説明

ナノカーボン材料含有分散液

【課題】ナノカーボン材料の凝集がなく均一に安定したナノカーボン材料含有分散液の提供。
【解決手段】前記課題を解決するためのナノカーボン材料含有分散液は、ナノカーボン材料と、水及びまたは親水性溶媒と、非イオン系の界面活性剤とを含んでなり、前記界面活性剤は下記式で示される3級アミンオキサイド化合物からなる。式(1)のR1は炭素数12〜24のアルキル基、アルケニル基を表し、R2及びR3は同一若しくは異なる炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、−(AO)n−Hで表せる基(但し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、nは1〜35の整数である)のいずれかを表す。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はナノカーボン含有分散液に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノカーボン材料とは「ナノメーターレベルで精緻に微視的構造や組織・形態が制御、設計され、それによって従来にない高度な性能が付与され、あるいは革新的な機能を発現する炭素体」と定義される(非特許文献1参照)。この材料は技術革新を担う次世代材料として近年、非常に注目されている。
【0003】
ナノカーボン材料の一つであるカーボンナノチューブ(以下、CNT)は、近年、飯島らによって発見された炭素を原料とした直径0.5〜100nm、長さμmオーダーの筒状物質である。これまで、グラファイトやフラーレンなどの炭素を原料とした材料が知られているが、CNTは前記材料よりも比重が低く、強度が高く、通電性に優れているので、フラットパネルディスプレイ、電子デバイス、走査型顕微鏡、複合材料などへの用途開発が進められている。
【0004】
しかしながら、CNTは凝集し易い性質を有している。そのため、CNTを分散させないと強度性や通電性などCNTが本来持ち合わせている性能を充分に発揮させることができない。このことがCNTの普及を妨げる原因の一つとなっている。
【0005】
通常、CNTの分散に使用される溶媒としては水、有機溶媒、高分子またはこれらの混合物が挙げられる。例えば、水、アルコール、アセトン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどが使用される。
【0006】
しかしながら、CNTは単独では水や有機溶媒、高分子材料に分散しにくいという欠点を有している。これはCNTの凝集力により、束状になってしまうのが大きな理由である。この欠点は、CNTの有用な特性にもかかわらず、各分野への用途に対する大きな障壁となっている。
【0007】
このような理由からCNTを水、有機溶媒、高分子材料に効率よく分散させるために以下に挙げられる方法が試されている。
【0008】
特許文献1によると、CNTを溶媒に分散させるという方法として、重縮合系の芳香族系界面活性剤を使用してCNTを水に分散させる方法が試みられている。しかしながら、この方法によっては、CNT水への分散が不十分であり、CNTの濃度が高くなるにつれて、分散しきれず、凝集したCNTが多く残ってしまうという欠点がある。さらに、特許文献1のCNT含有分散液で使用されているアニオン系界面活性剤は金属塩であるため、電子材料分野への用途は困難となってしまう。
【0009】
特許文献2及び特許文献3にはドデシル硫酸ナトリウムやドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤を使用して水に分散させる方法が提案されている。
【0010】
しかしながら、この場合でも、CNTの濃度が高くなるにつれ、分散しきれず、凝集したCNTが多く残ってしまい、且ついずれも金属塩であるために、電子材料分野への用途は困難となってしまうなど、CNTの分散剤が使用できる分野が限られてしまう。
【0011】
特許文献4によると、CNTの凝集性を低減させるために、CNTの表面を酸で酸化してカルボキシル基を生成させ、これをアルコールと反応させてアルキルエステル化する方法が採られている。
【0012】
しかしながら、この方法はCNTを表面修飾しなければならないので、CNT含有分散液を調整するまでの工程が煩雑となってしまう。さらに、CNTを表面修飾する工程において、強酸でCNTの表面の前処理をしているため、CNTが本来有している強度及び導電性などの特性を損なわせるおそれがある。
【0013】
また、特許文献5〜特許文献7にはCNTの分散に使用される分散剤としてアニオン系、カチオン系、非イオン系の界面活性剤が例示されている。
【0014】
しかしながら、特許文献5によるとカチオン系の界面活性剤が好ましい旨、特許文献6及び7によるとアニオン系及びカチオン系の界面活性剤の記載が好ましい旨の記載があり、積極的に非イオン系の界面活性剤を用いると有効である旨の記載がない。特に、非イオン系の界面活性剤である3級アミンオキサイド化合物を用いることの有効性すなわちナノカーボン材料の良好な分散性について実質的に何ら検討され見出されていない。
【特許文献1】遠藤守信、飯島澄男、「ナノカーボンハンドブック」、エヌティーエス、2007、p.3
【特許文献1】特開2005−263608号公報
【特許文献2】特開2003−238126号公報
【特許文献3】特開2005−95806号公報
【特許文献4】特開2005−133062号公報
【特許文献5】特表2005−530667号公報(段落0068)
【特許文献6】特開2006−278233号公報(段落0067)
【特許文献7】特開2007−26708号公報(段落0075)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は以上の事情に鑑みなされたもので、その目的はナノカーボン材料の凝集がなく均一に安定したナノカーボン含有分散液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そこで、前記課題を解決するためのナノカーボン材料含有分散液は、ナノカーボン材料と、水及びまたは親水性溶媒と、非イオン系の界面活性剤とを含んでなり、前記界面活性剤は下記式で示される3級アミンオキサイド化合物からなる。
【0017】
【化1】

【0018】
式(1)のR1は炭素数12〜24のアルキル基、アルケニル基を表し、R2とR3は同一または異なる炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、−(AO)n−Hで表せる基(但し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、nは1〜35の整数である)のいずれかを表す。
【0019】
前記ナノカーボン材料含有分散液において、前記R2及びR3としては例えばメチル基が挙げられる。また、前記R1としては炭素数16〜24のアルキル基、アルケニル基が挙げられる。さらに、前記ナノカーボン材料としては例えばカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノコイル、カーボンナノホーン及びフラーレンからなる群から1種以上選択されたものが挙げられる。
【0020】
また、前記ナノカーボン材料含有分散液及びナノカーボン材料含有樹脂組成物において、前記ナノカーボン材料100質量部に対し、前記3級アミンオキサイド化合物が0.1〜2000質量部配合するとよい。
【発明の効果】
【0021】
以上の発明によればナノカーボン材料の凝集がなく均一に安定したナノカーボン含有分散液を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
発明に係るナノカーボン材料含有分散液はナノカーボン材料と水及びまたは親水性溶媒と非イオン系の界面活性剤とを含んでなり、前記界面活性剤は下記式で示される3級アミンオキサイド化合物からなる。このナノカーボン含有分散液はナノカーボンの凝集がなく、均一且つ安定的に分散した状態となっている。
