説明

ナタデココ加工品およびその製造方法

【課題】飲食の際の強い歯ごたえ、のどごし感などの独特の食感を保ち、のどを通過する際に爽やかな冷涼感を与えることのできるナタデココ加工品の提供。
【解決手段】ナタデココにメントール等の冷感剤を添加した後、加熱・脱気を行うことにより、冷感剤をナタデココ内部に含浸する。そのことにより、本来の独特の食感に加えて、のどごし時の冷感剤の爽やかな冷涼感を、楽しむことができるナタデココ加工品。また、食品素材として、デザート、飲料などに添加することにより、より嗜好性の高い、新しいタイプの食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷感剤を含有する新感覚のナタデココ加工品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナタデココは、ココナッツの実を搾汁して得られるココナッツジュースやココナッツミルクに酢酸菌の一種であるアセトバクーター・キシリナム(Acetobacter Xylinum)を加えて10日間から二週間の醗酵を行い、その表面に生成する多糖類の膜が15mmほどになったときにこれを切断し、酸抜き、洗浄などの処理を行って得られる微生物セルロースゲルの1種である。他の食品素材である、ゼラチン、寒天、コンニャク、アロエ、タピオカなどのゲルとは全く異なる、その独特の食感は、強い歯ごたえ、のどごし感を有しており、消費者の嗜好に合う素材として、これを含有するデザート、飲料等、多くの食品が販売されている。
【0003】
これまでナタデココを用いる食品または食品の製造に関する提案がいくつか行われている。例えば、一辺が1〜10mmのナタデココ細片を添加した飲料の提案(特許文献1)、動物の形など特殊形状に造形されたナタデココを含有するナタデココ飲料の提案(特許文献2)、ナタデココまたはアロエ葉肉を含有し、水分含量が6重量%以下である菓子・食品素材の提案(特許文献3)、各種の果実の果肉、アロエ果肉、ナタデココなどの固形物を増粘剤を溶解して粘性を持たせた水溶液に浸漬させ、液に流動性を持たせ、これをカップに取り、計量し、飲料容器に充填し、密閉する固形物を含有する飲料を製造する方法の提案(特許文献4)がある。
【0004】
しかしながら、これまではナタデココの独特の食感をもっぱら、ヨーグルト、各種フルーツ、飲料などと組み合わせて食品中で楽しむ範囲での利用であった。
【0005】
また、別の提案として、果実の果肉の水可溶物を主成分とする培地に機能性素材、例えば色素、香料、長鎖不飽和脂肪酸、ビタミン類、抗酸化剤及び栄養素材からなる群から選ばれる1種または2種以上からなる機能性素材含有微生物セルロースゲルの提案(特許文献5)があるが、機能性素材を培地に配合し、微生物を培養することにより生産されるセルロースゲルに機能性素材を含有させる方法であり、ナタデココに冷感剤を添加して新たな食感を創造するものではない。
【0006】
したがって、消費者の興味を喚起して、新たなる食品を創造するためのナタデココの技術的改善が求められていた。
【0007】
【特許文献1】特開平7−31434号公報
【特許文献2】特開2001−178428号公報
【特許文献3】特開2001−327254号公報
【特許文献4】特開2005−204564号公報
【特許文献5】特開2001−120197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、冷感剤を含有する新感覚のナタデココ加工品およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、今回、ナタデココに冷感剤を添加して加熱・脱気を行ったところ、冷感剤がナタデココ内部に含浸し、得られたナタデココ加工品は飲食の際の強い歯ごたえ、のどごし感などナタデココ本来の独特の食感に加え、のどを通過する際に冷感剤の爽やかな冷涼感が持続的に残る新感覚の食品素材が得られ、本発明の完成に至った。
【0010】
かくして、本発明は、冷感剤を含有してなるナタデココ加工品を提供するものである。
また、本発明は、冷感剤が、メントールとメントール以外の冷感剤の組合わせである前記のナタデココ加工品を提供するものである。
