説明

ナイフスイッチ

【課題】 従来のナイフスイッチは、取扱方法としては、接触片を放電させないために、その操作を素早くして、放電した金属が溶けるより早く、スイッチを完全に繋いだり遮断したりしていたが、それでも表面がスパークしていた。表面がスパークすると、ナイフスイッチの寿命が短くなっていた。

【解決手段】 本発明のナイフスイッチは、クリップ(2a)で放電すると困るので、クリップ(2a)で放電するより先に、放電部(2b)が接触して、クリップ(2a)を放電から守る方法と、抵抗(2c)を取り付けた補助用クリップ(2d)でクリップ(2a)を放電から守る方法と、補助用クリップ(2d)に放電部(2b)を取り付ける方法の、ナイフスイッチを提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大電流を繋いだり遮断したりするときに、放電していたのを少なくするナイフスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のナイフスイッチは、200Vの1Aぐらいなら繋いだり遮断したりしても放電は多少で、無視しても良い。しかし、250Aだと、その放電は無視できない状態になる。そこで、従来の取扱方法としては、接触片のナイフとクリップを放電させないために、その操作を素早くしていた。そうすると、放電したナイフとクリップの金属が溶けるより早く、スイッチを完全に繋いだり遮断したりしていた。完全に繋いだナイフスイッチは、ナイフとクリップの表面積が広くなり、電流は抵抗なく流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−271836
【特許文献2】特開2006−164841
【特許文献3】特開2008−91274
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のナイフスイッチは、200Vの250Aだと放電は無視できない状態になるので、取扱方法としては、接触片のクリップとナイフを放電させないために、その操作を素早くして、放電した金属が溶けるより早く、完全にスイッチを繋いだり遮断したりしていた。すると、完全に繋いだ場合、接触した表面積が広くなり、電気が流れても抵抗にならず、したがって熱も持たない。
しかし、そのことを分かっている人なら、操作も素早くするが、分かっていない人は操作を遅くすると、ナイフスイッチのハンドルに具備されている、機器側支持具のナイフと、それと接触する電力側支持具のクリップとが放電してしまう。すると、表面がガタガタになり、そのためスイッチを入れたとしても、表面積の接触している面が狭くなり、熱を持つ状態となっていた。
【0005】
そこで、本発明のナイフスイッチは、クリップ(2a)で放電すると困るので、クリップ(2a)で放電するより先に放電部(2b)が接触して、クリップ(2a)を放電から守る方法と、抵抗(2c)を取り付けた補助用クリップ(2d)を取り付けることでクリップ(2a)を放電から守る方法と、前記放電部(2b)を補助用クリップ(2d)に取り付ける方法の、ナイフスイッチを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のナイフスイッチは絶縁台(1)の上に、電力側支持具(2)と機器側支持具(3)が取り付けてある。
その電力側支持具(2)には、ナイフ(3a)を挟んで止めるクリップ(2a)と、クリップ(2a)を放電しないように放電部(2b)が具備されている。その放電部(2b)は、弾力のあるバネのようになっており、クリップ(2a)が接触する前に接触して、放電するのでクリップ(2a)部の放電を少なくする。
そして、ナイフ(3a)をクリップ(2a)が挟んで接触面を広くするため、ナイフスイッチは熱を持たない。
機器側支持具(3)は、ヒンジ(3b)を介してナイフ(3a)が取り付けてあり、クリップ(2a)に接触し易くするため、ナイフ(3a)には面取り部(3c)があることで目的を達成した。
【0007】
請求項2のナイフスイッチは、絶縁台(1)の上に電力側支持具(2)と機器側支持具(3)が取り付けてあり、電力側支持具(2)には抵抗(2c)を取り付けた補助用クリップ(2d)がナイフ(3a)と先に接触し、後から電力側支持具(2)のクリップ(2a)に接触する。
機器側支持具(3)は、ヒンジ(3b)を介してナイフ(3a)が取り付けてあり、補助用クリップ(2d)とクリップ(2a)に接触し易くするため、ナイフ(3a)には面取り部(3c)があることで目的を達成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明のナイフスイッチは、次のような効果がある。