【0024】
前記ナノカーボン材料含有分散液は前記3級アミンオキサイド化合物を水及びまたは親水性溶媒に溶解し、これにナノカーボン材料を所定の方法によって分散させて得られる。
【0025】
前記ナノカーボン材料としてはカーボンナノチューブ(以下、CNT)、カーボンナノファイバー(以下、CNF)、カーボンナノコイル(以下、CNC)、カーボンナノホーン(CNH)、フラーレンなどが例示される。
【0026】
CNTはグラフェンシートが円筒状に巻かれたもので、この円筒が単層のものに限定されず複数の層からなるものでもかまわない。また、グラフェンシートがカップ状に積み重なったものでもかまわない。すなわち、前記ナノカーボン材料含有分散液に適用されるCNTとしては単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カップスタック型カーボンナノチューブが例示される。このなかでも特に多層カーボンナノチューブを用いるとよい。
【0027】
CNTの大きさなどは特に限定されないが、典型的には平均直径が10〜200nm、平均アスペクト比が5〜250であり、好ましくは平均直径が10〜80nm、平均アスペクト比が50〜150、より好ましくは平均直径が10〜50nm、平均アスペクト比が80〜120であるとよい。
【0028】
CNTは、通常、化学気相成長法(CVD法)、レーザー蒸発法、アーク放電法などの方法よって製造されるが、前記ナノカーボン材料分散液に適用されるCNTはその製造方法が限定されず、前記いずれの方法によって得られたものでもよい。CNTは各メーカーにより製造されており、その種類、製造法、純度、直径、長さなどの異なるものが提供されている。これらのCNTはそのまま使用してもよいが、不純物として、触媒として使用した金属が含まれているので、用途に応じて精製工程も行ってもよい。
【0029】
CNFは主に触媒化学気相析出法で調整され、一般的に、平均直径が80〜数百nmの繊維状炭素である。これもCNTと同様に機械的強度が高く、導電性もある。前記ナノカーボン材料含有分散液に適用されるCNFの大きさなどは特に限定されないが、典型的には平均直径が80〜数μm、好ましくは平均径が100〜200nm、さらに好ましくは100〜150nmであるとよい。
【0030】
CNCは主にアセチレンの触媒活性化熱分解法により製造される一種の気相成長炭素繊維であり、3Dヘリカル/らせん構造を持つ、繊維の直径が数十nm〜数百nm、コイルの径が、数十nm〜数μmのものをいう。CNCは機械的強度が高く、導電性に優れ、またコイル状であることから、バネ特性に優れているという特徴を有する。
【0031】
CNHはグラファイトシートを円錐形に丸めた形をしており、単層CNTと異なり、不規則な構造を有している。CNHの円錐部分は六員環からなり、平面のグラフェン構造を曲げた構造をなしている。前記円錐部分の頂点には5つの五員環が互いにの間に六員環を挟んで存在し、直径2〜3nmのフラーレン構造の一部をなす。CNHはレーザー剥離法によって製造できる。CNHは質量当たりの表面積が高いので吸着剤、触媒坦持体として高い能力を有する。
【0032】
フラーレンは1985年に発見されたC60及びC70の閉殻構造型カーボンクラスターであり、ナノテクノロジーにおける中心的素材として。実用化が本格的に進められてきている。
【0033】
以上のナノカーボン材料の大きさ、平均直径及び平均アスペクト比は電子顕微鏡による観察から求めることができる。例えば、TEM(透過型電子顕微鏡)の測定を行い、その画像からカーボンナノ材料の大きさ、直径及び長手方向の長さを測定することができる。
【0034】
前記ナノカーボン材料含有分散液に適用される水の種類は特に限定されるものでなく、用途に応じて、水道水、天然水、蒸留水、イオン交換水、純水などを使いわけるとよい。
【0035】
前記ナノカーボン材料含有分散液に適用される親水性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ターピネオール、ジヒドロターピネオールなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどのグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,4−ブタントリオールなどの多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルグリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのアルキレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類、酢酸エチル、ジヒドロターピネオールアセテート、γ−ブチルラクトン、ε−プロピロラクトン、バレロラクトン、カプリロラクトン、ラルロラクトン、パルミトラクトン、ステアラクトンなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、シクロペンタノンなどのケトン類、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、プロピレンカーボネート、γ−ブチロタクトンエチレンカーボネートなどのカーボネート類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、アセトニトリル、プロピオニトリルなどが挙げられる。
【0036】
また、その他にアミン類、カルボン酸類、モノマー類、ポリマー類も親水性溶媒として使用することが可能である。
【0037】
これらは単独でも、または2種以上混合しても使用することができ、必要に応じて分散液の物性を損なわない範囲で、重合開始剤、粘度調節剤、貯蔵安定剤、湿潤剤、酸、塩基及び塩からなる群より選択される1種以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0038】
前記ナノカーボン分散液に適用される3級アミンオキサイド化合物は以下の式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0039】
【化2】

【0040】
式(1)のR1は炭素数12〜24のアルキル基、アルケニル基で表される。
【0041】
炭素数12〜24のアルキル基としては、具体的には、n−ドデシル基(ラウリル基)、n−ヘキサデシル基(パルミチル基)、n−オクタデシル基(ステアリル基)、n−イコサニル基、n−ドコサニル基(べヘニル基)、n−テトラコサニル基などが挙げられる。
【0042】
炭素数12〜24のアルケニル基としては、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基(オレイル基)、ドコセニル基、イコセニル基、テトラニコセル基などが挙げられる。好ましくは、n−ヘキサデシル基(パルミチル基)、n−オクタデシル基(ステアリル基)、n−イコサニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基(オレイル基)、ドコシル基、ドコサニル基(ベヘニル基)であり、より好ましくは、n−オクタデシル基(ステアリル基)、ドコサニル基(ベヘニル基)、オクタデセニル基(オレイル基)である。
【0043】
1が炭素数12よりも小さいとカーボン材料の分散性が劣ってしまう。また、炭素数24より大きいと入手が困難で且つ取り扱いが難しい。
【0044】