また、本発明は、ナタデココに冷感剤を添加した後に、加熱・脱気を行うことにより、冷感剤をナタデココ内部に含浸させることを特徴とする前記のナタデココ加工品の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、飲食の際の強い歯ごたえ、のどごし感などナタデココ本来の独特の食感に加え、冷感剤の爽やかな冷涼感が口腔、咽頭、食道に持続的に残り、楽しむことができる新感覚のナタデココ加工品を得ることができるとともに、これを食品素材として、デザート、飲料などに添加することにより、より嗜好性の高い、新しいタイプの食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明で使用することができるナタデココは、食品として摂取できるものであれば、どんなものでも構わない。例えば、主としてフィリピンで製造され、缶詰で輸入され、販売されているナタデココを使用することができる。ナタデココの一般的形状は、一辺が5〜15mm程度のサイコロ状のものが多いが、球状あるいは動物、星形などをかたどったものでも良い。それより大きな板状のものも入手し、所望の形状、大きさに切断して使用しても良い。
【0013】
また、ココナッツの実を搾汁して得られるココナッツジュースやココナッツミルクに酢酸菌の一種であるアセトバクーター・キシリナム(Acetobacter Xylinum)を接種して、10日間から二週間の醗酵を行い、その表面に生成する多糖類の膜が15mmほどになったときにこれを切断し、酸抜き、洗浄処理を行って得られるナタデココを使用しても良い。
【0014】
本発明品で使用することができる冷感剤とは、皮膚や喉の粘膜などに対し、ひんやりとした冷たい感覚、すなわち冷感効果を与える物質のことであり、冷感効果以外に香気を有するものもあれば、香気は持たないものもある。また、複数の冷感剤の組合わせによっては冷感が持続し、香気、香味および冷感効果などの感覚刺激全体の感覚、いわゆる風味の改善が図れる場合がある。具体的な冷感剤としては、例えば、メントール、イソプレゴール、メントン、イソメントン、プレゴン、イソプレゴン、カンファー、1.8−シネオール、メンチルラクテート、モノメンチルスクシネート及びそのアルカリ土類金属塩、メンチル 3−ヒドロキシブチレート、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブチルアミド、N−(3−メトキシプロピル)−p−メンタン−カルボキサミド、N−(2−エトキシエチル)−p−メンタン−カルボキサミド、メントングリセロールケタール、(−)−メントキシプロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、およびこれらの任意の混合物などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
また、本発明のメントールに関して、さらに詳しく説明すれば、合成、天然を問わずどんなメントールでも良い。例えば、合成のdl−メントール、l−メントール、d−メントール;和種ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油から単離される天然l−メントールから選ばれる1種以上の任意の混合物を使用することができる。また、メントールを含有する和種ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油そのものを使用しても良い。あるいは、これらの任意の混合物を使用することもできる。
【0016】