(イ)余分に放電部(2b)を取り付けたことで、クリップ(2a)が放電しないので綺麗に保てる。
(ロ)請求項2のナイフスイッチは、抵抗(2c)を取り付けた補助用クリップ(2d)を余分に取り付けたことで、クリップ(2a)の放電がないので綺麗に保てる。
(ハ)抵抗(2c)を取り付けた補助用クリップ(2d)と、補助用クリップ(2d)に放電部(2b)を取り付けた物は、さらに大電流のスイッチに向いている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図は、本発明の斜視図である。
【図2】図は、オフの時のナイフスイッチの側面図である。
【図3】図は、放電部(2b)に接触した時のナイフスイッチの側面図である。
【図4】図は、オンの時のナイフスイッチの側面図である。
【図5】図は、請求項2のナイフスイッチの側面図である。
【図6】図は、請求項1と請求項2を合わしたナイフスイッチの側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のナイフスイッチは絶縁台(1)の上に、電力側支持具(2)と機器側支持具(3)を取り付け、機器側支持具(3)にはヒンジ(3b)を介してナイフ(3a)が、電力側支持具(2)のクリップ(2a)で挟んで止め、通電するところは、一般のナイフスイッチと同じである。
本発明の特徴は、電力側支持具(2)に放電部(2b)を具備して、ナイフ(3a)の面取り部(3c)が、クリップ(2a)に接触するより早く、放電部(2b)が接触するために、クリップ(2a)での放電はしなくなる。その放電部(2b)は、電力側支持具(2)を真鍮版で作るとき、クリップ(2a)と放電部(2b)を一緒に型を取り、曲げて作るため、全体が薄い弾力を持ったバネのようになっている。
【0011】
放電部(2b)と、放電部(2b)に接触するナイフ(3a)は、いくら放電しても接触するのが、上から押さえ付けるだけなので、障害にならない。
そして、放電部(2b)が放電しているため、ナイフ(3a)とクリップ(2a)の接触面には少しの電気しか流れず、完全にスイッチをオンにした状態では、ナイフ(3a)とクリップ(2a)に表面積が広くなるので、大部分の電気は放電部(2b)を通らず、ナイフ(3a)からクリップ(2a)へと流れる。
【0012】
請求項2のナイフスイッチは、機器側支持具(3)は従来のナイフスイッチと同じであるが、抵抗(2c)を取り付けた補助用クリップ(2d)がナイフ(3a)と先に接触する。
補助用クリップ(2d)は、抵抗(2c)を取り付けてあるので、クリップ(2a)とナイフ(3a)が接触したときよりは、電流は少ししか流れない。
そして、後からクリップ(2a)に接触するのが特徴で、補助用クリップ(2d)には抵抗(2c)を取り付けてあるため、ナイフ(3a)がクリップ(2a)と接触する約一割の電気が流れるが、約一割の電気でもスパークする時には、補助用クリップ(2d)を二個用意して、最初に接触する補助用クリップ(2d)が約一分電気が流れ、その次に接触する補助用クリップ(2d)が約九分流れて、両方で一割になる方法がある。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は、スイッチをオンの状態の斜視図であり、ナイフスイッチの全体の形をイメージして、図2はスイッチをオフの状態の側面図である。三相の200V、250Aのナイフスイッチを分かり易くするために、一相だけを書いた。
250Aは、物凄い大電流で、普段は20Aぐらいしか加わっていないから普通に操作しているが、最高が250Aなので、250Aを通す物として説明をする。
図2は、オフの状態を示している。ナイフスイッチのナイフ(3a)の厚みは4ミリで、電力側支持具(2)は2ミリの真鍮板を曲げてクリップ(2a)と放電部(2b)を作った。放電部(2b)は2ミリの真鍮板でできているため弾力性があり、ナイフ(3a)と接触すると弾力があり、ナイフ(3a)に押されて引っ込む。
【0014】
図3は、放電部(2b)が接触した状態の側面図である。
放電部(2b)が接触したナイフ(3a)は、面取り部(3c)の根元部分の面を取っていないところで接触し、接触する面積は20平方ミリある。しかし、20平方ミリあっても250Aを通すと1秒後には、放電部(2b)は溶けてしまうが、そのままナイフ(3a)をクリップ(2a)の間に差し込む。
