミニプレップを、適切な制限酵素を用いて消化し、そして消化物を、1〜1.5%アガロースゲル(予想されるインサートサイズに依存する)に、分子量マーカー(1kb DNA Ladder、GIBCO)と並行してロードした。陽性クローンを、インサートのサイズに基づいて選択した。
【0089】
(発現)
各遺伝子を発現ベクター中にクローニングした後、組換えプラスミドを、組換えタンパク質の発現に適したE.coli株中に形質転換した。各構築物の1μlを使用して、E.coli BL21−DE3を、上記のように形質転換した。単一の組換えコロニーを、Amp(100μg/ml)を加えた2mlのLBに播種し、37℃で一晩でインキュベートし、次いで、100mlのフラスコ中でAmp(100μg/ml)を加えた20mlのLB中に1:30で希釈し、0.1と0.2との間のOD600を得た。このフラスコを、OD600が発現の誘導に適した対数増殖を示すまで(0.4〜0.8のOD)、回転型水浴振とう機中で30℃または37℃でインキュベートした。タンパク質発現を、1.0mM IPTGの添加によって誘導した。30℃または37℃での3時間のインキュベーションの後、OD600を測定し、そして発現を試験した。1.0mlの各サンプルを微量遠心機で遠心分離し、ペレットをPBS中で再懸濁し、そしてSDS−PAGEおよびクマシーブルー染色によって分析した。
【0090】
(Hisタグ化タンパク質の精製)
287の種々の形態を、2996およびMC58株からクローン化した。それらは、C末端Hisタグ化融合物と共に構築され、そしてそれらは、成熟形態(アミノ酸18〜427)、欠失(Δ1、Δ2、Δ3およびΔ4)を伴う構築物ならびにBドメインまたはCドメインのいずれかから構成されるクローンを含んだ。His融合物として精製される各クローンについて、単一のコロニーをストリークし、そしてLB/Amp(100μg/ml)寒天プレート上で37℃にて一晩増殖させた。このプレートから単離されたコロニーを、20mlのLB/Amp(100μg/ml)液体培地中に播種し、そして攪拌しながら37℃で一晩増殖させた。この一晩培養物を、1.0LのLB/Amp(100μg/ml)液体培地中に1:30で希釈し、そしてOD550が0.6〜0.8に達するまで最適な温度(30〜37℃)で増殖させた。組換えタンパク質の発現をIPTGの添加(最終濃度1.0mM)によって誘導し、そして培養物をさらに3時間インキュベートした。細菌を、8000gで15分間、4℃で遠心分離することによって回収した。細菌のペレットを、(i)可溶性タンパク質のための冷却緩衝液A(300mM NaCl、50mM リン酸緩衝液、10mM イミダゾール、pH8.0)または(ii)不溶性タンパク質のための緩衝液B(10mM Tris−HCl、100mM リン酸緩衝液、pH8.8および必要に応じて8Mの尿素)のいずれかの7.5ml中に再懸濁した。可溶性形態において精製されたタンパク質には、287−His、Δ1、Δ2、Δ3およびΔ4287−His、Δ4287MC58−His、287c−Hisならびに287cMC58−Hisが含まれた。タンパク質287bMC58−Hisは、不溶性であり、従って精製した。細胞を、Branson sonifier 450を使用し、氷上で、30秒間、40Wでの4回の超音波処理により破砕し、そして4℃で30分間、13000×gで遠心分離した。不溶性タンパク質について、ペレットを2.0ml 緩衝液C(6M 塩酸グアニジン、100mM リン酸緩衝液、10mM Tris−His、pH7.5)中に再懸濁し、そしてダンス型ホモジナイザー中に10回通して処理した。このホモジネートを、13000gで30分間遠心分離し、そして上清を保持した。可溶性および不溶性調製物の両方についての上清を、150μlのNi2+−樹脂(適切なように、緩衝液Aまたは緩衝液Bのいずれかで予め平衡化した)と混合し、そして30分間穏やかに撹拌をしながら、室温でインキュベートした。この樹脂は、製造者プロトコルに従って調製された、Chelating Sepharose Fast Flow(Pharmacia)であった。