メントールはその冷感効果とともに、その独特の清涼感のある香気香味が嗜好的に非常に好まれ、製品に清涼感を与える香料素材としては最も効果的であるため、広い用途で大量に使用されているが、刺激的な匂いや苦味、昇華性があり揮発しやすいこと、冷感効果の持続性にかけるなどの欠点がある。そこで、メントールと他の冷感剤を併用すると、その香気香味が改善され、かつ冷感効果の持続性を改善することができる。どの冷感剤と併用しても改善が見られるが、好ましくは、メンチルラクテート、モノメンチルスクシネート及びそのアルカリ土類金属塩、メンチル 3−ヒドロキシブチレート、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブチルアミド、N−(3−メトキシプロピル)−p−メンタン−カルボキサミド、N−(2−エトキシエチル)−p−メンタン−カルボキサミド、メントングリセロールケタール、(−)−メントキシプロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオールから選ばれる1種以上の冷感剤と併用した場合に、嗜好性が著しく向上し、冷感効果の持続性も改善される。
【0017】
メントールと他の冷感剤を併用する場合の混合割合は、メントールに対する冷感剤の重量比が0.001〜10の範囲内であり、好ましくは、0.05〜5の範囲内、より好ましくは0.2〜2の範囲内で使用する。
【0018】
メントールおよび冷感剤の合計重量は、ナタデココ加工品全体の重量を100として0.0001〜10の範囲内の濃度、好ましくは0.005〜1の範囲内の濃度、より好ましくは0.01〜0.1の範囲内の濃度で添加する。
【0019】
冷感剤は、常温で固体であり、通常はエチルアルコール、プロピレングリコールなどの溶剤に溶解して使用する。
【0020】
冷感剤をナタデココ内部に含浸させる方法は、例えば、裁断されたナタデココに水、グラニュー糖、酸味料、安定剤を添加・混合し、40〜55℃まで昇温後、冷感剤を添加し、−0.05MPa〜−0.09MPa、約1〜60分間程度の減圧脱気を行った後、80〜95℃、5〜15分間程度の加熱殺菌を行い、20〜30℃まで冷却することにより実施することができる。
【0021】
従来、ナタデココ加工品に香料を添加するには、例えば、ナタデココ、糖、酸味料に、必要であれば、水および/または安定剤を添加後、香料を添加し、殺菌、冷却を行ってナタデココ加工品を調製していた。そのため、ナタデココの内部に糖、酸味料、安定剤などが浸透するものの、香料はナタデココの外部の糖、酸味料、安定剤などを溶解した液中にそのほとんどが存在し、ナタデココ内部に浸透することはなかった。
【0022】
本発明において、例えば、ナタデココ、糖、酸味料に、必要であれば、水および/または安定剤を添加し、同時に冷感剤を添加し、その状態で、加熱し、減圧脱気工程を経ることにより、メントールなど揮発性物質の一部が損失することは避けられないものの、減圧脱気操作により、多糖類ゲルであるナタデココに冷感剤を非常に良く浸透させることができた。
【0023】
前記のナタデココ加工品をそのまま使用するのが一般的であるが液部を取り除き、冷感剤を含浸させたナタデココをナタデココ加工品として使用することもできる。
また、本発明のナタデココ加工品にはメントール以外の香料、香辛料抽出物、抗酸化剤、色素など食品に使用可能な成分を適宜配合してもよい。
【0024】
本発明のナタデココ加工品は、そのもの自身を食品として飲食に供することもできるが調合素材として他の食品に添加することにより、効果的に食品の嗜好を高めることができる。例えば、炭酸飲料、果汁飲料、機能性飲料、スポーツ飲料、果実酒飲料類、乳飲料、発酵乳飲料、ゼリー飲料、フルーツポンチ、アルコール飲料などの飲料類;ヨーグルト、プリン、ゼリー、杏仁豆腐などの食品類;アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディー類などの冷菓類;和・洋菓子類などに冷感剤を含有するナタデココ加工品の適当量を添加することにより、そのユニークな新食感が賦与された飲食品類を提供することができる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
【実施例】
【0025】
実施例1
市販のナタデココを11mm角にカットしたもの700g、砂糖150g、水137.5gを混合し、クエン酸1.5gを添加し、55℃まで昇温後、メントール溶液(メントールの3%プロピレングリコール溶液)6gおよび冷感剤溶液(モノメンチルスクシネートをプロピレングリコールに1.5%添加、溶解したもの)4gを添加し、50mmHg、1分間の減圧脱気を行った。前記減圧脱気後、90℃、10分間加熱殺菌した後、ガラス製 1kg用マヨネーズ瓶に熱時充填し、30℃に冷却することにより、ナタデココプレザーブ(本発明品1)を得た。