2とR3は同一または異なる炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基または−(AO)n−Hで表記される基で表せる。炭素数1〜4のアルキル基としては具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基であり、より好ましくは、メチル基である。炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基としては、具体的には2−ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基などが挙げられる。好ましくは、2−ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基である。また、−(AO)n−Hで表せる基のAOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、具体的にはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基などが挙げられる。nは、1〜35であり、好ましくは2〜25、より好ましくは2〜15である。
【0045】
発明に係るナノカーボン材料含有分散液において、ナノカーボン材料に対する前記3級アミンオキサイド化合物の添加量は前記3級アミンオキサイド化合物の配合量や種類によって適宜定めることができる。例えば、ナノカーボン材料100質量部に対し、前記3級アミンオキサイド化合物を0.1〜2000質量部添加することで、ナノカーボン材料を十分に分散させる効果が得られる。好ましくは5〜1000質量部であり、より好ましくは20〜700質量部である。
【0046】
ナノカーボン材料に対し3級アミンオキサイド化合物0.1質量部未満の場合、ナノカーボン材料に対する界面活性剤の量が不十分であるため、ナノカーボン材料が水及びまたは親水性溶媒中で充分に分散しきれない場合がある。また、1000質量部より多くなると、添加した量に見合った分散効果が得られない場合がある。
【0047】
発明に係るナノカーボン材料含有分散液の調製方法は特に限定されるものではないが、通常以下の工程で行われる。
【0048】
先ず、水及びまたは親水性溶媒100質量部に対し、前記3級アミンオキサイド化合物を0.01〜20.0質量部添加し、必要に応じて、加熱、攪拌により3級アミンオキサイド含有組成物を調製する。
【0049】
次に、この調製された3級アミンオキサイド含有組成物を含む水及びまたは親水性溶媒に対してナノカーボン材料が添加される。
【0050】
ナノカーボン材料を分散させる方法として、攪拌、ホモジナイズ、超音波照射等が挙げられるが、効率良く、均一なナノカーボン含有組成物を得るためには超音波照射法を適用するとよい。通常、超音波照射の方法としては超音波器を用いて行う。先ず、ナノカーボン材料を混合した溶液に照射器のチップを入れ、出力20〜1000Wで10分〜数時間超音波照射を行う。先ず、ナノカーボン材料を混合した溶液に照射器のチップを入れ、出力20〜1000Wで10分〜数時間超音波照射を行う。超音波照射の際には、照射による発熱により、溶液の温度が上昇し、分散が抑制されるおそれがあるため、所定の冷却方法を用いながら、液温が0〜50℃の範囲内で行うのが好ましい。
【0051】
超音波照射によって得られたナノカーボン含有分散液はそのまま使用してもよいし、また、分散しきれずに凝集したナノカーボン材料が残存する場合、それを取り除くために、遠心分離により除去することができる。遠心の条件としては、特に限定されないが、回転数5000〜100000rpm、遠心時間10分〜数時間行うとよい。
【0052】
遠心操作終了後、分散しきれずに凝集したナノカーボン材料含有分散液が遠沈管の底に付着する。それを除去するため、通常、デカンテーション等の方法により分散液と、遠沈管の底に残った未分散のナノカーボン材料を分けることができる。このようにして得られた分散液は凝集がなく、均一に分散されたものであり、通常、5〜30℃の冷暗所に保管するほうがよい。
【0053】
前記調製されたナノカーボン材料含有分散液は目視によりナノカーボン材料が凝集せずに、分散液に均一に分散しているか否かを判断することができる。好ましくは、ナノカーボン材料含有分散液を分光光度計による吸光度の測定によってナノカーボン材料の分散状態を判断することもできる。
【0054】
一般的に、ナノカーボン材料の分散状態が良くない場合、凝集したナノカーボン材料は、分散液の遠心操作または静置により、分散液の底部に沈降してしまう。一方、分散状態が良好な場合、条件にもよるが、分散液の遠心操作または静置による沈降がほとんどない。
【0055】
したがって、分散液、特に上層部のナノカーボン材料の濃度を調べれば、その濃さから分散液の状態が推測できる。通常、分散液の吸光度が大きい程、分散液中のナノカーボン材料が多い、すなわち、ナノカーボン材料の分散性が良好であると判断できる。但し、ナノカーボン材料は種類により、得られる吸収スペクトルが異なり、また、固定波長での吸光度も異なる。
【0056】
分散媒の吸収及び界面活性剤の吸収に大きく影響を及ぼさない波長での測定を考慮して、観測する波長を400〜800nmの範囲内で測定するのが好ましい。また、吸光度測定の際には、分散しているナノカーボン材料と、凝集しているナノカーボン材料とを分けるため、遠心操作を行い、得られた分散液の上層部を採取し、これを測定する。ナノカーボン材料の添加量により吸光度が異なるので、吸光度測定の際には、光路長が1〜20mmの範囲内で使用する分光セルを選択するのがよい。
【0057】
また、調製したナノカーボン材料分散液から水及びまたは親水性溶媒を除去し、得られたナノカーボン組成物を熱可塑性樹脂に添加して得られるナノカーボン含有熱可塑性樹脂の物性を評価することによっても、ナノカーボン材料の分解性が評価できる。
【0058】
通常、熱可塑性樹脂に対するナノカーボン材料の添加量が同じ場合、ナノカーボン材料の分散性の度合いにより、ナノカーボン材料含有熱可塑性樹脂の導電性及び強度は大きく異なる。通常、ナノカーボン材料含有分散液のナノカーボン材料の分散性が良好であると、これから調製したナノカーボン材料組成物を含んだナノカーボン含有熱可塑性樹脂組成物の伝導性及び強度は、ナノカーボン材料の分散性に乏しいナノカーボン分散液から調製したナノカーボン組成物を含んだナノカーボン含有熱可塑性樹脂組成物のものと比べ顕著に高い数値を示す。
【0059】
熱可塑性樹脂に対するナノカーボン材料の添加量は、ナノカーボン材料の配合量、種類によって適宜定めることができるが、熱可塑性樹脂100質量部に対し、ナノカーボン材料を0.01〜20質量部添加することにより、十分に導電性及び強度が高いナノカーボン含有熱可塑性樹脂組成物が得られる。好ましくは、0.1〜10質量部であり、より好ましくは、0.5〜5質量部である。ナノカーボン材料に対し0.01質量部未満の場合、十分に導電性及び強度が得られない。また、20質量部より多くなると、添加した量に見合った強度が得られないおそれがある。
【0060】
ナノカーボン含有熱可塑性樹脂組成物を調製する方法は特に限定されない。例えば以下の方法によって調製できる。一軸または二軸押出機、カレンダー成形機に投入し、混練、成形を行うことによって、シート状、棒状、鋳型成形品やペレット状のコンパウンドやマスターバッチなどの形態で調製することができる。また、前記混練、成形を行う前に、ミキサー型混合機、例えば、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサーなどに、ナノカーボン材料含有組成物及び疎水性の熱可塑性樹脂を所定の割合で混合し、軟化温度以下で混合することもできる。このとき、界面活性剤の分散性を向上する目的で界面活性剤の融点以上で混合、あるいは界面活性剤に溶剤が含まれる場合は、熱成形時に溶剤のガス化による成形不良を防止する目的で、加熱混合によって溶剤を除去することが好ましい。こうして得られた熱可塑性樹脂の混合物を一軸または二軸押出機、カレンダー成形機に投入し、混練、成形を行うことで、シート状、棒状、異型成形品やペレット状のコンパウンドやマスターバッチなどの形態でナノカーボン材料含有熱可塑性樹脂組成物を調製できる。以上のように調製されたナノカーボン含有熱可塑性樹脂組成物は、さらにシートをプレス成形あるいはコンパウンド、マスターバッチを射出成形することなどによって加工することができる。