このバッチ式調製物を、700gで5分間、4℃で遠心分離し、そして上清を破棄した。この樹脂を10mlの緩衝液Aまたは緩衝液Bを用いて10分間、2回洗浄し(バッチ式)、1mlの緩衝液AまたはB中に再懸濁し、そして使い捨てカラムにロードした。この樹脂を、(i)4℃で緩衝液Aを、または(ii)室温で緩衝液Bを用いて、フロースルーのOD280が0.02〜0.01に達するまで洗浄し続けた。この樹脂を、(i)冷却緩衝液C(300mM NaCl、50mM リン酸緩衝液、20mM イミダゾール、pH8.0)または(ii)緩衝液D(10mM Tris−HCl、100mM リン酸緩衝液、pH6.3および必要に応じて8Mの尿素)のいずれかで、フロースルーのOD280が0.02〜0.01に達するまでさらに洗浄した。このHis融合タンパク質を、(i)冷却溶出緩衝液A(300mM NaCl、50mM リン酸緩衝液、250mM イミダゾール、pH8.0)または(ii)溶出緩衝液B(10mM Tris−HCl、100mM リン酸緩衝液、pH4.5および必要に応じて8Mの尿素)のいずれかの700μlを添加することによって溶出し、そしてOD280が全ての組換えタンパク質が得られたことを示すまで、画分を回収した。各溶出画分の20μlのアリコートを、SDS−PAGEによって分析した。タンパク質濃度を、ブラッドフォードアッセイを用いて評価した。
【0091】
(変性したHis融合タンパク質の再生)
287bMC8を可溶化するために変性が必要とされるので、免疫の前に再生工程を用いた。グリセロールを、上記で得られた変性した画分に添加し、10% v/vの最終濃度を得た。このタンパク質を透析緩衝液I(10% v/v グリセロール、0.5M アルギニン、50mM リン酸緩衝液、5.0mM 還元型グルタチオン、0.5mM 酸化型グルタチオン、2.0M 尿素、pH8.8)を使用して200μg/mlに希釈し、そして同じ緩衝液に対して、4℃で12〜14時間透析した。さらなる透析を、緩衝液II(10% v/v グリセロール、0.5M アルギニン、50mM リン酸緩衝液、5.0mM 還元型グルタチオン、0.5mM 酸化型グルタチオン、pH8.8)を用いて4℃で12〜14時間実行した。タンパク質濃度を、以下の式を用いて推定した:
タンパク質(mg/ml)=(1.55×OD280)−(0.76×OD260
(免疫化)
Balb/Cマウスを、0日目、21日目および35日目に抗原で免疫し、そして血清を、49日目に分析した。
【0092】
(血清分析−ELISA)
無莢膜化Men M7および莢膜化株を、チョコレートアガープレートにプレートし、そして5%COで37℃において一晩インキュベーションした。細菌のコロニーを、滅菌ドラコン(dracon)スワブを使用してアガープレートから回収し、そして0.25%のグルコースを含むMueller−Hinton Broth(Difco)に播種した。細菌の増殖を30分毎に、OD620を追跡することによりモニターした。ODが0.4〜0.5の値に達するまで増殖させた。この培養物を、4000rpmで10分間遠心分離した。この上清を捨て、そして細菌を、PBSで2回洗浄し、0.025%のホルムアルデヒドを含むPBS中に懸濁し、そして37℃で1時間インキュベーションし、次いで攪拌しながら4℃で一晩インキュベーションした。100μlの細菌細胞を96ウェル Greinerプレートの各ウェルに添加し、そして4℃で一晩インキュベーションした。次いで、各ウェルを、PBT洗浄緩衝液(PBS中に0.1%のTween−20)で3回洗浄した。200μlの飽和緩衝液(水中に2.7%のポリビニルピロリドン10)を、各ウェルに添加し、そしてこのプレートを37℃で2時間インキュベーションした。ウェルを、PBTで3回洗浄した。200μlの希釈血清(希釈緩衝液:PBS中に1%のBSA、0.1%のTween−20、0.1%のNaN)を、各ウェルに添加し、このプレートを37℃で2時間インキュベーションした。