【0026】
実施例2
実施例1の冷感剤溶液に代えて、冷感剤溶液(メンチル3−ヒドロキシブチレートをプロピレングリコールに1.5%添加、溶解したもの)とする以外は実施例1と同様な方法により、ナタデココプレザーブ(本発明品2)を得た。
【0027】
実施例3
実施例1の冷感剤溶液に代えて、冷感剤溶液(モノメンチルラクテートをプロピレングリコールに1.5%添加、溶解したもの)とする以外は実施例1と同様な方法により、ナタデココプレザーブ(本発明品3)を得た。
【0028】
実施例4
実施例1の冷感剤溶液に代えて、冷感剤溶液(モノメンチルスクシネートおよびメンチル3−ヒドロキシブチレートをプロピレングリコールにそれぞれ1.5%添加、溶解したもの)とする以外は実施例1と同様な方法により、ナタデココプレザーブ(本発明品4)を得た。
【0029】
実施例5
実施例1の冷感剤溶液に代えて、冷感剤溶液(メンチル3−ヒドロキシブチレートおよびモノメンチルラクテートをプロピレングリコールにそれぞれ1.5%添加、溶解したもの)とする以外は実施例1と同様な方法により、ナタデココプレザーブ(本発明品5)を得た。
【0030】
実施例6
実施例1の冷感剤溶液に代えて、冷感剤溶液(モノメンチルラクテートおよびモノメンチルスクシネートをプロピレングリコールにそれぞれ1.5%添加、溶解したもの)とする以外は実施例1と同様な方法により、ナタデココプレザーブ(本発明品6)を得た。
【0031】
実施例7〜12
実施例1〜6でメントール溶液を除くほかは実施例1〜6と同様な手順により、ナタデココプレザーブ(本発明品7〜12)を得た。
【0032】
実施例13
実施例1で冷感剤溶液を除くほかは実施例1と同様な手順により、ナタデココプレザーブ(本発明品13)を得た。
【0033】
比較例1〜6
実施例1〜6において、メントール溶液および冷感剤溶液を脱気後に添加するほかは実施例1〜6と同様な手順により、ナタデココプレザーブ(比較品1〜6)を得た。
【0034】
比較例7〜12
実施例7〜12において、冷感剤溶液を脱気後に添加するほかは実施例7〜12と同様な手順により、ナタデココプレザーブ(比較品7〜12)を得た。
【0035】
比較例13
メントール溶液を脱気後に添加するほかは実施例13と同様な手順により、ナタデココプレザーブ(比較品13)を得た。
【0036】
官能評価
本発明品1〜13および比較品1〜13を下記処方にしたがって、ヨーグルトと混合し、ナタデココプレザーブ入りヨーグルトを試作した。10名の良く訓練されたパネルにより、ナタデココプレザーブ入りヨーグルト中でのナタデココの冷涼感、持続性の官能評価を行い、まとめたのが表1である。
冷涼感、持続性の評点は10名の各パネルが良好と感じた場合に1点の評価点を与え、その合計で示した。また、冷涼感、持続性の評点合計を総合評価とした。
【0037】
処方:ナタデココプレザーブ入りヨーグルト
市販プレーンヨーグルト 66.5%
ナタデココプレザーブ 30%
砂糖 3.5%
計 100%
【0038】
【表1】

【0039】
上記の処方で市販プレーンヨーグルトにナタデココプレザーブを添加、混合した本発明品1〜13および比較品1〜13のいずれの場合も、ヨーグルト自体の風味は大きく変化することはなく、僅かに爽快感、あるいは風味のシャープさが増していたとパネルのほとんどが回答した。官能評価により、相違が認められたのはナタデココを噛んで、飲み込む際のナタデココの冷涼感および持続性などの風味であった。
【0040】
表1に示すように、脱気前にメントール溶液および/または冷感剤溶液を添加した本発明品1〜13は、冷涼感または持続性の評点が脱気後に添加した比較品1〜13に比べ、顕著に高く、本発明品1〜13ではメントールおよび/または冷感剤がナタデココ内部に良く含浸していることが確認された。特にメントールと冷感剤を併用した本発明品1〜6は、冷涼感の評点が7〜10、持続性の評点にいたっては10と、パネル全員が評点を与え、非常に好ましい結果であった。官能のコメントを総合すれば、本発明のナタデココは従来のナタデココの食感に加え、口腔、咽頭、食道に至るまで好ましい冷涼感が広がり、約30秒〜2分ほどその感覚が持続し、これを添加したヨーグルトに新食感を与え、嗜好性の向上が認められた。