【0061】
また、ナノカーボン含有熱可塑性樹脂組成物を調製する際には、必要に応じて、添加剤を使用してもよい。具体的には、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、帯電防止剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0062】
以上のナノカーボン材料含有分散液は、フラットパネルディスプレイ、電子デバイス、走査型顕微鏡、建築用構造材、フェンダー、バンパー、ホイルカバーなどの自動車用外装部品への静電塗装材料、半導体、電子部品などの工業用包装材料、OHP用フィルム、スライドフィルムなどに例示される記録材料などの帯電防止フィルム、オーディオテープ、フロッピーディスクなどの磁気記録用テープの帯電防止用材料、携帯電話やノートパソコンなどの電子機器の電磁波シールド用材料などに例示される幅広い用途に利用可能である。
【実施例】
【0063】
実施例及び比較例を挙げて発明をより具体的に説明する。
【0064】
[実施例1−1]
[CNF含有分散液の調製]
水100gに対し、N−オレイル−N,N−ジメチルアミンオキサイド1gを添加して、攪拌し、溶液を調製した。次に、この溶液100gにCNF(VGCF−S、昭和電工株式会社製、平均直径100nm)0.2gを添加、攪拌し、CNF混合液を調製した。次に、この混合液を超音波照射器(Ultrasonic Generater Model US−150 株式会社日本精機製作所製)を用いて、150W、120μAの出力で約1時間超音波照射を行い、CNF含有分散液を得た。超音波照射による前記混合液の発熱を抑えるために適宜氷水などで冷却することにより、液温を40℃以下に保持した。
【0065】
[CNF含有分散液の分散性評価]
(1)吸光度の測定
CNF含有分散液の分散性を評価するために、前記調製した分散液を遠心操作して得られた前記分散液の上層部の外観を評価した。遠心分離器(himac CF 15D2 日立工機株式会社製)を用いて、5000rpm(最大遠心力2400g)で1時間遠心を行った。遠心終了後、得られた分散液の上層部をデカンテーションで静かに採取した。上層液は均一に分散していた。こうして得られた分散液の500nmの吸光度を光路長2mmの石英セルでブランクをCNFの入っていない溶液にして測定した。500nmの吸光度は4.9801であった。その結果を表1及び図1に示した。
【0066】
(2)分散性の評価
遠心後の上層液の外観を以上の基準で評価した。
◎:ナノカーボン材料が均一に分散しており、非常に濃い溶液である。
○:ナノカーボン材料が均一に分散しており、濃い溶液である。
△:ナノカーボン材料が分散しているが、薄い溶液である。
×:透明、またはほぼ透明であり、ナノカーボン材料の存在がほとんど確認されない。
結果を表1に示した。
【0067】
[実施例1−2]
[CNF含有熱可塑性樹脂の調製]
水98gに対し、N−オレイル−N,N−ジメチルアミンオキサイド1gを添加して、攪拌し、溶液を調製した。次に、さらに、この溶液にCNF1gを添加、攪拌し、CNF混合液を調製した。さらに、実施例1−1と同様に超音波照射を行った。そして、この調製したCNF含有分散液を温度50℃、減圧度2〜30kPaの範囲でエバポレートにより、溶媒を除去した。溶媒除去により得られたCNF含有組成物を2g、熱可塑性樹脂としてポリプロピレン(プライムポリマー株式会社製のプライムポリプロJ−704U)を50g、ラボプラストミキサー(株式会社東洋精機製作所製、システムユニット形式:30C150、測定ヘッド形式:シリンダホッパVHD75型)に仕込み、200℃、攪拌速度80rpm(予熱1分、混練5分)で混練した。その後、前記ラボプラストミキサーから熱可塑性樹脂組成物を取り出し、これを200℃のもとでプレス成型(予熱50kg/cm2 1分、ガス抜き4回、加圧100kg/cm2 1分)して、100×100×3mmのシート状の樹脂プレートを作成した。
【0068】
[導電性評価]
(1)表面固有抵抗の測定
調製した100×100×3mmのシート状のCNF含有熱可塑性樹脂プレートを表面抵抗値が108Ω以上の場合は表面固有抵抗計(三菱油化株式会社製、Hiresta HT−210)にて、印加電圧500V/10秒、測定雰囲気23℃/50%RHの条件下で測定を行った。表面抵抗値が108Ω未満の場合は、表面固有抵抗計(三菱化学株式会社製、Loresta−GP MCP−T600)にて、印加電圧90V/10秒、測定雰囲気23℃/50%RHの条件で、測定を行った。各プレートの表面抵抗値は、試験片の単位表面積当たりの固有抵抗値を10回測定した際の平均値とした。測定結果を表3に示した。
【0069】
(2)導電性評価
ナノカーボン含有熱可塑性樹脂は表面固有抵抗値が低い場合は導電性に優れ、一方、表面固有抵抗値が高い場合は導電性に劣る。通常、熱可塑性樹脂に対するナノカーボン材料の添加量が同じ場合、ナノカーボン材料の分散性の度合いにより、ナノカーボン含有熱可塑性樹脂の導電性及び速度は大きく異なる。ナノカーボン分散液の分散性が良好な場合、それから調製されたナノカーボン含有熱可塑性樹脂の導電性が高い傾向にある。したがって、ナノカーボン含有熱可塑性樹脂の表面抵抗値はその樹脂に含まれるナノカーボンの分散性の良し悪しの指標となる。
【0070】
測定した表面固有固定値からナノカーボン材料含有熱可塑性樹脂プレートの導電性評価を以下の基準で行った。
◎:表面固有抵抗値が1.0×108Ω未満
○:表面固有抵抗値が1.0×108Ω以上、1.0×109Ω未満
△:表面固有抵抗値が1.0×109Ω以上、1.0×1010Ω未満
×:表面固有抵抗値が1.0×1010Ω以上
結果を表3に示した。
【0071】
[実施例2−1]
水100gに対し、N−ステアリル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを1g添加して、攪拌し、溶液を調製した。この溶液100質量部に対し、CNFを0.2g添加し、攪拌し、CNF混合液を調製した。次に、この混合液を実施例1と同様の操作を行い、CNF含有分散液を得た。上層液は均一に分散していた。この上層液の500nmの吸光度は4.6151であった。結果を表1及び図1に示した。
【0072】
[実施例2−2]
界面活性剤にN−ステアリル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例1−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNF含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNF含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表3に示した。
【0073】
[実施例3−1]
水100gに対し、N−パルミチル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを1g添加して、攪拌し、溶液を調製した。この溶液100質量部に対し、CNF0.2g添加し、攪拌し、CNF混合液を調製した。次に、この混合液を実施例1−1と同様の操作を行い、CNF含有分散液を得た。上層液は均一に分散していた。この上層液を500nmの吸光度は1.6462であった。その結果を表1及び図1に示した。
【0074】
[実施例3−2]
界面活性剤にN−パルミチル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例1−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNF含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNF含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表3に示した。