その時間は、放電部(2b)がタッチして、クリップ(2a)の間に収まるまでに0.01秒位である。 また、放電部(2b)に放電しても、放電部(2b)は上から押さえ付けるように動くので、クリップ(2a)とナイフ(3a)が放電したときのように、ナイフ(3a)がクリップ(2a)を接触した状態ですり動くのとは違い、そのダメージは微小といえる。
【0015】
図4は、スイッチをオンの状態の側面図である。
ナイフ(3a)はクリップ(2a)の間に収まり、接触面積は20ミリ×20ミリが両面で800平方ミリあるので、放電部(2b)は殆ど電気を通さず、またナイフスイッチは接触面積が広いため熱を発生しない。
【実施例2】
【0016】
図5は、請求項2の側面図である。その図は、補助用クリップ(2d)を2個取り付けてあり、最初にナイフ(3a)がタッチする補助用クリップ(2d)は、抵抗(2c)にハロゲンランプの500wを使用している。
ハロゲンランプは、普通の電球よりも小さく、普通の抵抗(2c)では抵抗を熱に変えていたが、熱の処分が面倒なためハロゲンランプを採用して、熱を光に変えていた。
2つ目の補助用クリップ(2d)の抵抗(2c)は、ハロゲンランプを9個取り付けて4500wとし、両方の補助用クリップ(2d)で5000w流れるようにした。
この方法は、ナイフスイッチを操作が多少遅くとも抵抗(2c)が光るだけで障害がない。
【実施例3】
【0017】
図6は、請求項1と請求項2を合わせた、ナイフスイッチの側面図である。その図は、補助用クリップ(2d)を2個取り付けたあり、最初にナイフ(3a)がタッチする補助用クリップ(2d)に放電部(2b)を取り付け、抵抗(2c)にハロゲンランプの500wを使用している。500wのハロゲンランプの抵抗(2c)に、放電部(2b)を取り付けると、ナイフ(3a)と補助用クリップ(2d)の放電は無くなり、そのナイフスイッチの寿命も伸びる。したがって、コストの事を無視すればこの方法が、一番良いと思う。
【産業上の利用可能性】
【0018】
リレーでも請求項2の方法で、接点を保てることができる。リレーで大電流を流すのは、例えば自動車のセルモータのスイッチなどで、広い意味では請求項2の、変わりをマグネットスイッチがしていると言える。
つまり、マグネットスイッチが、メインの配線(ナイフスイッチではクリップ(2a))で、そのマグネットスイッチを入れるためにイグニッション・スタータスイッチがあり、そのイグニッション・スタータスイッチはブルインコイルが抵抗となり、補助用クリップ(2d)の変わりをしている。
このリレーと同じように、リレーを作動さすスイッチを補助用クリップ(2d)とし、リレーの作動さすメインの配線の、初期電流を下げる方法もあるが、この方法だとメインに電流が流れだすと、リレーの作動する電気が流れなくなるが、それは今後の課題とする。
【符号の説明】
【0019】
1 絶縁台
2 電力側支持具 2a クリップ 2b 放電部
2c 抵抗 2e 電力側取付ネジ
3 機器側支持具 3a ナイフ 3b ヒンジ
3c 面取り部 3e 機器側取付ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁台(1)の上に、電力側支持具(2)と機器側支持具(3)が取り付けてあり、
該電力側支持具(2)には、ナイフ(3a)を挟んで止めるクリップ(2a)と、該クリップ(2a)が放電しないように放電部(2b)が具備されており、
上記機器側支持具(3)は、ヒンジ(3b)を介して該ナイフ(3a)が取り付けてあることを特徴とするナイフスイッチ。
【請求項2】
絶縁台(1)の上に、電力側支持具(2)と機器側支持具(3)が取り付けてあり、
該電力側支持具(2)には、抵抗(2c)を取り付けた補助用クリップ(2d)がナイフ(3a)と先に接触し、後から該電力側支持具(2)のクリップ(2a)に接触し、
上記機器側支持具(3)は、ヒンジ(3b)を介して該ナイフ(3a)が取り付けてあることを特徴とするナイフスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−257808(P2010−257808A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107304(P2009−107304)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(307010384)
【Fターム(参考)】