【0041】
また、メントール無添加で、冷感剤のみを脱気前に添加した本発明品7〜12は冷涼感の評点は1〜2と低かったが、持続性は7〜10と高く、ナタデココに明らかに新食感を与えていた。また、メントールのみを脱気前に添加した本発明品13は、持続性の評点は4とあまり高くなかったが、冷涼感の評点は6と高く、ナタデココに明らかに新食感を与えているとの評価であった。
【0042】
結論として、脱気前にメントール溶液および/または冷感剤溶液を添加した本発明品1〜13はナタデココ内部にメントールおよび/または冷感剤が含浸し、飲食の際にナタデココが接触する口腔、咽頭、食道に好ましい冷涼感を付与し、かつ持続し、これまでない好ましい新食感が付与されたヨーグルトが得られたことが確認された。
【0043】
実施例14
実施例1で得られたナタデココプレザーブ(本発明品1)を20メッシュの篩を用いてナタデココを分離し、水洗し、4mmカットしたものを市販グレープフルーツ果汁入り飲料に5%添加した(本発明品14)。
【0044】
実施例15
実施例14で用いたナタデココプレザーブ(本発明品1)を、実施例2で得られたナタデココプレザーブ(本発明品2)とする以外は実施例14と同様な方法により、市販グレープフルーツ果汁入り飲料にナタデココを5%添加した(本発明品15)。
【0045】
実施例16
実施例14で用いたナタデココプレザーブ(本発明品1)を、実施例3で得られたナタデココプレザーブ(本発明品3)とする以外は実施例14と同様な方法により、市販グレープフルーツ果汁入り飲料にナタデココを5%添加した(本発明品16)。
比較例14
実施例14で用いたナタデココプレザーブ(本発明品1)を、比較例1で得られたナタデココプレザーブ(比較品1)とする以外は実施例14と同様な方法により、市販グレープフルーツ果汁入り飲料にナタデココを5%添加した(比較品14)。
【0046】
比較例15
実施例14で用いたナタデココプレザーブ(本発明品1)を、比較例2で得られたナタデココプレザーブ(比較品2)とする以外は実施例14と同様な方法により、市販グレープフルーツ果汁入り飲料にナタデココを5%添加した(比較品15)。
【0047】
比較例16
実施例14で用いたナタデココプレザーブ(本発明品1)を、比較例3で得られたナタデココプレザーブ(比較品3)とする以外は実施例14と同様な方法により、市販グレープフルーツ果汁入り飲料にナタデココを5%添加した(比較品16)。
【0048】
官能評価
本発明品14〜16および比較品14〜16を10名の良く訓練されたパネルにより官能評価を行い、まとめたのが表2である。
【0049】
冷涼感、持続性の評点は10名の各パネルが良好と感じた場合に1点の評価点を与え、その合計で示した。また、冷涼感、持続性の評点合計を総合評価とした。
【0050】
【表2】

【0051】
表2に示すように脱気前にメントールおよび冷感剤を添加した本発明品14〜16は、冷涼感または持続性の評点が脱気後に添加した比較品14〜16に比べ、顕著に高く、本発明品14〜16ではメントールおよび冷感剤がナタデココ内部に良く含浸していることが確認された。
【0052】
また、官能のコメントを総合すれば、本発明のナタデココを添加したグレープフルーツ果汁入り飲料は、グレープフルーツの爽やかシトラスの風味に加え、これとマッチし、メントールおよび冷感剤の風味がアクセントとなった新感覚の飲料を提供できるとの評価であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷感剤を含有してなるナタデココ加工品。
【請求項2】
冷感剤が、メントールとメントール以外の冷感剤の組合わせである請求項1に記載のナタデココ加工品。
【請求項3】
ナタデココに冷感剤を添加した後に、加熱・脱気を行うことにより、冷感剤をナタデココ内部に含浸させることを特徴とする請求項1または2に記載のナタデココ加工品の製造方法。