【0075】
[実施例4−1]
界面活性剤にN−ベヘニル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例1−1と同様の成分配合及び方法によってCNF含有分散液を得た。この上層液は均一に分散していた。この上層液を500nmの吸光度は4.5322であった。その結果を表1及び図1に示した。
【0076】
[実施例4−2]
界面活性剤にN−ベヘニル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例1−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNF含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNF含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表3に示した。
【0077】
[実施例5−1]
界面活性剤にN−ラウリル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例1と同様の成分配合及び方法によってCNF含有分散液を得た。この上層液は均一に分散していた。この上層液を500nmの吸光度は0.8982であった。その結果を表1及び図1に示した。
【0078】
[実施例5−2]
界面活性剤にN−ラウリル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例1−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNF含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNF含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表3に示した。
【0079】
[実施例6−1]
溶媒に水とエタノールとからなる溶媒(重量比:水/エタノール=80/20)を用いたこと及び界面活性剤にN−オレイル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例1−1と同様の成分配合及び方法によってCNF含有分散液を得た。この上層液は均一に分散していた。この上層液を500nmの吸光度は3.3883であった。その結果を表1及び図1に示した。
【0080】
[実施例6−2]
溶媒に水とエタノールとからなる溶媒(重量比:水/エタノール=80/20)を用いたこと及び界面活性剤にN−オレイル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例1−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNF含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNF含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表3に示した。
【0081】
[実施例7−1]
溶媒に水とエタノールとからなる溶媒(重量比:水/エタノール=80/20)を用いたこと及び界面活性剤にN−ステアリル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例1−1と同様の成分配合及び方法によってCNF含有分散液を得た。この上層液は均一に分散していた。この上層液を500nmの吸光度は3.8621であった。その結果を表1及び図1に示した。
【0082】
[実施例7−2]
溶媒に水とエタノールとからなる溶媒(重量比:水/エタノール=80/20)を用いたこと及び界面活性剤にN−ステアリル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例1−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNF含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNF含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表3に示した。
【0083】
[実施例8−1]
[CNT含有分散液の調製]
水100gに対し、N−オレイル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを0.2g添加して、攪拌し、溶液を調製した。次に、この溶液100質量部に対し、CNT(Carbon Nanotechnologies,Inc.社製、ESDtype、多層カーボンナノチューブ(MWNT))0.1gを添加、攪拌し、CNT混合液を調製した。次に、この混合液を実施例1−1と同様の方法によってCNT含有分散液を得た。上層液は均一に分散していた。
【0084】
[CNT含有分散液の分散性評価]
(1)吸光度の測定
CNT含有分散液の分散性を評価するために、前記調製した分散液を遠心操作し、得られた前記分散液の上層部の外観を評価した。遠心分離器(himac CF 15D2 日立工機株式会社製)を用いて、10000rpm(最大遠心力9700g)、1時間遠心を行った。遠心終了後、得られた分散液の上層部をデカンテーションで静かに採取した。上層液は均一に分散していた。こうして得られた分散液の500nmの吸光度を光路長10mmの石英セルでブランクをCNTの入っていない溶液にして測定した。500nmの吸光度は3.8720であった。その結果を表2及び図2に示した。
【0085】
[実施例8−2]
[CNT含有熱可塑性樹脂の調製]
水98gに対し、N−オレイル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを1g添加して、攪拌し、溶液を調製した。次に、さらに、この溶液にCNT(MWNT)1gを添加、攪拌し、CNT混合液を調製した。以下、実施例1−2と同様の操作で100×100×3mmのシート状の樹脂プレートを作成した。
【0086】
[導電性評価]
実施例1−2と同様の方法によって、表面固有抵抗値を測定し、導電性評価を行った。その結果を表3に示した。
【0087】
[実施例9−1]
界面活性剤にN−ステアリル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例8−1と同様の成分配合及び方法によってCNT(MWNT)含有分散液を得た。この上層液は均一に分散していた。この上層液を500nmの吸光度は4.5232であった。その結果を表2及び図2に示した。
【0088】
[実施例9−2]
界面活性剤にN−ステアリル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例8−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNT(MWNT)含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNT含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表3に示した。
【0089】
[実施例10−1]
界面活性剤にN−パルミチル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例8−1と同様の成分配合及び方法によってCNT(MWNT)含有分散液を得た。この上層液は均一に分散していた。この上層液を500nmの吸光度は4.2328であった。その結果を表2及び図2に示した。
【0090】