ウェルを、PBTで3回洗浄した。希釈緩衝液に1:2000に希釈した100μlのHRP結合化ウサギ抗マウス(Dako)血清を、各ウェルに添加し、そしてこのプレートを、37℃で90分間インキュベーションした。ウェルをPBT緩衝液で3回洗浄した。HRPに対する100μlの基質緩衝液(25mlのクエン酸緩衝液pH5、10mgのO−フェニルジアミンおよび10μlのH)を各ウェルに添加し、そしてこのプレートを、20分間室温で放置した。100μlの12.5%HSOを、各ウェルに添加し、OD490を追跡した。このELISA力価を、免疫前のレベルより上の0.4のOD490値を与えた血清の希釈として任意で計算された。このELISAを、0.4のOD490での血清の希釈が1:400より高い場合、陽性と見なした。
【0093】
(血清分析−FACSスキャン細菌結合アッセイ)
無莢膜化Men M7株を、チョコレートアガープレートにプレートし、そして5%COで37℃において一晩インキュベーションした。細菌コロニーを、滅菌ドラコンスワッブを使用してアガープレートから回収し、そして0.25%のグルコースを含むMueller−Hinton Broth(Difco)を各8ml含有する4つのチューブに播種した。細菌の増殖を30分毎に、OD620を追跡することによりモニターした。この細菌を、ODが0.35〜0.5の値に達するまで増殖させた。この培養物を、4000rpmで10分間遠心分離した。この上清を捨て、そしてこのペレットを、ブロッキング緩衝液(PBS中の1%BSA、0.4%のNaN)に再懸濁し、そして4000rpmで5分間遠心した。細胞を0.05のOD620に達するようにブロッキング緩衝液に再懸濁した。100μlの細菌細胞を、Costar96ウェルプレートの各ウェルに添加した。(ブロッキング緩衝液中の)100μlの希釈血清(1:100、1:200、1:400)を、各ウェルに添加し、そしてプレートを4℃で2時間インキュベーションした。細胞を4000rpmで5分間遠心し、上清を吸引し、そして細胞を、各ウェルに200μl/ウェルのブロッキング緩衝液を添加することによって洗浄した。1:100に希釈された、100μlのR−フィコエリトリン結合化F(ab)ヤギ抗マウスを、各ウェルに添加し、そしてプレートを4℃で1時間インキュベーションした。細胞を、4000rpmでの5分間の遠心分離によってスピンダウンし、そして200μl/ウェルのブロッキング緩衝液の添加によって洗浄した。この上清を、吸引し、そして細胞を、200μl/ウェルのPBS(0.25%のホルムアルデヒド)中で再懸濁した。サンプルをFACScanチューブに移して、そして読み取った。FACScan設定の条件(Laser Power 15mW)は、以下のとおりである:FL2オン;FSC−H閾値:92;FSC PMT電圧:E 01;SSC PMT:474;増幅利得 6.1:FL−2 PMT:586;補償値:0。
【0094】
(血清分析−細菌アッセイ)
N.meningitidis株2996を、5%COで37℃においてチョコレートアガープレート上で一晩増殖した(凍結ストックから開始した)。コロニーを、回収しそして0.05から0.08のOD620に達するように0.25%のグルコースを含む7mlのMuller−Hinton brothへの播種に使用した。この培養物を、OD620が0.23〜0.24の値に達するまで攪拌しながら37℃で約1.5時間インキュベーションした。細菌を、10のCFU/mlの作用希釈において10mMのMgCl、10mMのCaClおよび0.5%(w/v)のBSA(アッセイ緩衝液)を含む50mMのリン酸緩衝液pH7.2に希釈した。最終反応混合物の総量は、試験血清の段階2倍希釈の25μl、作用希釈における細菌の12.5μl、乳仔ウサギ補体の12.5μl(最終濃度25%)を有する50μlであった。
【0095】