[実施例10−2]
界面活性剤にN−パルミチル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例8−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNT(MWNT)含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNT含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表3に示した。
【0091】
[実施例11−1]
界面活性剤にN−ベヘニル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例8−1と同様の成分配合及び方法によってCNT(MWNT)含有分散液を得た。この上層液は均一に分散していた。この上層液を500nmの吸光度は4.5293であった。その結果を表2及び図2に示した。
【0092】
[実施例11−2]
界面活性剤にN−ベヘニル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外な実施例8−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNT(MWNT)含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNT含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表3に示した。
【0093】
[実施例12−1]
界面活性剤にN−ラウリル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例8−1と同様の成分配合及び方法によってCNT(MWNT)含有分散液を得た。この上層液は均一に分散していた。この上層液を500nmの吸光度は3.4826であった。その結果を表2及び図2に示した。
【0094】
[実施例12−2]
界面活性剤にN−ラウリル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例8−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNT(MWNT)含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNT含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表3に示した。
【0095】
[実施例13−1]
溶媒に水とエタノールとからなる溶媒(重量比:水/エタノール=80/20)を用いたこと及び界面活性剤にN−オレイル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例8−1と同様の成分配合及び方法によってCNT(MWNT)含有分散液を得た。この上層液は均一に分散していた。この上層液を500nmの吸光度は3.9201であった。その結果を表2及び図2に示した。
【0096】
[実施例13−2]
溶媒に水とエタノールとからなる溶媒(重量比:水/エタノール=80/20)を用いたこと及び界面活性剤にN−オレイル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例8−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNT(MWNT)含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNT含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表3に示した。
【0097】
[実施例14−1]
溶媒に水とエタノールとからなる溶媒(重量比:水/エタノール=80/20)を用いたこと及び界面活性剤にN−ステアリル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例8−1と同様の成分配合及び方法によってCNT(MWNT)含有分散液を得た。この上層液は均一に分散していた。この上層液を500nmの吸光度は4.2682であった。その結果を表2及び図2に示した。
【0098】
[実施例14−2]
溶媒に水とエタノールとからなる溶媒(重量比:水/エタノール=80/20)を用いたこと及び界面活性剤にN−ステアリル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例8−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNT(MWNT)含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNT含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表3に示した。
【0099】
[比較例1−1]
水100gに対し、CNFを0.2g添加し、攪拌し、CNF混合液を調製した。次に、この混合液を実施例1と同様の要領でCNF含有分散液を得た。この上層液の外観を実施例1−1と同様の評価法で評価した。前記上層液は無色透明であった。500nmでの吸光度は0.0021であった。その結果を表1及び図1に示した。
【0100】
[比較例1−2]
実施例1−2と同様の要領で比較例1−1のCNF含有分散液から100×100×3mmのシート状のCNF含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNF含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表4に示した。
【0101】
[比較例2−1]
水100gに対し、N−へキシル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを1g添加し、攪拌し、溶液を調製した。そして、この溶液100gに対し、CNFを0.2g添加し、攪拌し、CNF混合液を調製した。次に、この混合液を実施例1と同様の要領でCN含有分散液を得た。この上層液の外観を実施例1−1と同様の評価法で評価した。前記上層液は分散していたが、淡い溶液であった。500nmでの吸光度は0.0045であった。その結果を表1及び図1に示した。
【0102】
[比較例2−2]
界面活性剤にN−へキシル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例1−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNF含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNF含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表4に示した。
【0103】
[比較例3−1]
水100gに対し、N−デシル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを1g添加し、攪拌し、溶液を調製した。そして、この溶液100gに対し、CNFを0.2g添加し、攪拌し、CNF混合液を調製した。次に、この混合液を実施例1と同様の要領でCNF含有分散液を得た。この上層液の外観を実施例1−1と同様の評価法で評価した。前記上層液は分散していたが、淡い溶液であった。500nmでの吸光度は0.0359であった。その結果を表1及び図1に示した。
【0104】
[比較例3−2]
界面活性剤にN−デシル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例1−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNF含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNF含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表4に示した。
【0105】
[比較例4−1]
界面活性剤にN−オレイル−N,N−ジメチルアミンを用いたこと以外は、実施例1−1と同様の成分配合及び方法によってCNF含有分散液を得た。この上層液の外観を実施例1−1と同様の評価法で評価した。また、この上層液の500nmでの吸光度は0.0327であった。その結果を表1及び図1に示した。
【0106】
[比較例4−2]
界面活性剤にN−オレイル−N,N−ジメチルアミンを用いたこと以外は、実施例1−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNF含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNF含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表4に示した。
【0107】
[比較例5−1]
界面活性剤にN−ステアリル−N,N−ジメチルアミンを用いたこと以外は、実施例1−1と同様の成分配合及び方法によってCNF含有分散液を得た。この上層液の外観を実施例1−1と同様の評価法で評価した。前記500nmでの吸光度は0.0526であった。その結果を表1及び図1に示した。
【0108】
[比較例5−2]
界面活性剤にN−ステアリル−N,N−ジメチルアミンを用いたこと以外は、実施例1−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNF含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNF含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表4に示した。
【0109】
[比較例6−1]
溶媒に水とエタノールとからなる溶媒(重量比:水/エタノール=80/20)を用いたこと及び界面活性剤にN−ラウリル−N,N−ジメチルアミンを用いたこと以外は、実施例1−1と同様の成分配合及び方法によってCNF含有分散液を得た。この上層液の外観を実施例1−1と同様の評価法で評価した。前記500nmでの吸光度は0.0628であった。その結果を表1及び図1に示した。
【0110】
[比較例6−2]
溶媒に水とエタノールとからなる溶媒(重量比:水/エタノール=80/20)を用いたこと、及び界面活性剤にN−ラウリル−N,N−ジメチルアミンを用いたこと以外は、実施例1−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNF含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNF含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表4に示した。
【0111】
[比較例7−1]
界面活性剤にポリオキシエチレンへキシルフェニルエーテルを用いたこと以外は、実施例1−1と同様の成分配合及び方法によってCNF含有分散液を得た。この上層液の外観を実施例1−1と同様の評価法で評価した。前記500nmでの吸光度は0.3834であった。その結果を表1及び図1に示した。
【0112】
[比較例7−2]
界面活性剤にポリオキシエチレンへキシルフェニルエーテルを用いたこと以外は、実施例1−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNF含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNF含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表4に示した。
【0113】
[比較例8−1]
界面活性剤にN−オレイル−N−ポリオキシエチレン−N’,N’−ジ(ポリオキシエチレン)プロピレンジアミンを用いたこと以外は、実施例1−1と同様の成分配合及び方法によってCNF含有分散液を得た。この上層液の外観を実施例1−1と同様の評価法で評価した。前記500nmでの吸光度は0.2485であった。その結果を表1及び図1に示した。
【0114】
[比較例8−2]
界面活性剤にN−オレイル−N−ポリオキシエチレン−N’,N’−ジ(ポリオキシエチレン)プロピレンジアミンを用いたこと以外は、実施例1−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNF含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNF含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表4に示した。
【0115】
[比較例9−1]
水100gに対し、CNT(MWNT)を0.2g添加し、攪拌し、CNT混合液を調製した。次に、この混合液を実施例1と同様の要領でCNT含有分散液を得た。この上層液の外観を実施例1−1と同様の評価法で評価した。前記上層液は無色透明であった。500nmでの吸光度は0.0187であった。その結果を表2及び図2に示した。
【0116】
[比較例9−2]
実施例1−2と同様の要領で比較例9−1のCNT(MWNT)分散液から100×100×3mmのシート状のCNT含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNT含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表4に示した。
【0117】
[比較例10−1]
水100gに対し、N−へキシル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを0.2g添加して、溶液を調製した。この溶液100gに対し、CNTを0.2g添加し、攪拌し、CNT混合液を調製した。次に、この混合液を実施例1−1と同様の要領でCNT含有分散液を得た。この上層液の外観を実施例1−1と同様の評価法で評価した。前記上層液は淡い溶液であった。また、この上層液の500nmでの吸光度は0.6752であった。その結果を表2及び図2に示した。
【0118】
[比較例10−2]
界面活性剤にN−へキシル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例1−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNT(MWNT)含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNT含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表4に示した。
【0119】
[比較例11−1]
界面活性剤にN−デシル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例1−1と同様の成分配合及び方法によってCNT(MWNT)含有分散液を得た。この上層液の外観を実施例1−1と同様の評価法で評価した。前記上層液の500nmでの吸光度は0.9186であった。その結果を表2及び図2に示した。
【0120】
[比較例11−2]
界面活性剤にN−デシル−N,N−ジメチルアミンオキサイドを用いたこと以外は、実施例1−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNT(MWNT)含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNT含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表4に示した。