コントロールは、補体血清でインキュベーションされた細菌、細菌でおよび56℃で30分間の加熱により不活性化された補体インキュベーションされた免疫血清を含んでいた。乳仔ウサギ補体の添加後、即座に、10μlのコントロールを、チルト方法を使用してMueller−Hintonアガープレートにプレートした(時間0)。96−ウェルプレートを、回転しながら37℃で1時間インキュベーションした。7μlの各サンプルを、スポットとしてMueller−Hintonアガープレートにプレートし、それに対し、10μlのコントロールを、チルト方法を使用してMueller−Hintonアガープレートにプレートした(時間1)。アガープレートを、37℃で18時間インキュベーションし、そして時間0および時間1に対応するコロニーを計数した。
【0096】
(血清分析−ウェスタンブロッティング)
MenB株2996由来の精製タンパク質(500ng/レーン)、外膜小胞(5μg)および全細胞抽出物(25μg)を、12%SDS−ポリアクリルアミドゲル上にロードし、そしてニトロセルロース膜上に転写した。この転写を、2時間、150mA、4℃で転写緩衝液(0.3% Trisベース、1.44% グリシン、20%(v/v)メタノール)中で行った。この膜を飽和緩衝液(PBS中の10% スキムミルク、0.1% Triton X100)中での4℃の一晩のインキュベートにより飽和させた。この膜を洗浄緩衝液(PBS中の3% スキムミルク、0.1% Triton X100)を用いて2回洗浄し、そして洗浄緩衝液中に1:200に希釈したマウス血清とともに、2時間37℃でインキュベートした。この膜を2回洗浄し、そして1:2000希釈の西洋わさびペルオキシダーゼ標識化抗マウスIgとともに90分間インキュベートした。この膜をPBS中の0.1% Triton X100を用いて2回洗浄し、そしてOpti−4CN基質キット(Bio−Rad)を用いて、発色させた。この反応を、水を添加して停止した。
【0097】
OMVを以下のように調製した:N.meningitidis株2996を、5GCプレート上で、5%COで37℃において一晩増殖し、ループを用いて回収し、そして10mlの20mM Tris−HCl(pH7.5)、2mM EDTA中に再懸濁した。56℃、45分の熱不活化を行い、そして細菌を5分間氷上で超音波処理することにより破壊した(50% 衝撃係数、50% 出力、Branson sonifier 3mmマイクロチップ)。未破壊細胞を5000g、10分間の遠心分離によって除去し、そして全細胞エンベロープ画分を含む上清を回収し、そして50000g、4℃の一晩さらに遠心分離した。メンブレンを含むペレットを、2%サルコシル、20mM Tris−HCl(pH7.5)、2mM EDTA中で再懸濁し、そして20分間室温でインキュベーションして、内膜を溶解した。この懸濁液を、10000gで10分間遠心分離して、凝集体を除去し、上清を、50000gで3時間さらに遠心分離した。外膜を含むペレットをPBSで洗浄し、同じ緩衝液で再懸濁した。タンパク質濃度を、スタンダードとしてBSAを使用してD.C.Bio−Radタンパク質アッセイ(改変Lowry法)によって測定した。
【0098】
全細胞抽出物を、以下のように調製した:N.meningitidis株2996を、GCプレート上で一晩増殖させ、ループを用いて回収し、そして1mlの20mM Tris−HClに再懸濁した。56℃で30分間熱不活化を行った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−5816(P2013−5816A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−214120(P2012−214120)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【分割の表示】特願2010−288968(P2010−288968)の分割
【原出願日】平成13年2月28日(2001.2.28)
【出願人】(592243793)ノバルティス ヴァクシンズ アンド ダイアグノスティクス エスアールエル (107)
【Fターム(参考)】