【0121】
[比較例12−1]
界面活性剤にN−オレイル−N,N−ジメチルアミンを用いたこと以外は、実施例1−1と同様の成分配合及び方法によってCNT(MWNT)含有分散液を得た。この上層液の外観を実施例1−1と同様の評価法で評価した。前記上層液の500nmでの吸光度は0.4409であった。その結果を表2及び図2に示した。
【0122】
[比較例12−2]
界面活性剤にN−オレイル−N,N−ジメチルアミンを用いたこと以外は、実施例1−2と成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNT(MWNT)含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNT含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表4に示した。
【0123】
[比較例13−1]
界面活性剤にN−ステアリル−N,N−ジメチルアミンを用いたこと以外は、実施例1−1と同様の成分配合及び方法によってCNT(MWNT)含有分散液を得た。この上層液の外観を実施例1−1と同様の評価法で評価した。前記上層液の500nmでの吸光度は0.5672であった。その結果を表2及び図2に示した。
【0124】
[比較例13−2]
界面活性剤にN−ステアリル−N,N−ジメチルアミンを用いたこと以外は、実施例1−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNT(MWNT)含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNT含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表4に示した。
【0125】
[比較例14−1]
溶媒に水とエタノールとからなる溶媒(重量比:水/エタノール=80/20)を用いたこと及び界面活性剤にN−ラウリル−N,N−ジメチルアミンを用いたこと以外は、実施例1−1と同様の成分配合及び方法によってCNT(MWNT)含有分散液を得た。この上層液の外観を実施例1−1と同様の評価法で評価した。前記500nmでの吸光度は0.2452であった。その結果を表2及び図2に示した。
【0126】
[比較例14−2]
溶媒に水とエタノールとからなる溶媒(重量比:水/エタノール=80/20)を用いたこと及び界面活性剤にN−ラウリル−N,N−ジメチルアミンを用いたこと以外は、実施例1−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNT(MWNT)含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNT含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表4に示した。
【0127】
[比較例15−1]
界面活性剤にポリオキシエチレンへキシルフェニルエーテルを用いたこと以外は、実施例1−1と同様の成分配合及び方法によってCNT(MWNT)含有分散液を得た。この上層液の外観を実施例1−1と同様の評価法で評価した。前記上層液の500nmでの吸光度は0.9872であった。その結果を表2及び図2に示した。
【0128】
[比較例15−2]
界面活性剤にポリオキシエチレンへキシルフェニルエーテルを用いたこと以外は、実施例1−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNT(MWNT)含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNT含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表4に示した。
【0129】
[比較例16−1]
界面活性剤にN−オレイル−N−ポリオキシエチレン−N’,N’−ジ(ポリオキシエチレン)プロピレンジアミンを用いたこと以外は、実施例1−1と同様の成分配合及び方法によってCNT(MWNT)含有分散液を得た。この上層液の外観を実施例1−1と同様の評価法で評価した。前記上層液の500nmでの吸光度は0.3647であった。その結果を表2及び図2に示した。
【0130】
[比較例16−2]
界面活性剤にN−オレイル−N−ポリオキシエチレン−N’,N’−ジ(ポリオキシエチレン)プロピレンジアミンを用いたこと以外は、実施例1−2と同様の成分配合及び方法によって100×100×3mmのシート状のCNT(MWNT)含有熱可塑性樹脂プレートを作製した。そして、このCNT含有熱可塑性樹脂プレートの表面抵抗値を測定した。また、導電性評価を行った。表面抵抗値の測定及び導電性評価は実施例1−2に係る表面抵抗値の測定法及び導電性の評価法に準じた。結果を表4に示した。
【0131】
【表1】

【0132】
【表2】

【0133】
【表3】

【0134】
【表4】

【0135】
表1〜表4に開示された実施例及び比較例のナノカーボン材料の分散性並びにナノカーボン材料含有樹脂組成物の導電性の評価から明らかなように発明に係るナノカーボン材料含有分散液はナノカーボン材料の分散性に優れることが確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】実施例1−1〜実施例7−1及び比較例1−1〜比較例8−1に係るナノカーボン材料(CNF)含有分散液の吸光度(λ=500nm、光路長2mm)の一覧。
【図2】実施例8−1〜実施例14−1及び比較例9−1〜比較例16−1に係るナノカーボン材料(CNT)含有分散液の吸光度(λ=500nm、光路長10mm)の一覧。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノカーボン材料と、
水及びまたは親水性溶媒と、
非イオン系の界面活性剤と
を含んでなり
前記界面活性剤は下記式で示される3級アミンオキサイド化合物からなること
を特徴とするナノカーボン材料含有分散液。
【化1】

式(1)のR1は炭素数12〜24のアルキル基、アルケニル基を表し、R2とR3は同一または異なる炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、−(AO)n−Hで表せる基(但し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、nは1〜35の整数である)のいずれかを表す。
【請求項2】
前記R2及びR3はメチル基であることを特徴とする請求項1に記載のナノカーボン材料含有分散液。
【請求項3】
前記R1は炭素数16〜24のアルキル基、アルケニル基であることを特徴とする請求項1または2に記載のナノカーボン材料含有分散液。
【請求項4】
前記ナノカーボン材料はカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノコイル、カーボンナノホーン及びフラーレンからなる群から1種以上選択されたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のナノカーボン材料含有分散液。
【請求項5】
前記ナノカーボン材料100質量部に対し、前記3級アミンオキサイド化合物が0.1〜2000質量部配合されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のナノカーボン材料含有分散液。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−190924(P2009−190924A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32335(P2008−32335)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】